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2019年04月13日
今世紀中に子宮頸がん撲滅は可能
世界と歩調を合わせれば子宮頸がんは撲滅できる!
麻疹風疹混合ワクチンに対する偏見で麻疹風疹の大規模感染が起きた。
HPVワクチン接種ではそれ以上のヒステリックな反応をマスコミと政府が助長させている。
今世紀中に子宮頸がん撲滅は可能
2019-03-06 Oncology Tribune
HPVワクチン HPV Lancet Oncol Oncology Tribune WHO
2020〜99年181カ国HPVワクチン+スクリーニングの効果
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種と子宮頸がんスクリーニングが急速かつ広範に実施されれば、
子宮頸がんは今世紀(21世紀)末までに世界のほとんどの国で公衆衛生上の問題から除外できる可能性がある。
オーストラリア・Cancer Council New South WalesのKate T. Simms氏らは、世界181カ国を対象に2020〜99年に前述した2つの既存の介入による子宮頸がん撲滅の可能性を数理モデルを用いて検討、その結果をLancet Oncol(2019年2月19日オンライン版)に発表した。
2020年以降に『2つの介入が高率に実施された場合』、
その後『50年間(2069年まで)に最大1,340万例で子宮頸がんが予防』できる一方、
『実施されない場合は4,440万例が子宮頸がんを発症する』とみられる。
世界規模でこのような推定が明らかにされたのは初めて。
発症の傾向を予防介入の有無で解析
世界保健機関(WHO)国際がん研究機関(IARC)の世界がん統計(GLOBOCAN 2018)によると、
子宮頸がんの罹患率と死亡率は女性のがんの第4位を占め、
毎年50万例以上が新たに診断され、うち85%は途上国で発生している。
ただし、『HPVに対する多価ワクチン接種により、子宮頸がんの84〜90%は予防可能』であることも明らかになっている。
2018年5月、WHO事務局長のTedros A. Ghebreyesus氏は
「子宮頸がん撲滅のため、世界で協調的な行動を」
と呼びかけた。
子宮頸がん撲滅に必要な緊急の行動には、HPVワクチン接種、スクリーニング、前がん病変に対する治療、
早期浸潤がんの早期発見と治療、緩和医療が含まれている。
今回Simms氏らは、WHO‐IARCが5年ごとに共同刊行しているデータブックCancer Incidence in Five Continents(IC5)のデータを用い、子宮頸がんに対し急速かつ広範な予防介入が行われなかった場合について、将来の傾向を予測。
さらにHPVの伝播、ワクチン、子宮頸がん前がん病変、スクリーニング、診断、治療の動態モデルのシミュレーション・プラットフォーム「Policy1-Cervix 」を用い、
2020〜99年に開発レべルが異なる181カ国において予防介入の拡大が子宮がん罹患率と疾病負荷に及ぼす影響を解析した。
データは、人間開発の3つの側面(保健、教育、所得)からその国の平均達成度を測る指標、人間開発指数(HDI)を用いて示した。
50年間に1,340万例が予防可能に
解析の結果、HPVワクチン接種とスクリーニングによる予防介入が実施されなかった場合、
人口増加と高齢化の影響で年間の子宮頸がんの新規診断数は2020年の60万例から、2069年には130万例に増加。
2020〜69年の50年間に新たに診断される女性は、世界で4,440万例に上ると推測された。
しかし、2020年までにHPVワクチン接種が世界で急速に進み、多価ワクチンの接種率が80〜100%に上った場合は、子宮頸がん患者670万〜770万例の予防が可能になる。
ただし、こうした予防効果の半分が認められるのは2060年以降になるという。
『HPVワクチン接種に加えて』2020年までにスクリーニングの実施率が上昇し、『全ての女性が生涯に2回(35歳と45歳の時点)スクリーニングを受けた場合』、予防効果はさらに改善、『2069年までに子宮頸がんを1,250万〜1,340万例予防』できる。
子宮頸がん撲滅の閾値を年間発症率が10万人当たり4人未満とすると、
子宮頸がん発症率が年間10万人当たり4人未満となるのは、
HDIが非常に高い国(米国、フィンランド、英国、カナダなど)では2055〜59年、
HDIが高い国(メキシコ、中国、ブラジルなど)では2065〜69年、
HDIが中等度の国(インド、ベトナム、フィリピンなど)では2070〜79年、
HDIが低い国(エチオピア、ハイチ、パプアニューギニアなど)では2090〜2100年以降と推測される。
ただし、ケニヤ、タンザニア、ウガンダなどのアフリカ諸国では2020年までに介入が行われたとしても、
今世紀中に子宮頸がんの年間発症率が10万人当たり4人未満を達成するのは困難と予測された。
研究の限界として、途上国における経時的な発症率のデータを欠くこと、
HPVワクチンの効果を生涯と仮定したことなどが挙げられる。
この研究の主任研究者で同施設のKaren Canfell氏は
「子宮頸がんは公衆衛生上の重大な問題であるが、今回の知見から、既に利用可能なツールによって撲滅が実現可能であることが示唆された」と述べている。
カナダ・CHU de Québec-Université LavalのMarc Brisson氏は同誌の付随論評(2019年2月19日オンライン版)で「この研究は、公衆衛生上の大きな問題である世界の子宮頸がん撲滅について初のエビデンスを示した。
さらに数理モデルが政策決定に関する情報を提供する役割があることも強く示した」と述べている。
(森下紀代美)
麻疹風疹混合ワクチンに対する偏見で麻疹風疹の大規模感染が起きた。
HPVワクチン接種ではそれ以上のヒステリックな反応をマスコミと政府が助長させている。
今世紀中に子宮頸がん撲滅は可能
2019-03-06 Oncology Tribune
HPVワクチン HPV Lancet Oncol Oncology Tribune WHO
2020〜99年181カ国HPVワクチン+スクリーニングの効果
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種と子宮頸がんスクリーニングが急速かつ広範に実施されれば、
子宮頸がんは今世紀(21世紀)末までに世界のほとんどの国で公衆衛生上の問題から除外できる可能性がある。
オーストラリア・Cancer Council New South WalesのKate T. Simms氏らは、世界181カ国を対象に2020〜99年に前述した2つの既存の介入による子宮頸がん撲滅の可能性を数理モデルを用いて検討、その結果をLancet Oncol(2019年2月19日オンライン版)に発表した。
2020年以降に『2つの介入が高率に実施された場合』、
その後『50年間(2069年まで)に最大1,340万例で子宮頸がんが予防』できる一方、
『実施されない場合は4,440万例が子宮頸がんを発症する』とみられる。
世界規模でこのような推定が明らかにされたのは初めて。
発症の傾向を予防介入の有無で解析
世界保健機関(WHO)国際がん研究機関(IARC)の世界がん統計(GLOBOCAN 2018)によると、
子宮頸がんの罹患率と死亡率は女性のがんの第4位を占め、
毎年50万例以上が新たに診断され、うち85%は途上国で発生している。
ただし、『HPVに対する多価ワクチン接種により、子宮頸がんの84〜90%は予防可能』であることも明らかになっている。
2018年5月、WHO事務局長のTedros A. Ghebreyesus氏は
「子宮頸がん撲滅のため、世界で協調的な行動を」
と呼びかけた。
子宮頸がん撲滅に必要な緊急の行動には、HPVワクチン接種、スクリーニング、前がん病変に対する治療、
早期浸潤がんの早期発見と治療、緩和医療が含まれている。
今回Simms氏らは、WHO‐IARCが5年ごとに共同刊行しているデータブックCancer Incidence in Five Continents(IC5)のデータを用い、子宮頸がんに対し急速かつ広範な予防介入が行われなかった場合について、将来の傾向を予測。
さらにHPVの伝播、ワクチン、子宮頸がん前がん病変、スクリーニング、診断、治療の動態モデルのシミュレーション・プラットフォーム「Policy1-Cervix 」を用い、
2020〜99年に開発レべルが異なる181カ国において予防介入の拡大が子宮がん罹患率と疾病負荷に及ぼす影響を解析した。
データは、人間開発の3つの側面(保健、教育、所得)からその国の平均達成度を測る指標、人間開発指数(HDI)を用いて示した。
50年間に1,340万例が予防可能に
解析の結果、HPVワクチン接種とスクリーニングによる予防介入が実施されなかった場合、
人口増加と高齢化の影響で年間の子宮頸がんの新規診断数は2020年の60万例から、2069年には130万例に増加。
2020〜69年の50年間に新たに診断される女性は、世界で4,440万例に上ると推測された。
しかし、2020年までにHPVワクチン接種が世界で急速に進み、多価ワクチンの接種率が80〜100%に上った場合は、子宮頸がん患者670万〜770万例の予防が可能になる。
ただし、こうした予防効果の半分が認められるのは2060年以降になるという。
『HPVワクチン接種に加えて』2020年までにスクリーニングの実施率が上昇し、『全ての女性が生涯に2回(35歳と45歳の時点)スクリーニングを受けた場合』、予防効果はさらに改善、『2069年までに子宮頸がんを1,250万〜1,340万例予防』できる。
子宮頸がん撲滅の閾値を年間発症率が10万人当たり4人未満とすると、
子宮頸がん発症率が年間10万人当たり4人未満となるのは、
HDIが非常に高い国(米国、フィンランド、英国、カナダなど)では2055〜59年、
HDIが高い国(メキシコ、中国、ブラジルなど)では2065〜69年、
HDIが中等度の国(インド、ベトナム、フィリピンなど)では2070〜79年、
HDIが低い国(エチオピア、ハイチ、パプアニューギニアなど)では2090〜2100年以降と推測される。
ただし、ケニヤ、タンザニア、ウガンダなどのアフリカ諸国では2020年までに介入が行われたとしても、
今世紀中に子宮頸がんの年間発症率が10万人当たり4人未満を達成するのは困難と予測された。
研究の限界として、途上国における経時的な発症率のデータを欠くこと、
HPVワクチンの効果を生涯と仮定したことなどが挙げられる。
この研究の主任研究者で同施設のKaren Canfell氏は
「子宮頸がんは公衆衛生上の重大な問題であるが、今回の知見から、既に利用可能なツールによって撲滅が実現可能であることが示唆された」と述べている。
カナダ・CHU de Québec-Université LavalのMarc Brisson氏は同誌の付随論評(2019年2月19日オンライン版)で「この研究は、公衆衛生上の大きな問題である世界の子宮頸がん撲滅について初のエビデンスを示した。
さらに数理モデルが政策決定に関する情報を提供する役割があることも強く示した」と述べている。
(森下紀代美)
2019年04月12日
閉経後のホルモン補充療法でアルツハイマー症リスク増加か
欧米でのホルモン補充療法は、生理が起きることを目標にエストロゲンと黄体ホルモンを投与することを基本とします。
差し引きゼロという結果がわかっています。
閉経後のホルモン補充療法でアルツハイマー症リスク増加か/BMJ
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/20
閉経後女性への『全身ホルモン補充療法』では、
エストロゲンと併用する黄体ホルモン製剤の種類や開始年齢にかかわらず、
長期の投与により『アルツハイマー病のリスクが増大』する可能性が、
フィンランド・ヘルシンキ大学のHanna Savolainen-Peltonen氏らの検討で示された。
ただし、『膣内エストラジオール療法』ではこのようなリスク『上昇はなかった』。
研究の成果は、BMJ誌2019年3月6日号に掲載された。
いくつかの観察研究により、ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに対し
防御的な作用を有する可能性が示唆されているが、
この知見はプラセボを対照とするWomen's Health Initiative Memory Study(WHIMS)では支持されていない。
WHIMSでは実臨床とは異なり、ホルモン補充療法は65歳以上で開始されていることから、エストロゲンが神経保護的に働くのは、閉経が始まってすぐの時期に投与が開始された場合に限られるとの仮説が提唱されていた。
フィンランドの約17万人の閉経後女性の症例対照研究
研究グループは、フィンランド人の閉経後女性において、
ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに影響を及ぼすか、
また、このリスクは治療開始年齢や治療期間と関連するかを検討する目的で、
全国的な症例対照研究を実施した(ヘルシンキ大学病院などの助成による)。
1999〜2013年のフィンランドの全国的な住民薬剤登録から、
神経科医または老年病医により『アルツハイマー病』の診断を受けた閉経後女性『8万4,739例』のデータを抽出した。
『対照』として、フィンランドの全国的な住民登録から、年齢および病院の所在地域をマッチさせた『アルツハイマー病』の診断を受けてい『ない』閉経後女性『8万4,739例』のデータを得た。
条件付きロジスティック回帰分析を用いて、アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
リスクが9〜17%増加、『開始年齢は決定因子ではない』
アルツハイマー病と診断された女性では、
8万3,688例(98.8%)が60歳以上であり、
4万7,239例(55.7%)は80歳以上であった。
『アルツハイマー病』女性のうち、
5万8,186例(68.7%)はホルモン補充療法を受けておらず、
1万5,768例(18.6%)が全身療法(エストラジオール単剤、エストロゲンと黄体ホルモン製剤[酢酸ノルエチステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、その他の製剤または配合薬]の併用など)を、
1万785例(12.7%)が膣内エストラジオール療法を受けていた。
アルツハイマー病群は対照群に比べ、
『全身ホルモン補充療法』を受けている女性の割合が『有意に高く』
(18.6% vs.17.0%、p<0.001)、
膣内エストラジオール療法を受けている女性の割合は有意に低かった(12.7% vs.13.2%、p=0.005)。
両群間で、『全身ホルモン補充療法の施行期間』に有意な『差はなかった』。
全身ホルモン補充療法の使用により、アルツハイマー病のリスクは9〜17%増加した。
全身ホルモン補充療法のうち、エストラジオール単剤(OR:1.09、95%CI:1.05〜1.14)とエストロゲン+黄体ホルモン製剤併用(1.17、1.13〜1.21)で、リスクに差はなかった。
エストロゲン+黄体ホルモン製剤併用療法におけるアルツハイマー病のリスク上昇には、個々の黄体ホルモン製剤の種類による差はなく、いずれの薬剤でも有意にリスクが高かった。
一方、治療開始年齢が60歳未満の女性では、投与期間が10年以上に及ぶと、リスクが有意に上昇した(エストラジオール単剤のOR:1.07、1.00〜1.15、p=0.04、エストロゲン+黄体ホルモン製剤1.20、1.13〜1.26、p<0.005)。
また、全身ホルモン補充療法の開始年齢はアルツハイマー病のリスク上昇の確固たる決定因子ではなかった。
さらに、膣内エストラジオール療法を専用した場合、
リスクへの影響は認めなかった(OR:0.99、95%CI:0.96〜1.01)。
アルツハイマー病群では、全身ホルモン補充療法を受けた女性は、膣内エストラジオール療法を受けた女性や、ホルモン補充療法を受けていない女性に比べ、アルツハイマー病の発症時期がより早期であった。
著者は、「絶対値として、ホルモン補充療法を受けている70〜80歳の女性1万人当たり、受けていない場合に比べアルツハイマー病の診断が年に9〜18件多くなり(発症率:105件/1万人年)、
とくに投与を10年以上継続している女性ではリスクが高いと推測される」とまとめ、
「ホルモン補充療法の使用者には、アルツハイマー病の絶対リスクの上昇が小さくても、長期の使用に伴うリスクの可能性はあると伝えるべきだろう」としている。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら
Savolainen-Peltonen H, et al. BMJ. 2019;364:l665.
差し引きゼロという結果がわかっています。
閉経後のホルモン補充療法でアルツハイマー症リスク増加か/BMJ
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/20
閉経後女性への『全身ホルモン補充療法』では、
エストロゲンと併用する黄体ホルモン製剤の種類や開始年齢にかかわらず、
長期の投与により『アルツハイマー病のリスクが増大』する可能性が、
フィンランド・ヘルシンキ大学のHanna Savolainen-Peltonen氏らの検討で示された。
ただし、『膣内エストラジオール療法』ではこのようなリスク『上昇はなかった』。
研究の成果は、BMJ誌2019年3月6日号に掲載された。
いくつかの観察研究により、ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに対し
防御的な作用を有する可能性が示唆されているが、
この知見はプラセボを対照とするWomen's Health Initiative Memory Study(WHIMS)では支持されていない。
WHIMSでは実臨床とは異なり、ホルモン補充療法は65歳以上で開始されていることから、エストロゲンが神経保護的に働くのは、閉経が始まってすぐの時期に投与が開始された場合に限られるとの仮説が提唱されていた。
フィンランドの約17万人の閉経後女性の症例対照研究
研究グループは、フィンランド人の閉経後女性において、
ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに影響を及ぼすか、
また、このリスクは治療開始年齢や治療期間と関連するかを検討する目的で、
全国的な症例対照研究を実施した(ヘルシンキ大学病院などの助成による)。
1999〜2013年のフィンランドの全国的な住民薬剤登録から、
神経科医または老年病医により『アルツハイマー病』の診断を受けた閉経後女性『8万4,739例』のデータを抽出した。
『対照』として、フィンランドの全国的な住民登録から、年齢および病院の所在地域をマッチさせた『アルツハイマー病』の診断を受けてい『ない』閉経後女性『8万4,739例』のデータを得た。
条件付きロジスティック回帰分析を用いて、アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
リスクが9〜17%増加、『開始年齢は決定因子ではない』
アルツハイマー病と診断された女性では、
8万3,688例(98.8%)が60歳以上であり、
4万7,239例(55.7%)は80歳以上であった。
『アルツハイマー病』女性のうち、
5万8,186例(68.7%)はホルモン補充療法を受けておらず、
1万5,768例(18.6%)が全身療法(エストラジオール単剤、エストロゲンと黄体ホルモン製剤[酢酸ノルエチステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、その他の製剤または配合薬]の併用など)を、
1万785例(12.7%)が膣内エストラジオール療法を受けていた。
アルツハイマー病群は対照群に比べ、
『全身ホルモン補充療法』を受けている女性の割合が『有意に高く』
(18.6% vs.17.0%、p<0.001)、
膣内エストラジオール療法を受けている女性の割合は有意に低かった(12.7% vs.13.2%、p=0.005)。
両群間で、『全身ホルモン補充療法の施行期間』に有意な『差はなかった』。
全身ホルモン補充療法の使用により、アルツハイマー病のリスクは9〜17%増加した。
全身ホルモン補充療法のうち、エストラジオール単剤(OR:1.09、95%CI:1.05〜1.14)とエストロゲン+黄体ホルモン製剤併用(1.17、1.13〜1.21)で、リスクに差はなかった。
エストロゲン+黄体ホルモン製剤併用療法におけるアルツハイマー病のリスク上昇には、個々の黄体ホルモン製剤の種類による差はなく、いずれの薬剤でも有意にリスクが高かった。
一方、治療開始年齢が60歳未満の女性では、投与期間が10年以上に及ぶと、リスクが有意に上昇した(エストラジオール単剤のOR:1.07、1.00〜1.15、p=0.04、エストロゲン+黄体ホルモン製剤1.20、1.13〜1.26、p<0.005)。
また、全身ホルモン補充療法の開始年齢はアルツハイマー病のリスク上昇の確固たる決定因子ではなかった。
さらに、膣内エストラジオール療法を専用した場合、
リスクへの影響は認めなかった(OR:0.99、95%CI:0.96〜1.01)。
アルツハイマー病群では、全身ホルモン補充療法を受けた女性は、膣内エストラジオール療法を受けた女性や、ホルモン補充療法を受けていない女性に比べ、アルツハイマー病の発症時期がより早期であった。
著者は、「絶対値として、ホルモン補充療法を受けている70〜80歳の女性1万人当たり、受けていない場合に比べアルツハイマー病の診断が年に9〜18件多くなり(発症率:105件/1万人年)、
とくに投与を10年以上継続している女性ではリスクが高いと推測される」とまとめ、
「ホルモン補充療法の使用者には、アルツハイマー病の絶対リスクの上昇が小さくても、長期の使用に伴うリスクの可能性はあると伝えるべきだろう」としている。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら
Savolainen-Peltonen H, et al. BMJ. 2019;364:l665.
2019年04月11日
正常眼圧緑内障にも遺伝子変異の関与が示唆
健康診断に眼底写真をぜひとも入れて欲しいと考えています
運送会社の検診で、視神経乳頭陥凹が所見に上がっている方の視力が2,3年で低下しているのに衝撃を覚えました
自覚症状がないのが恐ろしい!成人失明の12.5%が正常眼圧緑内障です
正常眼圧緑内障にも遺伝子変異の関与が示唆
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/19
原因が特定されていない正常眼圧緑内障(NTG)について、
ミオシリン(MYOC)遺伝子変異にp.Gln368Terが関与しているとの知見が報告された。
MYOC遺伝子変異は、原発開放隅角緑内障における緑内障遺伝子として同定されている
今回、米国・アイオワ大学のWallace L. M. Alward氏らは2つの症例対照研究を行い、p.Gln368Terの関連を調査。
その結果、NTG患者への関連頻度は、既報の高眼圧(IOP)患者のそれよりは低かったものの認められることを報告した。
p.Gln368Terについては、これまでに最大30mmHg以上のIOPの原発開放隅角緑内障患者で1.6%の関連が報告されている。
一方、眼圧21mmHg以下のNTG患者での関連は不明であった。
著者は、「IOP患者と同様、21mmHg以下の正常眼圧患者においても、p.Gln368Terが緑内障と関連している可能性が示唆された」とまとめている。
JAMA Ophthalmology誌オンライン版2019年2月28日号掲載の報告。
研究グループは、NTG患者のMYOC遺伝子変異におけるp.Gln368Terの役割を評価する目的で、症例対照研究を実施。
コホート1は、米国(アイオワ、ミネソタおよびニューヨーク)およびイギリスのNTG患者772例と対照者2,152例。
コホート2には、Massachusetts Eye and Ear InfirmaryとNEIGHBORHOOD consortiumのNTG患者561例と対照者2,606例が含まれていた。
ジェノタイピングには、リアルタイムPCR(サンガー法)、imputation法によるゲノムワイド関連解析(GWAS)または全エクソーム解析(WES)を用いた。
解析期間は2007年4月〜2018年4月、主要評価項目はNGTのMYOC遺伝子変異におけるp.Gln368Terの発現頻度で、フィッシャーの直接確率検定により対照群と比較した。
主な結果は以下のとおり
・全解析対象6,091例中、女性が3,346例(54.9%)、白人が5,799例(95.2%)であった。
・p.Gln368Terの発現頻度は、
コホート1:NTG患者群0.91%(7/772例)、
対照群0.33%(7/2,152例、p=0.03)、
コホート2:0.71%(4/561例)、
0.38%(10/2,606例、p=0.15)であった。
・両コホートを合わせると、p.Gln368Terの発現頻度はNTGと関連していた
(オッズ比:2.3、95%信頼区間[CI]:0.98〜5.3、p=0.04)。
(ケアネット)
原著論文はこちら
Alward WLM, et al. JAMA Ophthalmol. [Epub ahead of print]
運送会社の検診で、視神経乳頭陥凹が所見に上がっている方の視力が2,3年で低下しているのに衝撃を覚えました
自覚症状がないのが恐ろしい!成人失明の12.5%が正常眼圧緑内障です
正常眼圧緑内障にも遺伝子変異の関与が示唆
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/19
原因が特定されていない正常眼圧緑内障(NTG)について、
ミオシリン(MYOC)遺伝子変異にp.Gln368Terが関与しているとの知見が報告された。
MYOC遺伝子変異は、原発開放隅角緑内障における緑内障遺伝子として同定されている
今回、米国・アイオワ大学のWallace L. M. Alward氏らは2つの症例対照研究を行い、p.Gln368Terの関連を調査。
その結果、NTG患者への関連頻度は、既報の高眼圧(IOP)患者のそれよりは低かったものの認められることを報告した。
p.Gln368Terについては、これまでに最大30mmHg以上のIOPの原発開放隅角緑内障患者で1.6%の関連が報告されている。
一方、眼圧21mmHg以下のNTG患者での関連は不明であった。
著者は、「IOP患者と同様、21mmHg以下の正常眼圧患者においても、p.Gln368Terが緑内障と関連している可能性が示唆された」とまとめている。
JAMA Ophthalmology誌オンライン版2019年2月28日号掲載の報告。
研究グループは、NTG患者のMYOC遺伝子変異におけるp.Gln368Terの役割を評価する目的で、症例対照研究を実施。
コホート1は、米国(アイオワ、ミネソタおよびニューヨーク)およびイギリスのNTG患者772例と対照者2,152例。
コホート2には、Massachusetts Eye and Ear InfirmaryとNEIGHBORHOOD consortiumのNTG患者561例と対照者2,606例が含まれていた。
ジェノタイピングには、リアルタイムPCR(サンガー法)、imputation法によるゲノムワイド関連解析(GWAS)または全エクソーム解析(WES)を用いた。
解析期間は2007年4月〜2018年4月、主要評価項目はNGTのMYOC遺伝子変異におけるp.Gln368Terの発現頻度で、フィッシャーの直接確率検定により対照群と比較した。
主な結果は以下のとおり
・全解析対象6,091例中、女性が3,346例(54.9%)、白人が5,799例(95.2%)であった。
・p.Gln368Terの発現頻度は、
コホート1:NTG患者群0.91%(7/772例)、
対照群0.33%(7/2,152例、p=0.03)、
コホート2:0.71%(4/561例)、
0.38%(10/2,606例、p=0.15)であった。
・両コホートを合わせると、p.Gln368Terの発現頻度はNTGと関連していた
(オッズ比:2.3、95%信頼区間[CI]:0.98〜5.3、p=0.04)。
(ケアネット)
原著論文はこちら
Alward WLM, et al. JAMA Ophthalmol. [Epub ahead of print]
2019年04月10日
日本は職業階層が高いと冠動脈疾患リスク高い?
欧米と違い、日本の専門職、管理職は冠動脈疾患にかかりやすく、しかもサービス産業の管理職でもっとも顕著!
でも、脳卒中は欧米と同じ職業階層が高いほど低かった
睡眠不足?過剰な精神的なストレス?冠動脈の痙攣が多いのか
日本は職業階層が高いと冠動脈疾患リスク高い?
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/19
欧米では、職業階層が高い(専門職や管理職)ほど、冠動脈疾患(CHD)や脳卒中を含む心血管疾患リスクが低いと報告されているが、日本では明らかになっていない。
今回、東京大学/Harvard T.H. Chan School of Public Healthの財津 將嘉氏らが実施した病院ベースの症例対照研究の結果、『日本では職業階層が高いほどCHDリスクが高く』、『脳卒中リスクは低い』ことが報告された。
著者らは、「心血管疾患における職業による“勾配”(地位の高い仕事に就業している人ほど低リスク)は普遍的ではなく、現代の日本社会では、管理職や専門職のCHDリスクは高い可能性がある」と指摘している。
Journal of the American Heart Association誌2019年3月19日号に掲載。
本研究は、日本の全国的な多施設の入院患者データ(1984〜2016年)を使用し、『約110万例』の被験者を対象とした症例対照研究。
国内の標準的分類に基づいて、それぞれの産業分野(ブルーカラー産業、サービス産業、ホワイトカラー産業)の中で、最も長く就業している職業階層(ブルーカラー、サービス、専門職、管理職)により患者をコード化した。
オッズ比と95%信頼区間(95%CI)は、ブルーカラー産業のブルーカラーの労働者を基準とし、性別・年齢・入院日・入院病院を調整して、多重代入法を用いた条件付きロジスティック回帰によって推定した。さらに喫煙と飲酒について調整した。
主な結果は以下のとおり
・職業階層が高い(専門職および管理職)ほど、CHDの過剰リスクと関連していた。
『喫煙・飲酒の調整後も』、すべての産業で過剰オッズはCHDと有意に関連し、『サービス産業の管理職で最も顕著』だった(オッズ比:1.19、95%CI:1.08〜1.31)。
・一方、高い職業階層におけるCHDの過剰リスクは、低い脳卒中リスク(例:ブルーカラー産業における専門職のオッズ比:0.77、95%CI:0.70〜0.85)で代償されていた。
(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら
Zaitsu M, et al. J Am Heart Assoc. 2019;8:e011350.
でも、脳卒中は欧米と同じ職業階層が高いほど低かった
睡眠不足?過剰な精神的なストレス?冠動脈の痙攣が多いのか
日本は職業階層が高いと冠動脈疾患リスク高い?
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/19
欧米では、職業階層が高い(専門職や管理職)ほど、冠動脈疾患(CHD)や脳卒中を含む心血管疾患リスクが低いと報告されているが、日本では明らかになっていない。
今回、東京大学/Harvard T.H. Chan School of Public Healthの財津 將嘉氏らが実施した病院ベースの症例対照研究の結果、『日本では職業階層が高いほどCHDリスクが高く』、『脳卒中リスクは低い』ことが報告された。
著者らは、「心血管疾患における職業による“勾配”(地位の高い仕事に就業している人ほど低リスク)は普遍的ではなく、現代の日本社会では、管理職や専門職のCHDリスクは高い可能性がある」と指摘している。
Journal of the American Heart Association誌2019年3月19日号に掲載。
本研究は、日本の全国的な多施設の入院患者データ(1984〜2016年)を使用し、『約110万例』の被験者を対象とした症例対照研究。
国内の標準的分類に基づいて、それぞれの産業分野(ブルーカラー産業、サービス産業、ホワイトカラー産業)の中で、最も長く就業している職業階層(ブルーカラー、サービス、専門職、管理職)により患者をコード化した。
オッズ比と95%信頼区間(95%CI)は、ブルーカラー産業のブルーカラーの労働者を基準とし、性別・年齢・入院日・入院病院を調整して、多重代入法を用いた条件付きロジスティック回帰によって推定した。さらに喫煙と飲酒について調整した。
主な結果は以下のとおり
・職業階層が高い(専門職および管理職)ほど、CHDの過剰リスクと関連していた。
『喫煙・飲酒の調整後も』、すべての産業で過剰オッズはCHDと有意に関連し、『サービス産業の管理職で最も顕著』だった(オッズ比:1.19、95%CI:1.08〜1.31)。
・一方、高い職業階層におけるCHDの過剰リスクは、低い脳卒中リスク(例:ブルーカラー産業における専門職のオッズ比:0.77、95%CI:0.70〜0.85)で代償されていた。
(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら
Zaitsu M, et al. J Am Heart Assoc. 2019;8:e011350.
2019年04月09日
欧米でのホルモン補充療法は、生理が起きることを目標にエストロゲンと黄体ホルモンを投与することを基本とします
欧米でのホルモン補充療法は、生理が起きることを目標にエストロゲンと黄体ホルモンを投与することを基本とします
差し引きゼロという結果がわかっています
閉経後のホルモン補充療法でアルツハイマー症リスク増加か/BMJ
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/20
閉経後女性への『全身ホルモン補充療法』では、エストロゲンと併用する黄体ホルモン製剤の種類や開始年齢にかかわらず、長期の投与により『アルツハイマー病のリスクが増大』する可能性が、フィンランド・ヘルシンキ大学のHanna Savolainen-Peltonen氏らの検討で示された。
ただし、『膣内エストラジオール療法』ではこのようなリスク『上昇はなかった』。
研究の成果は、BMJ誌2019年3月6日号に掲載された。
いくつかの観察研究により、ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに対し防御的な作用を有する可能性が示唆されているが、この知見はプラセボを対照とするWomen's Health Initiative Memory Study(WHIMS)では支持されていない。
WHIMSでは実臨床とは異なり、ホルモン補充療法は65歳以上で開始されていることから、エストロゲンが神経保護的に働くのは、閉経が始まってすぐの時期に投与が開始された場合に限られるとの仮説が提唱されていた。
フィンランドの約17万人の閉経後女性の症例対照研究
研究グループは、フィンランド人の閉経後女性において、ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに影響を及ぼすか、また、このリスクは治療開始年齢や治療期間と関連するかを検討する目的で、全国的な症例対照研究を実施した(ヘルシンキ大学病院などの助成による)。
1999〜2013年のフィンランドの全国的な住民薬剤登録から、
神経科医または老年病医により『アルツハイマー病』の診断を受けた閉経後女性『8万4,739例』のデータを抽出した。
『対照』として、フィンランドの全国的な住民登録から、年齢および病院の所在地域をマッチさせた『アルツハイマー病』の診断を受けてい『ない』閉経後女性『8万4,739例』のデータを得た。
条件付きロジスティック回帰分析を用いて、アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
リスクが9〜17%増加、『開始年齢は決定因子ではない』
アルツハイマー病と診断された女性では、
8万3,688例(98.8%)が60歳以上であり、
4万7,239例(55.7%)は80歳以上であった。
『アルツハイマー病』女性のうち、
5万8,186例(68.7%)はホルモン補充療法を受けておらず、
1万5,768例(18.6%)が全身療法(エストラジオール単剤、エストロゲンと黄体ホルモン製剤[酢酸ノルエチステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、その他の製剤または配合薬]の併用など)を、
1万785例(12.7%)が膣内エストラジオール療法を受けていた。
アルツハイマー病群は対照群に比べ、
『全身ホルモン補充療法』を受けている女性の割合が『有意に高く』
(18.6% vs.17.0%、p<0.001)、
膣内エストラジオール療法を受けている女性の割合は有意に低かった(12.7% vs.13.2%、p=0.005)。
両群間で、『全身ホルモン補充療法の施行期間』に有意な『差はなかった』。
全身ホルモン補充療法の使用により、アルツハイマー病のリスクは9〜17%増加した。
全身ホルモン補充療法のうち、エストラジオール単剤(OR:1.09、95%CI:1.05〜1.14)とエストロゲン+黄体ホルモン製剤併用(1.17、1.13〜1.21)で、リスクに差はなかった。
エストロゲン+黄体ホルモン製剤併用療法におけるアルツハイマー病のリスク上昇には、個々の黄体ホルモン製剤の種類による差はなく、いずれの薬剤でも有意にリスクが高かった。
一方、治療開始年齢が60歳未満の女性では、投与期間が10年以上に及ぶと、リスクが有意に上昇した(エストラジオール単剤のOR:1.07、1.00〜1.15、p=0.04、エストロゲン+黄体ホルモン製剤1.20、1.13〜1.26、p<0.005)。
また、全身ホルモン補充療法の開始年齢はアルツハイマー病のリスク上昇の確固たる決定因子ではなかった。
さらに、膣内エストラジオール療法を専用した場合、
リスクへの影響は認めなかった(OR:0.99、95%CI:0.96〜1.01)。
アルツハイマー病群では、全身ホルモン補充療法を受けた女性は、膣内エストラジオール療法を受けた女性や、ホルモン補充療法を受けていない女性に比べ、アルツハイマー病の発症時期がより早期であった。
著者は、「絶対値として、ホルモン補充療法を受けている70〜80歳の女性1万人当たり、受けていない場合に比べアルツハイマー病の診断が年に9〜18件多くなり(発症率:105件/1万人年)、
とくに投与を10年以上継続している女性ではリスクが高いと推測される」とまとめ、
「ホルモン補充療法の使用者には、アルツハイマー病の絶対リスクの上昇が小さくても、長期の使用に伴うリスクの可能性はあると伝えるべきだろう」としている。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら
Savolainen-Peltonen H, et al. BMJ. 2019;364:l665.
差し引きゼロという結果がわかっています
閉経後のホルモン補充療法でアルツハイマー症リスク増加か/BMJ
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/20
閉経後女性への『全身ホルモン補充療法』では、エストロゲンと併用する黄体ホルモン製剤の種類や開始年齢にかかわらず、長期の投与により『アルツハイマー病のリスクが増大』する可能性が、フィンランド・ヘルシンキ大学のHanna Savolainen-Peltonen氏らの検討で示された。
ただし、『膣内エストラジオール療法』ではこのようなリスク『上昇はなかった』。
研究の成果は、BMJ誌2019年3月6日号に掲載された。
いくつかの観察研究により、ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに対し防御的な作用を有する可能性が示唆されているが、この知見はプラセボを対照とするWomen's Health Initiative Memory Study(WHIMS)では支持されていない。
WHIMSでは実臨床とは異なり、ホルモン補充療法は65歳以上で開始されていることから、エストロゲンが神経保護的に働くのは、閉経が始まってすぐの時期に投与が開始された場合に限られるとの仮説が提唱されていた。
フィンランドの約17万人の閉経後女性の症例対照研究
研究グループは、フィンランド人の閉経後女性において、ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクに影響を及ぼすか、また、このリスクは治療開始年齢や治療期間と関連するかを検討する目的で、全国的な症例対照研究を実施した(ヘルシンキ大学病院などの助成による)。
1999〜2013年のフィンランドの全国的な住民薬剤登録から、
神経科医または老年病医により『アルツハイマー病』の診断を受けた閉経後女性『8万4,739例』のデータを抽出した。
『対照』として、フィンランドの全国的な住民登録から、年齢および病院の所在地域をマッチさせた『アルツハイマー病』の診断を受けてい『ない』閉経後女性『8万4,739例』のデータを得た。
条件付きロジスティック回帰分析を用いて、アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
リスクが9〜17%増加、『開始年齢は決定因子ではない』
アルツハイマー病と診断された女性では、
8万3,688例(98.8%)が60歳以上であり、
4万7,239例(55.7%)は80歳以上であった。
『アルツハイマー病』女性のうち、
5万8,186例(68.7%)はホルモン補充療法を受けておらず、
1万5,768例(18.6%)が全身療法(エストラジオール単剤、エストロゲンと黄体ホルモン製剤[酢酸ノルエチステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、その他の製剤または配合薬]の併用など)を、
1万785例(12.7%)が膣内エストラジオール療法を受けていた。
アルツハイマー病群は対照群に比べ、
『全身ホルモン補充療法』を受けている女性の割合が『有意に高く』
(18.6% vs.17.0%、p<0.001)、
膣内エストラジオール療法を受けている女性の割合は有意に低かった(12.7% vs.13.2%、p=0.005)。
両群間で、『全身ホルモン補充療法の施行期間』に有意な『差はなかった』。
全身ホルモン補充療法の使用により、アルツハイマー病のリスクは9〜17%増加した。
全身ホルモン補充療法のうち、エストラジオール単剤(OR:1.09、95%CI:1.05〜1.14)とエストロゲン+黄体ホルモン製剤併用(1.17、1.13〜1.21)で、リスクに差はなかった。
エストロゲン+黄体ホルモン製剤併用療法におけるアルツハイマー病のリスク上昇には、個々の黄体ホルモン製剤の種類による差はなく、いずれの薬剤でも有意にリスクが高かった。
一方、治療開始年齢が60歳未満の女性では、投与期間が10年以上に及ぶと、リスクが有意に上昇した(エストラジオール単剤のOR:1.07、1.00〜1.15、p=0.04、エストロゲン+黄体ホルモン製剤1.20、1.13〜1.26、p<0.005)。
また、全身ホルモン補充療法の開始年齢はアルツハイマー病のリスク上昇の確固たる決定因子ではなかった。
さらに、膣内エストラジオール療法を専用した場合、
リスクへの影響は認めなかった(OR:0.99、95%CI:0.96〜1.01)。
アルツハイマー病群では、全身ホルモン補充療法を受けた女性は、膣内エストラジオール療法を受けた女性や、ホルモン補充療法を受けていない女性に比べ、アルツハイマー病の発症時期がより早期であった。
著者は、「絶対値として、ホルモン補充療法を受けている70〜80歳の女性1万人当たり、受けていない場合に比べアルツハイマー病の診断が年に9〜18件多くなり(発症率:105件/1万人年)、
とくに投与を10年以上継続している女性ではリスクが高いと推測される」とまとめ、
「ホルモン補充療法の使用者には、アルツハイマー病の絶対リスクの上昇が小さくても、長期の使用に伴うリスクの可能性はあると伝えるべきだろう」としている。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら
Savolainen-Peltonen H, et al. BMJ. 2019;364:l665.
2019年04月08日
健康診断に眼底写真をぜひとも入れて欲しい
健康診断に眼底写真をぜひとも入れて欲しいと考えています
運送会社の検診で、視神経乳頭陥凹が所見に上がっている方の視力が2,3年で低下しているのに衝撃を覚えました
自覚症状がないのが恐ろしい!成人失明の12.5%が正常眼圧緑内障です
正常眼圧緑内障にも遺伝子変異の関与が示唆
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/19
原因が特定されていない正常眼圧緑内障(NTG)について、
ミオシリン(MYOC)遺伝子変異にp.Gln368Terが関与しているとの知見が報告された。
MYOC遺伝子変異は、原発開放隅角緑内障における緑内障遺伝子として同定されている。
今回、米国・アイオワ大学のWallace L. M. Alward氏らは2つの症例対照研究を行い、p.Gln368Terの関連を調査。
その結果、NTG患者への関連頻度は、既報の高眼圧(IOP)患者のそれよりは低かったものの認められることを報告した。
p.Gln368Terについては、これまでに最大30mmHg以上のIOPの原発開放隅角緑内障患者で1.6%の関連が報告されている。
一方、眼圧21mmHg以下のNTG患者での関連は不明であった。
著者は、「IOP患者と同様、21mmHg以下の正常眼圧患者においても、p.Gln368Terが緑内障と関連している可能性が示唆された」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2019年2月28日号掲載の報告。
研究グループは、NTG患者のMYOC遺伝子変異におけるp.Gln368Terの役割を評価する目的で、症例対照研究を実施。
コホート1は、米国(アイオワ、ミネソタおよびニューヨーク)およびイギリスのNTG患者772例と対照者2,152例。コホート2には、Massachusetts Eye and Ear InfirmaryとNEIGHBORHOOD consortiumのNTG患者561例と対照者2,606例が含まれていた。
ジェノタイピングには、リアルタイムPCR(サンガー法)、imputation法によるゲノムワイド関連解析(GWAS)または全エクソーム解析(WES)を用いた。
解析期間は2007年4月〜2018年4月、主要評価項目はNGTのMYOC遺伝子変異におけるp.Gln368Terの発現頻度で、フィッシャーの直接確率検定により対照群と比較した。
主な結果は以下のとおり
・全解析対象6,091例中、女性が3,346例(54.9%)、白人が5,799例(95.2%)であった。
・p.Gln368Terの発現頻度は、
コホート1:NTG患者群0.91%(7/772例)、
対照群0.33%(7/2,152例、p=0.03)、
コホート2:0.71%(4/561例)、
0.38%(10/2,606例、p=0.15)であった。
・両コホートを合わせると、p.Gln368Terの発現頻度はNTGと関連していた
(オッズ比:2.3、95%信頼区間[CI]:0.98〜5.3、p=0.04)。
(ケアネット)
原著論文はこちら
Alward WLM, et al. JAMA Ophthalmol. [Epub ahead of print]
運送会社の検診で、視神経乳頭陥凹が所見に上がっている方の視力が2,3年で低下しているのに衝撃を覚えました
自覚症状がないのが恐ろしい!成人失明の12.5%が正常眼圧緑内障です
正常眼圧緑内障にも遺伝子変異の関与が示唆
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/19
原因が特定されていない正常眼圧緑内障(NTG)について、
ミオシリン(MYOC)遺伝子変異にp.Gln368Terが関与しているとの知見が報告された。
MYOC遺伝子変異は、原発開放隅角緑内障における緑内障遺伝子として同定されている。
今回、米国・アイオワ大学のWallace L. M. Alward氏らは2つの症例対照研究を行い、p.Gln368Terの関連を調査。
その結果、NTG患者への関連頻度は、既報の高眼圧(IOP)患者のそれよりは低かったものの認められることを報告した。
p.Gln368Terについては、これまでに最大30mmHg以上のIOPの原発開放隅角緑内障患者で1.6%の関連が報告されている。
一方、眼圧21mmHg以下のNTG患者での関連は不明であった。
著者は、「IOP患者と同様、21mmHg以下の正常眼圧患者においても、p.Gln368Terが緑内障と関連している可能性が示唆された」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2019年2月28日号掲載の報告。
研究グループは、NTG患者のMYOC遺伝子変異におけるp.Gln368Terの役割を評価する目的で、症例対照研究を実施。
コホート1は、米国(アイオワ、ミネソタおよびニューヨーク)およびイギリスのNTG患者772例と対照者2,152例。コホート2には、Massachusetts Eye and Ear InfirmaryとNEIGHBORHOOD consortiumのNTG患者561例と対照者2,606例が含まれていた。
ジェノタイピングには、リアルタイムPCR(サンガー法)、imputation法によるゲノムワイド関連解析(GWAS)または全エクソーム解析(WES)を用いた。
解析期間は2007年4月〜2018年4月、主要評価項目はNGTのMYOC遺伝子変異におけるp.Gln368Terの発現頻度で、フィッシャーの直接確率検定により対照群と比較した。
主な結果は以下のとおり
・全解析対象6,091例中、女性が3,346例(54.9%)、白人が5,799例(95.2%)であった。
・p.Gln368Terの発現頻度は、
コホート1:NTG患者群0.91%(7/772例)、
対照群0.33%(7/2,152例、p=0.03)、
コホート2:0.71%(4/561例)、
0.38%(10/2,606例、p=0.15)であった。
・両コホートを合わせると、p.Gln368Terの発現頻度はNTGと関連していた
(オッズ比:2.3、95%信頼区間[CI]:0.98〜5.3、p=0.04)。
(ケアネット)
原著論文はこちら
Alward WLM, et al. JAMA Ophthalmol. [Epub ahead of print]
2019年04月07日
欧米と違い、日本の専門職、管理職は冠動脈疾患にかかりやすく、しかもサービス産業の管理職でもっとも顕著!
欧米と違い、日本の専門職、管理職は冠動脈疾患にかかりやすく、しかもサービス産業の管理職でもっとも顕著!
でも、脳卒中は欧米と同じ職業階層が高いほど低かった
睡眠不足?過剰な精神的なストレス?冠動脈の痙攣が多いのか
日本は職業階層が高いと冠動脈疾患リスク高い?
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/19
欧米では、職業階層が高い(専門職や管理職)ほど、冠動脈疾患(CHD)や脳卒中を含む心血管疾患リスクが
低いと報告されているが、日本では明らかになっていない。
今回、東京大学/Harvard T.H. Chan School of Public Healthの財津 將嘉氏らが実施した病院ベースの症例対照研究の結果、『日本では職業階層が高いほどCHDリスクが高く』、『脳卒中リスクは低い』ことが報告された。
著者らは、「心血管疾患における職業による“勾配”(地位の高い仕事に就業している人ほど低リスク)は普遍的ではなく、現代の日本社会では、管理職や専門職のCHDリスクは高い可能性がある」と指摘している。
Journal of the American Heart Association誌2019年3月19日号に掲載。
本研究は、日本の全国的な多施設の入院患者データ(1984〜2016年)を使用し、『約110万例』の被験者を対象とした症例対照研究
国内の標準的分類に基づいて、それぞれの産業分野(ブルーカラー産業、サービス産業、ホワイトカラー産業)の中で、最も長く就業している職業階層(ブルーカラー、サービス、専門職、管理職)により患者をコード化した。
オッズ比と95%信頼区間(95%CI)は、ブルーカラー産業のブルーカラーの労働者を基準とし、性別・年齢・入院日・入院病院を調整して、多重代入法を用いた条件付きロジスティック回帰によって推定した。さらに喫煙と飲酒について調整した。
主な結果は以下のとおり
・職業階層が高い(専門職および管理職)ほど、CHDの過剰リスクと関連していた。
『喫煙・飲酒の調整後も』、すべての産業で過剰オッズはCHDと有意に関連し、『サービス産業の管理職で最も顕著』だった(オッズ比:1.19、95%CI:1.08〜1.31)。
・一方、高い職業階層におけるCHDの過剰リスクは、低い脳卒中リスク(例:ブルーカラー産業における専門職のオッズ比:0.77、95%CI:0.70〜0.85)で代償されていた。
(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら
Zaitsu M, et al. J Am Heart Assoc. 2019;8:e011350.
でも、脳卒中は欧米と同じ職業階層が高いほど低かった
睡眠不足?過剰な精神的なストレス?冠動脈の痙攣が多いのか
日本は職業階層が高いと冠動脈疾患リスク高い?
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/19
欧米では、職業階層が高い(専門職や管理職)ほど、冠動脈疾患(CHD)や脳卒中を含む心血管疾患リスクが
低いと報告されているが、日本では明らかになっていない。
今回、東京大学/Harvard T.H. Chan School of Public Healthの財津 將嘉氏らが実施した病院ベースの症例対照研究の結果、『日本では職業階層が高いほどCHDリスクが高く』、『脳卒中リスクは低い』ことが報告された。
著者らは、「心血管疾患における職業による“勾配”(地位の高い仕事に就業している人ほど低リスク)は普遍的ではなく、現代の日本社会では、管理職や専門職のCHDリスクは高い可能性がある」と指摘している。
Journal of the American Heart Association誌2019年3月19日号に掲載。
本研究は、日本の全国的な多施設の入院患者データ(1984〜2016年)を使用し、『約110万例』の被験者を対象とした症例対照研究
国内の標準的分類に基づいて、それぞれの産業分野(ブルーカラー産業、サービス産業、ホワイトカラー産業)の中で、最も長く就業している職業階層(ブルーカラー、サービス、専門職、管理職)により患者をコード化した。
オッズ比と95%信頼区間(95%CI)は、ブルーカラー産業のブルーカラーの労働者を基準とし、性別・年齢・入院日・入院病院を調整して、多重代入法を用いた条件付きロジスティック回帰によって推定した。さらに喫煙と飲酒について調整した。
主な結果は以下のとおり
・職業階層が高い(専門職および管理職)ほど、CHDの過剰リスクと関連していた。
『喫煙・飲酒の調整後も』、すべての産業で過剰オッズはCHDと有意に関連し、『サービス産業の管理職で最も顕著』だった(オッズ比:1.19、95%CI:1.08〜1.31)。
・一方、高い職業階層におけるCHDの過剰リスクは、低い脳卒中リスク(例:ブルーカラー産業における専門職のオッズ比:0.77、95%CI:0.70〜0.85)で代償されていた。
(ケアネット 金沢 浩子)
原著論文はこちら
Zaitsu M, et al. J Am Heart Assoc. 2019;8:e011350.
2019年04月06日
ナッツ摂取、糖尿病患者で心血管疾患・全死亡減:大規模前向きコホート
手のひらにくぼみを作って乗るくらいの木の実を食べてください!
ナッツ摂取、糖尿病患者で心血管疾患・全死亡減:大規模前向きコホート
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/07
心血管疾患合併や早期死亡の予防に、
ナッツ類(とくに木の実)の摂取を増やすことは、
糖尿病診断後いつからでも遅くはないのかもしれない―。
これまで、心血管疾患をはじめとした慢性疾患発症に対するナッツ摂取の効果が報告されてきたが、
2型糖尿病とすでに診断された患者に対するナッツ摂取の長期的ベネフィットについては、
エビデンスが十分ではなかった。
米国・ハーバードT.H.Chan公衆衛生大学院のGang Liu氏らが、
看護師健康調査(1980〜2014年)と医療従事者追跡調査(1986〜2014年)の参加者のうち、
ベースライン時あるいは追跡期間中に2型糖尿病と診断された1万6,217例について行った試験で明らかにしたもので、Circulation Research誌オンライン版2019年2月19日号で発表した。
本研究は、ナッツ摂取量と冠動脈疾患や脳卒中を含む心血管疾患リスク、全死因死亡率と疾患特異的死亡率の
関連を調べることを目的として行われた。
ナッツ摂取は総量のほか、木の実やピーナッツといった、特定種類の摂取量についても検討された。
なお、ナッツ摂取量は食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて評価され、2〜4年ごとに更新された。
主な結果は以下のとおり。
・延べ追跡期間は22万3,682〜25万4,923人年。
その間に3,336例が心血管疾患を発症し、5,682例が死亡した。
・総ナッツ摂取量の増加は、心血管疾患発生率および死亡率低下と関連した。
・週5サービング(1サービング=28g)以上のナッツ摂取量が多い参加者は、
月に1サービング未満の少ない参加者と比較して、
総心血管疾患発生率(多変量調整後のハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[95%CI]:0.71〜0.98、
傾向のp=0.01)、
冠動脈疾患発生率(HR:0.80、95%CI:0.67〜0.96、傾向のp=0.005)、
心血管疾患死亡率(HR:0.66、95%CI:0.52〜0.84、傾向のp<0.001)、
全死因死亡率(HR:0.69、95%CI:0.61〜0.77、傾向のp<0.001)が低かった。
・総ナッツ摂取量は、脳卒中発症やがんによる死亡率と有意な関連はみられなかった。
・木の実(クルミ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、マカダミア、ヘーゼルナッツなど)の摂取量
が多いほど、
総心血管疾患および冠動脈疾患発生率、
心血管疾患とがんによる死亡率、
全死因死亡率が低下していた。
一方、ピーナッツ摂取量の増加は、全死因死亡率の低下のみと関連していた(すべて、傾向のp<0.001)。
・糖尿病と診断後に総ナッツ摂取量を変えなかった参加者と比較して、
診断後に摂取量を増やした参加者は、
心血管疾患リスクが11%、冠動脈疾患リスクが15%低かった。
また、心血管疾患死亡率は25%、全死因死亡率は27%低かった。
・これらの関連は、
性別/コホート、
糖尿病診断時のBMI、
喫煙状態、
糖尿病罹患期間、
糖尿病診断前のナッツ摂取量、
または食事の質によって層別化されたサブグループ分析においても持続した。(ケアネット 遊佐 なつみ)
原著論文はこちら
Liu G, et al. Circ Res. 2019 Feb 19. [Epub ahead of print]
ナッツ摂取、糖尿病患者で心血管疾患・全死亡減:大規模前向きコホート
提供元:ケアネット 公開日:2019/03/07
心血管疾患合併や早期死亡の予防に、
ナッツ類(とくに木の実)の摂取を増やすことは、
糖尿病診断後いつからでも遅くはないのかもしれない―。
これまで、心血管疾患をはじめとした慢性疾患発症に対するナッツ摂取の効果が報告されてきたが、
2型糖尿病とすでに診断された患者に対するナッツ摂取の長期的ベネフィットについては、
エビデンスが十分ではなかった。
米国・ハーバードT.H.Chan公衆衛生大学院のGang Liu氏らが、
看護師健康調査(1980〜2014年)と医療従事者追跡調査(1986〜2014年)の参加者のうち、
ベースライン時あるいは追跡期間中に2型糖尿病と診断された1万6,217例について行った試験で明らかにしたもので、Circulation Research誌オンライン版2019年2月19日号で発表した。
本研究は、ナッツ摂取量と冠動脈疾患や脳卒中を含む心血管疾患リスク、全死因死亡率と疾患特異的死亡率の
関連を調べることを目的として行われた。
ナッツ摂取は総量のほか、木の実やピーナッツといった、特定種類の摂取量についても検討された。
なお、ナッツ摂取量は食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて評価され、2〜4年ごとに更新された。
主な結果は以下のとおり。
・延べ追跡期間は22万3,682〜25万4,923人年。
その間に3,336例が心血管疾患を発症し、5,682例が死亡した。
・総ナッツ摂取量の増加は、心血管疾患発生率および死亡率低下と関連した。
・週5サービング(1サービング=28g)以上のナッツ摂取量が多い参加者は、
月に1サービング未満の少ない参加者と比較して、
総心血管疾患発生率(多変量調整後のハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[95%CI]:0.71〜0.98、
傾向のp=0.01)、
冠動脈疾患発生率(HR:0.80、95%CI:0.67〜0.96、傾向のp=0.005)、
心血管疾患死亡率(HR:0.66、95%CI:0.52〜0.84、傾向のp<0.001)、
全死因死亡率(HR:0.69、95%CI:0.61〜0.77、傾向のp<0.001)が低かった。
・総ナッツ摂取量は、脳卒中発症やがんによる死亡率と有意な関連はみられなかった。
・木の実(クルミ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、マカダミア、ヘーゼルナッツなど)の摂取量
が多いほど、
総心血管疾患および冠動脈疾患発生率、
心血管疾患とがんによる死亡率、
全死因死亡率が低下していた。
一方、ピーナッツ摂取量の増加は、全死因死亡率の低下のみと関連していた(すべて、傾向のp<0.001)。
・糖尿病と診断後に総ナッツ摂取量を変えなかった参加者と比較して、
診断後に摂取量を増やした参加者は、
心血管疾患リスクが11%、冠動脈疾患リスクが15%低かった。
また、心血管疾患死亡率は25%、全死因死亡率は27%低かった。
・これらの関連は、
性別/コホート、
糖尿病診断時のBMI、
喫煙状態、
糖尿病罹患期間、
糖尿病診断前のナッツ摂取量、
または食事の質によって層別化されたサブグループ分析においても持続した。(ケアネット 遊佐 なつみ)
原著論文はこちら
Liu G, et al. Circ Res. 2019 Feb 19. [Epub ahead of print]
2019年04月05日
ちょい足しタンパク!健康寿命はタンパク摂取から
ちょい足しタンパク!健康寿命はタンパク摂取から
骨、筋肉、支持組織コラーゲン、からだの再生に、酵素、ホルモン、抗体など免疫にも、体全体がタンパク!
医療者向けワンポイント解説
日本の総人口1億2,671万人(平成29年10月1日現在)のうち、
65歳以上人口は、3,515万人で、総人口の『27.7%』を占めています。
また、65歳以上人口は、平成37年(2025年)には、3,677万人に達し、平成54年(『2042年』)に『3,935万人』でピークを迎え、そのあとは減少に転じると推計されています。
さらに、平成48年(2036年)には、3人に1人が、平成77年(2065年)には、2.6人に1人が65歳以上の社会になると推測されています*。
高齢化に向けて問題になっているのが、『サルコペニア』、『フレイル』です。
”サルコペニア”は加齢に伴って生じる『骨格筋量と骨格筋力の低下』、
”フレイル”は高齢期におけるさまざまな『生理的予備能が低下』したことで『健康障害が起こりやすい状態』のことを示します。
『サルコペニアは、フレイルの要因の一つ』でもあり、この状態に繋がる原因として、『栄養不良』、『タンパク質不足』などが挙げられます。
1日のタンパク質の摂取量について、日本人の食事摂取基準(2015年版・最新版)によると、18〜70歳以上のタンパク質の推奨量は、『男性:60g、女性:50g』と明記されています。
また、平成29年国民健康・栄養調査の結果では、たんぱく質の摂取量は60歳代で最も多いことが明らかになりました。
65歳以上の『低栄養傾向の者(BMI≦20kg/m2)』の割合は、
全体:16.4%、男性:12.5%、女性:19.6%であり、
ここ10年間での有位な増減は見られません。
しかし、人口全体が高齢化に向かっていくことや、年齢と共に食事量が減ること、嗜好によるタンパク質不足、吸収率の低下などを考慮すると、『元気なうちからタンパク質を意識』することが大切です。
今回は、栄養不足の方、高齢者の方が元気に過ごすために、意識してもらいたい「簡単にちょい足しできる調理不要のタンパク質」についてご紹介します。
まずは、タンパク質の意識・取り入れ方法について説明します。
1)食事にプラスしてタンパク質を意識しよう
タンパク質の摂取が不足する要因として、
a)食事量が少ない
b)欠食
c)嗜好がご飯やパン、麺類などの炭水化物に偏る、
などがあります。
普段からタンパク質が不足しているような患者さんには、『お手軽タンパク質』をプラスして摂取するよう伝えてみましょう。
2)調理しなくていい「お手軽タンパク質」を常備しよう
タンパク質をプラスするには献立に取り入れることも大切ですが、普段から食べているものにプラスする意識を持つと、摂取量を安定的に増やすことができます。
ほかの栄養素を合わせて摂るメリットも伝え、常備を心がけてもらいましょう。
3)分けて食べよう
タンパク質は、消化に負担がかかること、エネルギー不足と共に少しずつ分解されていくことをふまえ、まとめて食べるのではなく、『こまめ』に取り入れることがオススメです。
三度の食事のほか、間食、飲み物、夜食などに加えると良いでしょう。
【調理をしないでとりやすい「お手軽タンパク質」】
卵
茹でる、炒める、味噌汁に加えるなど、調理が簡単で、手軽に食べられるタンパク質源。
アミノ酸バランスも理想的なタンパク質。
ツナ缶
マグロやカツオの油煮または水煮。
米、パン、麺など何にでも相性がよい。
サバ缶
安くて、栄養価が豊富と大人気のタンパク質源。
オメガ3系脂肪酸のDHA、EPAが豊富であり、血管の炎症などを抑える働きがある。
イワシ缶
サバ缶より脂質が少なく、タンパク質も豊富。
サバと同じくDHA、EPAが豊富。
納豆
低脂肪、発酵食品。腸内環境を整えるほか、骨粗鬆症の予防効果が期待できるビタミンKが豊富に含まれている。
チーズ
おやつとしても手軽に食べられることが魅力的なタンパク質源。
豆腐
木綿のほうがタンパク質はやや多い。
絹ごし豆腐は、コンビニなどでも多く扱っているため購入しやすいタンパク質。
低脂肪であり、柔らかい食感は、どの世代にも取り入れやすい。
ヨーグルト
発酵食品であり、ヨーグルトによって菌の種類、働き、味わいが異なるため、いろいろなヨーグルトで変化をつけられる。間食としても良い。
パルメザンチーズ
チーズの中で一番タンパク質の含有量が高い。
パスタや炒め物にかけるだけではなく、『味噌汁やサラダ』などに簡単に加えることができる。
◆きな粉
1回に食べられる量は少ないが、大豆の粉なのでタンパク質は豊富。
ヨーグルトやアイスなどのデザート類にかけたり、料理に加えても美味しい。
参考文献
*:平成30年版高齢者社会白書
浅野 まみこ ( あさの まみこ ) 氏
株式会社エビータ代表取締役・管理栄養士 食生活コンサルタント
[略歴]
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8,000人以上の栄養相談を実施。
その経験を生かし、企業のコンサルティング、レシピ開発など多方面で活躍中。
年間100時間以上の講演を行い、全国をとび回っている。
NHKおはよう日本、TBS「名医のTHE太鼓判」をはじめ、フジテレビ「ダイバイヤー」の準レギュラーを務めるなど、メディアや雑誌に多数出演。飲食店や大手食品会社のヘルシー商品の考案や、駅弁やコンビニ商品のプロデュースを担当。
「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動をしている。
420名以上の隊員が所属する「栄養士戦隊☆」を主催、隊長を務める。
夕刊フジ「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」を毎週水曜に連載中。
新著:『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)
『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)
ホームページ:http://e-vita.jp/
公式ブログ:http://ameblo.jp/evita/
骨、筋肉、支持組織コラーゲン、からだの再生に、酵素、ホルモン、抗体など免疫にも、体全体がタンパク!
医療者向けワンポイント解説
日本の総人口1億2,671万人(平成29年10月1日現在)のうち、
65歳以上人口は、3,515万人で、総人口の『27.7%』を占めています。
また、65歳以上人口は、平成37年(2025年)には、3,677万人に達し、平成54年(『2042年』)に『3,935万人』でピークを迎え、そのあとは減少に転じると推計されています。
さらに、平成48年(2036年)には、3人に1人が、平成77年(2065年)には、2.6人に1人が65歳以上の社会になると推測されています*。
高齢化に向けて問題になっているのが、『サルコペニア』、『フレイル』です。
”サルコペニア”は加齢に伴って生じる『骨格筋量と骨格筋力の低下』、
”フレイル”は高齢期におけるさまざまな『生理的予備能が低下』したことで『健康障害が起こりやすい状態』のことを示します。
『サルコペニアは、フレイルの要因の一つ』でもあり、この状態に繋がる原因として、『栄養不良』、『タンパク質不足』などが挙げられます。
1日のタンパク質の摂取量について、日本人の食事摂取基準(2015年版・最新版)によると、18〜70歳以上のタンパク質の推奨量は、『男性:60g、女性:50g』と明記されています。
また、平成29年国民健康・栄養調査の結果では、たんぱく質の摂取量は60歳代で最も多いことが明らかになりました。
65歳以上の『低栄養傾向の者(BMI≦20kg/m2)』の割合は、
全体:16.4%、男性:12.5%、女性:19.6%であり、
ここ10年間での有位な増減は見られません。
しかし、人口全体が高齢化に向かっていくことや、年齢と共に食事量が減ること、嗜好によるタンパク質不足、吸収率の低下などを考慮すると、『元気なうちからタンパク質を意識』することが大切です。
今回は、栄養不足の方、高齢者の方が元気に過ごすために、意識してもらいたい「簡単にちょい足しできる調理不要のタンパク質」についてご紹介します。
まずは、タンパク質の意識・取り入れ方法について説明します。
1)食事にプラスしてタンパク質を意識しよう
タンパク質の摂取が不足する要因として、
a)食事量が少ない
b)欠食
c)嗜好がご飯やパン、麺類などの炭水化物に偏る、
などがあります。
普段からタンパク質が不足しているような患者さんには、『お手軽タンパク質』をプラスして摂取するよう伝えてみましょう。
2)調理しなくていい「お手軽タンパク質」を常備しよう
タンパク質をプラスするには献立に取り入れることも大切ですが、普段から食べているものにプラスする意識を持つと、摂取量を安定的に増やすことができます。
ほかの栄養素を合わせて摂るメリットも伝え、常備を心がけてもらいましょう。
3)分けて食べよう
タンパク質は、消化に負担がかかること、エネルギー不足と共に少しずつ分解されていくことをふまえ、まとめて食べるのではなく、『こまめ』に取り入れることがオススメです。
三度の食事のほか、間食、飲み物、夜食などに加えると良いでしょう。
【調理をしないでとりやすい「お手軽タンパク質」】
卵
茹でる、炒める、味噌汁に加えるなど、調理が簡単で、手軽に食べられるタンパク質源。
アミノ酸バランスも理想的なタンパク質。
ツナ缶
マグロやカツオの油煮または水煮。
米、パン、麺など何にでも相性がよい。
サバ缶
安くて、栄養価が豊富と大人気のタンパク質源。
オメガ3系脂肪酸のDHA、EPAが豊富であり、血管の炎症などを抑える働きがある。
イワシ缶
サバ缶より脂質が少なく、タンパク質も豊富。
サバと同じくDHA、EPAが豊富。
納豆
低脂肪、発酵食品。腸内環境を整えるほか、骨粗鬆症の予防効果が期待できるビタミンKが豊富に含まれている。
チーズ
おやつとしても手軽に食べられることが魅力的なタンパク質源。
豆腐
木綿のほうがタンパク質はやや多い。
絹ごし豆腐は、コンビニなどでも多く扱っているため購入しやすいタンパク質。
低脂肪であり、柔らかい食感は、どの世代にも取り入れやすい。
ヨーグルト
発酵食品であり、ヨーグルトによって菌の種類、働き、味わいが異なるため、いろいろなヨーグルトで変化をつけられる。間食としても良い。
パルメザンチーズ
チーズの中で一番タンパク質の含有量が高い。
パスタや炒め物にかけるだけではなく、『味噌汁やサラダ』などに簡単に加えることができる。
◆きな粉
1回に食べられる量は少ないが、大豆の粉なのでタンパク質は豊富。
ヨーグルトやアイスなどのデザート類にかけたり、料理に加えても美味しい。
参考文献
*:平成30年版高齢者社会白書
浅野 まみこ ( あさの まみこ ) 氏
株式会社エビータ代表取締役・管理栄養士 食生活コンサルタント
[略歴]
総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8,000人以上の栄養相談を実施。
その経験を生かし、企業のコンサルティング、レシピ開発など多方面で活躍中。
年間100時間以上の講演を行い、全国をとび回っている。
NHKおはよう日本、TBS「名医のTHE太鼓判」をはじめ、フジテレビ「ダイバイヤー」の準レギュラーを務めるなど、メディアや雑誌に多数出演。飲食店や大手食品会社のヘルシー商品の考案や、駅弁やコンビニ商品のプロデュースを担当。
「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動をしている。
420名以上の隊員が所属する「栄養士戦隊☆」を主催、隊長を務める。
夕刊フジ「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」を毎週水曜に連載中。
新著:『血糖値を下げる夜9時からの遅ごはん』(誠文堂新光社)
『「コンビニ食・外食」で健康になる方法』(草思社)
ホームページ:http://e-vita.jp/
公式ブログ:http://ameblo.jp/evita/
2019年04月04日
若年期のわずかなBMI上昇で中年期の糖尿病リスク増―順天堂大
BMI 日本人は28以上から肥満!体重kgを身長mで2回割りましょうーこのデータは母集団が特殊、もっと数を増やして結果が見たい!
若年期のわずかなBMI上昇で中年期の糖尿病リスク増―順天堂大
提供元:HealthDay News 公開日:2019/03/06印刷ボタン
たとえ適正範囲内であっても、20歳頃に体格指数(BMI)がわずかでも高いと中年期に2型糖尿病になりやすい可能性があると、順天堂大学大学院スポートロジーセンターの染谷由希氏らの研究グループが「PLOS ONE」1月24日オンライン版に発表した。
BMIが22〜23kg/m2の適正範囲内であっても、21kg/m2未満の場合に比べて中年期に2型糖尿病を発症するリスクは2倍以上に高まることが分かったという。
『アジア圏の成人』では、BMIが25kg/m2未満の適正体重であっても2型糖尿病の発症率が高いとされる。
特に中年期のBMIのわずかな増加は、2型糖尿病のリスク因子であることが示されている。
染谷氏らは今回、同大学の男子学生を長期にわたり追跡したコホートデータを用いて、若年期のわずかなBMIの増加と中年期以降の糖尿病発症との関連について調査を実施した。
対象は、同大学『体育学部(現スポーツ健康科学部)の卒業生』で、
順天堂大学同窓生研究(Juntendo University Alumni Study)に参加した『男性636人』。
1971〜1991年に卒業し、2007〜2017年に行った追跡調査に回答した者とした。
対象者を在学中のBMIで4つの群(21kg/m2未満群、21kg/m2以上22kg/m2未満群、22kg/m2以上23kg/m2未満群、23kg/m2以上群)に分けて、追跡調査時の2型糖尿病の発症率との関連を調べた。
『追跡期間は中央値で32年』であった(2万983人年)。
対象とした学生の卒業時の年齢(中央値)は22歳で、
追跡終了時には55歳であった。
追跡期間中に56人が2型糖尿病を発症した
(日本人全体の糖尿病発症率が1/11、追跡終了55歳でほぼ同じ発症率だから、この集団がいかに過食で経過したか、
体育学部の学生は現役時代の過食が矯正されないないままに中年に達しているかを物語っているに過ぎないとも言える!『管理人註)。
解析の結果、BMI区分(21kg/m2未満群、21kg/m2以上22kg/m2未満群、22kg/m2以上23kg/m2未満群、23kg/m2以上群)が高まるほど、2型糖尿病の発症率は上昇することが分かった(各群4.4%、7.6%、10.5%、11.3%)。
また、BMI 21kg/m2未満群と比較した2型糖尿病リスクは、21kg/m2以上22kg/m2未満群では1.77倍、22kg/m2以上23kg/m2未満群では2.42倍、23kg/m2以上群では2.53倍と、適正体重の範囲内でもBMIがわずかに上昇するだけで、中年期の2型糖尿病リスクは約2倍に上ることが明らかになった(トレンド検定P=0.03)。
染谷氏らは「大学時代にBMIが適正範囲内でも、その後の糖尿病リスクが増加した機序は明らかではないが、
日本人はBMIが同じでも欧米人と比べて体脂肪や内臓脂肪量が多く、太っていなくてもわずかなBMIの増加でインスリン抵抗性になりやすいことが耐糖能異常につながっている可能性がある」と説明している。
これらの結果を踏まえて、「20歳頃の若年期にBMIが22kg/m2を超えることは、将来2型糖尿病を発症する重要なリスク因子となり得ることが示唆された」と結論づけている。
(この母集団では言えるが、これで日本人全体を語るには無理があるが、よくアクセプトされたな〜!?)
原著論文はこちら
Someya Y, et al. PLOS ONE. 2019; 14: e0211067.
若年期のわずかなBMI上昇で中年期の糖尿病リスク増―順天堂大
提供元:HealthDay News 公開日:2019/03/06印刷ボタン
たとえ適正範囲内であっても、20歳頃に体格指数(BMI)がわずかでも高いと中年期に2型糖尿病になりやすい可能性があると、順天堂大学大学院スポートロジーセンターの染谷由希氏らの研究グループが「PLOS ONE」1月24日オンライン版に発表した。
BMIが22〜23kg/m2の適正範囲内であっても、21kg/m2未満の場合に比べて中年期に2型糖尿病を発症するリスクは2倍以上に高まることが分かったという。
『アジア圏の成人』では、BMIが25kg/m2未満の適正体重であっても2型糖尿病の発症率が高いとされる。
特に中年期のBMIのわずかな増加は、2型糖尿病のリスク因子であることが示されている。
染谷氏らは今回、同大学の男子学生を長期にわたり追跡したコホートデータを用いて、若年期のわずかなBMIの増加と中年期以降の糖尿病発症との関連について調査を実施した。
対象は、同大学『体育学部(現スポーツ健康科学部)の卒業生』で、
順天堂大学同窓生研究(Juntendo University Alumni Study)に参加した『男性636人』。
1971〜1991年に卒業し、2007〜2017年に行った追跡調査に回答した者とした。
対象者を在学中のBMIで4つの群(21kg/m2未満群、21kg/m2以上22kg/m2未満群、22kg/m2以上23kg/m2未満群、23kg/m2以上群)に分けて、追跡調査時の2型糖尿病の発症率との関連を調べた。
『追跡期間は中央値で32年』であった(2万983人年)。
対象とした学生の卒業時の年齢(中央値)は22歳で、
追跡終了時には55歳であった。
追跡期間中に56人が2型糖尿病を発症した
(日本人全体の糖尿病発症率が1/11、追跡終了55歳でほぼ同じ発症率だから、この集団がいかに過食で経過したか、
体育学部の学生は現役時代の過食が矯正されないないままに中年に達しているかを物語っているに過ぎないとも言える!『管理人註)。
解析の結果、BMI区分(21kg/m2未満群、21kg/m2以上22kg/m2未満群、22kg/m2以上23kg/m2未満群、23kg/m2以上群)が高まるほど、2型糖尿病の発症率は上昇することが分かった(各群4.4%、7.6%、10.5%、11.3%)。
また、BMI 21kg/m2未満群と比較した2型糖尿病リスクは、21kg/m2以上22kg/m2未満群では1.77倍、22kg/m2以上23kg/m2未満群では2.42倍、23kg/m2以上群では2.53倍と、適正体重の範囲内でもBMIがわずかに上昇するだけで、中年期の2型糖尿病リスクは約2倍に上ることが明らかになった(トレンド検定P=0.03)。
染谷氏らは「大学時代にBMIが適正範囲内でも、その後の糖尿病リスクが増加した機序は明らかではないが、
日本人はBMIが同じでも欧米人と比べて体脂肪や内臓脂肪量が多く、太っていなくてもわずかなBMIの増加でインスリン抵抗性になりやすいことが耐糖能異常につながっている可能性がある」と説明している。
これらの結果を踏まえて、「20歳頃の若年期にBMIが22kg/m2を超えることは、将来2型糖尿病を発症する重要なリスク因子となり得ることが示唆された」と結論づけている。
(この母集団では言えるが、これで日本人全体を語るには無理があるが、よくアクセプトされたな〜!?)
原著論文はこちら
Someya Y, et al. PLOS ONE. 2019; 14: e0211067.