2019年04月28日
サンプル数が200と少ないが、貝類を多く食べ、内臓肉を避けると、精子の運動性が向上する!
サンプル数が200と少ないが、貝類を多く食べ、内臓肉を避けると、精子の運動性が向上する!
精子に「効く」肉類は? 2019年03月28日 16:50
精子の数が過去数十年にわたって減少していることが、複数の研究で報告されている。
米国・Harvard School of Public HealthのAna B. Maldonado-Cárceles氏らは、若年男性を対象とした横断研究で、
肉類の摂取が精液の質および性ホルモンに及ぼす影響を検討。
その結果、貝類の摂取が精子の運動性を向上させるのに対して、
レバーなどの内臓肉の摂取は逆の方向に働く可能性があることが示されたと、Br J Nutr(2019; 121: 451-460)に発表した。
『健康な若年男性206例』が対象の横断研究
精液の質は食事内容によって変化することが、過去の疫学研究から示されている。
中でも赤身肉や魚の摂取は、精巣機能に影響を及ぼしうる残留性有機汚染物質の問題などから注目されている。
これまでに、精子の質は赤身肉の摂取で低下し、逆に魚の摂取で向上することが報告されている。
しかし、これらの研究は年齢や健康状態が異なる集団で行われたものである上、健康な若年男性を対象とした研究は少ない。
そこでMaldonado-Cárceles氏らは今回、スペインの若年男性を対象に赤身肉、白身肉、加工肉、魚肉を含む肉類の摂取と精液の質および性ホルモン値との関連を検討する目的で横断研究を実施した。
解析対象は206例(平均年齢20.5歳、BMI 23.7)で、解析には多変量線形回帰を用いた。
赤身の加工肉を最も多く摂取
全例が101項目から成る食物摂取頻度調査票(FFQ)に回答し、過去1年間の普段の食事やサプリメントの摂取について報告した。また、健康診断を受け、血液と精液のサンプルを提供した。
検討の結果、最も摂取量の多かった肉類は赤身の加工肉(29%)で、以下、赤身の魚肉(22%)、鶏肉などの白身肉(18%)、加工されていない赤身肉(12%)、白身の魚肉(11%)、貝類(5%)、内臓肉(3%)が続いた。
精液の質については、収集した精液サンプルから測定した精液量、精子濃度、総精子数、並びに運動率と前進運動率から算出した精子の運動性―で評価した。
血液サンプルからは、血中の性ホルモンである卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、性ホルモン結合グロブリン、血清総テストステロン、エストラジオール、インヒビンB、遊離型テストステロンの各値を測定した。
精液の質および性ホルモン値の平均は、健康な成人男性の正常範囲内であった。
『貝類の摂取と精子の前進運動率に正相関』
交絡因子を調整した上で解析した結果、肉類全体では摂取と精液の質および性ホルモン値との間に関連は認められなかった。
また、肉の種類別でも、赤身肉、白身肉、魚肉の摂取は精子の質および性ホルモン値に影響を及ぼさなかった。
しかし、貝類の摂取と精子の前進運動率との間には正の相関が認められた(傾向のP≦0.001)。
貝類の摂取と精子の総運動率との間にも、同様の関連が確認された。
また、『貝類の摂取とエストラジオール(女性ホルモン)値の間には負の相関』が見られた(傾向のP=0.02)。
『内臓肉の摂取と精子の運動性に負の相関』
一方、内臓肉の摂取と精子の運動性との間には負の相関が示された(P=0.001)。
また、黄体形成ホルモン値は内臓肉を摂取しなかった男性に比べ、摂取した男性で高かった。
次に、他の肉類の代わりに貝類を摂取した場合の精液の質の違いについて検討したところ、内臓肉の代わりに貝類を摂取した場合、精子の運動率および前進運動率が上昇することが示された(傾向のP<0.001)。
Maldonado-Cárceles氏らは「サンプルサイズが小さいということは否定できない」と今回の研究の限界について言及した上で、「健康な若年男性を対象としたわれわれの検討から、貝類の摂取が精子の運動性を高め、内臓肉の摂取は逆の結果を示した。
精液の質および性ホルモンの値と特定の肉類の摂取との関連を示すデータが少ないことを考えても、今回得られた知見を検証するにはさらなる研究が必要だろう」と結論している。
(比企野綾子)
精子に「効く」肉類は? 2019年03月28日 16:50
精子の数が過去数十年にわたって減少していることが、複数の研究で報告されている。
米国・Harvard School of Public HealthのAna B. Maldonado-Cárceles氏らは、若年男性を対象とした横断研究で、
肉類の摂取が精液の質および性ホルモンに及ぼす影響を検討。
その結果、貝類の摂取が精子の運動性を向上させるのに対して、
レバーなどの内臓肉の摂取は逆の方向に働く可能性があることが示されたと、Br J Nutr(2019; 121: 451-460)に発表した。
『健康な若年男性206例』が対象の横断研究
精液の質は食事内容によって変化することが、過去の疫学研究から示されている。
中でも赤身肉や魚の摂取は、精巣機能に影響を及ぼしうる残留性有機汚染物質の問題などから注目されている。
これまでに、精子の質は赤身肉の摂取で低下し、逆に魚の摂取で向上することが報告されている。
しかし、これらの研究は年齢や健康状態が異なる集団で行われたものである上、健康な若年男性を対象とした研究は少ない。
そこでMaldonado-Cárceles氏らは今回、スペインの若年男性を対象に赤身肉、白身肉、加工肉、魚肉を含む肉類の摂取と精液の質および性ホルモン値との関連を検討する目的で横断研究を実施した。
解析対象は206例(平均年齢20.5歳、BMI 23.7)で、解析には多変量線形回帰を用いた。
赤身の加工肉を最も多く摂取
全例が101項目から成る食物摂取頻度調査票(FFQ)に回答し、過去1年間の普段の食事やサプリメントの摂取について報告した。また、健康診断を受け、血液と精液のサンプルを提供した。
検討の結果、最も摂取量の多かった肉類は赤身の加工肉(29%)で、以下、赤身の魚肉(22%)、鶏肉などの白身肉(18%)、加工されていない赤身肉(12%)、白身の魚肉(11%)、貝類(5%)、内臓肉(3%)が続いた。
精液の質については、収集した精液サンプルから測定した精液量、精子濃度、総精子数、並びに運動率と前進運動率から算出した精子の運動性―で評価した。
血液サンプルからは、血中の性ホルモンである卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、性ホルモン結合グロブリン、血清総テストステロン、エストラジオール、インヒビンB、遊離型テストステロンの各値を測定した。
精液の質および性ホルモン値の平均は、健康な成人男性の正常範囲内であった。
『貝類の摂取と精子の前進運動率に正相関』
交絡因子を調整した上で解析した結果、肉類全体では摂取と精液の質および性ホルモン値との間に関連は認められなかった。
また、肉の種類別でも、赤身肉、白身肉、魚肉の摂取は精子の質および性ホルモン値に影響を及ぼさなかった。
しかし、貝類の摂取と精子の前進運動率との間には正の相関が認められた(傾向のP≦0.001)。
貝類の摂取と精子の総運動率との間にも、同様の関連が確認された。
また、『貝類の摂取とエストラジオール(女性ホルモン)値の間には負の相関』が見られた(傾向のP=0.02)。
『内臓肉の摂取と精子の運動性に負の相関』
一方、内臓肉の摂取と精子の運動性との間には負の相関が示された(P=0.001)。
また、黄体形成ホルモン値は内臓肉を摂取しなかった男性に比べ、摂取した男性で高かった。
次に、他の肉類の代わりに貝類を摂取した場合の精液の質の違いについて検討したところ、内臓肉の代わりに貝類を摂取した場合、精子の運動率および前進運動率が上昇することが示された(傾向のP<0.001)。
Maldonado-Cárceles氏らは「サンプルサイズが小さいということは否定できない」と今回の研究の限界について言及した上で、「健康な若年男性を対象としたわれわれの検討から、貝類の摂取が精子の運動性を高め、内臓肉の摂取は逆の結果を示した。
精液の質および性ホルモンの値と特定の肉類の摂取との関連を示すデータが少ないことを考えても、今回得られた知見を検証するにはさらなる研究が必要だろう」と結論している。
(比企野綾子)
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