2019年05月16日
慢性的な睡眠不足が思春期の肥満リスクに
慢性的な睡眠不足が肥満の原因になることを証明した報告です。
ただし、寝だめでは改善しないことは、別の研究でわかっています。
慢性的な睡眠不足が思春期の肥満リスクに
2019年04月03日 17:43
米・University of MichiganのErica C. Jansen氏らは、
メキシコの青少年500人超を対象に睡眠習慣と肥満の関係を検討。
その結果、慢性的に睡眠時間が短い青少年では肥満のリスクが上昇することが示されたとJ Pediatr(2018; 203: 309-316)に発表した。
また、肥満防止の観点では「寝だめ」にもなんらかの効果がある可能性が示された。
客観的な睡眠測定で4割が睡眠不足
対象は、メキシコシティーに在住する9〜17歳の青少年528例。
肥満の尺度としてBMI、上腕三頭筋皮下脂肪厚、ウエスト周囲長、体脂肪率の4種類を測定した。
睡眠時間は、手首に装着するアクチグラフで客観的に測定した。
7日間の平均睡眠時間が米国睡眠医学会(AASM)による年齢別の推奨睡眠時間(13歳未満:9〜12時間、13〜18歳:8〜10時間)に達しているかどうかで「充足」と「不足」に分類。
さらに、睡眠時間標準偏差の中央値で「安定」と「変動」に分類した。
検討の結果、被験者の13%が肥満、25%が過体重で、40%が睡眠不足であった。
睡眠時間の安定・不足群は安定・充足群に比べ、BMIをはじめとする肥満の尺度が全て大きく(BMIの調整後群間差0.68、95%CI 0.35〜1.00)、肥満の有病率が高かった(有病率比2.54、95%CI 1.36〜4.75)。
寝だめで肥満防止の可能性
一方、同じ睡眠不足の被験者でも変動・不足群のBMIは安定・充足群に比べわずかに高いだけだった(調整後群間差0.30、95%CI 0.00〜0.59)。
これらの結果について、Jansen氏らは「睡眠不足を寝だめで完全に補うことはできない、というのが睡眠の専門家の見解」とした上で、
「週末の寝だめは最善策ではないものの、平日に十分な睡眠が確保できない人では肥満防止になるかもしれない」と結論している。
同氏らによると、睡眠不足の翌日に長めの睡眠を取ると、深睡眠(徐波睡眠)の時間が延長する可能性があり、この徐波睡眠中に肥満を防止する可能性のある成長ホルモンが分泌されるという。
学校の始業時間の影響も
共著者で同大学のGalit L. Dunietz氏は「われわれが以前行った研究では、
睡眠の専門家の多くが『青少年は勉学に励む前に、毎朝の起床時間を遅らせて睡眠時間を少し長くする』ことを推奨していたのに対し、
米国の保護者らの半数は始業時間を遅らせることに反対していた」と述べ、
「保護者らは今回のデータを『青少年では良好な睡眠衛生を維持せよ』という注意喚起として受け取るべきだ」と主張している。
また、同氏は「今回、メキシコの青少年における睡眠不足の割合は40%という結果であったが、
米国の同世代の推定60〜70%に比べると少ない。
この差は、両国の学校制度の違いが一因になっている可能性がある」と付言している。
メキシコシティーでは人口密度が高いため、午前と午後の2部制で授業が行われている。
今回、被験者の登校時間に関するデータは得られていない。
(太田敦子)
ただし、寝だめでは改善しないことは、別の研究でわかっています。
慢性的な睡眠不足が思春期の肥満リスクに
2019年04月03日 17:43
米・University of MichiganのErica C. Jansen氏らは、
メキシコの青少年500人超を対象に睡眠習慣と肥満の関係を検討。
その結果、慢性的に睡眠時間が短い青少年では肥満のリスクが上昇することが示されたとJ Pediatr(2018; 203: 309-316)に発表した。
また、肥満防止の観点では「寝だめ」にもなんらかの効果がある可能性が示された。
客観的な睡眠測定で4割が睡眠不足
対象は、メキシコシティーに在住する9〜17歳の青少年528例。
肥満の尺度としてBMI、上腕三頭筋皮下脂肪厚、ウエスト周囲長、体脂肪率の4種類を測定した。
睡眠時間は、手首に装着するアクチグラフで客観的に測定した。
7日間の平均睡眠時間が米国睡眠医学会(AASM)による年齢別の推奨睡眠時間(13歳未満:9〜12時間、13〜18歳:8〜10時間)に達しているかどうかで「充足」と「不足」に分類。
さらに、睡眠時間標準偏差の中央値で「安定」と「変動」に分類した。
検討の結果、被験者の13%が肥満、25%が過体重で、40%が睡眠不足であった。
睡眠時間の安定・不足群は安定・充足群に比べ、BMIをはじめとする肥満の尺度が全て大きく(BMIの調整後群間差0.68、95%CI 0.35〜1.00)、肥満の有病率が高かった(有病率比2.54、95%CI 1.36〜4.75)。
寝だめで肥満防止の可能性
一方、同じ睡眠不足の被験者でも変動・不足群のBMIは安定・充足群に比べわずかに高いだけだった(調整後群間差0.30、95%CI 0.00〜0.59)。
これらの結果について、Jansen氏らは「睡眠不足を寝だめで完全に補うことはできない、というのが睡眠の専門家の見解」とした上で、
「週末の寝だめは最善策ではないものの、平日に十分な睡眠が確保できない人では肥満防止になるかもしれない」と結論している。
同氏らによると、睡眠不足の翌日に長めの睡眠を取ると、深睡眠(徐波睡眠)の時間が延長する可能性があり、この徐波睡眠中に肥満を防止する可能性のある成長ホルモンが分泌されるという。
学校の始業時間の影響も
共著者で同大学のGalit L. Dunietz氏は「われわれが以前行った研究では、
睡眠の専門家の多くが『青少年は勉学に励む前に、毎朝の起床時間を遅らせて睡眠時間を少し長くする』ことを推奨していたのに対し、
米国の保護者らの半数は始業時間を遅らせることに反対していた」と述べ、
「保護者らは今回のデータを『青少年では良好な睡眠衛生を維持せよ』という注意喚起として受け取るべきだ」と主張している。
また、同氏は「今回、メキシコの青少年における睡眠不足の割合は40%という結果であったが、
米国の同世代の推定60〜70%に比べると少ない。
この差は、両国の学校制度の違いが一因になっている可能性がある」と付言している。
メキシコシティーでは人口密度が高いため、午前と午後の2部制で授業が行われている。
今回、被験者の登校時間に関するデータは得られていない。
(太田敦子)
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