2019年04月21日
週末の寝だめは睡眠負債の解消にはならない、米研究
「私たちは、週末に長く眠れば、平日の睡眠不足を帳消しにできると信じがちだ。しかし、今回の研究結果によれば、これは神話に過ぎないことが分かった」
週末の寝だめは睡眠負債の解消にはならない、米研究
提供元:HealthDay News 公開日:2019/03/28
睡眠不足が続くと健康への悪影響が借金のように積み重なる「睡眠負債」を抱えてしまい、
身体や精神に不調を来すと考えられている。
平日は忙しくて十分な睡眠が取れなくても、週末に寝だめをすれば睡眠負債は解消されるのだろうか?
今回、米コロラド大学教授のKenneth Wright氏らが行った研究から、週末に寝だめしても代謝への悪影響は
解消できず、かえって悪い結果になる可能性があることが分かった。
詳細は「Current Biology」2月28日オンライン版に掲載された。
この研究は、36人の健康な若年成人(平均年齢25.5歳)を対象としたもの。
参加者を睡眠パターンで3つの群にランダムに割り付けて、研究室で9日間観察した。
一つ目のグループでは、対照群として毎晩9時間までの睡眠を取ってもらい、
2番目のグループでは睡眠時間を5時間に制限してもらった。
3番目のグループでは、まず5日間にわたり睡眠時間を5時間に制限してもらった後、週末には好きなだけ遅く
まで寝てもらい、再び、睡眠時間を5時間に戻して2日間過ごしてもらった。
なお、3番目のグループでは、研究開始時と比べて週末に約1時間多い睡眠を取っていた。
その結果、睡眠不足だった2つのグループでは、血糖値の調節に働くインスリンの感受性が低下し
(インスリン抵抗性が高まり)、夕食後のエネルギー摂取量と体重が増えていた。
また、週末に睡眠時間を多く取ると夕食後のエネルギー摂取量は減少したが、
再び5時間睡眠に戻るとエネルギー摂取量は増え、インスリン感受性が低下した状態が続いていた。
さらに、このグループでは、特に肝臓と筋肉のインスリン抵抗性が高まっていたが、
週末に寝だめをしなかったグループではこうした変化は認められなかった。
インスリン抵抗性が高い状態が長く続くと、2型糖尿病の発症につながり得る。
これまで多くの研究で、慢性的な睡眠不足は糖尿病と肥満のリスクの増大と関連することが示されている。
こうしたことからも、Wright氏は、健康には習慣的に十分な睡眠を取ることが肝要であり、
「健康的な生活習慣には、良い睡眠習慣が必要だ」と述べている。
専門家によると、成人は健康のために1日7時間以上の睡眠を取ることが推奨されている。
しかし、ある研究では、米国成人の3分の1以上がこの基準を満たしていないことが報告されている。
今回の研究には関与していない米ノースウェスタン大学医学部教授のPhyllis Zee氏は
「私たちは、週末に長く眠れば、平日の睡眠不足を帳消しにできると信じがちだ。
しかし、今回の研究結果によれば、これは神話に過ぎないことが分かった」と述べている。
Wright氏は、就寝前にテレビを視聴したり、パソコンの画面に向かったりするのは、睡眠時間を奪うだけでは
なく、ブルーライトを浴びることで入眠が妨げられる可能性があると指摘する。
また、睡眠は糖代謝だけでなく、生命の維持に必須のものであり、
Zee氏は「慢性的な睡眠不足には注意力の低下や精神面にも悪影響が及び、2〜3日の寝だめでは、
こうした問題は解消できない」としている。
そのため、同氏は
「睡眠を取るタイミングと睡眠時間の長さの両方を規則正しくすることが、脳と体の健康にとって重要だ」
と付け加えている。
(就寝時間を意識するより、起床時間を一定にすること
脳の疲れは、3−4時間最初の眠りが良質だと6−7割が回復すること
身体の疲れは、横になるだけでも取れる
今日眠れなければ、明日眠れる
眠らないといけないと思うことが、問題であり、横になって身体の疲れが取れるだけでもいい、と思うと案外眠れる‥ 眠りの科学を少し学習するだけで良質な睡眠が取れるようになる)
[2019年2月28日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.
原著論文はこちら
Depner CM, et al. Curr Biol. 2019 Feb 11. [Epub ahead of print]
週末の寝だめは睡眠負債の解消にはならない、米研究
提供元:HealthDay News 公開日:2019/03/28
睡眠不足が続くと健康への悪影響が借金のように積み重なる「睡眠負債」を抱えてしまい、
身体や精神に不調を来すと考えられている。
平日は忙しくて十分な睡眠が取れなくても、週末に寝だめをすれば睡眠負債は解消されるのだろうか?
今回、米コロラド大学教授のKenneth Wright氏らが行った研究から、週末に寝だめしても代謝への悪影響は
解消できず、かえって悪い結果になる可能性があることが分かった。
詳細は「Current Biology」2月28日オンライン版に掲載された。
この研究は、36人の健康な若年成人(平均年齢25.5歳)を対象としたもの。
参加者を睡眠パターンで3つの群にランダムに割り付けて、研究室で9日間観察した。
一つ目のグループでは、対照群として毎晩9時間までの睡眠を取ってもらい、
2番目のグループでは睡眠時間を5時間に制限してもらった。
3番目のグループでは、まず5日間にわたり睡眠時間を5時間に制限してもらった後、週末には好きなだけ遅く
まで寝てもらい、再び、睡眠時間を5時間に戻して2日間過ごしてもらった。
なお、3番目のグループでは、研究開始時と比べて週末に約1時間多い睡眠を取っていた。
その結果、睡眠不足だった2つのグループでは、血糖値の調節に働くインスリンの感受性が低下し
(インスリン抵抗性が高まり)、夕食後のエネルギー摂取量と体重が増えていた。
また、週末に睡眠時間を多く取ると夕食後のエネルギー摂取量は減少したが、
再び5時間睡眠に戻るとエネルギー摂取量は増え、インスリン感受性が低下した状態が続いていた。
さらに、このグループでは、特に肝臓と筋肉のインスリン抵抗性が高まっていたが、
週末に寝だめをしなかったグループではこうした変化は認められなかった。
インスリン抵抗性が高い状態が長く続くと、2型糖尿病の発症につながり得る。
これまで多くの研究で、慢性的な睡眠不足は糖尿病と肥満のリスクの増大と関連することが示されている。
こうしたことからも、Wright氏は、健康には習慣的に十分な睡眠を取ることが肝要であり、
「健康的な生活習慣には、良い睡眠習慣が必要だ」と述べている。
専門家によると、成人は健康のために1日7時間以上の睡眠を取ることが推奨されている。
しかし、ある研究では、米国成人の3分の1以上がこの基準を満たしていないことが報告されている。
今回の研究には関与していない米ノースウェスタン大学医学部教授のPhyllis Zee氏は
「私たちは、週末に長く眠れば、平日の睡眠不足を帳消しにできると信じがちだ。
しかし、今回の研究結果によれば、これは神話に過ぎないことが分かった」と述べている。
Wright氏は、就寝前にテレビを視聴したり、パソコンの画面に向かったりするのは、睡眠時間を奪うだけでは
なく、ブルーライトを浴びることで入眠が妨げられる可能性があると指摘する。
また、睡眠は糖代謝だけでなく、生命の維持に必須のものであり、
Zee氏は「慢性的な睡眠不足には注意力の低下や精神面にも悪影響が及び、2〜3日の寝だめでは、
こうした問題は解消できない」としている。
そのため、同氏は
「睡眠を取るタイミングと睡眠時間の長さの両方を規則正しくすることが、脳と体の健康にとって重要だ」
と付け加えている。
(就寝時間を意識するより、起床時間を一定にすること
脳の疲れは、3−4時間最初の眠りが良質だと6−7割が回復すること
身体の疲れは、横になるだけでも取れる
今日眠れなければ、明日眠れる
眠らないといけないと思うことが、問題であり、横になって身体の疲れが取れるだけでもいい、と思うと案外眠れる‥ 眠りの科学を少し学習するだけで良質な睡眠が取れるようになる)
[2019年2月28日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.
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Depner CM, et al. Curr Biol. 2019 Feb 11. [Epub ahead of print]
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