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2018年01月07日

北大路欣也主演「剣客商売」の「御老中暗殺」をみた。

 





 正月六日の夜、CS放送の時代劇専門チャンネルで、北大路欣也さん主演の「剣客商売」の「御老中暗殺」が放送されました。
 かつてフジテレビで放送されたものです。同じく、かつてフジテレビで放送されたものは藤田まことさんが秋山小兵衛を演じ毎週放送される連続ドラマでしたが、北大路欣也さん主演のものは連続ドラマではありません。スペシャル版となった事情は、毎週つづく連続ものの時代劇がつくりにくい世の中になったということでしょうか。
 「御老中暗殺」というサブタイトルがついていますが、池波正太郎さん原作の第一話と「老中暗殺」を合わせた話となっています。
 私は原作も読んでいますし、「山形勲(秋山小兵衛役)・加藤剛(秋山大治郎役)版」も「中村又五郎(秋山小兵衛役)・加藤剛版」も「藤田まこと(秋山小兵衛役・渡部篤郎(秋山大治郎役)版」も「藤田まこと・山口馬木也(秋山大治郎)版」もみていますので、ストーリーも人物関係・人物設定もじゅうぶん承知しています。
 それでも新しい配役で楽しめるのは、原作の面白さと、役者さんたちの演じぶりを楽しめるからです。それと、かつて何度もドラマ化された作品を脚本家がどう描き分けて人物設定やセリフを少し変えてゆくか、どうスパイスをきかせるか、ということに注目するからです。
 この北大路欣也さん主演の「剣客商売」では、大治郎を斎藤工さんが演じています。おはる役が貫地谷しほりさん、佐々木三冬役は杏さんで、田沼意次役は國村隼さんです。それぞれが、以前の作品の演者たちとは違った味わいを出しています。

 北大路欣也さんの優れたところは、「子連れ狼」といい、「剣客商売」といい、「三屋清左衛門残日録」といい、すでに視聴者の記憶に残る作品があってその主役の俳優が強烈に演じているからやりにくいであろうに、しっかり演じて自分の特色を出して演じられることです。
 このようなしっかりした役者さんがいないと、時代劇は消えてしまうでしょう。
 そういうふうに考えると北大路さんは時代劇にとって貴重な存在といえるでしょう。





 

藤沢周平新ドラマシリーズ「小ぬか雨」







 正月三日にはCS放送の時代劇専門チャンネルで「藤沢周平新ドラマシリーズ」の「小ぬか雨」という作品が放送されました。
 永山絢斗さん、北乃きいさんW主演です。
 舞台は江戸。貧しい町民たちが暮らす一角で、ささやかな履物屋を営む若い女「おすみ」(北乃きいさん演じる)は、或る晩、自分の家に不審な若い男(永山絢斗さん演じる)が入り込んでいるのを知り、愕然とする。
 男は「かくまってくれ」という。男がいうには、町でケンカして追われているのだという。男のただならぬ様子に、本音ははやく出て行ってほしいのだ、といいながらも、しばらくかくまう「おすみ」。
 男の名は「新七」といった。
 おすみは、ただのケンカ沙汰えはないと感じながらも、男をかくまい続ける。男は事件を起こしたといっても、粗野な様子ではない。おすみに危害を加える様子なども全くない。
 おすみには婚約者がいた。ある日、その婚約者が訪ねてくる。欲望のままに、おすみを抱こうとする男。おすみは拒絶する。男は乱暴そのもので、無理にでも抱こうとする。そして「お前、なんかおかしいぞ?」と、おすみの様子が変だという。結局、男は去っていくが、それからか、だんだんと新七におすみはひかれていくようになる。
 また或る日、目明しがおすみの家を訪ねてきて、新七のことを尋ねる。そのとき分かったのは、新七が「ケンカ」を起こしたのではなく女を殺したお尋ね者だということ。おすみはそれでも、「しらない」と言い張るのだった。
 そして新七の口から語られた女殺しの真相とは?
 
 過去にもドラマ化されている話で、登場人物も少なく単純な話ではありますが、少しずつひかれあう男女のせつない思いが伝わってくる作品です。




2018年01月06日

藤沢周平新ドラマシリーズ「小さな橋で」








 昨年末にも放送されたのですが、この正月元日にも、時代劇専門チャンネルで「藤沢周平新ドラマシリーズ」の「小さな橋で」という作品が放送されました。
 江戸の市井(しせい)ものの典型ともいうべきもので、ストーリーとしてはそう複雑ではないが、人間を描くことにおいての深い洞察力・観察力・思索の深さ、視野の広さ、などがないと描けない作品だと感じました。
 貧しいながらもつつましく暮らしている江戸庶民の小さな町。その中でも、ひどく重い宿命を背負った母子がいる。物語はその男の子の視点で展開されます。
 男の子は10歳という設定らしいです。母がいます。母は松雪泰子さんが演じています。父は行方不明になりました。少年は、「ちゃん(おとうさん)」が出て行った時までは覚えています。なぜ出て行ったかは後に詳しく語られます。
 父が出て行った後、母親の生活は荒れます。一家の生計を支えるため、飲み屋で働きます。そして毎晩、酒に酔って帰宅します。
 少年には姉がいます。この姉は或る商家に働きに出ています。父親が出て行った後、毎晩飲んだくれて帰るような母を良く思っていません。
 少年は炊事洗濯その他、家の仕事におわれます。日々の労働もつらいが、父が家を出て行ったという現実もつらい。母が飲んだくれて帰るという現実もつらい。姉が母と仲が悪く家の雰囲気が険悪である現実もつらい。
 しかし、それでもしっかりと、働き、友達と仲良くし、たまに、よその町の子供たちとケンカしますが、ぐれたりしません(そういう年齢でもないのだが)。
 ある時、姉が働いている先の商家の手代と「デキている」という噂が耳に入ります。少年はまだ子供ですから「デキている」とはどういうことなのか、本当の意味がわかりません。それでも、姉を迎えにその商家へ行った時に、男(姉の恋人というより情夫というべきか)から「おねえちゃんと二人っきりで話があるから」と、どこかでしばらく暇つぶしをしていてくれと頼まれ、銭を渡されますが、受け取ってはいけないのだと感じとり、受け取りを拒否します。
 姉が男とデキているという噂は、当然のことながら母親の耳にも入っています。母親は、あの男と付き合ってはいけない、と諭し、「あの男には女房がいるんだよ」と言い、お前が仮にその男と添い遂げたとしてもそれは誰かを不幸にすることだよ、とも言います。しかし、恋を知った年ごろの娘の耳には入っても心には届きません。
 母と姉はケンカし、ある日、ついに姉は男とともに行方をくらませます。
 少年は姉の勤め先へ行き、やっと異変を知ります。そして男の家を突き止め、そこへ行くと、いたのは乳飲み子を抱えた若い女。女は自分の夫が若い娘と手を取り合って駆け落ちしたことなどしりません。何も知らずに夫の帰りを待っています。とても、男に愛想つかされるようなダメ女には思えません。
 少年はたいへんなショックを受けます。自分の姉と男 がしたことは、まさに、乳飲み子とその母(まだ若い)を不幸のどん底に突き落とすことだ。
 「ごめんなさい!」
 少年はいたたまれず、その場を逃げるように走り去ります。
 娘の駆け落ちを知った母の生活はますます荒れ、酒におぼれます。夫も去り、娘も去った。あとは息子が残っただけ。
 逃げ出したい生活。でも逃げる場も無い。そんな絶望的な生活の中で、少年は、質の悪そうな男たちに追われている男をみます。その男こそ「ちゃん」、つまり少年の父親です。
 少年の父親は江口洋介さんが演じています。
 思わぬところで息子と再会した父が語った、失踪の真相とは? そして父は息子に何を託したのか?
 母のつとめる客で一時的にせよ母が再婚を考えた相手も登場しますが、その男を含めて、登場人物のほとんどそれぞれの視点でも考えられ、共感できる(少年の父を追いかけたヤクザ風の男たちや姉の情夫は別)作品ですが、どの視点で考えても辛く切なくなる作品です。



 

2018年01月05日

映画「天地明察」のDVD

 





 いい映画をみたらDVDも購入して、見たい時に何度でもみたい、と思うものです。
 岡田准一さん主演の「天地明察」もそんなお気に入りの作品の一つです。
 この映画では、岡田准一さんは宮アあおいさんと共演しています。しまも夫婦役です。
 また、。現在「松本白鴎」を襲名した、松本幸四郎さん(改名前の名前)も出演しています。松本白鴎を襲名するよりずっと前の出演なので、当然、出演者名も「松本幸四郎」となっています。
 監督は、さまざまな大作を作り世に送り出してきた滝田洋二郎さん。原作は冲方丁さんの小説です。
 時は徳川幕府の体制がすっかり固まった四代将軍家綱の時代。将軍家に囲碁を教える名家の子として生まれた安井算哲という若者が主人公。囲碁の家に生まれただけに囲碁の腕前も相当なものだが、算術の難問を解くことと、天文観察をすることが何よりも好きという主人公。これに熱中している時はなにもかも忘れて集中し生きがいを感じる。
 彼の算術と天文観察の知識、識見を能力として活かせるものは、「新たな暦つくり」だった。将軍の後見役である会津藩主・保科正之(松本幸四郎さんが演じている)は算哲に新しい、そして正確な暦をつくるリーダーに指名する。
 従来の暦には誤りがある。それをただして、新しい暦を作らなくてはならない。それは時代の要請でもあり、算哲の使命だったのだ。
 だが、旧来の暦づくりに関わっているものには大きな利権が生じ、それが間違いだということが公になってはまずい、と、算哲の研究を妨害する勢力が現れる。失敗や妨害にくじけず、「こころざし」を貫く算哲の事業は成功するのか?

 生まれた環境にあきたらず、自分の生きがい、喜びとするものに「使命」を感じ「こころざし」をつらぬく。さまざまな妨害をおこなう抵抗勢力にも屈せず、失敗も乗り越える。
 映画や小説ではよくあるストーリーですが、それこそが王道パターンでもあり、主人公の生き方が多くの人の共感をよぶものです。
 それが映画としてうまくまとまっています。
 出演は、岡田准一さん、宮アあおいさん、松本幸四郎さんのほかに、市川猿之助さん、中井貴一さん、市川染五郎さん(松本幸四郎を襲名する前の)、白井晃さん、笹野高史さん、関ジャニの横山裕さん、岸部一徳さんなど。







 

2018年01月03日

BS朝日で「必殺スペシャル 勢ぞろい仕事人! 春雨じゃ、悪人退治」をみた。

 





 正月3日、BS朝日にて「必殺スペシャル 勢ぞろい仕事人! 春雨じゃ、悪人退治」が放送されました。
 「必殺シリーズ」のうちの「中村主水」シリーズの特別編で、ドラマにシーボルト事件がからんで展開されます。
 藤田まことさん演じる中村主水の他に、中村主水シリーズではおなじみの鮎川いずみさん演じる「なんでも屋の加代」が登場します。また、仕事人の一人として笑福亭鶴瓶さんが登場します。
 実在の人物である北辰一刀流祖・千葉周作がドラマの中で出てきて、滝田栄さんが演じています。たまに実在の人物が出てきてドラマ上で活躍するのも魅力の一つです。滝田栄さんは「必殺仕事人・激突!」では山田朝右衛門役で出てきますが。
 また、仕事人にやられる悪人の中には綿引勝彦さんが出ており、悪人の演じぶりとしてはさすがに存在感が半端なくあります。

 仕事人の殺しのすごみもしっかりありながら、やはりドラマの最後には中村主水が「せん」(義母)と「りつ」(妻)によって「へそくり」を獲られ、しかも米相場の投資に使われて「すっからかん」になってしまっていた。という哀しい結末。それでいながら「あなたのお給金じゃ安すぎて」とかなんとか言われてしまうのですから哀愁が漂っています。主水の身の上に他人事ではないと思う男性も多いのでは?





2018年01月02日

「将軍 SHOGUN」をみた。







 CS放送の時代劇専門チャンネルで「将軍 SHOGUN」が年末と、この正月の元日と二日の朝に放送されました。
 これは、かつてアメリカでTVドラマとして制作され、また映画としても編集され映画上映されたものです。もちろん日本でも放送されました。
 今回は日本語吹き替えではなく字幕つきでした。
 舞台は関ケ原の戦い前後の日本。船で航海途中、嵐に遭って日本に漂着したイギリス人が主人剛で、「按針(あんじん)」と名乗らされるので、三浦按針ことウイリアム・アダムスをモデルにしていることは明らかです。
 しかし、徳川家康も石田三成も登場しません。家康に相当する人物は三船敏郎さんが演じていて、「家康」ではなく「虎長(とらなが)」という名前になっています。そして石田三成に相当する人物もまた違う名前で「石田」ならぬ「石堂」となっています。
 日本人の服装も行動様式も、文化、習慣も、日本人からみて変(まるっきりちがうというわけではない)ですし、やはりアメリカ人が昔の日本を研究したつもりでも一面的・表面的になっているな、と思える点がやたらと目につきます。
 たとえていうなら、カタコトの、アクセントの強い日本語をその場にそぐわない使い方で外国人が使っているのを聞かされているようです。
 日本人である我々からみたこの作品の違和感が、そのまま、中世当時のヨーロッパ人が日本をみて感じた違和感なのかもしれません。
 日本人で、歴史に詳しくない人でも、違和感を覚えるかもしれません。しかし、この作品をみたアメリカ人やヨーロッパ諸国の人々はどう感じたのでしょう?
 中世の日本はこうだったのだ、と理解したつもりになったのでしょうか?
 興味のあるところです。
 やはり日本の歴史ドラマは日本を母国として育った人間が制作するに限るのでしょうか。そんな書き方をすると日本至上主義みたいに思われかねませんが、やはり西洋の歴史・文化と大きく違う日本の歴史と文化を外国人が自分の血肉として理解するのは極めて難しいことなのでしょう。







 
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