郷土玩具の愛好家グループなどの会報に情報が潜んでいたりします
呂古書房で見つけた、昭和42年1月1日発行の『竹とんぼ』(日本郷土玩具の会)
表紙に何か書き込みがあります
千住のあねさまについての詳しい記事がありました
和田薫子氏が作者を訪ねて取材したもの
昭和42年当時、日向イチさんは79歳だったそうです
日向さんの義理の祖母にあたる方は二本松藩の武家の娘で、
御殿奉公に上がったことがあり、
戊辰戦争の兵火を逃れ落ち延びた先の郡山で、日向家に縁付いたそう
その方は和歌をたしなみ、日本刺繍から押し絵まで何でも出来て、
皆から「おひい様おひい様」と呼ばれていたとのこと
日向さんは故郷の郡山で、二十歳頃までその方にあねさまの作り方を教り、
それ以来、日向さんは自分で工夫しながらあねさまを作るようになったそうです
日本の小さな姉様たち20 千住の姉様
御殿上中から直々にあねさまの作り方を教わるなんて羨ましすぎる
千住のあねさまについては、日本郷土人形研究会『姉様』に写真が出ています
日向イチさんの手作りのあねさま
非常に凝った作りの姉様で異彩を放っていました
どちらかというと人形ふう
※出典 日本郷土人形研究会『姉様』
姉様の詳しい資料を探すのは大変です
一番確率が高いのがこうした古い会報や図録など
昔の研究家が残した文献に頼るしかありません
姉様は日本の美意識の集大成
紙好きの私からすれば、和紙や千代紙は世界に誇れる日本の文化
着物や日本髪、髪飾りも世界に類例を見ない日本の文化
それを写し取った姉様は、凄いものだと思います
姉様は、誰かがどこかで作った手作りです
長い年月の間に消えては無くなったもののひとつ
唯一画像や記録に残っている姉様は、はかない存在を後世に知らしめている貴重なもの
もし、私がその姉様を作ったその時代にいて、作ったその人の側にいたら、
絶対作り方の教えを請い、一緒に作っていたことでしょう
残念ながら一緒に作れないけど、
写真や資料で見つけた姉様は、作らずにはおれないのです
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