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2021年08月02日

ヒョーチューの謎解き

日本の小さな姉様たち 52糸魚川のお七夕に登場する糸魚川の七夕飾り
わら縄を一本張って、たくさんの飾りが吊されます
ヨメサン、ムコサン、コシモト(腰元)、コモリ(子守り)、ニカヅキ(荷担ぎ)、
その他見物人もなども登場し、これは花嫁行列を表したものだと分かります
昔は紙で作っていたらしいのですが、7月7日〜8月7日までの一月間飾られるため、
持ちが良いよう、近年は布で作られるようになったそうです
最近は、ドレス姿の花嫁などが登場し、思い思いに工夫が凝らされているようです

↓飾りに三角を重ねたものがありますが、これがヒョーチューと呼ばれるものです

20210801-3.jpg
画像出典 宇宙恒星日誌

何故そう呼ばれるのか、詳しいことは分かっていません
地元の人達も「昔からそう言っている」という伝承だけで詳細は不明です
何故ヒョーチューというのか気になって仕方がない
まず、いきなりヒョーチューという言葉を思いつくはずがありません
普通の言葉ではありません
何か、特別なものを指していない限りヒョーチューなんて特殊な言葉は出てきません
気になって仕方ありません

ヒョーチューは、三角の布に綿を詰めてつなぎ、両端からさるぼぼを下げて作ります
地元では、ヒョーチューは布団のことだと言う方もおられます

20210801-4.jpg
※画像出典 根知情報発信ブログ

花嫁行列だから、夫婦和合、子孫繁栄のシンボルとして布団、というのは分かります
しかし、何故三角に折り畳んであるのか?
布団を三角に折り畳むことはまずありません
しかも、さるぼぼを下げる必要はあるのか?
調べると「ボボ」というのは地方によっては隠語で「H」の意を表すのだとか
(「ボボしちゃう?」「きゃーヤダ〜」みたいに使うらしい)
それなら、やはり夫婦和合、子孫繁栄のシンボルとしてヒョーチューを飾るというのも分かります

しかし、何故わざわざヒョーチューと呼ぶのでしょうか?

ヒョーチューの見た目は、三角×3個
この形は俗に言う「ウロコ模様」
日本の伝統的な文様で災難を払い身を守るものだとされます
着物の柄や和風の図案などにもよく使われます

一方、さるぼぼは、飛騨高山地方のお守り
この姿も、お土産としてすっかり有名になりました

20210801-5.jpg

さるぼぼも厄除けのお守りだったりするので、
ウロコ模様に吊して、ヒョーチューは厄除けの意味合いがあるとも考えられます
ただし、飛騨高山地方と関連があるとは考えにくいので、
ここは「さるぼぼ」というより「くくりざる」といったところでしょうか

20210801-6.jpg

しかし、何故わざわざヒョーチューと呼ぶのでしょうか?
また振り出しに戻ってしまいます

私はヒョーチューという言葉自体に謎を解く鍵があると思いました
何かその土地の独特なモノ、例えば農産物・海産物であるとか、独特の道具を指すとか
糸魚川は海辺の町で、七夕は海の祭りであることが多いので、
何か海に関係したものかも知れません
恐らく船とか、漁とかに関係しているのかも知れません
問題は言葉自体の響き

ヒョーチュー、ひょうちゅう・・・ひ ようちゅう、ひよ うちゅう、ひよう ちゅう・・・

氷柱:糸魚川市は豪雪地なので、冬は氷柱も出来るでしょうけど、たぶん氷柱のことではない

標柱:新潟県の海には、海里標柱という標識がある
これが三角形の標識なのである
船舶の速力測定用マイルポスト(日本語では海里標柱という)
船舶の速度試験のための目印の標識だそうだ
他に、海底ケーブルがあるというサイン、という意の三角の標識もある

20210801-7.jpg
※画像出典 轍のあった道

これがヒョーチューの語源か?
海辺の町なら、こういうものが七夕の飾りに取り入れられてもおかしくはない
・・・しかし、両端から下がるくくりざるの意味がつながらない

もう少し調べると
船舶用語で漂躊(ひょうちゅう)という言葉を見つけた

漂躊:(ひょうちゅう Lie to)
機関を停止して船を風浪下にそのまま漂流させ、風浪にさからわないようにする方法のことをいう。
踟躊(ちちゅう)による船体姿勢が危険な場合にとられることがある。
(⇔踟躊(ちちゅう)荒天に遭遇した時、続航が困難か航行に危険を感じた時、保安処置として、
風浪を船首から2〜3点(1点=11.25°)付近に受けながら自力により操舵可能な速力で
その場に停留し風浪に対しその姿勢を保つ方法のことをいう。)

漂ちゅう法:機関故障時の荒天対処法。
横波を避けるために、船首からシーアンカーを投下し、船首を風上に向けながら漂流する。⇔ ちちゅう法

どうやら、悪天候を乗り切る船の操舵法のことらしい
横波を避けるためのシーアンカー?
もしかしたら、三角の両端に下がっているのは、さるぼぼでなく「イカリ」なのでは?
さるぼぼの、四つのとんがりは猿の両手足ではなく、イカリの爪を表しているのでは?
だとしたら、北前船などにも積まれていた、四爪錨(よつめいかり)に違いない

20210801-8.jpg
※画像出典 コトバンク

ヒョーチューが布で作られるようになって、綿を詰めるとさるぼぼのような形になるため、
錨のことをさるぼぼだと思い違いして、ヒョーチューにはさるぼぼを下げる、
という認識が定着してしまったのではないだろうか

イカリなんだから、元はきっと丸い頭の付いていない形だったと思う

20210801-9.jpg

すると、ヒョーチューの三角が何か答えが出ます
「海の波」
なのではないでしょうか

波の下に錨が投下されようとしているデザインでしょうか
わら綱に吊した飾りが風にあおられて翻る様子は、まさにシケの海
そんなとき、漂ちゅう法で切り抜けて無事に帰って来て欲しいと思う
漁や航海に出るときの船の安全祈願
海がシケてきたときも船を守ってもらえるようにと、
海の町ならそんな願いを七夕の飾りに託してもおかしくはありません
船乗り稼業の人達なら「漂ちゅう」と言う言葉をよく使ったでしょうし、
七夕は海に関係する飾りが多い事とも繋がってきます

ヒョーチューとは船の安全祈願を込めた飾り
三角は海の波で、両端に下がっているのは錨を表している

20210801-10.jpg

私の解釈がまとまりました
私なりに答えが出てスッキリしました



Copyright (C)Harue Takamori All rights reserved.
ヒョーチューに関する追記です

山梨県忍野村(忍野八海で有名)に、道祖神祭りという小正月の行事があります
笹の枝に色とりどりの短冊をつけます
その際に、半分に折った三角の座布団のような飾りを作って、道祖神に奉納されます
それは「ヒイチ」と呼ばれています
「ヒイチ」は「火打ち」の意で、三角の形は火打ち袋を表しています

『火打ち袋には、火打ち金、火打石、火口(ほくち・ガマやカヤなど白い綿毛をつけるイネ科の多年草の穂)
などが入っており、鋼鉄の火打ち金と、硬い石を打ち合わせることで、
飛び散る火花を植物の綿毛に移して火をおこす仕組みです』
※『香りと室礼』文化研究所 
香り花房サイトより

祭りが終わると、厄除けや無病息災を祈って玄関の軒に下げるのだそうです

忍野村役場 観光産業課
忍野村観光情報サイト

この「ヒイチ」が「ヒョーチュー」の元ネタだと思われます
いつどのようにして忍野村から糸魚川へ伝わったのか分かりませんが、
富士詣でをした糸魚川の人が、道祖神祭りを目にしてアイデアを持ち帰ったのかもしれません
この「ヒイチ」が訛って「ヒョーチュー」になったに違いありません
忍野村の実物は大きいもので、本当に座布団を折った位のサイズです
三角の底辺には竹の棒が入っており、もみがらを詰めてあります
三角の端には、小さな「ヒイチ」が子持ちで下がっているもののあります
このデザインが、「ヒョーチュー」の端にさるぼぼを下げる、の原型になったと思われます

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2023年1月14日撮影



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