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市井の料理研究家兼ミリタリー研究家です。思いついたことを書いていきます。
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2022年09月24日

誘導爆弾は重いで(思い出)

兵頭二十八先生のブログを拝見していたら面白そうな記事を見つけました。

https://st2019.site/

「New Look At Air Force’s Ship-Killing Smart Bomb In Action, Seeker Details Revealed」
https://www.thedrive.com/the-war-zone/new-look-at-air-forces-ship-killing-smart-bomb-in-action-seeker-details-revealed

QUICKSINK


QUICK SINKと呼ばれる2,000ポンドのJDAMベースの対艦誘導爆弾です。現在、米空軍のAir Force Research Laboratoryで開発中の物のようです。母機から投下されると目標の付近に着水して水中で爆発し、魚雷や機雷のようにバブルパルスで艦のキールを折って沈没に至らしめるのでしょう。

なお、QUICK SINKのシーカー方式は以下で、レーダーと画像赤外線の複合のようです。初期・中期はINS/GPSで、終末誘導は複合シーカーという組み合わせでしょう。

AFRL has now confirmed that the Quicksink seeker, the model of which is seen below, is a dual-mode system that combines a radar seeker with an imaging infrared (IIR) camera, as The War Zone has postulated since this program was publicly announced last year would all but certainly be the case. The radar seeker is contained in the front portion of the nose while the camera is installed in a fairing on the side. This is all then integrated onto the front of an otherwise standard GBU-31/B JDAM, which retains its GPS-assisted inertial navigation system (INS) guidance package in the tail.

引用先: https://www.thedrive.com/the-war-zone/new-look-at-air-forces-ship-killing-smart-bomb-in-action-seeker-details-revealed


ミサイル全盛の今日、なんで誘導爆弾なのかと疑問を持たれるとお思いでしょうが、実は本邦の航空事業部においても、誘導爆弾が必要だと唱えている一派が存在します(逆にそんなの不要と考える方もおります。実際にGM関連の某3佐殿から「こんなもの役に立つんですかね。」と耳打ちされました。まぁXGCS-2の開発は航開5室で、GMにとっては商売敵でもあります。)

何故、そのような声があるのかというと、ミサイルは基本的に艦の上部構造物を破壊して戦闘力を奪うものであり、沈没至らしめるためには船体内で爆発する誘導爆弾が必要だという意見です。

本邦には誘導爆弾として91式爆弾用誘導装置(GCS-1)が存在し、その後継装備として展開翼を持つXGCS-2(新型普通爆弾)が開発されましたが、必要性と技術的な課題から実用化されずに終わっています。

GCS-1(500ポンドと750ポンドタイプ)
gcs-1 - コピー.jpg
画像引用元: 管理人が撮影

余談ながら、GCS-1の実射試験に立ち会った方に依ると、標的は赤外線放熱ドームを載せた双胴船が使われましたが、500ポンドタイプが命中した時はスポッと抜けていくのに対して(試験弾のため炸薬は入っていない)、750ポンドタイプが命中した時は標的船全体が大きく揺れたんだそうです。

専用弾体まで作ったXGCS-2に比べると、このQUICKSINKは既存のJDAMからの派生型であることと(従って安い。見積もりでは1,000発量産で5万ドル程度。XGCS-2はGPS/INSタイプで約5,000万円以下が目標。)、水中に突入する(船体へは侵徹しない)という点で極めて現実的と言えます。(逆にXGCS-2がポシャッたのはこの辺りに起因します。)

USAFがQUICKSINKを配備し始めれば、航空事業部も大いに興味を持つでしょう。QUICKSINKの弱点は射程が短い(投下高度にも依るが約15マイル程度)ことですが、ASM-2やASM-3などのスタンドオフレンジが長いミサイルでエリア防空艦などの戦闘艦を黙らせた後に、輸送艦艇や支援艦艇などのリスクの低いターゲットを攻撃するには非常にコスパが高い装備となることでしょう(高価なミサイル等を使用しなくても済むため)。

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2022年09月18日

イスラエルもの

巷はIAI Harop導入の話題で盛り上がっています。

攻撃型無人機、自衛隊に試験導入へ…島しょ防衛強化へ25年度以降に本格配備 : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220913-OYT1T50279/

個人的にもこれはノーマークで、市ヶ谷でどんな人間が絵を描いていたか、興味があるところです。
イスラエルものは、本邦にもそれなりに入っていますが、余り目立ちません。それは正面装備のような派手なものが入っていないからでしょう。

640px-IAI_Harop_PAS_2013_01.jpg

画像引用元: Julian Herzog, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26893410による


一番有名なのはF-2の600ガロンドロップタンクでしょうか。あと、AAM-5用に導入されたJHMCS(Joint Helmet Mounted Cueing System)も元を辿ればイスラエル(エルビット社)のものですし、日本版JTACがLJDAMの誘導に使うレーザーデジグ(恐らくノースロップグラマン社製GLTD III)もイスラエルっぽい感じがします。

F-2の増槽メーカーの話
https://wikiwiki.jp/yusuki/F-2%E3%81%AE%E5%A2%97%E6%A7%BD%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%A9%B1

勝手に姉妹サイトであるペンギンさんのページにもイスラエル製装備導入の話が出てきます。

【艦補処】イスラエル製装備輸入に関わり思うこと。
https://fanblogs.jp/sstd7628/archive/162/0

ここで海自は、どんなイスラエル製装備を導入しているのか?そんな疑問が出てくると思います。

私からの答えは、

『絶対に秘密の装備品!存在しない装備品になっているから!』

という答えになります。

ホントにヤバい装備品です!ウワサは聞いていたけど自分が担当になるとは・・・

『特別警備隊関係の物です!』と言えればよいのですが、もっとヤバいものです。

導入していることがバレると、国会で問題になるレベルの装備です。

『この装備だけは絶対に公表するな!』

それほど扱いが厳しい代物です。


最初、自分はこの装備はエリント、コミント(特に潜水艦)に関するものかと思ってましたが、「国会で問題になるレベル」というと、もっとやばいものかもしれません。
例えば、海底ケーブルをxxxxとか、相手国の港湾奥深く侵入するUUVとか。。。。
何か国際法や相手国の主権を侵害するレベルのものじゃないか。
そしてお役人であるGA隊でそんなおっかないことが出来るのは、これが本邦独自の行動ではなく米国からの任務移管又は指示によるものじゃないかと推察されます。

実は自分は一度だけイスラエルものを官側に売り込んだ経験があります。
具体的にどういうものかの言及は避けますが、とある技本開発品に付随する装備とだけ申し上げておきましょう。

その際の官側の反応ですが、、、

「イスラエルものかぁ」

「アラブ諸国との関連がなぁ」

といったもので、散々だった記憶があります。なお、イスラエルの会社の方ともご一緒しましたが、彼らはとてもビジネスライクで融通も効き、米国の会社を通してイスラエルの名前を出さないでくれというこちらの要望も二つ返事で了解してくれました。結局はその開発計画自体がポシャッたので日の目を見ることはありませんでしたが、彼らのプロ意識にはとても感銘したのを覚えています。

そんな時代から、IAI Harop導入の話が出てきたわけですから、自分にとっては隔世の感があります。

これからは幾つものイスラエル製装備が堂々と堰を切ったように本邦に入ってくることでしょう。

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2022年09月06日

【緊急投稿】P-1はダメな子っぽい

海洋事業部の国産哨戒機P-1だが、どうもダメな子であるという話が市井まで伝わり始めたようだ。一部マスコミもそろそろ騒ぎ始めるだろう。これはマル防業界では既に知られた話ではあるが、もはやどうにもならん所まで来ているという意見もちらほら出ている。

よく聞く話としては以下の感じ。

@運用経費がバカ高い。
A上記も関連して稼働率が低い
B一部搭載機器が使えない
C肝心のASW能力が低い


@、Aに関してはに機体、エンジン共に本邦でしか使われていないものであり、運用経費の増大は避け難い問題である。また、近年は落ち着いたようだが、搭載エンジンにかなり重大な不具合があり、この事業自体の継続が危ぶまれたこともあった。また、既にP-1の行く末を案じてか、某海外メーカーではP-1用のスペシャル品製造から撤退したところもあるという。

Bについては某kytnセンセが公にした某搭載品が使えない問題が代表的。ここでは言及を避けるが、多少内部を知る人間として、他にも公になっていない問題があるんじゃないかと推察する(特に輸入品のソフトウェアが絡むモノとか)

800px-JMSDF_P-1(5504)_HAQ-2_EO_IR_sensor_right_front_low-angle_view_at_Kanoya_Air_Base_April_30,_2017_02.jpg

引用元: Hunini, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:JMSDF_P-1(5504)_HAQ-2_EO_IR_sensor_right_front_low-angle_view_at_Kanoya_Air_Base_April_30,_2017_02.jpg

Cの問題が一番深刻でP-1とP-8では例え同じ目標を捉えても、P-8は立ち所に解析して答えを出すのに対して、P-1は解析出来ずにunknownとなることが多いとの由。P-1は改良型のP-1C7/BL2の調達が始まっているが、それでもP-8との差は埋められないだろうという意見が専らである。よく言われるのがシグネチャデータベースなどソフトウェア関連の出来の違いだが、P-8と比べるとハードも含めて全体的に後塵を拝しているのだろう。

さて今後のP-1だが、以下のような選択肢が考えられる

(a)兎に角がんばって追いつく
(b)器はそのままに、臓物をP-8のものに入れ替える。
(c)P-1はディスコンして、P-8を買う。


業界雀の間では(b)の可能性が論じられている。(c)は以前から燻っている話だが、ここまで来るとサンクコストが大き過ぎる。また、次期戦闘機までI社の仕事が切れる。(a)は恐らくどんなに頑張っても無理であろうとの判断からである。

個人的にはP-1は古い思想の下で新しい技術を使って作った機体という印象がある。そのため、P-8には出だしから後塵を拝している。ASWに限らないもっと広範な任務に活用できるなら活路を見出せるかもしれない。

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タグ:P-8 哨戒機 P-1

2022年09月01日

結局はデコイしかない

唐突ですが、最近セミアクティブレーダーホーミング誘導への電波妨害は難しいのかという質問を受けました。
自分は以下のように回答しました。

「難しいですね。」

これは意外に思われるかもしれません。アクティブレーダーホーミング誘導全盛の今日では古色蒼然たるセミアクティブへの電波妨害は今日の技術を以てしても難しいのです。

セミアクティブレーダーホーミング誘導は2つの情報を頼りに目標へ向かいます。相手の角度と速度です。これも意外に思われるかもしれませんが、ミサイルの誘導自体には距離情報は必要ありませんし、またミサイル側で距離情報を得る手段もありません。

この内、誘導に本当に必要なものは角度情報のみです。では速度情報は何に使うかというと相手が真目標であるか偽目標であるかの識別に使われます。

以下の写真はセミアクティブレーダーホーミング誘導の艦対空ミサイルであるRIM-7の最後尾部分です。最後尾の上部に白い小さなアンテナ上の物が確認できると思います。(赤丸内)

800px-RIM-7_Sea_Sparrow_aft_wing_left_rear_view_in_JMSDF_1st_Service_School_May_6,_2019.jpg

引用元: Hunini, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons
詳細: RIM-7シースパロー艦対空ミサイル 後翼。2019年5月6日 海上自衛隊第1術科学校 江田島クラブ2階の海上自衛隊歴史ゾーンにて。

これがレファレンスレシーバーで、発射母艦のCWイルミネータのCW波を受信します。さらに、ミサイル前方のアンテナで捉えた目標の反射波を重畳させ増幅することにより、ビート周波数(唸り)を得ます。この信号の周波数が規定内にあることでミサイルは目標として認識します。

なお、余談としてアクティブレーダーホーミングのAAM-4でも最後尾に同様の小さなアンテナが見受けられますが、あれは、発射母機からの指令送信波の受信アンテナです。(残念ながら使える写真無し)

Beat.png

引用元: コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Barak Shだと推定されます(著作権の主張に基づく) - コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、投稿者自身による著作物だと推定されます(著作権の主張に基づく), Copyrighted free use, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4124203による

上図では赤が周波数110 Hzの波、緑が周波数104 Hzの波、青が重ね合わせた波であり6 Hzのうなりが見られる。

引用元: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%86%E3%81%AA%E3%82%8A


これは何か最近の超ハイテク(wみたいな感じがしますが、実は大戦期からある技術です。(VT信管とか)

何故このような面倒臭いことをしているかというと、我々は普段認識することはありませんが、お空には一杯ノイズ源となりうるものが存在します。例えば、天使さんとか妖精さんとか、一反木綿やスカイフィッシュとか、モスマンやUFOとかです(w ー−−−嘘です。実際には雲や雨粒、鳥、浮遊物とかですね。

話が脱線しましたが、セミアクティブレーダーホーミング誘導を妨害するにはこの速度情報と角度情報を妨害すれば良いことになります。角度情報の妨害方法は置いとくとして、速度情報の欺瞞には先ほどの相手の速度情報取得のプロセスを妨害してやれば良いことになりますが、実はこれが難しいのです。

というのは、ミサイルが受信している目標と同様の反射波を作り出すためには、ミサイルと目標間の近接速度を知ることが必要になりますが、それは狙われている目標自身でなければ分かりません。また、狙われている目標自身も相手のミサイルの速度が分かりませんから、出来ることとしては受信した相手のイルミネータ波を増幅して返してやること位です。そしてそれは逆に目標の信号を増幅するだけとなります。

さらにこれは余り認識されてはいませんが、セミアクティブレーダーホーミング誘導はミサイル自体はパッシブなので、ミサイル自身がどの方向から来るか分からないという問題があります。

下図のようにセミアクティブレーダーホーミング誘導はイルミネータからの反射波を辿って誘導されますが、それがイルミネータの方向とはイコールではないということです(反射波が必ずしもイルミネータの方向に向く訳ではない)。特に目標の近辺まで慣性又は指令誘導されるミサイルではその傾向が強くなります。

Missile_homing.jpg

引用元:
By Gregory Wilson - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15521196

では、他に有用な方法は無いでしょうか? 在ります。デコイです。

何故なら妨害波として変調されていない強い信号を出すしかないとなったら、自身に相手ミサイルを引き寄せてしまいますから、妨害波を自ら出さなければ良いのです。

デコイには通常、以下の2つのタイプがあります。

(1)曳航型(AN/ALE-50、DASSなど)
(2)射出型(J/ALQ-9、EADなど)


写真はAN/ALE-55、光ファイバーで牽引される。

AN_ALE-55_m02006120800272.jpg

引用元: By This file is a work of a sailor or employee of the U.S. Navy, taken or made as part of that person's official duties. As a work of the U.S. federal government, it is in the public domain in the United States. - http://www.deagel.com/library2/, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3753891

この内、曳航型は以下の特徴があります。

1. 母機と一緒に飛翔するため、速度欺瞞の必要が無いこと。
2. 射出型に比べて送信出力や動作時間が長く出来ること。
3. タイプによっては母機から電力や妨害指示を得られること。
4. タイプによっては使用後に回収が可能なこと。


これらの特徴は戦闘機や攻撃機のみならず、低高度を長時間飛行する輸送機や哨戒機にも有用なものとなります。ただ、本邦の運用側からは曳航型は好まれていないようですね。

そして、ある時に航空事業部の某技術幹部殿からこう言われたことがあります。

「曳航型はセミアクティブレーダー誘導には有効だが、アクティブレーダー誘導には有効ではないので、射出型デコイが必要だ。」

これはどういう意味でしょうか。射出型については次回に解説します。

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