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市井の料理研究家兼ミリタリー研究家です。思いついたことを書いていきます。
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2022年11月27日

S-300は何故地上で爆発したのか

毎週更新から隔週更新にすることにした公約破りの管理人です(^^)

さて、今月15日にポーランドにミサイルが着弾して犠牲者が出るという事態が発生しました。この後、WWVという検索ワードがバズッたそうです。今回はどこの誰が撃ったミサイルとかは別にして、発射された地対空ミサイルが地上で爆発したのかという点に限って愚考してみたいと思います。

What is the S-300 missile that reportedly struck Poland?


管理人は浅学のため、旧東側の地対空ミサイルについては余り詳しくはありませんが、このミサイルはS-300の5V55ではないかという話があるので、5V55という前提で話を進めます。みんな大好き英語版wikiによると、5V55は主にSARH(Seni-Active Radar Horming)のようです。

まず、疑問に思うのはミサイルというのは自爆機能が付いているのではないかということだと思います。仰る通りで、通常対空ミサイルには自爆機能が備わっています。自腹で情報開示請求をした様々な文書をネットで共有されている大火力太郎先生(@Military_Hobbys)のサイトから、本邦の比較的最近の地対空ミサイルである11式短距離地対空誘導弾についての自爆機能を確認してみます。

11式短距離地対空誘導弾の仕様書からの抜粋
k)安全性 安全性は次による。

)1 射撃統制装置のコマンドアップリンク機能によって、飛しょう中の飛しょう体への自爆指令を送信し、自爆させることができるものとする
2)敵機と識別して射撃した目標を、射撃後に味方と判別した場合、コマンドアップリンク機能によって、自爆指令を飛しょう中の飛しょう体へ自動的に送信し、自爆する機能を有するものとする。
3)飛しょう体はタイマ自爆機能を有するものとする。

参照元: 11式短距離地対空誘導弾
https://t.co/KZS6GR6QO2


以下は以前公開されていた制式要綱からの抜粋です。

91式携帯地対空誘導弾からの抜粋
6.1.3 機  能

(1.4) 自  爆  弾頭付飛しょう体は,目標に命中しなかった場合,所定の時間経過後,自爆する。

引用元: 制式要綱 91式携帯地対空誘導弾


90式空対空誘導弾からの抜粋
3.2.2 母機搭載中の安全性・発射後の安全解除  母機搭載中の安全性及び発射後の安全解除は,次のとおりである。

(3) 誘導弾は,発射後目標に遭遇しない場合には,所定時間経過後自爆する。

引用元: 制式要綱 90式空対空誘導弾


ちょっと纏めると以下のような感じです。

誘導弾の自爆方式
(1)タイマによる設定時間で自爆
(2)指令による自爆

あと、最近のモノになると内蔵電源が切れたらとか様々な設定条件があるようです。以下はアイアンドームでの射撃映像。どうもSLS(Shoot Look Shoot)射撃している感じですが、幾つかのミサイルは自爆しているようにも見えます。

Iron Dome Intercepting a huge rocket wave Israel Gaza 2022 conflict


上記(2)についてはUTDC(Up To Date Command)付きのミサイルでないと実装出来ない機能ですが、これについては面白い話があります。勝手に姉妹サイトである 改自衛隊で奏でた交響曲 の管理人であるペンギン先生から教えていただいたのですが、AAM-4の艦載版であるXRIM-4が採用されなかったのは、以下のような背景があったとのことです。自分もXRIM-4関連で三宿にモノを収めた経験があるのですが、この話を聞いて長年の疑問が氷解しました。

AAM-4艦載型(XRIM-4)については、かなり完成度が高く使えるミサイルだったのですが、運用者側(特に射撃マーク)の迷走が原因でお蔵入りしてしまったところがあります。

中間の指令誘導方式はAAAM-4にも存在する仕様ですが、終末誘導のARHについて、味方誤射防止の自爆機能追加を要求されたのが響いています。

射撃特に大砲屋さんが、FCS-3の開発が進んださなかに「撃ちっぱなし機能」を嫌がり、「敵味方識別で最終的に味方と判明したとき自爆させる機能がないと安心して使えん!」とクレームが付きました。

XRIM-4側については、簡単に機能改修で対応できたのですがFCS-3及びATECS側で機能追加がなかなかうまくいかず、開発遅延の要因の一つになりました。

結局、大蔵省からコスト削減を要求されたときにFCS-3・ATECSを優先して一番完成していたXRIM-4を切り捨ててしまったのが要因です。

その後シースパローの老朽化更新の必要があるため、FCS-3搭載が必要なXRIM-4より慣れ親しんだシースパローの発展型ESSMを採用する判断が出たと聞いています。

ESSMだと、FCS-2でも機器の改修で発射が可能というのも影響しました。

当時はFCS-3自体が切り捨てられそうな状況だったので、何とか存続を願ってXRIM-4を犠牲にした状況です。

引用元: 改自衛隊で奏でた交響曲
https://fanblogs.jp/sstd7628/archive/266/0#comment


かなり話が脱線しました。以上のように通常は対空ミサイルには自爆機能が備わっています。旧東側の兵器を同じ基準で考えてよいのかという疑問も無いことはないですが、ここは備わっていると考えときます。

では、何故外れた筈のミサイルが空中で自爆ぜず地上で爆発したのかという点です。

SARHの5V55が指令自爆機能を持たないとしたら、やはり自爆の設定秒時以内に地上に落ちてしまったと考えられます。つまり、この際の射撃は目標を下から上に見ていたのではなくて、上から下に見ていたのではないかという考えが浮かびます。ただ、自立航行できない単なるSARHでは地上から見通し線外射撃が出来ません。となると目標は比較的低高度にありながらミサイルの射撃レーダーには捉えられる(イルミネーターで送信波を当てられる)高度だったということになります。

ミサイルは比較的低高度の目標へ向かいましたが、運悪く目標から逸れてしまったため自爆の設定秒時前に地上へと達して着発信管で起爆したのではないかと考えます。

以上は管理人の愚考に過ぎませんが、今後調査が進めば全容が明らかになるかもしれません。何れにしろ、今回の紛争が出来るだけ早く終了し、当地の人々が一日も早く日常の生活に戻れることを願ってやみません。

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2022年11月09日

wikiへ機関砲標的装置(A/A37U-36)の記事を投稿しました

毎週更新の公約を果たせず、毎月1回更新ペースになりそうな今日この頃(^^)

ちょっと思いついて機関砲標的装置(A/A37U-36)の記事をwikiへ投稿しました。

1620px-JASDF_A_A37U-36(AGTS-36)_right_side_view_at_Komatsu_Air_Base_September_17,_2018.jpg
引用元: Hunini - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=72819822による

前回のASM-2B及び改善弾と違って、今回は全くの新規投稿になります。

記事を書くに当たって少し調べていたんですが、ここ数年は防衛装備庁でも機関砲標的装置(A/A37U-36)関連の調達が全く為されていないのですね。搭載母機のF-15が装備してフライトすることも余り頻繁ではないようで、見掛けられることは稀になっているそうです。

これはやはり、Gunの訓練そのものが大きく減っているのでしょう。航空事業部の場合はスクランブル任務があるので、Gunの全廃は難しいかもしれませんが、Gunの存在価値そのものが大きく低下していると考えるべきでしょう。

我々が地方の部隊さんを訪問する際は、武器屋(装備隊武器小隊)さんが多いのですが、大きなエプロン付けた隊員の方が汗まみれになりながら機関砲の部品を洗浄している場面によく出くわします。「ああ、機関砲の整備って大変なんだな。」と思ったもんです。

これだけ手が掛かりながら機関砲の有効射程はほんの1km程度でしかありません。さらに当てるためには相当の操縦技術と熟練を要します。

Venezuelan F-16 shoots down OV-10 Bronco | November 27, 1992



これはベネゼエラの反乱軍のOV-10を空軍のF-16が20mm機関砲で撃墜する映像です。余り多くを語りませんが、近距離での空対空機関砲射撃の大変さが良く表れていると思います。これが相手が小さなドローンの場合はどうなるか。色んな感慨があると思います。

そして何と言ってもGunの地位を貶めたのは、AIM-9XやAAM-5などのIR-FPA(赤外線フォーカルプレーンアレイ)を備えた新世代短距離空対空ミサイルの進化でしょう。これらのミサイルにより交戦機会が大幅に拡大し、超低高度の目標にも対応出来るようになりました。

個人的には搭載型レーザー兵器の実用化が見えてきた昨今、Gunの将来は暗いと言わざるを得ないでしょう。また、Gunの代わりに以前に技術研究本部で研究されていたロケット弾ビーグル(フレシェット弾や知能化子弾を備えた空対空、空対地両用のロケット弾)ような新しい装備も登場するかもしれません。


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