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市井の料理研究家兼ミリタリー研究家です。思いついたことを書いていきます。
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2024年03月17日

AAM-4の特殊変調方式

■AAM-4には仕様書上で被発見性に関する要求がある

■AAM-4の送信方式は技本50年史では"特殊変調方式"と呼称している

■この方式によりAAM-4は高い電波秘匿性とECCM能力を得ている


Wifi-bluetooth.jpg
画像引用元: 日本語版ウィキペディアのHidekiさん - 原版の投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=13296614による

先日、AAM-4Bの仕様書を閲覧したことをお伝えしましたが、

AAM-4Bは指令による飛しょう停止機能を持つ

その仕様書の中の付表3 システム性能で以下の文言があります。
5 被発見性
排煙の被視認性尾が顕著に高くならないものとする。

(ア)方式を使用し、ミサイル誘導に使用する放射電波はレーダ警戒装置による探知の可能性の低いものとする。

引用元: 99式空対空誘導弾(B)仕様書(CPS-U13200-4)


つまり、AAM-4の仕様書の中に電波系(アクティブレーダーシーカー、指令受信装置、4象限電波式近接信管)は相手のレーダ警戒装置(RWR)に引っ掛からないようにしろとの要求がある訳です。ではこの(ア)方式とは一体何なのでしょうか。

展示されているAAM-4B 、4象限アクティブレーダー近接信管の窓が確認できる
1024px-AAM-4B_at_Gifu_Airbase_Festival_2014.11.23.jpg
画像引用元: By Motokoka - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=96175286

現在公開されている、技本50年史ではAAM-4について以下のような記述があります。

(エ)結果
d. 特殊変調方式及び高い妨害電波除去機能を有する信号処理アルゴリズムを実現したことにより、電波の秘匿性に優れ、強度の電子戦環境下で有効に対処できる高いECCM性を有した。

(オ)特記事項
b 特殊変調方式の信号処理技術は、高いECCM性及びクラッタ抑圧性を有しており、広範囲な兵器システムに活用できる。

引用元: 技本50年史P177


この(ア)方式は特殊変調方式と呼称されているようです。では、この特殊変調方式とは何なのか?

管理人はこの内容について存じていますが、ここで公言するのは控えさせて頂くことにします。というのは、以前官側からXAAM-4の資料を頂いた際に、この内容に少し触れたものがあったため(勿論、方式の名称は□です)、その資料が上席の指示により回収されたという経験がありました。AAM-4が制式化されてからもう四半世紀になりますが、この方式について世の中に殆ど触れたものが無いことから、官側が如何にこの秘密保持に努めているかが容易に想像できます。

ただ、どうしても知りたい方は以下の要点を抑えつつ、主にネットを探してみると良いでしょう。一つヒントを申し上げれば、この呼称名は英文字です。

・最近のレーダーの技術動向、被探知性(LPI)を高めるためにどのような送信方式を採用しているか
・AAM-4の主契約会社はどのような特許を有しているか(随契根拠)
・欺瞞妨害に強い変調方式

いささか消化不良ですが、今回はこの辺りでご勘弁を(^^)

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2024年03月07日

RWRでミサイルから逃れられるか

■ウクライナ戦争ではロシア軍機はRWRの警報でパトリオットSAMへの回避機動を取るようだ

■F-15J/DJのRWRであるAPR-4ではミサイル発射が警告出来る

■恐らくRWRはPRFの変化を見て警告を出しているのだろう



Defense Expressで面白い記事を見つけました。

How Aircraft Can Evade Patriot Missile: Why Is It Easier to Shoot Down Su-34 Than Su-35
(どうやってパトリオットミサイルから逃れるか: 何故Su-34がSu-35より撃墜し易いのか)

Patriot MIM-104 surface-to-air defense missile system US Army United States


The guidance system of this missile is radio-command on marching section as well as on terminal section - with the target coordinates specified through the semi-active missile head (Track-via-missile - TVM). With such a guidance system, even before the missile is launched, the onboard equipment of any combat aircraft, including russian ones, will firstly detect the Patriot radar operating on it. And then the radar will switch from tracking mode to firing mode, which will mean the start of the countdown in seconds.
The pilot takes evasive action according to instructions. The easiest way to deal with this situation is when the aircaft is at altitude and cruising speed. In this case pilot needs to dive down with a maximum speed and break the distance in turbine mode.
In this situation, every second is matter as well as a lot depends on the aircraft itself, its maneuverability and the permitted overloading.

このミサイルの誘導システムは、中間過程と終末過程において無線指令であり、目標座標はセミアクティブ・ミサイル・シーカ(Track Via Missile - TVM)を通じて指示されます。このような誘導システムでは、例えミサイルが発射される前であっても、ロシア製を含むあらゆる戦闘機の搭載機器は、まずその戦闘機で作動するパトリオットのレーダーを探知することになる。そしてレーダーは追跡モードから射撃モードに切り替わり、数秒以内にカウントダウンが始まります。
パイロットは規定に従って回避行動をとります。この状況に対処する最も簡単な方法は、航空機が高度と巡航速度にあるときです。この場合、パイロットはタービンモードで最高速度で急降下し、相手との距離を取る必要があります。

引用元: https://en.defence-ua.com/news/how_aircraft_can_evade_patriot_missile_why_is_it_easier_to_shoot_down_su_34_than_su_35-9713.html


つまり、ロシア軍機はパトリオットのレーダー波を探知し、捜索モードから射撃モードに切り替わったのを確認していることになります。ロシア軍機のRWRにはパトリオットのレーダー波がライブラリ情報として登録されており、それらを認識出来ているのでしょう。

ロシアのバックファイア爆撃機(Tu-22M)のRWRインジケーター
Ту-22М_СПО-15.jpg
画像引用元: Di 040sm - Opera propria, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=55760106

F-15J/DJにはAPR-4という国産のRWRが装備されています。

F-15Jの垂直尾翼にあるRWRアンテナ
F-15J_(929),_303_Sqn_(b).jpg
画像引用元: Nii Piccolo Photo Studio, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=16117128による

アンテナは写真の垂直尾翼の他に、左右主翼と機首下面に無指向の計5つのアンテナにより構成されます。RWRはこれらのアンテナの受信波から、主に追尾状態にあるレーダーの脅威の種類、相対位置、驚異の優先度等をインジケーターに表示し、ICCP(Integrated Communications Control Panel)を介して警報音を発します。

APR-4では以下のような警報音を発します。

@新しい脅威  ピーという連続信号が4秒間
A注意     ピー、ピー、ピーという断続した連続信号
B発射     ピ、ピ、ピという断続した連続信号
 


注目すべきはRWRで相手のミサイルの発射を判断していることです。ではRWRは何を見ているのでしょうか。RWRは主に受信波の以下の内容を見ています。

@周波数帯
A到来時刻
B電波到来方位
Cパルス幅
Dパルス振幅


これらの受信内容からまずPRI(パルス繰り返し間隔、Pulse Repetition Interval)を分析します。PRIが分析出来たら、脅威ライブラリの情報と照合して脅威の種類を判別し、相対位置計算や優先度判定を行います。

警報を出すにあたって、RWRはPRF(パルス繰り返し周波数 Pulse-Repetition Frequency、PFIはPRFの逆数になる)の変化を見ているのではないかと考えます。F-15に搭載されているAPG-63の場合はMPRFとHPRFの二種類のパルス繰り返し周波数を使いますが、MPRFで10kHz程度、HPRFで200kHz程度と聞いたことがあります。PRFの高低の違いは色々とあるのですが、単純に言うと距離を測定するには低いPRF、速度を測定するには高いPRFを使うと覚えておけばそんなに間違ってはいないと思います。

レーダーの方形パルス
062_03 (1).gif
画像引用元: 日本財団 図書館 平成15年度 通信講習用 船舶電気装備技術講座(レーダー、機器保守整備編)https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00138/contents/0002.htm#002

つまり、相手のレーダーが低いPRFから切り替わって、高いPRFを使い始めたらもはや発射の脅威度が上がったと考えても良い訳です。また、HPRFはセミアクティブレーダー誘導ミサイルのイルミネーター波(AIM-7だとAIM-7F以降)としても使われる場合があるので、いよいよヤバいのです(w

ただ、相手のミサイル発射の警告に関してはRWRでどう判断しているのか分かりません。恐らく、HPRFを受信した時間の長さで判断しているんじゃないかと考えますが、何とも言えないところです。

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タグ:RWR

2024年03月01日

AAM-4Bは指令による飛しょう停止機能を持つ

■AAM-4Bの仕様書には指令による飛しょう停止機能に関する要求がある

■指令自爆としていないのは弾頭を持たないテレメ弾との絡みだろう

■LOAL可能なアクティブ誘導では飛しょう停止機能は重要



1024px-AAM-4B_at_Gifu_Airbase_Festival_2014.11.23.jpg
画像引用元: By Motokoka - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=96175286

先日、大火力先生(@Military_Hobbys)のサイトを覗いていた際にAAM-4Bの仕様書が公開されていることに気づきました。内容を拝見させていただいたころ、まぁあるだろうなという機能を確認できたので嬉しくなった次第です。

2.7.1 機能
b)誘導及び目標追尾
 7) 飛しょう停止
  AAM-4Bは飛しょう停止指令を受けた場合、飛しょうを停止する。

引用元: 99式空対空誘導弾(B)仕様書(CPS-U13200-4)


アクティブレーダー誘導でミサイルの誤射を防ぐためには外部指令で飛しょうを停止させる(≒自爆)ことは非常に重要になります。

セミアクティブ誘導の場合、発射されたミサイルを無効化させるのは簡単で、イルミネータの送信を止めれば良いだけです。そうすればミサイルは目標をロストし、そのまま飛しょうを続ければ設定秒時で自爆します。

ミサイルを発射前にロックオン(LOBL)させる赤外線誘導ミサイルの場合は、確実を期すためにミサイルを発射する前、FCSレーダーとのエンゲージを解除してシーカーをセルフトラックさせ、HUDなどでシーカーヘッドポジションを確認して意図する目標をロックオンしていることを確認してから発射することが推薦されています。そのため、ロックオンしてから発射するため誤射する可能性は低いと考えられます。なお、余談ですが海洋事業部のP-1がAGM-65を装備しているのもLOBLできちんと目標をロックオンして打てるからではないかと考えています。

HUDのシーカーポジションが分かる写真が無かったのでGUNモードのHUDの写真
F-18_HUD_gun_symbology.jpeg
画像引用元: e2a2j - US Navy, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4280111による

Inert AGM-65 Maverick missile of the Swiss Air Force, on display at Payerne Airbase.
800px-AGM-65_Maverick_MG_1385.jpg
画像引用元: By Rama - Own work, CC BY-SA 2.0 fr, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1723166

LOALで発射されるアクティブ誘導ミサイルの場合、発射前に母機から渡されるデータは慣性データだけです。勿論、目標付近まではその慣性データと母機からのUTDC(Up To Data Command)によって飛しょうし、それ以後は自らのシーカーによって目標を捉えます(所謂、空中ロックオン)。

従って、どんな目標を捉えて飛んでいくかはミサイル任せになり、意図しない目標へ向かう可能性もあり得ます。また、STS(Shoot To Shoot)で連続発射した場合、1発目のミサイルで目標を撃破してしまったら、次弾は目標を探して飛び続けるわけです。

そんな際は、誰しもミサイルを無効化したいと考えるでしょう。なので、アクティブ誘導(≒LOAL)の際は外部指令でミサイルを無効化する機能が必須となります。

指令自爆機能については面白いエピソードがあります。

勝手に姉妹サイトである改自衛隊で奏でた交響曲の管理人であらせられるペンギン先生によると、以前開発が行われていた艦対空誘導弾であるXRIM-4がとん挫したのは、運用側が指令自爆機能の搭載を強く望み、ミサイル側は対応できたが、FCS-3側の対応が困難だったため計画が遅延し、Zに因縁つけられてXRIM-4を断念してFCS-3を何とか残したんだそうです。GM開発担当者は恐らく歯ぎしりして悔しがったんでしょう。それから暫くは海洋事業部とGM関連(TRDI)で遺恨が残ったそうです。

ところで、お気づきでしょうか。ミサイルなら指令自爆で良い筈なのに何故わざわざ飛しょう停止なのかと。。。。

仕様書を読み進んでいるとこのミサイルには弾頭の代わりにテレメータ送信装置を積んで、テレメータ弾化出来るようになっています。つまり弾頭を積まない場合があるのです。そのため、自爆以外で飛しょう停止させる必要があるのでしょう。

では、どのような手段で飛しょう停止させるのか。

JAQM-1_target_drone.png
引用元: https://www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/soubiseisakugijutu/introduction2020_en.pdf

写真は無人標的機のJ/AQM-1ですが、以下の2つの緊急飛しょう停止モードを持っています。

EMER 1
エンジンを停止させ、螺旋操舵により廃棄

EMER 2
EMER 1が不可能な場合、カートリッジ・アクチュエータにより強制的に操舵して廃棄

固体ロケットモーターを使うミサイルの場合、エンジンの停止は出来ないでしょうから、恐らくここで上げたEMER 2のような方法で飛しょう停止させるのでしょう。ただ、実弾であれば鹵獲を防ぐためにも指令自爆で良いと思います。

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