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市井の料理研究家兼ミリタリー研究家です。思いついたことを書いていきます。
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2022年08月21日

wikiにASM-2の解説を少し追加しました

wikiにASM-2の解説を少し追加しました。大した内容ではありません。wikiへの投稿は色々と差し障りがあることから、出来るだけ数字は書かないというスタンスだったので、今回追加したのは以下の部分だけです。

運用側からのASM-2の評価
技術研究本部の開発計画
巡航ミサイル型標的


特に開発計画については、数字を入れられなかったので、若干消化不良な内容です。
巡航ミサイル型標的も運用高度やレーダー反射面積等の数字は省きました。巡航ミサイル型標的には恐らく、指令受信装置も搭載されていたと思われるのですが、裏が取れないため書かないでおきました。ただ、スモーク発生装置の搭載については追記しています(とある資料で確認できたため)。

次は主要構造について書いてみるつもりです。

ああ、恥かしながら長らく気づかなかったのですが、ASM-2の制式要綱の用途の項目にはこう書かれているのですね。

1.用  途  93式空対艦誘導弾(以下,誘導弾という。)は,戦闘機(以下,搭載母機という。)に搭載し,主として侵攻する戦闘艦艇を攻撃し,その防空能力を無力化するために使用するものである。

引用元: 制式要綱 93式空対艦誘導弾


つまり、用途としてはASM-3と丸被りなわけです(ASM-3はパッシブレーダーによる個艦識別能力を持つ)。ASM-2が戦闘艦、特に広域エリア防空艦をターゲットにしているというのは銘記しておくべきでしょう。

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2022年08月14日

HARMをMigから撃てるのか

早速ですが、巷で話題となっているウクライナで見つかったHARM(AGM-88)の話。
どうやって(どのプラットフォームから)発射されたかが謎となっています。

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この記事では、ウクライナ空軍が保有するMig29から撃ったのではと推定されており、それ自体は難しくないと述べています。

Ukrainian Jets Are Firing American Anti-Radar Missiles

It’s not hard to imagine American technicians remotely assisting Ukrainian engineers to add the HARM gear as the latter rebuild their aging MiGs for the DEAD mission.

引用先: https://www.forbes.com/sites/davidaxe/2022/08/11/ukrainian-jets-are-firing-american-anti-radar-missiles/?sh=281802c031a9


では、旧東側の機体にHARMを搭載することは簡単なのでしょうか?

ミサイルを機体へ搭載するには少なくとも以下の4つの検証(いわゆる母機適合性)が必要になると思います。

1. 機械的インターフェイス
2. 電気的インターフェイス
3. 搭載時の飛行特性
4. 発射する際の安全性(投下特性等)

1はHARMとその専用ランチャーであるLAU-118/Aが機体のパイロンへ装着できるかという問題です。通常、緊急時の投棄のために、エジェクターラックを介して機体に搭載することになると思いますから、適合するエジェクターラックが無い場合はミサイル、ランチャー、エジェクターラックを機体へ搭載できるかという話になります。そして、出来れば緊急時の投棄時の投下特性も検証したいところです。因みに、XAAM-5試験時にはパイロン、ランチャーアダプター、ランチャー、ミサイル(模擬弾)込みで投下試験を行っています。

2は厄介です。記事の中にも触れられていますが、HARMを発射するとしたらAN/ASQ-213 HARM Targeting Systems (HTS)を使わず、ミサイル自身が持つシーカーによりLOBL(発車前ロックオンで撃つことになると思います。では、機体とミサイルの間でどのような信号がやり取りされるかですが、残念ながらHARMのインターフェイス情報は見つからなかったので、手持ちのASM-2Bの仕様書を参考例として出してみます。

入出力信号.jpg

引用先: 93式空対艦誘導弾(B)仕様書(CP-Y-0067L)

余談ですが、この仕様書上からASM-2BはLOBL(発射前ロックオン)が出来ることが確認できます。

通常、ミサイルと機体ではこの位の信号のやり取りをしています。特にHARMの場合はMIL-STD-1553B/1760で機体とやり取りしてますから、機体側にはそれに対応したインターフェイスと機器が必要になります。

MIL-STD-1553Bについてはこちらのページをご参照ください。ナセルさんの非常に秀逸な解説があります。

データバスを既存の機体へ導入するのは今まで幾つか例がありますが、規模にもよりますが言われるほど簡単ではないというのが正直なところじゃないかと思います。

ところで、HARMの製造会社である米国レイセオン社は面白い特許を取得しています。

WIRELESS PRECISION AVIONICS KIT

US20120150365A1_ページ_04.jpg
引用元: https://patentimages.storage.googleapis.com/eb/b2/5d/b7d2d964b9a8e2/US20120150365A1.pdf

これは内容から行くとPaveway用みたいですが、機体と誘導爆弾の間をワイヤレスで繋げてしまおうというものです。実際にWiPAKとの名称で、西側と言えど若干毛色が違う(データバスも違うかも)フランス海軍のラファール戦闘機に搭載してテストされている模様です。

Rafale_M_Paveway_French_Navy.jpg

引用元: https://www.navyrecognition.com/index.php/naval-news/naval-news-archive/year-2012-news/july/490-raytheon-demonstrates-wipakr-wireless-paveway-avionics-kit-on-french-navy-rafale-aircraft.html

もし、今回のHARMにこの技術が使われているとしたら、非常に興味深い話になります。

3は機体にミサイルを搭載されたときにフラッターなど危険な現象が出ないかどうかの確認が必要になります。出るとしたらどのような状況で発生し、その回避策(飛行制限等)を確認する必要があります。

4はこのミサイルはレールラウンチですが、発射時に機体へ悪影響が無いかを確認する必要があります。特に発射の際にブルーム(噴煙)が機体を直撃すると非常に危険(特にエアインテイク)です。
射出式発射ですが、F-14はAIM-7の発射試験時に射出力不足でミサイルが充分に機体から離れず、その噴煙を吸い込んでエンジンがストールして墜落する事故を起こしています。

【写真】AIM-9Lの噴煙を浴びるF-14A

800px-F-14A_VF-1_firing_AIM-9L_1989.jpeg
引用元: U.S. Navy National Museum of Naval Aviation photo No. 1996.488.022.053

以上を勘案すると、ウクライナでMigにHARMを搭載するなら米国側で充分な検討が為され、その整備マニュアルと共に機材が送られたのではないかと推測します。(必要ならエンジニアも)


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2022年08月04日

令和4年度概算要求

令和4年度の概算要求が防衛省から公開されました。

r04.jpg
引用元: https://www.mod.go.jp/j/yosan/yosan_gaiyo/image/r04.jpg

内容をちらっと見ましたが、マルチドメイン対応、無人機の活用・無人機への対処、ISR能力の強化、持続性・強靭性の強化といったところで、まぁ普通の内容です。

その中で、ちょっと目についたものを挙げていきます。

標準型ミサイルSM−6の取得(207億円)
航空機や巡航ミサイルによる攻撃からの防護を目的としてイージス艦(「まや」型護衛艦)に搭載する長距離艦対空ミサイルであるSM−6を取得

引用元: 我が国の防衛と予算 Defense Programs and Budget of Japan 令和4年度概算要求の概要

SM-6高いですねぇ

高出力マイクロ波(HPM(※))照射技術の実証(86億円)
(P28参照)
※ HPM:高出力マイクロ波(High Power Microwave)

引用元: 我が国の防衛と予算 Defense Programs and Budget of Japan 令和4年度概算要求の概要

マイクロドローンの欠点として比較的低出力なHPMでも行動不能になります。意外とドローンがゲームチェンジャーになり得ない要因の一つです。

滞空型UAV(※)の試験的運用 (50億円)
海上自衛隊における各種任務への適合性、有人機等との連携要領及び省人化/省力化に寄与する導入のあり方を検証するため試験的運用を実施
※ UAV:無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle)

引用元: 我が国の防衛と予算 Defense Programs and Budget of Japan 令和4年度概算要求の概要

これは既に話が出ていたMQ-4C トライトンなんでしょう。

艦載型UAV(小型)に関する研究(性能試験)(6億円)艦上運用可能なUAVの、海自艦艇に対する艦載適合性及び操作性を確認するため、民間企業が用意した器材を用いて性能試験を実施

引用元: 我が国の防衛と予算 Defense Programs and Budget of Japan 令和4年度概算要求の概要

これはペルシャ湾派遣で話が出ていたスキャンイーグル艦載版なのか、それともファイア・スカウトなのか、後者ならレンタルにしても安すぎる気もします。

そして一番気になったのがこれ、、
基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾の開発(26億円)
同時多目標対処能力を向上し、コスト低減を図った空自の基地防空用地対空誘導弾(改)及び機動展開能力に優れ、低空目標への対処能力の向上を図った陸自の新近距離地対空誘導弾を、ファミリー化により効率的に開発

引用元: 我が国の防衛と予算 Defense Programs and Budget of Japan 令和4年度概算要求の概要



これは以前から公開されていたのですが、携行SAMの発展型を基地防空に使うという話です。これは文書中でも明らかになっているように、超低高度を飛翔する巡航ミサイルが主な目標になります。

03-0008.jpg

引用元: https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/rev_suishin/r02/pdf/03-0008.pdf

本事業を実施することにより、誘導弾が予想命中点に飛しょうする環境下において、複雑背景下から小型・低熱源目標を抽出するための画像処理技術の確立が見込まれる。これらの成果については、試作及び技術試験により検証し、これらの検証結果が得られた場合には、我が国の技術力の強化に資することが見込まれる。これらは自衛隊のニーズに合致した高度な防衛装備品を創製するため重要な成果であり、最終的に政策目標である我が国自身の防衛体制の強化につながるものであることから、本事業に着手することは妥当であると判断する。

引用元: https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/rev_suishin/r02/pdf/03-0008.pdf


この文章を素直に読むと、このミサイルはLOAL(発射後ロックオン)が出来るよと言っているように思えます。一般的にMANPADS(携帯式防空ミサイルシステム)は人間が背負える範囲の重量(発射重量で大体、20kg以下)という制約から、能力が非常に制約されています。そしてそれは旧東側製品において顕著になります。
浅学ながら、自分はLOALが出来るMANPADSを知りません。もし、この誘導弾がLOAL機能を備えるのであれば非常に画期的と言えます。

【LOAL出来るの】
LOALが出来ると何が良いかというと、
@見通し線外射撃が出来る(直接目標を見なくても発射可能)
A同時多目標に対応出来る(事前にロックオンする必要が無いためリアクションタイムが短くて済む)
B射程が延びる(直接目標を見る必要が無いため、最もエネルギー損失が少ない航法で飛翔することが可能になる。弾道飛翔等)

というように対巡航ミサイルには非常に都合が良いことになります。ただ、LOALで撃つためには光ファイバージャイロのような慣性航法に必要な装置を備える必要があります。果たしてそれを小さな筐体におさめられるのか。

【超低高度目標の困難性】
また、LOALで巡航ミサイルを撃つ場合は、ミサイルは高い高度から低高度を飛翔する巡航ミサイルを狙うことになります。つまり、上から下を見下ろす格好になるわけです。これは赤外線誘導ミサイルにとっては非常に難題です。高空のように背景が青空(しかも冷たいので目標とのコントラストがはっきり出る)の時と比べて地上の赤外線のバックグラウンドノイズは半端じゃありません。地上と非常に小さなホットスポットを見分けて相手を狙わなければなりません。これはある意味レーダーのクラッター対策よりも遥かに難題です。

【小さな弾頭と信管】
さらに言うと、相手が対巡航ミサイルの場合、有人機と違って相手を確実にkillしなくてはなりません(有人機なら任務の継続を断念させて引き帰させればよい=mission kill)。MANPADSは上記の制約により弾頭重量が小さくなりがちです。また、近接信管も備えていません(指向性弾頭は備えている)。高い誘導精度をもって相手に直撃し、且つ小さな弾頭で確実にkillしなくてはなりません。

いずれにしても、MANPADSベースで巡航ミサイルを狙うのは大変だと思います。

このミサイルは注視したいと思います


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