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2021年02月07日

【禁忌】5大宗教における食のタブー


 世界5大宗教とは、イスラム教、仏教、キリスト教、ユダヤ教、ヒンドゥー教を指し、世界人口のおおよそ77%がいずれかを信仰しています。





 宗教によっては、戒律で食べてはいけない食品を定めている場合や宗教が認めた加工過程を経ていないものをダブー視している場合があります。多くの外国人が暮らす都市部のレストランなどでは、こうした宗教に対応するメニューを用意しているところが増加傾向にあります。加工食品おいても、宗教に対応した製品開発を行っています。基礎知識として、宗教上の食に関するタブーをきちんと理解しておきたいところです。





 イスラム教は、 7 世紀初めにモハンマドが預言者として神から授かった宗教です。宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強いです。食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して、非常に気を遣います。イスラム教徒は、食材、料理に付着する血液、調理される厨房と調理器具がイスラム教の教義に則ったものであるかということに対して、非常に敏感です。イスラム教徒が多い国では、イスラム教徒の教義の則った適切な食材を扱い、料理がつくられています。海外から輸入した肉などの食材には、それらがイスラム教の教義に則ったものであることを表すためにハラルマーク(HALAL)を付けてあることが多いです。食の禁止事項としては、豚、アルコール、血液、宗教上の適切な処理が施されていない肉が該当します。イスラム教で適切な処理を施した食材は、ハラルミールと呼ばれ、購入することが可能な食材です。うなぎ、イカ、タコ、貝類、漬け物などの発酵食品については、宗教上の教義で禁じられているわけではありませんが、嫌悪感を示されるので、料理の食材として扱うことは避けます。ウロコのある魚とエビは食べられます。





 仏教は釈迦を開祖として生まれた宗教で、仏となるための教えを説いています。仏教徒の食習慣として、一般に殺生すること、生き物を傷つけることを慎むという意識がみられますが、肉食をする人も多く、同じ仏教徒でも宗派や国などによって、食に対する意識は異なります。食に対する禁止事項としては、一部となりますが肉全般、一部となりますがにんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキが該当します。食に関する禁止事項がみられるのは、一部の僧侶と厳格な信者に限定されます。





 キリスト教は、イエスを救世主とする宗教です。キリスト教徒の食習慣としては、基本的に食に関する禁止事項はほとんどありません。宗教儀式や断食を行う場合を除いて、食事は自由です。キリスト教の一部の分派には、食を含めたさまざまな禁止事項を定めている宗派もありますが、少数派です。キリスト教の料理の特徴としては、キリスト教の伝統行事(感謝祭、クリスマス、カーニバルなど)で、七面鳥、羊、タラなどを用いた料理が食べられます。食に対する禁止事項としては、ほとんどありませんが、一部で肉全般、一部でアルコール類、コーヒー、紅茶、お茶が該当します。





 ユダヤ教は、古代イスラエルで発祥し、唯一神ヤハウェを信じる一神教です。ユダヤ教徒の食習慣としては、宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強く、食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して非常に気を遣います。カシュルートと呼ばれる食事規程が存在し、食べてよいものと食べてはいけないものが厳格に区別されています。食に対する禁止事項としては、豚、血液、イカ、タコ、エビ、カニ、ウナギ、貝類、ウサギ、馬、宗教上の適切な処理が施されていない肉などが該当します。ユダヤ教で適切な処理を施した食材は、コーシャミール(KOSHER)と呼ばれます。





 ヒンドゥー教は、 古代インドのバラモン教と民間信仰が融合しながら形づくられたもので、インドの宗教、社会制度、文化などが総合されたものを意味します。ヒンドゥー教では食事の規制事項があるため、口に入れる食材、食べ方、食事を食べる時間や時期に対して、非常に気を遣います。食に対する禁止事項としては、肉全般、牛、豚、魚介類全般、卵、生もの、にんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキなどが該当します。肉食をする人もいますが、その場合にも食べる対象は、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限定されます。



世界5大宗教とその戒律


 世界5大宗教とは、イスラム教、仏教、キリスト教、ユダヤ教、ヒンドゥー教を指し、世界人口のおおよそ77%がいずれかを信仰しています。





 宗教によっては、戒律で食べてはいけない食品を定めている場合や宗教が認めた加工過程を経ていないものをダブー視している場合があります。宗教や信仰に対して寛容な日本人は、このような宗教上の慣習をあまり意識していませんが、多くの外国人が暮らす都市部のレストランなどでは、こうした宗教に対応するメニューを用意しているところが増加傾向にあります。加工食品おいても、宗教に対応した製品開発を行っています。





 基礎知識として、宗教上の食に関するタブーをきちんと理解しておきたいところです。



イスラム教と食習慣


 イスラム教は、 7 世紀初めにモハンマドが預言者として神から授かった宗教です。唯一神アラーを信じる一神教で、コーランを聖典としています。キリスト教、仏教とともに3大宗教の 1 つに数えられています。イスラム教は、スンニ派とシーア派の 2 つに大きく分類され、スンニ派における信仰の基本は、6信(唯一神アラー、天使、啓典、預言者、終末と来世、天命)を信じること、実行すべき基本的義務として5行(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、メッカへの巡礼)にまとめられています。シーア派では5信10行と呼ばれています。





 イスラム教徒は、世界各地に居住しており、特にアジア、北アフリカ、中東における人数が多いとされています。中東諸国は、国民の大多数がイスラム教徒で、世界におけるイスラム教徒の人数では、アジアが多数を占めています。





  宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強いです。食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して、非常に気を遣います。イスラム教徒は、食材、料理に付着する血液、調理される厨房と調理器具がイスラム教の教義に則ったものであるかということに対して、非常に敏感です。多くのイスラム教徒は、厨房と調理器具まで厳密に確認しようとはしませんが、敬虔なイスラム教徒には豚を扱った厨房と調理器具で調理される料理を拒否する人もいます。料理の食材が明らかでない場合には、その料理を食べることを拒否する人も多く、食事は信徒に対する神からの報酬と考えられており、食事を楽しむことを重視します。





 イスラム教徒の食事回数は、通常1 日 3 回で、メインとなる食事は国や地域における食生活の傾向が影響します。豚肉などの禁止されている食材が混入することへの不安から、外食を避ける人もいます。





 イスラム暦 の9 月に 1 ヶ月にわたるラマダンと呼ばれる断食期間があります。断食期間中は、夜明けから夜になるまで、水も含め一切の飲食が禁じられています。この期間の食事は、通常夜明け前と夜の 2 回です。断食期間中ということもあり、夜の食事は、普段の食事よりもたくさんの量の食事を食べます。





 イスラム教徒が多い国では、イスラム教徒の教義の則った適切な食材を扱い、料理がつくられています。扱われている食材や料理の形態は、国や地域によってさまざまです。また、海外から輸入した肉などの食材には、それらがイスラム教の教義に則ったものであることを表すためにハラルマーク(HALAL)を付けてあることが多いです。





 食の禁止事項としては、豚、アルコール、血液、宗教上の適切な処理が施されていない肉が該当します。ブイヨン、ゼラチン、ソース、スープなどには豚の肉や骨が使われている可能性があることから、注意する必要があります。アルコールは、料理酒、調味料などさまざまな料理に使われることがあり、こちらも注意が必要です。イスラム教で適切な処理を施した食材は、ハラルミールと呼ばれ、購入することが可能な食材です。





 うなぎ、イカ、タコ、貝類、漬け物などの発酵食品については、宗教上の教義で禁じられているわけではありませんが、嫌悪感を示されるので、料理の食材として扱うことは避けます。ウロコのある魚とエビは食べられます。





 ハラルの屠殺方法としては、イスラム教徒が屠殺を行うことが条件で、動物の顔をメッカの方向に向け、アッラーファクバル(アッラーは偉大なり)と唱え、鋭い刃で頚動脈を切ります。なお、首を全部切り落とすとハラルではなくなります。血液は全て抜き、血液を出し切るまで肉を使ってはなりません。血液が全て抜け、真っ白になった肉がハラルミールとして扱われます。





 イスラム法は食事のマナーも定めており、食事前と食後には祈りの言葉を唱えます。また、食事をする場合、相手に料理を手渡す場合、給仕する場合には右手を使います。



仏教と食習慣


 仏教は釈迦を開祖として生まれた宗教で、仏となるための教えを説いています。イスラム教、キリスト教とともに3大宗教の ひとつに数えられます。仏教は上座部仏教と大乗仏教の 2 つに大きく分類されます。紀元前後に大乗仏教が生じ、それ以前の伝統仏教は上座部仏教と呼ばれるようになりました。





 仏教徒は世界各地に居住していますが、その 90%以上はアジアに分布しています。仏教徒が多い国は、中国、日本、タイ、ベトナム、ミャンマー、スリランカ、カンボジア、韓国などです。上座部仏教は、タイ、ミャンマー、スリランカ、カンボジアなど、南アジアを中心に広まっています。大乗仏教は、中国、台湾、韓国、日本、ベトナム、チベット、モンゴルなどを中心に広まっています。日本には6 世紀に伝来しました。





 仏教徒の食習慣として、一般に殺生すること、生き物を傷つけることを慎むという意識がみられますが、肉食をする人も多く、同じ仏教徒でも宗派や国などによって、食に対する意識は異なります。僧侶などの厳格な仏教徒は、食事そのものを日常の修養のひとつとして捉えています。





  厳格な僧侶の場合は、教義に則った食事を摂ります。上座部仏教の僧侶は、通常1 日 2 食で、午前中に食事を済ませて、午後以降は食事を口にしません。仏教の料理のひとつに精進料理があります。





 食に対する禁止事項としては、一部となりますが肉全般、一部となりますがにんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキが該当します。食に関する禁止事項がみられるのは、一部の僧侶と厳格な信者に限定されます。大乗仏教では、肉食を避ける傾向が強いです。また、厳格な仏教徒には、においが強く修行の妨げになるとの理由から、にんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキを食べることが禁じられています。上座部仏教では、肉を食べてもよいとされています。ただし、僧侶のために生き物を殺して肉を提供することは禁じられています。





 僧侶などの厳格な仏教徒は、食事そのものを日常の修養のひとつとして捉えており、宗派によって差異はありますが、食事作法が存在します。一般的には、食前と食後に祈りの言葉が捧げられます。また禅宗では、食事の献立、調理方法、食事をする際の心構えや作法などについての細かい決まりがあります。



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キリスト教と食習慣


 キリスト教は、イエスを救世主とする宗教です。聖典は聖書(旧訳及び新訳)です。イスラム教、仏教とともに3大宗教の ひとつに数えられます。キリスト教はさまざまな教派に分かれており、代表的なものに、カトリック教会、東方正教会、プロテスタント教会などが存在します。





 キリスト教徒は世界各地に居住しており、特にヨーロッパ、アメリカ大陸における人数が多いとされています。東方正教会の信者はロシア、東欧諸国、ギリシアに多く存在します。





 キリスト教徒の食習慣としては、基本的に食に関する禁止事項はほとんどありません。宗教儀式や断食を行う場合を除いて、食事は自由です。キリスト教の一部の分派には、食を含めたさまざまな禁止事項を定めている宗派もありますが、少数派です。キリスト教徒に特有の食事パターンというものは特にみられません。





 キリスト教の料理の特徴としては、キリスト教の伝統行事(感謝祭、クリスマス、カーニバルなど)で、七面鳥、羊、タラなどを用いた料理が食べられます。





 食に対する禁止事項としては、ほとんどありませんが、一部で肉全般、一部でアルコール類、コーヒー、紅茶、お茶が該当します。





 テーブルマナーは、一般に食前と食後に感謝の祈りを捧げるなどの食事作法がみられます。



ユダヤ教と食習慣


 ユダヤ教は、古代イスラエルで発祥し、唯一神ヤハウェを信じる一神教です。ユダヤ人を神から選ばれた選民とみなし、救世主メシアの到来を信じています。モーセの律法トーラー(キリスト教の旧約聖書中のモーセ5書)、律法タルムードなどの聖典があります。





 ユダヤ教を信仰する人とその子孫がユダヤ人と呼ばれるが、厳密な定義は困難です。ユダヤ教は大きく 3 つの宗派に分けることができます。厳格なユダヤ教徒は外見に特徴があって、黒服と黒の山高帽を身につけ、ひげともみあげを生やしており、食事の規程も厳格に守っています。現代社会に合わせて、食事の自由を認めて生活する改革派やその中間の保守派がいます。





 ユダヤ教徒は、イスラエル、アメリカ、ロシアなど世界各国に存在しています。ユダヤ料理の食材が入手しやすい地域にまとまって住む傾向が強いです。





 ユダヤ教徒の食習慣としては、宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強く、食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して非常に気を遣います。カシュルートと呼ばれる食事規程が存在し、食べてよいものと食べてはいけないものが厳格に区別されています。食べることが適当か不明な食材は、ユダヤの宗教指導者に相談して、判断を下してもらいます。食に対して禁欲的であることが精神的だとは考えず、むしろ心のこもったご馳走が宗教的な境地を高めると考え、断食の後の食事などを大切にします。





 日常の食事パターンとしては、カシュルートに則った食材を選び、律法に定められた作法に基づいて食事を摂ります。土曜の安息日や祝祭日には食べる料理が決まっています。ユダヤ教には年 6 回の断食日が存在し、一切の飲食が禁じられています。





 ユダヤ料理の特徴として、カシュルートに則った食材を使用した料理となります。チキンスープ、マスなどのすり身に卵や玉ねぎを混ぜて作った団子、豆や肉をはじめとしたさまざまな煮込み、かぶと人参のシロップ漬けなどが食べられます。





 食に対する禁止事項としては、豚、血液、イカ、タコ、エビ、カニ、ウナギ、貝類、ウサギ、馬、宗教上の適切な処理が施されていない肉などが該当します。ブイヨン、ゼラチン、ソースには豚の肉や骨が使われており、調理時に注意する必要があります。ユダヤ教で適切な処理を施した食材は、コーシャミール(KOSHER)と呼ばれます。





  食事の際には手を洗い、感謝の祈りを捧げるなど、律法によって食事の作法が定められています。



ヒンドゥー教と食習慣


 ヒンドゥー教は、 古代インドのバラモン教と民間信仰が融合しながら形づくられたもので、インドの宗教、社会制度、文化などが総合されたものを意味します。ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの3神を重要視しています。輪廻と解脱の思想を根本とします。





 インド社会においては身分制度のカーストが今も残っており、バラモン(司祭)、クシャトリヤ(王族)、バイシャ(庶民)、シュードラ(隷民)の 4 つを基礎に、現在では 2000 以上のカーストが存在すると言われています。カースト内の団結は強く、カーストごとに共通の習慣を持ち、職業、飲食、結婚などに関する厳格な規制が存在しています。なお、インド憲法ではカーストが否定されています。





 ヒンドゥー教徒はインド及びネパールに多数存在します。





 ヒンドゥー教徒の食習慣としては、宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守します。ヒンドゥー教では食事の規制事項があるため、口に入れる食材、食べ方、食事を食べる時間や時期に対して、非常に気を遣います。肉食と菜食の境界が非常に強く意識されており、ベジタリアンと非ベジタリアンを厳格に区別します。異なるカーストと一緒に食事をすることも忌避されます。不浄は血液や唾液で感染するものと考えられ、食器も使い捨てのものが最も清浄だと考えられています。不浄の対象は、カーストや地域で異なり、絶対的な基準は存在しません。不浄を浄化するための方法として、菜食、断食、沐浴、ヨガが行われ、高位のカーストや社会的地位の高い人ほど肉食を避ける傾向が強くなります。規制の度合いが厳格であるほど、浄性が高いと考えられています。





 日常の食事パターンとしては、外食は同じ調理器具で肉を扱っている可能性も否定できないため、家庭で安心して食べることを選択する人が多数派です。特定の宗教の祝日や特定の曜日に断食します。





 食に対する禁止事項としては、肉全般、牛、豚、魚介類全般、卵、生もの、にんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキなどが該当します。乳製品はたくさん食べます。高位のカーストや社会的地位の高い人ほど肉食を避ける傾向が強くなります。厳格なヒンドゥー教徒は、肉類を料理した調理器具が使われることを忌避する人もいます。肉食をする人もいますが、その場合にも食べる対象は、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限定されます。牛は神聖な動物として崇拝され、牛を食べることは禁忌とされます。豚は不浄な動物とみなされ、基本的に食べることはありません。魚介類全般を忌避する場合、かつお節の出汁も対象であり、注意が必要です。この場合は、昆布の出汁などで代用します。ブイヨン、ゼラチンには、牛や豚などの肉や骨が使われていることから、調理時に注意する必要があります。





 テーブルマナーとして、自分の皿に盛られたものは、不浄が感染しないように、決して他人に取り分けません。共用の皿から取り分ける場合には、自分のスプーンが共用の皿に触れないように気をつけます。他人と飲み物を共有する場合には、容器に口をつけてはいけません。食前と食後には手を洗い、口をすすぎます。 食事をする場合、相手に料理を手渡す場合、給仕する場合には右手を使います。



まとめ


 世界5大宗教とは、イスラム教、仏教、キリスト教、ユダヤ教、ヒンドゥー教を指し、世界人口のおおよそ77%がいずれかを信仰しています。





 宗教によっては、戒律で食べてはいけない食品を定めている場合や宗教が認めた加工過程を経ていないものをダブー視している場合があります。多くの外国人が暮らす都市部のレストランなどでは、こうした宗教に対応するメニューを用意しているところが増加傾向にあります。加工食品おいても、宗教に対応した製品開発を行っています。基礎知識として、宗教上の食に関するタブーをきちんと理解しておきたいところです。





 イスラム教は、 7 世紀初めにモハンマドが預言者として神から授かった宗教です。宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強いです。食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して、非常に気を遣います。イスラム教徒は、食材、料理に付着する血液、調理される厨房と調理器具がイスラム教の教義に則ったものであるかということに対して、非常に敏感です。イスラム教徒が多い国では、イスラム教徒の教義の則った適切な食材を扱い、料理がつくられています。海外から輸入した肉などの食材には、それらがイスラム教の教義に則ったものであることを表すためにハラルマーク(HALAL)を付けてあることが多いです。食の禁止事項としては、豚、アルコール、血液、宗教上の適切な処理が施されていない肉が該当します。イスラム教で適切な処理を施した食材は、ハラルミールと呼ばれ、購入することが可能な食材です。うなぎ、イカ、タコ、貝類、漬け物などの発酵食品については、宗教上の教義で禁じられているわけではありませんが、嫌悪感を示されるので、料理の食材として扱うことは避けます。ウロコのある魚とエビは食べられます。





 仏教は釈迦を開祖として生まれた宗教で、仏となるための教えを説いています。仏教徒の食習慣として、一般に殺生すること、生き物を傷つけることを慎むという意識がみられますが、肉食をする人も多く、同じ仏教徒でも宗派や国などによって、食に対する意識は異なります。食に対する禁止事項としては、一部となりますが肉全般、一部となりますがにんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキが該当します。食に関する禁止事項がみられるのは、一部の僧侶と厳格な信者に限定されます。





 キリスト教は、イエスを救世主とする宗教です。キリスト教徒の食習慣としては、基本的に食に関する禁止事項はほとんどありません。宗教儀式や断食を行う場合を除いて、食事は自由です。キリスト教の一部の分派には、食を含めたさまざまな禁止事項を定めている宗派もありますが、少数派です。キリスト教の料理の特徴としては、キリスト教の伝統行事(感謝祭、クリスマス、カーニバルなど)で、七面鳥、羊、タラなどを用いた料理が食べられます。食に対する禁止事項としては、ほとんどありませんが、一部で肉全般、一部でアルコール類、コーヒー、紅茶、お茶が該当します。





 ユダヤ教は、古代イスラエルで発祥し、唯一神ヤハウェを信じる一神教です。ユダヤ教徒の食習慣としては、宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強く、食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して非常に気を遣います。カシュルートと呼ばれる食事規程が存在し、食べてよいものと食べてはいけないものが厳格に区別されています。食に対する禁止事項としては、豚、血液、イカ、タコ、エビ、カニ、ウナギ、貝類、ウサギ、馬、宗教上の適切な処理が施されていない肉などが該当します。ユダヤ教で適切な処理を施した食材は、コーシャミール(KOSHER)と呼ばれます。





 ヒンドゥー教は、 古代インドのバラモン教と民間信仰が融合しながら形づくられたもので、インドの宗教、社会制度、文化などが総合されたものを意味します。ヒンドゥー教では食事の規制事項があるため、口に入れる食材、食べ方、食事を食べる時間や時期に対して、非常に気を遣います。食に対する禁止事項としては、肉全般、牛、豚、魚介類全般、卵、生もの、にんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキなどが該当します。肉食をする人もいますが、その場合にも食べる対象は、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限定されます。



posted by Kaoru at 04:46| Comment(0) | TrackBack(0) | トピックス

2021年02月06日

【栄養素の代謝に関わる】ビタミンB群


 ビタミンB群は、栄養素の代謝に関わっているビタミンです。ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類を指します。





  ビタミンB群の主な働きは、エネルギー代謝の補酵素です。補酵素は、代謝を円滑に進める働きがあります。エネルギー源や体の構成成分となる糖質、脂質、たんぱく質だけを摂取しても、ビタミンB群が不足していると代謝はスムーズに行われません。





 ビタミンB1は、ぶどう糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素です。ビタミンB1が不足すると、糖質がエネルギーに変換されにくくなり、疲労の原因になる可能性があります。ビタミンB1が豊富な食材は、豚肉、玄米、大豆製品などです。





 ビタミンB2は、糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生に関与する酵素の補酵素として働きます。発育のビタミンとも言われ、発育促進に重要な役割を果たすほか、皮膚、髪、爪などの細胞の再生にも関与しています。ビタミンB2が多く含まれる食材は、豚レバー、魚、卵、モロヘイヤ、ホウレンソウ、乳製品、納豆、ナッツ類などです。





 ビタミンB6は、酵素の働きを助ける補酵素として多くのアミノ酸の代謝をサポートします。免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成といった生理作用もあり、脂質の代謝にも関与しています。ビタミンB6が不足すると、皮膚炎、舌炎、口内炎、口角症、貧血、リンパ球減少症になります。ビタミンB6は、魚介類、豚肉、鶏肉、野菜、玄米などに多く含まれています。食事以外では腸内細菌によって合成され、供給されます。





 ビタミンB12は、補酵素としてたんぱく質や核酸の生合成、アミノ酸や脂肪酸の代謝に関与しています。また、葉酸とともに骨髄で正常な赤血球をつくります。ビタミンB12が不足すると造血作用がうまく働かず、貧血になります。ビタミンB12は、牡蠣、あさり、サバ、ホタテ、ホッケなどの魚介類に多く含まれています。





 ナイアシンは、補酵素として糖質、脂質、たんぱく質の代謝やエネルギー産生に関与しています。また、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、アデノシン3リン酸(ATP)産生、DNAの修復や合成、細胞分化など幅広い反応に関与しています。ナイアシンは、大量摂取した際に副作用として、消化不良、重篤な下痢、便秘、肝機能低下、劇症肝炎など消化器系や肝臓に障害が生じた例が報告されています。ナイアシンは、たらこ、マグロ、サバなどの魚介類、鶏肉などに多く含まれています。





 パントテン酸は体内で活性化され、エネルギー産生に重要な役割を果たしているコエンザイムAなどの成分となります。コエンザイムAはアセチルCoAとして、クエン酸回路(TCA回路)や脂肪酸の代謝系において、重要な役割を果たすほか、体内で起こるさまざまな酵素反応に関与しています。また、善玉コレステロールの増加、ホルモンや抗体の産生などにも関わっています。パントテン酸は、鶏肉や納豆などに多く含まれています。





 葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の産生をサポートするビタミンです。また、代謝に関与し、DNAやRNAなどの核酸、たんぱく質の生合成を促進し、細胞の産生や再生を助けることから、体の発育に重要なビタミンです。葉酸は細胞の分裂を左右するため、特に胎児にとっては重要な栄養成分です。妊婦が葉酸を十分に摂取することで、胎児の先天異常のリスクを減らすことができます。葉酸は、鶏レバー、野菜、果物に多く含まれています。ただし、熱に弱いため、生で食べられる野菜や果物から摂取する必要があります。





 ビオチンは、糖代謝に関与する酵素、脂肪酸代謝に関与する酵素、アミノ酸の代謝に関与する酵素の補酵素として、エネルギーをつくり出すサポートをしています。また、皮膚や粘膜の維持、爪や髪の健康に深く関わっており、不足するとアトピー性皮膚炎や脱毛などの皮膚症状や食欲不振、うつなどの症状が現れます。ビオチンは、さまざまな食品に含まれている上、腸内細菌によっても合成されるので、通常の食生活では欠乏することはないと考えられています。ビオチンは、しいたけ、きくらげ、マイタケなどのきのこ類、肉、魚介類、卵に多く含まれています。



ビタミンB群


 ビタミンB群は、栄養素の代謝に関わっているビタミンです。ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類を指します。ビタミンB群は水溶性ビタミンのため、1度にたくさん摂取しても、尿中に排泄されるため、毎日摂取したい栄養素のひとつです。





  ビタミンB群の主な働きは、エネルギー代謝の補酵素です。補酵素は、代謝を円滑に進める働きがあります。エネルギー源や体の構成成分となる糖質、脂質、たんぱく質だけを摂取しても、ビタミンB群が不足していると代謝はスムーズに行われません。



ビタミンB1


 ビタミンB1は、ビタミンの中で最初に発見され、ぶどう糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素です。ビタミンB1には、チアミンにリン酸が1つ結合したチアミンモノリン酸(TMP)、2つ結合したチアミンジリン酸(TDP)、3つ結合したチアミントリリン酸(TTP)がありますが、これらの化合物は消化管でビタミンB1に分解された後、吸収されるため、ビタミンB1と同等の活性を持ちます。





 細胞内でビタミンB1は、主にチアミンにリン酸が2つ結合したTDPの形で、酵素たんぱく質に結合し存在しています。食品が調理あるいは消化される際に酵素たんぱく質が変性すると、酵素たんぱく質に結合していたTDPが遊離し、消化管内で酵素の働きによりリン酸が外れて、チアミンとなり、腸内で吸収されます。食品によっても異なりますが、食事中のビタミンB1の利用効率はおおよそ60%程度と推定されています。





 ぶどう糖がピルビン酸になるまでを解糖系といい、酸素を使わずにエネルギーをわずかに産生します。ピルビン酸はさらにアセチルCoA(コエンザイムA)となり、TCAサイクル(クエン酸回路)に入って、酸素を消費しながら代謝されます。最終的には二酸化炭素と水になり、多くののエネルギーを産生します。ビタミンB1は、ピルビン酸からアセチルCoAに変わる際に必要な水溶性ビタミンです。





 ビタミンB1は、エネルギーの産生に関与しており、推定平均必要量をエネルギー1,000kcalに対し、チアミン塩酸塩で0.54mgとして算出されています。この推定平均必要量の値は、半数の人が必要を満たすと推定される量です。この推定平均必要量に推奨量算定係数の1.2を掛けた値が推奨量となり、おおよそ97.5%の人が必要量を満たすと考えられる量になります。食事摂取基準では、1日の推奨量は、女性18〜49歳で1.1mg、50〜69歳で1.0mg、70歳以上で0.9mg、男性18〜49歳で1.4mg、50〜69歳で1.3mg、70歳以上で1.2mgとなっています。糖質を多く摂る人や体をよく動かす人は、エネルギーの産生が盛んなため、より多くのビタミンB1を必要とします。ビタミンB1が不足すると、糖質がエネルギーに変換されにくくなり、疲労の原因になる可能性があります。





 ビタミンB1が豊富な食材は、豚肉、玄米、大豆製品などです。



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 【発芽玄米の底力】 




ビタミンB2


 ビタミンB2は、リボフラビンという化合物です。ビタミンB2は、リボフラビンにリン酸が1つ結合したフラビンモノヌクレオチド(FMN)とFMNにアデノシン1リン酸(AMP)が結合したフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)があります。これらは、消化管でビタミンB2まで分解された後、体内に取り込まれるため、ビタミンB2の同等の生理活性を示します。





 ビタミンB2は黄色い色素で、着色料として食品添加物に使われることもあります。





 細胞内のビタミンB2は、ほとんどがFADあるいはFMNとして酵素たんぱく質と結合した状態で存在しています。食品の調理や消化の際に結合している酵素たんぱく質が変性してFADまたはFMNが遊離します。遊離したFADまたはFMNは、大部分が腸内で分解されビタミンB2となり、吸収されます。食品により変換効率や吸収効率が異なりますが、平均的な食事中のビタミンB2の利用効率は、おおよそ64%と推定されます。





 吸収されたビタミンB2は、体内で再びFMNやFADに変換されて、糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生に関与する酵素の補酵素として働きます。発育のビタミンとも言われ、発育促進に重要な役割を果たすほか、皮膚、髪、爪などの細胞の再生にも関与しています。





 1日のエネルギー摂取量が2,200kcalの健康な成人に対して、ビタミンB2を投与した実験の結果、1日あたりおおよそ1.1mg以上の摂取で尿へのビタミンB2の排泄量が、摂取量に応じて増大することが報告されていることから、ビタミンB2の推定平均必要量をエネルギー1,000kcalに対し、0.5mgとして算出されています。この推定平均必要量の値は、半数の人が必要を満たすと推定される量です。この推定平均必要量に推奨量算定係数の1.2を掛けた値が推奨量となり、おおよそ97.5%の人が必要量を満たすと考えられる量となります。食事摂取基準では、1日の推奨量は、女性18〜49歳で1.2mg、50歳以上で1.1mg、男性18〜49歳で1.6mg、50〜69歳で1.5mg、70歳以上で1.3mgとなっています。





 ビタミンB2は、余剰分が尿中に排泄され体内に蓄積しにくいことから、多量摂取による過剰障害は起こり難いと考えられています。





 ビタミンB2が多く含まれる食材は、豚レバー、魚、卵、モロヘイヤ、ホウレンソウ、乳製品、納豆、ナッツ類などです。





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ビタミンB6


 ビタミンB6の活性をもつ化合物には、ピリドキサール、ピリドキシン、ピリドキサミンの3つがあります。これらの化合物にリン酸が結合したピリドキシン5́-リン酸(PNP)、ピリドキサール5́-リン酸(PLP)、ピリドキサミン5́-リン酸(PMP)は、消化管でビタミンB6にまで分解された後、体内に取り込まれるため、ビタミンB6と同等の働きを持ちます。ビタミンB6は、光によって分解されやすい性質をもっています。





 ビタミンB6は、食品中では、通常リン酸やたんぱく質と結合した状態で存在していますが、調理や消化の過程で分解され、最終的にはピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシンとなって吸収されます。





 ビタミンB6は、酵素の働きを助ける補酵素として多くのアミノ酸の代謝をサポートします。免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成といった生理作用もあり、脂質の代謝にも関与しています。





 食事摂取基準によると、ビタミンB6の1日の摂取推奨量は、18歳以上の女性1.2mg、18歳以上の男性1.4mgとなっています。たんぱく質の摂取量増加に伴って、ビタミンB6の必要量も増加します。ビタミンB6は、過剰摂取による健康被害が報告されており、耐容上限量として18〜29歳男性55mg、30〜49歳男性では60mg、50〜69歳男性では55mg、70歳以上で50mg、18〜69歳女性では45mg、70歳以上の女性で40mgと設定されています。なお、通常の食事からの摂取で問題になることはありません。





 ビタミンB6が不足すると、皮膚炎、舌炎、口内炎、口角症、貧血、リンパ球減少症になります。また、成人の場合は、うつ状態、錯乱、脳波異常、痙攣発作など神経系に異常が起こることもあります。





 ビタミンB6は、魚介類、豚肉、鶏肉、野菜、玄米などに多く含まれています。食事以外では腸内細菌によって合成され、供給されます。



ビタミンB12


 ビタミンB12はコバルトを含む化合物で、アデノシルコバラミン、メチルコバラミン、ヒドロキシコバラミン、シアノコバラミンがあります。光によって分解されやすい性質を持ちます。





 食品中のビタミンB12は、たんぱく質と結合しており、たんぱく質が分解されると、遊離したビタミンB12となります。ビタミンB12は、補酵素としてたんぱく質や核酸の生合成、アミノ酸や脂肪酸の代謝に関与しています。また、葉酸とともに骨髄で正常な赤血球をつくります。





 調査結果における日本人の一般食品からのビタミンB12の1日の摂取量の平均は、5.9μgで、そのほとんどを魚介類から摂取しています。ビタミンB12は、腸内細菌によっても合成されるため、一般に欠乏することはないと考えられています。





 ビタミンB12が不足すると造血作用がうまく働かず、貧血になります。また、脳や神経に障害が生じ、しびれや知覚異常の症状として現れます。





 ビタミンB12は、牡蠣、あさり、サバ、ホタテ、ホッケなどの魚介類に多く含まれています。



ナイアシン


 ナイアシンはエネルギー代謝に関わり、さまざまな酵素の働きをサポートすると言われています。飲酒により失われやすい栄養素のひとつです。ビタミンB1やビタミンB6などと助け合う関係にあります。





 ナイアシンは、ニコチン酸とニコチンアミドの総称です。アミノ酸のひとつであるトリプトファンから、体内で合成されます。





 食品中でナイアシンは、主にピリジンヌクレオチド(NAD、NADP)の形で存在しますが、調理する際に分解され、動物性食品ではニコチンアミド、植物性食品ではニコチン酸になります。生野菜や刺身などの場合、ピリジンヌクレオチドは消化管内で分解されてニコチンアミドになります。ニコチンアミドやニコチン酸は小腸から吸収されます。食品により分解率や吸収率が異なりますが、日本で一般的に食べられている食事中のナイアシンの利用効率はおおよそ60%と推定されています。





 ニコチン酸やニコチンアミドは、体内でピリジンヌクレオチドに生合成された後、補酵素として糖質、脂質、たんぱく質の代謝やエネルギー産生に関与しています。また、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、アデノシン3リン酸(ATP)産生、DNAの修復や合成、細胞分化など幅広い反応に関与しています。





 ナイアシンは、エネルギーの代謝に関与するビタミンであるため、推定平均必要量はエネルギー1,000kcalに対し4.8mgとして算出されています。半数の人が必要を満たすと推定されるこの推定平均必要量に推奨量算定係数の1.2を掛けた値が推奨量となり、おおよそ97.5%の人が必要量を満たすと考えられる量になります。1日に必要なナイアシンの推奨量は、18〜49歳男性15mgNE(ナイアシン当量)、50〜69歳男性14mgNE、70歳以上13mgNEで、18〜29歳女性11mgNE、30〜49歳女性12mgNE、50〜69歳女性11mgNE、70歳以上10mgNEとなっています。





 ナイアシンは、大量摂取した際に副作用として、消化不良、重篤な下痢、便秘、肝機能低下、劇症肝炎など消化器系や肝臓に障害が生じた例が報告されています。そのため、過剰摂取による健康障害をおこすことのない最大限の量は、18〜29歳男性300mgNE、30〜69歳男性350mgNE、70歳以上300mgNE、18歳以上の女性250mgNEと設定されています。





 熱に強いため、加熱調理してもナイアシンは失われにくいといった特性があります。





 ナイアシンは、たらこ、マグロ、サバなどの魚介類、鶏肉などに多く含まれています。



パントテン酸


 パントテン酸は、もともと酵母の成長を促進する物質として発見され、至るところに存在する酸という意味で命名されました。この名の示す通り、さまざまな食品に含まれているので、通常の食事をしていれば、不足することはまずありません。





 パントテン酸は、コエンザイムAなどとして細胞内に存在しており、食品として摂取すると、消化管でパントテン酸にまで分解されたのち、体内に吸収されます。





 パントテン酸は体内で活性化され、エネルギー産生に重要な役割を果たしているコエンザイムAなどの成分となります。コエンザイムAはアセチルCoAとして、クエン酸回路(TCA回路)や脂肪酸の代謝系において、重要な役割を果たすほか、体内で起こるさまざまな酵素反応に関与しています。また、善玉コレステロールの増加、ホルモンや抗体の産生などにも関わっています。





 食事摂取基準では、パントテン酸の1日に摂取する目安量を、18歳以上の男性5mg、18〜49歳の女性で4mg、50歳以上の女性で5mgと定めています。パントテン酸単独での大量摂取による健康被害は報告されていないため、耐容上限量は設定されていません。





 パントテン酸は、鶏肉や納豆などに多く含まれています。



葉酸


 葉酸は、プテロイルモノグルタミン酸などの総称です。植物の葉に多く含まれ、光や熱に不安定な物質です。ビタミンB12とともに赤血球を作るので造血のビタミンといわれています。





 食品中では、葉酸はほとんどがポリグルタミン酸型として存在しています。調理や消化の過程で、モノグルタミン酸型に変換され、小腸から吸収されます。細胞内で再びポリグルタミン酸型となり、補酵素として機能します。





 葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の産生をサポートするビタミンです。また、代謝に関与し、DNAやRNAなどの核酸、たんぱく質の生合成を促進し、細胞の産生や再生を助けることから、体の発育に重要なビタミンです。葉酸は細胞の分裂を左右するため、特に胎児にとっては重要な栄養成分です。妊婦が葉酸を十分に摂取することで、胎児の先天異常のリスクを減らすことができます。





 食事摂取基準では、葉酸の1日の摂取推奨量を18歳以上の男女ともに240μgとしています。妊娠している女性は、胎児の先天異常のリスクを低減するため、1日240μgの追加摂取が推奨されています。





 通常の食事をしている場合は、過剰摂取による健康障害の心配はまずありません。





 葉酸は、鶏レバー、野菜、果物に多く含まれています。ただし、熱に弱いため、生で食べられる野菜や果物から摂取する必要があります。



ビオチン


 ビオチンは、酵母の増殖に必要な因子として発見されました。水やアルコールに溶けやすく、熱、光、酸に対しては安定ですが、アルカリに対しては不安定です。 





 ビオチンは、体内ではほとんどがたんぱく質と結合した状態で存在します。消化の過程でたんぱく質が分解されると、ビオチンが遊離し、主に空腸から吸収されます。





 体内でビオチンは、糖代謝に関与する酵素、脂肪酸代謝に関与する酵素、アミノ酸の代謝に関与する酵素の補酵素として、エネルギーをつくり出すサポートをしています。また、皮膚や粘膜の維持、爪や髪の健康に深く関わっており、不足するとアトピー性皮膚炎や脱毛などの皮膚症状や食欲不振、うつなどの症状が現れます。





 食事摂取基準では、ビオチンの1日の摂取の目安量を18歳以上の男女とも50μgとしています。過剰に摂取しても尿として排出されやすく、過剰摂取による健康被害は報告されていません。





 ビオチンは、さまざまな食品に含まれている上、腸内細菌によっても合成されるので、通常の食生活では欠乏することはないと考えられています。





 ビオチンは、しいたけ、きくらげ、マイタケなどのきのこ類、肉、魚介類、卵に多く含まれています。



まとめ


 ビタミンB群は、栄養素の代謝に関わっているビタミンです。ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類を指します。





  ビタミンB群の主な働きは、エネルギー代謝の補酵素です。補酵素は、代謝を円滑に進める働きがあります。エネルギー源や体の構成成分となる糖質、脂質、たんぱく質だけを摂取しても、ビタミンB群が不足していると代謝はスムーズに行われません。





 ビタミンB1は、ぶどう糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素です。ビタミンB1が不足すると、糖質がエネルギーに変換されにくくなり、疲労の原因になる可能性があります。ビタミンB1が豊富な食材は、豚肉、玄米、大豆製品などです。





 ビタミンB2は、糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生に関与する酵素の補酵素として働きます。発育のビタミンとも言われ、発育促進に重要な役割を果たすほか、皮膚、髪、爪などの細胞の再生にも関与しています。ビタミンB2が多く含まれる食材は、豚レバー、魚、卵、モロヘイヤ、ホウレンソウ、乳製品、納豆、ナッツ類などです。





 ビタミンB6は、酵素の働きを助ける補酵素として多くのアミノ酸の代謝をサポートします。免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成といった生理作用もあり、脂質の代謝にも関与しています。ビタミンB6が不足すると、皮膚炎、舌炎、口内炎、口角症、貧血、リンパ球減少症になります。ビタミンB6は、魚介類、豚肉、鶏肉、野菜、玄米などに多く含まれています。食事以外では腸内細菌によって合成され、供給されます。





 ビタミンB12は、補酵素としてたんぱく質や核酸の生合成、アミノ酸や脂肪酸の代謝に関与しています。また、葉酸とともに骨髄で正常な赤血球をつくります。ビタミンB12が不足すると造血作用がうまく働かず、貧血になります。ビタミンB12は、牡蠣、あさり、サバ、ホタテ、ホッケなどの魚介類に多く含まれています。





 ナイアシンは、補酵素として糖質、脂質、たんぱく質の代謝やエネルギー産生に関与しています。また、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、アデノシン3リン酸(ATP)産生、DNAの修復や合成、細胞分化など幅広い反応に関与しています。ナイアシンは、大量摂取した際に副作用として、消化不良、重篤な下痢、便秘、肝機能低下、劇症肝炎など消化器系や肝臓に障害が生じた例が報告されています。ナイアシンは、たらこ、マグロ、サバなどの魚介類、鶏肉などに多く含まれています。





 パントテン酸は体内で活性化され、エネルギー産生に重要な役割を果たしているコエンザイムAなどの成分となります。コエンザイムAはアセチルCoAとして、クエン酸回路(TCA回路)や脂肪酸の代謝系において、重要な役割を果たすほか、体内で起こるさまざまな酵素反応に関与しています。また、善玉コレステロールの増加、ホルモンや抗体の産生などにも関わっています。パントテン酸は、鶏肉や納豆などに多く含まれています。





 葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の産生をサポートするビタミンです。また、代謝に関与し、DNAやRNAなどの核酸、たんぱく質の生合成を促進し、細胞の産生や再生を助けることから、体の発育に重要なビタミンです。葉酸は細胞の分裂を左右するため、特に胎児にとっては重要な栄養成分です。妊婦が葉酸を十分に摂取することで、胎児の先天異常のリスクを減らすことができます。葉酸は、鶏レバー、野菜、果物に多く含まれています。ただし、熱に弱いため、生で食べられる野菜や果物から摂取する必要があります。





 ビオチンは、糖代謝に関与する酵素、脂肪酸代謝に関与する酵素、アミノ酸の代謝に関与する酵素の補酵素として、エネルギーをつくり出すサポートをしています。また、皮膚や粘膜の維持、爪や髪の健康に深く関わっており、不足するとアトピー性皮膚炎や脱毛などの皮膚症状や食欲不振、うつなどの症状が現れます。ビオチンは、さまざまな食品に含まれている上、腸内細菌によっても合成されるので、通常の食生活では欠乏することはないと考えられています。ビオチンは、しいたけ、きくらげ、マイタケなどのきのこ類、肉、魚介類、卵に多く含まれています。



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2021年02月05日

【生活の質】QOLと食事の精神的な効果


 最近QOL(quality of life/クオリティ オブ ライフ/生活の質)という言葉を耳にすることが、多くなっています。QOLとは、より多くよりもより良くという価値観であり、物質的な豊かさに満たされた生活ではなく、日々充実し心身が満たされた生活に焦点をあてた考え方です。食生活についても、QOLを高める食事という表現が用いられます。





 食べるという行為は、食べ物を認知する、食べたい、食べ物を口に運ぶ、咀嚼する、飲み込むといった連続の動作から成り立っています。しかしながら、食べることは、単に食物を摂取する、あるいは栄養を摂るという意味だけには留まりません。





 食べることは、精神的な健康感にも大きく影響し、美味しい、楽しいといった充足感、あるいは食事を介した家族や社会とのつながりなどにより、自身を大切にしたい、自身が大切にされているという自尊の感情を得ることもできます。このことは、高齢期において活動的な日常生活を支える生きがいともなり、活動的な高齢期を過ごすことが可能となります。





 WHOは、1994年にQOLを「個人が生活する文化や価値観の中で、目標、期待、基準、関心に関連した自身の人生の状況に対する認識と定義しています。人が何を幸せとするかによって、QOLは向上もしくは低下します。





 ADL(Activity of Daily Life/日常生活動作)は、日常生活をおくるために必要な基本的な動作である食事、更衣、排泄、入浴、容姿を整えること、移動などを指します。ADLができても、生活の質が低ければQOLは低くなり、反対にADLができなくとも、自身の意思が尊重されていれば、QOLは高くなります。





 加齢が進むと若いころと比べて、食欲が低下することが知られています。次に運動不足による筋力の低下などが起き、体全体が必要とするエネルギー量は減少し、それに伴って食事の量も減っていくと考えられています。味覚や嗅覚の低下も食欲に大きな影響を与え、料理の味や香りを感じなくなれば、食欲も進まなくなると考えられます。





 具体的なQOLを高める食事としては、5感を刺激する食事であり、盛り付けの美しさや香り、調和の取れた味、食材、そして季節を楽しむといった文化的な要素も必要となってきます。偏った食事では、QOLを高める食事から遠ざかってしまいます。食事の持つ精神的な効果について考えることが大切ではないでしょうか。



QOL(クオリティ オブ ライフ/生活の質)と食事


 最近QOL(quality of life/クオリティ オブ ライフ/生活の質)という言葉を耳にすることが、多くなっています。QOLの概念に注目が集まってきたのは、1970年代頃まで遡ります。技術の進歩によって、物が簡単に豊富に手に入るようになったことから、生活の豊かさを評価する基準が、量ではなく、質の良さになってきたことがきっかけと考えられます。つまり、QOLとは、より多くよりもより良くという価値観であり、物質的な豊かさに満たされた生活ではなく、日々充実し心身が満たされた生活に焦点をあてた考え方です。食生活についても、QOLを高める食事という表現が用いられます。





 人が健康的な日常生活を維持するためには、朝食、睡眠、喫煙、間食、飲酒、運動、体重のコントロールといった7つの健康習慣が必要とされています。現在では、これらを健康習慣の指標として、個人のライフスタイルにおける食習慣、環境、体質面などの改善を行い、QOLの向上を目指す取り組みがなされています。食事におけるQOLの向上とは、いったい何を意味しているのでしょうか。





 食べるという行為は、食べ物を認知する、食べたい、食べ物を口に運ぶ、咀嚼する、飲み込むといった連続の動作から成り立っています。しかしながら、食べることは、単に食物を摂取する、あるいは栄養を摂るという意味だけには留まりません。





 食べることは、精神的な健康感にも大きく影響し、美味しい、楽しいといった充足感、あるいは食事を介した家族や社会とのつながりなどにより、自身を大切にしたい、自身が大切にされているという自尊の感情を得ることもできます。このことは幼児期、学童期などでは健全な発育の基本となり、高齢期では活動的な日常生活を支える生きがいともなり、活動的な高齢期を過ごすことが可能となります。





 具体的なQOLを高める食事としては、5感を刺激する食事であり、盛り付けの美しさや香り、調和の取れた味、食材、そして季節を楽しむといった文化的な要素も必要となってきます。偏った食事では、QOLを高める食事から遠ざかってしまいます。





 毎日の食事の中で、QOLを高める食事をすることは現実的ではないかもしれません。ですが、食事の持つ精神的な効果について考えることが大切ではないでしょうか。



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QOLの定義と評価基準


 現代のQOLの概念は、どのように定義されているのでしょうか。QOLが研究され始めてから半世紀が経ちますが、その定義は多種多様で、未だに議論が交わされているのが現状です。





 WHOは、1994年にQOLを「個人が生活する文化や価値観の中で、目標、期待、基準、関心に関連した自身の人生の状況に対する認識と定義しています。評価基準として、国際間比較が可能なWHO/QOLと呼ばれるQOL基本調査票を開発しました。





 基本調査票は、QOLの構成領域を身体的領域、心理的領域、自立のレベル、社会的関係、生活環境、信念の6領域に設定し、各領域をさらに細分化して質問を設け、その回答を点数として集計する評価法です。受検者自身が、過去の生活を振り返って、主観的幸福感、つまり生活の質を測定します。点数が高ければ質が高く、低ければ低いということになります。



QOLを向上あるいは低下させる要因


 人が何を幸せとするかによって、QOLは向上もしくは低下します。家族の役に立つことに幸せを見出しているとすれば、自身が不自由の身となった場合、家族の役に立たないと感じ、フラストレーションを感じることになります。このような中でも、家族のサポートを得て家族にできる範囲のことをなすといった、その人が幸せを見出せる環境をつくることで、QOLは向上します。一方、家族に迷惑をかけたくないと考えている場合、家族のサポートですら仇となり、QOLは低下します。つまり、サポートを受けることによって、人が家族に迷惑をかけてしまっていると感じ、ストレスに繋がってしまうからです。





 QOLの向上は、何をもって幸せとするかが基準となるので、状況によってサポートの有無は、変化する可能性があります。



QOLとADL(日常生活動作)


 ADL(Activity of Daily Life/日常生活動作)は、日常生活をおくるために必要な基本的な動作である食事、更衣、排泄、入浴、容姿を整えること、移動などを指します。





 長い時間をかけて衣服を着替え、自分の足で歩くことで、目的とする活動の時間が減ってしまうよりも、サポートを得てADLに費やす時間を短縮し、目的とする活動時間をしっかりと確保できる方が、人の自立度としては高くなるとのことです。





 ADLができても、生活の質が低ければ満足度は低くなり、反対にADLができなくとも、自身の意思が尊重されていれば、QOLは高くなります。



加齢による変化と栄養摂取


 加齢が進むと若いころと比べて、食欲が低下することが知られています。次に運動不足による筋力の低下などが起き、体全体が必要とするエネルギー量は減少し、それに伴って食事の量も減っていくと考えられています。味覚や嗅覚の低下も食欲に大きな影響を与え、料理の味や香りを感じなくなれば、食欲も進まなくなると考えられます。





 このことに対して、食べたいときに少しずつでも食べること、自分の力で食事を摂取すること、食事の時間が楽しくなる雰囲気づくりを心がけること、バランスに注意してエネルギー源でもある肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質を毎日摂取することなど、さまざまな環境で生活に必要な栄養素の摂取を心がける取り組みがなされています。





 厚生労働省では、栄養摂取について以下のようにまとめています。





 食事によって体内にとり込まれた食べ物は、そのままの状態で血や肉になるわけではありません。消化吸収された後、分解、合成を経て、健康を保つために必要な成分に変えられます。このことを代謝といい、これらの一連の生命活動のことを栄養といいます。この生命活動のために、食べ物から摂取される栄養成分が栄養素です。





 栄養素の主な働きは、エネルギーになること、体をつくること、体の調子を整えることです。 エネルギーになるのは、糖質、脂質、たんぱく質で、これらを3大栄養素といいます。脂質とたんぱく質は、体をつくる原材料となります。





 体内では、生命を維持するため、食事で摂取する栄養素から細胞がつくられています。内臓の各器官の働きを整え、代謝をスムーズにするにも栄養素が必要です。3大栄養素に体の調子を整えるビタミン、ミネラルを加えたものを5大栄養素といい、生命活動の基本となります。





 たんぱく質は、筋肉、内臓、皮膚、髪の毛など体のさまざまな部分を作り出す栄養素です。たんぱく質は、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の2つに分類することができ、動物性たんぱく質は、肉、魚介類、卵、乳製品などから摂取することができます。植物性たんぱく質は、大豆をはじめとした豆類に多く含まれています。動物性と植物性のそれぞれのたんぱく質をバランスよく摂取することが良いとされています。





 脂質は、体内で神経組織や細胞膜、ホルモンなどをつくり出す栄養素です。脂身を含む肉、レバー、バターなどに多く含まれています。体を動かすエネルギー源として使われています。





 糖質は、体を動かすエネルギー源と使用される栄養素です。脂質と比較すると燃焼が早くすぐにエネルギーとして使われます。糖質は主食である白米、めん類、パンなどに多く含まれています。





 ビタミンは13種類あり、それぞれ役割が異なります。他の栄養素の吸収を助けたり、血液の循環を良くしたりします。ビタミンは、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分類されます。水溶性ビタミンは、体の中にためておくことができず、毎日の食事から摂取することが大切です。ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCなどがあります。脂溶性ビタミンは、排出されにくい特徴があります。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの4種類です。主に野菜や果物に多く含まれています。





 ミネラルは主に骨や歯をつくり出す栄養素です。不足すると骨密度が低下して骨粗しょう症になりやすくなると言われています。ミネラルには、カルシウム、マグネシウム、鉄、ナトリウムなどがあります。これらの栄養素も毎日の食事から摂取する必要があります。ビタミンと同じように過剰摂取は逆効果となるので、必要量を考えることが必要です。主に海藻、小魚、乳製品などに多く含まれています。



まとめ


 最近QOL(quality of life/クオリティ オブ ライフ/生活の質)という言葉を耳にすることが、多くなっています。QOLとは、より多くよりもより良くという価値観であり、物質的な豊かさに満たされた生活ではなく、日々充実し心身が満たされた生活に焦点をあてた考え方です。食生活についても、QOLを高める食事という表現が用いられます。





 食べるという行為は、食べ物を認知する、食べたい、食べ物を口に運ぶ、咀嚼する、飲み込むといった連続の動作から成り立っています。しかしながら、食べることは、単に食物を摂取する、あるいは栄養を摂るという意味だけには留まりません。





 食べることは、精神的な健康感にも大きく影響し、美味しい、楽しいといった充足感、あるいは食事を介した家族や社会とのつながりなどにより、自身を大切にしたい、自身が大切にされているという自尊の感情を得ることもできます。このことは、高齢期において活動的な日常生活を支える生きがいともなり、活動的な高齢期を過ごすことが可能となります。





 WHOは、1994年にQOLを「個人が生活する文化や価値観の中で、目標、期待、基準、関心に関連した自身の人生の状況に対する認識と定義しています。人が何を幸せとするかによって、QOLは向上もしくは低下します。





 ADL(Activity of Daily Life/日常生活動作)は、日常生活をおくるために必要な基本的な動作である食事、更衣、排泄、入浴、容姿を整えること、移動などを指します。ADLができても、生活の質が低ければQOLは低くなり、反対にADLができなくとも、自身の意思が尊重されていれば、QOLは高くなります。





 加齢が進むと若いころと比べて、食欲が低下することが知られています。次に運動不足による筋力の低下などが起き、体全体が必要とするエネルギー量は減少し、それに伴って食事の量も減っていくと考えられています。味覚や嗅覚の低下も食欲に大きな影響を与え、料理の味や香りを感じなくなれば、食欲も進まなくなると考えられます。





 具体的なQOLを高める食事としては、5感を刺激する食事であり、盛り付けの美しさや香り、調和の取れた味、食材、そして季節を楽しむといった文化的な要素も必要となってきます。偏った食事では、QOLを高める食事から遠ざかってしまいます。食事の持つ精神的な効果について考えることが大切ではないでしょうか。



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2021年02月04日

【栄養豊富な玄米の表面】米ぬか


 玄米の表面を削って精米するとできるのが米ぬかです。この中には玄米に含まれる栄養素の多くが含まれています。米ぬかは、胚芽、胚芽を保護する種皮、果皮で構成されています。胚芽にはビタミン、ミネラル、フィチン酸などの成分を有し、種皮や果皮には食物繊維などの成分が豊富に含まれています。





 新鮮な米ぬかは、ほんのり甘味があります。米ぬかは精米後、酸化しやすいことから、出来る限り新鮮なものを使用します。





 米ぬかに含まれるフィチン酸は、酸味を呈し、熱や酸に弱い性質があります。フィチン酸は、人の細胞を含め、あらゆる動物の細胞内にも存在しています。人では心筋や脳、骨格筋などに多く含まれており、細胞機能を制御する役割を担っています。フィチン酸は、リンの主な貯蔵形態となり、リンの供給源という役割を持っています。フィチン酸には非常に強い抗酸化作用があり、活性酸素を除去する働きがあります。また、フィチン酸は、血小板の凝集を抑制する働きがあるため、血液凝固を予防する効果が期待されます。さらにフィチン酸は、カルシウム結晶の生成を阻止し、尿中のカルシウムレベルを低下させる効果があります。





 米ぬかに含まれるイノシトールは、後引きのないすっきりした甘みを持っています。イノシトールは、食品添加物として認められています。イノシトールには、脂肪肝を防ぐ効果があります。また、イノシトールは、リン脂質の構成成分で、特に神経細胞の膜に多く存在しています。リン脂質は、脳細胞に栄養を供給することや神経の働きを正常に保つ働きを担っています。





 米ぬかに含まれるフェルラ酸は、ポリフェノールの1種で、酸化防止、紫外線吸収機能が認められ、医薬品や食品、化粧品などの原材料として使用されています。食品業界でフェルラ酸は、食品の酸化防止剤として、抹茶の退色防止、バナナの黒変防止、グリーンピースの色調保持、抹茶の退色防止などに用いられています。フェルラ酸は、食品添加物として認められています。また、フェルラ酸は、傷ついた脳細胞を修復し、細胞が死滅することを防いでくれる脳細胞保護作用があるため、学習記憶向上作用も期待されます。さらにフェルラ酸は、紫外線の吸収やメラニンの生成を抑制することから、美白の効果が報告されています。





 米ぬかに含まれるγ-オリザノールは、ポリフェノールの1種です。無味、無臭で、熱安定性が高いため、優れた抗酸化作用を発揮すると言われています。γ-オリザノールは、血管を広げて血行を良くする効果、善玉コレステロールを増加させ、悪玉コレステロールを減らす作用があります。また、γ-オリザノールは、脳の視床下部に直接働きか、自律神経失調症に効果を発揮します。





 米ぬかに含まれる食物繊維は、ビフィズス菌をはじめとした腸内細菌のエサとなるほか、整腸作用、老廃物排出効果があります。





 米ぬかを使用したぬか漬けは、野菜などに含まれている乳酸菌や酵母をぬか床で繁殖させ、 食材を発酵させたものです。ぬか漬けは、発酵により酸味やうま味などの呈味成分が生じます。野菜を一晩漬けておくだけでも、 美味しい漬物ができます。



米ぬか


 玄米の表面を削って精米するとできるのが米ぬかです。この中には玄米に含まれる栄養素の90%以上が含まれています。米ぬかは、胚芽、胚芽を保護する種皮、果皮で構成されています。胚芽にはビタミン、ミネラル、フィチン酸などの成分を有し、種皮や果皮には食物繊維などの成分が豊富に含まれています。お米の健康に寄与する部分を削りとったのが、米ぬかです。





 米ぬかは、便通改善、整腸作用、肌荒れ解消、花粉症改善、血液をサラサラにする働き、血糖値低下などにつながる栄養成分をたくさん含んでいます。



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 米ぬかを1食あたり大さじ1杯程度摂取すれば、精白米を食べていても理論上は玄米を食べたのと同じだけの栄養が取れるということになります。新鮮な米ぬかは、ほんのり甘味があります。米ぬかは精米後、酸化しやすいことから、出来る限り新鮮なものを使用します。



米ぬかの機能性成分


 米ぬかは、多くの成分を含んでおり、優れた機能性を有しています。





・フィチン酸





 米ぬかに含まれるフィチン酸は、酸味を呈し、熱や酸に弱い性質があります。米ぬか以外にも小麦、豆類などに多く含まれています。小麦などの種子では、「ふすま」と呼ばれる外被に多く含まれていますが、通常精米やふすまを取り除く処理によってフィチン酸が失われてしまいます。また、ミネラルと強く結合し、複合体を形成する性質があります。特に、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、カルシウムに結合しやすいといわれています。





 フィチン酸は、米ぬかなどに含まれるだけでなく、人の細胞を含め、あらゆる動物の細胞内にも存在しています。人では心筋や脳、骨格筋などに多く含まれており、細胞機能を制御する役割を担っています。





 フィチン酸は、エネルギーの原材料となるリンの供給源であることが知られています。リンはあらゆる細胞でエネルギー源となるアデノシン3リン酸(ATP)の構成成分となる栄養素です。フィチン酸は、リンの主な貯蔵形態となり、リンの供給源という役割を持っています。





 フィチン酸には非常に強い抗酸化作用があります。人が体内でエネルギーをつくるときに活性酸素が発生します。フィチン酸は、活性酸素を除去する働きがあります。





 血液の成分である血小板が凝集すると血栓が形成され、動脈硬化や心筋梗塞などの心臓血管系の疾患を引き起こす可能性があります。フィチン酸は、血小板の凝集を抑制する働きがあるため、血液凝固を予防する効果が期待されます。イ





 尿中のカルシウム値が高いと体内に腎結石ができる可能性が高まります。腎結石の原因は、結晶性物質の過剰な蓄積といわれており、その80〜90%はシュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムです。フィチン酸は、カルシウム結晶の生成を阻止し、尿中のカルシウムレベルを低下させる効果があります。フィチン酸を高含有する米ぬかは、高カルシウム尿症と腎結石の治療に用いられています。





・イノシトール





 米ぬかに含まれるイノシトールは、 糖アルコールの1種です。体内ではぶどう糖から合成され、細胞膜に多く含まれています。後引きのないすっきりした甘みを持っています。





 イノシトールは、食品添加物として認められています。人の初乳にも含まれ、乳児に欠かすことのできない栄養素であることから、粉ミルクにも添加されています。





 イノシトールには、脂肪肝を防ぐ効果があります。脂肪の流れを良くして、肝臓に余分な脂肪が蓄積しないようにコントロールする働きを担っています。血管や肝臓の脂肪やコレステロールの流れも改善させるため、脂肪分の多い食事やお酒を飲む量が多い場合は、イノシトールを十分に摂取することで、血管にコレステロールがたまって生じる動脈硬化の予防も期待されます。





 イノシトールは、リン脂質の構成成分です。リン脂質は細胞膜に含まれている成分で、特に神経細胞の膜に多く存在しています。リン脂質は、脳細胞に栄養を供給することや神経の働きを正常に保つ働きを担っています。そのため、リン脂質の構成要素のイノシトールは、神経の伝達や脳の活動を正常に保つ上で不可欠な成分です。





・フェルラ酸





 米ぬかに含まれるフェルラ酸は、ポリフェノールの1種で、酸化防止、紫外線吸収機能が認められ、医薬品や食品、化粧品などの原材料として使用されています。自然界では、植物の細胞壁やγ-オリザノールの構成成分として存在します。





 食品業界でフェルラ酸は、食品の酸化防止剤として、抹茶の退色防止、バナナの黒変防止、グリーンピースの色調保持、抹茶の退色防止などに用いられています。フェルラ酸は、食品添加物として認められており、フェルラ酸が含まれる米ぬか油抽出物も同様に酸化防止剤として使用されます。





​ フェルラ酸には、脳神経保護作用があることが動物実験を使った実験で明らかとなっています。脳神経細胞は、老化やアルツハイマー型認知症で減少します。フェルラ酸は、傷ついた脳細胞を修復し、細胞が死滅することを防いでくれる脳細胞保護作用があるため、学習記憶向上作用も期待されます。





 フェルラ酸は、紫外線の吸収やメラニンの生成を抑制することから、美白の効果が報告されています。肌のシミやくすみ、そばかすの原因となるメラニン色素を生み出すチロシナーゼという酵素に直接働きかけることで、メラニンの生成を抑制し、肌の色素沈着防止効果が期待されます。





・γ-オリザノール





 米ぬかに含まれるγ-オリザノールは、ポリフェノールの1種です。無味、無臭で、熱安定性が高いため、優れた抗酸化作用を発揮すると言われています。





 γ-オリザノールは、生活習慣病の予防や改善効果が期待されています。血管を広げて血行を良くする効果、善玉コレステロールを増加させ、悪玉コレステロールを減らす作用があります。コレステロールは、動脈硬化の原因になる一方、細胞膜を形成すること、神経伝達に関与することなど体を維持する上で大切な役割を持っています。コレステロールは大きく2種類に分けられます。悪玉コレステロールは、動脈硬化を招く原因となり、善玉コレステロールは体内で余剰のコレステロールを回収し、肝臓でホルモンなどとして再利用できるように働きかけます。重要なことは、この2種類のコレステロールのバランスが取れていることです。γ-オリザノールは、増えすぎた悪玉コレステロールを減らす作用でバランスを整え、生活習慣病のひとつである脂質異常症の予防効果があります。





 γ-オリザノールは、脳の視床下部に直接働きか、自律神経失調症に効果を発揮します。自律神経失調症は、ストレス、過労、睡眠不足、更年期障害が原因で引き起こされます。症状としては、めまい、動悸、倦怠感、頭痛などです。γ-オリザノールは自、律神経の働きをサポートし、症状の緩和に効果があります。また、認知症の治療薬としても用いられています。





・食物繊維





 米ぬかは、100gあたり水溶性食物繊維2.2g、不溶性食物繊維18.3gを含んでいます。食物繊維は、ビフィズス菌をはじめとした腸内細菌のエサとなるほか、整腸作用、老廃物排出効果があります。不足すると心疾患や糖尿病などの原因になります。



ぬか漬け


 米ぬかと言えばぬか漬けです。 ぬか漬けは、野菜などに含まれている乳酸菌や酵母をぬか床で繁殖させ、 食材を発酵させたものです。





 ぬか漬けは、発酵により酸味やうま味などの呈味成分が生じます。野菜を一晩漬けておくだけでも、 美味しい漬物ができます。





 また、ぬか漬けにみかんの皮、にんにく、昆布、山椒などを加えることで、違った風味を楽しむことができます。



まとめ


 玄米の表面を削って精米するとできるのが米ぬかです。この中には玄米に含まれる栄養素の多くが含まれています。米ぬかは、胚芽、胚芽を保護する種皮、果皮で構成されています。胚芽にはビタミン、ミネラル、フィチン酸などの成分を有し、種皮や果皮には食物繊維などの成分が豊富に含まれています。





 新鮮な米ぬかは、ほんのり甘味があります。米ぬかは精米後、酸化しやすいことから、出来る限り新鮮なものを使用します。





 米ぬかに含まれるフィチン酸は、酸味を呈し、熱や酸に弱い性質があります。フィチン酸は、人の細胞を含め、あらゆる動物の細胞内にも存在しています。人では心筋や脳、骨格筋などに多く含まれており、細胞機能を制御する役割を担っています。フィチン酸は、リンの主な貯蔵形態となり、リンの供給源という役割を持っています。フィチン酸には非常に強い抗酸化作用があり、活性酸素を除去する働きがあります。また、フィチン酸は、血小板の凝集を抑制する働きがあるため、血液凝固を予防する効果が期待されます。さらにフィチン酸は、カルシウム結晶の生成を阻止し、尿中のカルシウムレベルを低下させる効果があります。





 米ぬかに含まれるイノシトールは、後引きのないすっきりした甘みを持っています。イノシトールは、食品添加物として認められています。イノシトールには、脂肪肝を防ぐ効果があります。また、イノシトールは、リン脂質の構成成分で、特に神経細胞の膜に多く存在しています。リン脂質は、脳細胞に栄養を供給することや神経の働きを正常に保つ働きを担っています。





 米ぬかに含まれるフェルラ酸は、ポリフェノールの1種で、酸化防止、紫外線吸収機能が認められ、医薬品や食品、化粧品などの原材料として使用されています。食品業界でフェルラ酸は、食品の酸化防止剤として、抹茶の退色防止、バナナの黒変防止、グリーンピースの色調保持、抹茶の退色防止などに用いられています。フェルラ酸は、食品添加物として認められています。また、フェルラ酸は、傷ついた脳細胞を修復し、細胞が死滅することを防いでくれる脳細胞保護作用があるため、学習記憶向上作用も期待されます。さらにフェルラ酸は、紫外線の吸収やメラニンの生成を抑制することから、美白の効果が報告されています。





 米ぬかに含まれるγ-オリザノールは、ポリフェノールの1種です。無味、無臭で、熱安定性が高いため、優れた抗酸化作用を発揮すると言われています。γ-オリザノールは、血管を広げて血行を良くする効果、善玉コレステロールを増加させ、悪玉コレステロールを減らす作用があります。また、γ-オリザノールは、脳の視床下部に直接働きか、自律神経失調症に効果を発揮します。





 米ぬかに含まれる食物繊維は、ビフィズス菌をはじめとした腸内細菌のエサとなるほか、整腸作用、老廃物排出効果があります。





 米ぬかを使用したぬか漬けは、野菜などに含まれている乳酸菌や酵母をぬか床で繁殖させ、 食材を発酵させたものです。ぬか漬けは、発酵により酸味やうま味などの呈味成分が生じます。野菜を一晩漬けておくだけでも、 美味しい漬物ができます。



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2021年02月03日

【ほぼ無料】体温上昇で得られる健康効果


 自身の平熱を知っていますか。ある企業が10〜50歳前後の健康な男女3,000人に対し、実測で30分測ったときの体温の平均値は、脇下検温で36.89±0.34℃となります。つまり、36.6〜37.2℃の間であれば、普通です。この範囲に入るのは全体の70%程度ですので、この範囲からずれていても、問題ありません。





 昨今36℃以下という低体温の人が増えているようです。低体温は、免疫機能と大きなかかわりがあり、放置するとさまざまな症状が現れることがあります。体温が上がると血液の流れがよくなり、免疫機能が高まります。血液の中に免疫機能を持った白血球が存在し、白血球が体中をめぐることで、異物をパトロールしています。すなわち、体温が下がると血流が悪くなり、免疫機能が低下し、体内で異物を発見しても、素早く除去してくれる白血球を集まりにくくなり、ウイルスや細菌に負けて、発病しやすくなります。免疫細胞の中には、がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞があります。体温が36.5℃以上で活発に働きます。NK細胞が活性化すると、感染症などになりにくくなります。健康を維持する免疫機能は、体温が下がると低下することがわかっています。体温が正常に保たれていれば、免疫機能が正常に働き、健康が保たれることになります。





 低体温の原因の9割は筋肉量の低下と考えられています。理由のひとつとして、現在の生活習慣があげられます。現代は家電の拡充によって、日々の生活における運動量は大幅に低下しています。運動量の低下にともなって、筋肉量が減少します。筋肉は最も多くの熱を発生させます。筋肉量が少なくなることに伴い、体温が下がり、基礎代謝も下がります。基礎代謝が低下すれば、エネルギーが消費されにくくなり、内臓の脂肪が増加することになります。内臓の脂肪細胞から、20種類以上の生理活性物質が分泌されることがわかっています。内臓脂肪の蓄積は、これらの生理活性物質の産生、分泌に異常をきたし、血液中の悪玉物質が増加する一方、善玉物質の血中濃度を低下させることで、動脈硬化を直接的に促進し、糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクを高めます。また、人間関係などで生じるストレスによって分泌されるホルモンは、筋肉を分解することでストレスを緩和するため、ストレスが強いと筋肉が減少し、低体温を招くこともあります。





 対応を上昇させる方法としては、1日30分歩くことです。筋肉を維持するために、毎日の生活で適度な負荷をかけ続けます。人の筋肉の70%は下半身にあるので、歩くことは効率よく筋肉を鍛えることになります。毎日続ければ3ヶ月後には成果が出ます。体温の1番低い朝に歩くことで、0.7〜1.0℃体温が上昇します。毎朝、体温を高めることで1日の体調がよくなるとともに、有酸素運動で内臓脂肪を減らすこともできます。また、お風呂に10分程度つかれば、体温が1℃程度上がります。入浴後、必要な筋肉がつくとともに下半身の脂肪が落ちるスクワットを行えば、入浴と運動で体温が上がり、眠りやすくなります。さらに朝は1日の中で最も体温が低い状態です。朝起きたら白湯を飲み、寝る前にも白湯を飲むことで体が温まります。体が冷えることで血流が悪くなることから、体を冷やさないように、体の外側からの工夫も必要です。ストレスによる体温の低下を防ぐためには、ストレスを緩和する成分であるγ-アミノ酪酸(GABA)を多く含む食品を意識的に摂取します。玄米、かぼちゃ、ジャガイモなどに多く含まれています。





 体温が上がることで、基礎代謝が向上し、太りにくく、ストレスに強く、免疫機能が高まり、病気になりにくい健康な体となります。



体温の体への影響


 自身の平熱を知っていますか。ある企業が10〜50歳前後の健康な男女3,000人に対し、実測で30分測ったときの体温の平均値は、脇下検温で36.89±0.34℃となります。つまり、36.6〜37.2℃の間であれば、普通です。この範囲に入るのは全体の70%程度ですので、この範囲からずれていても、問題ありません。平熱にも個人差があります。正しい測り方をすれば、37℃はむしろ平均的な平熱の範囲内です。





 昨今36℃以下という低体温の人が増えているようです。低体温は、免疫機能と大きなかかわりがあり、放置するとさまざまな症状が現れることがあります。体温が上がると血液の流れがよくなり、免疫機能が高まります。血液は、体を構成する約60兆個もの細胞に栄養と酸素を送り届け、老廃物を排泄する働きをしています。血液の中に免疫機能を持った白血球が存在し、白血球が体中をめぐることで、異物をパトロールしています。すなわち、体温が下がると血流が悪くなり、免疫機能が低下し、体内で異物を発見しても、素早く除去してくれる白血球を集まりにくくなり、ウイルスや細菌に負けて、発病しやすくなります。白血球は、外界からのウイルスや細菌だけでなく、がん細胞が体の中にできる度に攻撃し、死滅させています。健康な人でもがん細胞は、1日に5,000個も生じています。1つでも免疫機能をかいくぐって生き残ると増殖し、やがてがんとなります。





 免疫細胞の中には、がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞があります。体温が36.5℃以上で活発に働きます。NK細胞が活性化すると、感染症などになりにくくなります。





 健康を維持する免疫機能は、体温が下がると低下することがわかっています。体温が正常に保たれていれば、免疫機能が正常に働き、健康が保たれることになります。身近であまり風邪をひかない人は、平熱が高い人が多いです。なお、体温が1℃下がると、免疫機能が30%低下すると言われています。





 まずは、自身の平熱を知り、低体温を克服して、血流をよくしておくことが、免疫機能の向上につながります。自身の平熱を知るには、3〜4日間にわたり朝、昼、夜の体温を測って平均値を出します。現在の日本人の平均は、36.2℃です。自身の平熱は、どの位でしょうか。



現代に多い低体温の原因


 低体温の原因の9割は筋肉量の低下と考えられています。理由のひとつとして、現在の生活習慣があげられます。現代は家電の拡充によって、日々の生活における運動量は大幅に低下しています。





 運動量の低下にともなって、筋肉量が減少します。筋肉は最も多くの熱を発生させます。筋肉量が少なくなることに伴い、体温が下がり、基礎代謝も下がります。基礎代謝は、じっとしているときでも体内でエネルギーを消費していることです。基礎代謝が低下すれば、エネルギーが消費されにくくなり、内臓の脂肪が増加することになります。





 内臓の脂肪細胞から、20種類以上のアディポサイトカインが分泌されることがわかっています。アディポサイトカインは、脂肪細胞から産生、分泌されるさまざまな生理活性物質の総称です。アディポサイトカインには悪玉物質と善玉物質があり、悪玉には血栓をつくりやすくする「PAI-1」、インスリン抵抗性を起こす「TNF-α」、「レジスチン」、血圧を上げる「アンジオテンシノーゲン」などが、善玉にはインスリン抵抗性を改善し、動脈硬化を防ぐ「アディポネクチン」があります。内臓脂肪の蓄積は、これらのアディポサイトカインの産生、分泌に異常をきたし、血液中の悪玉物質が増加する一方、善玉物質の血中濃度を低下させることで、動脈硬化を直接的に促進し、糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクを高めます。つまり、血管に血栓ができやすくなること、インスリンの働きを弱めてしまうことで、がんや高血圧、糖尿病の元凶となります。





 加齢とともに基礎代謝が低下することから、筋肉量を増やすことはあらゆる疾病対策に必要です。





 筋肉量の減少以外では、運動不足、空調の完備によって汗をかきにくい環境となっていることが、低体温の原因と考えられています。脳の視床下部にある体温中枢を刺激する機会が失われることで、体温を調整するための発汗中枢が作動しなくなり、低体温を招きます。





 また、人間関係などで生じるストレスも関係しています。ストレスによって分泌されるホルモンは、筋肉を分解することでストレスを緩和するため、ストレスが強いと筋肉が減少し、低体温を招くこともあります。





 何といっても筋肉量の低下が、低体温の最大の原因です。今日からでも筋肉量を増やす生活を習慣化する必要があります。



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体温を上昇させる方法


・1日30分歩く





 加齢による筋肉の減少率は、年間でおおよそ1.0%と言われています。しかし、1日中筋肉を動かないと、1日だけで0.5%の筋肉が失われます。





 筋肉を維持するためには、毎日の生活で適度な負荷をかけ続けることです。人の筋肉の70%は下半身にあるので、歩くことは効率よく筋肉を鍛えることになります。





  1日30分歩くこと、30分歩くことができない場合は15分を2回に分けること、あるいは10分を3回に分けて、毎日続ければ3ヶ月後には成果が出ます。また、体温の1番低い朝に歩くことで、0.7〜1.0℃体温が上昇します。毎朝、体温を高めることで1日の体調がよくなるとともに、有酸素運動で内臓脂肪を減らすこともできます。





・入浴





 1日1回お風呂につかって体温を上げます。お風呂に10分程度つかれば、体温が1℃程度上がります。大切なことは、毎日の継続です。入浴後、必要な筋肉がつくとともに下半身の脂肪が落ちるスクワットを行えば、入浴と運動で体温が上がり、眠りやすくなります。





・白湯を飲む





 朝は1日の中で最も体温が低い状態です。冷たい水を飲むと体温が下がることから、冷たい水ではなく白湯を飲みます。寝る前にも白湯を飲むことで体が温まります。





・体を冷やさない





 体が冷えることで血流が悪くなります。重ね着など体を冷やさないように、体の外側からの工夫が必要です。





・γ-アミノ酪酸(GABA)を多く含む食品の摂取





 ストレスによる体温の低下を防ぐため、ストレスを緩和する成分であるγ-アミノ酪酸(GABA)を多く含む食品を意識的に摂取します。GABAは、ストレスの緩和以外に成長ホルモンの分泌を促す効果もあるので、老化の防止も期待できます。玄米、かぼちゃ、ジャガイモなどに多く含まれています。



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 【発芽玄米の底力】 




体温を上昇させることで得られる効果


 体温が上がることで、基礎代謝が向上し、太りにくく、ストレスに強く、免疫機能が高まり、病気になりにくい健康な体となります。また、新陳代謝が活発になることで老化防止も期待されます。





 そのほかにも体温が上昇することで、腸のぜん動運動が活発になることで便秘の予防、脳の血行がよくなり記憶力低下の予防につながります。



まとめ


 自身の平熱を知っていますか。ある企業が10〜50歳前後の健康な男女3,000人に対し、実測で30分測ったときの体温の平均値は、脇下検温で36.89±0.34℃となります。つまり、36.6〜37.2℃の間であれば、普通です。この範囲に入るのは全体の70%程度ですので、この範囲からずれていても、問題ありません。





 昨今36℃以下という低体温の人が増えているようです。低体温は、免疫機能と大きなかかわりがあり、放置するとさまざまな症状が現れることがあります。体温が上がると血液の流れがよくなり、免疫機能が高まります。血液の中に免疫機能を持った白血球が存在し、白血球が体中をめぐることで、異物をパトロールしています。すなわち、体温が下がると血流が悪くなり、免疫機能が低下し、体内で異物を発見しても、素早く除去してくれる白血球を集まりにくくなり、ウイルスや細菌に負けて、発病しやすくなります。免疫細胞の中には、がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞があります。体温が36.5℃以上で活発に働きます。NK細胞が活性化すると、感染症などになりにくくなります。健康を維持する免疫機能は、体温が下がると低下することがわかっています。体温が正常に保たれていれば、免疫機能が正常に働き、健康が保たれることになります。





 低体温の原因の9割は筋肉量の低下と考えられています。理由のひとつとして、現在の生活習慣があげられます。現代は家電の拡充によって、日々の生活における運動量は大幅に低下しています。運動量の低下にともなって、筋肉量が減少します。筋肉は最も多くの熱を発生させます。筋肉量が少なくなることに伴い、体温が下がり、基礎代謝も下がります。基礎代謝が低下すれば、エネルギーが消費されにくくなり、内臓の脂肪が増加することになります。内臓の脂肪細胞から、20種類以上の生理活性物質が分泌されることがわかっています。内臓脂肪の蓄積は、これらの生理活性物質の産生、分泌に異常をきたし、血液中の悪玉物質が増加する一方、善玉物質の血中濃度を低下させることで、動脈硬化を直接的に促進し、糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクを高めます。また、人間関係などで生じるストレスによって分泌されるホルモンは、筋肉を分解することでストレスを緩和するため、ストレスが強いと筋肉が減少し、低体温を招くこともあります。





 対応を上昇させる方法としては、1日30分歩くことです。筋肉を維持するために、毎日の生活で適度な負荷をかけ続けます。人の筋肉の70%は下半身にあるので、歩くことは効率よく筋肉を鍛えることになります。毎日続ければ3ヶ月後には成果が出ます。体温の1番低い朝に歩くことで、0.7〜1.0℃体温が上昇します。毎朝、体温を高めることで1日の体調がよくなるとともに、有酸素運動で内臓脂肪を減らすこともできます。また、お風呂に10分程度つかれば、体温が1℃程度上がります。入浴後、必要な筋肉がつくとともに下半身の脂肪が落ちるスクワットを行えば、入浴と運動で体温が上がり、眠りやすくなります。さらに朝は1日の中で最も体温が低い状態です。朝起きたら白湯を飲み、寝る前にも白湯を飲むことで体が温まります。体が冷えることで血流が悪くなることから、体を冷やさないように、体の外側からの工夫も必要です。ストレスによる体温の低下を防ぐためには、ストレスを緩和する成分であるγ-アミノ酪酸(GABA)を多く含む食品を意識的に摂取します。玄米、かぼちゃ、ジャガイモなどに多く含まれています。





 体温が上がることで、基礎代謝が向上し、太りにくく、ストレスに強く、免疫機能が高まり、病気になりにくい健康な体となります。



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2021年02月02日

【ツルツルへ】毛深さの原因とムダ毛を抑える生活習慣


 毛深さで密かに悩んでいる人は少なくありません。ムダ毛が目立ちやすい口周り、腕、足などで毛深いと感じてしまい落ち込んでしまうこともあります。





 毛深くなりやすくなる原因は、いくつかあります。幼少期からすでに毛深かったという場合は、遺伝で毛深くなっている可能性が高いです。体毛が濃くなる大きな要因として、女性ホルモンよりも男性ホルモンの方が優位に立つことがあげられます。通常女性ホルモンの方が優位である場合でも、さまざまなことが引き金となって、ホルモンバランスが乱れ、毛が濃くなることも少なくありません。ホルモンバランスは、加齢、ストレス、偏った食生活、睡眠不足により崩れます。





 ムダ毛を抑えるには、乱れたホルモンバランスを整えつつ、女性ホルモンの働きを活発にさせることです。睡眠不足やストレスだけでなく、栄養バランスが偏っていることもホルモンバランスを乱します。





 ムダ毛を抑える効果が期待できるのは、大豆製品、GI値の低い食べ物と言われています。GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。GI値が高い食べ物を食べると血糖値が急上昇し、反対にGI値が低い食べ物を食べると血糖値は緩やかに上昇します。低GI食品とは、一般的にGI値が55以下の食品を指し、そば、玄米、スパゲッティ、押し麦、春雨、りんご、イチゴ、メロン、グレープフルーツ、みかん、葉物野菜、ブロッコリー、ピーマン、きのこ類、牛乳、チーズ、ヨーグルト、バターなどが該当します。GI値の低い食べ物は、男性ホルモンの分泌を促すインスリンの分泌を抑え、ムダ毛を防ぐと言われています。





 大豆製品に含まれている大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があります。大豆イソフラボンが豊富に含まれている食べ物は、豆腐、豆乳、きな粉、納豆などです。ただし、大豆イソフラボンを過剰摂取するとホルモンバランスが乱れるため、1日の摂取量は、70〜75mgほどが目安です。併せてビタミンB6、ビタミンEも積極的に摂取すると良い栄養素と言われています。





 睡眠不足や質の悪い睡眠は、体内のホルモンバランスの乱れにつながりやすくなります。睡眠中に成長ホルモンが多く分泌されるため、1日7〜8時間の良質な睡眠が必要となります。





 ストレスを感じるとコルチゾールという抗ストレスホルモンが分泌されます。コルチゾールは、体内のエネルギー代謝を促す作用と同時に男性ホルモンを増やす働きもあるため、体毛の成長を助長します。



毛深くなりやすくなる原因


 毛深さで密かに悩んでいる人は少なくありません。ムダ毛が目立ちやすい口周り、腕、足などで毛深いと感じてしまい落ち込んでしまうこともあります。





 外出する際に、毎日のように化粧をする女性がほとんどではないでしょうか。化粧を行うときに、顔に生えているムダ毛が濃いと恥ずかしいと悩む女性が多いようです。ふと鏡で自分の顔を見ると、うっすらとヒゲが生えているということも珍しくありません。半袖であろうと長袖であろうと、腕から手の甲は肌の露出をしていることが多い部位です。ふとしたタイミングでムダ毛と気づく女性が少なくありません。自分でも他人からもよく見られがちな部位であるからこそ、毛深いことを気にしてしまいます。足は自分の目にもとまりやすい部位であるため、普段からしっかり処理を行っている人も多いです。しかし、いくら処理をしても、ムダ毛がすぐに生えてきてしまい、毎日のように処理を続けている人も多いです。





 毛深くなりやすくなる原因は、いくつかあります。幼少期からすでに毛深かったという場合は、遺伝で毛深くなっている可能性が高いです。ご家族もどちらかと言うと毛深いのではないでしょうか。体毛の濃さは、遺伝によって影響を受けます。幼い頃から毛深いのは、大部分が遺伝です。





 体毛が濃くなる大きな要因として、女性ホルモンよりも男性ホルモンの方が優位に立つことがあげられます。通常女性ホルモンの方が優位である場合でも、さまざまなことが引き金となって、ホルモンバランスが乱れ、毛が濃くなることも少なくありません。ホルモンバランスは、加齢、ストレス、偏った食生活、睡眠不足により崩れます。20歳代後半にかけて、特に女性ホルモンが多く分泌されますが、30歳代以降になると、徐々に女性ホルモンの分泌量が減少していきます。女性における男性ホルモンの量は、一生を通じてそれほど大きな変化がないため、40歳代半ばから女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、男性ホルモンの働きが強く出ることがあります。脳の自律神経を安定させる部位と脳からエストロゲン分泌の指令を出す部位が、互いに影響することから、過剰なストレスによって、自律神経のバランスが乱れ、影響を受けやすいエストロゲンの分泌が減少します。ストレスが増えるとストレスに対抗するために分泌されるホルモンが増え、そのホルモンが男性ホルモンのテストステロンを増やす働きがあります。女性ホルモンの分泌が減少すると、男性ホルモンが優位になって、体毛が濃くなりやすくなります。血糖値を急激に上昇させるケーキ、チョコレート、菓子パン、ラーメンなど糖質が多い食べ物は、男性ホルモンの分泌を促すインスリンを大量に分泌させます。



ムダ毛を抑える食べ物と生活習慣


 ムダ毛を抑えるには、乱れたホルモンバランスを整えつつ、女性ホルモンの働きを活発にさせることです。睡眠不足やストレスだけでなく、栄養バランスが偏っていることもホルモンバランスを乱します。





 ムダ毛を抑える効果が期待できるのは、大豆製品、GI値の低い食べ物と言われています。GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。GI値が高い食べ物を食べると血糖値が急上昇し、反対にGI値が低い食べ物を食べると血糖値は緩やかに上昇します。GI値は低・中・高の3つで構成され、数値で分類されています。低GI食品とは、一般的にGI値が55以下の食品を指し、そば、玄米、スパゲッティ、押し麦、春雨、りんご、イチゴ、メロン、グレープフルーツ、みかん、葉物野菜、ブロッコリー、ピーマン、きのこ類、牛乳、チーズ、ヨーグルト、バターなどが該当します。中GI値は56〜69、高GI値は70以上となります。GI値の低い食べ物は、男性ホルモンの分泌を促すインスリンの分泌を抑え、ムダ毛を防ぐと言われています。



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 おいしさに自信!しっかり芽の出た【発芽玄米の底力】 





 大豆製品に含まれている大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があります。大豆イソフラボンが豊富に含まれている食べ物は、豆腐、豆乳、きな粉、納豆などです。ただし、大豆イソフラボンを過剰摂取するとホルモンバランスが乱れるため、1日の摂取量は、70〜75mgほどが目安です。





 併せてビタミンB6、ビタミンEも積極的に摂取すると良い栄養素と言われています。これらは女性ホルモンのバランスを整えて、男性ホルモンの分泌を抑制する効果が期待できます。ビタミンB6、ビタミンEは、魚介類、アボカド、ナッツ類、バナナ、ホウレンソウなどに含まれています。





 睡眠不足や質の悪い睡眠は、体内のホルモンバランスの乱れにつながりやすくなります。睡眠中に成長ホルモンが多く分泌されるため、1日7〜8時間の良質な睡眠が必要となります。また、極端に食事を減らすこと、激しい運動を継続することなど過度な痩身も、ホルモンバランスを崩します。





 ストレスを感じるとコルチゾールという抗ストレスホルモンが分泌されます。コルチゾールは、体内のエネルギー代謝を促す作用と同時に男性ホルモンを増やす働きもあるため、体毛の成長を助長します。ストレスをためないこと、ストレスのない生活をおくることは難しいですが、お風呂にゆっくりつかる、音楽を聴くといった方法で、ストレスの緩和を意識することが望まれます。また、適度な運動も、ストレスの解消に繋がります。



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まとめ


 毛深さで密かに悩んでいる人は少なくありません。ムダ毛が目立ちやすい口周り、腕、足などで毛深いと感じてしまい落ち込んでしまうこともあります。





 毛深くなりやすくなる原因は、いくつかあります。幼少期からすでに毛深かったという場合は、遺伝で毛深くなっている可能性が高いです。体毛が濃くなる大きな要因として、女性ホルモンよりも男性ホルモンの方が優位に立つことがあげられます。通常女性ホルモンの方が優位である場合でも、さまざまなことが引き金となって、ホルモンバランスが乱れ、毛が濃くなることも少なくありません。ホルモンバランスは、加齢、ストレス、偏った食生活、睡眠不足により崩れます。





 ムダ毛を抑えるには、乱れたホルモンバランスを整えつつ、女性ホルモンの働きを活発にさせることです。睡眠不足やストレスだけでなく、栄養バランスが偏っていることもホルモンバランスを乱します。





 ムダ毛を抑える効果が期待できるのは、大豆製品、GI値の低い食べ物と言われています。GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。GI値が高い食べ物を食べると血糖値が急上昇し、反対にGI値が低い食べ物を食べると血糖値は緩やかに上昇します。低GI食品とは、一般的にGI値が55以下の食品を指し、そば、玄米、スパゲッティ、押し麦、春雨、りんご、イチゴ、メロン、グレープフルーツ、みかん、葉物野菜、ブロッコリー、ピーマン、きのこ類、牛乳、チーズ、ヨーグルト、バターなどが該当します。GI値の低い食べ物は、男性ホルモンの分泌を促すインスリンの分泌を抑え、ムダ毛を防ぐと言われています。





 大豆製品に含まれている大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があります。大豆イソフラボンが豊富に含まれている食べ物は、豆腐、豆乳、きな粉、納豆などです。ただし、大豆イソフラボンを過剰摂取するとホルモンバランスが乱れるため、1日の摂取量は、70〜75mgほどが目安です。併せてビタミンB6、ビタミンEも積極的に摂取すると良い栄養素と言われています。





 睡眠不足や質の悪い睡眠は、体内のホルモンバランスの乱れにつながりやすくなります。睡眠中に成長ホルモンが多く分泌されるため、1日7〜8時間の良質な睡眠が必要となります。





 ストレスを感じるとコルチゾールという抗ストレスホルモンが分泌されます。コルチゾールは、体内のエネルギー代謝を促す作用と同時に男性ホルモンを増やす働きもあるため、体毛の成長を助長します。



2021年02月01日

【進化の過程で捨て去られた】希少糖


 希少糖とは、自然界での存在量が少ない単糖(最小単位の糖)や糖アルコールのことを指し、50種類以上あります。アルロース、アロース、グロース、イドース、タロースいった単糖、エリスリトール、キシリトールなどの糖アルコールが代表的な希少糖です。昨今これらの希少糖には、人に役立つさまざまな生理活性があることが解明されつつあります。





 これまであまり研究されていなかった希少糖の生理活性が、次々に解明され、食品関連、医療関連などさまざまな市場への用途開発に向け、研究が進展しています。進化の過程で捨て去られ、意味のないものと考えられていた希少糖は、今後活躍の場が増えようとしています。





 アルロースの甘味度は、砂糖の70%程度で、清涼感があるキレのいい甘さがあります。アルロースは体内の酵素で分解できず、エネルギーを生み出すことができません。アルロースに期待される生理活性としては、食後の血糖値の上昇抑制、肥満の予防、動脈硬化の予防などがあります。アロースの甘味度は、砂糖の80%程度で、砂糖によく似た自然な味質を有しています。カロリーはほとんどありません。期待される生理活性としては、活性酸素の除去、血圧の上昇抑制、臓器虚血障害保護作用、破骨細胞の分化抑制などです。タガトースの甘味度は、砂糖の90%程度です。期待される生理活性としては、虫歯予防、血糖値上昇抑制、大腸がん抑制、プレバイオティクス効果などです。





 キシリトールは、糖アルコールの中で最も甘く、砂糖と同じ甘味度を持っています。キシリトールは溶けるときに熱を奪うので、口に含むとスーッとした冷たい感覚があります。キシリトールを始めとする糖アルコールは、むし歯の原因となりません。糖アルコールからは、口の中で歯を溶かすほどの酸はつくられないためです。また、キシリトールは甘みが強いので、その甘味により唾液も出やすくなります。酸をつくらないこと、唾液の分泌を刺激して酸を中和することが、キシリトールがむし歯の原因にならない理由です。さらにキシリトールをガムやタブレットの形で一定期間以上口の中に入れると、むし歯の原因となる歯垢が付きにくくなるだけでなく、歯の再石灰化を促し、歯を固くします。





 エリスリトールは、きのこ、果物、ワイン、しょう油、みそなどに含まれる糖アルコールです。ぶどう糖を原材料として、酵母で発酵させて製造します。エリスリトールは、体内で分解されないため、代謝されることはありません。経口摂取したエリスリトールの90%以上は尿に排出されます。エリスリトールは、水に溶かしたときに熱を奪う特性を持つため、冷感のあるスッキリとした甘さとなります。また、エリスリトールは、むし歯の大きな原因であるミュータンス菌に利用されないため、虫歯の原因となる酸が生成せず、虫歯になりにくい甘味料としても利用されています。エリスリトールは、大量摂取すると体調や体質により、お腹がゆるくなる緩下作用があります。



希少糖


 希少糖とは、自然界での存在量が少ない単糖(最小単位の糖)や糖アルコールのことを指し、50種類以上あります。自然界の単糖は、その多くがぶどう糖であり、ほかに果糖、ガラクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、リボースなどが多く存在しています。これらはエネルギー源として利用されるため、生物の進化とともに大量に存在しています。





 一方、微量ながらアルロース、アロース、グロース、イドース、タロースいった単糖、エリスリトール、キシリトールなどの糖アルコールが代表的な希少糖です。自然界に少ないことは、生物の進化の過程であまり必要とされてこなかったと理解されており、その存在の理由が謎でした。しかし、昨今これらの希少糖には、人に役立つさまざまな生理活性があることが解明されつつあります。





 既に日本で幅広く認知されている希少糖として、虫歯予防に効果があるとされるキシリトール、低カロリー甘味料として市販されているエリスリトールがあります。これらの製品は、天然の糖質をもとに酵母による醗酵、反応を利用して工業的につくられた糖アルコールです。





 アルロースやアロースは、大量生産がこれまで難しい希少糖でしたが、国内の大学で生産方法についての研究が進み、新しい酵素の発見によって量産化に成功しました。こうしてつくられた希少糖のさまざまな機能について、日々研究がなされています。



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希少糖の可能性


 これまであまり研究されていなかった希少糖の生理活性が、次々に解明され、食品関連、医療関連などさまざまな市場への用途開発に向け、研究が進展しています。進化の過程で捨て去られ、意味のないものと考えられていた希少糖は、今後活躍の場が増えようとしています。





 カロリーの過剰摂取による肥満や生活習慣病といった人類社会の課題解決に向けて、希少糖は一役を担う可能性を秘めています。





・アルロース





 アルロースの甘味度は、砂糖の70%程度で、清涼感があるキレのいい甘さがあります。アルロースは糖の一種なので、体内で従来の糖代謝の仕組みに入ろうとしますが、体内の酵素で分解できず、その結果エネルギーを生み出すことができないため、過剰な糖摂取による健康課題を持つ人にとって、好ましい生理活性を発揮することが期待されます。アルロースそのものにカロリーはほとんどなく、これは希少糖に共通した特徴です。アルロース1gあたり0.4kcalで、ぶどう糖や果糖は1gあたり4.0kcalであることから、エネルギー量は10分の1であり、低カロリー甘味糖質と言えます。





 希少糖は自然界での存在量が極めて少ないにもかかわらず、普段の食事で全く口にしていないというわけではありません。ウスターソース、カラメルソース、黒糖、メープルシロップ、レーズンなど普段の食事にもアルロースは含まれています。しかし、その量はとても少なく、期待されているような生理活性を得られるほどの量ではありません。





 単糖のアルロースは、化学式で書くとC6H12O6で、ぶどう糖、マンノース、ガラクトースなどと同じですが、その構造に違いがあります。





 アルロースに期待される生理活性としては、食後の血糖値の上昇抑制、肥満の予防、動脈硬化の予防などがあります。





・アロース





 アロースの甘味度は、砂糖の80%程度で、砂糖によく似た自然な味質を有しています。カロリーはほとんどありません。





 期待される生理活性としては、活性酸素の除去があげられます。アロースの活性酸素除去作用はビタミンCやビタミンEなど還元力による抗酸化作用と異なり、さまざまなストレスを受けたときに細胞から活性酸素が発生することを抑制します。そのほかに収縮期血圧及び拡張期血圧の上昇抑制、臓器虚血障害保護作用、破骨細胞の分化抑制などの働きがあることが既に報告されています。こうした働きから、神経変性疾患、脳梗塞、心筋梗塞、高血圧症などへの効果が期待されています。 また、糖は合成化学薬品に比べて副作用も極めて少ないと考えられています。





・タガトース





 天然に存在する希少糖の一種で、ピンポンノキ属の熱帯植物に存在するほか、発酵させた乳製品などにも含まれています。砂糖に近い甘さで、甘味度は砂糖の90%程度です。エネルギー量は1gあたり2.0kcalとなります。乳糖を原材料とした極めて安全性の高い糖で、海外では食品として使用されています。





 期待される生理活性としては、虫歯予防、血糖値上昇抑制、大腸がん抑制、プレバイオティクス効果などです。





 化学式は、果糖と同じで、構造が一部異なります。





・キシリトール





 キシリトールは、糖アルコールの中で最も甘く、砂糖と同じ甘味度を持っています。キシリトールは溶けるときに熱を奪うので、口に含むとスーッとした冷たい感覚があります。





 ミントの味によく合うことから、キシリトールを使ったお菓子には、ミント味が多く見られます。また、果物の味をより新鮮にする効果、苦味を消す効果もあります。さらに、冷却効果があることから、布地に応用した夏用の肌着や寝具、そして化粧品も市販されています。





 キシリトールを始めとする糖アルコールは、むし歯の原因となりません。糖アルコールからは、口の中で歯を溶かすほどの酸はつくられないためです。ソルビトールやマルチトールといった糖アルコールからは、歯垢(プラーク)の中で少量の酸ができますが、キシリトールからは、酸が全くできません。また、キシリトールは甘みが強いので、その甘味により唾液も出やすくなります。酸をつくらないこと、唾液の分泌を刺激して酸を中和することが、キシリトールがむし歯の原因にならない理由です。





 キシリトールをガムやタブレットの形で一定期間以上口の中に入れると、むし歯の原因となる歯垢が付きにくくなるだけでなく、歯の再石灰化を促し、歯を固くします。さらに、キシリトールには、むし歯の大きな原因であるミュータンス菌の活動を弱める働きも持っています。このような働きは、他の甘味料には見られない、キシリトールだけの効果です。





・エリスリトール





 エリスリトールは、きのこ、果物、ワイン、しょう油、みそなどに含まれる糖アルコールです。ぶどう糖を原材料として、酵母で発酵させて製造します。





 エリスリトールを経口摂取すると、大半が小腸で吸収され、血中に移動しますが、体内に分解する酵素がないため、代謝されることはありません。経口摂取したエリスリトールの90%以上は尿に排出されます。そのため、日本ではカロリーゼロの甘味料として知られており、血糖値を意識した食事にも使用されています。





 エリスリトールは、水に溶かしたときに熱を奪う特性を持つため、冷感のあるスッキリとした甘さとなります。また、エリスリトールは、むし歯の大きな原因であるミュータンス菌に利用されないため、虫歯の原因となる酸が生成せず、虫歯になりにくい甘味料としても利用されています。エリスリトールは、ガムやキャンディ、清涼飲料水などに使用されています。





 エリスリトールは、大量摂取すると体調や体質により、お腹がゆるくなる緩下作用があります。体重60kgの成人男性であれば、摂取限度量は1日あたりおおよそ40gとなります。



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まとめ


 希少糖とは、自然界での存在量が少ない単糖(最小単位の糖)や糖アルコールのことを指し、50種類以上あります。アルロース、アロース、グロース、イドース、タロースいった単糖、エリスリトール、キシリトールなどの糖アルコールが代表的な希少糖です。昨今これらの希少糖には、人に役立つさまざまな生理活性があることが解明されつつあります。





 これまであまり研究されていなかった希少糖の生理活性が、次々に解明され、食品関連、医療関連などさまざまな市場への用途開発に向け、研究が進展しています。進化の過程で捨て去られ、意味のないものと考えられていた希少糖は、今後活躍の場が増えようとしています。





 アルロースの甘味度は、砂糖の70%程度で、清涼感があるキレのいい甘さがあります。アルロースは体内の酵素で分解できず、エネルギーを生み出すことができません。アルロースに期待される生理活性としては、食後の血糖値の上昇抑制、肥満の予防、動脈硬化の予防などがあります。アロースの甘味度は、砂糖の80%程度で、砂糖によく似た自然な味質を有しています。カロリーはほとんどありません。期待される生理活性としては、活性酸素の除去、血圧の上昇抑制、臓器虚血障害保護作用、破骨細胞の分化抑制などです。タガトースの甘味度は、砂糖の90%程度です。期待される生理活性としては、虫歯予防、血糖値上昇抑制、大腸がん抑制、プレバイオティクス効果などです。





 キシリトールは、糖アルコールの中で最も甘く、砂糖と同じ甘味度を持っています。キシリトールは溶けるときに熱を奪うので、口に含むとスーッとした冷たい感覚があります。キシリトールを始めとする糖アルコールは、むし歯の原因となりません。糖アルコールからは、口の中で歯を溶かすほどの酸はつくられないためです。また、キシリトールは甘みが強いので、その甘味により唾液も出やすくなります。酸をつくらないこと、唾液の分泌を刺激して酸を中和することが、キシリトールがむし歯の原因にならない理由です。さらにキシリトールをガムやタブレットの形で一定期間以上口の中に入れると、むし歯の原因となる歯垢が付きにくくなるだけでなく、歯の再石灰化を促し、歯を固くします。





 エリスリトールは、きのこ、果物、ワイン、しょう油、みそなどに含まれる糖アルコールです。ぶどう糖を原材料として、酵母で発酵させて製造します。エリスリトールは、体内で分解されないため、代謝されることはありません。経口摂取したエリスリトールの90%以上は尿に排出されます。エリスリトールは、水に溶かしたときに熱を奪う特性を持つため、冷感のあるスッキリとした甘さとなります。また、エリスリトールは、むし歯の大きな原因であるミュータンス菌に利用されないため、虫歯の原因となる酸が生成せず、虫歯になりにくい甘味料としても利用されています。エリスリトールは、大量摂取すると体調や体質により、お腹がゆるくなる緩下作用があります。



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2021年01月31日

【香気成分】極めて閾値の低い「ソトロン」


 香気成分ソトロンは、黒砂糖の芳香成分、カラメルの香り、焦げた香りとしては認識されていませんでした。その理由は、閾値(においが感じられる最低限の濃度)が0.001ppb(10億分の1)と極めて低く、閾値近傍では甘い焦げ臭ですが、濃度が高まるにつれ、しょう油様、たんぱく質分解様とにおいの性格が変化し、濃度と食品の種類によって嗜好性を高めたり、不快臭となったりする性質があるからです。





 しぼりたての清酒は、発酵に由来する果実様の香りや麹に由来する香りが豊かで、少量の炭酸を含み、非常にフレッシュに感じられます。しかし、最適な熟成期間を過ぎてなお貯蔵を 続けると過熟となり、その香りは老香(ひねか)と呼ばれます。 老香は、一般的には食品における経年劣化や化学変化、異物の混入による食品の品質劣化によって生じる異臭を意味するオフフレーバーと捉えられることが多いですが、一方で意 図的に熟成を進ませた清酒をつくる酒造メーカーがあり、その香りは老香ではなく、熟成香と呼ばれます。





 老香と熟成香は、何が違うのでしょうか。ある研究結果によると、老香指摘の多い清酒は多硫化物が相対的に多く、貯蔵期間の長い長期熟成酒は特にソトロンが相対的に多い傾向がみられました。ソトロンは閾値よりも含有量が多いため、長期熟成酒の香りを特徴付ける主要成分であると考えられます。





 老香と長期熟成酒の熟成香で香気成分組成に違いがみられる原因としては、それぞれの香気成分の生成速度の違いなどがあげられます。老香の主成分である多硫化物は、比較的短い貯蔵期間で生成します。一方、熟成香のソトロンは、ゆるやかに酸化が進行し、糖質とアミノ酸のメイラード反応が促され、生成します。 このことは、色調が濃く変化することからも明らかです。



ソトロンという香気成分


 香気成分ソトロンは、 肉汁様の香気を与える物質として合成され、あるいは清酒の老香(ひねか)の原因物質として見出されていましたが、黒砂糖の芳香成分、カラメルの香り、焦げた香りとしては認識されていませんでした。その理由は、閾値(においが感じられる最低限の濃度)が0.001ppb(10億分の1)と極めて低く、閾値近傍では甘い焦げ臭ですが、濃度が高まるにつれ、しょう油様、たんぱく質分解様とにおいの性格が変化し、濃度と食品の種類によって嗜好性を高めたり、不快臭となったりする性質があるからです。



清酒中のソトロン


 しぼりたての清酒は、発酵に由来する果実様の香りや麹に由来する香りが豊かで、少量の炭酸を含み、非常にフレッシュに感じられます。その後、通常の製品では火入れされ、半年から1年程度の貯蔵期間を 経て出荷されます。この間に、火入れ直後にあった火冷め香と呼ばれるガス様の生臭い香りが減少するとともに、落ち着いた香りへと変化します。



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 しかし、最適な熟成期間を過ぎてなお貯蔵を 続けると過熟となり、その香りは老香と呼ばれます。従来老香は、香りの特性から複合香といわれており、木の実様、カラメル様、多硫化物などの特性が混合したものと考えられていました。これらの特性に関わる香気成分は、清酒の貯蔵中に起こる、酸化、加水分解などと言ったさまざまな化学反応によって生成します。 これら貯蔵により増加する成分のうち、カラメル様のにおいを呈するソトロンは、数年〜数十年貯蔵した清酒中の含有量が、閾値を上回ることが確認されています。したがって、ソトロンは貯蔵した清酒の香りに大きく関わっていると考えられます。





 老香は、一般的には食品における経年劣化や化学変化、異物の混入による食品の品質劣化によって生じる異臭を意味するオフフレーバーと捉えられることが多いですが、一方で意 図的に熟成を進ませた清酒をつくる酒造メーカーがあり、この清酒を好む消費もいます。熟成酒をつくるメーカーの団体では、満 3 年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒を長期熟成酒あるいは熟成古酒と定義しており、長いもので 30 年 程度熟成させた清酒が市販されています。長期熟成酒の場合、その香りは老香ではなく、熟成香と呼ばれます。





 老香と熟成香は、何が違うのでしょうか。ある研究結果によると、老香指摘の多い清酒は、多硫化物が相対的に多い傾向がみられました。一方、貯蔵期間の長い長期熟成酒は、老香指摘の多い清酒に比べ熟成香成分全体が多いですが、特にソトロンなどのカルボニル化合物が相対的に多い傾向がみられました。ソトロンは閾値よりも含有量が多いため、長期熟成酒の香りを特徴付ける主要成分であると考えられます。





 糖質とアミノ酸によるメイラード反応とそれに伴うストレッカー分解では、ソトロン、 フルフラール、アルデヒド類といったカルボニル化合物やピラジ ン類などが生じます。多硫化物の生成機構は、まだよく分かっていませんが、含硫化合物の分解や酸化によって生成すると推定されます。





 清酒にソトロンを添加した場合、専門家による官能評価の結果は、カラメル臭、焦げ臭、カレーの香気と表現されています。老香と長期熟成酒の熟成香で香気成分組成に違いがみられる原因としては、それぞれの香気成分の生成速度の違いなどが考えら れます。カルボニル化合物の生成に関与するメイラード反応には長い時間が必要と考えられます。一方、比較的短い貯蔵期間で、多硫化物は生成します。



熟成香としてのソトロン



 長期熟成酒の香りは熟成香と呼ばれ、珍重されています。貯蔵5年の長期熟成酒は、香り成分量が多い上、糖質とアミノ酸のメイラード反応などからできるソトロン、フルフラール、アルデヒド 類といったカルボニル化合物が増加しています。フルーティーな香りを持つコハク酸ジエチルなどのエチルエステルは増加しており、エステルの組み替えが起きているようです。





 貯蔵期間が長くなるにつれ、相対的にソトロンやコハク酸 ジエチルが多くなり、多硫化物は少なくなるようです。特に黒砂糖の芳香成分であるソトロンは閾値を越える濃度で存在し、 ドライフルーツ、ナッツ、カラメル様と表現される長期熟成酒の主要成分と考えられます。





 長期熟成は多くの場合、ゆるやかに酸化が進行し、糖質とアミノ酸 のメイラード反応を促し、それが香気成分生成の要因となっています。 このことは、色調が濃く変化することからも明らかです。清酒は、たんぱく質やアミノ酸、糖質を多く含む 醸造酒であり、穏やかに酸化熟成すると熟成香を持つ長期熟成酒ができあがります。



まとめ


 香気成分ソトロンは、黒砂糖の芳香成分、カラメルの香り、焦げた香りとしては認識されていませんでした。その理由は、閾値(においが感じられる最低限の濃度)が0.001ppb(10億分の1)と極めて低く、閾値近傍では甘い焦げ臭ですが、濃度が高まるにつれ、しょう油様、たんぱく質分解様とにおいの性格が変化し、濃度と食品の種類によって嗜好性を高めたり、不快臭となったりする性質があるからです。





 しぼりたての清酒は、発酵に由来する果実様の香りや麹に由来する香りが豊かで、少量の炭酸を含み、非常にフレッシュに感じられます。しかし、最適な熟成期間を過ぎてなお貯蔵を 続けると過熟となり、その香りは老香(ひねか)と呼ばれます。 老香は、一般的には食品における経年劣化や化学変化、異物の混入による食品の品質劣化によって生じる異臭を意味するオフフレーバーと捉えられることが多いですが、一方で意 図的に熟成を進ませた清酒をつくる酒造メーカーがあり、その香りは老香ではなく、熟成香と呼ばれます。





 老香と熟成香は、何が違うのでしょうか。ある研究結果によると、老香指摘の多い清酒は多硫化物が相対的に多く、貯蔵期間の長い長期熟成酒は特にソトロンが相対的に多い傾向がみられました。ソトロンは閾値よりも含有量が多いため、長期熟成酒の香りを特徴付ける主要成分であると考えられます。





 老香と長期熟成酒の熟成香で香気成分組成に違いがみられる原因としては、それぞれの香気成分の生成速度の違いなどがあげられます。老香の主成分である多硫化物は、比較的短い貯蔵期間で生成します。一方、熟成香のソトロンは、ゆるやかに酸化が進行し、糖質とアミノ酸のメイラード反応が促され、生成します。 このことは、色調が濃く変化することからも明らかです。



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2021年01月30日

【有用】植物の成分

ヨモギ


 ヨモギは、キク科の多年草です。春先の若葉を摘んで草餅をつくったり、葉の裏の綿毛を集めてお灸のモグサにしたり、昔からなじみ深い植物として親しまれています。葉を乾燥したものを漢方では艾葉(がいよう)といい、健胃や腹痛に処方されます。生のままでも民間療法で用いられ、すりつぶしたり、搾った汁をすり傷、切り傷、虫さされなどにつけて、出血を止めます。





 ヨモギのシネオールやアルファーツヨシなどの精油成分には、温熱効果があります。薬湯にすると、特有の芳香が呼吸を楽にし、体を温め、湯冷めを防ぎます。腰痛や腹痛の緩和にも有効です。気管支拡張作用もあり、中国では気管支炎の治療に使われています。そのほかに多糖類、ビタミン、ミネラルなどを含み、中でもβ-カロテンの含有量が目立ちます。





 利用法として、薬湯には乾燥葉300g(生葉であれば600~1,000g)を袋に入れ、水のうちから浴槽に入れて沸かします。



アシタバ


 アシタバは生育がはやく、今日摘んでも明日にはまた葉が伸びてくる植物です。栄養価の高い緑黄色野菜として、春から夏にかけて利用するほか、お茶、ドリンク剤、錠剤、顆粒の製品として、市販されています。





 アシタバは、βカロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、鉄、食物繊維などを多く含みます。アシタバの葉や茎を切ったときに出る黄色い汁は、カルコンというアシタバのみに含まれるポリフェノールの一種です。カルコンは、美容や健康維持のために役立つ成分として、注目を集めています。クマリンという成分は、セリ科の植物全般に含まれ、アシタバにも豊富に含まれています。カルコンと同じような効果が、クマリンにも期待されています。アシタバの希少成分であるイソクエルチトリンには、利尿、高血圧予防、緩下作用が報告されています。香り成分の精油、苦味物質のアンゲリカ酸は、胃腸の新陳代謝を良くし、食欲増進や疲労回復に効果的です。



オウセイ


 オウセイは、ユリ科カギクルマバナルコユリの根茎で、中国では古くから滋養強壮に用いられてきた生薬です。根茎を蒸して天日干しにするという工程を何度も繰り返します。





 オウセイの主成分は、粘液多糖類です。動物実験では、抗菌作用や動脈硬化の予防、血圧を下げる作用があることが報告されています。





 滋養強壮には1日9〜30g相当の生薬が適量です。煎じて用います。空咳にも効果があるようです。



カンゾウ


 カンゾウは、中国東北部から中央アジア及び南ヨーロッパの乾燥地に分布するウラルカンゾウの根と根茎を乾燥させたものです





 砂糖のおおよそ150倍の甘味を有するグリチルリチンを多く含み、文字どおりの甘い草カンゾウは、洋の東西を問わず、紀元前から薬として用いられています。また、しょう油や甘味料としても使用されています。





 カンゾウには、健胃、鎮痛、鎮痙、去痰などの効能があり、腹痛、下痢、動悸、腫れ物などに用いられています。カンゾウは数多くの漢方処方に配合され、他の薬物の効能を高めたり、毒性を緩和する効果があります。





 主成分のグリチルリチンは大量に使用すると、ナトリウム貯留、カリウム排泄促進が起こり、浮腫、高血圧、四肢麻痺、低カリウム血症などの症状が現れることがあります。1日最大配合量がカンゾウ1g以上、グリチルリチン40mg以上含む製剤について、血圧の高い人や高齢者は注意が必要です。



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クコシ


 クコ(枸杞)は、日本各地の土堤などに自生するナス科の落葉小低木です。クコシ(枸杞子)は、クコまたはナガバクコの果実を乾燥したものです。中国の甘粛省、寧夏回族自治区、内蒙古自治区、新疆ウイグル自治区、河北省、山西省などで栽培されています。





 クコシは、血行を良くするベタイン、ゼアキサンチンが含まれているほか、ビタミン、ミネラルも豊富で、肝腎を保護し、体力を養い、目の障害を予防します。漢方としては、腰や膝の倦怠感、めまいや視力低下などに用いられます。





 クコシは、薬膳料理や菓子などにも用いられます。



タンポポ


 タンポポの葉や茎の苦み成分であるタラキサステロール、タラキセロールは、胃の働きを活発にして、排便をスムーズにするほか、授乳期の母乳の出を良くすること、抗菌作用、軽い喉の痛みの緩和などに効果が期待されています。根に含まれるコリンは、肝機能を活性化します。





 中国では、根をつけた全草の乾燥品を蒲公英(ぼこうえい)と呼び、漢方薬に処方されています。





 刻んだ根を炒めたものは、カフェインを含まないコーヒーの代用品として飲用されています。



まとめ


 ヨモギは、キク科の多年草です。ヨモギのシネオールやアルファーツヨシなどの精油成分には、温熱効果があります。薬湯にすると、特有の芳香が呼吸を楽にし、体を温め、湯冷めを防ぎます。腰痛や腹痛の緩和にも有効です。気管支拡張作用もあり、中国では気管支炎の治療に使われています。そのほかに多糖類、ビタミン、ミネラルなどを含み、中でもβ-カロテンの含有量が目立ちます。





 アシタバは生育がはやく、今日摘んでも明日にはまた葉が伸びてくる植物です。アシタバは、βカロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、鉄、食物繊維などを多く含みます。アシタバの葉や茎を切ったときに出る黄色い汁は、カルコンというアシタバのみに含まれるポリフェノールの一種です。カルコンは、美容や健康維持のために役立つ成分として、注目を集めています。





 オウセイは、ユリ科カギクルマバナルコユリの根茎で、中国では古くから滋養強壮に用いられてきた生薬です。オウセイの主成分は、粘液多糖類です。





 カンゾウは、ウラルカンゾウの根と根茎を乾燥させたものです。砂糖のおおよそ150倍の甘味を有するグリチルリチンを多く含みます。カンゾウは数多くの漢方処方に配合され、他の薬物の効能を高めたり、毒性を緩和する効果があります。





 クコシ(枸杞子)は、クコまたはナガバクコの果実を乾燥したものです。中国で栽培されています。クコシは、血行を良くするベタイン、ゼアキサンチンなどが含まれています。漢方としては、腰や膝の倦怠感、めまいや視力低下などに用いられます。





 タンポポの葉や茎の苦み成分であるタラキサステロール、タラキセロールは、胃の働きを活発にして、排便をスムーズにするほか、授乳期の母乳の出を良くする効果が期待されています。



posted by Kaoru at 05:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 食品

2021年01月29日

【食事でケア】肌荒れの原因と改善に寄与する栄養素


 肌荒れは、食べ物と深い関係があり、肌のケアに寄与する食材を積極的に摂る必要があります。肌荒れを感じたら、表面のスキンケアだけでは不十分です。肌荒れの改善には、表面のスキンケアだけではなく、生活習慣の改善による内面からのケアを行うことが大切です。内面からのケアとして、重要なってくるのが食材です。偏った食生活により、栄養バランスと肌の健康と深い関係のある腸内細菌のバランスが崩れ、肌荒れの原因となります。





 緑黄色野菜などに含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは、皮膚や粘膜を構成する上皮細胞をつくることに関わり、その機能維持に欠かせない成分で、免疫機能など全身の健康維持を支えています。特に皮膚、目の角膜や粘膜、口、鼻、のど、胃腸、肺、気管支などを覆う粘膜を健康に保つ働きがあります。β-カロテンを多く含む食材は、カボチャ、ニンジン、ホウレンソウ、トマトなどです。





 ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。肌にハリを持たせ、シミを予防する美容効果、免疫機能を高めて風邪をひきにくくする効果、ストレスに対する抵抗力を高める効果などさまざまな働きをもっています。また、ビタミンCは体を構成する重要なたんぱく質のひとつであるコラーゲンを合成するときに、必要な酵素の働きを助ける補酵素として働きます。ビタミンCを多く含む食材としては、キャベツ、もやし、玉ねぎなどです。





 ビタミンEは強い抗酸化作用を持つビタミンのひとつで、さまざまな害を与える活性酸素から体を守る効果があります。肌や血管などの老化を防止し、血行を促進するなど生活習慣病の予防に効果があり、若返りのビタミンとも呼ばれています。ビタミンEの血流改善効果によって、全身に血液が供給されることで細胞の新陳代謝も活発になり、皮膚のカサカサ感の改善、肌にハリが出るといった効果も期待できます。さらにビタミンEは、紫外線による害から肌を守る働きがあり、シミやそばかすにも効果的です。ビタミンEを含む食材としては、ナッツ類、植物油、魚介類などです。





 ビタミンB群は、それぞれ助け合いながら、皮膚や神経などを健康に保つビタミンです。ビタミンB2が不足すると、脂質の代謝がうまくいかず肌荒れや髪のトラブルが起こります。ビタミンB6を摂ることで、たんぱく質の代謝がスムーズに進むため、丈夫で健康な皮膚、粘膜、髪、歯、爪をつくることができます。ビタミンB2は、レバー、うなぎ、納豆、卵などに含まれています。ビタミンB6は、肉、魚介類、大豆製品、卵などに含まれています。





 食物繊維を多く含む食材は、発酵食品などと同様に腸内環境を整えてくれます。食物繊維は、善玉菌のエサとなることや腸のぜん動運動を活発化させ排便を促す働きがあります。また、便秘が改善されることで、新陳代謝が向上し、ニキビなどの改善が期待されます。食物繊維は、野菜、豆類、きのこ類、果物、甲殻類、海藻、こんにゃくなどに含まれています。



肌荒れと食事をはじめとした生活習慣


 肌荒れは、食べ物と深い関係があり、肌のケアに寄与する食材を積極的に摂る必要があります。肌荒れを感じたら、表面のスキンケアだけでは不十分です。肌荒れの原因は、大きく分けて2つあります。ひとつは、間違ったスキンケア、乾燥する季節、紫外線など外部の影響による肌荒れです。もうひとつは、栄養バランスの偏り、睡眠不足などの体の内面からくる肌荒れです。肌のターンオーバーは睡眠中に促されることから、質の良い睡眠は欠かせません。





 肌荒れの改善には、表面のスキンケアだけではなく、生活習慣の改善による内面からのケアを行うことが大切です。内面からのケアとして、重要なってくるのが食材です。偏った食生活により、栄養バランスと肌の健康と深い関係のある腸内細菌のバランスが崩れ、肌荒れの原因となります。





 人の腸内に存在する腸内細菌が、肌の健康に大きく関わっています。腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌です。肌荒れを防ぐためには、腸内細菌の働きが欠かせません。肌荒れが生じているときは、腸内細菌のバランスが乱れている可能性があります。腸内細菌を整えるためには、食材が関係しています。





 善玉菌は、消化吸収や免疫機能の向上といった健康に良い影響を与えます。一方、悪玉菌は腸内での腐敗や細胞毒素の産生に関係し、体に悪い影響を与えます。日和見菌は、体が健康なときには影響ありませんが、体が弱っているときに腸内で悪い働きをします。



肌荒れの改善に役立つ栄養素


 緑黄色野菜などに含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは、皮膚や粘膜を構成する上皮細胞をつくることに関わり、その機能維持に欠かせない成分で、免疫機能など全身の健康維持を支えています。特に皮膚、目の角膜や粘膜、口、鼻、のど、胃腸、肺、気管支などを覆う粘膜を健康に保つ働きがあります。皮膚の粘膜は、病原菌などの侵入を防ぐ役割があり、正しく機能することでウイルスなどの外敵から体を守り、感染症を予防して、体全体の免疫機能を高めることに役立ちます。しかし、ビタミンAが不足すると、粘膜が乾燥して硬くなり、傷つきやすくなります。肌がカサカサし、消化器官の粘膜が傷つくと下痢になることもあります。また、呼吸器に細菌やウイルスが侵入しやすくなることで風邪をひきやすくなります。β-カロテンを多く含む食材は、カボチャ、ニンジン、ホウレンソウ、トマトなどです。β-カロテンは、脂溶性であることから、油を加えて調理した方が、吸収が良くなります。



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 ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。肌にハリを持たせ、シミを予防する美容効果、免疫機能を高めて風邪をひきにくくする効果、ストレスに対する抵抗力を高める効果などさまざまな働きをもっています。ビタミンCは抗酸化作用が非常に強く、老化の原因である活性酸素 から細胞や組織を守ります。このため、細胞を破壊する過酸化脂質の生成を抑えることができます。また、ビタミンCは体を構成する重要なたんぱく質のひとつであるコラーゲンを合成するときに、必要な酵素の働きを助ける補酵素として働きます。コラーゲンは体をつくるたんぱく質のうちの3分の1を占め、細胞と細胞をつなぐ働きをしています。この働きにより、細胞同士の結合を強くし、血管や筋肉、皮膚、骨などを丈夫に保つ働きがあります。ビタミンCは必要量以上摂取しても、尿として排出されてしまうため、毎日摂取する必要があります。ビタミンCは熱に弱いので、生で食べることで効率的に摂取できます。ビタミンCを多く含む食材としては、キャベツ、もやし、玉ねぎなどです。





 ビタミンEは強い抗酸化作用を持つビタミンのひとつで、さまざまな害を与える活性酸素から体を守る効果があります。肌や血管などの老化を防止し、血行を促進するなど生活習慣病の予防に効果があり、若返りのビタミンとも呼ばれています。ビタミンEは、細胞を覆う細胞膜に多く存在しています。細胞膜は細胞の中の核や遺伝子など、重要な器官を活性酸素から守る役割をしています。人の体内で最も酸化されやすいのが、細胞膜に存在する不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸は、細胞膜を構成するリン脂質のひとつで、体に弾力性を与える重要な成分です。しかし、不飽和脂肪酸が活性酸素によって酸化されると、過酸化脂質となります。過酸化脂質が増えると細胞が破壊され、活性酸素の攻撃でDNAが傷つけられます。ビタミンE自体は非常に酸化されやすく、体内で活性酸素とすばやく結びついて活性酸素を除去することで、ほかの成分の酸化を防ぎます。この働きによりビタミンEは細胞膜で活性酸素を除去し、過酸化脂質の生成を抑えています。ビタミンEの血流改善効果によって、全身に血液が供給されることで細胞の新陳代謝も活発になり、皮膚のカサカサ感の改善、肌にハリが出るといった効果も期待できます。さらにビタミンEは、紫外線による害から肌を守る働きがあり、シミやそばかすにも効果的です。ビタミンEを含む食材としては、ナッツ類、植物油、魚介類などです。





 ビタミンB群は、それぞれ助け合いながら、皮膚や神経などを健康に保つビタミンです。エネルギーをつくり出す代謝を助ける働きがあり、人の体には必要不可欠な栄養素です。体に貯めておくことができないため、毎日食事から摂取する必要があります。ビタミンB1は、糖質の代謝過程で必要な酵素の働きを助ける補酵素となって働きます。 糖質は体内で消化されてぶどう糖に分解され、エネルギー源となります。ビタミンB1からつくられる補酵素は、ぶどう糖から段階を経てエネルギーに変わるときに必要なため、ビタミンB1がないとエネルギーを十分につくり出すことができません。ビタミンB2は、特に脂質の代謝において、エネルギーをつくり出す時に必要な補酵素として非常に重要な働きをしています。エネルギーを消費する程、この補酵素が使われるため、ビタミンB2の必要量も多くなります。ビタミンB2が不足すると、脂質の代謝がうまくいかず肌荒れや髪のトラブルが起こります。ビタミンB6はたんぱく質の代謝に欠かせない栄養素です。肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質は、体内でアミノ酸に分解され、吸収された後、体に必要なたんぱく質へ再合成されます。ビタミンB6を摂ることで、たんぱく質の代謝がスムーズに進むため、丈夫で健康な皮膚、粘膜、髪、歯、爪をつくることができます。なお、たんぱく質の1日あたりの推奨される摂取量は、50〜60gです。ビタミンB1は、玄米、豚肉、ナッツ類、うなぎ、たらこなどに含まれています。ビタミンB2は、レバー、うなぎ、納豆、卵などに含まれています。ビタミンB6は、肉、魚介類、大豆製品、卵などに含まれています。



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 食物繊維を多く含む食材は、腸内環境を整えてくれます。食物繊維には、腸のぜん動運動を活発化させ便のカサを増して排便を促す効果、便を柔らかくする効果、善玉菌のエサ、血糖値の上昇抑制効果、コレステロールの増加を抑える効果などがあります。便秘が改善されることで、新陳代謝が向上し、ニキビなどの改善が期待されます。食物繊維には、野菜、豆類、きのこ類、果物、甲殻類などに含まれる不溶性食物繊維とコンブ、ワカメ、こんにゃく、果物、大麦などに含まれる水溶性食物繊維があります。





 発酵食品には、乳酸菌などが含まれており、胃酸で死滅しても、善玉菌のエサとなることで、腸内環境を整える働きがあります。ヨーグルト、キムチ、みそ、漬物などがあります。



まとめ


 肌荒れは、食べ物と深い関係があり、肌のケアに寄与する食材を積極的に摂る必要があります。肌荒れを感じたら、表面のスキンケアだけでは不十分です。肌荒れの改善には、表面のスキンケアだけではなく、生活習慣の改善による内面からのケアを行うことが大切です。内面からのケアとして、重要なってくるのが食材です。偏った食生活により、栄養バランスと肌の健康と深い関係のある腸内細菌のバランスが崩れ、肌荒れの原因となります。





 緑黄色野菜などに含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは、皮膚や粘膜を構成する上皮細胞をつくることに関わり、その機能維持に欠かせない成分で、免疫機能など全身の健康維持を支えています。特に皮膚、目の角膜や粘膜、口、鼻、のど、胃腸、肺、気管支などを覆う粘膜を健康に保つ働きがあります。β-カロテンを多く含む食材は、カボチャ、ニンジン、ホウレンソウ、トマトなどです。





 ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。肌にハリを持たせ、シミを予防する美容効果、免疫機能を高めて風邪をひきにくくする効果、ストレスに対する抵抗力を高める効果などさまざまな働きをもっています。また、ビタミンCは体を構成する重要なたんぱく質のひとつであるコラーゲンを合成するときに、必要な酵素の働きを助ける補酵素として働きます。ビタミンCを多く含む食材としては、キャベツ、もやし、玉ねぎなどです。





 ビタミンEは強い抗酸化作用を持つビタミンのひとつで、さまざまな害を与える活性酸素から体を守る効果があります。肌や血管などの老化を防止し、血行を促進するなど生活習慣病の予防に効果があり、若返りのビタミンとも呼ばれています。ビタミンEの血流改善効果によって、全身に血液が供給されることで細胞の新陳代謝も活発になり、皮膚のカサカサ感の改善、肌にハリが出るといった効果も期待できます。さらにビタミンEは、紫外線による害から肌を守る働きがあり、シミやそばかすにも効果的です。ビタミンEを含む食材としては、ナッツ類、植物油、魚介類などです。





 ビタミンB群は、それぞれ助け合いながら、皮膚や神経などを健康に保つビタミンです。ビタミンB2が不足すると、脂質の代謝がうまくいかず肌荒れや髪のトラブルが起こります。ビタミンB6を摂ることで、たんぱく質の代謝がスムーズに進むため、丈夫で健康な皮膚、粘膜、髪、歯、爪をつくることができます。ビタミンB2は、レバー、うなぎ、納豆、卵などに含まれています。ビタミンB6は、肉、魚介類、大豆製品、卵などに含まれています。





 食物繊維を多く含む食材は、発酵食品などと同様に腸内環境を整えてくれます。食物繊維は、善玉菌のエサとなることや腸のぜん動運動を活発化させ排便を促す働きがあります。また、便秘が改善されることで、新陳代謝が向上し、ニキビなどの改善が期待されます。食物繊維は、野菜、豆類、きのこ類、果物、甲殻類、海藻、こんにゃくなどに含まれています。



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