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2021年02月17日
【はっきりとした特性あり】牛肉の主な部位と希少部位
牛肉は、部位による特性が比較的はっきりしています。肉質が柔らかい部位はステーキやグリルなど焼肉料理に向き、硬い部位はシチューなどの煮込み料理で加熱するほど柔らかくなります。
牛1頭おおよそ700kgから取れる食肉部位は、おおよそ300kgです。内臓は、味や食感が独特ですが、ビタミンやミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいます。
焼肉店では、カルビやロースなど多種多彩なメニューがありますが、中でも注目が集まっているのが希少部位と呼ばれる牛一頭からわずかしかとれない部位です。希少部位にもさまざまな種類があります。
牛肉は、部位による特性が比較的はっきりしています。肉質が柔らかい部位はステーキやグリルなど焼肉料理に向くため、調理の際は加熱しすぎないことが肝心です。硬い部位は、シチューなどの煮込み料理に向き、加熱するほど柔らかくなります。
牛1頭おおよそ700kgから取れる食肉部位は、おおよそ300kgです。内臓は、味や食感が独特ですが、ビタミンやミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいます。
・ネック
首の部分の肉です。よく運動する部位なので、硬めですが、うま味は豊富です。じっくり煮込んでうま味を引き出すシチューやカレーなどに最適です。こま切れ、挽き肉としても利用されます。
・肩ロース
きめの細かい肉質で柔らかい部位です。脂肪が程良く霜降り状に存在し、牛肉特有のコクのある風味が楽しめます。薄切りにして、しゃぶしゃぶ、すき焼、焼肉などにするほか、角切りにして煮込み料理にも使用します。
・肩
たんぱく質が多く、脂肪が少ない赤身肉です。肉質はやや硬めですが、じっくり煮込むと柔らかくなるため、シチューやスープなどの煮込み料理に適しています。
・リブロース
赤身と脂身のバランスが良く、コクがあって風味の良い部位です。きめが細かく、肉本来の美味しさを味わうローストビーフやステーキに向いています。霜降りのものは、すき焼に最適です。
・サーロイン
きめが細かく柔らかい、牛肉の最高部位のひとつです。形、香り、風味とも抜群で、牛肉本来のうま味が堪能できます。ステーキに最適で、さまざまな焼き加減に対応できる優れた肉質が持ち味です。
・ヒレ
極めてきめの細かい柔らかな部位です。脂肪が少なく、上品な風味があります。淡白でステーキにするとさっぱりとした味わいです。
・ランプ
柔らかい赤身肉です。風味が良くて味に深みがあります。ステーキ、すき焼、焼肉、たたきなどどんな料理にしても、美味しく食べられます。
・モモ
牛肉の中で最も脂身の少ない赤身肉です。ローストビーフやたたきなどかたまりで調理する料理に向いています。刺身やユッケにも利用されます。
・そとモモ
ももの部分で一番運動する筋肉の集まっている部位です。きめがやや粗く、脂肪が少なく、肉質は硬めです。薄切りやこま切れにして、焼肉、煮込み料理、炒め物など幅広く利用されます。
・バラ
赤身と脂肪が層になった三枚肉です。濃厚な風味が特徴で、焼肉や牛丼、すき焼のほか煮込み料理にも向いています。こま切れや挽き肉にして、ハンバーグなどに適しています。
・すね
足のふくらはぎの部分です。筋肉が多く、肉全体が硬めですが、長時間煮込むこと柔らかくなります。脂肪が少なく、だしをとるのには最適な部位です。ポトフやシチューに最適です。
・タン(舌)
つけ根の部分は脂肪が多くて柔らかく、舌尖はやや筋っぽいのが特徴です。焼き肉でレモン汁をつけて食べるのが定番です。かたまりは、シチューやマリネに利用します。
・カシラニク(頭肉)
こめかみと頬の部分です。肉質は柔らかく、とろりとした脂の美味しさが味わえます。塩や甘辛いタレにつけて、串焼きなどにします。
・ハツ(心臓)
肉厚で脂肪がないのが特徴です。筋繊維が細くて緻密なので、コリコリとした歯ざわりがあります。薄く切って焼くのが一般的です。
・サガリ
1頭の牛から5kgほどしかとれない部位で、適度な脂肪があります。柔らかな肉質で、焼肉などに向いています。
・ハラミ(横隔膜)
赤身肉に近い肉質と風味で、下味をつけて焼肉などにします。カレーやシチューなどの煮込み料理にも向いています。
・ミノ(第一胃)
特有の風味と噛みごたえがあります。肉厚の上ミノは、甘めに下味をつけ、焼肉用にされます。厚みの少ない部分は煮込みやスープにします。
・ハチノス(第二胃)
蜂の巣の形状に似ていることからハチノスと呼ばれます。さっぱりとした味わいと弾力のある食感が好まれ、煮込み料理やスープに適しています。
・センマイ(第三胃)
千枚のひだがあるような形状で、コリコリとした歯ざわりが特徴です。茹でた状態で出回りますが、もう一度茹でて氷水にさらし、臭みを抜いてから調理します。もつ鍋や炒め物に最適です。
・ギアラ(第四胃)
ほかの胃と比べて、脂がのっています。噛みしめるほどに濃厚なうま味と甘さが出てきます。焼肉や鍋に最適です。
・レバー(肝臓)
柔らかく、ビタミンAをはじめさまざまな栄養成分を含みます。濃厚で味に深みがあります。揚げ物に適しています。
・マメ(腎臓)
そら豆の形に似ていることからマメと呼ばれます。脂肪が少なく、ビタミンA、ビタミンB2を含んでいます。薄切りにして塩焼きやバター焼きなどにします。
・ヒモ(小腸)
細長くて薄い部位で、じっくり煮込んで味をしみ込ませると美味しく食べられます。ねぎやごまを加えたタレにつけて焼いて食べたりします。
・シマチョウ(大腸)
ヒモと比べると太くて厚めです。タレにつけて鉄板焼きや網焼きにするほか炒め煮やみそ煮にも適しています。
・テール(尾)
コラーゲンが多く含まれることから、長時間加熱するとゼラチン化して柔らかくなります。ソテーやシチューなどに最適です。
同じ牛肉でも、部位によってその肉質は変わります。焼肉店では、カルビやロースなど多種多彩なメニューがありますが、中でも注目が集まっているのが希少部位と呼ばれる牛一頭からわずかしかとれない部位です。希少部位にもさまざまな種類があります。
・ザブトン(ハネシタ)
ザブトンは、アバラ骨の近くにある肩ロース肉の一部で、牛1頭から取れるザブトンの量はわずか3〜4kgほどです。座布団のように肉厚なため、ザブトンという名前が付いたと言われています。
和牛の中で一番霜降りの部位であることから、肉の大トロと言われることもあるほどサシが多く、見た目にも美しい肉です。サシが多いため肉質は非常に柔らかく、とろけるようなコクと食感を味わうことができます。炙るように焼き、肉汁が少し浮いてきたら食べ頃です。刺身や寿司など生食にも適しています。
・リブ芯
リブロースの中でバランスのとれた極上の部位です。肉質はきめ細やかで、脂身は上品でしつこくなく、赤身のうま味も兼ね備え、芳醇な香りを感じることができます。別名は、リブロース芯です。
・カブリ
ロースの中央部分にかぶっている部位で、霜降りがキメ細かく、柔らかい食感です。甘みと脂があり、濃厚な味わいです。見た目の美しさは牛肉の中で最高レベルです。
・イチボ
牛の臀部で、一頭から極少量しかとれない貴重な部分です。 霜降りの甘さと赤身のうま味があります。 弾力のある赤身で、肉を食べている実感が味わえます。焼肉や刺身にしても美味しく食べられます。
・ラムシン
サーロインの後ろの臀部辺りの部位です。牛肉らしい赤身肉の美味しさが堪能できます。ステーキ、焼肉、すき焼きなど何にでも使えますが、ローストビーフにすると、しっとりとしていて上品な味が楽しめます。
・トモサンカク(セウチ)
トモサンカクは、モモ肉のなかで一番サシの入る部位です。 通常モモには脂がのりにくいですが、トモサンカクは美しいサシが入り、モモの味わいにコクが加わった独特の風味が食欲をそそります。
・カメノコ
イチボにつながる肉質の繊細な赤身部分です。独特なサシが入り、食べやすく、シチューなどに適しています。断面が亀の甲羅に似ているので、カメノコと呼ばれます。牛の生ハムはこの部位を使用します。
・シンシン(芯芯)
牛の内モモの下あたりにある部位です。弾力がありながらも、きめは細かく、味に癖や脂身のしつこさはありません。別名はマルシンです。
・シャトーブリアン
シャトーブリアンは、腰椎に沿ったヒレ肉の中心部分で、牛肉の最高級部位とされています。牛1頭かわずか500〜800gしかとれません。シャトーブリアンは、高級ステーキとして有名です。シャトーブリアンの特徴は、極上の柔らかさです。脂身の少ない赤身肉でありながら、霜降り肉に負けない柔らかさがあります。噛みしめると、うま味たっぷりのコクのある肉汁が口の中いっぱいに広がります。ミディアムレアに焼き、シンプルに塩で食べれば、シャトーブリアンの持つ繊細なうま味を存分に堪能できます。
・カイノミ
中バラの中でも、ヒレ肉に近い部分を指します。とても柔らかく、脂も程よく入っており、牛肉本来の旨味を味わえます。一頭の牛から左右一対のブロックしか取れない非常に希少な部分で、極上の焼肉用です。二枚貝のような形状から、カイノミという名前になりました。
・フランク
外バラの一部です。カイノミと連結している部分で、焼肉好きには欠かすことのできない部位です。
・マクラ
牛のソトモモの中の一部分です。肉質は固めですが、程よくサシが入っています。別名はシキンボウです。
・サンカク
バラ肉の中でもロースとの中間の部位で、一頭から2枚しかとれません。バラ肉の中で最も美しい霜降りで、味は濃厚です。食感はプルプルとしていて、口にいれるととろけ、サシから溶け出す甘味と赤身肉のうま味が絶妙です。
・クリ
牛の肩から前脚上部を指します。運動量の多い部位で、脂肪が少なく、ややしっかりとした肉質です。たんぱく質が豊富で、味が濃く、牛肉の中でも少し癖があります。別名は、ウデサンカク、クリミなどです。
・ミスジ
肩甲骨の下から前脚の部分にある肉で、牛1頭から2sほどしか取れない希少部位です。肩の肉の中で最もサシが入っており、柔らかい肉質で、サシの脂がとろける食感と濃厚なうま味があります。焼肉だけでなく、寿司やタタキなどにも利用されます。
・トンビ(トウガラシ)
トンビ(トウガラシ)は、肩から前脚の一部で、牛1頭から2kgほどしか取れない希少部位です。トウガラシの形状をしています。内側部分には細かなサシが入っています。 脂身が少ないため、サッパリしていますが、噛むほどに甘くジューシーな肉汁が滲み出てきます。赤身の王道といえる部位です。
牛肉は、部位による特性が比較的はっきりしています。肉質が柔らかい部位はステーキやグリルなど焼肉料理に向き、硬い部位はシチューなどの煮込み料理で加熱するほど柔らかくなります。
牛1頭おおよそ700kgから取れる食肉部位は、おおよそ300kgです。内臓は、味や食感が独特ですが、ビタミンやミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいます。
焼肉店では、カルビやロースなど多種多彩なメニューがありますが、中でも注目が集まっているのが希少部位と呼ばれる牛一頭からわずかしかとれない部位です。希少部位にもさまざまな種類があります。
2021年02月16日
【抑制】体臭の原因と食べ物による対策
自身で体臭は気づきにくいですが、相手を不快にさせないよう日頃から気を付けたいものです。
汗が出てくる汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺という2種類があり、アポクリン腺は主に脇などにあり、ベタベタとした汗を分泌します。この汗には、水分のほかに脂質など独特のにおいのもとになる成分を含んでいます。汗自体に臭いは無く、皮膚に存在する皮膚常在菌が、体臭という不快なにおいを生成しています。
中高年以降で問題となる加齢臭は、40歳以降に増えてくるノネナールという物質が原因です。ノネナールは、年齢とともに増加するパルミトオレイン酸(9-ヘキサデセン酸)という脂肪酸の1種が、酸化されたり分解されたりすることで発生します。ミドル脂臭は、30歳代後半〜40歳代後半に多く発生するジアセチルという物質が原因です。ジアセチルは、汗に含まれる乳酸が皮膚常在菌によってつくり出される物質です。疲労臭は、疲労時に蓄積しやすいアンモニアが原因で発生する体臭です。体内で発生したアンモニアは、通常肝臓で分解されて尿に排出されます。疲れていると肝臓が十分に機能しなくなり、分解されなかったアンモニアは汗と一緒に排出され、ツンと鼻をつくようなにおいを放ちます。
肉、乳製品など動物性脂肪を含む食材に多い飽和脂肪酸は、食べ過ぎると血中のコレステロールや中性脂肪が増加し、体内で酸化されることで、さまざまなにおいの原因となります。加齢臭の場合、特に脂肪酸のパルミトオレイン酸(9-ヘキサデセン酸)の原材料となる肉、バター、マヨネーズなどには要注意です。
バランスに優れた食事を摂ることが、大前提ですが、特に緑黄色野菜は、β⁻カロテン、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどが多く含まれ、脂質などの酸化を防ぎ、酸化臭を抑制します。お茶に含まれるカテキンも同様の働きがあります。
脂肪酸のパルミトオレイン酸(9-ヘキサデセン酸)のもとになる肉類、バター、マヨネーズなどの摂取を減らすことも体臭を抑えることにつながります。ノネナールの発生に大きく関わる活性酸素を除去し、過酸化脂質の生成を防ぐためにも、緑黄色野菜などβ⁻カロテン、ビタミンC、ビタミンEを含む食べ物を摂ります。
食物繊維やオリゴ糖を摂ることで、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らします。腸内環境が改善することで、悪臭の原因となる成分の生成を抑制します。便秘になって、腸内に不要物がたまってしまうと、そこから悪臭の成分が血液中に入り、汗と一緒に体外に出てきます。善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌は、ヨーグルトに多く含まれ、オリゴ糖は、ごぼう、玉ねぎ、大豆などに含まれています。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、水溶性食物繊維は、体に有害な物質の吸収を妨げ、便として排出させます。不溶性食物繊維は、水分を含んでカサを増し、腸を刺激して便の排泄を促進します。水溶性食物繊維は野菜、果物、芋類、豆類、海藻類に多く、不溶性食物繊維は野菜、豆類、きのこ類に多い成分です。
お酢、梅干し、柑橘類などには、クエン酸などの有機酸が含まれています。こうした成分がクエン酸回路(TCA回路)を活発にします。クエン酸回路に有機酸が補給され、代謝が活発になり、溜まっている乳酸の分解を促すことで、疲労回復効果が期待されます。ミドル脂臭の原因となるジアセチルは、汗に含まれる乳酸の発生を抑えることで減らすことができます。乳酸は疲労時に増えるので、できるだけ疲れやストレスをためないように心がけます。
自身で体臭は気づきにくいですが、相手を不快にさせないよう日頃から気を付けたいものです。
汗が出てくる汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺という2種類があります。エクリン腺は、ほぼ全身に分布していて、暑いとき、運動したときにかくサラサラとした汗を分泌します。そのほとんどは水分です。一方、アポクリン腺は主に脇などにあり、ベタベタとした汗を分泌します。この汗には、水分のほかに脂質など独特のにおいのもとになる成分を含んでいます。
汗自体に臭いは無く、皮膚に存在する皮膚常在菌が、体臭という不快なにおいを生成しています。皮膚常在菌は、高温多湿の環境の下で繁殖し、汗がたくさん出てジメジメしている脇、股、足などに発生します。
中高年以降で問題となる加齢臭は、40歳以降に増えてくるノネナールという物質が原因です。ノネナールは、年齢とともに増加するパルミトオレイン酸(9-ヘキサデセン酸)という脂肪酸の1種が、酸化されたり分解されたりすることで発生します。加齢臭は、油くさいにおいと青くさいにおいをあわせたようなにおいで、主に胸や背中などから発生します。
ミドル脂臭は、30歳代後半〜40歳代後半に多く発生するジアセチルという物質が原因です。ジアセチルは、汗に含まれる乳酸が皮膚常在菌によってつくり出される物質です。劣化した油のようなにおいで、後頭部や首の後ろ側などから発生します。
疲労臭は、疲労時に蓄積しやすいアンモニアが原因で発生する体臭です。体内で発生したアンモニアは、通常肝臓で分解されて尿に排出されます。しかし、疲れていると肝臓が十分に機能しなくなります。そして、分解されなかったアンモニアは汗と一緒に排出され、ツンと鼻をつくようなにおいを放ちます。疲労臭は、疲労やストレスが原因なので、どの年齢でも発生する可能性があります。
体臭は、食事に気を付けることで抑えることができます。アポクリン腺から分泌される脂質などを減らすことで、不快なにおいの生成を抑制できます。
肉、乳製品など動物性脂肪を含む食材に多い飽和脂肪酸は、食べ過ぎると血中のコレステロールや中性脂肪が増加し、体内で酸化されることで、さまざまなにおいの原因となります。加齢臭の場合、特に脂肪酸のパルミトオレイン酸(9-ヘキサデセン酸)の原材料となる肉、バター、マヨネーズなどには要注意です。また、腸まで届いた肉などに含まれるたんぱく質が、腸内の悪玉菌によって分解され、アンモニアがつくり出されることでにおいの原因になります。
にんにくを切ると酵素の作用でアリシンという成分が生じます。これが体内に取り込まれて、血液中に送られ、皮膚からも排出されるため、体臭の原因となります。
唐辛子などを食べると汗が出やすくなり、その汗が脂質を含んでいると、皮膚常在菌により分解されることで、においの原因になります。
お酒を飲むとアルコールが体内で分解され、アセトアルデヒドという成分になり、血液を巡って肺や汗腺に送られ、においが生じます。さらにアルコールは口の中を乾燥させることから、唾液が出にくくなり、口臭の原因にもなります。
バランスに優れた食事を摂ることが、大前提です。厚生労働省では、成人が1日あたりに摂取する野菜の目標量を350g以上と定めています。特に緑黄色野菜は、β⁻カロテン、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどが多く含まれ、脂質などの酸化を防ぎ、酸化臭を抑制します。お茶に含まれるカテキンも同様の働きがあります。
脂肪酸のパルミトオレイン酸(9-ヘキサデセン酸)のもとになる肉類、バター、マヨネーズなどの摂取を減らすことも体臭を抑えることにつながります。ノネナールの発生に大きく関わる活性酸素を除去し、過酸化脂質の生成を防ぐため、緑黄色野菜などβ⁻カロテン、ビタミンC、ビタミンEを含む食べ物を摂ります。
肉などに含まれるたんぱく質は、分解されることでアンモニアや硫化水素などにおいの強い物質を生成します。食べるたんぱく質の量が多ければ多いほど、においの成分は多くつくられることになります。たんぱく質の代謝には、ビタミンB6が必要です。ビタミンB6は、マグロ、カツオ、レバー、バナナ、卵、きな粉、ごま、大豆などに含まれています。
食物繊維やオリゴ糖を摂ることで、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らします。腸内環境が改善することで、悪臭の原因となる成分の生成を抑制します。便秘になって、腸内に不要物がたまってしまうと、そこから悪臭の成分が血液中に入り、汗と一緒に体外に出てきます。善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌は、ヨーグルトに多く含まれています。オリゴ糖は、ごぼう、玉ねぎ、大豆などにたくさん含まれています。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、水溶性食物繊維は、体に有害な物質の吸収を妨げ、便として排出させます。不溶性食物繊維は、水分を含んでカサを増し、腸を刺激して便の排泄を促進します。水溶性食物繊維は野菜、果物、芋類、豆類、海藻類に多く、不溶性食物繊維は野菜、豆類、きのこ類に多い成分です。
お酢、梅干し、柑橘類などには、クエン酸などの有機酸が含まれています。こうした成分がクエン酸回路(TCA回路)を活発にします。クエン酸回路は、 摂取した食べ物をエネルギーに変える仕組みです。不摂生な食生活を続けるなど栄養バランスが悪いと、クエン酸回路の働きが低下し、乳酸が蓄積され、筋肉疲労などを起こす可能性があります。お酢などを摂取することで、クエン酸回路に有機酸が補給され、代謝が活発になり、溜まっている乳酸の分解を促すことで、疲労回復効果が期待されます。ミドル脂臭の原因となるジアセチルは、汗に含まれる乳酸の発生を抑えることで減らすことができます。乳酸は疲労時に増えるので、できるだけ疲れやストレスをためないように心がけます。
自身で体臭は気づきにくいですが、相手を不快にさせないよう日頃から気を付けたいものです。
汗が出てくる汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺という2種類があり、アポクリン腺は主に脇などにあり、ベタベタとした汗を分泌します。この汗には、水分のほかに脂質など独特のにおいのもとになる成分を含んでいます。汗自体に臭いは無く、皮膚に存在する皮膚常在菌が、体臭という不快なにおいを生成しています。
中高年以降で問題となる加齢臭は、40歳以降に増えてくるノネナールという物質が原因です。ノネナールは、年齢とともに増加するパルミトオレイン酸(9-ヘキサデセン酸)という脂肪酸の1種が、酸化されたり分解されたりすることで発生します。ミドル脂臭は、30歳代後半〜40歳代後半に多く発生するジアセチルという物質が原因です。ジアセチルは、汗に含まれる乳酸が皮膚常在菌によってつくり出される物質です。疲労臭は、疲労時に蓄積しやすいアンモニアが原因で発生する体臭です。体内で発生したアンモニアは、通常肝臓で分解されて尿に排出されます。疲れていると肝臓が十分に機能しなくなり、分解されなかったアンモニアは汗と一緒に排出され、ツンと鼻をつくようなにおいを放ちます。
肉、乳製品など動物性脂肪を含む食材に多い飽和脂肪酸は、食べ過ぎると血中のコレステロールや中性脂肪が増加し、体内で酸化されることで、さまざまなにおいの原因となります。加齢臭の場合、特に脂肪酸のパルミトオレイン酸(9-ヘキサデセン酸)の原材料となる肉、バター、マヨネーズなどには要注意です。
バランスに優れた食事を摂ることが、大前提ですが、特に緑黄色野菜は、β⁻カロテン、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどが多く含まれ、脂質などの酸化を防ぎ、酸化臭を抑制します。お茶に含まれるカテキンも同様の働きがあります。
脂肪酸のパルミトオレイン酸(9-ヘキサデセン酸)のもとになる肉類、バター、マヨネーズなどの摂取を減らすことも体臭を抑えることにつながります。ノネナールの発生に大きく関わる活性酸素を除去し、過酸化脂質の生成を防ぐためにも、緑黄色野菜などβ⁻カロテン、ビタミンC、ビタミンEを含む食べ物を摂ります。
食物繊維やオリゴ糖を摂ることで、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らします。腸内環境が改善することで、悪臭の原因となる成分の生成を抑制します。便秘になって、腸内に不要物がたまってしまうと、そこから悪臭の成分が血液中に入り、汗と一緒に体外に出てきます。善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌は、ヨーグルトに多く含まれ、オリゴ糖は、ごぼう、玉ねぎ、大豆などに含まれています。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、水溶性食物繊維は、体に有害な物質の吸収を妨げ、便として排出させます。不溶性食物繊維は、水分を含んでカサを増し、腸を刺激して便の排泄を促進します。水溶性食物繊維は野菜、果物、芋類、豆類、海藻類に多く、不溶性食物繊維は野菜、豆類、きのこ類に多い成分です。
お酢、梅干し、柑橘類などには、クエン酸などの有機酸が含まれています。こうした成分がクエン酸回路(TCA回路)を活発にします。クエン酸回路に有機酸が補給され、代謝が活発になり、溜まっている乳酸の分解を促すことで、疲労回復効果が期待されます。ミドル脂臭の原因となるジアセチルは、汗に含まれる乳酸の発生を抑えることで減らすことができます。乳酸は疲労時に増えるので、できるだけ疲れやストレスをためないように心がけます。
2021年02月15日
【生化学】代謝とエネルギー
地球上の生物のエネルギーの究極的な源は太陽です。光合成生物が二酸化炭素を細胞構成物質であるたんぱく質、糖質、脂質、核酸、ビタミン、補酵素などに変換するために太陽光線のエネルギーが使われています。
動物が食べた動植物を消費すること、植物が光合成をするときの諸反応を代謝と言います。細胞の中では、合成と分解が同時に行われ、ある化合物の分解で得られるエネルギーが、ほかの成分の合成に使用されます。エネルギー代謝とは、ある化合物が酵素反応で分解され、数種の高エネルギー化合物を生成し、それがいろいろな目的に使われることを指します。
エネルギー代謝の中心は、ATP(アデノシン3リン酸)-ADP(アデノシン2リン酸)系です。ADPは、代謝過程で生じる高エネルギー化合物からリン酸基を受け取って、ATPになります。このATPがいろいろな合成反応に使用されます。
物質Aの持つ総自由エネルギーを測ることはできませんが、物質Aが物質Bに変化する場合、両者の自由エネルギーの差(ΔG)を論じることはできます。これは物質Aが物質Bに変わるとき取り出せる最大のエネルギー量です。自発的に進む反応では、自由エネルギーは減少します。反対にΔGが正の反応は、何らかの方法でエネルギーを供給しなければ起こりません。ΔGが負の反応を発エルゴン反応、ΔGが正の反応を吸エルゴン反応と言います。
ある反応の速度を決めるのは、その反応の活性化エネルギーです。物質Aが物質Bになるためには、エネルギーを消費しなければなりません。そのときに必要なエネルギー、つまり活性化エネルギーが小さければ、反応は容易に進みます。活性化エネルギーが大きいと反応はほとんど進まず、これを乗り越えるにはエネルギーを与える必要があります。酵素を含め、触媒はこの活性化エネルギーを下げ、反応の進行を助けます。
生物は、吸エルゴン反応と発エルゴン反応を組み合わせる共通の反応物質として、ある化合物が繰り返し使われます。この化合物はATP(アデノシン3リン酸)で、高エネルギー化合物のひとつです。高エネルギー化合物とは、加水分解したときに大きな自由エネルギーの減少を起こすものを言います。高エネルギー化合物を加水分解するとき、自由エネルギーが大幅に減少するのは、加水分解産物の方がかなり安定だからです。
地球上の生物のエネルギーの究極的な源は太陽です。光合成生物が二酸化炭素を細胞構成物質であるたんぱく質、糖質、脂質、核酸、ビタミン、補酵素などに変換するために太陽光線のエネルギーが使われています。糖質や脂質は非光合成生物である動物の成長、発育のエネルギー源となります。動物がつくれない一部のアミノ酸、脂肪酸、ビタミンなどの化合物も高等植物などの光合成生物に依存します。
動物が食べた動植物を消費すること、植物が光合成をするときの諸反応を代謝と言います。細胞成分の化学反応を総括して中間代謝と言います。細胞の中では、合成と分解が同時に行われ、ある化合物の分解で得られるエネルギーが、ほかの成分の合成に使用されます。エネルギー代謝とは、ある化合物が酵素反応で分解され、数種の高エネルギー化合物を生成し、それがいろいろな目的に使われることを指します。
エネルギー代謝の中心は、ATP(アデノシン3リン酸)-ADP(アデノシン2リン酸)系です。ADPは、代謝過程で生じる高エネルギー化合物からリン酸基を受け取って、ATPになります。このATPがいろいろな合成反応に使用され、さらに運動、分泌、吸収、伝導などの生理活性のエネルギー源となります。このときにATPはADPに戻ります。
自由エネルギー(G)は、熱力学の概念で生化学でも利用されます。物質Aの持つ総自由エネルギーを測ることはできませんが、物質Aが物質Bに変化する場合、両者の自由エネルギーの差(ΔG)を論じることはできます。
これは物質Aが物質Bに変わるとき取り出せる最大のエネルギー量です。物質Bの自由エネルギーが、出発物質Aの自由エネルギーより小さければΔGは負となります。逆に物質Bが物質Aに変化すれば、自由エネルギーは増大します。すなわち、ΔGは正となります。自発的に進む反応では、自由エネルギーは減少します。反対にΔGが正の反応は、何らかの方法でエネルギーを供給しなければ起こりません。ΔGが負の反応を発エルゴン反応、ΔGが正の反応を吸エルゴン反応と言います。
ΔGが負であることとその反応の速度とは、関係がありません。ぶどう糖は酸素によって酸化され、二酸化炭素になります。
C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O
この反応のΔGは、ぶどう糖1molあたりおおよそ−686kcalとなり、非常に大きな負の値ですが、ΔGの大きさと反応速度には関係がありません。触媒があれば、ぶどう糖の酸化は数秒で起こり、通常生体では数分ないし数時間で進行します。しかし、ぶどう糖を室温で空気にさらし、何年も放置しても酸化は起こりません。
ある反応の速度を決めるのは、その反応の活性化エネルギーです。物質Aが物質Bになるためには、エネルギーを消費しなければなりません。そのときに必要なエネルギー、つまり活性化エネルギーが小さければ、反応は容易に進みます。活性化エネルギーが大きいと反応はほとんど進まず、これを乗り越えるにはエネルギーを与える必要があります。酵素を含め、触媒はこの活性化エネルギーを下げ、反応の進行を助けます。
反応の自由エネルギー変化ΔGと熱力学的性質の間には関係があります。
ΔG=ΔH-TΔS
ここでΔHは定圧で反応が進むときのエンタルピー変化です。エンタルピーは、物質の発熱吸熱にかかわる状態量です。等圧条件下にある系が発熱して外部に熱を出すとエンタルピーが下がり、吸熱して外部より熱を受け取るとエンタルピーが上がります。ΔSはエントロピー変化です。エントロピーとは、系の乱雑さ、系の分子の秩序に関する量です。つまり、何をすることができて、何をすることができないかをその大小で表すような量です。Tは絶対温度を表します。物質Aや物質BのHとSの絶対量を測るのは困難ですが、物質Aが物質Bに変化するときの差は測定できます。ΔHは熱量を定圧で測定するカロリーメーター(熱量計)で測ります。物質Aより物質Bのエントロピーが大きければ、TΔSは正となり、ΔGは負の値となります。
生物は、吸エルゴン反応と発エルゴン反応を組み合わせる共通の反応物質として、ある化合物が繰り返し使われます。この化合物はATP(アデノシン3リン酸)で、高エネルギー化合物のひとつです。
高エネルギー化合物とは、加水分解したときに大きな自由エネルギーの減少を起こすものを言います。ATPが加水分解してADP(アデノシン2リン酸)となった場合、pH7.0でのΔGは−7.3kcal/molで、これはぶどう糖6リン酸の加水分解のΔGの−3.3kcal/molなどよりかなり大きい値です。
高エネルギー化合物を加水分解するとき、自由エネルギーが大幅に減少するのは、加水分解産物の方がかなり安定だからです。すなわち、高エネルギー化合物の結合が静電気的な力で相反発しており、生成物がイオン化して安定化、生成物が異性化して安定化、生成物が共鳴により安定化するためです。
ATP内のリン酸構造が重要で、リン原子(P)と酸素原子(O)によるP=O結合の電子は、電気陰性度の大きい酸素原子に引き付けられる傾向があります。そこで酸素原子は少し負(δ−)にリン原子はその分だけ正(δ+)に荷電します。こうして、ATPやADPのリン酸では隣同士のリン酸原子が正の荷電を帯びるので、この静電気的反発に逆らって結合を維持するには、分子がそれだけ余分に内部エネルギーを持つことになります。
加水分解でリン酸の結合が切れるとそのエネルギーが遊離します。これが加水分解のΔGを大きな負の値にする原因のひとつです。
地球上の生物のエネルギーの究極的な源は太陽です。光合成生物が二酸化炭素を細胞構成物質であるたんぱく質、糖質、脂質、核酸、ビタミン、補酵素などに変換するために太陽光線のエネルギーが使われています。
動物が食べた動植物を消費すること、植物が光合成をするときの諸反応を代謝と言います。細胞の中では、合成と分解が同時に行われ、ある化合物の分解で得られるエネルギーが、ほかの成分の合成に使用されます。エネルギー代謝とは、ある化合物が酵素反応で分解され、数種の高エネルギー化合物を生成し、それがいろいろな目的に使われることを指します。
エネルギー代謝の中心は、ATP(アデノシン3リン酸)-ADP(アデノシン2リン酸)系です。ADPは、代謝過程で生じる高エネルギー化合物からリン酸基を受け取って、ATPになります。このATPがいろいろな合成反応に使用されます。
物質Aの持つ総自由エネルギーを測ることはできませんが、物質Aが物質Bに変化する場合、両者の自由エネルギーの差(ΔG)を論じることはできます。これは物質Aが物質Bに変わるとき取り出せる最大のエネルギー量です。自発的に進む反応では、自由エネルギーは減少します。反対にΔGが正の反応は、何らかの方法でエネルギーを供給しなければ起こりません。ΔGが負の反応を発エルゴン反応、ΔGが正の反応を吸エルゴン反応と言います。
ある反応の速度を決めるのは、その反応の活性化エネルギーです。物質Aが物質Bになるためには、エネルギーを消費しなければなりません。そのときに必要なエネルギー、つまり活性化エネルギーが小さければ、反応は容易に進みます。活性化エネルギーが大きいと反応はほとんど進まず、これを乗り越えるにはエネルギーを与える必要があります。酵素を含め、触媒はこの活性化エネルギーを下げ、反応の進行を助けます。
生物は、吸エルゴン反応と発エルゴン反応を組み合わせる共通の反応物質として、ある化合物が繰り返し使われます。この化合物はATP(アデノシン3リン酸)で、高エネルギー化合物のひとつです。高エネルギー化合物とは、加水分解したときに大きな自由エネルギーの減少を起こすものを言います。高エネルギー化合物を加水分解するとき、自由エネルギーが大幅に減少するのは、加水分解産物の方がかなり安定だからです。
2021年02月14日
【生命の単位】細胞の構造
細胞は、原核細胞と真核細胞に分類されます。原核細胞はあまり組織化されていない細胞で、内部に膜で包まれたオルガネラ(細胞小器官)がありません。細菌はすべて原核細胞で、それ以外の細胞は真核細胞です。真核細胞の内部は組織化されており、膜で包まれた多数のオルガネラが存在します。細胞核には遺伝情報をもつ染色質(クロマチン)があり、細胞分裂の際には有糸分裂と減数分裂が起こります。
原核細胞、藻類、カビ、植物などの真核細胞では、細胞壁で細胞の形と硬さが決まります。細胞壁がなければ細胞は球状となり、外部浸透圧のわずかな変化にも耐えられません。植物細胞の細胞壁は、細胞間物質、第一細胞壁、第二細胞壁の3つに分けられます。細胞壁におけるセルロースの役割は、構造の維持です。
動物細胞には細胞壁がありませんが、細胞の内外を仕切る半透膜である形質膜(細胞膜)があります。形質膜の外側の環境が変動しても、内部はエネルギーを消費しながら都合の良い環境を維持します。細胞のリン脂質の95%以上は形質膜に存在します。
原核細胞には細胞核がありませんが、細胞膜の内側に2本鎖環状DNAが結合しています。真核細胞の細胞核は、2重膜で覆われた密度の高い大きな構造体です。2重膜にはたくさんの孔があり、核で合成された化合物は孔からまわりの細胞質に出ていきます。細胞核の中には染色質(クロマチン)があります。これはDNAとヒストンというたんぱく質の複合体からなる染色体です。
リボゾームはたんぱく質の合成に関与します。
光合成を行う真核生物にはクロロプラストが存在します。これはクロロフィル(葉緑素)をもつオルガネラです。
細胞は、原核細胞と真核細胞に分類されます。原核細胞はあまり組織化されていない細胞で、内部に膜で包まれたオルガネラ(細胞小器官)がありません。遺伝物質も膜に包まれておらず、細胞分裂の際に有糸分裂も減数分裂も起こりません。呼吸酵素は形質膜に結合しています。細菌はすべて原核細胞で、それ以外の細胞は真核細胞です。
真核細胞の内部は組織化されており、膜で包まれた多数のオルガネラが存在します。細胞核には遺伝情報をもつ染色質(クロマチン)があり、細胞分裂の際には有糸分裂と減数分裂が起こります。呼吸酵素はミトコンドリアに局在します。
原核細胞、藻類、カビ、植物などの真核細胞では、細胞壁で細胞の形と硬さが決まります。細胞壁がなければ細胞は球状となり、外部浸透圧のわずかな変化にも耐えられません。
原核細胞であるグラム陽性菌の細胞壁には、80%のペプチドグリカンと共にテイコ酸というポリマーが存在します。涙や唾液、ある種の植物に含まれる酵素リゾチームは、ペプチドグリカンの結合を加水分解し、細胞壁を弱め、破壊します。ペニシリンは、細胞壁の生合成を特異的に阻害することで細胞の成長を抑え、ついには溶菌させます。
真核細胞の細胞壁や細胞膜は、原核細胞の細胞壁と構造が全く異なるので、ペニシリンは動物細胞に害はなく、細菌感染の治療に用いられます。
グラム陰性菌の細胞壁は、主としてリポ多糖の巨大分子より成っています。
植物細胞の細胞壁は、細胞間物質、第一細胞壁、第二細胞壁の3つに分けられます。最も外側の細胞間物質は主としてペクチンからなり、リグニンを含みます。第一細胞壁は、セルロース、ヘミセルロース(キシラン、マンナン、ガラクタン、グルカン)、ペクチン、リグニンからなります。最も内側にある第二細胞壁は、主としてセルロースよりなり、少量のヘミセルロース、リグニンを含みます。
第二細胞壁にはいろいろな形の孔があちこちに空いています。原形質連絡(プラスモデスマ)という細管が、第二細胞壁、第一細胞壁、細胞間物質を抜けて隣接細胞の細胞質につながっています。
細胞壁におけるセルロースの役割は、構造の維持です。セルロース分子2000本が束になってミクロフィブリルを形成し、これが細胞のまわり、特に第二細胞壁に規則的な3次元格子をつくって配列し、細胞壁に強靭性と柔軟性を与えています。
動物細胞には細胞壁がありません。しかし、形質膜(細胞膜)には結合たんぱく質、糖脂質、酵素、糖たんぱく質、ホルモン受容体およびそれぞれの細胞にその特徴を与えている高原などいろいろな成分があります。動物細胞はこのため滑らかではなく、凸凹しています。
細胞の内外を仕切る半透膜を形質膜と言います。形質膜の外側の環境が変動しても、内部はエネルギーを消費しながら都合の良い環境を維持します。多細胞生物では、細胞は大きな個体の一部でもあり、細胞間の協調や相互作用が必要です。
細胞のリン脂質の95%以上は形質膜に存在します。糖質は、ほとんどが糖たんぱく質または糖脂質です。
脂質は膜の形、構造を規定し、たんぱく質を埋め込む主体です。膜には親水性および疎水性の両性をそなえた脂質、すなわちリン脂質、糖脂質が必ず存在します。
膜は温度が変化すると液状の液晶状態から固いゲル構造に相変化します。遷移温度は脂質の組成に依存します。定温動物では膜温度も一定ですが、植物、魚などの冷血脊椎動物に至るいわゆる変温生物では温度変化にさらされます。膜の酵素や輸送系、あるいは受容体は脂質に囲まれており、膜脂質の状態が変われば影響を受けます。定温動物の脂質は、変温動物のものより飽和脂肪酸含量が高くなります。これは膜の相遷移と関係しています。
原核細胞には細胞核がありませんが、細胞膜の内側に2本鎖環状DNAが結合しています。長さ2μmの細菌細胞のDNAを直線に引き伸ばすと細胞の長さの500倍の1o以上になります。
真核細胞の細胞核は、2重膜で覆われた密度の高い大きな構造体です。2重膜にはたくさんの孔があり、核で合成された化合物は孔からまわりの細胞質に出ていきます。細胞核の中には染色質(クロマチン)があります。これはDNAとヒストンというたんぱく質の複合体からなる染色体です。細胞核には、DNAを合成するDNAポリメラーゼ、メッセンジャーRNAやトランスファーRNAの合成に携わるRNAポリメラーゼなどの酵素があります。
原核細胞ではいくつものリボゾームがメッセンジャーRNAでつながって直径10〜20nmの集合体ポリソームを形成します。増殖中の細菌細胞ではたんぱく質の合成が盛んなので、ポリソームがたくさんあります。
真核細胞ではリボゾームは小胞体に結合し、たんぱく質の合成を行います。
ミトコンドリアは、長さ2〜3μmの桿状顆粒ですべての真核細胞に存在し、細胞のエネルギー代謝に関与します。
原核生物には、ミトコンドリアが存在せず、エネルギー代謝に関与する酵素は形質膜に局在します。
光合成を行う真核生物にはクロロプラストが存在します。これはクロロフィル(葉緑素)をもつオルガネラです。
下等植物のクロロプラストは、大きさ、形、数がまちまちです。高等植物の1つの細胞にはおおよそ40個のクロロプラストがあります。直径5〜10μm、厚さ2〜3μmで乾燥重量の50%はたんぱく質、40%は脂質です。脂質の23%はクロロフィル、5%はカロテノイドです。
細胞は、原核細胞と真核細胞に分類されます。原核細胞はあまり組織化されていない細胞で、内部に膜で包まれたオルガネラ(細胞小器官)がありません。細菌はすべて原核細胞で、それ以外の細胞は真核細胞です。真核細胞の内部は組織化されており、膜で包まれた多数のオルガネラが存在します。細胞核には遺伝情報をもつ染色質(クロマチン)があり、細胞分裂の際には有糸分裂と減数分裂が起こります。
原核細胞、藻類、カビ、植物などの真核細胞では、細胞壁で細胞の形と硬さが決まります。細胞壁がなければ細胞は球状となり、外部浸透圧のわずかな変化にも耐えられません。植物細胞の細胞壁は、細胞間物質、第一細胞壁、第二細胞壁の3つに分けられます。細胞壁におけるセルロースの役割は、構造の維持です。
動物細胞には細胞壁がありませんが、細胞の内外を仕切る半透膜である形質膜(細胞膜)があります。形質膜の外側の環境が変動しても、内部はエネルギーを消費しながら都合の良い環境を維持します。細胞のリン脂質の95%以上は形質膜に存在します。
原核細胞には細胞核がありませんが、細胞膜の内側に2本鎖環状DNAが結合しています。真核細胞の細胞核は、2重膜で覆われた密度の高い大きな構造体です。2重膜にはたくさんの孔があり、核で合成された化合物は孔からまわりの細胞質に出ていきます。細胞核の中には染色質(クロマチン)があります。これはDNAとヒストンというたんぱく質の複合体からなる染色体です。
リボゾームはたんぱく質の合成に関与します。
光合成を行う真核生物にはクロロプラストが存在します。これはクロロフィル(葉緑素)をもつオルガネラです。
2021年02月13日
【代謝に関与する】脂質
脂質は、水にほとんど溶けず、有機溶媒によく溶けます。脂質とは、いろいろな化合物の総称で、アシルグリセロール、ろう、リン脂質、イソプレノイドなどに分類され、自然界に広く分布しています。
多くの脂質に共通な成分は脂肪酸で、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3種類の原子で構成され、炭素原子が鎖状につながった一方の端にカルボキシル基(-COOH)がついています。脂肪酸には、炭素の数や炭素と炭素のつながり方などの違いにより、さまざまな種類があります。そのうち、リノール酸やα-リノレン酸などは、生命の維持に不可欠であるにも関わらず、体内でつくることができないため、食事から摂取する必要があることから、必須脂肪酸と呼ばれています。脂肪酸は、構造の違いにより飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類に分類できます。炭素と炭素の間に2重結合が全くない脂肪酸を飽和脂肪酸、2重結合がある脂肪酸を不飽和脂肪酸と言います。不飽和脂肪酸のうち炭素の2重結合が1つのものを一価不飽和脂肪酸、2つ以上あるものを多価不飽和脂肪酸と言います。多価不飽和脂肪酸の中でも鎖状に結合した3個目の炭素に2重結合があるα-リノレン酸、EPAなどをn-3系脂肪酸と言い、6個目の炭素に2重結合があるリノール酸などをn-6系脂肪酸と言います。N-3系脂肪酸はω3(オメガ3)脂肪酸、n-6系脂肪酸はω6(オメガ6)脂肪酸とも呼ばれます。一般に脂肪酸は、炭素の数が多くなるほど融点が高くなります。また、同じ炭素数の脂肪酸を比較した場合、2重結合の数が多くなるほど融点が低くなります。
ろうも自然界に広く分布しています。植物では葉や果実を保護するコーティングの役割を果たします。
リン脂質は、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリンなどがあります。リン脂質分子は、極性基と非極性基を含むので両親媒性を持ち、水中で凝集してミセルや脂質2重層に代表される2重層膜を形成します。
炭素数5のイソプレン単位から成る化合物群にはイソプレノイド(テルペノイド)と呼ばれる一群があります。コレステロール、β-カロテンなどは、イソプレン単位から成り立っています。
脂質はエネルギーの貯蔵物質としてだけでなく、細胞膜において膜たんぱく質と共に選択的透過性、受動輸送、能動輸送などの役割、酵素の活性化、ミトコンドリア内膜電子伝達系の構成成分などいろいろな代謝活動に関与しています。
脂質は、水にほとんど溶けず、有機溶媒によく溶けます。疎水性で炭化水素のような性質を持ちます。脂質とは、いろいろな化合物の総称で、アシルグリセロール、ろう、リン脂質、スフィンゴリピド、グリコリピド(糖脂質)、イソプレノイドなどに分類され、自然界に広く分布しています。
多くの脂質に共通な成分は脂肪酸で、普通偶数個(4〜30個)の炭素原子からなる直鎖型で、飽和なもの、不飽和なものがあります。動物の脂肪酸は、簡単な直鎖型で0〜6個の2重結合を含みます。細菌の脂肪酸は、飽和または2重結合1個で、枝分かれしたものなどもあります。これに対し、植物の脂肪酸はさまざまで、3重結合などを持っていたりします。
脂肪酸の化学反応性は、カルボキシル基などの官能基の性質と炭化水素鎖の不飽和度に依存します。遊離脂肪酸は、細胞内にほとんどなく、大部分はエステル結合してトリアシルグリセロール、糖脂質、リン脂質になっています。エステル結合は、酸やアルカリで加水分解されます。酸加水分解は可逆ですが、アルカリ加水分解は不可逆です。グリセロール(グリセリン) は、3価のアルコールの1種で、食品添加物として、甘味料、保存料、保湿剤、増粘安定剤などの用途があります。脂肪酸は、長鎖炭化水素の1価のカルボン酸です。一般的に、炭素数2〜4個のものを短鎖脂肪酸、5〜12個のものを中鎖脂肪酸、13個以上のものを長鎖脂肪酸と呼びます。脂肪酸は、一般式 CnHmCOOH で表わされ、脂肪酸はグリセロールとエステル結合して、アシルグリセロールまたはグリセリドと呼ばれます。最も広く分布しているアシルグリセロールは、トリアシルグリセロールで、トリグリセリド、または中世脂質と言います。
脂肪酸は、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3種類の原子で構成され、炭素原子が鎖状につながった一方の端にカルボキシル基(-COOH)がついています。脂肪酸には、炭素の数や炭素と炭素のつながり方などの違いにより、さまざまな種類があります。そのうち、リノール酸やα-リノレン酸などは、生命の維持に不可欠であるにも関わらず、体内でつくることができないため、食事から摂取する必要があることから、必須脂肪酸と呼ばれています。脂肪酸は、構造の違いにより飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類に分類できます。炭素と炭素の間に2重結合が全くない脂肪酸を飽和脂肪酸、2重結合がある脂肪酸を不飽和脂肪酸と言います。不飽和脂肪酸のうち炭素の2重結合が1つのものを一価不飽和脂肪酸、2つ以上あるものを多価不飽和脂肪酸と言います。多価不飽和脂肪酸の中でも鎖状に結合した3個目の炭素に2重結合があるα-リノレン酸、EPAなどをn-3系脂肪酸と言い、6個目の炭素に2重結合があるリノール酸などをn-6系脂肪酸と言います。N-3系脂肪酸はω3(オメガ3)脂肪酸、n-6系脂肪酸はω6(オメガ6)脂肪酸とも呼ばれます。
一般に脂肪酸は、炭素の数が多くなるほど融点が高くなります。また、同じ炭素数の脂肪酸を比較した場合、2重結合の数が多くなるほど融点が低くなります。脂肪酸の炭素数8個までのものは液体で、それ以上は固体です。ステアリン酸は融点70℃、2重結合がひとつのオレイン酸の融点は14℃です。2重結合が増えると融点はさらに下がります。
食品中に含まれる主な脂肪酸は、以下の通りです。
ろうも自然界に広く分布しています。植物では葉や果実を保護するコーティングの役割を果たします。また、みつろうなど昆虫が分泌するものもあります。
ろうは奇数個の炭素原子を含む複雑な混合物です。水に不溶で、飽和炭化水素基を持つので、化学的に不活性です。
植物の葉の表面で、ろうは摩耗や水の蒸散を防ぎます。昆虫、水鳥、羊毛などが水をはじくのは、ろうのためです。海洋の油汚染を除くため洗剤を用いると、洗剤で羽毛のろうが溶け、水鳥は浮けなくなります。
ろうは、潤滑油としても用いられます。
リン脂質は、ホスホリピドとも言います。リン酸のほかにグリセロール、脂肪酸などを含んでいます。リン脂質として、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールなどがあります。
リン脂質は、動植物組織や細菌に広く存在し、構造はほとんど同じです。ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリンは、細胞膜にあることが多いです。
リン脂質分子は、極性基と非極性基を含むので両親媒性を持ちます。両親媒性分子は、1つの分子内に水になじむ親水基と油になじむ親油基の両方を持つ分子の総称です。リン脂質のほかに界面活性剤などがあります。 水中で凝集してミセルや脂質2重層に代表される2重層膜を形成します。
炭素数5のイソプレン単位から成る化合物群にはイソプレノイド(テルペノイド)と呼ばれる一群があり、イソプレノイド経路により生合成されます。
イソプレノイド経路から生成する化合物群として、テルペノイド、ステロイド、カロテノイドが知られています。スクアレン、コレステロール、β-カロテンなどは、すべてイソプレン単位から成り立っています。
細胞の正常な活動に脂質はさまざまな働きをします。脂質はエネルギーの貯蔵物質としてだけでなく、細胞膜において膜たんぱく質と共に選択的透過性、受動輸送、能動輸送など重要な役割を果たします。
また、脂質は酵素の活性化、ミトコンドリア内膜電子伝達系の構成成分など直接間接的にいろいろな代謝活動に関与しています。
脂質は、水にほとんど溶けず、有機溶媒によく溶けます。脂質とは、いろいろな化合物の総称で、アシルグリセロール、ろう、リン脂質、イソプレノイドなどに分類され、自然界に広く分布しています。
多くの脂質に共通な成分は脂肪酸で、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3種類の原子で構成され、炭素原子が鎖状につながった一方の端にカルボキシル基(-COOH)がついています。脂肪酸には、炭素の数や炭素と炭素のつながり方などの違いにより、さまざまな種類があります。そのうち、リノール酸やα-リノレン酸などは、生命の維持に不可欠であるにも関わらず、体内でつくることができないため、食事から摂取する必要があることから、必須脂肪酸と呼ばれています。脂肪酸は、構造の違いにより飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類に分類できます。炭素と炭素の間に2重結合が全くない脂肪酸を飽和脂肪酸、2重結合がある脂肪酸を不飽和脂肪酸と言います。不飽和脂肪酸のうち炭素の2重結合が1つのものを一価不飽和脂肪酸、2つ以上あるものを多価不飽和脂肪酸と言います。多価不飽和脂肪酸の中でも鎖状に結合した3個目の炭素に2重結合があるα-リノレン酸、EPAなどをn-3系脂肪酸と言い、6個目の炭素に2重結合があるリノール酸などをn-6系脂肪酸と言います。N-3系脂肪酸はω3(オメガ3)脂肪酸、n-6系脂肪酸はω6(オメガ6)脂肪酸とも呼ばれます。一般に脂肪酸は、炭素の数が多くなるほど融点が高くなります。また、同じ炭素数の脂肪酸を比較した場合、2重結合の数が多くなるほど融点が低くなります。
ろうも自然界に広く分布しています。植物では葉や果実を保護するコーティングの役割を果たします。
リン脂質は、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリンなどがあります。リン脂質分子は、極性基と非極性基を含むので両親媒性を持ち、水中で凝集してミセルや脂質2重層に代表される2重層膜を形成します。
炭素数5のイソプレン単位から成る化合物群にはイソプレノイド(テルペノイド)と呼ばれる一群があります。コレステロール、β-カロテンなどは、イソプレン単位から成り立っています。
脂質はエネルギーの貯蔵物質としてだけでなく、細胞膜において膜たんぱく質と共に選択的透過性、受動輸送、能動輸送などの役割、酵素の活性化、ミトコンドリア内膜電子伝達系の構成成分などいろいろな代謝活動に関与しています。
2021年02月12日
【アミノ酸の重合体】たんぱく質の構造
たんぱく質の機能に重要なのは立体構造です。たんぱく質が特有の立体構造をとる原因は、ペプチド結合の主鎖や側鎖間の非共有結合による安定化です。
立体構造は、たんぱく質のアミノ酸配列により自然に決まります。立体構造ができると配列上では離れた残基が近づき、溶媒の極性なども関与して特定分子に対する結合能、触媒能、そのほかたんぱく質分子それぞれの機能が現れます。
たんぱく質は球状のものが多く、球状内部はアミノ酸残基でぎっしり詰まっています。内部空間の75%はアミノ酸残基で満たされ、残る25%は水分子も入れない細かい隙間に分かれています。
アミノ酸側鎖は非極性なものが多く、たんぱく質の内部は大体非極性です。極性アミノ酸残基は分子の表面に出ています。極性残基が分子内部にあれば、機能上何か必要なことが多くなります。逆に非極性残基が分子表面に出ていれば、脂質との結合に関与する可能性が大きくなります。
たんぱく質の機能は、結合、触媒、伝達、輸送、収縮、栄養、構造です。しかもそのひとつに限りません。
細胞内で進行するさまざまな体に必要な反応は、すべての細胞が生きる温度、pHなど狭い範囲内で進行させなければなりません。そこで触媒が必要になりますが、そのほとんどは酵素、すなわちたんぱく質です。酵素はその対象に結合し、共有結合や非共有結合を切ったりつくったりする化学変化を起こします。酵素がないと代謝は進みません。
細胞膜の物質の透過を助けるたんぱく質もあります。物質が濃い方から薄い方へ移動する受動輸送だけでなく、薄い方から濃い方へ移るには能動輸送、すなわちエネルギーを必要とします。エネルギーを消費して結合を生じ、神経の伝達が行われます。
収縮は、筋肉の特性です。筋肉の主体はたんぱく質で、収縮は分子がお互いにずれ動くことです。ある種のたんぱく質は、その収縮により運動と体のバランスに関与します。
植物の種子には貯蔵たんぱく質があり、光合成が始まるまでの窒素源、エネルギー源となります。穀物の主要な貯蔵たんぱく質プロラミンは、人や家畜が消費するたんぱく質の相当の部分を占めます。
皮膚や骨の繊維状たんぱく質であるコラーゲンは、構造たんぱく質です。
このようにたんぱく質は、あらゆる面で細胞活性に関わっています。
たんぱく質は、アミノ酸同士がペプチド結合でつながった直鎖状の分子です。ペプチド結合とは、ひとつのアミノ酸のアミノ基ともうひとつのアミノ酸のカルボキシル基からH⁺とOH⁻がとれ、脱水縮合したものです。
たんぱく質のポリペプチド構造、すなわち鎖状構造はいくらでも長くなることができるため、たんぱく質の分子量に制限はありません。分子量は数千〜数百万まであります。たんぱく質中に取り込まれたアミノ酸は、脱水された形で、アミノ酸残基と呼びます。
20種のアミノ酸残基がたんぱく質の構造の大部分を占めています。イミノ酸であるプロリンを除き、すべてがα-アミノ酸で側鎖(R基)だけが異なります。イミノ酸は、分子中にイミノ基(>C=NH)とカルボキシル基(-COOH)を両方持ちます。 α-アミノ酸は、カルボキシル基が結合している炭素(α炭素)にアミノ基も結合しているアミノ酸でありRCH(NH2)COOH という構造を持っています。
たんぱく質の第一構造はアミノ酸の並び方です。非極性すなわち疎水性のR基を持つアミノ酸は、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)です。極性だが電荷のないアミノ酸は、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、システイン(Cys)、チロシン(Tyr)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)です。正電荷を持つR基を有するアミノ酸は、リシン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)です。負電荷を持つR基を有するアミノ酸は、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)です。プロリン(Pro)を含め、20種のアミノ酸が地球上の全生物のたんぱく質を構成しており、生物界はこの点において、画一的です。この20種のアミノ酸の並び方で、ポリペプチド鎖の反応性、折れ曲がり方が決まります。
たんぱく質の機能に重要なのは立体構造です。たんぱく質が特有の立体構造をとる原因は、ペプチド結合の主鎖や側鎖間の非共有結合による安定化です。
立体構造は、たんぱく質のアミノ酸配列により自然に決まります。立体構造ができると配列上では離れた残基が近づき、溶媒の極性なども関与して特定分子に対する結合能、触媒能、そのほかたんぱく質分子それぞれの機能が現れます。
たんぱく質は球状のものが多く、球状内部はアミノ酸残基でぎっしり詰まっています。内部空間の75%はアミノ酸残基で満たされ、残る25%は水分子も入れない細かい隙間に分かれています。
アミノ酸側鎖は非極性なものが多く、たんぱく質の内部は大体非極性です。極性アミノ酸残基は分子の表面に出ています。極性残基が分子内部にあれば、機能上何か必要なことが多くなります。逆に非極性残基が分子表面に出ていれば、脂質との結合に関与する可能性が大きくなります。
球状でないたんぱく質もあります。繊維状たんぱく質で、皮膚、軟骨、骨などに存在するコラーゲンは、哺乳類では最も多く、体重の6%、全たんぱく質の3分の1を占めます。コラーゲンは、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン含量が高くなります。コラーゲンは、3本鎖がらせん状によじれ、互いに結合した構造です。毛、くちばし、爪、鱗、角、ひづめ、羊毛などの主成分ケラチンも繊維状たんぱく質です。絹や筋肉を構成するトロポミオシンなどの収縮たんぱく質も繊維状です。
球状でも繊維状でもないたんぱく質もあります。
たんぱく質のような複雑な巨大分子の構造は、アミノ酸配列による第一構造、ポリペプチド鎖上での近い部分の折れ曲がり方を示す第二構造、比較的離れたアミノ酸残基同士の相互作用などでつくられる第三構造、他のたんぱく質と会合して多量体たんぱく質やオリゴマーたんぱく質を形成する第四構造があります。
たんぱく質の機能は、結合、触媒、伝達、輸送、収縮、栄養、構造です。細胞内で進行するさまざまな体に必要な反応の触媒は、ほとんど酵素、すなわちたんぱく質です。酵素がないと代謝は進みません。細胞膜の物質の透過を助けるたんぱく質もあります。筋肉の主体はたんぱく質で、収縮は分子がお互いにずれ動くことです。植物の種子には貯蔵たんぱく質があり、光合成が始まるまでの窒素源、エネルギー源となります。皮膚や骨の繊維状たんぱく質であるコラーゲンは、構造たんぱく質です。このようにたんぱく質は、あらゆる面で細胞活性に関わっています。
たんぱく質は、アミノ酸同士がペプチド結合でつながった直鎖状の分子です。ペプチド結合とは、ひとつのアミノ酸のアミノ基ともうひとつのアミノ酸のカルボキシル基からH⁺とOH⁻がとれ、脱水縮合したものです。たんぱく質のポリペプチド構造、すなわち鎖状構造はいくらでも長くなることができるため、たんぱく質の分子量に制限はありません。分子量は数千〜数百万まであります。たんぱく質の第一構造はアミノ酸の並び方です。イミノ酸のプロリンを含め、20種のアミノ酸が地球上の全生物のたんぱく質を構成しています。
たんぱく質の機能に重要なのは立体構造です。たんぱく質が特有の立体構造をとる原因は、ペプチド結合の主鎖や側鎖間の非共有結合による安定化です。立体構造は、たんぱく質のアミノ酸配列により自然に決まります。立体構造ができると配列上では離れた残基が近づき、溶媒の極性なども関与して特定分子に対する結合能、触媒能、そのほかたんぱく質分子それぞれの機能が現れます。
2021年02月11日
【単糖を構成成分とする有機化合物】糖質の分類
糖質は、単糖、オリゴ糖、多糖類の3種に大別されます。単糖類とは普通の条件ではそれ以上小さな単位に加水分解されないものです。最も簡単な単糖は、グリセルアルデヒドとジヒドロキシアセトンです。オリゴ糖は加水分解で2〜6分子の単糖を生じるものです。多糖類の多くは単糖が直鎖または枝分かれでつながったポリマーです。
天然に存在する単糖類は炭素原子を6つもつものが多く、6炭糖(ヘキソース)と呼ばれます。6炭糖にはぶどう糖、マンノース、ガラクトース、果糖などがあり、全て分子式C6H12O6で表されます。
天然のオリゴ糖の多くは、加水分解で2分子の単糖を生じる2糖類です。麦芽糖(マルトース)は、ぶどう糖2分子がα-1,4結合というグリコシド結合でつながっています。グリコシド結合は、2つの糖分子などが脱水縮合して形成する共有結合です。イソマルトースは、α-1,6結合でぶどう糖2分子がつながっています。乳糖(ラクトース)は、乳の中に存在する2糖類で、加水分解すると、ぶどう糖とガラクトースを各1分子生じます。ショ糖(スクロース)は、砂糖の主成分です。加水分解で1分子のぶどう糖と1分子の果糖になります。ショ糖と麦芽糖は、食生活に重要な2糖類です。これらは小腸の酵素スクラーゼ(インベルターゼ)やマルターゼで加水分解され、吸収されます。シ
多糖類には、体の構造を維持するものとエネルギーの貯蔵物質となるものがあります。多糖類は、たくさんの単糖分子がグリコシド結合でつながったもので、酸処理あるいは酵素の作用で、単糖などに加水分解されます。でんぷんは、高等植物の貯蔵のためのホモ多糖で、アミロースとアミロペクチンから成ります。アミロースは、ぶどう糖がα-1,4結合で直鎖状につながった多糖で、分子量は数千から15万です。アミロペクチンは、枝分かれした多糖です。この分子ではぶどう糖の比較的短いα-1,4結合おおよそ30個が、α-1,6で別のぶどう糖鎖と結合しています。動物組織の貯蔵多糖は、グリコーゲンです。これはアミロペクチンと同様に枝分かれした分子です。鎖の長さは8〜10個と短く、枝分かれが多くなります。セルロースは、自然界に最も多く存在する有機物で、植物の細胞壁を構成し、植物体を支え構造を維持しています。セルロースは、ぶどう糖がβ-1,4結合で直鎖状につながったホモ多糖です。でんぷんとの違いは、この結合がαではなく、βであるだけです。セルロース分子は直鎖状に並び互いに水素結合して、強い繊維になります。セルロースのβ-1,4結合は、アミロースと異なり、酸で分解されにくく、高等動物の酵素でも分解されないので、エネルギー源とはなりません。
糖質は、単糖、オリゴ糖、多糖類の3種に大別されます。単糖類とは普通の条件ではそれ以上小さな単位に加水分解されないものです。
最も簡単な単糖は、グリセルアルデヒドとジヒドロキシアセトンです。この2つは、炭素が3原子なのでトリオースまたは3炭糖と言います。オリゴ糖は加水分解で2〜6分子の単糖を生じるものです。最も多い2糖類は、加水分解で2分子の単糖を生じます。
多糖類の多くは単糖が直鎖または枝分かれでつながったポリマーです。同一の単糖分子からなるものをホモ多糖、さまざまな単糖分子からなるものをヘテロ多糖と言います。多糖類の成分単糖には、ぶどう糖、ガラクトース、果糖、キシロース、アラビノースなどがあります。
天然に存在する単糖類は炭素原子を6つもつものが多く、6炭糖(ヘキソース)と呼ばれます。6炭糖にはぶどう糖、マンノース、ガラクトース、果糖などがあり、全て分子式C6H12O6で表されます。
炭素原子が5つのものは、5炭糖(ペントース)と呼ばれます。5炭糖にはリボース、アラビノース、キシロース、リキソースなどがあり、分子式C5H10O5で表されます。リボースは遺伝やたんぱく質の合成に関与し、キシロースは反応性が高いため、メイラード反応に利用されます。
炭素原子が4つのものは、4炭糖(テトロース)と呼ばれ、エリトロース、トレオースがあります。エリトロースの糖アルコールが、エリスリトールで、メロン、ぶどう、梨などの果実、しょう油、味噌、清酒などの発酵食品に含まれています。希少糖のひとつに分類され、ぶどう糖を発酵させることによりつくられます。
炭素原子が3つのものは、3炭糖(トリオース)でグリセルアルデヒドとジヒドロキシアセトンの2つです。
炭素原子が7つのものは、7炭糖(ヘプトース)で、 セドヘプツロースなどです。
天然のオリゴ糖の多くは、加水分解で2分子の単糖を生じる2糖類です。
麦芽糖(マルトース)は、でんぷんにアミラーゼを作用させると得られます。ぶどう糖2分子が、α-1,4結合というグリコシド結合でつながっています。グリコシド結合は、2つの糖分子などが脱水縮合して形成する共有結合です。
セルロースを構成する2糖類のセロビオースは、ぶどう糖2分子の結合がβ-1,4結合というグリコシド結合でつながっている以外はマルトースと同じです。この結合は、人の酵素で切断することができません。
イソマルトースは、でんぷんやグリコーゲンを酵素で加水分解して生じる2糖類です。マルトースと異なる点は、α-1,6結合でぶどう糖2分子がつながっていることです。
乳糖(ラクトース)は、乳の中に存在する2糖類で、加水分解すると、ぶどう糖とガラクトースを各1分子生じます。乳糖は乳中の主な炭水化物で哺乳類の子供にとって栄養上大切です。人も生まれて1年間はこの糖が主なエネルギー源となります。乳糖はそのままでは吸収されず、腸内のラクターゼという酵素でまず単糖に分解されます。この酵素は、子供のときはたくさんありますが、成長に伴い減少します。地中海沿岸のヨーロッパ人やアジア人は、大人になるとこの酵素がなくなることがあるため、乳糖を多く摂ると下痢や腹痛を起こすことがあります。
ショ糖(スクロース)は、天然の2糖類でサトウキビやサトウダイコンの主成分、つまり砂糖の主成分です。加水分解で1分子のぶどう糖と1分子の果糖になります。ショ糖は、光合成の主産物で、葉でつくられ、成長中の種、塊茎、根などの貯蔵期間に送られます。ぶどう糖などと比べて、酸化されない構造のため、貯蔵や輸送に適しています。
ショ糖と麦芽糖は、食生活に重要な2糖類です。これらは小腸の酵素スクラーゼ(インベルターゼ)やマルターゼで加水分解され、吸収されます。ショ糖は、入手が容易でほとんどの単糖や2糖類より甘いため、食品の甘味料として多量に使われます。果糖だけは、ショ糖より甘く、トウモロコシなどのでんぷんの加水分解でつくったぶどう糖を酵素で果糖に変えて、甘味料として使われます。
多糖類には、体の構造を維持するものとエネルギーの貯蔵物質となるものがあります。多糖類は、たくさんの単糖分子がグリコシド結合でつながったもので、酸処理あるいは酵素の作用で、単糖などに加水分解されます。
加水分解で1種の単糖しか生じないものをホモ多糖、2種以上の単糖からなるものをヘテロ多糖と言います。
でんぷんは、高等植物の貯蔵のためのホモ多糖で、アミロースとアミロペクチンから成ります。
緑色植物は、光合成の最終産物としてでんぷんをつくり、特に米、麦、トウモロコシなどの穀類は、でんぷんを種子に蓄えます。芋やキャッサバはでんぷんを塊茎に蓄えます。アミロースは、ぶどう糖がα-1,4結合で直鎖状につながった多糖で、分子量は数千から15万です。アミロースはヨウ素で青色を呈します。これは、アミロースが水中でらせん構造となり、ヨウ素がこの中に入り込むために起こります。アミロペクチンは、枝分かれした多糖です。この分子ではぶどう糖の比較的短いα-1,4結合おおよそ30個が、α-1,6で別のぶどう糖鎖と結合しています。この分岐部分からイソマルトースが得られます。アミロペクチンの分子量は50万以上です。アミロペクチンはヨウ素で紫または赤を呈します。
動物組織の貯蔵多糖は、グリコーゲンです。これはアミロペクチンと同様に枝分かれした分子です。鎖の長さは8〜10個と短く、枝分かれが多くなります。グリコーゲンもアミロペクチンと同様にα-アミラーゼやβ-アミラーゼで加水分解すれば、ぶどう糖、麦芽糖などになります。
ダリヤや菊芋の球根の貯蔵多糖は、イヌリンです。イヌリンは主にβ-2,1グリコシド結合をした果糖から成っています。
セルロースは、自然界に最も多く存在する有機物で、植物の細胞壁を構成し、植物体を支え構造を維持しています。樹木の木質部は、主にセルロースとリグニンです。リグニンは複雑な重合体で、アミノ酸のフェニルアラニンなどからつくられます。セルロースは、ぶどう糖がβ-1,4結合で直鎖状につながったホモ多糖です。でんぷんとの違いは、この結合がαではなく、βであるだけです。でんぷん分子がコイル状に巻くのに対し、セルロース分子は直鎖状に並び互いに水素結合して、強い繊維になります。セルロースのβ-1,4結合は、アミロースと異なり、酸で分解されにくく、高等動物の酵素でも分解されないので、エネルギー源とはなりません。しかし、牛などの反芻動物の胃に生息する細菌、カタツムリ、木材腐朽菌は、セルラーゼを持ち、セルロースを分解します。シロアリは、消化管内にセルラーゼをもつ生物がいて、生じるぶどう糖を利用しています。
植物には、ペクチンやヘミセルロースなどの構造多糖類もあります。ペクチンは、アラビノース、ガラクトースなどを含む多糖です。
甲殻類や昆虫の殻を構成するキチンは、N-アセチルグルコサミンがβ-1,4結合したホモ多糖です。
動物には、細胞外被を持つものが多く、これが隣の細胞との相互作用に重要な役割を果たします。細胞外被は、糖脂質、糖たんぱく、ムコ多糖からなります。ムコ多糖は、分子量500万程度で、動物の粘性分泌液(mucus)から得られた多糖の総称です。目のガラス体に含まれるヒアルロン酸、軟骨、腱、骨の構成成分であるコンドロイチン硫酸などが該当します。
糖質は、単糖、オリゴ糖、多糖類の3種に大別されます。単糖類とは普通の条件ではそれ以上小さな単位に加水分解されないものです。最も簡単な単糖は、グリセルアルデヒドとジヒドロキシアセトンです。オリゴ糖は加水分解で2〜6分子の単糖を生じるものです。多糖類の多くは単糖が直鎖または枝分かれでつながったポリマーです。
天然に存在する単糖類は炭素原子を6つもつものが多く、6炭糖(ヘキソース)と呼ばれます。6炭糖にはぶどう糖、マンノース、ガラクトース、果糖などがあり、全て分子式C6H12O6で表されます。
天然のオリゴ糖の多くは、加水分解で2分子の単糖を生じる2糖類です。麦芽糖(マルトース)は、ぶどう糖2分子がα-1,4結合というグリコシド結合でつながっています。グリコシド結合は、2つの糖分子などが脱水縮合して形成する共有結合です。イソマルトースは、α-1,6結合でぶどう糖2分子がつながっています。乳糖(ラクトース)は、乳の中に存在する2糖類で、加水分解すると、ぶどう糖とガラクトースを各1分子生じます。ショ糖(スクロース)は、砂糖の主成分です。加水分解で1分子のぶどう糖と1分子の果糖になります。ショ糖と麦芽糖は、食生活に重要な2糖類です。これらは小腸の酵素スクラーゼ(インベルターゼ)やマルターゼで加水分解され、吸収されます。シ
多糖類には、体の構造を維持するものとエネルギーの貯蔵物質となるものがあります。多糖類は、たくさんの単糖分子がグリコシド結合でつながったもので、酸処理あるいは酵素の作用で、単糖などに加水分解されます。でんぷんは、高等植物の貯蔵のためのホモ多糖で、アミロースとアミロペクチンから成ります。アミロースは、ぶどう糖がα-1,4結合で直鎖状につながった多糖で、分子量は数千から15万です。アミロペクチンは、枝分かれした多糖です。この分子ではぶどう糖の比較的短いα-1,4結合おおよそ30個が、α-1,6で別のぶどう糖鎖と結合しています。動物組織の貯蔵多糖は、グリコーゲンです。これはアミロペクチンと同様に枝分かれした分子です。鎖の長さは8〜10個と短く、枝分かれが多くなります。セルロースは、自然界に最も多く存在する有機物で、植物の細胞壁を構成し、植物体を支え構造を維持しています。セルロースは、ぶどう糖がβ-1,4結合で直鎖状につながったホモ多糖です。でんぷんとの違いは、この結合がαではなく、βであるだけです。セルロース分子は直鎖状に並び互いに水素結合して、強い繊維になります。セルロースのβ-1,4結合は、アミロースと異なり、酸で分解されにくく、高等動物の酵素でも分解されないので、エネルギー源とはなりません。
2021年02月10日
【影響大】生命の発展に寄与した水
地球上に大量に存在し、生命の発展に最大の影響を与えたのが水です。水は融点0℃、融点100℃、蒸発熱540cal/g、比熱1.00cal/g、融解熱80cal/gです。
酸素原子は電気陰性度が高く水の水素原子の電子を強く引き付け、水素原子の方は正電荷を帯びます。こうして電子が局在するため水は分極し、双極子を持ちます。水が極性をもつ物質の溶媒として優れているのはこのためです。
周期表第Y族元素の水素化合物と比較して、水の融点、沸点が高く、蒸発熱が大きいのは、水溶液中で水分子同士の間に強い力が働くからです。電気陰性度の高い酸素原子に結合した水素原子は、もうひとつの酸素との間に非共有結合、いわゆる水素結合を生じます。液体の水では、多数の水分子がゆるく結合します。水素結合を切るために要するエネルギー(4〜10kcal/mol)は、普通の共有結合を切るエネルギーの110kcal/molよりはるかに小さいため、水素結合は切れやすく、できやすいです。水の特殊な性質は、水素結合が原因です。水の融解熱や蒸発熱が大きいのは、この水素結合のためです。
水分子は、それから最大数の新しい水素結合を形成するように自身を並び変えます。油などの非極性物質は、水の中で主としてそれらが互いに親和性を持つからではなく、むしろ水に追い出されて一緒になります。
地球上に生命が存在することは、水が燃料、素材、触媒、情報の運搬体として働く多くの種類の極性分子を溶かすことができることに決定的に依存しています。これらの分子が水の中には高濃度に共存でき、そこではそれらは自由に拡散しお互いを見出すことができます。
地球上に大量に存在し、生命の発展に最大の影響を与えたのが水です。水は融点0℃、融点100℃、蒸発熱540cal/g、比熱1.00cal/g、融解熱80cal/gです。
酸素原子は電気陰性度が高く水の水素原子の電子を強く引き付け、水素原子の方は正電荷を帯びます。こうして電子が局在するため水は分極し、双極子を持ちます。水が極性をもつ物質の溶媒として優れているのはこのためで、イオン結晶に水分子が触れると、正負両イオンとも水和、溶解します。
周期表第Y族元素の水素化合物と比較して、水の融点、沸点が高く、蒸発熱が大きいのは、水溶液中で水分子同士の間に強い力が働くからです。電気陰性度の高い酸素原子や窒素原子に結合した水素原子は、もうひとつの酸素や窒素などの電位陰性原子との間に非共有結合、いわゆる水素結合を生じます。液体の水では、多数の水分子がゆるく結合します。
水素結合を切るために要するエネルギー(4〜10kcal/mol)は、普通の共有結合を切るエネルギーの110kcal/molよりはるかに小さいため、水素結合は切れやすく、できやすいです。水の特殊な性質は、水素結合が原因です。水の融解熱や蒸発熱が大きいのは、この水素結合のためです。
水は生物系においてすべての分子相互作用に深い影響を与えます。これに関して、水の2つの性質は特に重要です。
まず水は極性分子です。分子の形は三角形であって直線的ではなく、したがって電荷の非対称的分布があります。酸素の核が水素の核から電子を引き離し、それがこれらの核の周囲に正味の正電荷の領域を残します。水分子はこのようにして電気的に極性構造なのです。
次に水の分子はお互いに強い親和性を持っています。ひとつの水分子に正に電荷した領域は隣の水分子の負に電荷した領域に向けて配位する傾向があります。氷はその中にすべての可能な水素結合が形成されている高度に規則的な構造を持っています。液体の水は、その中で水素結合した分子群が、常に形成されたり壊されたりしており、部分的に規則的な構造を持っています。各分子は、液体の水の中では氷の4個に対して3〜4個の隣の分子と水素結合をしているため、水は高度に粘着性があります。
水は極性と水素結合を形成する能力によって、非常に相互作用の強い分子になっています。水は極性分子の優れた溶媒です。その理由は、水が極性分子間の静電気的引力や水素結合をそれらの引力と競合することによって非常に弱めるためです。
カルボニル基(O=C<)とアミド基(>N-H)の間の水素結合に及ぼす水の影響として、水の水素原子は水素結合供与体としてアミド基の水素と置き代わることができ、水の酸素原子は、受容体としてカルボニル基の酸素と置き代わることができます。このため、カルボニル基とアミド基の間の強い水素結合は、水が排除されたときのみ形成されます。
水は静電気的引力の強さを真空中の同様の相互作用に比べて、水の誘電率の値だけ、すなわち80分の1に減少させます。誘電率は、物質内で電荷とそれによって与えられる力との関係を示す係数で、物質は固有の誘電率を持ち、この値は外部から電場を与えたとき物質中の原子あるいは分子がどのように応答するかによって定まります。水はその極性とイオンの周囲に方向性を持つ溶媒の殻を形成する能力のために異常に高い誘電率を持っています。これらの方向性を持つ溶媒の殻はそれ自身の電場をつくり、それがイオンによって生じる電場に抵抗します。結果として、イオン間の静電気的引力は水の存在により、著しく弱められます。
地球上に生命が存在することは、水が燃料、素材、触媒、情報の運搬体として働く多くの種類の極性分子を溶かすことができることに決定的に依存しています。これらの分子が水の中には高濃度に共存でき、そこではそれらは自由に拡散しお互いを見出すことができます。
しかしながら、水の触媒としての優秀性は問題も起こします。というのは、水または極性分子間の相互作用も弱めるからです。生物はこの問題を極性相互作用が最大の力を持つような水の無い微小環境をつくり出すことによって解決しました。つまり、たんぱく質分子中に特別につくられた凹みです。
水の中でバラバラにまき散らされた油滴が集まってひとつの大きな油滴になることは、よく見られる現象です。同様の過程が原子レベルでも起こります。すなわち非極性の分子や残基は水の中で互いに集まりやすくなります。このような会合は、疎水性的引力と呼ばれます。水は非極性分子を押し出して、1ヶ所に集める傾向があります。
疎水的引力は巨大分子の折りたたみの主要な原動力であり、基質の酵素への結合や細胞の境界を決める膜の形成の主要な原動力です。水の中へ油のような非極性物質を入れると水の中には空洞がつくられます。それは一時的に水分子間のいくつかの水素結合を破壊します。押しのけられた水分子は、それから最大数の新しい水素結合を形成するように自身を並び変えます。油などの非極性物質は、水の中で主としてそれらが互いに親和性を持つからではなく、むしろ水が自身に強く付着するために、追い出されて一緒になります。
地球上に大量に存在し、生命の発展に最大の影響を与えたのが水です。水は融点0℃、融点100℃、蒸発熱540cal/g、比熱1.00cal/g、融解熱80cal/gです。
酸素原子は電気陰性度が高く水の水素原子の電子を強く引き付け、水素原子の方は正電荷を帯びます。こうして電子が局在するため水は分極し、双極子を持ちます。水が極性をもつ物質の溶媒として優れているのはこのためです。
周期表第Y族元素の水素化合物と比較して、水の融点、沸点が高く、蒸発熱が大きいのは、水溶液中で水分子同士の間に強い力が働くからです。電気陰性度の高い酸素原子に結合した水素原子は、もうひとつの酸素との間に非共有結合、いわゆる水素結合を生じます。液体の水では、多数の水分子がゆるく結合します。水素結合を切るために要するエネルギー(4〜10kcal/mol)は、普通の共有結合を切るエネルギーの110kcal/molよりはるかに小さいため、水素結合は切れやすく、できやすいです。水の特殊な性質は、水素結合が原因です。水の融解熱や蒸発熱が大きいのは、この水素結合のためです。
水分子は、それから最大数の新しい水素結合を形成するように自身を並び変えます。油などの非極性物質は、水の中で主としてそれらが互いに親和性を持つからではなく、むしろ水に追い出されて一緒になります。
地球上に生命が存在することは、水が燃料、素材、触媒、情報の運搬体として働く多くの種類の極性分子を溶かすことができることに決定的に依存しています。これらの分子が水の中には高濃度に共存でき、そこではそれらは自由に拡散しお互いを見出すことができます。
2021年02月09日
【心身脱落】禅と食事をつくるという修行
禅の教えの根本にあるのは不立文字(ふりゅうもんじ)という仏教の思想です。文字や言葉による教えとは別に、修行によって教えを伝えることが禅の神髄であるという意味です。
不立文字の修行によって禅が目指すのは、悟りを開くことです。悟りとは、自分の内にある仏性に気づき、身も心も一切の執着から離れることです。禅僧道元は、その境地を心身脱落と表現しています。
禅宗では、食事をつくること、食事を摂ることは座禅をすることと同じように大切な修行であると考えられています。禅僧道元は、中国の阿育王寺で、食事づくりをすることは禅の大切な修行であると諭され、帰国してからその教えが、赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)と典座教訓(てんぞきょうくん)にまとめられました。
赴粥飯法は、僧堂における食事作法を細かく定めた規則です。赴粥飯法とは、粥飯に赴く法であり、禅僧道元は、食は是れ法なりとあるように、食はまさに仏法であり、仏法の実践であると述べています。現代でも、食前に「いただきます」、食後に「ごちそうさま」と唱えて、食べ物となってくれた生き物の命と食事づくりをしてくれた人々に感謝するのは、禅僧道元が教えた食事作法なのです。
典座教訓には、修行僧の食事を準備する典座という仕事の心得が教示されています。内容としては、食事をつくるときには必ず仏道を求める心を働かせて、季節に従って春夏秋冬の食材を用い、苦い、酸っぱい、甘い、辛い、塩からい、淡いの六味がほどよく調っていて、あっさりとして柔らかであること、清潔で穢れがないこと、順序正しく丁寧に調えられていることといった三徳が備わっていることなどです。食材に対しては、物を大切にして敬い重んじる心をもつことが肝要であり、粗末な食事も仏身であるこの肉体を養い、悟りを目指す心をよく育ててくれるということを、よくよく思いなさいと教えています。
禅僧道元は、食事が単に体を養うためだけではないことを説き、食事を整え、食べるという行為を仏道の実践という宗教的次元に高めました。食事が体を養うだけではなく、心をも育てるという考えは、今日の食生活において最も欠如していることかもしれません。
禅の教えの根本にあるのは不立文字(ふりゅうもんじ)という仏教の思想です。文字や言葉による教えとは別に、修行によって教えを伝えることが禅の神髄であるという意味です。
不立文字は、達磨大師が説いた4聖句のひとつであり、これらは関わりあって悟りへ達すると説かれています。4聖句の不立文字は、釈迦の教えは修行により体得することが重要とする思想です。教外別伝(きょうげべつでん)は、釈迦の教えは心から心へと伝達されるとする考え方です。直指人心(じきしにんしん)は、人の心を指し示すという意味で、坐禅をして、自分の心を見つめる修行のことです。見性成仏(けんしょうじょうぶつ)は、己の心をしっかり見つめる修行のことです。
不立文字の修行によって禅が目指すのは、悟りを開くことです。悟りとは、自分の内にある仏性に気づき、身も心も一切の執着から離れることです。禅僧道元は、その境地を心身脱落と表現しています。
禅宗では、悟りに至る修行方法として、座禅に加え、生活する上での掃除や食事をつくることなどを指す作務(さむ)があります。
禅宗では、食事をつくること、食事を摂ることは座禅をすることと同じように大切な修行であると考えられています。鎌倉時代に曹洞宗の開祖となった禅僧道元が、仏法に適うように食事をつくり、作法を守って食事を摂ることが、禅の修行になることを説いてまわりました。
禅僧道元は、中国の阿育王寺で修行僧の食事を準備する典座の役職を務める老僧に出会い、食事づくりをすることは禅の大切な修行であると諭され、帰国してからその教えが、赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)と典座教訓(てんぞきょうくん)にまとめられました。
赴粥飯法は、禅僧道元がェ元4年(1246年)頃に永平寺にて撰述したと考えられています。禅僧道元が僧堂を建設したときより、僧堂粥飯作法は衆僧達に口頭で指導されていたものと考えられていますが、赴粥飯法はこれを文書化したものとの説があります。赴粥飯法は、僧堂における食事作法を細かく定めた規則です。赴粥飯法とは、粥飯に赴く法であり、禅僧道元は、食は是れ法なりとあるように、食はまさに仏法であり、仏法の実践であると述べています。今でも永平寺僧堂では、この赴粥飯法通り厳粛に朝の粥、昼の飯の行法が、違うことなく執り行なわれています。
修行に励む禅僧が、僧堂で食事を摂るとき用いられる応量器(禅宗の修行僧が使用する個人の食器)の作法、箸の作法、五観の偈(ごかんのげ)の作法、食事中の禁止事項、僧堂内での進退などが丁寧に赴粥飯法の中で記されています。五観の偈(ごかんのげ)とは、この食事がどのようにしてできたかを考え、自然の恵みと多くの人々の働きを思い感謝すること、自分の行いが尊い生命と労力で出来た食を頂くに価するものであるか反省し、供養を受けること、心を清浄に保ち誤まった行いを避けるために、三毒である貪(貪り)・瞋(いかり)・痴(おろか)の3つの過ちを持たないことを誓うこと、食は良き薬であり体を養い健康を得るために頂くこと、仏の道を実践するためにこの食事を有り難く頂戴することです。
食前に「いただきます」、食後に「ごちそうさま」と唱えて、食べ物となってくれた生き物の命と食事づくりをしてくれた人々に感謝するのは、禅僧道元が教えた食事作法なのです。禅僧道元は、食事をすることの意義を考えて禅の思想にまで高めた日本で最初の食の思想家と言えます。
典座教訓には、修行僧の食事を準備する典座という仕事の心得が教示されています。その内容は、食事をつくるときには必ず仏道を求める心を働かせて、季節に従って春夏秋冬の食材を用い、食事に変化を与え、修行僧が気持ちよく食べることができ、身も心も安楽になるように心掛けなければならないこと、米を研いだり、おかずを整えたりすることは典座が自身で手を下し、細かな点まで気を配り、心を込めて行わなければならないこと、食事には苦い、酸っぱい、甘い、辛い、塩からい、淡いの六味がほどよく調っていて、あっさりとして柔らかであること、清潔で穢れがないこと、順序正しく丁寧に調えられていることといった三徳が備わっていることなどです。典座の仕事を通じて、大海のように広大で深い功徳を積み、山のように高い善根を積み重ねるためにも、些細なことを疎かにしてはならず、そうすれば、おのずと三徳は十分に行き届き、六味はすべて整います。
また、いただいた食材は、量の多い少ない、質の良し悪しをあげつらってはならず、ただひたすら誠意を尽くして調理し、粗末な食材を扱うことがあろうとも決して怠けるような心を起すことなく、上等な食材を用いて料理をつくることがあったとしても、一層美味しい食事をつくるよう努めるのが修行に励むということです。食材が自分の心に入り込んで離れないようにする気持ちで、心と食べ物が一体になるよう精進修行すると説いています。
さらに修行僧に提供するための食事を支度し、整える際の心構えは、食材が上等であるとか、粗末であるとかを問題にすることなく、仕事に対しては深い真心をもって当たり、食材に対しては、物を大切にして敬い重んじる心をもつことが肝要であり、粗末な食事も仏身であるこの肉体を養い、悟りを目指す心をよく育ててくれるということを、よくよく思いなさいと教えています。
禅寺の精進料理を源流として発展した日本の伝統料理では、四季折々の食材を使い、その持ち味を生かして、味を柔らかく、清潔に調理することが基本となっています。道元が教えた禅寺の食事思想は、後世の日本の食事文化に大きな影響を与えていました。 禅僧道元は、食事が単に体を養うためだけではないことを説き、食事を整え、食べるという行為を仏道の実践という宗教的次元に高めました。食事が体を養うだけではなく、心をも育てるという考えは、今日の食生活において最も欠如していることかもしれません。
禅の教えの根本にあるのは不立文字(ふりゅうもんじ)という仏教の思想です。文字や言葉による教えとは別に、修行によって教えを伝えることが禅の神髄であるという意味です。
不立文字の修行によって禅が目指すのは、悟りを開くことです。悟りとは、自分の内にある仏性に気づき、身も心も一切の執着から離れることです。禅僧道元は、その境地を心身脱落と表現しています。
禅宗では、食事をつくること、食事を摂ることは座禅をすることと同じように大切な修行であると考えられています。禅僧道元は、中国の阿育王寺で、食事づくりをすることは禅の大切な修行であると諭され、帰国してからその教えが、赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)と典座教訓(てんぞきょうくん)にまとめられました。
赴粥飯法は、僧堂における食事作法を細かく定めた規則です。赴粥飯法とは、粥飯に赴く法であり、禅僧道元は、食は是れ法なりとあるように、食はまさに仏法であり、仏法の実践であると述べています。現代でも、食前に「いただきます」、食後に「ごちそうさま」と唱えて、食べ物となってくれた生き物の命と食事づくりをしてくれた人々に感謝するのは、禅僧道元が教えた食事作法なのです。
典座教訓には、修行僧の食事を準備する典座という仕事の心得が教示されています。内容としては、食事をつくるときには必ず仏道を求める心を働かせて、季節に従って春夏秋冬の食材を用い、苦い、酸っぱい、甘い、辛い、塩からい、淡いの六味がほどよく調っていて、あっさりとして柔らかであること、清潔で穢れがないこと、順序正しく丁寧に調えられていることといった三徳が備わっていることなどです。食材に対しては、物を大切にして敬い重んじる心をもつことが肝要であり、粗末な食事も仏身であるこの肉体を養い、悟りを目指す心をよく育ててくれるということを、よくよく思いなさいと教えています。
禅僧道元は、食事が単に体を養うためだけではないことを説き、食事を整え、食べるという行為を仏道の実践という宗教的次元に高めました。食事が体を養うだけではなく、心をも育てるという考えは、今日の食生活において最も欠如していることかもしれません。
2021年02月08日
【嗜好】味の役割と引き起こす感情
味は食べ物の選択、摂取、消化、吸収、代謝を支配している重要な感覚です。美味しさは、食べる喜びを満たし、精神を高揚させます。
味は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの味が基本とされています。そのほかに広義の味として、辛味、渋味、エグ味などがあげられます。 5つの基本の味は、栄養素の存在や有害物質の存在を知らせるシグナルであり、甘味はエネルギー源としての糖質、うま味は たんぱく質あるいはアミノ酸、塩味はミネラル、酸味は腐敗や果物の未熟さを示す酸、苦 味は有害物質に対する警戒シグナルと言われています。辛味も本来警戒シグナルの1種 と考えられます。基本の味の代表的な物質をみると、警戒シグナルである苦味や酸味物質は閾値の低いものが多く、糖質のように大量に摂取される物質の閾値は高くなります。
人は甘味、塩味、うま味を好み、酸味、苦味を拒否します。特にたんぱく質のシグナルには、仕掛 があり、それは相乗効果です。グルタミン酸とイノシン酸といったうま味物質を同時に味わうと、うま味は著しく強められます。これは栄養素のシグナルが、よりよい食べ物をよりよく食べさせる方向に作用していることを示しています。
一方、警戒シグナルは特に大昔は生命の存続に直結する情報でした。苦味物質に対する拒否は、多くの種で獲得されており、植物、動物に潜んでいる苦い毒物を検知することができます。しかし、体内でつくれない必須アミノ酸の大部分やカルシウムなどのミネラルは苦く、警戒シグナルを引き起こす物質は、必ずしも有害ではなく、有用な物質もあります。人は長い経 験と学習によって、これらの物質を区別し、有用な物質を受容してきました。また、 好まれない味には、後天的に特に強い嗜好を引き起こすものがあります。コーヒー、お茶、ビールなどの苦味は、その 典型です
人の味覚は想像以上に鋭敏です。5つの基本味の代表物質の閾値は、砂糖0.086%、食塩0.0037%、酒石酸0.00094%、苦味物質のキニーネ0.000049%、グルタミン酸ナトリウム0.012%です。相乗効果を引き起こしたときのグルタミン酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウムでは、0.0001%以下まで検知できます。
味はそれ自身では必ずしも快い感情を引き起こしません。5つの基本味の代表物質を単純に水に溶かして味わっても、快い感情を引き起こすのは甘味だけです。しかし、実際の食品中に存在するときは、濃度と食品の種類によって快い感情を引き起こします。味は食品としての実感が伴わない限り、快い感情を引き起こさないということは、まさに食品の摂取を支配するシグナルと言えます。人は食べることで快い感情を引き出しています。美味しいという快い感情が、生命の維持につながっているのかもしれません。
人は食材を調理することで美味しさを高め、享受するなかで食文化を築きました。また、新しい食品を発明すること、異文化の食を導入することによって、食の領域を広げ、食生活 を豊かにしてきました。それを導いてきたのは人々の嗜好です。その嗜好もまた食文化の発展とともに変化し、洗練されてきました。
食の嗜好は、食文化と表裏一 体となって人類の食のあり方を決定します。食の嗜好を決定する要因はさまざまですが、最も大切なものは五感です。食品の色、香り、味、テクスチャー、温度、咀嚼音などいずれが欠けても食の嗜好 は成立しませんが、最も大切な要因が味であることは、言うまでもありません。
味は食べ物の選択、摂取、消化、吸収、代謝を支配している重要な感覚です。美味しさは、食べる喜びを満たし、精神を高揚させます。
味は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの味が基本とされています。そのほかに広義の味として、辛味、渋味、エグ味などがあげられます。 5つの基本の味は、栄養素の存在や有害物質の存在を知らせるシグナルであり、甘味はエネルギー源としての糖質、うま味はたんぱく質あるいはアミノ酸、塩味はミネラル、酸味は腐敗や果物の未熟さを示す酸、苦味は有害物質に対する警戒シグナルと言われています。辛味も本来警戒シグナルの1種 と考えられます。
基本の味の代表的な物質をみると、警戒シグナルである苦味や酸味物質は閾値の低いものが多く、糖質のように大量に摂取される物質の閾値は高くなります。人の味覚は、自然界からの食べ物の摂取に合わせて、定められています。
人は甘味、塩味、うま味を好み、酸味、苦味を拒否します。栄養素のシグナルによって人 は摂取すべき栄養素を調節していると考えられます。特にたんぱく質のシグナルには、仕掛 があり、それは相乗効果です。代表的なうま味物質であるグルタミン酸は、ほとんどの天然食材に含まれており、特に植物性食材に多く含まれています。肉や魚などの動物性食材にはイノシン酸など核酸系のうま味物質が含まれています。 2つのうま味物質を同時に味わうと、うま味は著しく強められます。その結果、美味しく食べられるということは、人が自ら動物性食材と植物性食材を組み合わせて食べ、栄養バランスを保つように作用しています。ま た、熟した果物は甘く、熟成した肉はうま味が強く、咀嚼するほどご飯の甘味や肉のうま味は増します。これらは栄養素のシグナルが、よりよい食べ物をよりよく食べさせる方向に作用していることを示しています。
一方、警戒シグナルは特に大昔は生命の存続に直結する情報でした。苦味物質に対する拒否は、多くの種で獲得されており、植物、動物に潜んでいる苦い毒物を検知することができます。植物のおおよそ10%は、有毒物質を含むと言われています。しかし、体内でつくれない必須アミノ酸の大部分やカルシウムなどのミネラルは苦く、警戒シグナルを引き起こす物質は、必ずしも有害ではなく、有用な物質もあります。人は長い経 験と学習によって、これらの物質を区別し、有用な物質を受容してきました。また、 好まれない味には、後天的に特に強い嗜好を引き起こすものがあります。コーヒー、お茶、ビールなどの苦味は、その 典型です。山菜、サンマの内臓、くさやなど独特の苦味やエグ味は、嗜好に個人差がありますが、一度獲得した嗜好は強く定着します。
嗜好を引き起こす可能性のある味には、苦味、エグ味、渋味、酸味、塩味、辛味、メ ントールなどがあります。これらを好むメカニズムは複雑ですが、痛覚を刺激する辛味であれば、痛みの繰り返しに対する拮抗として、幸福感を抱かせる脳内神経伝達物質のエンドルフィンが関与していると考えられます。苦味としては、 心理的薬理効果などがあげられます。いずれにしてもこれらのシグナルは、何らかの感情を誘発することによって、食べ物の選択、摂取を支配しています。
食品の味は、無数の成分から構成されています。ある成分は強く、ある成分は弱く、閾値以下の味が総合されて微妙な味を形成することもあります。味の質は、必ずしも単純に分類できるものではありません。コハク酸の独特な味は、貝のうま味であるコハク酸ナトリウムとはかなり差があります。
味の発現速度や強さが最大になるまでの時間、持続性、後味などのような時間的な変化は物質によって異なります。これも呈味成分の重要な特性です。繰り返し味わうことによる味の変化も特性のひとつです。
一方 、人の味覚は想像以上に鋭敏です。自然界に広く存在する5つの基本味の代表物質の閾値は、砂糖0.086%、食塩0.0037%、酒石酸0.00094%、苦味物質のキニーネ0.000049%、グルタミン酸ナトリウム0.012%です。相乗効果を引き起こしたときのグルタミン酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウムでは、0.0001%以下まで検知できます。これらの値は、感覚がいかに鋭敏であるかを示しています。
味はそれ自身では必ずしも快い感情を引き起こしません。5つの基本味の代表物質を単純に水に溶かして味わっても、快い感情を引き起こすのは甘味だけです。そのほかの味はどちらでもないか不快であり、濃度が高いと全て不快となります。
しかし、実際の食品中に存在するときは、濃度と食品の種類によって快い感情を引き起こします。香りをつけたときは、香りの種類と質によって快い感情を引き起こします。
このように、味は食品としての実感が伴わない限り、快い感情を引き起こさないということは、まさに食品の摂取を支配するシグナルと言えます。甘味以外の味は、食品中において も強さが限度を越えると不快となります。つまり、警戒シグナルとなります。
人は食べることで快い感情を引き出しています。美味しいという快い感情が、生命の維持につながっているのかもしれません。
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味は食べ物の選択、摂取、消化、吸収、代謝を支配している重要な感覚です。美味しさは、食べる喜びを満たし、精神を高揚させます。
味は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの味が基本とされています。そのほかに広義の味として、辛味、渋味、エグ味などがあげられます。 5つの基本の味は、栄養素の存在や有害物質の存在を知らせるシグナルであり、甘味はエネルギー源としての糖質、うま味は たんぱく質あるいはアミノ酸、塩味はミネラル、酸味は腐敗や果物の未熟さを示す酸、苦 味は有害物質に対する警戒シグナルと言われています。辛味も本来警戒シグナルの1種 と考えられます。基本の味の代表的な物質をみると、警戒シグナルである苦味や酸味物質は閾値の低いものが多く、糖質のように大量に摂取される物質の閾値は高くなります。
人は甘味、塩味、うま味を好み、酸味、苦味を拒否します。特にたんぱく質のシグナルには、仕掛 があり、それは相乗効果です。グルタミン酸とイノシン酸といったうま味物質を同時に味わうと、うま味は著しく強められます。これは栄養素のシグナルが、よりよい食べ物をよりよく食べさせる方向に作用していることを示しています。
一方、警戒シグナルは特に大昔は生命の存続に直結する情報でした。苦味物質に対する拒否は、多くの種で獲得されており、植物、動物に潜んでいる苦い毒物を検知することができます。しかし、体内でつくれない必須アミノ酸の大部分やカルシウムなどのミネラルは苦く、警戒シグナルを引き起こす物質は、必ずしも有害ではなく、有用な物質もあります。人は長い経 験と学習によって、これらの物質を区別し、有用な物質を受容してきました。また、 好まれない味には、後天的に特に強い嗜好を引き起こすものがあります。コーヒー、お茶、ビールなどの苦味は、その 典型です
人の味覚は想像以上に鋭敏です。5つの基本味の代表物質の閾値は、砂糖0.086%、食塩0.0037%、酒石酸0.00094%、苦味物質のキニーネ0.000049%、グルタミン酸ナトリウム0.012%です。相乗効果を引き起こしたときのグルタミン酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウムでは、0.0001%以下まで検知できます。
味はそれ自身では必ずしも快い感情を引き起こしません。5つの基本味の代表物質を単純に水に溶かして味わっても、快い感情を引き起こすのは甘味だけです。しかし、実際の食品中に存在するときは、濃度と食品の種類によって快い感情を引き起こします。味は食品としての実感が伴わない限り、快い感情を引き起こさないということは、まさに食品の摂取を支配するシグナルと言えます。人は食べることで快い感情を引き出しています。美味しいという快い感情が、生命の維持につながっているのかもしれません。