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2021年02月27日
【エネルギー生産】電子伝達と酸化的リン酸化
真核細胞では、NAD⁺とフラビンはミトコンドリア内部のマトリクスで還元され、これに接する内膜でO2により再酸化されます。
NADH+H⁺+1/2O2→NAD⁺+H2O
ΔG=−52.5kcal(pH7.0)
この反応の酵素系を電子伝達系といいます。多数の電子伝達体が還元、再酸化を繰り返してO2に電子を運びます。
NADHのO2による酸化の自由エネルギー変化は大きいので、ATPがいくつも生成します。NADHの酸化に共役するATP生産を酸化的リン酸化または、呼吸リン酸化といい、ミトコンドリア内膜の酵素系で行われます。
ミトコンドリアでのリン酸化は、すべて無機リン酸をADPに取り込みATPにします。
ADP+H3PO4→ATP+H2O
この反応は、エネルギーを必要とする反応です。ΔGは、標準状態で+7.3kcal/mol、生理的条件下では+12.0kcal/molに達するとされています。
ぶどう糖1分子が解糖過程でピルビン酸2分子になるとATPが2分子できます。さらにピルビン酸2分子がTCAサイクルで酸化されればATP30分子が生成します。そのほかに乳酸に還元されなければ細胞質にNADHが残っており、結果として解糖、TCAサイクル、電子伝達と酸化的リン酸化でATP36〜38分子が生じることになります。
原核細胞では、NADHと還元型フラビンの再酸化は形質膜で行われますが、真核細胞では、NAD⁺とフラビンはミトコンドリア内部のマトリクスで還元され、これに接する内膜でO2により再酸化されます。
NADH+H⁺+1/2O2→NAD⁺+H2O
ΔG=−52.5kcal(pH7.0)
この反応の酵素系を電子伝達系といいます。多数の電子伝達体が還元、再酸化を繰り返してO2に電子を運びます。
NADHのO2による酸化の自由エネルギー変化は大きいので、ATPがいくつも生成します。NADHの酸化に共役するATP生産を酸化的リン酸化または、呼吸リン酸化といい、ミトコンドリア内膜の酵素系で行われます。
ミトコンドリアにはユビキノンが存在し、動物組織ではイソプレン単位10個のCoQ10です。長い脂肪族側鎖のために脂溶性で、ブタノールなど有機溶媒でミトコンドリア内膜から容易に抽出されます。こうすると基質から酸素への電子伝達が阻害されますが、CoQ10を添加すれば回復します。
CoQは、電子伝達系の重要な補因子で、NADHデヒドロゲナーゼ、スクシネートデヒドロゲナーゼ、グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ、アシル-CoAデヒドロゲナーゼなどの酵素のフラビン補因子から電子を受け取ります。
また、CoQ10は高い抗酸化作用があり、活性酸素の除去に使われ、あるいは抗酸化力を失ったビタミンEを再生する働きもあります。
生物が有機化合物を分解する重要な目的のひとつは、成長発育のためのエネルギーの獲得です。糖質が嫌気的に分解して乳酸になるとき、糖分子のエネルギーの一部はATPとして保存されます。
しかし、ぶどう糖分子の利用されうるエネルギーの90%以上は、ピルビン酸がTCAサイクル(トリカルボン酸サイクル/クエン酸サイクル)でCO2とH2Oに酸化されるときに放出されます。このサイクルで生成する高エネルギー化合物はスクシニル-CoAだけで、これはスクシニル-CoAシンテターゼ(スクシネートチオキナーゼ)という酵素の作用で、GDPをGTPに変えます。
生体が高エネルギー化合物を生産する反応には、2種の機構があります。ひとつは、基質レベルのリン酸化で、基質がまずリン酸化またはチオエステル化され、次いでこれがATPを生成します。一例としては、解糖系で1,3-ビスホスホグリセリン酸やホスホエノールピルビン酸が生成し、これがADPと作用してATPをつくる反応、TCAサイクルでスクシニル-CoAができる反応などがあります。
1937年にソ連とアメリカの研究者は、筋ホモジネートでピルビン酸が酸化されるときにリン酸化が起こることを観察しました。当時ピルビン酸の酸化過程は、まだ明らかにされていませんでしたが、ホモジネートによって酸素が消費され、同時に無機リン酸がエステル化されてヘキソースリン酸となりました。この反応をO2のない条件で行うと酸化もリン酸化も起こりません。すなわち、糖をリン酸エステル化する反応は、酸素を消費する生体酸化反応に依存します。
いくつかの重要な発見により、酸化的リン酸化が簡単に研究できるようになりました。まず、1948年には、単離したネズミ肝ミトコンドリアでTCAサイクルの中間体の酸化に共役して酸化的リン酸化が起こることを示しました。今日では、ミトコンドリア内膜でリン酸化が起こることが知られています。細菌では、細胞膜でリン酸化が起こります。
ミトコンドリアでのリン酸化は、すべて無機リン酸をADPに取り込みATPにします。
ADP+H3PO4→ATP+H2O
この反応は、エネルギーを必要とする反応です。ΔGは、標準状態で+7.3kcal/mol、生理的条件下では+12.0kcal/molに達するとされています。
電子がNADHからO2に流れるときにミトコンドリア膜内外にプロトン(H⁺)濃度勾配が形成されます。プロトンは、ミトコンドリア内膜を通過できず、電子伝達系がプロトンを使うときは内部のものだけを用い、プロトンを放出するときは膜間スペースに放出するように内膜の諸酵素が配置されています。こうして、NADHの酸化に伴いミトコンドリア内部のプロトン濃度は低く、外部は高くなり、膜の両側にプロトンの濃度勾配ができます。
プロトン濃度勾配はpH勾配であり、膜内外の電位差を伴います。このプロトン濃度勾配がATP合成の原動力で、呼吸酵素系に電子が流れるときにつくられ、ATP合成で消滅します。
ATPはいったん合成されるとADP+リン酸との交換で細胞質ソルに運び出されます。ミトコンドリア膜には選択性があり、オキサロ酢酸、NAD⁺、NADH、CoA、アセチル-CoAなどは透過できないのに対し、ATPとADP+リン酸とが交換できるのは、内膜にふたつのキャリアー系があるからです。ひとつは内膜のアデニンヌクレオチドトランスロケーターという内在たんぱく質で、膜の内外に貫通しています。このたんぱく質は、膜外面にはADP結合部位、膜内面にはATP結合部位があり、互いに反対側へ移送させますが、GDP、GTP、AMPなどほかのヌクレオチドとは一切反応しません。もうひとつはリン酸キャリアーという輸送たんぱく質で、H2PO4⁻とH⁺を一緒にミトコンドリアのマトリクス内部に運び込みます。
ぶどう糖1分子が解糖過程でピルビン酸2分子になるとATPが2分子できます。さらにピルビン酸2分子がTCAサイクルで酸化されればATP30分子が生成します。そのほかに乳酸に還元されなければ細胞質にNADHが残っており、結果として解糖、TCAサイクル、電子伝達と酸化的リン酸化でATP36〜38分子が生じることになります。
真核細胞では、NAD⁺とフラビンはミトコンドリア内部のマトリクスで還元され、これに接する内膜でO2により再酸化されます。
NADH+H⁺+1/2O2→NAD⁺+H2O
ΔG=−52.5kcal(pH7.0)
この反応の酵素系を電子伝達系といいます。多数の電子伝達体が還元、再酸化を繰り返してO2に電子を運びます。
NADHのO2による酸化の自由エネルギー変化は大きいので、ATPがいくつも生成します。NADHの酸化に共役するATP生産を酸化的リン酸化または、呼吸リン酸化といい、ミトコンドリア内膜の酵素系で行われます。
ミトコンドリアでのリン酸化は、すべて無機リン酸をADPに取り込みATPにします。
ADP+H3PO4→ATP+H2O
この反応は、エネルギーを必要とする反応です。ΔGは、標準状態で+7.3kcal/mol、生理的条件下では+12.0kcal/molに達するとされています。
ぶどう糖1分子が解糖過程でピルビン酸2分子になるとATPが2分子できます。さらにピルビン酸2分子がTCAサイクルで酸化されればATP30分子が生成します。そのほかに乳酸に還元されなければ細胞質にNADHが残っており、結果として解糖、TCAサイクル、電子伝達と酸化的リン酸化でATP36〜38分子が生じることになります。
2021年02月26日
【効率的なエネルギー源】脂質代謝
動植物は脂質を不溶性のトリアシルグリセロールの形で大量に蓄え、エネルギーが必要になるとすみやかに動員し、分解してエネルギーを取り出します。代表的な脂肪酸であるパルミチン酸が完全燃焼すると、自由エネルギーは大幅に減少します。
C16H32O2+23O2→16CO2+16H2O
ΔG=−2,340kcal/mol
この減少は脂肪酸の飽和アルキル基が酸化されるためです。食品の内、これほど大きなエネルギーを与えるのは長鎖脂肪酸だけで、脂質は栄養素のうち最も高いカロリー値を持ちます。動物細胞は、エネルギーを主としてトリアシルグリセロールとして貯蔵します。動物が大量に蓄えうるのは脂肪だけで、カロリー摂取が消費量を上回ると超過分は脂肪として蓄えられます。
トリアシルグリセロールは、小腸で胆汁酸と酵素リパーゼの作用を受け、遊離脂肪酸とモノアシルグリセロールに分解されます。遊離脂肪酸、モノアシルグリセロールは、ミセルとして小腸上皮細胞に吸収され、小胞体で酵素の作用を受け、トリアシルグリセロールとなります。新たに合成されたトリアシルグリセロールとリン脂質、コレステロール、たんぱく質などが上皮細胞の小胞体で組み合わさり、キミクロンとして胃腸のリンパ管に分泌されます。エネルギーが十分なときは、キミクロンは脂肪組織に運ばれ、脂肪として貯蔵されます。
脂肪組織に入った遊離脂肪酸は、さまざまな酵素の作用で、トリアシルグリセロールに変わります。成熟した脂肪細胞では全容の99%がトリアシルグリセロールの滴粒で、それを包む薄皮状原形質の中に真核細胞としての全オルガネラがあります。人では皮下組織、筋肉、腸間膜組織に脂肪が沈着します。トリアシルグリセロールの貯蔵量は、40日間の絶食にも耐えられる量に達します。脂肪は、沈着したままでなく、絶えず溶出と沈着を繰り返しています。
脂肪酸を分解するβ酸化系の酵素は、動物ではすべてミトコンドリア内膜と内部マトリクスに局在しています。これは長鎖脂肪酸のエネルギーを効果的に取り出し、ATPにするのに極めて重要です。パルミチン酸が完全酸化でCO2とH2Oになると、遊離するエネルギーの41%は細胞が仕事をするために利用できるATPとして保存され、残りは熱として放出されます。食品の栄養素として、脂肪が効率的なエネルギー源であることは明らかです。
動植物は脂質を不溶性のトリアシルグリセロールの形で大量に蓄え、エネルギーが必要になるとすみやかに動員し、分解してエネルギーを取り出します。代表的な脂肪酸であるパルミチン酸が完全燃焼すると、自由エネルギーは大幅に減少します。
C16H32O2+23O2→16CO2+16H2O
ΔG=−2,340kcal/mol
この減少は脂肪酸の飽和アルキル基が酸化されるためです。食品の内、これほど大きなエネルギーを与えるのは長鎖脂肪酸だけで、脂質は栄養素のうち最も高いカロリー値を持ちます。
脂質は組織境界膜としても重要です。神経組織、形質膜、ミトコンドリア、細胞核など細胞内オルガネラの膜には複合脂質が必須です。また、複合脂質はミトコンドリアの電子伝達系や光合成が行われるクロロプラストの複雑な構造体の基本構成成分でもあります。
動物細胞は、エネルギーを主としてトリアシルグリセロールとして貯蔵します。動物が大量に蓄えうるのは脂肪だけで、カロリー摂取が消費量を上回ると超過分は脂肪として蓄えられます。糖質はグリコーゲンとして貯蔵されますが、その量はわずかです。通常、肝臓のグリコーゲン平均含量は全重量の5〜6%、骨格筋ではわずか0.4〜0.6%です。グリコーゲンのもとになる血中ぶどう糖は、血液100ml中60〜100mg、病気のとき以外は大きく変化しません。正常状態で、動物はいろいろな組織の糖濃度をホルモンや代謝調節で一定に保っています。エネルギー貯蔵物質としての糖質の役割は大きくありません。
たんぱく質は、糖質や脂肪と生物学的な意味が異なります。すなわち、生体のたんぱく質合成に必要な20種類のアミノ酸を供給し、プリン、ピリミジンなど窒素化合物の合成に必要なアミノ酸を与えます。成長が止まった成人では、窒素の排泄量は摂取量に等しく、余分に食べたたんぱく質はまったく貯蔵されません。
トリアシルグリセロールは、小腸で胆汁酸と酵素リパーゼの作用を受け、遊離脂肪酸とモノアシルグリセロールに分解されます。胆汁酸(タウロコール酸とグリココール酸)は、脂溶性のステロイドと水溶性のタウリンやグリシンが結合した分子で界面活性剤です。
胆汁酸、脂肪酸、モノアシルグリセロールでできるミセルは、非極性部分が中心に、極性部分が表面に向いています。ミセルは、脂溶性ビタミンやコレステロールの吸収も助けます。吸収されたミセル中の胆汁酸は、リンパ腺を通らず門脈を経て肝臓に戻り、胆嚢から胆汁酸として再利用されます。
遊離脂肪酸、モノアシルグリセロールは、ミセルとして小腸上皮細胞に吸収され、小胞体で酵素の作用を受け、トリアシルグリセロールとなります。新たに合成されたトリアシルグリセロールとリン脂質、コレステロール、たんぱく質などが上皮細胞の小胞体で組み合わさり、キミクロンとして胃腸のリンパ管に分泌されます。キミクロンは、直径200nmの安定な滴粒で、たんぱく質0.2〜0.5%、リン脂質6〜10%、コレステロール2〜3%、トリアシルグリセロール80〜90%です。この滴粒は、小腸乳麋管(にゅうびかん)からリンパ管系に入り、胸管を経て血管に乳液状で分泌されます。
エネルギーが十分なときは、キミクロンは脂肪組織に運ばれ、脂肪として貯蔵されます。しかし、エネルギー不足で貯蔵に回せないとき、キミクロンは赤色の骨格筋、心筋、肝臓で消費されます。このときキミクロンは、酵素で加水分解されます。この酵素は組織の毛細血管壁にあり、エネルギーが十分なときは脂肪組織での活性が高く、キミクロンから脂肪酸を遊離させて取り込みます。反対に飢餓状態のときは、脂肪組織脈管系でも活性は激減し、エネルギーの必要な骨格筋、肝臓、心筋で活性が高くなります。結局のところ、血液中のキミクロンは、脂肪組織で使われず、エネルギーの必要な組織に回されます。
脂肪組織に入った遊離脂肪酸は、さまざまな酵素の作用で、トリアシルグリセロールに変わります。成熟した脂肪細胞では全容の99%がトリアシルグリセロールの滴粒で、それを包む薄皮状原形質の中に真核細胞としての全オルガネラがあります。哺乳類や鳥類の脂肪細胞は、エネルギー貯蔵庫としての役割を持ちます。人では皮下組織、筋肉、腸間膜組織に脂肪が沈着します。トリアシルグリセロールの貯蔵量は、40日間の絶食にも耐えられる量に達します。一方、魚類では肝臓に沈着します。
脂肪は、沈着したままでなく、絶えず溶出と沈着を繰り返しています。空腹や長時間の運動、突然の恐怖による緊張などストレスがかかると血中アドレナリンが脂肪細胞表面の特殊なレセプター部位に結合し、酵素反応を引き起こします。まずホルモン感受性リパーゼが活性化され、すみやかにトリアシルグリセロールをジアシルグリセロールと遊離脂肪酸に変えます。遊離脂肪酸は血液に入って、血清アルブミンと安定な複合体をつくります。
血清アルブミンは、血漿たんぱく質の50%を占める分子量69,000の可溶性たんぱく質で、主に血液の浸透圧を調整しています。しかも、1分子で7〜8分子の脂肪酸と結合するため、脂肪酸の輸送に重要です。脂肪酸は、アルブミンに結合しないと水に不溶な溶血毒ですが、アルブミンと結合すると無毒可溶となり、肝臓に運ばれて利用されます。こうして血漿中の遊離脂肪酸濃度は、低く保たれています。
脂肪酸を分解するβ酸化系の酵素は、動物ではすべてミトコンドリア内膜と内部マトリクスに局在しています。ミトコンドリア内膜には、電子伝達系などの酵素も集まっており、これは長鎖脂肪酸のエネルギーを効果的に取り出し、ATPにするのに極めて重要です。
パルミチン酸が完全燃焼すると大きなエネルギーが生じます。パルミチン酸1分子を分解するのに先立ち、ATP1分子が活性化に必要ですが、分解することでATP130分子が生成します。エネルギーの保存効率は、130×7.3kcal/2,340×100=41%となります。
つまり、パルミチン酸が完全酸化でCO2とH2Oになると、遊離するエネルギーの41%は細胞が仕事をするために利用できるATPとして保存され、残りは熱として放出されます。食品の栄養素として、脂肪が効率的なエネルギー源であることは明らかです。
動植物は脂質を不溶性のトリアシルグリセロールの形で大量に蓄え、エネルギーが必要になるとすみやかに動員し、分解してエネルギーを取り出します。代表的な脂肪酸であるパルミチン酸が完全燃焼すると、自由エネルギーは大幅に減少します。
C16H32O2+23O2→16CO2+16H2O
ΔG=−2,340kcal/mol
この減少は脂肪酸の飽和アルキル基が酸化されるためです。食品の内、これほど大きなエネルギーを与えるのは長鎖脂肪酸だけで、脂質は栄養素のうち最も高いカロリー値を持ちます。動物細胞は、エネルギーを主としてトリアシルグリセロールとして貯蔵します。動物が大量に蓄えうるのは脂肪だけで、カロリー摂取が消費量を上回ると超過分は脂肪として蓄えられます。
トリアシルグリセロールは、小腸で胆汁酸と酵素リパーゼの作用を受け、遊離脂肪酸とモノアシルグリセロールに分解されます。遊離脂肪酸、モノアシルグリセロールは、ミセルとして小腸上皮細胞に吸収され、小胞体で酵素の作用を受け、トリアシルグリセロールとなります。新たに合成されたトリアシルグリセロールとリン脂質、コレステロール、たんぱく質などが上皮細胞の小胞体で組み合わさり、キミクロンとして胃腸のリンパ管に分泌されます。エネルギーが十分なときは、キミクロンは脂肪組織に運ばれ、脂肪として貯蔵されます。
脂肪組織に入った遊離脂肪酸は、さまざまな酵素の作用で、トリアシルグリセロールに変わります。成熟した脂肪細胞では全容の99%がトリアシルグリセロールの滴粒で、それを包む薄皮状原形質の中に真核細胞としての全オルガネラがあります。人では皮下組織、筋肉、腸間膜組織に脂肪が沈着します。トリアシルグリセロールの貯蔵量は、40日間の絶食にも耐えられる量に達します。脂肪は、沈着したままでなく、絶えず溶出と沈着を繰り返しています。
脂肪酸を分解するβ酸化系の酵素は、動物ではすべてミトコンドリア内膜と内部マトリクスに局在しています。これは長鎖脂肪酸のエネルギーを効果的に取り出し、ATPにするのに極めて重要です。パルミチン酸が完全酸化でCO2とH2Oになると、遊離するエネルギーの41%は細胞が仕事をするために利用できるATPとして保存され、残りは熱として放出されます。食品の栄養素として、脂肪が効率的なエネルギー源であることは明らかです。
2021年02月25日
【しびれる辛さ】花椒と山椒
花椒(ホァジャオ)は、中国の四川料理で使われるしびれを感じるスパイスで、柑橘系の香りとビリビリと舌がしびれるような風味を持っています。日本の山椒は、鼻に抜ける柑橘系の爽快な香りとピリッとした刺激的な辛さが特徴のスパイスです。
花椒は、中国原産のミカン科サンショウ属のカホクザンショウの果実の皮です。柑橘系の爽やかさのある香りとしびれるような辛さが特徴で、特に四川料理には欠かせないスパイスで、貴州料理、雲南料理などでは煮込み料理、炒め物、蒸し料理などに多用されています。直径3mmほどの赤い実を乾燥させ、その果皮を使用します。花椒には、消化を促進する健胃作用と殺菌作用があります。主な成分としては、香りを形成するリモネン、シトロネラール、グラニオール、辛味のサンショオール、サンショアミド、渋味のタンニンなどが含まれています。ホール、粗挽き、粉末で市販され、特にホールのものをミルで挽くと強烈な香りが広がります。
山椒は、ミカン科サンショウ属の樹高3mほどの落葉灌木です。葉、茎、花、実、樹皮全てが香辛料として使われます。熟す前の若い山椒の実は青山椒、熟した山椒の実は実山椒、実山椒を粉にしたものが粉山椒と言います。山椒は、爽やかな柑橘系の香りと舌がしびれるようなピリッとした刺激的な辛みが特徴です。山椒の香りは、リモネン、 酢酸ゲラニル、ゲラニオール、シトロネラールなどの成分で、山椒の辛みは、サンショオールという成分に由来します。辛みのスパイスとしてというよりは、風味をつけるために使用されることが多く、ひと振りで爽やかな風味はつきます。
辛味とは、トウガラシ、コショウ、花椒、山椒、ショウガ、ワサビなどの味のことを指し、痛みなどと同様の刺激として、痛覚で感じます。大きく分けて、辛味は不揮発性成分と揮発性成分の2種類となり、不揮発性成分は辛いと感じるタイミングが遅く、辛味が持続し、熱に強い特徴があります。揮発性成分は比較的早く辛味を感じ、揮発性のため辛味は持続せず、熱に弱い特徴があります。花椒や山椒に含まれる辛味成分のサンショオールは、熱に強く、不揮発性です。
花椒(ホァジャオ)は、中国の四川料理で使われるしびれを感じるスパイスで、柑橘系の香りとビリビリと舌がしびれるような風味を持っています。日本の山椒は、鼻に抜ける柑橘系の爽快な香りとピリッとした刺激的な辛さが特徴のスパイスです。
中国原産のカホクザンショウの果皮を乾燥させた花椒に対し、日本原産のサンショウの果皮が山椒です。同じミカン科サンショウ属ですが、別の種となります。どちらも熟した果実の皮を乾燥させたものをスパイスとして使います。
中国では、一般的に味覚を酸味、甘味、苦味、辛味、塩味に分けますが、四川ではしびれを指す麻(マー)が加わり、味を表現します。四川料理の麻辣(マーラー)は、麻(マー)のしびれと辣(ラー)の辛さが、混じりあって生みだされる味のことを指します。麻(マー)をつくりだしているのが、花椒です。しびれ料理の代表的な料理としは、麻辣豆腐、魚の麻辣煮込み、鶏唐揚げの麻辣炒めなどがあげられ、四川省のみならず、昨今は日本でも花椒を使ったさまざまなメニューを提供するお店が増えています。
日本の山椒は果皮だけでなく若芽を木の芽として料理の彩りや香りづけに使用することや未熟な果実を佃煮にするなどさまざまな部位を利用します。
花椒は、中国原産のミカン科サンショウ属のカホクザンショウの果実の皮です。柑橘系の爽やかさのある香りとしびれるような辛さが特徴で、特に四川料理には欠かせないスパイスで、貴州料理、雲南料理などでは煮込み料理、炒め物、蒸し料理などに多用されています。主な原産地は、中国四川省、河北省、河南省などです。直径3mmほどの赤い実を乾燥させ、その果皮を使用します。料理のスパイスとしてのほか、薬用としても使用されます。
花椒には、消化を促進する健胃作用と殺菌作用があります。ほかにも精神安定、鎮痛、血圧降下、ホルモンバランスを整える効果が報告されています。主な成分としては、香りを形成するリモネン、シトロネラール、グラニオール、辛味のサンショオール、サンショアミド、渋味のタンニンなどが含まれています。
日本では、麻婆豆腐のスパイスとしても有名ですが、中国では炒め物、煮込み料理、鍋料理などさまざまな料理に使われています。ホール、粗挽き、粉末で市販され、特にホールのものをミルで挽くと強烈な香りが広がります。
麻婆豆腐に使用する場合、あんに花椒を混ぜ込み、できあがりでさらに花椒を上からかけます。四川料理の麻婆豆腐は、まさに花椒の味です。中国では、唐揚げに花椒塩をつけて食べます。粉末にした花椒と塩を混ぜた花椒塩は、唐揚げに爽やかな風味とビリビリとした辛みがアクセントとなって、後を引きます。花椒は唐揚げの脂っこさをスッキリさせてくれます。花椒を植物油に漬け込んで、風味を移行させた花椒油も、中国料理によく使われます。料理にかけること、タレに混ぜることで花椒の風味を味わうことができます。
五香粉(ウーシャンフェン)という中国のミックススパイスにも花椒は使われています。シナモン、クローブ、陳皮、スターアニス、花椒の5種類のスパイスをパウダー状にしてブレンドしたものです。炒め物や揚げ物の味付けなどに使われます。
山椒は、ミカン科サンショウ属の樹高3mほどの落葉灌木です。葉、茎、花、実、樹皮全てが香辛料として使われます。熟す前の若い山椒の実は青山椒、熟した山椒の実は実山椒、実山椒を粉にしたものが粉山椒と言います。葉の部分である木の芽、花を使う花山椒、若枝の皮をつかう辛皮などもあります。日本では、サンショウ以外にハジカミとも呼ばれます。
山椒は、爽やかな柑橘系の香りと舌がしびれるようなピリッとした刺激的な辛みが特徴です。山椒の香りは、リモネン、 酢酸ゲラニル、ゲラニオール、シトロネラールなどの成分で、山椒の辛みは、サンショオールという成分に由来します。花椒の強烈なしびれるような辛さに比べるとマイルドで、口の中がしびれる感覚も花椒に比べるとおとなしいです。辛みのスパイスとしてというよりは、風味をつけるために使用されることが多く、ひと振りで爽やかな風味はつきます。
山椒の主な使い方としては、お馴染みのうなぎの蒲焼きや焼鳥、牛丼などに振りかけます。甘いタレに山椒の香りが広がり、爽やかな風味となります。そのほかにもちりめん山椒や佃煮などのアクセントとして用いられます。さらに隠し味として、山椒を肉の下味に使うこともあります。
辛味とは、トウガラシ、コショウ、花椒、山椒、ショウガ、ワサビなどの刺激的な味のことを指します。5種類の基本的な味である甘味、塩味、酸味、苦味、うま味は、味覚神経で感じますが、辛味は、痛みなどと同様の刺激として、痛覚で感じるので、基本味とは別のものとされています。
植物に含まれている辛味成分は、それぞれ異なるので、辛味の感じ方も同様に違ってきます。大きく分けて、辛味は不揮発性成分と揮発性成分の2種類となります。トウガラシのカプサイシンに代表される不揮発性成分は、口の中を熱く感じさせます。辛いと感じるタイミングが遅く、辛味が持続し、熱に強い特徴があります。わさびのイソチオシアネートに代表される揮発性成分は、鼻を抜ける刺激があります。比較的早く辛味を感じ、揮発性のため辛味は持続せず、熱に弱い特徴があります。すりおろしたりすることで揮発性成分が生成します。
花椒や山椒に含まれる辛味成分のサンショオールは、熱に強く、不揮発性です。
花椒(ホァジャオ)は、中国の四川料理で使われるしびれを感じるスパイスで、柑橘系の香りとビリビリと舌がしびれるような風味を持っています。日本の山椒は、鼻に抜ける柑橘系の爽快な香りとピリッとした刺激的な辛さが特徴のスパイスです。
花椒は、中国原産のミカン科サンショウ属のカホクザンショウの果実の皮です。柑橘系の爽やかさのある香りとしびれるような辛さが特徴で、特に四川料理には欠かせないスパイスで、貴州料理、雲南料理などでは煮込み料理、炒め物、蒸し料理などに多用されています。直径3mmほどの赤い実を乾燥させ、その果皮を使用します。花椒には、消化を促進する健胃作用と殺菌作用があります。主な成分としては、香りを形成するリモネン、シトロネラール、グラニオール、辛味のサンショオール、サンショアミド、渋味のタンニンなどが含まれています。ホール、粗挽き、粉末で市販され、特にホールのものをミルで挽くと強烈な香りが広がります。
山椒は、ミカン科サンショウ属の樹高3mほどの落葉灌木です。葉、茎、花、実、樹皮全てが香辛料として使われます。熟す前の若い山椒の実は青山椒、熟した山椒の実は実山椒、実山椒を粉にしたものが粉山椒と言います。山椒は、爽やかな柑橘系の香りと舌がしびれるようなピリッとした刺激的な辛みが特徴です。山椒の香りは、リモネン、 酢酸ゲラニル、ゲラニオール、シトロネラールなどの成分で、山椒の辛みは、サンショオールという成分に由来します。辛みのスパイスとしてというよりは、風味をつけるために使用されることが多く、ひと振りで爽やかな風味はつきます。
辛味とは、トウガラシ、コショウ、花椒、山椒、ショウガ、ワサビなどの味のことを指し、痛みなどと同様の刺激として、痛覚で感じます。大きく分けて、辛味は不揮発性成分と揮発性成分の2種類となり、不揮発性成分は辛いと感じるタイミングが遅く、辛味が持続し、熱に強い特徴があります。揮発性成分は比較的早く辛味を感じ、揮発性のため辛味は持続せず、熱に弱い特徴があります。花椒や山椒に含まれる辛味成分のサンショオールは、熱に強く、不揮発性です。
2021年02月24日
【多糖類】食材のネバネバやヌルヌルの正体とその働き
食材に含まれるネバネバやヌルヌルの由来となる粘性物質は、食材ごとにいろいろな種類があり、それぞれが健康の維持に役立つとして、注目されています。
ネバネバやヌルヌルの食材が持つ適度なとろみは、のどごしを良くし、食欲を促すことで、疲労回復の効果が期待できます。また、加熱により粘性が変わるなど、いろいろな食感を生み出します。
ムチンは、糖とたんぱく質が結合することによってできる多糖類で、山芋、オクラ、納豆などの粘り気の強い食材のヌメリのもととなる成分です。ムチンは、優れた保水力を持つことで知られています。涙は、油層、水層、ムチン層の3層によって構成されています。水層を油層とムチン層で挟みこむことによって、水分を角膜に密着させ、蒸発を防ぎ、目の潤いを保つ働きを担っています。また、ムチンには粘膜を保護する作用があります。胃の粘膜にはムチンが含まれているため、強い酸性を持つ胃酸から守る機能を果たしています。消化器官の粘膜のほかに鼻や口などの粘膜にもムチンが含まれています。ムチンは、風邪やインフルエンザなどのウイルスの侵入を防ぐ抗ウイルス作用を発揮します。ムチンは熱に弱い性質があるため、食材からムチンを摂取する際には加熱しすぎないように注意する必要があります。
フコイダンは多糖類で、昆布、ワカメ、もずく、ひじきなどの海藻に含まれ、ネバネバした性質を有しています。人の体には細菌やウイルスから守るために免疫機能が備わっていますが、フコイダンは、常に体内を監視し、ウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を、活性化させる働きがあります。また、フコイダンは、花粉症や鼻炎などのアレルギーの症状を改善する効果があります。さらにフコイダンは水溶性食物繊維のため、腸内で水分を抱え込み、余分なコレステロール、糖質を吸着し体外へ排出する働きや整腸作用などが報告されています。フコイダンは熱に安定なため、味噌汁に入れることなど加熱調理して食べることができます。
アルギン酸は、昆布、ワカメ、ヒジキ、もずくなどに含まれる多糖類の1種で、海藻のぬめり成分です。アルギン酸は、主に褐藻類から抽出されます。アルギン酸はそのままでは水に溶けない物質です。水溶性のアルギン酸としては、アルギン酸カリウムなどがあります。海藻のぬめりは、水溶性のアルギン酸カリウムによるものです。高血圧の原因のひとつとして、体内のナトリウム量の増加があることから、ナトリウムを排出する働きのあるアルギン酸は血圧を下げる効果があります。水溶性のアルギン酸カリウムは、ぬめりにより余分なコレステロールを包みこんで体外に排出する作用を持ちます。アルギン酸を摂取することで、長時間にわたり満腹感を感じることができ、体内にほとんど吸収されることがないため、摂取カロリーを下げる効果があります。アルギン酸は食物繊維の1種ので、便秘を改善し腸内環境を整える効果があります。アルギン酸は、水溶性及び不溶性ともに、腸内に溜まった不要な老廃物を体外へ排出する働きを持つため、便秘を改善し、腸内の環境を整える効果があります。アルギン酸は熱に弱いため、食品などへは熱を加えずに添加されます。
食材に含まれるネバネバやヌルヌルの由来となる粘性物質は、食材ごとにいろいろな種類があり、それぞれが健康の維持に役立つとして、注目されています。
山芋、オクラ、納豆などに含まれるムチンは、ムコ多糖たんぱく質と糖たんぱく質の混合物です。ムコ多糖たんぱく質のムコは、ラテン語で動物の粘液の意味です。細胞と細胞をつなぐ保水力を持ち、胃の粘膜を保護します。
昆布、わかめ、もずくなどのヌメリ成分は、水溶性食物繊維のフコイダン、アルギン酸で、特にフコイダンはさまざまな健康効果が期待されている物質です。
ネバネバやヌルヌルの食材が持つ適度なとろみは、のどごしを良くし、食欲を促すことで、疲労回復の効果が期待できます。また、加熱により粘性が変わるなど、いろいろな食感を生み出します。
ムチンは、糖とたんぱく質が結合することによってできる多糖類で、山芋、オクラ、納豆などの粘り気の強い食材のヌメリのもととなる成分です。
ムチンは食材に含まれるだけではなく、人の体内にも存在している成分で、唾液や胃液といった分泌物、胃腸の粘液、涙などにムチンが含まれています。
ムチンは、優れた保水力を持つことで知られています。涙は、油層、水層、ムチン層の3層によって構成されています。水層を油層とムチン層で挟みこむことによって、水分を角膜に密着させ、蒸発を防ぎ、目の潤いを保つ働きを担っています。
また、ムチンには粘膜を保護する作用があります。胃の粘膜にはムチンが含まれているため、強い酸性を持つ胃酸から守る機能を果たしています。消化器官の粘膜のほかに鼻や口などの粘膜にもムチンが含まれています。ムチンは、風邪やインフルエンザなどのウイルスの侵入を防ぐ抗ウイルス作用を発揮します。
さらに、ムチンはたんぱく質の吸収を促進する働きがあります。たんぱく質は、筋肉、臓器、皮膚、髪、爪などの体の組織をつくる原材料となるだけではなく、エネルギー源にもなります。
ムチンは熱に弱い性質があるため、食材からムチンを摂取する際には加熱しすぎないように注意する必要があります。ムチンは水溶性の成分であることから、加熱調理するとムチンが食材の外へ出てきます。そのため、まるごと食べられるように調理することで、効率良くムチンを摂取することができます。
ムチンは、山芋、オクラ、納豆だけでなく、サトイモ、ナメコ、モロヘイヤ、レンコン、明日葉などにも含まれています。
フコイダンは、フコースという糖を主成分とした多糖類で、昆布、ワカメ、もずく、ひじきなどの海藻に含まれ、ネバネバした性質を有しています。フコイダンは、海藻の表面を覆い、激しい潮の流れや刺激から海藻を守っています。海中の微生物に食べられないようにする役目も担っています。
人の体には細菌やウイルスから守るために免疫機能が備わっていますが、フコイダンは、常に体内を監視し、ウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を、活性化させる働きがあります。また、フコイダンは、花粉症や鼻炎などのアレルギーの症状を改善する効果があります。さらにフコイダンは、胃潰瘍などが発生する原因のひとつとされるピロリ菌を吸いつけて、排出します。ピロリ菌は、1度感染するとずっと住み着いてします厄介な菌です。フコイダンは、胃潰瘍などで生じた胃粘膜の炎症部分を修復する働きもあります。フコイダンは水溶性食物繊維のため、腸内で水分を抱え込み、余分なコレステロール、糖質を吸着し体外へ排出する働きや整腸作用などが報告されています。
フコイダンは熱に安定なため、味噌汁に入れることなど加熱調理して食べることができます。酢の物で食べると、やわらかくなり、吸収されやすくなります。
アルギン酸は、昆布、ワカメ、ヒジキ、もずくなどに含まれる多糖類の1種で、海藻のぬめり成分です。アルギン酸は乾燥藻体の10〜50%を占めていることから、海藻の主成分で、天然の食物繊維として知られています。
アルギン酸は、海中に含まれるさまざまなミネラルを取り込み、ゼリー状態となって細胞の間隙を満たしています。
アルギン酸は、主に褐藻類から抽出されます。海藻類は、世界中で3,000種類以上あると言われており、原材料として、昆布のような大型の海藻が使用されます。抽出されたアルギン酸は、増粘剤などとして食品添加物、機能性食品、医薬品、工業製品の原材料として利用されています。なお、アルギン酸はお腹の調子を整える食品として、厚生労働省許可の特定保健用食品(トクホ)にも指定されています。
アルギン酸の安全性は、WHOにも評価されており、もっとも安全な物質のひとつとされています。
アルギン酸はそのままでは水に溶けない物質です。ナトリウムやカリウムなどと結びつき、水に溶けるようになります。水溶性のアルギン酸としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムなどがあります。海藻のぬめりは、水溶性のアルギン酸カリウムによるものです。水溶性のアルギン酸カリウムは、胃でアルギン酸とカリウムに分解されます。カリウムは体内に吸収されて利用され、アルギン酸はナトリウムと結合しアルギン酸ナトリウムとなって体外に排出されます。
高血圧の原因のひとつとして、体内のナトリウム量の増加があることから、ナトリウムを排出する働きのあるアルギン酸は血圧を下げる効果があります。水溶性のアルギン酸カリウムは、ぬめりにより余分なコレステロールを包みこんで体外に排出する作用を持ちます。アルギン酸を摂取することで、長時間にわたり満腹感を感じることができ、体内にほとんど吸収されることがないため、摂取カロリーを下げる効果があります。アルギン酸は食物繊維の1種ので、便秘を改善し腸内環境を整える効果があります。人の腸内には100兆個以上の腸内細菌が棲みついており、善玉菌と悪玉菌が常に勢力範囲を争っています。善玉菌が優勢を保っているときは腸の調子が良く、劣勢になったときは便秘などの症状が現れます。悪玉菌は、腸内で毒素を発生させることにより、肌荒れや体調不良などを引き起こします。アルギン酸は、水溶性及び不溶性ともに、腸内に溜まった不要な老廃物を体外へ排出する働きを持つため、便秘を改善し、腸内の環境を整える効果があります。
アルギン酸は熱に弱いため、食品などへは熱を加えずに添加されます。
食材に含まれるネバネバやヌルヌルの由来となる粘性物質は、食材ごとにいろいろな種類があり、それぞれが健康の維持に役立つとして、注目されています。
ネバネバやヌルヌルの食材が持つ適度なとろみは、のどごしを良くし、食欲を促すことで、疲労回復の効果が期待できます。また、加熱により粘性が変わるなど、いろいろな食感を生み出します。
ムチンは、糖とたんぱく質が結合することによってできる多糖類で、山芋、オクラ、納豆などの粘り気の強い食材のヌメリのもととなる成分です。ムチンは、優れた保水力を持つことで知られています。涙は、油層、水層、ムチン層の3層によって構成されています。水層を油層とムチン層で挟みこむことによって、水分を角膜に密着させ、蒸発を防ぎ、目の潤いを保つ働きを担っています。また、ムチンには粘膜を保護する作用があります。胃の粘膜にはムチンが含まれているため、強い酸性を持つ胃酸から守る機能を果たしています。消化器官の粘膜のほかに鼻や口などの粘膜にもムチンが含まれています。ムチンは、風邪やインフルエンザなどのウイルスの侵入を防ぐ抗ウイルス作用を発揮します。ムチンは熱に弱い性質があるため、食材からムチンを摂取する際には加熱しすぎないように注意する必要があります。
フコイダンは多糖類で、昆布、ワカメ、もずく、ひじきなどの海藻に含まれ、ネバネバした性質を有しています。人の体には細菌やウイルスから守るために免疫機能が備わっていますが、フコイダンは、常に体内を監視し、ウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を、活性化させる働きがあります。また、フコイダンは、花粉症や鼻炎などのアレルギーの症状を改善する効果があります。さらにフコイダンは水溶性食物繊維のため、腸内で水分を抱え込み、余分なコレステロール、糖質を吸着し体外へ排出する働きや整腸作用などが報告されています。フコイダンは熱に安定なため、味噌汁に入れることなど加熱調理して食べることができます。
アルギン酸は、昆布、ワカメ、ヒジキ、もずくなどに含まれる多糖類の1種で、海藻のぬめり成分です。アルギン酸は、主に褐藻類から抽出されます。アルギン酸はそのままでは水に溶けない物質です。水溶性のアルギン酸としては、アルギン酸カリウムなどがあります。海藻のぬめりは、水溶性のアルギン酸カリウムによるものです。高血圧の原因のひとつとして、体内のナトリウム量の増加があることから、ナトリウムを排出する働きのあるアルギン酸は血圧を下げる効果があります。水溶性のアルギン酸カリウムは、ぬめりにより余分なコレステロールを包みこんで体外に排出する作用を持ちます。アルギン酸を摂取することで、長時間にわたり満腹感を感じることができ、体内にほとんど吸収されることがないため、摂取カロリーを下げる効果があります。アルギン酸は食物繊維の1種ので、便秘を改善し腸内環境を整える効果があります。アルギン酸は、水溶性及び不溶性ともに、腸内に溜まった不要な老廃物を体外へ排出する働きを持つため、便秘を改善し、腸内の環境を整える効果があります。アルギン酸は熱に弱いため、食品などへは熱を加えずに添加されます。
2021年02月23日
【進行の遅延】老人性難聴の原因と主に食材による対策
65歳以上になって、最近聞こえが悪くなったといったような悩みを抱えていることがあるかもしれません。または、家族から指摘されて気付くこともあるかもしれません。一般的に聴力は、年をとるにつれ、低下していきます。加齢とともに聴力が低下することを老人性難聴と言います。老人性難聴は、長期にわたって聴力が低下していくことから、気付いたときには、すでに難聴が進行していることが多く見受けられます。
老人性難聴の原因のひとつは、音を聞き取る細胞が減少していることです。そのため、自力で聞こえを改善するのは非常に困難です。ただし、老人性難聴の進行を緩やかにすることはできます。それは、誰でもできる簡単な方法です。老人性難聴について理解することで、聞こえの低下を遅らせることができます。
老人性難聴の原因は、2つあります。ひとつは有毛細胞の減少のため、もうひとつは酸化ストレスのためです。有毛細胞とは、音を感知する細胞です。この有毛細胞が加齢などによって減少することで、聴力の低下を引き起こします。この細胞は、耳の奥にある蝸牛と呼ばれる部位に存在しています。入口が高音域、出口が低音域の音を感知します。高音域を拾う入口の有毛細胞は、音が頻繁に入ってくるので、傷つきやすい傾向があります。有毛細胞は、酸化ストレスでも減少します。酸化は、活性酸素が細胞を傷つけることです。通常生じた酸化は、抗酸化作用によって除去されます。しかし、心理的あるいは肉体的ストレス、紫外線、酸化された食べ物を食べるなどで、抗酸化作用が十分に対処しきれないことから、有毛細胞を傷つけ、難聴の進行を早める恐れがあります。
年をとると有毛細胞は減少しますが、有毛細胞の減少をおだやかにすることは可能です。老人性難聴の進行をおだやかにするには、ストレスをためないこと、大きな音を避けること、血行を良くすることです。過度なストレスにより、酸化ストレスが十分に処理できない状況となります。そのため、適度に体を動かすことや気分転換をすることでストレスを発散すること、酸化の原因となる活性酸素を除去する食材を摂取することなどがあげられます。抗酸化作用を持つビタミンとしては、ビタミンCやビタミンEなどがあります。ポリフェノールも抗酸化作用があります。大きな音を聞くと有毛細胞が傷つき、減少する恐れがあります。そのため、大きな音を避ける必要があります。耳の血流が悪くなると、脳への神経伝達が十分に行われず、難聴を進行させる可能性があります。血流が悪化する原因のひとつとして、食べすぎや飲みすぎによって、血液中の脂質や糖質が増えてしまうことがあげられます。血流を改善する食材として、クエン酸やEPA(エイコサペンタエン酸)などがあります。
これらの対策を講じることで、難聴の進行をおだやかにすることができます。
65歳以上になって、最近聞こえが悪くなったといったような悩みを抱えていることがあるかもしれません。または、家族から指摘されて気付くこともあるかもしれません。
一般的に聴力は、年をとるにつれ、低下していきます。加齢とともに聴力が低下することを老人性難聴と言います。老人性難聴は、長期にわたって聴力が低下していくことから、気付いたときには、すでに難聴が進行していることが多く見受けられます。
老人性難聴の原因のひとつは、音を聞き取る細胞が減少していることです。そのため、自力で聞こえを改善するのは非常に困難です。
ただし、老人性難聴の進行を緩やかにすることはできます。それは、誰でもできる簡単な方法です。老人性難聴について理解することで、聞こえの低下を遅らせることができます。
老人性難聴は、老年性難聴や加齢性難聴とも呼ばれます。その名の通り、年をとるとともに聞こえが悪くなる難聴のことです。そのため、年齢を重ねるにつれ、発生頻度が高くなります。75歳以上のおおよそ50%が、聞こえが悪いことに悩みを抱えています。聞こえが悪くなると日常生活でさまざまな問題が起こります。病院や銀行などで名前を呼ばれても気付かない、車が近づいてくる音やクラクションを鳴らされても気付かない、 携帯電話の着信音に気付かない、聞き間違いや聞き返しが増えてコミュニケーションがとりにくくなる、家族からテレビのボリュームの大きさを指摘されることなどがあります。
このような問題は、老人性難聴により、聞き取りが困難となっているからです。どちらから話しかけられたのかわからない、大勢の会話で聞き逃すことが多くなる、通常の速度で会話が聞き取りにくい、音は聞こえるが何を言っているのか判断しにくいなど音が聞き取れていないだけでなく、脳の言語処理能力が低下しているために起こります。脳は日常的な音を記憶しています。しかし、難聴によって、音が脳に入らないと記憶が減少します。そのため、難聴になると言葉をうまく判断できなくなります。
なぜ年をとると聞こえが悪くなるのでしょうか。老人性難聴の原因は、2つあります。ひとつは有毛細胞の減少のため、もうひとつは酸化ストレスのためです。
有毛細胞とは、音を感知する細胞です。この有毛細胞が加齢などによって減少することで、聴力の低下を引き起こします。この細胞は、耳の奥にある蝸牛と呼ばれる部位に存在しています。蝸牛はカタツムリのような形状で、入口が高音域、出口が低音域の音を感知します。高音域を拾う入口の有毛細胞は、音が頻繁に入ってくるので、傷つきやすい傾向があります。そのため、老人性難聴になると一般的に高音域の聞き取りから悪化します。また、有毛細胞は、老化に伴って減少していくため、基本的に聴力の低下を防ぐことはできません。
有毛細胞は、酸化ストレスでも減少します。酸化は、活性酸素が細胞を傷つけることです。酸化は、呼吸によって取り込まれた酸素と食べ物から取り込んだ栄養素からエネルギーを産生することで起こります。
通常生じた酸化は、抗酸化作用によって除去されます。しかし、心理的あるいは肉体的ストレス、紫外線、酸化された食べ物を食べるなどで、抗酸化作用が十分に対処しきれないことから、有毛細胞を傷つけ、難聴の進行を早める恐れがあります。
年をとると有毛細胞は減少します。しかし、有毛細胞の減少をおだやかにすることは可能です。老人性難聴の進行をおだやかにするには、ストレスをためないこと、大きな音を避けること、血行を良くすることです。
過度なストレスにより、酸化ストレスが十分に処理できない状況となります。そのため、適度に体を動かすことや気分転換をすることでストレスを発散すること、酸化の原因となる活性酸素を除去する食材を摂取することなどがあげられます。抗酸化作用を持つビタミンとしては、ビタミンCやビタミンEなどがあります。ビタミンCを多く含む食材は、イチゴ、レモン、オレンジなどのフルーツ類、ピーマンやさつまいも、小松菜などがあげられます。ビタミンEを多く含む食材は、かぼちゃ、アスパラガス、春菊、ニラなどの野菜類、サケやサバなどの魚介類、アーモンドなどのナッツ類があります。赤ワイン、緑茶、ココア、ぶどうなどに含まれるポリフェノールも抗酸化作用があります。
大きな音を聞くと有毛細胞が傷つき、減少する恐れがあります。そのため、大きな音を避ける必要があります。大きな音としては、テレビを大音量で聞く、イヤホンで大きな音を聞くなどがあげられます。家が幹線道路や線路などに面していると、知らない間に耳を傷つける可能性があります。このような場合は、2重ガラスなどの防音対策をとることが望まれます。
耳の血流が悪くなると、脳への神経伝達が十分に行われず、難聴を進行させる可能性があります。血流が悪化する原因のひとつとして、食べすぎや飲みすぎによって、血液中の脂質や糖質が増えてしまうことがあげられます。特に脂質は動脈硬化や血管を詰まらせたりする原因になるため、食生活は配慮する必要があります。血流の悪化によって、体の隅々まで酸素や栄養が運搬されず、老廃物を排出する働きもうまく機能しなくなります。血流を改善する食材として、お酢、梅干し、レモンなど柑橘類があります。お酢、梅干し、レモンなどの柑橘類に多く含まれるクエン酸は、疲労回復効果だけでなく、血液の酸化を抑えて血流を良くする効果が期待できます。イワシ、サバ、サンマなどの青魚に豊富に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)も、血流を改善する作用があります。ほかにも血栓をできにくくしたり、脂質異常症を予防したりする働きを持ちます。
これらの対策を講じることで、難聴の進行をおだやかにすることができます。
65歳以上になって、最近聞こえが悪くなったといったような悩みを抱えていることがあるかもしれません。または、家族から指摘されて気付くこともあるかもしれません。一般的に聴力は、年をとるにつれ、低下していきます。加齢とともに聴力が低下することを老人性難聴と言います。老人性難聴は、長期にわたって聴力が低下していくことから、気付いたときには、すでに難聴が進行していることが多く見受けられます。
老人性難聴の原因のひとつは、音を聞き取る細胞が減少していることです。そのため、自力で聞こえを改善するのは非常に困難です。ただし、老人性難聴の進行を緩やかにすることはできます。それは、誰でもできる簡単な方法です。老人性難聴について理解することで、聞こえの低下を遅らせることができます。
老人性難聴の原因は、2つあります。ひとつは有毛細胞の減少のため、もうひとつは酸化ストレスのためです。有毛細胞とは、音を感知する細胞です。この有毛細胞が加齢などによって減少することで、聴力の低下を引き起こします。この細胞は、耳の奥にある蝸牛と呼ばれる部位に存在しています。入口が高音域、出口が低音域の音を感知します。高音域を拾う入口の有毛細胞は、音が頻繁に入ってくるので、傷つきやすい傾向があります。有毛細胞は、酸化ストレスでも減少します。酸化は、活性酸素が細胞を傷つけることです。通常生じた酸化は、抗酸化作用によって除去されます。しかし、心理的あるいは肉体的ストレス、紫外線、酸化された食べ物を食べるなどで、抗酸化作用が十分に対処しきれないことから、有毛細胞を傷つけ、難聴の進行を早める恐れがあります。
年をとると有毛細胞は減少しますが、有毛細胞の減少をおだやかにすることは可能です。老人性難聴の進行をおだやかにするには、ストレスをためないこと、大きな音を避けること、血行を良くすることです。過度なストレスにより、酸化ストレスが十分に処理できない状況となります。そのため、適度に体を動かすことや気分転換をすることでストレスを発散すること、酸化の原因となる活性酸素を除去する食材を摂取することなどがあげられます。抗酸化作用を持つビタミンとしては、ビタミンCやビタミンEなどがあります。ポリフェノールも抗酸化作用があります。大きな音を聞くと有毛細胞が傷つき、減少する恐れがあります。そのため、大きな音を避ける必要があります。耳の血流が悪くなると、脳への神経伝達が十分に行われず、難聴を進行させる可能性があります。血流が悪化する原因のひとつとして、食べすぎや飲みすぎによって、血液中の脂質や糖質が増えてしまうことがあげられます。血流を改善する食材として、クエン酸やEPA(エイコサペンタエン酸)などがあります。
これらの対策を講じることで、難聴の進行をおだやかにすることができます。
2021年02月22日
【エネルギー変換システム】トリカルボン酸サイクル
トリカルボン酸サイクル(TCAサイクル・クエン酸回路)は、アセチルCoA(アセチルコエンザイムエー)のアセチル基を二酸化炭素と水に完全酸化する経路です。アセチル基の炭素は、糖からの解糖系でピルビン酸、脂肪酸、ある種のアミノ酸に由来します。したがって、アセチルCoAは、これらを完全酸化する際の共通の中間体となり、この過程は好気的です。トリカルボン酸サイクルとこれに伴う呼吸系で、有機物中の炭素は完全に二酸化炭素に酸化され、エネルギーを供給します。
トリカルボン酸サイクルを触媒する酵素は、解糖系と異なり真核細胞ではミトコンドリアにあります。そこで、トリカルボン酸サイクル中間体の酸化で基質を離れた電子対は、直ちにミトコンドリアの電子伝達系に入り、酸素の還元に使用されます。電子対が酸素に移るとき、ADP(アデノシン2リン酸)がリン酸化され、ATP(アデノシン3リン酸)ができます。
細胞質で生成したピルビン酸は、ミトコンドリアでアセチルCoAに酸化されます。アセチルCoAは、糖質、脂質、ある種のアミノ酸に共通な代謝中間体です。アセチルCoAが、トリカルボン酸サイクルに入り、8つの酵素で二酸化炭素と水に完全酸化されます。
アセチルCoAが、トリカルボン酸サイクルで二酸化炭素と水に完全酸化されるときに12個ATP(アデノシン3リン酸)を生じます。ピルビン酸の酸化であれば15個のATPを生じます。
トリカルボン酸サイクル(TCAサイクル・クエン酸回路)は、アセチルCoA(アセチルコエンザイムエー)のアセチル基を二酸化炭素と水に完全酸化する経路です。アセチル基の炭素は、糖からの解糖系でピルビン酸、脂肪酸、ある種のアミノ酸に由来します。したがって、アセチルCoAは、これらを完全酸化する際の共通の中間体となり、この過程は好気的です。植物の光合成で生じた酸素が大気中にある程度蓄積して、はじめてこの過程が始まりました。トリカルボン酸サイクルとこれに伴う呼吸系で、有機物中の炭素は完全に二酸化炭素に酸化され、エネルギーを供給します。
トリカルボン酸サイクルを触媒する酵素は、解糖系と異なり真核細胞ではミトコンドリアにあります。そこで、トリカルボン酸サイクル中間体の酸化で基質を離れた電子対は、直ちにミトコンドリアの電子伝達系に入り、酸素の還元に使用されます。電子対が酸素に移るとき、ADP(アデノシン2リン酸)がリン酸化され、ATP(アデノシン3リン酸)ができます。
ぶどう糖の分解は、嫌気的な解糖系と好気的なトリカルボン酸サイクルにわけて、エネルギー(ATP)の生産効率を比較すると、ぶどう糖が二酸化炭素と水に完全酸化されるときの自由エネルギー変化は、−686kcalです。ぶどう糖が、乳酸になるときの自由エネルギー変化は、おおよそ−47kcalです。つまり、ぶどう糖分子のエネルギーは、乳酸までではほんの7%しか取り出されず、残りの639kcalは生じた乳酸が完全酸化されるときに取り出されます。
生体がぶどう糖を好気的に酸化し、二酸化炭素と水にするとき、乳酸は途中で生成しなくても問題なく、糖代謝のカギはピルビン酸で、これが還元されて乳酸になり、完全酸化されれば二酸化炭素と水になります。
細胞質で生成したピルビン酸は、ミトコンドリアでアセチルCoAに酸化されます。この反応は、酵素のピルベートデヒドロゲナーゼが触媒し、2種類の補酵素(CoAとNADH)、マグネシウムなどが関与します。NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド )は、全ての真核生物と多くの古細菌、真正細菌で用いられる電子伝達体です。さまざまな脱水素酵素の補酵素として機能し、酸化型 (NAD+) および還元型 (NADH) の2つの状態を取ります。
この反応の自由エネルギー変化は、ΔG=−8kcalと大きく、しかも高エネルギーのチオエステルであるアセチルCoAを生成します。
アセチルCoAは、糖質、脂質、ある種のアミノ酸に共通な代謝中間体です。アセチルCoAが、トリカルボン酸サイクルに入り、8つの酵素で二酸化炭素と水に完全酸化されます。
シトレートシンターゼという酵素は、ミトコンドリア内部に存在し、アセチルCoAがトリカルボン酸サイクルに入る反応を触媒します。アセチルCoAとオキサロ酢酸から、クエン酸が生成します。
アコニテートヒドラターゼという酵素は、クエン酸をイソクエン酸にする反応を触媒し、イソシトレートデヒドロゲナーゼという酵素は、イソクエン酸を2オキソグルタル酸と二酸化炭素に変えます。2オキソグルタレートデヒドロゲナーゼという酵素は、2オキソグルタル酸をスクシニルCoAにし、スクシニルCoAシンテターゼという酵素は、前の反応で生じた高エネルギーチオエステルから高エネルギーリン酸化合物とコハク酸をつくります。
スクシネートデヒドロゲナーゼという酵素の作用で、コハク酸はフマル酸になり、フマレートヒドラターゼという酵素で、フマル酸はリンゴ酸になります。リンゴ酸は、マレートデヒドロゲナーゼという酵素で、オキサロ酢酸となり、オキサロ酢酸が再生されることでトリカルボン酸サイクルが完結します。
トリカルボン酸サイクルにおいて、ビタミンB群、すなわちビタミンB1、ビタミンB2、ニコチン酸、パントテン酸、リポ酸、ビオチンなどがこれらの酵素の働きに関与しています。
トリカルボン酸サイクルの中間体が、合成などに使用されれば、その分を補充しなければなりません。
動物組織で重要な補充反応は、ミトコンドリアのピルベートカルボキシラーゼという酵素によるピルビン酸と二酸化炭素、ATP、水からオキサロ酢酸を生成する反応です。この反応にはマグネシウム、アセチルCoA、ビオチンも関与しています。この酵素は動物には存在しますが、植物にはありません。この酵素で解糖系の生成物がトリカルボン酸サイクルの中間体となります。
ホスホエノールピルベートカルボシキラーゼという酵素は、二酸化炭素とホスホエノールピルビン酸、水からオキサロ酢酸を生成します。この酵素は、高等植物、酵母、細菌には総存在しますが、動物にはありません。この酵素もトリカルボン酸サイクルに必要なオキサロ酢酸の補充に働きます。
ピルビン酸やアセチルCoAの酸化で、基質を離れた電子はミトコンドリア内膜で電子伝達系に入り、ここで電子伝達に伴う酸化的リン酸化が起こります。
アセチルCoAが、トリカルボン酸サイクルで二酸化炭素と水に完全酸化されるときに12個ATP(アデノシン3リン酸)を生じます。ピルビン酸の酸化であれば15個のATPを生じます。ATPは7.3kcal/molにあたるため、ピルビン酸の酸化でATPに蓄えられるエネルギーは、109.5kcal/molに達します。
トリカルボン酸サイクル(TCAサイクル・クエン酸回路)は、アセチルCoA(アセチルコエンザイムエー)のアセチル基を二酸化炭素と水に完全酸化する経路です。アセチル基の炭素は、糖からの解糖系でピルビン酸、脂肪酸、ある種のアミノ酸に由来します。したがって、アセチルCoAは、これらを完全酸化する際の共通の中間体となり、この過程は好気的です。トリカルボン酸サイクルとこれに伴う呼吸系で、有機物中の炭素は完全に二酸化炭素に酸化され、エネルギーを供給します。
トリカルボン酸サイクルを触媒する酵素は、解糖系と異なり真核細胞ではミトコンドリアにあります。そこで、トリカルボン酸サイクル中間体の酸化で基質を離れた電子対は、直ちにミトコンドリアの電子伝達系に入り、酸素の還元に使用されます。電子対が酸素に移るとき、ADP(アデノシン2リン酸)がリン酸化され、ATP(アデノシン3リン酸)ができます。
細胞質で生成したピルビン酸は、ミトコンドリアでアセチルCoAに酸化されます。アセチルCoAは、糖質、脂質、ある種のアミノ酸に共通な代謝中間体です。アセチルCoAが、トリカルボン酸サイクルに入り、8つの酵素で二酸化炭素と水に完全酸化されます。
アセチルCoAが、トリカルボン酸サイクルで二酸化炭素と水に完全酸化されるときに12個ATP(アデノシン3リン酸)を生じます。ピルビン酸の酸化であれば15個のATPを生じます。
2021年02月21日
【不完全な分解】ぶどう糖が代謝される解糖系
糖質は生物の主なエネルギー源で、人や家畜、野生動物の主な糖源は穀物でんぷん、すなわち光合成でつくられる植物性多糖です。植物は、糖がたくさんできるとでんぷんとして細胞内に蓄え、エネルギーが必要なときに使います。
動物の組織にはどこにもグリコーゲンがあり、体内全量の3分の2は筋肉に存在します。急に運動するときのエネルギー源として働きます。残りの大部分は肝臓にあり、血糖濃度を調整しています。
酸素に基づく代謝機構を備えた好気性生物も増殖に酸素を必要としない嫌気性生物もぶどう糖を利用します。しかも、その初期の分解過程(解糖と発酵)は同じです。発酵や解糖では、ぶどう糖の分解は不完全で、得られるエネルギーも小さいです。
ぶどう糖が嫌気的に分解される過程を解糖(グリコリシス)と言います。厳密には1分子のぶどう糖から2分子の乳酸を生じる過程です。アルコール発酵では、ぶどう糖1分子からエタノールと二酸化炭素が各2分子できます。この代謝は酵母やある種の微生物で起こり、ぶどう糖1分子からピルビン酸2分子が生じるまでは解糖と同じです。解糖でもアルコール発酵でも、その過程で酸素は使いません。
ぶどう糖が乳酸に変化するには、10段階の反応を経ます。最初の4反応は準備段階で、ぶどう糖はリン酸化されグリセルアルデヒド3リン酸を生じます。ここまではエネルギーを消費しますが、グリセルアルデヒド3リン酸がさらにピルビン酸に酸化されるときにエネルギーを生成します。解糖系では、グルコース1分子あたり、ATPを2分子生産しています。
糖質は生物の主なエネルギー源で、人や家畜、野生動物の主な糖源は穀物でんぷん、すなわち光合成でつくられる植物性多糖です。植物は、糖がたくさんできるとでんぷんとして細胞内に蓄え、エネルギーが必要なときに使います。セルロースも植物が大量生産する構造多糖ですが、人はこれを加水分解する酵素を持たないため、食用にはなりません。
動物の組織にはどこにもグリコーゲンがあり、体内全量の3分の2は筋肉に存在します。急に運動するときのエネルギー源として働きます。残りの大部分は肝臓にあり、血糖濃度を調整しています。ぶどう糖のほか果糖、マンノース、ガラクトースなどの単糖類やショ糖は自然界に存在し、動物の食べ物となります。
酸素に基づく代謝機構を備えた好気性生物も増殖に酸素を必要としない嫌気性生物もぶどう糖を利用します。しかも、その初期の分解過程(解糖と発酵)は同じです。嫌気性生物は、発酵によりぶどう糖を分解し、酸素を消費せずにエネルギーを得ます。生じる化合物は、嫌気性生物にとってそれ以上利用できず、排泄するか細胞内に蓄積します。好気性生物は、嫌気性生物から発展したもので、発酵も行いますが、さらにその生成物を酸素で完全に二酸化炭素と水に酸化分解する能力を持っています。
発酵や解糖では、ぶどう糖の分解は不完全で、得られるエネルギーも小さいですが、好気性生物では分解は完全で、得られるエネルギーははるかに大きくなります。しかし、分解は不完全でも、初期の生物は発酵により細胞に必要な分子をつくり、営んでいました。
ぶどう糖が嫌気的に分解される過程を解糖(グリコリシス)と言います。厳密には1分子のぶどう糖から2分子の乳酸を生じる過程です。
ぶどう糖以外の糖も解糖の中間体に変えられ、分解過程に乗ります。単糖の分解に伴い、ATP(アデノシン3リン酸)がつくられると同時にほかの代謝に用いられる中間体も生成します。ほとんどの生物は、ぶどう糖を解糖系でピルビン酸に分解します。このピルビン酸を乳酸に変えるのは1部の生物で、動物の骨格筋、乳酸菌、じゃがいもなどです。骨格筋は酸素が不十分で、ミトコンドリアは少ないですが、解凍系の酵素濃度は高いので主として解糖を行います。一方、心臓では酸素の供給が良く、ミトコンドリアが多いので乳酸はほとんどできません。大部分の組織は、酸素供給が十分であれば、ピルビン酸を経て、好気的に代謝します。
アルコール発酵では、ぶどう糖1分子からエタノールと二酸化炭素が各2分子できます。この代謝は酵母やある種の微生物で起こり、ぶどう糖1分子からピルビン酸2分子が生じるまでは解糖と同じですが、ピルビン酸はエタノールと二酸化炭素に分解されます。
解糖でもアルコール発酵でも、その過程で酸素は使いません。
ぶどう糖が乳酸に変化するには、10段階の反応を経ます。最初の4反応は準備段階で、ぶどう糖はリン酸化されグリセルアルデヒド3リン酸を生じます。ここまではエネルギーを消費しますが、グリセルアルデヒド3リン酸がさらにピルビン酸に酸化されるときにエネルギーを生成します。
ぶどう糖(グルコース)は、ATPでリン酸化されてグルコース6リン酸となり、解糖系に入ります。この酵素を触媒する酵素は、ヘキソキナーゼとグルコキナーゼです。ヘキソキナーゼは、グルコースを利用する動物細胞のすべてに存在します。動物のヘキソキナーゼは分子量100,000で、生成物となるグルコース6リン酸が酵素の活性部位以外のところに結合すると反応を阻害します。グルコキナーゼは肝臓だけに存在し、過剰の血糖をリン酸化し、グリコーゲン合成に向ける役割を持ちます。
ヘキソキナーゼ反応では、ATPの高エネルギーリン酸を消費して、低エネルギーのグルコース6リン酸ができます。ATPの加水分解で7.3kcalが熱として遊離しますが、ヘキソキナーゼ反応でそのエネルギーの1部となる3.3kcalが低エネルギー化合物の形成に使われ、残り4.0kcalが熱として遊離します。
次にグルコース6リン酸は、酵素のグルコースホスフェートイソメラーゼにより異性化し、フルクトース6リン酸となります。ホスホフルクトキナーゼという酵素は、ATPによるフルクトース6リン酸のリン酸化を触媒します。ヘキソキナーゼと同様にATPの高いエネルギーリン酸が、低エネルギーのフルクトース1,6ビスリン酸をつくるために利用されます。ホスホフルクトキナーゼは代謝調節に重要で、いろいろな代謝中間体が活性に影響します。すなわち、この酵素は過剰のATPやクエン酸で阻害され、フルクトース2,6ビスリン酸、AMP(アデノシン1リン酸)、ADP(アデノシン2リン酸)、フルクトース6リン酸で促進されます。フルクトース1,6ビスリン酸は、酵素のアルドラーゼにより、ジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド3リン酸になります。ジヒドロキシアセトンリン酸は、そのままでは代謝されないため、トリオースホスフェートイソメラーゼという酵素で、グリセルアルデヒド3リン酸に変わり利用されます。
グリセルアルデヒド3リン酸は、グリセルアルデヒドフォスフェートデヒドロゲナーゼという酵素で、1,3ビスホスホグリセリン酸となり、ホスホグリセレートキナーゼという酵素で3ホスホグリセリン酸になるときに、ADPをATPに変えます。ホスホグリセロムターゼという酵素で、2ホスホグリセリン酸となり、エノラーゼという酵素で2ホスホグリセリン酸が脱水されてホスホエノールピルビン酸が生じます。ピルベートキナーゼという酵素は、ホスホエノールピルビン酸のリン酸基をADPに移して、ATPとピルビン酸を生じます。
解糖の終わりは、ラクテートデヒドロゲナーゼという酵素でピルビン酸が還元されて乳酸になる反応です。
解糖系では、グルコース1分子あたり、ATPを2分子生産しています。
グルコース+ATP→グルコース6リン酸+ADP
フルクトース6リン酸+ATP→フルクトース1,6ビスリン酸+ADP
2(1,3ビスホスホグリセリン酸+ADP→3ホスホグリセリン酸+ATP)
2(ホスホエノールピルビン酸+ADP→ピルビン酸+ATP)
心臓ではグルコースはピルビン酸へ、ピルビン酸はクエン酸回路(TCA回路)を経て、二酸化炭素と水へ定常的に分解されエネルギーを供給しますが、それには常に一定の酸素が必要となります。一方、筋肉は酸素がなくても急激に収縮しなければならないことが多く、その場合、酸素のいらない解糖系でATPを供給しますが、それには大量のピルビン酸を乳酸にしなければなりません。
なお、アルコール発酵では、ピルベートデカルボキシラーゼという酵素で、ピルビン酸がアセトアルデヒドと二酸化炭素に変わり、アルコールデヒドロゲナーゼという酵素でアセトアルデヒドがエタノールとなります。
糖質は生物の主なエネルギー源で、人や家畜、野生動物の主な糖源は穀物でんぷん、すなわち光合成でつくられる植物性多糖です。植物は、糖がたくさんできるとでんぷんとして細胞内に蓄え、エネルギーが必要なときに使います。
動物の組織にはどこにもグリコーゲンがあり、体内全量の3分の2は筋肉に存在します。急に運動するときのエネルギー源として働きます。残りの大部分は肝臓にあり、血糖濃度を調整しています。
酸素に基づく代謝機構を備えた好気性生物も増殖に酸素を必要としない嫌気性生物もぶどう糖を利用します。しかも、その初期の分解過程(解糖と発酵)は同じです。発酵や解糖では、ぶどう糖の分解は不完全で、得られるエネルギーも小さいです。
ぶどう糖が嫌気的に分解される過程を解糖(グリコリシス)と言います。厳密には1分子のぶどう糖から2分子の乳酸を生じる過程です。アルコール発酵では、ぶどう糖1分子からエタノールと二酸化炭素が各2分子できます。この代謝は酵母やある種の微生物で起こり、ぶどう糖1分子からピルビン酸2分子が生じるまでは解糖と同じです。解糖でもアルコール発酵でも、その過程で酸素は使いません。
ぶどう糖が乳酸に変化するには、10段階の反応を経ます。最初の4反応は準備段階で、ぶどう糖はリン酸化されグリセルアルデヒド3リン酸を生じます。ここまではエネルギーを消費しますが、グリセルアルデヒド3リン酸がさらにピルビン酸に酸化されるときにエネルギーを生成します。解糖系では、グルコース1分子あたり、ATPを2分子生産しています。
2021年02月20日
【絆】孤食の実態と共食の意義
あるアンケートにて、家族と同居している人に家族と一緒に朝食と夕食を食べる頻度について尋ねたところ、ほとんど毎日一緒に食事を食べると回答した人は60%程度です。
家族と一緒に食事を食べることの良い点について尋ねたところ、1人で食べるよりも家族とのコミュニケーションを図ることができる、楽しく食べることができるが上位を占めています。加えて、規則正しい時間に食べることができる、栄養バランスの良い食事を食べることができるなど、1人で食べるよりも健全な食生活の実践につながるメリットも示されています。
家族と食事を共にすることが大切ですが、家庭や個人の努力だけでは難しい状況もあります。1人で食事を食べることについて、1人で食べたくないが、食事の時間や場所が合わないため仕方ないと回答した人の割合が最も高く、次いで1人で食べたくはないが一緒に食べる人がいないため仕方ないという回答でした。1人で食べたくないが、仕方なく孤食になってしまう背景として、世帯構造の変化があります。誰かと一緒に食事を共にする機会が得られなかったり、少なかったり、食事を通じたコミュニケーションや豊かな食体験が期待しにくい状況も見受けられます。
家族と食事を共にすることは難しいが、誰かと一緒に食事を共にすることにより食を通じたコミュニケーションなどを図りたい人にとって、地域や所属するコミュニティなどを通じて、さまざまな人と食事を共にする機会を持つことが大切です地域などでの食事会に参加した人の感想としては、コミュニケーションを図ることができた、楽しく食べることができたなどが挙げられます。
最近は、核家族化やライフタイルの変化などによって、子どもを含め、1人で食事をする人が少なくありません。家族が不在の食卓で、1人で食事することを孤食と言います。子どもの場合、好き嫌いを増やす原因になりやすい傾向です。好き嫌いを注意してくれる人がいないので、孤食が続くと、好きなものばかり食べる傾向になり、栄養が偏りがちになります。それに加えて、コミュニケーションが不足する結果、社会性や協調性に欠けて育ってしまう恐れがあります。
孤食は、栄養バランスが崩れやすく、心臓病や脳卒中など重大な病気を招くメタボリックシンドロームになる危険が高まります。高齢者の場合は、孤食をきっかけに栄養不足に陥り、筋肉量が減少して全身の衰弱が進み、要介護状態につながりやすいことがわかってきました。
食育とは、さまざまな経験を通じて、食に関する知識とバランスのよい食を選択する力を身につけ、健全な食生活を実践できる力を育むことを指します。食べることは、生きるために欠かせない行為です。食育によって身につけたい食べる力とは、心と体の健康を維持できること、食事の重要性や楽しさを理解すること、食べ物の選択や食事づくりができること、一緒に食べたい人がいること(共食)、日本の食文化を理解し伝えることができること、食べ物やつくる人への感謝の心を養うことです。
食事は、単に空腹を満たすためだけのものではありません。家族や友人などとの大切なコミュニケーションの場としても重要です。一緒に食事をする共食で、言葉を交わせば、食事の楽しさが実感でき、お腹だけでなく心も満たされます。子育ての家庭では、家族みんなで食卓を囲むことによって食事のマナーを身につけ、ほかの人に合わせることで、協調性や社会性を養う良い機会にもなります。
共食のメリットは、コミュニケーションが活性化し絆が深まること、規則正しく食べ栄養バランスもよくなること、心身の健康状態を確認できることです。
あるアンケートにて、家族と同居している人に家族と一緒に朝食と夕食を食べる頻度について尋ねたところ、ほとんど毎日一緒に食事を食べると回答した人は60%程度です。
家族と一緒に食事を食べることの良い点について尋ねたところ、1人で食べるよりも家族とのコミュニケーションを図ることができる、楽しく食べることができるが上位を占めています。加えて、規則正しい時間に食べることができる、栄養バランスの良い食事を食べることができるなど、1人で食べるよりも健全な食生活の実践につながるメリットも示されています。
1日の全ての食事を1人で食べることがどの程度あるかを尋ねたところ、ほとんど毎日と回答した人は、70歳代の女性で26.0%、20歳代の男性で25.4%と、4人に1人存在し、以前の調査結果と比べて、6〜7%増加しています。
1人で食事を食べることについては、1人で食べたくはないが、食事の時間や場所が合わないため、仕方ないとの回答が40%以上と最も高い状況です。また、1人で食べたくはないが、一緒に食べる人がいないため、仕方がないとの回答が、28%となっています。
一方で、1人で食べることの方が、都合がいいため気にならない、自分の時間を大切にしたいため気にならない、一緒に食べる習慣がないため気にならない、食事中に作業をするため気にならないなど、1人で食事を食べることについて気にならないという回答をした人も存在します。 地域や所属コミュニティで食事会などに参加したいと回答した人は、45%で特に女性でその割合が高くなります。
家族と食事を共にすることが大切ですが、家庭や個人の努力だけでは難しい状況もあります。1日の全ての食事を1人で食べる頻度について、ほとんど毎日と回答した人の割合は、11.0%で、週に4〜5日あると合わせると、週の半分以上、1日の全ての食事を1人で食べている孤食の人はおおよそ15%で、以前と比べると増加しています。
1人で食事を食べることについて、1人で食べたくないが、食事の時間や場所が合わないため仕方ないと回答した人の割合が最も高く、次いで1人で食べたくはないが一緒に食べる人がいないため仕方ないという回答でした。
1人で食べたくないが、仕方なく孤食になってしまう背景として、世帯構造の変化があります。単独世帯や夫婦のみの世帯、ひとり親世帯の増加により、誰かと一緒に食事を共にする機会が得られなかったり、少なかったり、食事を通じたコミュニケーションや豊かな食体験が期待しにくい状況も見受けられます。
特に65歳以上の高齢者では、1人暮らしの人の割合が増加しており、2015年は男性高齢者の13.3%、女性高齢者の21.1%が1人暮らしでした。2040年には、男性高齢者の20.8%、女性高齢者の24.5%が1人暮らしになると推計されています。
家族と食事を共にすることは難しいが、誰かと一緒に食事を共にすることにより食を通じたコミュニケーションなどを図りたい人にとって、地域や所属するコミュニティなどを通じて、さまざまな人と食事を共にする機会を持つことが大切です。国も地域などで共食したいと思う人が共食する割合を増やすことを目標とし、2015年に64.6%となっている割合を、将来的には70%以上とすることを目指し、2017年には72.6%と増加しており、目標を達成しています。
地域などでの食事会に参加した人の感想としては、コミュニケーションを図ることができた、楽しく食べることができたなどが挙げられます。
地域などでの食事会に参加していない人に、今後参加する条件を尋ねたところ、食事会などが参加しやすい場所で開催されること、友人や知人からの呼びかけや誘いがあること、食事会などが参加しやすい時間に開催されることなどが挙げられます。地域などでの食事会を更に推進するためには、参加者にとって身近な場所や時間で機会を設け、身近な人からの声かけがあることが必要となります。
集まって食事をする共食は、古くから世界中で共通する人間特有の行動です。しかし、今現在のところ、共食の時間の減少が懸念されています。
最近は、核家族化やライフタイルの変化などによって、子どもを含め、1人で食事をする人が少なくありません。家族が不在の食卓で、1人で食事することを孤食と言います。子どもの場合、好き嫌いを増やす原因になりやすい傾向です。好き嫌いを注意してくれる人がいないので、孤食が続くと、好きなものばかり食べる傾向になり、栄養が偏りがちになります。それに加えて、コミュニケーションが不足する結果、社会性や協調性に欠けて育ってしまう恐れがあります。
孤食以外にも、さまざまな「こしょく」があります。個食は、家族が揃っているのに、全員が自分の好きなものを食べることです。好きなものだけ食べるので、栄養が偏り、好き嫌いを増やすことになります。また、協調性のない、わがままな性格になりがちです。固食は、自分の好きな決まったものしか食べないことです。栄養が偏るのはもちろん、わがままな性格になり、肥満、生活習慣病を引き起こす原因にもなります。小食は、いつも食欲がなく、少しの量しか食べないことです。小食が続くと必要な栄養が足りなくなり、無気力になりがちです。濃食は、濃い味付けのものを食べることです。塩分や糖質が多く、味覚そのものも鈍ってしまいます。また、カロリー過多となり、肥満につながりやすくなります。
孤食は、栄養バランスが崩れやすく、心臓病や脳卒中など重大な病気を招くメタボリックシンドロームになる危険が高まります。高齢者の場合は、孤食をきっかけに栄養不足に陥り、筋肉量が減少して全身の衰弱が進み、要介護状態につながりやすいことがわかってきました。
国は、食育活動を推進しています。食育とは、さまざまな経験を通じて、食に関する知識とバランスのよい食を選択する力を身につけ、健全な食生活を実践できる力を育むことを指します。食べることは、生きるために欠かせない行為です。そのため、すべての人が食育を通じて、食べる力、すなわち生きる力を育むことが重要です。
食育によって身につけたい食べる力とは、心と体の健康を維持できること、食事の重要性や楽しさを理解すること、食べ物の選択や食事づくりができること、一緒に食べたい人がいること(共食)、日本の食文化を理解し伝えることができること、食べ物やつくる人への感謝の心を養うことです。
食事は、単に空腹を満たすためだけのものではありません。家族や友人などとの大切なコミュニケーションの場としても重要です。一緒に食事をする共食で、言葉を交わせば、食事の楽しさが実感でき、お腹だけでなく心も満たされます。
子育ての家庭では、家族みんなで食卓を囲むことによって食事のマナーを身につけ、ほかの人に合わせることで、協調性や社会性を養う良い機会にもなります。
共食のメリットのひとつは、コミュニケーションが活性化し絆が深まることです。共食について、多くの人がコミュニケーションを図れること、楽しく食べることができることをメリットとして挙げています。次に規則正しく食べ、栄養バランスもよくなることです。バランスのとれた適切な食事を、1日3食規則正しく食べることが、健康な心身を築きます。最後に心身の健康状態を確認できることです。いつもより食欲がなかったり、元気がなかったりすると、健康状態を周囲が気づくきっかけになります。
ひとり暮らしでも、周囲に目を向ければ、イベントなど食事を楽しむ機会が意外とあります。誘い合って足を運べば、地域とのつながりを持つきっかけにもなります。
あるアンケートにて、家族と同居している人に家族と一緒に朝食と夕食を食べる頻度について尋ねたところ、ほとんど毎日一緒に食事を食べると回答した人は60%程度です。
家族と一緒に食事を食べることの良い点について尋ねたところ、1人で食べるよりも家族とのコミュニケーションを図ることができる、楽しく食べることができるが上位を占めています。加えて、規則正しい時間に食べることができる、栄養バランスの良い食事を食べることができるなど、1人で食べるよりも健全な食生活の実践につながるメリットも示されています。
家族と食事を共にすることが大切ですが、家庭や個人の努力だけでは難しい状況もあります。1人で食事を食べることについて、1人で食べたくないが、食事の時間や場所が合わないため仕方ないと回答した人の割合が最も高く、次いで1人で食べたくはないが一緒に食べる人がいないため仕方ないという回答でした。1人で食べたくないが、仕方なく孤食になってしまう背景として、世帯構造の変化があります。誰かと一緒に食事を共にする機会が得られなかったり、少なかったり、食事を通じたコミュニケーションや豊かな食体験が期待しにくい状況も見受けられます。
家族と食事を共にすることは難しいが、誰かと一緒に食事を共にすることにより食を通じたコミュニケーションなどを図りたい人にとって、地域や所属するコミュニティなどを通じて、さまざまな人と食事を共にする機会を持つことが大切です地域などでの食事会に参加した人の感想としては、コミュニケーションを図ることができた、楽しく食べることができたなどが挙げられます。
最近は、核家族化やライフタイルの変化などによって、子どもを含め、1人で食事をする人が少なくありません。家族が不在の食卓で、1人で食事することを孤食と言います。子どもの場合、好き嫌いを増やす原因になりやすい傾向です。好き嫌いを注意してくれる人がいないので、孤食が続くと、好きなものばかり食べる傾向になり、栄養が偏りがちになります。それに加えて、コミュニケーションが不足する結果、社会性や協調性に欠けて育ってしまう恐れがあります。
孤食は、栄養バランスが崩れやすく、心臓病や脳卒中など重大な病気を招くメタボリックシンドロームになる危険が高まります。高齢者の場合は、孤食をきっかけに栄養不足に陥り、筋肉量が減少して全身の衰弱が進み、要介護状態につながりやすいことがわかってきました。
食育とは、さまざまな経験を通じて、食に関する知識とバランスのよい食を選択する力を身につけ、健全な食生活を実践できる力を育むことを指します。食べることは、生きるために欠かせない行為です。食育によって身につけたい食べる力とは、心と体の健康を維持できること、食事の重要性や楽しさを理解すること、食べ物の選択や食事づくりができること、一緒に食べたい人がいること(共食)、日本の食文化を理解し伝えることができること、食べ物やつくる人への感謝の心を養うことです。
食事は、単に空腹を満たすためだけのものではありません。家族や友人などとの大切なコミュニケーションの場としても重要です。一緒に食事をする共食で、言葉を交わせば、食事の楽しさが実感でき、お腹だけでなく心も満たされます。子育ての家庭では、家族みんなで食卓を囲むことによって食事のマナーを身につけ、ほかの人に合わせることで、協調性や社会性を養う良い機会にもなります。
共食のメリットは、コミュニケーションが活性化し絆が深まること、規則正しく食べ栄養バランスもよくなること、心身の健康状態を確認できることです。
2021年02月19日
【副将軍】徳川光圀の食
いまやラーメンは日本人に欠かせない食のひとつです。ご当地ラーメンなどに代表されるように、麺、スープ、調理技法は実に多彩で、さまざまなバリエーションが生み出されています。
ラーメンは中国の麺料理を起源としますが、その後に日本で独特の進化を遂げた食です。中国では粉をこねて、引き伸ばす麺料理のことを拉麺(ラーミェン)と呼びます。中国の代表的な拉麺としては、牛肉のスープに手だけで伸ばした麺を茹でた蘭州拉麺などがあります。現在の日本のラーメンという名前は、この拉麺が起源と言われています。
室町時代にラーメンが食べられていたことを示す新説が2017年に登場するまで、ラーメンを日本で初めて食べたとされる人物が、水戸黄門の呼び名で有名な第2代水戸藩主の徳川光圀です。
幅広い交友関係を持っていた徳川光圀のもとには、大名や公家、寺社などから諸国の名産が集まりました。こうした状況から、徳川光圀は食に対して深い関心を持つようになり、自ら料理をすることで調理技術を研究していました。
中国の儒学者である朱舜水を徳川光圀は厚遇し、朱舜水は中国の食材や漢方を徳川光圀に献上しました。徳川光圀は、朱舜水から教わったレンコンからつくるでんぷん粉の藕粉(ぐうふん)を使ってつくる麺料理を食べていたようです。
中国から伝えられた中国の麺であるため、ラーメンを初めて食べたという解釈がされたようですが、実際のところ徳川光圀が食べていたのは、中国の平打ち麺であくまでラーメンのようなものです。どちらかというと、うどんに近いものでした。このように、朱舜水が徳川光圀に中華麺を伝えたことが、徳川光圀が日本で初めてラーメンを食したと言われる所以です。しかし、徳川光圀が先駆けて中国の麺とスープを食していたことは、間違いないようです。
黄門様で有名な徳川光圀は、平均寿命が一般に50歳といわれた時代に73歳という長寿を全うされました。医食同源の思想に基づいて、食事には漢方を取り入れ、一汁三菜を基本として、季節の野菜をよく食べていたようです。水戸藩内の食材にも精通し、産地にまでこだわりをみせていました。このような徳川光圀の食の様子を記載している文献を、水戸の料理人が読み解き、調理方法の研究を重ねて、現代の味覚に合うようにした料理が、黄門料理です。
いまやラーメンは日本人に欠かせない食のひとつです。ご当地ラーメンなどに代表されるように、麺、スープ、調理技法は実に多彩で、さまざまなバリエーションが生み出されています。
ラーメンは中国の麺料理を起源としますが、その後に日本で独特の進化を遂げた食です。中国では粉をこねて、引き伸ばす麺料理のことを拉麺(ラーミェン)と呼びます。中国の代表的な拉麺としては、牛肉のスープに手だけで伸ばした麺を茹でた蘭州拉麺などがあります。現在の日本のラーメンという名前は、この拉麺が起源と言われています。
室町時代にラーメンが食べられていたことを示す新説が2017年に登場するまで、ラーメンを日本で初めて食べたとされる人物が、水戸黄門の呼び名で有名な第2代水戸藩主の徳川光圀です。
江戸時代の講談やテレビ時代劇の影響で、全国を行脚し、行く先々で弱きを助け悪を挫くという痛快なイメージが定着している徳川光圀ですが、実際に各地を巡ったとする確かな資料は残っていません。編纂に携わった大日本史の資料収集のため、家臣を全国に派遣したり、光圀自身が水戸藩領内の視察を行っていたりしたことから、全国を行脚する光圀像が形づくられたと考えられています。
このようなイメージを持たれている徳川光圀は、当時の資料を紐解くと、意外な一面を垣間見ることができます。
徳川光圀は、1628年に初代水戸藩主徳川頼房の子として誕生しました。徳川家康の孫にあたり、幼名は長丸、後に千代松と改め、元服し光国と名乗り、さらに光圀と改めました。呼び名として頻繁に使われる黄門とは官位である中納言の唐名で、徳川光圀が隠居する際に権中納言に任じられたことから、講談などで呼び名として使われるようになりました。
少年時代の光圀は、後のイメージと異なり、必ずしも素行が良いとは言えませんでしたが、司馬遷の史記に触れてから態度を改め、勉学に励むようになったと言われています。1661年に水戸藩主の座を継ぐと、古典研究、文化財の保護、寺社改革などに注力するようになりました。
当時の武家社会においては、儒学の影響で中国に倣うことが多かったことから、本場の儒学者に学びたいと考えていた徳川光圀は、長崎に渡来していた儒学者の朱舜水の噂を耳にし、江戸の水戸藩邸へ招聘しました。
徳川光圀に招かれた朱舜水は、師として助言をするようになり、儒式礼法、農業、造園技術をはじめ多くの知識を徳川光圀に伝えました。
幅広い交友関係を持っていた徳川光圀のもとには、大名や公家、寺社などから諸国の名産が集まりました。こうした状況から、徳川光圀は食に対して深い関心を持つようになり、自ら料理をすることで調理技術を研究していました。
徳川光圀は、魚介類の産地にもこだわりを見せ、真鶴で水揚げされるブリを好むなど諸国の食についての記録を残しています。また、徳川光圀の麺好きは有名で、自らうどん打ちを披露し、家臣に振る舞いました。
中国の儒学者である朱舜水を徳川光圀は厚遇し、朱舜水は中国の食材や漢方を徳川光圀に献上しました。徳川光圀は、朱舜水から教わったレンコンからつくるでんぷん粉の藕粉(ぐうふん)を使ってつくる麺料理を食べていたようです。朱舜水は、この麺にあわせるスープのだしを中国ハムでとり、麺の薬味として、資料には五辛とされる中国由来の薬味のニラ、ラッキョウ、ねぎ、にんにく、しょうがの5種を用いました。
中国から伝えられた中国の麺であるため、ラーメンを初めて食べたという解釈がされたようですが、実際のところ徳川光圀が食べていたのは、中国の平打ち麺であくまでラーメンのようなものです。どちらかというと、うどんに近いものでした。しかもその後の研究で、徳川光圀より以前の室町時代の資料にラーメンが食されていたという記述が、発見されています。いずれにしても、徳川光圀の食に対する好奇心が、並々ならぬものでした。
このように、朱舜水が徳川光圀に中華麺を伝えたことが、徳川光圀が日本で初めてラーメンを食したと言われる所以です。しかし、朱舜水の伝えた中華麺に関して、調理法を記した資料は見つかっていません。また、朱舜水が伝えた中華麺は、広く普及することはありませんでした。しかし、徳川光圀が先駆けて中国の麺とスープを食していたことは、間違いないようです。 なお、中華麺の定義は、かん水を使っているということです。かん水とは、アルカリ塩水溶液で、小麦粉に混ぜることで、しなやかさとコシを出し、発色をよくします。
ラーメンの歴史を辿ると、現在とほぼ同じものが日本で広く普及したのは、明治時代以降のようです。明治初期の横浜中華街には、長崎から移住してきた広東の人が多く在住していました。そこに広東以外からも多くの中国人が進出しています。そこで提供され広まったのが、南京そばと呼ばれるもので、これが現在のラーメンの原形になったとされています。
ラーメンが、日本人の生活に深く浸透したといえるのは、ここ100年ほどのことです。
黄門様で有名な徳川光圀は、平均寿命が一般に50歳といわれた時代に73歳という長寿を全うされました。医食同源の思想に基づいて、食事には漢方を取り入れ、一汁三菜を基本として、季節の野菜をよく食べていたようです。
徳川光圀は、食に関心が深く、うどんを打つのが得意で家臣に振る舞っていたという記録も残されています。水戸藩内の食材にも精通し、米は常陸太田の河合米、鮭は那珂川、鮎は久慈川、鯉は玉里村というように、産地にまでこだわりをみせていました。
朱舜水からは中国のチーズ、餃子、中国ハム、牛肉料理などを提供され、食していました。徳川光圀が、好んでよく飲んでいたのが牛乳酒です。牛乳に酒と水を入れ、さらに当時大変貴重な砂糖が加えられていました。
このような徳川光圀の食の様子を記載している文献を、水戸の料理人が読み解き、調理方法の研究を重ねて、現代の味覚に合うようにした料理が、黄門料理です。
いまやラーメンは日本人に欠かせない食のひとつです。ご当地ラーメンなどに代表されるように、麺、スープ、調理技法は実に多彩で、さまざまなバリエーションが生み出されています。
ラーメンは中国の麺料理を起源としますが、その後に日本で独特の進化を遂げた食です。中国では粉をこねて、引き伸ばす麺料理のことを拉麺(ラーミェン)と呼びます。中国の代表的な拉麺としては、牛肉のスープに手だけで伸ばした麺を茹でた蘭州拉麺などがあります。現在の日本のラーメンという名前は、この拉麺が起源と言われています。
室町時代にラーメンが食べられていたことを示す新説が2017年に登場するまで、ラーメンを日本で初めて食べたとされる人物が、水戸黄門の呼び名で有名な第2代水戸藩主の徳川光圀です。
幅広い交友関係を持っていた徳川光圀のもとには、大名や公家、寺社などから諸国の名産が集まりました。こうした状況から、徳川光圀は食に対して深い関心を持つようになり、自ら料理をすることで調理技術を研究していました。
中国の儒学者である朱舜水を徳川光圀は厚遇し、朱舜水は中国の食材や漢方を徳川光圀に献上しました。徳川光圀は、朱舜水から教わったレンコンからつくるでんぷん粉の藕粉(ぐうふん)を使ってつくる麺料理を食べていたようです。
中国から伝えられた中国の麺であるため、ラーメンを初めて食べたという解釈がされたようですが、実際のところ徳川光圀が食べていたのは、中国の平打ち麺であくまでラーメンのようなものです。どちらかというと、うどんに近いものでした。このように、朱舜水が徳川光圀に中華麺を伝えたことが、徳川光圀が日本で初めてラーメンを食したと言われる所以です。しかし、徳川光圀が先駆けて中国の麺とスープを食していたことは、間違いないようです。
黄門様で有名な徳川光圀は、平均寿命が一般に50歳といわれた時代に73歳という長寿を全うされました。医食同源の思想に基づいて、食事には漢方を取り入れ、一汁三菜を基本として、季節の野菜をよく食べていたようです。水戸藩内の食材にも精通し、産地にまでこだわりをみせていました。このような徳川光圀の食の様子を記載している文献を、水戸の料理人が読み解き、調理方法の研究を重ねて、現代の味覚に合うようにした料理が、黄門料理です。
2021年02月18日
【高齢化の現状と将来】高齢者の不安と不安軽減方法
日本の総人口は、2019年10月1日現在、1億2,617万人となっています。65歳以上人口は、3,589万人となり、総人口に占める高齢化率は28.4%となっています。
2017年に国立社会保障人口問題研究所が公表した日本の将来推計人口によると、日本の総人口は、長期の人口減少過程に入っており、2029年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、2065年には8,808万人になると推計されています。
総人口が減少する中で、65歳以上が増加することにより高齢化率は上昇を続け、2036年に33.3%で3人に1人となります。2065年には38.4%に達して、人口のおおよそ2.6人に1人が65歳以上となる社会が到来すると推計されています。
日本の平均寿命は、2018年には男性81.25歳、女性87.32歳です。今後、男女とも平均寿命は延びて、2065年には、男性84.95歳、女性91.35歳となります。
あるアンケートによると高齢者の日々の生活の不安について、1番多かった回答は、健康や病気のことです。続いて、寝たきりや体が不自由になり介護が必要な状態になること、自身などの自然災害、生活のための収入となっています。
高齢者の生活では、病気などで健康が損なわれること、介護が必要になること、自然災害で被害を受けることなど、これから自身に何かが起こることへの不安が大きいことが見受けられます。何か起こってからの対応では、今の不安を軽くすることは難しく、普段から自身に何かあったときに備える環境をつくっておくことが大切です。
高齢者の不安を軽減するサービスのひとつとして、宅配食は高齢者ひとりひとりの健康に配慮し、1人暮らしの高齢者に定期的にお届けする機会も多いことから、見守りの役割も担っています。
また、高齢者の生活の安心安全を確保するために必要なことは、普段から地域の活動を通して健康状態を確認する機会を設けておくこと、病気になったときや介護が必要になったときに受けられる支援の確認や準備、災害が起こったときの避難への備えや家庭での備蓄などを行っておくことです。
日本の総人口は、2019年10月1日現在、1億2,617万人となっています。65歳以上人口は、3,589万人となり、総人口に占める高齢化率は28.4%となっています。65歳以上の人口を男女別に見ると、男性は1,560万人、女性は2,029万人で、男性対女性の比はおおよそ3対4となっています。
65歳以上人口の内、65〜74歳人口は1,740万人で男性831万人、女性908万人となり、総人口に占める割合は13.8%となっています。75歳以上の人口は1,849万人で、男性729万人、女性1,120万人となり、総人口に占める割合は14.7%であることから、65〜74歳人口を上回っています。
日本の65歳以上の人口は、1950年には総人口の5%に満たなかったですが、1970年に7%を超え、1994年には14%を超えました。高齢化率は上昇を続け、2019年10月1日現在、28.4%に達しています。
15〜64歳人口は、1995年に8,716万人でピークを迎え、その後減少に転じ、2019年には7,507万人と総人口の59.5%になっています。
2017年に国立社会保障人口問題研究所が公表した日本の将来推計人口における出生中位死亡中位推計結果によると、日本の総人口は、長期の人口減少過程に入っており、2029年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、2053年には1億人を割って9,924万人となり、2065年には8,808万人になると推計されています。なお、将来推計人口とは、全国の将来の出生、死亡及び国際人口移動について仮定を設け、これらに基づいて日本の将来の人口規模並びに年齢構成等の人口構造の推移について推計したものです。
65歳以上の人口は、団塊の世代が65歳以上となった2015年に3,387万人となり、団塊の世代が75歳以上となる2025年には3,677万人に達すると見込まれています。その後も65歳以上の人口は増加傾向が続き、2042年に3,935万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推計されています。
総人口が減少する中で、65歳以上が増加することにより高齢化率は上昇を続け、2036年に33.3%で3人に1人となります。2042年以降は、65歳以上人口が減少に転じても高齢化率は上昇を続け、2065年には38.4%に達して、人口のおおよそ2.6人に1人が65歳以上となる社会が到来すると推計されています。総人口に占める75歳以上の人口の割合は、2065年には25.5%となり、おおよそ3.9人に1人が75歳以上となると推計されています。
65歳以上の人口の内、65〜74歳人口は団塊の世代が高齢期に入った後に2016年の1,768万人でピークを迎えています。その後は、2028年まで減少傾向となるが再び増加に転じ2041年の1,715万人に至った後、減少に転じると推計されています。一方、75歳以上の人口は、2054年まで増加傾向が続くものと見込まれています。
65歳以上の人口と15〜64歳人口の比率は、1950年には1人の65歳以上の者に対して12.1人の15〜64歳がいたのに対して、2015年には65歳以上の者1人に対して15〜64歳が2.3人になっています。今後、高齢化率は上昇し、15〜64歳の割合は低下し、2065年には、65歳以上の者1人に対して1.3人の15〜64歳という比率になります。
出生数は減少を続け、2065年には56万人になると推計されています。この減少により、0〜14歳人口は2056年に1,000万人を割り、2065年には898万人と、現在の半分程度になると推計されています。
出生数の減少は、生産年齢人口に影響を及ぼし、2029年に6,951万人と7,000万人を割り、2065年には4,529万人となると推計されています。一方、65歳以上の人口の増大により死亡数は増加、人口1,000人あたりの死亡数を示す死亡率は上昇を続け、2065年には17.7になると推計されています。
日本の平均寿命は、2018年には男性81.25歳、女性87.32歳と前年に比べて男性は0.16歳、女性は0.05歳上回りました。今後、男女とも平均寿命は延びて、2065年には、男性84.95歳、女性91.35歳となり、女性は90歳を超えると見込まれています。
あるアンケートによると高齢者の日々の生活の不安について、1番多かった回答は、健康や病気のことです。続いて、寝たきりや体が不自由になり介護が必要な状態になること、自身などの自然災害、生活のための収入となっています。一方で、不安に感じることがないと答えた人もいます。
以前のデータと比べてみると、健康や病気のこと、寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になることの割合が高まり、将来の健康や介護が必要なることについて不安がある人の割合が多くなっています。自然災害についても、多くの人が不安を抱えています。地震や台風による災害がここ数年多いことが関係していると考えられます。
さらには新しい製品やサービスの活用方法がわからないこと、インターネットをはじめとした新しい情報入手方法が増え、情報収集が困難になること、生活様式や人々の考え方などが大きく変わってしまうこと、頼れる人がいなくなることに対しても不安があります。
高齢者が日々の生活で不安に感じていることの内、割合が高かった健康や病気のこと、介護が必要になることは、特に子どもがいない人で不安に感じている人の割合が高くなります。
生活のための収入については、毎月の収入が少ない人、会話の頻度が少ない人が不安に感じている割合が高くなります。毎月の収入が少ないことで、生活のための収入に不安を感じることは推察されますが、ほとんど話をしない人が、情報を得られないことから、生活のための収入を懸念しています。
高齢者の生活では、病気などで健康が損なわれること、介護が必要になること、自然災害で被害を受けることなど、これから自身に何かが起こることへの不安が大きいことが見受けられます。何か起こってからの対応では、今の不安を軽くすることは難しく、普段から自身に何かあったときに備える環境をつくっておくことが大切です。
高齢者の不安を軽減するサービスのひとつとして、宅配食は高齢者ひとりひとりの健康に配慮し、1人暮らしの高齢者に定期的にお届けする機会も多いことから、見守りの役割も担っています。
また、高齢者の生活の安心安全を確保するために必要なことは、普段から地域の活動を通して健康状態を確認する機会を設けておくこと、病気になったときや介護が必要になったときに受けられる支援の確認や準備、災害が起こったときの避難への備えや家庭での備蓄などを行っておくことです。
子どもがいなかったり、日常において会話する機会がなかったりすると、地域で行われている活動や支援の情報も得られず、相談することも難しくなります。毎日の生活において会話がほとんどない高齢者は、漠然と自分の将来に起こりうるかもしれないできごとについて不安を抱えてしまうのかもしれません。
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日本の総人口は、2019年10月1日現在、1億2,617万人となっています。65歳以上人口は、3,589万人となり、総人口に占める高齢化率は28.4%となっています。
2017年に国立社会保障人口問題研究所が公表した日本の将来推計人口によると、日本の総人口は、長期の人口減少過程に入っており、2029年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、2065年には8,808万人になると推計されています。
総人口が減少する中で、65歳以上が増加することにより高齢化率は上昇を続け、2036年に33.3%で3人に1人となります。2065年には38.4%に達して、人口のおおよそ2.6人に1人が65歳以上となる社会が到来すると推計されています。
日本の平均寿命は、2018年には男性81.25歳、女性87.32歳です。今後、男女とも平均寿命は延びて、2065年には、男性84.95歳、女性91.35歳となります。
あるアンケートによると高齢者の日々の生活の不安について、1番多かった回答は、健康や病気のことです。続いて、寝たきりや体が不自由になり介護が必要な状態になること、自身などの自然災害、生活のための収入となっています。
高齢者の生活では、病気などで健康が損なわれること、介護が必要になること、自然災害で被害を受けることなど、これから自身に何かが起こることへの不安が大きいことが見受けられます。何か起こってからの対応では、今の不安を軽くすることは難しく、普段から自身に何かあったときに備える環境をつくっておくことが大切です。
高齢者の不安を軽減するサービスのひとつとして、宅配食は高齢者ひとりひとりの健康に配慮し、1人暮らしの高齢者に定期的にお届けする機会も多いことから、見守りの役割も担っています。
また、高齢者の生活の安心安全を確保するために必要なことは、普段から地域の活動を通して健康状態を確認する機会を設けておくこと、病気になったときや介護が必要になったときに受けられる支援の確認や準備、災害が起こったときの避難への備えや家庭での備蓄などを行っておくことです。