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2021年02月27日

【エネルギー生産】電子伝達と酸化的リン酸化


 真核細胞では、NAD⁺とフラビンはミトコンドリア内部のマトリクスで還元され、これに接する内膜でO2により再酸化されます。





 NADH+H⁺+1/2O2→NAD⁺+H2O





 ΔG=−52.5kcal(pH7.0)





 この反応の酵素系を電子伝達系といいます。多数の電子伝達体が還元、再酸化を繰り返してO2に電子を運びます。





 NADHのO2による酸化の自由エネルギー変化は大きいので、ATPがいくつも生成します。NADHの酸化に共役するATP生産を酸化的リン酸化または、呼吸リン酸化といい、ミトコンドリア内膜の酵素系で行われます。





 ミトコンドリアでのリン酸化は、すべて無機リン酸をADPに取り込みATPにします。





 ADP+H3PO4→ATP+H2O





 この反応は、エネルギーを必要とする反応です。ΔGは、標準状態で+7.3kcal/mol、生理的条件下では+12.0kcal/molに達するとされています。





 ぶどう糖1分子が解糖過程でピルビン酸2分子になるとATPが2分子できます。さらにピルビン酸2分子がTCAサイクルで酸化されればATP30分子が生成します。そのほかに乳酸に還元されなければ細胞質にNADHが残っており、結果として解糖、TCAサイクル、電子伝達と酸化的リン酸化でATP36〜38分子が生じることになります。



電子伝達


 原核細胞では、NADHと還元型フラビンの再酸化は形質膜で行われますが、真核細胞では、NAD⁺とフラビンはミトコンドリア内部のマトリクスで還元され、これに接する内膜でO2により再酸化されます。





 NADH+H⁺+1/2O2→NAD⁺+H2O





 ΔG=−52.5kcal(pH7.0)





 この反応の酵素系を電子伝達系といいます。多数の電子伝達体が還元、再酸化を繰り返してO2に電子を運びます。





 NADHのO2による酸化の自由エネルギー変化は大きいので、ATPがいくつも生成します。NADHの酸化に共役するATP生産を酸化的リン酸化または、呼吸リン酸化といい、ミトコンドリア内膜の酵素系で行われます。



jonathan-sebastiao-Zctb_j4dsUA-unsplash.jpg



 ミトコンドリアにはユビキノンが存在し、動物組織ではイソプレン単位10個のCoQ10です。長い脂肪族側鎖のために脂溶性で、ブタノールなど有機溶媒でミトコンドリア内膜から容易に抽出されます。こうすると基質から酸素への電子伝達が阻害されますが、CoQ10を添加すれば回復します。





 CoQは、電子伝達系の重要な補因子で、NADHデヒドロゲナーゼ、スクシネートデヒドロゲナーゼ、グリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ、アシル-CoAデヒドロゲナーゼなどの酵素のフラビン補因子から電子を受け取ります。





 また、CoQ10は高い抗酸化作用があり、活性酸素の除去に使われ、あるいは抗酸化力を失ったビタミンEを再生する働きもあります。



酸化的リン酸化


 生物が有機化合物を分解する重要な目的のひとつは、成長発育のためのエネルギーの獲得です。糖質が嫌気的に分解して乳酸になるとき、糖分子のエネルギーの一部はATPとして保存されます。





 しかし、ぶどう糖分子の利用されうるエネルギーの90%以上は、ピルビン酸がTCAサイクル(トリカルボン酸サイクル/クエン酸サイクル)でCO2とH2Oに酸化されるときに放出されます。このサイクルで生成する高エネルギー化合物はスクシニル-CoAだけで、これはスクシニル-CoAシンテターゼ(スクシネートチオキナーゼ)という酵素の作用で、GDPをGTPに変えます。





 生体が高エネルギー化合物を生産する反応には、2種の機構があります。ひとつは、基質レベルのリン酸化で、基質がまずリン酸化またはチオエステル化され、次いでこれがATPを生成します。一例としては、解糖系で1,3-ビスホスホグリセリン酸やホスホエノールピルビン酸が生成し、これがADPと作用してATPをつくる反応、TCAサイクルでスクシニル-CoAができる反応などがあります。





 1937年にソ連とアメリカの研究者は、筋ホモジネートでピルビン酸が酸化されるときにリン酸化が起こることを観察しました。当時ピルビン酸の酸化過程は、まだ明らかにされていませんでしたが、ホモジネートによって酸素が消費され、同時に無機リン酸がエステル化されてヘキソースリン酸となりました。この反応をO2のない条件で行うと酸化もリン酸化も起こりません。すなわち、糖をリン酸エステル化する反応は、酸素を消費する生体酸化反応に依存します。





 いくつかの重要な発見により、酸化的リン酸化が簡単に研究できるようになりました。まず、1948年には、単離したネズミ肝ミトコンドリアでTCAサイクルの中間体の酸化に共役して酸化的リン酸化が起こることを示しました。今日では、ミトコンドリア内膜でリン酸化が起こることが知られています。細菌では、細胞膜でリン酸化が起こります。





 ミトコンドリアでのリン酸化は、すべて無機リン酸をADPに取り込みATPにします。





 ADP+H3PO4→ATP+H2O





 この反応は、エネルギーを必要とする反応です。ΔGは、標準状態で+7.3kcal/mol、生理的条件下では+12.0kcal/molに達するとされています。





 電子がNADHからO2に流れるときにミトコンドリア膜内外にプロトン(H⁺)濃度勾配が形成されます。プロトンは、ミトコンドリア内膜を通過できず、電子伝達系がプロトンを使うときは内部のものだけを用い、プロトンを放出するときは膜間スペースに放出するように内膜の諸酵素が配置されています。こうして、NADHの酸化に伴いミトコンドリア内部のプロトン濃度は低く、外部は高くなり、膜の両側にプロトンの濃度勾配ができます。





 プロトン濃度勾配はpH勾配であり、膜内外の電位差を伴います。このプロトン濃度勾配がATP合成の原動力で、呼吸酵素系に電子が流れるときにつくられ、ATP合成で消滅します。





 ATPはいったん合成されるとADP+リン酸との交換で細胞質ソルに運び出されます。ミトコンドリア膜には選択性があり、オキサロ酢酸、NAD⁺、NADH、CoA、アセチル-CoAなどは透過できないのに対し、ATPとADP+リン酸とが交換できるのは、内膜にふたつのキャリアー系があるからです。ひとつは内膜のアデニンヌクレオチドトランスロケーターという内在たんぱく質で、膜の内外に貫通しています。このたんぱく質は、膜外面にはADP結合部位、膜内面にはATP結合部位があり、互いに反対側へ移送させますが、GDP、GTP、AMPなどほかのヌクレオチドとは一切反応しません。もうひとつはリン酸キャリアーという輸送たんぱく質で、H2PO4⁻とH⁺を一緒にミトコンドリアのマトリクス内部に運び込みます。





 ぶどう糖1分子が解糖過程でピルビン酸2分子になるとATPが2分子できます。さらにピルビン酸2分子がTCAサイクルで酸化されればATP30分子が生成します。そのほかに乳酸に還元されなければ細胞質にNADHが残っており、結果として解糖、TCAサイクル、電子伝達と酸化的リン酸化でATP36〜38分子が生じることになります。



まとめ


 真核細胞では、NAD⁺とフラビンはミトコンドリア内部のマトリクスで還元され、これに接する内膜でO2により再酸化されます。





 NADH+H⁺+1/2O2→NAD⁺+H2O





 ΔG=−52.5kcal(pH7.0)





 この反応の酵素系を電子伝達系といいます。多数の電子伝達体が還元、再酸化を繰り返してO2に電子を運びます。





 NADHのO2による酸化の自由エネルギー変化は大きいので、ATPがいくつも生成します。NADHの酸化に共役するATP生産を酸化的リン酸化または、呼吸リン酸化といい、ミトコンドリア内膜の酵素系で行われます。





ミトコンドリアでのリン酸化は、すべて無機リン酸をADPに取り込みATPにします。





 ADP+H3PO4→ATP+H2O





 この反応は、エネルギーを必要とする反応です。ΔGは、標準状態で+7.3kcal/mol、生理的条件下では+12.0kcal/molに達するとされています。





 ぶどう糖1分子が解糖過程でピルビン酸2分子になるとATPが2分子できます。さらにピルビン酸2分子がTCAサイクルで酸化されればATP30分子が生成します。そのほかに乳酸に還元されなければ細胞質にNADHが残っており、結果として解糖、TCAサイクル、電子伝達と酸化的リン酸化でATP36〜38分子が生じることになります。



posted by Kaoru at 06:29| Comment(0) | TrackBack(0) | トピックス
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