2021年01月31日
【香気成分】極めて閾値の低い「ソトロン」
香気成分ソトロンは、黒砂糖の芳香成分、カラメルの香り、焦げた香りとしては認識されていませんでした。その理由は、閾値(においが感じられる最低限の濃度)が0.001ppb(10億分の1)と極めて低く、閾値近傍では甘い焦げ臭ですが、濃度が高まるにつれ、しょう油様、たんぱく質分解様とにおいの性格が変化し、濃度と食品の種類によって嗜好性を高めたり、不快臭となったりする性質があるからです。
しぼりたての清酒は、発酵に由来する果実様の香りや麹に由来する香りが豊かで、少量の炭酸を含み、非常にフレッシュに感じられます。しかし、最適な熟成期間を過ぎてなお貯蔵を 続けると過熟となり、その香りは老香(ひねか)と呼ばれます。 老香は、一般的には食品における経年劣化や化学変化、異物の混入による食品の品質劣化によって生じる異臭を意味するオフフレーバーと捉えられることが多いですが、一方で意 図的に熟成を進ませた清酒をつくる酒造メーカーがあり、その香りは老香ではなく、熟成香と呼ばれます。
老香と熟成香は、何が違うのでしょうか。ある研究結果によると、老香指摘の多い清酒は多硫化物が相対的に多く、貯蔵期間の長い長期熟成酒は特にソトロンが相対的に多い傾向がみられました。ソトロンは閾値よりも含有量が多いため、長期熟成酒の香りを特徴付ける主要成分であると考えられます。
老香と長期熟成酒の熟成香で香気成分組成に違いがみられる原因としては、それぞれの香気成分の生成速度の違いなどがあげられます。老香の主成分である多硫化物は、比較的短い貯蔵期間で生成します。一方、熟成香のソトロンは、ゆるやかに酸化が進行し、糖質とアミノ酸のメイラード反応が促され、生成します。 このことは、色調が濃く変化することからも明らかです。
香気成分ソトロンは、 肉汁様の香気を与える物質として合成され、あるいは清酒の老香(ひねか)の原因物質として見出されていましたが、黒砂糖の芳香成分、カラメルの香り、焦げた香りとしては認識されていませんでした。その理由は、閾値(においが感じられる最低限の濃度)が0.001ppb(10億分の1)と極めて低く、閾値近傍では甘い焦げ臭ですが、濃度が高まるにつれ、しょう油様、たんぱく質分解様とにおいの性格が変化し、濃度と食品の種類によって嗜好性を高めたり、不快臭となったりする性質があるからです。
しぼりたての清酒は、発酵に由来する果実様の香りや麹に由来する香りが豊かで、少量の炭酸を含み、非常にフレッシュに感じられます。その後、通常の製品では火入れされ、半年から1年程度の貯蔵期間を 経て出荷されます。この間に、火入れ直後にあった火冷め香と呼ばれるガス様の生臭い香りが減少するとともに、落ち着いた香りへと変化します。
しかし、最適な熟成期間を過ぎてなお貯蔵を 続けると過熟となり、その香りは老香と呼ばれます。従来老香は、香りの特性から複合香といわれており、木の実様、カラメル様、多硫化物などの特性が混合したものと考えられていました。これらの特性に関わる香気成分は、清酒の貯蔵中に起こる、酸化、加水分解などと言ったさまざまな化学反応によって生成します。 これら貯蔵により増加する成分のうち、カラメル様のにおいを呈するソトロンは、数年〜数十年貯蔵した清酒中の含有量が、閾値を上回ることが確認されています。したがって、ソトロンは貯蔵した清酒の香りに大きく関わっていると考えられます。
老香は、一般的には食品における経年劣化や化学変化、異物の混入による食品の品質劣化によって生じる異臭を意味するオフフレーバーと捉えられることが多いですが、一方で意 図的に熟成を進ませた清酒をつくる酒造メーカーがあり、この清酒を好む消費もいます。熟成酒をつくるメーカーの団体では、満 3 年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒を長期熟成酒あるいは熟成古酒と定義しており、長いもので 30 年 程度熟成させた清酒が市販されています。長期熟成酒の場合、その香りは老香ではなく、熟成香と呼ばれます。
老香と熟成香は、何が違うのでしょうか。ある研究結果によると、老香指摘の多い清酒は、多硫化物が相対的に多い傾向がみられました。一方、貯蔵期間の長い長期熟成酒は、老香指摘の多い清酒に比べ熟成香成分全体が多いですが、特にソトロンなどのカルボニル化合物が相対的に多い傾向がみられました。ソトロンは閾値よりも含有量が多いため、長期熟成酒の香りを特徴付ける主要成分であると考えられます。
糖質とアミノ酸によるメイラード反応とそれに伴うストレッカー分解では、ソトロン、 フルフラール、アルデヒド類といったカルボニル化合物やピラジ ン類などが生じます。多硫化物の生成機構は、まだよく分かっていませんが、含硫化合物の分解や酸化によって生成すると推定されます。
清酒にソトロンを添加した場合、専門家による官能評価の結果は、カラメル臭、焦げ臭、カレーの香気と表現されています。老香と長期熟成酒の熟成香で香気成分組成に違いがみられる原因としては、それぞれの香気成分の生成速度の違いなどが考えら れます。カルボニル化合物の生成に関与するメイラード反応には長い時間が必要と考えられます。一方、比較的短い貯蔵期間で、多硫化物は生成します。
長期熟成酒の香りは熟成香と呼ばれ、珍重されています。貯蔵5年の長期熟成酒は、香り成分量が多い上、糖質とアミノ酸のメイラード反応などからできるソトロン、フルフラール、アルデヒド 類といったカルボニル化合物が増加しています。フルーティーな香りを持つコハク酸ジエチルなどのエチルエステルは増加しており、エステルの組み替えが起きているようです。
貯蔵期間が長くなるにつれ、相対的にソトロンやコハク酸 ジエチルが多くなり、多硫化物は少なくなるようです。特に黒砂糖の芳香成分であるソトロンは閾値を越える濃度で存在し、 ドライフルーツ、ナッツ、カラメル様と表現される長期熟成酒の主要成分と考えられます。
長期熟成は多くの場合、ゆるやかに酸化が進行し、糖質とアミノ酸 のメイラード反応を促し、それが香気成分生成の要因となっています。 このことは、色調が濃く変化することからも明らかです。清酒は、たんぱく質やアミノ酸、糖質を多く含む 醸造酒であり、穏やかに酸化熟成すると熟成香を持つ長期熟成酒ができあがります。
香気成分ソトロンは、黒砂糖の芳香成分、カラメルの香り、焦げた香りとしては認識されていませんでした。その理由は、閾値(においが感じられる最低限の濃度)が0.001ppb(10億分の1)と極めて低く、閾値近傍では甘い焦げ臭ですが、濃度が高まるにつれ、しょう油様、たんぱく質分解様とにおいの性格が変化し、濃度と食品の種類によって嗜好性を高めたり、不快臭となったりする性質があるからです。
しぼりたての清酒は、発酵に由来する果実様の香りや麹に由来する香りが豊かで、少量の炭酸を含み、非常にフレッシュに感じられます。しかし、最適な熟成期間を過ぎてなお貯蔵を 続けると過熟となり、その香りは老香(ひねか)と呼ばれます。 老香は、一般的には食品における経年劣化や化学変化、異物の混入による食品の品質劣化によって生じる異臭を意味するオフフレーバーと捉えられることが多いですが、一方で意 図的に熟成を進ませた清酒をつくる酒造メーカーがあり、その香りは老香ではなく、熟成香と呼ばれます。
老香と熟成香は、何が違うのでしょうか。ある研究結果によると、老香指摘の多い清酒は多硫化物が相対的に多く、貯蔵期間の長い長期熟成酒は特にソトロンが相対的に多い傾向がみられました。ソトロンは閾値よりも含有量が多いため、長期熟成酒の香りを特徴付ける主要成分であると考えられます。
老香と長期熟成酒の熟成香で香気成分組成に違いがみられる原因としては、それぞれの香気成分の生成速度の違いなどがあげられます。老香の主成分である多硫化物は、比較的短い貯蔵期間で生成します。一方、熟成香のソトロンは、ゆるやかに酸化が進行し、糖質とアミノ酸のメイラード反応が促され、生成します。 このことは、色調が濃く変化することからも明らかです。
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