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2020年05月16日

【ネタバレあり】『DEATH NOTE』を語る・夜神月の台詞編2

夜分遅くに今晩は。
最近、本ブログへのアクセスが少々増えて地味に喜んでおります、「暇人の独り言」管理人です。





趣味ブロガーを始めたばかりの頃は、3桁のアクセスが来るなどとは思いもよりませんでしたが、ここのところはそれが連続していて、何とも言えない嬉しさがあります。





更新するのは大変だけど、折角だからもう少し、ぼちぼち続けていこうかな。















さて、今回の記事では、『DEATH NOTE』の主人公夜神月(やがみ ライト)の台詞語りを完結させることとします。





以前の記事にて、ライトが宿敵の名探偵L(エル)を葬った第1部までは語り終えたので、こちらでは第2部開始から最終盤までの台詞を挙げました。





当然ネタバレありなので、閲覧には御注意を。















「もっと徹底的にやっておくべきだったか?… いや それでは父も含め日本警察を壊滅させることに……………… キラは警察にも認められ助け合い 悪に立ち向かう立場にならなくてはならない…



警察庁長官が誘拐され、その解放の条件としてデスノートを渡すよう犯人に要求されたことから、「キラ捜査本部の中にノートの存在を外へ漏らした者がいる」との話題が出た際の胸中。
真っ先に疑われたのは口の軽い松田だった





法律によらず手前勝手に犯罪者を処刑すること程、警察の存在意義を否定する行いもそうはないはずですが…
こんな思考を真顔で働かせられる点からも、正気というものを持ち合わせていないことが読み取れます。













なお、ライトは人質にされた警察庁長官をキラとして始末したものの、今度は妹の粧裕とデスノートの交換を迫られました。
そんな粧裕を救うため、誘拐犯にしてLの後継者候補メロとの駆け引きに臨むこととなります。





さらに誘拐事件に対応する中で、メロと同じくLの後継者候補にして、キラ対策機関(略称SPK)のリーダーであるニアとも接触。
L亡き世界で、Lを継ぐ者達とキラとの戦いが幕を開けました。















「キラは殺人犯だが 正義を気取っている…」



キラについて、捜査本部内で他人行儀に語ってみせた台詞。
リュークが「きどって…」と小さくこぼしているのがツボにはまります。










これより少し前には自宅において、「確かに悪い事さえしなければ… いや 善人にとっては いい世界に変わってきた そう安易に考えてしまう人もいるだろうな…」とも発言していました。



こちらでも、リュークの「ククク よく言うよ」との胸中が面白いです。















「…………………………レムの方が生きてれば良かったのにな…」



複雑に所有者が変わり続けたデスノートについて、所有権は誰にあるかとリュークに質問したところ、碌に説明できなかった彼に対しての一言。



自分が狙ってレムを死なせておいて、この言い草。
身勝手もいいところですが、独善的な大量殺人犯に似合いと言えば、似合いと言えましょうか。















「馬鹿な事を言うな 父さんは それで満足かもしれないが 残された者は どれだけ辛い思いをするのかわかってるのか!!」



「私の命と引き替えでもいいから粧裕だけは」と口にした総一郎への返答です。
さらに「粧裕の目の前で父さんが死ぬ様な事だけは絶対に駄目だ」として、必ず父娘両方が生き残る選択をするよう説いています。



また、粧裕が誘拐されたと分かった時には、彼女がメロに殺されないよう捜査本部だけでの行動を呼びかけた上、リュークから「さすがに おまえも 妹は かわいいんだ?」と言われても全否定することはありませんでした。









さらに、取引の後に総一郎と粧裕の無事を確認したコマでは「粧裕… 父さん…」と僅かに安堵したような気配があったり、メロから「娘の命が惜しかったら お前らがLとして仕立て上げたのが誰なのか言え」との要求をされると、自分の名を知られる危険ゆえ回答に詰まりながらも「答えなければ粧裕と父が…」と焦りを持つなど、一応は家族への愛情を失っていない節も見て取れます。





…と言いつつ、粧裕とデスノートの交換が近付いた場面では「いざとなれば粧裕を… それで取引は…」との想いも一瞬頭をかすめていたり、未遂になったとはいえ「ここで粧裕が死んだらキラは数人に絞られる」が主な理由であったりと、危なっかしい部分もありましたが。










余談ながら、解説本の記事『夜神月の脳内新世界』では、ライトが考える人類のヒエラルキーが掲載されていました。
同記事では、ライトは階層の上位に位置する「善良な人々」のために新世界を創ろうとしたとされ、その具体例として総一郎や、母親の幸子が挙げられています。



さらにその1つ上に「愛すべき者」があり、これには粧裕が該当しているようです。
ちなみにヒエラルキーの頂点は「神!」こと自分










…しかし本編中、その家族達は誰一人、キラを肯定することはありませんでした。
性分が生真面目な上に職業が刑事である総一郎は言わずもがな、そんな彼を大切に思っている粧裕や幸子とて、総一郎を振り回す犯罪者を認めるはずがないので、分かり切った話ではありますが。





「世界の影のトップ」である名探偵Lに、知恵比べで喧嘩を売れる程の超天才が、かように単純な話を見誤ったとは、何度思い返しても皮肉なものだと感じます…















「…悔しいが 熱くなっては駄目だ Lの時は 少し感情的に なりすぎた その結果 かなりの所まで 追い詰められたのも確かだ…」



メロによる誘拐事件に限って捜査協力したニアから、「あなたには何も期待できないとはっきりした」と言われて殺意を覚えるも、Lとの戦いの経験から自制した一言です。





この後ライトは、誘拐犯の手がかりをニアから聞く代わりとして、デスノートのルールを一部教えます。
その際、癪だと思いつつも無能を装い、「どうすれば顔を見るだけでデスノートに人間の名前を書き込めるのか」を解き明かせていないかのように振舞ったのです。



死神との接触がなかったゆえに「死神の目」のことを知らなかったニアやメロには単純ながら効果抜群の演技であり、死神シドウがメロの元を訪れるまでは、「二人とも どうやって顔だけで殺せるのか ここで行き詰まる…」という目論見がしっかり奏功していました。










敵の挑発にすぐ乗せられ、自分が上だと相手に誇示したがる印象の強いライトですが、かつてLから仕掛けられた「キラしか知りえない事を言わないかテスト」でもボロを出さないために馬鹿の振りをした一幕はあり、取捨選択が巧みだと感じます。
最初にLの身代わり殺したのは選択ミスだったけども















「しかし いくら手段を選ばないにしても SPKを殺すというのが分からない… それではキラを追う犯罪者(キラ)でしかなくなる…」



ニアに対し「メロは あなたとLの座を争い キラを捕まえる為に 手段を選ばず ノートを奪ったという 考え方も できる」と語ってからの一言。



そう言うライト(キラ)は、犯罪者を殺す犯罪者でしかないわけですが…










この台詞と言い、後述する最終盤の演説と言い、ライトには自分の事を棚に上げる傾向も散見されます。















「キラの策に乗るのは癪だが 良い策だ…」



キラから『自分が素性を暴けたマフィアを葬るから 警察の手でメロ達からデスノートを奪い返せ 正義の為に力を合わせたい』と言われた」という状況のキラ捜査本部にて呟いた一言。





…こまごまと感想を述べようと思えばできますが、管理人の感想は要約するとリュークの台詞そのものなので、そちらを拝借してさっさと終わりにします。















リューク(って おまえがキラなんだし………… よく まあ 悪知恵が働くよ…)

















「やはり 松田さんはこういう性格 これで…」



メロからデスノートを取り返すため、「死神の目」を持つ役に捜査員の松田が名乗り出たのを見ての胸中。
周囲の者の人柄を把握し、当人達にそれと気付かせないまま自分の思い通りに行動させるのが得意なものだと感じさせる1コマです。





しかし直後、メロから利用されるため生かされているに等しかった総一郎が、目の取引を買って出ました。
これは流石のライトも想定外であったらしく、驚いた顔をしています。





松田を利用する気満々で、彼の名乗りに「計画通り」と言わんばかりの表情や台詞を見せた点と併せて考えると、ライトも実父を駒にすることには積極的ではなかったのかもしれません。










もっとも、「こうなると止めても… それに誰かが目を持たなければ…………… 次の策は進まない…」として、結局は総一郎に目の取引をさせるのですが。










父の意向を汲んだと言うべきか、これ幸いと利用したと言うべきか…
















「………… 父さんがノートに名前を書く様な展開になったら… ………… その時は… …………」



犯罪者であろうと ノートで人を殺さなければならない局面になった時… 父さんには できないだろう?」と総一郎に問いかけたところ、「殺す… そして その13日後に 私も死ぬ…」と彼が答えたことを受けて、脳内で巡らせた思考です。










結局、総一郎がデスノートでメロを葬ることはありませんでしたが…





もしも総一郎がデスノートでメロを殺し、なおかつ攻防から生きて帰って来れば、ライトが自分を潔白だと周囲に思わせるために捏造したルール「デスノートに名前を書き込んだ人間は13日以内に次の名前を書き込み 人を殺し続けなければ 自分が死ぬ」の嘘が暴かれていました。





言わずもがな、それはライトにとって、許してはならない展開です。





ならばここでライトが考えていたのは、総一郎がデスノートを使った場合、その13日後に…










…そんな憶測は、言わぬが花か。















「わかったよ 父さん 目の取引をするなら 父さんだ」


総一郎の名乗りを受け入れ、「死神の目」を持つ役を父に託した一言。
刑事局長の息子であることを活かしたという点では、序盤から十分に父親を利用していましたが、策の為の駒として総一郎を利用したのは、これが初めてでした。





ここでリュークから「ククッ ついに父親まで利用かよ?」との感想を抱かれているのが、なかなか重く響きます。















「父さん!父さん! 死ぬな バカヤローッ」


メロとのデスノートをめぐる攻防の中で、彼の仲間に銃撃されて亡くなった総一郎へ向けて。
涙ながらの絶叫は、メロを始末せずに散った事への憤りだったのか、それとも家族を失った事への本気の悲嘆だったのか…?





…などと判断に迷いたいところですが、ニアとの最終決戦の際には総一郎を利用した挙句死なせた件もさして意に介していなかったので、後者の可能性は薄いかもしれません。












ちなみにこの回のサブタイトルは『熱演』でした。
解説本でも、メロの仲間がキラの手によって殺されたフリをしていたことから取ったのか、総一郎の死にライトが涙したことから取ったのかは、定かにされませんでしたが…





ただ、原作者によると、「もし月の涙に演技が入っていたとしても、100%演技の涙では到底ないと思います」とのことでした。
演技が混ざってる可能性は否定されないのね















「キラを捕まえればキラは悪 キラが世界を支配すればキラは正義」


捜査本部にて「キラは完全に悪なのか」と議論になった際、「結果が全てになるくらいに考えるべきだ」と述べ、結びに口にした一言です。



この場面でライトは、「きっとキラも自分がやっていることが悪だと分かっている しかし自分が犠牲になってでも世の中を変えるのが真の正義と考えているんだろう」との本心見立てを語ったほか、内心にて「必ずキラが正義になる」との思いも巡らせています。





自らを「正義の裁きを下す者」と語って憚らなかった序盤に比較すると、少しばかり確信犯(悪いことではないと確信して行われる犯罪)から遠ざかった感もあります。





…が、それでもなお、そんな自分が「必ず正義になる」と確信して疑っていないので、狂いようは健在です。















「ふっ 女なんて簡単なもんだ」


犯罪者殺しの代理人に選んだキラ信者魅上照(みかみ てる)とコンタクトを取るため、彼からキラの代弁者として指名された女性アナウンサーにして大学時代の交際相手でもあった高田清美(たかだ きよみ)に電話をかけた際の内心です。



「僕は結構モテるんだよ」に続き、とりあえず腹立つ







ちなみに高田からは、第二のキラでもあった弥海砂(あまね ミサ)と今も仲良くしているのだろうと言われますが、これに対しては「彼女は僕のパートナーとしては 知性が足りなくて…………」と返答しました。





口元に手を添えているので小声で話したと思われますが、背後にいたリュークやキラ捜査本部の相沢がライトに視線をやったまま黙り込んでいる点を見ると、彼らも聴き取っていた可能性大です。



その2名が「知性が足りなくて」発言をどう思ったことやら、地味に気になります。










死神はともかく、人間は良い感情を持たないでしょうが。















「おまえは甘い… Lに はるかに劣る」


ニア達SPKと直接対面した最終決戦にて、自分の策が成功していると信じていた段階で、ニアについて抱いた感想。
Lなら必ず ノートが偽の可能性に気付き 試していただろう」と続き、かつて葬った宿敵を高く評価している胸中が、久しぶりに描かれた形となりました。





なお、同時に「人の命…悪人でいいじゃないか 一人や二人犠牲にして確かめるべきなんだ」とも考えています。


最早、デスノートの実験のために人を死なせて震えていた頃があったなどとは、信じられない位の変貌ぶりです。










ライトはニアの策について、「キラ捜査本部とSPKで集まったところに キラから場所を教えられた代理人の魅上が 現場にいる者達の名前をデスノートに書く そこを取り押さえ ノートに名前を書かれていない者が本家キラだと証明する」と見越していました。



さらにその策の実行にあたって、ニアがデスノートをただのノートとすり替えて来ることも予見。
そのためライトは本物のデスノートを奪われないよう、魅上にはただのノートを持ち歩かせ、最終決戦の日にだけデスノートを使うことを指示していました。










しかし、独自にキラを追おうとしたメロが高田を誘拐すると、魅上は高田を始末するために独断で動き、デスノートを使用してしまいます。





この一件でデスノートの在処を掴んだニア達によって、デスノートをただのノートにすり替えられたために、ライトの策が失敗に終わったのでした。










…Lに比べればニアが遥かに甘いのは確かですが、この場面に関しては、自分の策が失敗している可能性を毛程も考えず、挙句ニア達の死を確認せずに「ニア 僕の勝ちだ」と勝利宣言(=自白)までしたライトも、相当に甘かった気がします。















「そうだ 僕がキラだ」


魅上の失敗と自分の迂闊な勝利宣言により、自らがキラだと暴かれた際の一言。
ライトが自身を追う者…それもデスノートで死を定められた相手に対してではなく、健在している相手に向けてキラであることを明言したのは、この場面が最初で最後となりました。





ここに至ってもなお、ライトは自らを「新世界の神」と称し、キラについての演説を開始するのですが…















「人間は 幸せになる事を追求し 幸せになる権利がある しかし 一部の腐った者の為に 不意に いとも簡単に それが途絶える …事故じゃない 腐った人間が生きている事による必然」



「悪は悪しか生まない 意地の悪い人間が悪事を行い 世に はびこるならば 弱い人間は それを習い 自分も腐っていき いつかは それが正しいと 自分を正当化する 悪は… 腐った者は… なくすしかない」



「幸せになる権利 それは皆に平等にある いや なくてはならない それは 他の人間を攻撃したり 陥れたり ましてや殺す事で得るものではない 互いの幸せの邪魔をする事なく 互いの権利を尊重し 個々の幸せを求めていくのが 人間同士のあるべき姿」





キラが正義だと訴えた演説の中から、一気に3つを抜粋してみました。
各々が長台詞だけれども










…一言でまとめると、「美しい理想を語ってはいるがキラの言えた台詞ではない」に尽きます。





理由を列挙すると、下記の通り。






FBI捜査官のレイ=ペンバーや、その婚約者である南空ナオミ等の無辜の者達を殺して、彼らとその周囲の人々が幸せになる権利をいとも簡単に断ち切っている





「犯罪をなくす」と言いながら犯罪者を殺す犯罪者として世界に蔓延ったせいで、「それが正しい」と感化されて腐る賛同者を生み出している





「他人を殺して幸せになるものではない」と言っていながら、過去にはデスノートを手に入れて他人を殺せるようになったことを「最高に幸せ」と言い放っている










…こうして見てみると、自画自賛をしているようでいて、実は自己否定しているような。















「ノートを手にした時 思った 僕が やるしかない いや… 僕にしか できない 人を殺すのが犯罪なんて事は分かっている しかし もう それでしか正せない いつか それは認められ 正義の行いとなる」



・「僕が キラとして やるしかない これは僕に与えられた使命 自分は この腐った世の中を革め 真の平和・理想の世界を 創生する為 選ばれた人間」



・「このノートで… 他の者にできたか? ここまでやれたか? この先 できるか? ノートひとつで世界を…人間を 正しい方向へ導けるか? 私利私欲の為にしか使えない 自分の為にしか使えない 馬鹿な器の小さな人間しか いないじゃないか 僕は 自分の利益など 一度も考えた事はない 弱者に自分の思想を植えつけ 金儲けをしている悪党とは 全く違う そういう悪党こそ 世の中の敵なんだ」






キラについての演説が熱を帯び出した部分の台詞を3連発。
独り善がりな発想と、「自分よりも悪い奴はいるだろう」と騒いで周囲の矛先を変えさせようとする口ぶりは、とても正義の味方を名乗って良い人間のものではありませんでした。



如何に崇高な志を語ったところで、犯罪者の辿り着く境地はやはりこういうものか…










余談ですが、自分が突かれている時に直接関係のない他者をこき下ろしてやり過ごそうと姑息な言い訳をするちゃちな輩は、2020年5月現在、現実の世界で掃いて捨てる程目にします。



それらもキラと同じ…










…と、言いたいところですが、キラは犯罪者とはいえ、戦争をなくして世界の犯罪を7割減らした面がありました。



本編では徹頭徹尾敵対していたニアでさえ、連載終了後に発表された特別読切においては、「キラを認めるわけではない」と前置きしながらも同じ事実に言及しているくらいなので、この部分だけは確かな美点と言って差し支えないでしょう。










それと比べると現実世界のちゃちな輩は、まさに私利私欲の為、自分の為にしか動かない、馬鹿で器の小さい人種が目に付きます。
キラのような僅かな美点さえない、百害あって一利なしの連中が大手を振って歩いていると、ライトでなくとも「世の中 腐ってる」と感じるし、何とかメスを入れてやりたいとも思います。















…だからと言って、キラが正義だとは、言えたものではありませんが。















「人間には明らかに死んだ方がいい人間がいる 害虫は殺せるのに 何故 害のある人間を殺すのを悪とする」



演説の台詞の一部分。
手前勝手な殺人は論外ですが、犯罪者への刑罰として止むを得ない場合にと用意された死刑制度だけは廃止したりせず、これから先も残し続けてもらいたいものです。





その意味で、この言葉の字面にだけは同意できます。










キラにこの台詞を言わせると、『害のある人間』には『キラを捕まえようとする人間』も含まれること確実なので、頷く訳にはいきませんが。















「言ってもわからぬ馬鹿ばかり…」



キラはただの人殺し」として、自身の主張に同意しなかったニア達に対しての所感。
解説本でもライト語録として挙げられ、「キラの力による増長で当初の理念は完全に見失ってしまっている」と評されました。





リュークも最初に「性格悪いのお前だけになるぞ」と予言していましたが、それが見事に的中した形となっています。





もっとも、直接手を下さず人を殺せるなどという力を手にして驕りを抱いてしまうのは、非常に悪い意味で実に人間らしいですが…















「馬鹿野郎ーっ!! 松田 誰を撃ってる!? ふざけるなーっ!!」


不意を突いてニアを殺そうとしたところ、キラを否定し切れていなかったはずの松田から銃撃されての叫び。
人前で冷静さを保ってきたライトが怒りを露わに取り乱す様には、かなりの迫力がありました。





ライトは松田に「撃つなら 僕以外の人間を撃て!!」と怒鳴ったものの、彼が一心に敬っていた総一郎の死すら歯牙にもかけない態度を取ったために、さらに銃弾を浴びせられ、重傷を負わされます。





助けを求めようにも、魅上はニア達に捕縛されている上にデスノートも偽物とすり替えられており無力、ミサはその場にいないのに加えてデスノートを放棄させておりこれまた戦力外、高田は用が無くなったとして自分が始末済みと、協力者も尽きた状態。





忠実な手下であった魅上から「あんたは神なんかじゃない クズだ」と罵られ、長らく容易に欺き振り回して来た捜査本部の面々から「大量殺人犯 夜神月」と呼ばれつつ、銃撃された身体で這って逃げようとするライトの姿に、神算鬼謀を以って暗躍した「新世界の神」の面影はまるでありませんでした。















「ざぁまぁーみろ ニア おまえは僕を とっとと殺すしかなかったって事さ しかし リュークが 名前を書くと言った以上 もう誰にも止められない 手遅れだ おまえらは必ず死ぬ!!」



キラ捜査本部の面々やニア達SPKの名前をデスノートに書くようリュークに頼んだ後、「ああ… 書こう」という応答を得ての言葉。





物言いが明確に100%邪な悪党のそれであり、浮かべている笑顔も実に汚いものでした。
これじゃネットで顔芸とか何とか言われるはずだ















しかし、リュークがデスノートに書いていた名前は…















「し… 死ぬのか!? 僕は死ぬのか!!」


リュークのデスノートに、自分の名前が書き込まれた事を視認しての一言。
これまで幾人もの人間を殺めて来たライトも、ついにやって来た自分の最期には「死にたくない」と連呼します。










しかし、一度デスノートに名前を書き込まれた人間の死は、どんなことをしても取り消せない運命。
それを最もよく知っている人間もライトであるだけに、恐怖感や絶望感はひとしおであることでしょう。















「うわーっ 死にたくない!! 逝きたくないー」


最期の瞬間が目と鼻の先に迫っての、涙ながらの台詞。
大量殺人犯の口から出たと思うと虫がいいことこの上ないものの、命ある者なら誰しも持っていておかしくない想いであり、叫びたくなって当たり前の内容です。





この言葉が出たことからは、数え切れない命を奪ったライトにとってさえ、『死』とは忌避したいものであり、それと同時に『生』とは良いものだったのだと見受けられます。















もっとも、かつて自らが述べた「デスノートに狂いなし」は相変わらず。










この直後、とうとうその心臓は止まりました。















「ち ちくしょう…………」


心臓麻痺を起こし、地に沈みながら呟いた、生涯最後の言葉。
後に残された亡骸は盛大に痛み切ったもので、生前の美形が見る影もない有様でした。










その死から1年後、まるでキラなど最初から存在しなかったかのように、世界は元通りになります。
なおもキラを崇めてやまない信者達の存在も描かれていますが、解説本では「空虚な祈り」と評されるのみでした。










…もしもキラ信者達が、「腐った者」によって不当に傷付けられ、救いを求める罪無き人々であるのなら、どうかその祈りは報われてほしいものだと思います。










もちろん、犯罪者を殺す犯罪者のような存在によってではなく、法律のような真っ当な手段によって。















…それが一番、難しいことかもしれませんが。















番外・デスノートの記憶を飛ばした夜神月の台詞を語る






ここからは番外編として、デスノートを放棄することでそれにまつわる記憶を飛ばした時期における夜神月の台詞を語ってみます。



もちろんライトがそうして記憶を失ったのも、キラとしての作戦の内。
『第三のキラ』を捏造して、Lから逃れるための手段に過ぎませんでしたが…





それでも、デスノートを手放してから『第三のキラ』を捕らえるまでの僅かな間は、裏表もなければ歪みもない、父親そっくりの真っ当な正義感に満ちた言動を見られるので、興味深いものがあります。
L「やはり 何かが おかしい 性格が変わったとしか…」










選んだ数はさして多くないかと思いますが、綺麗になったL側に付いたライトの台詞を見ていきましょう。















「ズームにでも なんでもして 僕の目を見てくれ! これが嘘をついている人間の目か? 竜崎 早く出してくれ!」



デスノートの記憶を失ったライトが、自分は無実だと牢の中からLへ訴えた一言。
刑事局長を父に持つ大学生たる者、犯罪者であろうと潔白であろうと、目では証明にならないことを知らないはずもないのですが…





とは言え、まるで小学生のようなこの物言いには、純真さが強く感じられます。










解説本では「ライトの常套手段」と評されると共に、「ライトがデスノートを手にしていなかったらこうなっていたという表現でもある」と説明されました。















「父さん ミサの言う通りだ ここで死んでも 真相は何もわからないままだ だったら まだ 逃げた方がいい その間に真相がわかる事もある いや 逃げながらでも 真相をつかんでやる」



Lの命令に従い、キラとされたライトを殺して自分も死ぬと言い放った総一郎への言葉。
デスノートを拾う前の姿からも結び付かない位の熱血漢全開な台詞は、キラとしてのライトの言葉よりも清々しいです。










ちなみに総一郎はライトを殺す気満々の発言をしていましたが、実際はLの命令で、ライトを殺す振りをしただけでした。
数多の人間を欺く程に演技上手なライトでさえ、突き付けられた拳銃が空砲だったと見せられるまでは真に受けていた上、Lからも「迫真の演技でした」と評されています。





ライトの演技力の高さは、父親譲りだったのかもしれない。















「悪いが 分かってくれ 人の好意を踏みにじる様な事は 僕の中で一番許せない 憎むべき行為なんだ」




「ミサに本気であるように振舞って解明の糸口を」と持ち掛けて来たLを、「いくら キラ事件解決の為とはいえ 女性のそういう気持ちを利用するなんて 僕には できない」と一蹴しながら。



キラとしてのライトはその憎むべき行為を平然とやってのけていますが、この時のライトはデスノートと全く関わりのない状態で話しているため、完全に本気でこの言葉を口にしていると見て良さそうです。





この後も、Lは捜査上で必要に迫られてミサを動かしにかかりますが、ライトはその度「ミサが危険」として、異を唱えていました。





こんな綺麗なライトが、キラとしての自分の所業を見せつけられたら、どう思ったことだろうか…















「必ず死刑台に送ると TVで キラに言い放ったのは誰だ!? 警察官 FBI捜査官 アナウンサー 罪のない人間を何人巻き込んだと思ってる!?」



ライトがキラでないかのような展開を辿ったことで、キラ捜査への意欲を失い始めたLの顔面をぶん殴っての一言。



キラ側としてもL側としても知恵に任せて活躍するライトが実力行使に及んだのは、この時と後述のシーン位のもので、大変に貴重です。
ライトを慕うミサが愕然としているのも、よく分かります。










なおLは、この叱責には理解を示しつつも「どんな理由があろうとも 一回は一回です」と言いながら、ライトに足蹴りを返しました。



自らを幼稚で負けず嫌いと認めるLには、相応しい反応だと感じます。















「ミサのかわいさがあれば きっと うまくいく」


ドジを踏んだ松田を救うためにミサの手が必要となった状況で、彼女本人にさらりと言った台詞。





ブタ…















…もとい、人を煽てるのが病的に上手いのは、デスノートに関わらなかったとしても同じだったようです。















「この僕が 今 存在するキラを捕まえた その後で…キラに… 殺人犯になると思うか? そんな人間に見えるのか?」



Lの推理を見破り、父をはじめとするキラ捜査本部の前で堂々とそれを解説しての問いかけ。





Lから抱かれていた疑いは「今の夜神月は キラであることをしらばっくれているか 他人にキラの能力を渡して 自分がキラだった自覚を失っているが 後者だとしてもキラの能力を取り戻し Lの座を奪った上でのキラになる」といった内容です。





キラとしてのライトが練った計画を一切の見誤りなく言い当てているわけですが、キラではなくなっているこの時点のライトにとっては不快な疑念だったと見え、Lの両肩を掴みながら、こう問い詰めました。















ちなみにLからの答えは、「思います 見えます」の一言。















もちろん両者共に手と足が出ました。
まあ実際Lが正しかったししょうがない










ところでネット上では、「キラとしてのライトが記憶を失った自分すら駒としたのが凄い」といった意見を見たことがありますが、言われてみるとまさにその通りだと感じさせられます。





もしもノートの記憶を飛ばしたライトが、キラであった自分の計画から外れた行動をしていたなら、また違った展開もあったはず。





そんな『もしも』も起こり得ないと読み切っていたとは、キラとしての夜神月はどこまでも狡猾な策謀家だったのだと思い知らされるばかりです…




















次があればLの台詞語りも




ライトの台詞を語るのは、こんなところにしておきます。
予想しなかった長丁場になりましたが、ここまで御覧下さった訪問者様、ありがとうございました。










気が向けば、次はLの台詞語りもやるかもしれませんが、予定は未定です。










ともあれ、また次の更新にて。
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