2018年06月08日
ドラクエ6を語る・ストーリー編
夜分遅くに今晩は。
SFC版ドラクエ6の再プレイを終えてしばらく経つ、「暇人の独り言」管理人です。
いつデータが消えてしまうのかと戦々恐々していますが、とりあえず今のところは大丈夫なようです。
このまま一生消えないでくれればありがたいのだが…
そんなこと言ってるそばからぼうけんのしょ2はお亡くなりになった
さて、隠しダンジョンと隠しボスのことを喋って以来、触れてこなかったドラクエ6でしたが、このままの幕引きではいまひとつ区切りが良くないと、最近になってようやく感じてきました。
という訳で、大変に今更ではありますが、これからドラクエ6全体のことについて、語ってみようと思います。
しかし、これまでのように1つの記事に全てを盛り込もうとすると、色々な意味でどえらいことになるので、今回からのゲーム語りは何度かに分けて喋る形式を取ることとします。
手始めに本記事では、ドラクエ6の作品概要とストーリーについて、語ってみましょう。
…と、その前に。
…再プレイ日記で散々ネタバレをぶちまけている以上、遅きに失していますが、それでもお約束はお約束として、今後もこの注意書きは続けます。
では、本題へ…
ドラクエ6はその名の通り、ドラゴンクエストシリーズの6作目にあたります。
…とはいえ、流石に1作目からこのドラクエ6までストーリーが連綿と続いているという訳ではありません。
ドラクエシリーズのうち、ドラクエ4・ドラクエ5、そしてこのドラクエ6は「天空シリーズ」と称されています。
その時系列は、ドラクエ6→ドラクエ4→ドラクエ5だというウワサ。
つまりドラクエ6は、天空シリーズ最後に発表された作品であるのと同時に、天空シリーズの始まりを描いた作品でもあるということのようです。
管理人は天空シリーズをドラクエ6しかプレイしていないので、同シリーズの繋がりや流れは把握できていません。
しかし、他の2作品をプレイしていなければ話についていけないということは全くないため、キャラクター目当てで遊んでも問題なく楽しめるのがありがたいところでした。
ドラクエ6のストーリーを途轍もなく雑にまとめると、
世界を支配しようとする悪者を主人公と仲間達が倒しに行く物語
…ということになります。
肝心な部分だけ抽出すると、本当にこれだけの話です。
しかし、そんな大変な旅路が一筋縄で片付くはずもありません。
黒幕を倒す段階に至るまでには、その配下を倒したり、先へ進むのに必要なアイテムを手にするべく人助けをしたりと、紆余曲折を経ることになるのです。
そしてその紆余曲折の中には当然、楽しいイベントもあれば嫌なイベントも盛りだくさんでした。
本記事では、管理人が面白いと感じたイベントと、嫌だったイベントについて、触れてみることとします。
・幻の大地を発見
主人公が大地の大穴に落ちた先で見つけた、もう1つの世界。
そこでは、主人公の姿や声が、人々に知覚されることがありませんでした。
「ライフコッド」に戻った主人公が村の老人に事の次第を話すと、「それは幻の大地と呼ばれる場所だ」と言われます。
最序盤にして早くもサブタイトル回収かと思いきや、実はその幻の大地だと思っていた場所こそが現実の世界であり、当初主人公が居座っていた現実の世界だと思っていた場所こそが幻の大地こと夢の世界だったということが、後になって発覚しました。
どんでん返しだとするにはありふれていると言えなくもないですが、気付かなかったプレイヤーも十分にいたことでしょう。
…もっとも、ムドーに敗れるオープニングが単なる夢のはずがないと考えたプレイヤーなら、察しは付いたことでしょうが。
・ムドーとの決着
「ムドーのしろ」に辿り着けば、オープニングの時からの因縁となるムドーとのケリをつけることになります。
長いこと宿敵の座に君臨しただけはあり、一瞬も気が抜けない危険なボスとして、プレイヤーに襲い掛かって来るのです。
2匹のお供を従える1戦目と、本気を出した2戦目の2連戦を制すれば、めでたくムドー撃破となります。
負けたくない・負けられないという緊張感や、2戦目で専用BGMが流れることから、おそらくここまでのドラクエ6における戦いでは、最も燃える1戦となるでしょう。
…ドラクエ6における、全滅しやすい戦いの1つもここなので、油断がなりませんが。
・「カルカド」と「しあわせの国」
満月の夜に現れる島へ行けば、悩みも苦しみもない所へ辿り着ける…
荒涼とした砂漠の中の町「カルカド」には、そんな噂が流れていました。
ところが、主人公達が現地に赴いてみれば案の定、島に入った人間達は石像のようにされ、魔物だらけの怪しげな祭壇で生贄とされる運命であったことが発覚しました。
島に入った人間達は主人公達によって無事に救われましたが、このイベントは、怪しげな話になびく人間の弱さや愚かさをまざまざと見せつけられるものだったと思います。
しかし、教訓や戒めとして見ごたえのあるものだったため、気に入ったイベントでした。
怪しげな話になびく人間の弱さと言えば、大魔王に抵抗するために悪魔を使役しようとして、その悪魔に国もろとも滅ぼされたグレイス王にも、同じことが言えるでしょう。
人間、追い詰められると、心にゆとりがある時には一笑に付すようないかがわしい話でも、真に受けてしまうようです…
・ホルス王子と洗礼の儀式
王位を継ぐための儀式から逃げまくっていた、臆病者のホルス王子。
ところが、主人公達に無理やり「せんれいのほこら」へと引っ張られて行ったところ、試練が段階を経るほどに逃げる距離が短くなり、主人公達が最後の試練を打ち下した際は逃げずに最後まで居合わせました。
さらに、一番肝心な滝行に関しても、どうしてもやらなければならないと分かると自ら滝へと入り、逃げ出さずにやり遂げてのけたのです。
自分では全然戦っていないにもかかわらず洗礼を通して成長したホルス王子からは、精神的なゆとりや、王族としての風格を備えつつある姿を見て取ることができます。
滝行しただけなのに、よくぞここまで。
後のドラクエ8には、同じく王位を継ぐための儀式から頑として逃れようとする王子が登場したのですが、そちらは劇中で改心や成長といった描写が一切なく、単なるクズ野郎のままで終わっています。
確かな成長を見せてくれたホルス王子は、そちらとは似て非なるキャラクターであり、見ていて爽快感がありました。
劇中の時点では未熟さも残すホルス王子ですが、洗礼を受ける前の状態に逆戻りでもしない限りは、彼が王位を継承しても問題はないことでしょう。
ホルス王子が「ホルス王」になる瞬間を劇中で確認できないことが、少々残念なくらいでした。
・ヘルクラウド城の3連戦
4つの伝説の武具を集めると、大魔王の配下・デュランの居座るヘルクラウド城へ攻め込めるようになります。
このデュランを倒すには、当の本人との戦いを含む、3度の連戦を制する必要があるのです。
1戦目の相手は、悪名高い殺人兵器「キラーマジンガ」とその相方の「ランドアーマー」。
2戦目の相手は、ここに至るまでにも何度か主人公達と出会ったさすらいの剣士「テリー」。
そして3戦目でようやく、「デュラン」本人との戦いとなります。
一応「テリー」戦も含めてれっきとしたボス戦のため、いずれも敵のHPは高く、長期戦になることは必至です。
しかし、パーティを鍛えに鍛えたプレイヤーにとっては、こんな舞台こそ修行の成果の見せどころ。
1戦目と3戦目に登場する強敵を、全霊をもって打ち倒すのは、まさに気分爽快というものでした。
2戦目はただのザコでしたが、そこは気にしないのが吉です。
・「ぜつぼうのまち」から希望の町へ
はざまの世界に入って最初に見つかる、「ぜつぼうのまち」。
その名の通りの陰気臭い町ですが、イベントをこなせば絶望的な空気は取り払われ、町名も希望の町へと改められます。
元気のなかった住民達が見違えるように活力を取り戻したところは、見ていて嬉しくなるものでした。
何よりも嬉しいのは、「ぜつぼうのまち」が希望の町になると、はざまの世界に来るなりHP1・MP0に弱体化した主人公達も力を取り戻せること。
自分の気持ちひとつで消え入りそうなくらいに弱くもなれば、同じく自分の気持ちひとつで巨悪に立ち向かえるほどに強くもなれる…
「しあわせの国」の一件とは勝手が随分異なるものの、これもまた、人間という生物を興味深く描いているイベントだと感じました。
・「よくぼうのまち」の宝物騒動
賢者が残したと言われる宝物をめぐって、人死にや殺し合いが絶えなかった、「よくぼうのまち」。
ところが、いざ噂の宝箱を開けてみると、その中身は空っぽでした。
住民達はこのことを「醜い争いをしたから罰が当たった」と受け止めると、それまでの執着ぶりが嘘のように欲望を捨て去り、真面目に働くことを尊ぶようになります。
目的の宝箱を目の前にしてもなお、他者を押しのけることに躍起になるほど視野の狭かった住民達にしては物分かりが良すぎるようにも思いますが、それでも清々しさは大きいです。
なお、住民達が欲望を捨てた後は、町の大富豪から強力な防具「ドラゴンローブ」をタダで譲ってもらえるので、回収することが推奨されます。
・ダークドレアムVSデスタムーア
ドラクエ6の隠しボスは、グレイス城を滅ぼした悪魔・ダークドレアム。
「破壊と殺戮の神」と名乗るだけはあり、その強さはもはや悪夢の領域です。
しかし、そんなダークドレアムを素早く倒して負けを認めさせると、何と主人公達(とプレイヤー)に代わって、ラストボス・デスタムーアを倒してくれます。
ラストボスの名に恥じない実力者であるデスタムーアが、まるでスライムのごとくボコボコにのされて完敗する有様は、ただただ衝撃の一言でした。
ダークドレアムをすごいと言うべきなのか、このイベントを考えた制作陣を鬼と言うべきなのか?
…何にせよ、根っからの悪者とはいえここまでぞんざいに扱われると、流石にデスタムーアが哀れに見えて来ます…
ただ、念のために補足しておくと、デスタムーアがいいとこなしに敗れるのはあくまでもこのイベント限定の話。
プレイヤーが自分でやり合えば、ダークドレアムを素早く倒せるようになっていても、到底ザコとは呼べない強さなので、そこは誤解しないことが大切です。
・「サンマリーノ」の不幸な出来事
「サンマリーノ」の宿屋の娘が、町長の息子と彼に仕えるメイドを引き裂こうとして、町長の飼い犬に毒を盛った一件です。
犬は事無きを得たものの、町長はあっさりメイドの仕業だと思い込み、彼女を追放してしまいます。
後にメイドは町長の息子の尽力で無事に町に戻りましたが、その頃には町長がいたたまれなくなったようで町を去ってしまい、行方知れずになってしまいました。
なお、この町長らしき人物が、終盤にはざまの世界で見つかります。
はざまの世界が消える際、現地に囚われていた人々も救われたようなので、この町長らしき人物も無事でいるものとは思われますが…
この一件で何よりも許せないのはやはり、宿屋の娘。
諸悪の根源のくせに、その悪行が露呈することもなく、報いを受けずに済んでいやがるのです。
まあ強いて言えば、町長の息子とメイドを引き裂くつもりで働いた愚行が結局は2人を結び付ける切欠となったことが、報いと取れなくもないですが…
それにしても、下る罰が物足りない。
このイベントを終えないとミレーユが登場せず、ストーリーが進まないため、ゲームクリアのためには嫌でも見なければなりません。
魔王を倒すという旅路に全然関係がないくせに、何故にこんなイベントが作られ、しかも鑑賞必須になったというのか?
どんなに考えても、管理人には理由が思い当たりませんでした。
・ニセ王子騒動
現実世界の「レイドック」で情報収集をするべく、「きぞくのふく」を主人公が装備して城へ入るというイベントです。
この時の主人公を行方不明の王子だと信じ込んだのが、城の兵士達を束ねるトム兵士長。
主人公はトム兵士長によって城内に案内されたものの、国王と王妃が動けないのをいいことに悪政を敷く大臣・ゲバンからの「亡くなった王子の妹の名前は何だったか」という問いに正解できなかったことでニセ王子と見なされ、城から追放されます。
そしてトム兵士長はこの失態の責任を負わされる形で辺境の地へと放り込まれ、現地で魔物に敗れて落命することとなったのです。
後に主人公が本当に王子だったと判明するものの、その時にはトム兵士長はこの世におらず、彼の死の原因となったゲバンは、レイドック王と王妃シェーラが復活すると同時に行方不明になるのみ。
レイドック王の命令により、夢の世界のゲバンだけは投獄されますが、そちらは現実世界の彼とは異なり単なる嫌味な金持ちに過ぎず、これといった悪事も行った様子はありません。
そのため、ゲバンが報いを受けたという感じがまるでしないのです。
何なら夢の世界のゲバンが、瓜二つの犯罪者に間違われた不運な一般人のようにすら見えてくる始末。
こっちを捕まえても仕方がなかったのですが…
夢の世界の「レイドック」兵士は当然これに首をひねっているし、一方でゲバンと全く無関係な囚人しかいない現実の「レイドック」兵士も「こんな囚人よりゲバンを牢に入れておくべきだった」と述べるなど、そのちぐはぐさには劇中でも突っ込みが入っています。
そう思うのなら、失踪したゲバンを見つけて捕まえてほしいのだが…
死人が出ている上に、その責任が主人公にもあるという点で、「サンマリーノ」での一件よりも嫌な気分になることは必至でしょう。
せめてトム兵士長が生きていたとか、ゲバンをぶちのめす機会が来た、という展開でもあればまだ救いもあったであろうに、そのいずれもゲーム中にはありません。
一体何処のプレイヤーが喜ぶ流れなのか、と思わずにいられないイベントの1つでした。
・バーバラが理由を明かさず離脱する
主人公達がムドーを倒すべく、ヤツの居城がある「ムドーのしま」に上陸した際の一幕です。
いよいよ決戦へ、とプレイヤーが意気込むところ、バーバラが唐突に「自分は船に残る」と言い出します。
ハッサンは理由を問い質そうとしたものの、ミレーユは「無理強いは良くないし誰かが船に残っていた方が良いかもしれない」と判断し、バーバラの留守番にあっさり同意しました。
そのためバーバラは、プレイヤーにとっては結局訳が分からないままにパーティから一時離脱します。
そしてムドー討伐後は、やはり離脱した理由が全く分からないままにパーティに復帰することになるのです。
この件については、「『バーバラ=主人公達をムドーの城まで運んだ黄金の竜』という設定を考えていたため、ある時バーバラはいなくなる」という旨の発言を、ドラクエ6のシナリオ担当者が喋ったことがあるのだそうです。
しかし、実際には「バーバラ=黄金の竜」の設定は採用されなかったとのこと。
そのくせ、バーバラが離脱するくだりだけは残っているため、ゲーム中では単なる意味不明な展開となっています。
バーバラの離脱を残すのなら、「バーバラ=黄金の竜」の設定を採用し、劇中で明言した方が良かったと思うのだが…
理由が全く分からないストーリー展開も嫌なものですが、単純にバーバラが離脱することにより、ムドーを倒すまでの間は彼女を鍛えられなくなることも嫌なもの。
その間、戦闘メンバーとして固定される主人公・ハッサン・ミレーユ・チャモロの4人が到達したレベル次第では、以後の旅路においてバーバラはただのお荷物になりがちです。
しかもパーティに復帰してからは、「ルイーダの酒場」にぶち込もうとしても「バーバラさんはまだやりたいことがあるんじゃないかしら」などと拒否されるため、主人公共々、常に連れ回さなければなりません。
そのため、パーティ編成の自由を減らしてしまう存在となっており、一部のユーザーからは嫌われているようです。
…まあ、ストーリー上で必ず「マダンテ」を覚えるため、一発屋として役に立つ余地があるのが、戦闘面でのせめてもの救いと言えるでしょう。
・テリーに「らいめいのけん」を取られる
ドランゴ引換券の異名を持つ残念剣士・テリーが輝きを見せた、最初で最後の出来事です。
テリーは、強者揃いの「アークボルト」の兵でも敵わない魔物・ドランゴをあっさり倒すと、報酬として「らいめいのけん」を手にし、去って行きます。
そこに至るまでに3度もボス戦をやらされたプレイヤーにとっては、疲れるばかりで実入りがないまま終わるため、やはり嬉しくないイベントの1つでした。
ただ、「らいめいのけん」は攻撃力も良ければ、道具として使えば全体攻撃呪文「ライデイン」をMP消費なしで使える武器だけに、この時点で手に入っていたら攻略が簡単になりすぎていたことは確かです。
そういう点では、仕方ないことでもありましたが…
それでもテリー(笑)に負けるのは嫌だった。
・「ガンディーノ」の昔話
10年程前までミレーユとテリーが暮らしていた国「ガンディーノ」。
本編中では正義感のある人格者が国王となっていますが、10年程前は先代の王とヤクザ集団・ギンドロ組が癒着して、大勢の女性を城に放り込んでは奴隷として非人道的に扱っていたという設定があります。
明確には言及されませんが、18禁作品向けの奴隷もいた可能性があるのと、当時城に連行されたミレーユもその手の奴隷にされていたのではと疑われる余地が残っているのが、実に気分の悪いところです。
まあ、ミレーユに関しては、その美貌を当時の王妃(現在は皇太后)に嫉妬されて地下牢に放り込まれたというので、下劣な先王と関わらずに済んだ可能性も十二分に残ってはいるのですが。
それにしても、こんな設定が何故必要だったのかは、まるで分かりません。
強いて言えば、ミレーユが地下牢に居合わせた老人から黄金の竜を呼ぶ笛を貰ったと分かる点では、意味あるものかもしれません。
…が、これらの昔話がミレーユに笛を持たせるための背景だとすると、不要な部分が多すぎたと言わざるを得ないでしょう。
黄金の竜を呼ぶ笛には、精霊ルビスが作ったものという設定がなされています。
なので、ミレーユが笛を持つ理由を作りたかったのなら、彼女を神や精霊に仕える神官の一族ということにでもすれば、家に代々伝わるものだから受け継いだなど、もっと単純なストーリーにできたはずです。
あるいは、ミレーユとテリーがすれ違ったり対立する理由を生じさせたかったのなら、大工になることを嫌がって家出したハッサンのように、求める生き方の違いから不仲になって離れていたなど、こちらにも簡単な設定はいくらでも作れたことでしょう。
何にせよ、「ガンディーノ」の悪政が背景になければならない必然性が、ろくに見当たらないのです。
一番面白くないのは、これらの悪政が全て昔の話に過ぎず、憂さを晴らす機会が全くないこと。
上述の通り、本編の時点では「ガンディーノ」の国主は人格者へと変わっていて、国自体も住みよい土地へと様変わりしています。
さらに、遅まきながらかつての下手人共を叩こうと思っても、先王は既に死亡しており、その妻である皇太后は現実を正しく認識できていない様子、ギンドロ組は辛うじて存続してはいるもののガタガタに弱体化しているなど、いずれも主人公達が手を下すまでもない状態でした。
つまり、劇中でここを訪問した時点でかつての悪人共はほぼ壊滅状態であり、主人公達やプレイヤーが介入する場面が一切ない訳です。
だったら、そもそもこんな面倒な設定などいらなかったのに…
ちなみに面倒つながりで言うと、後のドラクエ8に登場したパーティキャラクターのククールにも、複雑な家庭環境を持つという、面倒な設定がなされてはいます。
が、そのククールの面倒な設定は、ストーリーの本筋で上手く活かされていることに加え、完全な清算とは言えないにせよ1つの区切りを見ることができるため、あっても悪くなかったものでした。
それに引き替えこの「ガンディーノ」の昔話は、これと言って活用された場面がないばかりか、そもそもストーリーの本筋では言及すら全くされていないため、ただただ奇をてらってスベったものという印象しかありません。
管理人としては、ドラクエ6のストーリーで最も不愉快になった部分でした。
管理人が語りたかったストーリー上のイベントは、大体上記のようなところです。
ドラクエ6のストーリー全体についてまとめると、良く言えば考察のしがいがある出来になっている、悪く言えばプレイヤーの解釈に頼り過ぎで曖昧模糊としている部分が多い、といった感じでした。
…RPGにおいてストーリーの重要性は決して低くないため、ぼかした描写が多いことはあまり良い印象ではなく、後者寄りの感想になりがちではありますが。
ウワサによれば、ドラクエ6のシナリオ担当者は「匂わせるのが必要」だとか「ゲームはユーザーがやって初めて完成する」と考えているらしく、「想像して楽しむという要素」や「ユーザーがイメージで作れる部分」を残しておきたいとの発言をしたことがあったのだそうです。
確かに、何から何まで語り尽くせば作品が面白くなるとは限らないし、むしろあえてぼかした描写に留める方が面白くなる事柄は、いくらでも存在するもの。
そう考えると、ドラクエ6のシナリオ担当者の発言は、耳触りの良い言葉にも思えます。
しかし、全てを語り尽くせば作品が面白くなるとは限らないのと同様に、あらゆる部分をぼかしまくることもまた、作品を面白くする保証はありません。
ストーリーというものを持つ作品の中には、ぼかした方が面白い部分もあれば、はっきりと描いた方が面白い部分もあるものです。
「バーバラと黄金の竜の関係」や、「ミレーユが実体を取り戻したタイミング」などを描写せず放置されたとあっては、「想像する余地を残した」などと言われても、腑に落ちないものが残ります。
面白がってプレイした身としては残念なのですが、ドラクエ6のストーリーは、はっきり描いた方が面白くなったであろう点をぼかした事例が多かったと言わざるを得ません。
また、「嫌だったイベント」で述べてきた感じで、人間の悪行に対しては報いが物足りないのも目に付くところ。
ムドーをはじめとした凶悪な魔物に対しては目一杯の鉄槌を下しているのだから、「サンマリーノ」の宿屋の娘や大臣ゲバンや「ガンディーノ」の悪人共に対しても、同じくらいの痛みを味わわせてやりたかったものです。
面白いイベントもいくつかあるものの、総合すると手放しで賞賛できるストーリーではない、というのが率直な感想でした。
なかなか長くなりましたが、これにてドラクエ6のストーリーについての語りを終了とします。
ここまで御覧くださった訪問者様、ありがとうございました。
次回の記事では、ドラクエ6のキャラクター達について、あれこれ喋ってみるつもりです。
ご興味がございましたら、そちらもよろしくお願いします。
それでは、また。
SFC版ドラクエ6の再プレイを終えてしばらく経つ、「暇人の独り言」管理人です。
いつデータが消えてしまうのかと戦々恐々していますが、とりあえず今のところは大丈夫なようです。
このまま一生消えないでくれればありがたいのだが…
さて、隠しダンジョンと隠しボスのことを喋って以来、触れてこなかったドラクエ6でしたが、このままの幕引きではいまひとつ区切りが良くないと、最近になってようやく感じてきました。
という訳で、大変に今更ではありますが、これからドラクエ6全体のことについて、語ってみようと思います。
しかし、これまでのように1つの記事に全てを盛り込もうとすると、色々な意味でどえらいことになるので、今回からのゲーム語りは何度かに分けて喋る形式を取ることとします。
手始めに本記事では、ドラクエ6の作品概要とストーリーについて、語ってみましょう。
…と、その前に。
注意
本記事は「ドラゴンクエストY 幻の大地」のネタバレを含みます。
ゲームを自力で楽しみたい方は、本記事を閲覧せずにお引き取りください。
ネタバレされても構わないという方のみ、続きをご覧ください。
本記事は「ドラゴンクエストY 幻の大地」のネタバレを含みます。
ゲームを自力で楽しみたい方は、本記事を閲覧せずにお引き取りください。
ネタバレされても構わないという方のみ、続きをご覧ください。
…再プレイ日記で散々ネタバレをぶちまけている以上、遅きに失していますが、それでもお約束はお約束として、今後もこの注意書きは続けます。
では、本題へ…
作品の概要
ドラクエ6はその名の通り、ドラゴンクエストシリーズの6作目にあたります。
…とはいえ、流石に1作目からこのドラクエ6までストーリーが連綿と続いているという訳ではありません。
ドラクエシリーズのうち、ドラクエ4・ドラクエ5、そしてこのドラクエ6は「天空シリーズ」と称されています。
その時系列は、ドラクエ6→ドラクエ4→ドラクエ5だというウワサ。
つまりドラクエ6は、天空シリーズ最後に発表された作品であるのと同時に、天空シリーズの始まりを描いた作品でもあるということのようです。
管理人は天空シリーズをドラクエ6しかプレイしていないので、同シリーズの繋がりや流れは把握できていません。
しかし、他の2作品をプレイしていなければ話についていけないということは全くないため、キャラクター目当てで遊んでも問題なく楽しめるのがありがたいところでした。
ストーリーについて
ドラクエ6のストーリーを途轍もなく雑にまとめると、
世界を支配しようとする悪者を主人公と仲間達が倒しに行く物語
…ということになります。
肝心な部分だけ抽出すると、本当にこれだけの話です。
しかし、そんな大変な旅路が一筋縄で片付くはずもありません。
黒幕を倒す段階に至るまでには、その配下を倒したり、先へ進むのに必要なアイテムを手にするべく人助けをしたりと、紆余曲折を経ることになるのです。
そしてその紆余曲折の中には当然、楽しいイベントもあれば嫌なイベントも盛りだくさんでした。
本記事では、管理人が面白いと感じたイベントと、嫌だったイベントについて、触れてみることとします。
面白かったイベント
・幻の大地を発見
主人公が大地の大穴に落ちた先で見つけた、もう1つの世界。
そこでは、主人公の姿や声が、人々に知覚されることがありませんでした。
「ライフコッド」に戻った主人公が村の老人に事の次第を話すと、「それは幻の大地と呼ばれる場所だ」と言われます。
最序盤にして早くもサブタイトル回収かと思いきや、実はその幻の大地だと思っていた場所こそが現実の世界であり、当初主人公が居座っていた現実の世界だと思っていた場所こそが幻の大地こと夢の世界だったということが、後になって発覚しました。
どんでん返しだとするにはありふれていると言えなくもないですが、気付かなかったプレイヤーも十分にいたことでしょう。
…もっとも、ムドーに敗れるオープニングが単なる夢のはずがないと考えたプレイヤーなら、察しは付いたことでしょうが。
・ムドーとの決着
「ムドーのしろ」に辿り着けば、オープニングの時からの因縁となるムドーとのケリをつけることになります。
長いこと宿敵の座に君臨しただけはあり、一瞬も気が抜けない危険なボスとして、プレイヤーに襲い掛かって来るのです。
2匹のお供を従える1戦目と、本気を出した2戦目の2連戦を制すれば、めでたくムドー撃破となります。
負けたくない・負けられないという緊張感や、2戦目で専用BGMが流れることから、おそらくここまでのドラクエ6における戦いでは、最も燃える1戦となるでしょう。
…ドラクエ6における、全滅しやすい戦いの1つもここなので、油断がなりませんが。
・「カルカド」と「しあわせの国」
満月の夜に現れる島へ行けば、悩みも苦しみもない所へ辿り着ける…
荒涼とした砂漠の中の町「カルカド」には、そんな噂が流れていました。
ところが、主人公達が現地に赴いてみれば案の定、島に入った人間達は石像のようにされ、魔物だらけの怪しげな祭壇で生贄とされる運命であったことが発覚しました。
島に入った人間達は主人公達によって無事に救われましたが、このイベントは、怪しげな話になびく人間の弱さや愚かさをまざまざと見せつけられるものだったと思います。
しかし、教訓や戒めとして見ごたえのあるものだったため、気に入ったイベントでした。
怪しげな話になびく人間の弱さと言えば、大魔王に抵抗するために悪魔を使役しようとして、その悪魔に国もろとも滅ぼされたグレイス王にも、同じことが言えるでしょう。
人間、追い詰められると、心にゆとりがある時には一笑に付すようないかがわしい話でも、真に受けてしまうようです…
・ホルス王子と洗礼の儀式
王位を継ぐための儀式から逃げまくっていた、臆病者のホルス王子。
ところが、主人公達に無理やり「せんれいのほこら」へと引っ張られて行ったところ、試練が段階を経るほどに逃げる距離が短くなり、主人公達が最後の試練を打ち下した際は逃げずに最後まで居合わせました。
さらに、一番肝心な滝行に関しても、どうしてもやらなければならないと分かると自ら滝へと入り、逃げ出さずにやり遂げてのけたのです。
滝行しただけなのに、よくぞここまで。
後のドラクエ8には、同じく王位を継ぐための儀式から頑として逃れようとする王子が登場したのですが、そちらは劇中で改心や成長といった描写が一切なく、単なるクズ野郎のままで終わっています。
確かな成長を見せてくれたホルス王子は、そちらとは似て非なるキャラクターであり、見ていて爽快感がありました。
劇中の時点では未熟さも残すホルス王子ですが、洗礼を受ける前の状態に逆戻りでもしない限りは、彼が王位を継承しても問題はないことでしょう。
ホルス王子が「ホルス王」になる瞬間を劇中で確認できないことが、少々残念なくらいでした。
・ヘルクラウド城の3連戦
4つの伝説の武具を集めると、大魔王の配下・デュランの居座るヘルクラウド城へ攻め込めるようになります。
このデュランを倒すには、当の本人との戦いを含む、3度の連戦を制する必要があるのです。
1戦目の相手は、悪名高い殺人兵器「キラーマジンガ」とその相方の「ランドアーマー」。
2戦目の相手は、ここに至るまでにも何度か主人公達と出会ったさすらいの剣士「テリー」。
そして3戦目でようやく、「デュラン」本人との戦いとなります。
しかし、パーティを鍛えに鍛えたプレイヤーにとっては、こんな舞台こそ修行の成果の見せどころ。
1戦目と3戦目に登場する強敵を、全霊をもって打ち倒すのは、まさに気分爽快というものでした。
2戦目はただのザコでしたが、そこは気にしないのが吉です。
・「ぜつぼうのまち」から希望の町へ
はざまの世界に入って最初に見つかる、「ぜつぼうのまち」。
その名の通りの陰気臭い町ですが、イベントをこなせば絶望的な空気は取り払われ、町名も希望の町へと改められます。
元気のなかった住民達が見違えるように活力を取り戻したところは、見ていて嬉しくなるものでした。
何よりも嬉しいのは、「ぜつぼうのまち」が希望の町になると、はざまの世界に来るなりHP1・MP0に弱体化した主人公達も力を取り戻せること。
自分の気持ちひとつで消え入りそうなくらいに弱くもなれば、同じく自分の気持ちひとつで巨悪に立ち向かえるほどに強くもなれる…
「しあわせの国」の一件とは勝手が随分異なるものの、これもまた、人間という生物を興味深く描いているイベントだと感じました。
・「よくぼうのまち」の宝物騒動
賢者が残したと言われる宝物をめぐって、人死にや殺し合いが絶えなかった、「よくぼうのまち」。
ところが、いざ噂の宝箱を開けてみると、その中身は空っぽでした。
住民達はこのことを「醜い争いをしたから罰が当たった」と受け止めると、それまでの執着ぶりが嘘のように欲望を捨て去り、真面目に働くことを尊ぶようになります。
目的の宝箱を目の前にしてもなお、他者を押しのけることに躍起になるほど視野の狭かった住民達にしては物分かりが良すぎるようにも思いますが、それでも清々しさは大きいです。
なお、住民達が欲望を捨てた後は、町の大富豪から強力な防具「ドラゴンローブ」をタダで譲ってもらえるので、回収することが推奨されます。
・ダークドレアムVSデスタムーア
ドラクエ6の隠しボスは、グレイス城を滅ぼした悪魔・ダークドレアム。
「破壊と殺戮の神」と名乗るだけはあり、その強さはもはや悪夢の領域です。
しかし、そんなダークドレアムを素早く倒して負けを認めさせると、何と主人公達(とプレイヤー)に代わって、ラストボス・デスタムーアを倒してくれます。
ラストボスの名に恥じない実力者であるデスタムーアが、まるでスライムのごとくボコボコにのされて完敗する有様は、ただただ衝撃の一言でした。
ダークドレアムをすごいと言うべきなのか、このイベントを考えた制作陣を鬼と言うべきなのか?
…何にせよ、根っからの悪者とはいえここまでぞんざいに扱われると、流石にデスタムーアが哀れに見えて来ます…
ただ、念のために補足しておくと、デスタムーアがいいとこなしに敗れるのはあくまでもこのイベント限定の話。
プレイヤーが自分でやり合えば、ダークドレアムを素早く倒せるようになっていても、到底ザコとは呼べない強さなので、そこは誤解しないことが大切です。
嫌だったイベント
・「サンマリーノ」の不幸な出来事
「サンマリーノ」の宿屋の娘が、町長の息子と彼に仕えるメイドを引き裂こうとして、町長の飼い犬に毒を盛った一件です。
犬は事無きを得たものの、町長はあっさりメイドの仕業だと思い込み、彼女を追放してしまいます。
後にメイドは町長の息子の尽力で無事に町に戻りましたが、その頃には町長がいたたまれなくなったようで町を去ってしまい、行方知れずになってしまいました。
なお、この町長らしき人物が、終盤にはざまの世界で見つかります。
はざまの世界が消える際、現地に囚われていた人々も救われたようなので、この町長らしき人物も無事でいるものとは思われますが…
この一件で何よりも許せないのはやはり、宿屋の娘。
諸悪の根源のくせに、その悪行が露呈することもなく、報いを受けずに済んでいやがるのです。
まあ強いて言えば、町長の息子とメイドを引き裂くつもりで働いた愚行が結局は2人を結び付ける切欠となったことが、報いと取れなくもないですが…
それにしても、下る罰が物足りない。
このイベントを終えないとミレーユが登場せず、ストーリーが進まないため、ゲームクリアのためには嫌でも見なければなりません。
魔王を倒すという旅路に全然関係がないくせに、何故にこんなイベントが作られ、しかも鑑賞必須になったというのか?
どんなに考えても、管理人には理由が思い当たりませんでした。
・ニセ王子騒動
現実世界の「レイドック」で情報収集をするべく、「きぞくのふく」を主人公が装備して城へ入るというイベントです。
この時の主人公を行方不明の王子だと信じ込んだのが、城の兵士達を束ねるトム兵士長。
主人公はトム兵士長によって城内に案内されたものの、国王と王妃が動けないのをいいことに悪政を敷く大臣・ゲバンからの「亡くなった王子の妹の名前は何だったか」という問いに正解できなかったことでニセ王子と見なされ、城から追放されます。
そしてトム兵士長はこの失態の責任を負わされる形で辺境の地へと放り込まれ、現地で魔物に敗れて落命することとなったのです。
後に主人公が本当に王子だったと判明するものの、その時にはトム兵士長はこの世におらず、彼の死の原因となったゲバンは、レイドック王と王妃シェーラが復活すると同時に行方不明になるのみ。
レイドック王の命令により、夢の世界のゲバンだけは投獄されますが、そちらは現実世界の彼とは異なり単なる嫌味な金持ちに過ぎず、これといった悪事も行った様子はありません。
そのため、ゲバンが報いを受けたという感じがまるでしないのです。
何なら夢の世界のゲバンが、瓜二つの犯罪者に間違われた不運な一般人のようにすら見えてくる始末。
こっちを捕まえても仕方がなかったのですが…
夢の世界の「レイドック」兵士は当然これに首をひねっているし、一方でゲバンと全く無関係な囚人しかいない現実の「レイドック」兵士も「こんな囚人よりゲバンを牢に入れておくべきだった」と述べるなど、そのちぐはぐさには劇中でも突っ込みが入っています。
そう思うのなら、失踪したゲバンを見つけて捕まえてほしいのだが…
死人が出ている上に、その責任が主人公にもあるという点で、「サンマリーノ」での一件よりも嫌な気分になることは必至でしょう。
せめてトム兵士長が生きていたとか、ゲバンをぶちのめす機会が来た、という展開でもあればまだ救いもあったであろうに、そのいずれもゲーム中にはありません。
一体何処のプレイヤーが喜ぶ流れなのか、と思わずにいられないイベントの1つでした。
・バーバラが理由を明かさず離脱する
主人公達がムドーを倒すべく、ヤツの居城がある「ムドーのしま」に上陸した際の一幕です。
いよいよ決戦へ、とプレイヤーが意気込むところ、バーバラが唐突に「自分は船に残る」と言い出します。
ハッサンは理由を問い質そうとしたものの、ミレーユは「無理強いは良くないし誰かが船に残っていた方が良いかもしれない」と判断し、バーバラの留守番にあっさり同意しました。
そのためバーバラは、プレイヤーにとっては結局訳が分からないままにパーティから一時離脱します。
そしてムドー討伐後は、やはり離脱した理由が全く分からないままにパーティに復帰することになるのです。
この件については、「『バーバラ=主人公達をムドーの城まで運んだ黄金の竜』という設定を考えていたため、ある時バーバラはいなくなる」という旨の発言を、ドラクエ6のシナリオ担当者が喋ったことがあるのだそうです。
しかし、実際には「バーバラ=黄金の竜」の設定は採用されなかったとのこと。
そのくせ、バーバラが離脱するくだりだけは残っているため、ゲーム中では単なる意味不明な展開となっています。
バーバラの離脱を残すのなら、「バーバラ=黄金の竜」の設定を採用し、劇中で明言した方が良かったと思うのだが…
理由が全く分からないストーリー展開も嫌なものですが、単純にバーバラが離脱することにより、ムドーを倒すまでの間は彼女を鍛えられなくなることも嫌なもの。
その間、戦闘メンバーとして固定される主人公・ハッサン・ミレーユ・チャモロの4人が到達したレベル次第では、以後の旅路においてバーバラはただのお荷物になりがちです。
しかもパーティに復帰してからは、「ルイーダの酒場」にぶち込もうとしても「バーバラさんはまだやりたいことがあるんじゃないかしら」などと拒否されるため、主人公共々、常に連れ回さなければなりません。
そのため、パーティ編成の自由を減らしてしまう存在となっており、一部のユーザーからは嫌われているようです。
…まあ、ストーリー上で必ず「マダンテ」を覚えるため、一発屋として役に立つ余地があるのが、戦闘面でのせめてもの救いと言えるでしょう。
・テリーに「らいめいのけん」を取られる
ドランゴ引換券の異名を持つ残念剣士・テリーが輝きを見せた、最初で最後の出来事です。
テリーは、強者揃いの「アークボルト」の兵でも敵わない魔物・ドランゴをあっさり倒すと、報酬として「らいめいのけん」を手にし、去って行きます。
そこに至るまでに3度もボス戦をやらされたプレイヤーにとっては、疲れるばかりで実入りがないまま終わるため、やはり嬉しくないイベントの1つでした。
ただ、「らいめいのけん」は攻撃力も良ければ、道具として使えば全体攻撃呪文「ライデイン」をMP消費なしで使える武器だけに、この時点で手に入っていたら攻略が簡単になりすぎていたことは確かです。
そういう点では、仕方ないことでもありましたが…
それでもテリー(笑)に負けるのは嫌だった。
・「ガンディーノ」の昔話
10年程前までミレーユとテリーが暮らしていた国「ガンディーノ」。
本編中では正義感のある人格者が国王となっていますが、10年程前は先代の王とヤクザ集団・ギンドロ組が癒着して、大勢の女性を城に放り込んでは奴隷として非人道的に扱っていたという設定があります。
明確には言及されませんが、18禁作品向けの奴隷もいた可能性があるのと、当時城に連行されたミレーユもその手の奴隷にされていたのではと疑われる余地が残っているのが、実に気分の悪いところです。
まあ、ミレーユに関しては、その美貌を当時の王妃(現在は皇太后)に嫉妬されて地下牢に放り込まれたというので、下劣な先王と関わらずに済んだ可能性も十二分に残ってはいるのですが。
それにしても、こんな設定が何故必要だったのかは、まるで分かりません。
強いて言えば、ミレーユが地下牢に居合わせた老人から黄金の竜を呼ぶ笛を貰ったと分かる点では、意味あるものかもしれません。
…が、これらの昔話がミレーユに笛を持たせるための背景だとすると、不要な部分が多すぎたと言わざるを得ないでしょう。
黄金の竜を呼ぶ笛には、精霊ルビスが作ったものという設定がなされています。
なので、ミレーユが笛を持つ理由を作りたかったのなら、彼女を神や精霊に仕える神官の一族ということにでもすれば、家に代々伝わるものだから受け継いだなど、もっと単純なストーリーにできたはずです。
あるいは、ミレーユとテリーがすれ違ったり対立する理由を生じさせたかったのなら、大工になることを嫌がって家出したハッサンのように、求める生き方の違いから不仲になって離れていたなど、こちらにも簡単な設定はいくらでも作れたことでしょう。
何にせよ、「ガンディーノ」の悪政が背景になければならない必然性が、ろくに見当たらないのです。
一番面白くないのは、これらの悪政が全て昔の話に過ぎず、憂さを晴らす機会が全くないこと。
上述の通り、本編の時点では「ガンディーノ」の国主は人格者へと変わっていて、国自体も住みよい土地へと様変わりしています。
さらに、遅まきながらかつての下手人共を叩こうと思っても、先王は既に死亡しており、その妻である皇太后は現実を正しく認識できていない様子、ギンドロ組は辛うじて存続してはいるもののガタガタに弱体化しているなど、いずれも主人公達が手を下すまでもない状態でした。
つまり、劇中でここを訪問した時点でかつての悪人共はほぼ壊滅状態であり、主人公達やプレイヤーが介入する場面が一切ない訳です。
だったら、そもそもこんな面倒な設定などいらなかったのに…
ちなみに面倒つながりで言うと、後のドラクエ8に登場したパーティキャラクターのククールにも、複雑な家庭環境を持つという、面倒な設定がなされてはいます。
が、そのククールの面倒な設定は、ストーリーの本筋で上手く活かされていることに加え、完全な清算とは言えないにせよ1つの区切りを見ることができるため、あっても悪くなかったものでした。
それに引き替えこの「ガンディーノ」の昔話は、これと言って活用された場面がないばかりか、そもそもストーリーの本筋では言及すら全くされていないため、ただただ奇をてらってスベったものという印象しかありません。
管理人としては、ドラクエ6のストーリーで最も不愉快になった部分でした。
ストーリーについて・まとめ
管理人が語りたかったストーリー上のイベントは、大体上記のようなところです。
ドラクエ6のストーリー全体についてまとめると、良く言えば考察のしがいがある出来になっている、悪く言えばプレイヤーの解釈に頼り過ぎで曖昧模糊としている部分が多い、といった感じでした。
…RPGにおいてストーリーの重要性は決して低くないため、ぼかした描写が多いことはあまり良い印象ではなく、後者寄りの感想になりがちではありますが。
ウワサによれば、ドラクエ6のシナリオ担当者は「匂わせるのが必要」だとか「ゲームはユーザーがやって初めて完成する」と考えているらしく、「想像して楽しむという要素」や「ユーザーがイメージで作れる部分」を残しておきたいとの発言をしたことがあったのだそうです。
確かに、何から何まで語り尽くせば作品が面白くなるとは限らないし、むしろあえてぼかした描写に留める方が面白くなる事柄は、いくらでも存在するもの。
そう考えると、ドラクエ6のシナリオ担当者の発言は、耳触りの良い言葉にも思えます。
しかし、全てを語り尽くせば作品が面白くなるとは限らないのと同様に、あらゆる部分をぼかしまくることもまた、作品を面白くする保証はありません。
ストーリーというものを持つ作品の中には、ぼかした方が面白い部分もあれば、はっきりと描いた方が面白い部分もあるものです。
「バーバラと黄金の竜の関係」や、「ミレーユが実体を取り戻したタイミング」などを描写せず放置されたとあっては、「想像する余地を残した」などと言われても、腑に落ちないものが残ります。
面白がってプレイした身としては残念なのですが、ドラクエ6のストーリーは、はっきり描いた方が面白くなったであろう点をぼかした事例が多かったと言わざるを得ません。
また、「嫌だったイベント」で述べてきた感じで、人間の悪行に対しては報いが物足りないのも目に付くところ。
ムドーをはじめとした凶悪な魔物に対しては目一杯の鉄槌を下しているのだから、「サンマリーノ」の宿屋の娘や大臣ゲバンや「ガンディーノ」の悪人共に対しても、同じくらいの痛みを味わわせてやりたかったものです。
面白いイベントもいくつかあるものの、総合すると手放しで賞賛できるストーリーではない、というのが率直な感想でした。
次回はキャラクターについて
なかなか長くなりましたが、これにてドラクエ6のストーリーについての語りを終了とします。
ここまで御覧くださった訪問者様、ありがとうございました。
次回の記事では、ドラクエ6のキャラクター達について、あれこれ喋ってみるつもりです。
ご興味がございましたら、そちらもよろしくお願いします。
それでは、また。
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「暇人の独り言」管理人です。
あのドラクエ6を5周されたとは、頭が下がる思いです…!
さぞや序盤の山場では魔王ムドーに、某海底宝物庫では殺人兵器キラーマジンガに、そしてラストバトルでは大魔王デスタムーアに苦しめられたのではないでしょうか…(苦笑)
ドラクエ6はもっと単純なストーリーであれば良かった…というのは自分だけが抱く我儘な感想かとも思っていたのですが、同意していただけて嬉しいです。
再リメイクは管理人も密かに願っているところですが、DS版等と同じくストーリー面に手直しが入らないならいっそ放置される方がマシとも思えて…
複雑なところです。
ドラクエ6は大好きで5週くらいしました
堀井さんの発言は、バーバラが離脱するイベントが未だに強制だったりバーバラなら竜になれると発言する住民のセリフやルイーダの酒場に預けられない設定を、削除できるのにもかかわらずあえて削除してない点から、バーバラ=黄金の竜の設定は没になったというよりも、明言するのを控えて少しにおわせる程度にしたという意味なんでしょうね〜
しゃべり過ぎではつまらないと感じたのでしょう(堀井さんひねくれてそうですし(笑))
そうじゃないとストーリーが成立しませんし、ドラクエ4にもつながりませんからね....
おそらく最初は主人公とバーバラで子孫を作ってそれが4主人公につながっていく...みたいなストーリーも想定されていたのではないでしょうか?だから4主人公は伝説の武器を装備できるし天空人の血も流れていると
仰る通りドラクエ6はひねくれずにもっとわかりやすくストーリーを語るべきだったと思います
ドラクエ6はストーリーを匂わせるのが下手糞というか中途半端な上にストーリーのボリュームが大きいため、1周したくらいでは理解できない(十分に考察できない)難解なストーリーになり、せっかくのいいストーリーが台無しになっているという印象ですね
本当にもったいない作品ですよね〜...再リメイクして全てを公式に明かしてくれるのを未だに期待しています(中身は大体予想がつきますが(笑))