2018年03月16日
発語失行について 〜医療・介護スタッフ、家族向け〜
皆さんこんにちは!
言語聴覚士の桃の助です
言語聴覚士についての説明は、こちらから
このページでは、失語症の一症状の「発語失行(はつごしっこう)」についてお話ししたいと思います。
「失語症についてあまり知らない」という方は、こちらから
「失語症は何となく知っているけど、もっと詳しく知りたい」という方は、こちらから
発語失行は失語症の患者に時々みられる症状の一つなんですが、失語症とは若干違います。
どちらかと言うと名前の通り失行に近い症状なんですが、失語症の患者さんの発話の阻害要因になっている事が多いので、失語症のカテゴリーとしてお話しをさせて頂きます。
発語失行はブローカ失語や非流暢タイプの失語症に合併します。
麻痺や失調などの構音器官に運動障害が無いにもかかわらず、一貫性のない構音の誤りが生じる状態です。
また、この時に言おうとしている言葉は喚語されています。
音節(一音)ごとに構音するなど遅く、努力性の発話となり、プロソディの障害を呈します。
(プロソディ=リズム・アクセント・抑揚など)
つまり簡単に言うと、
言いたい言葉は言葉として出てきていますが、話す直前になってたどたどしい発話になってしまう状態です。
その際に、麻痺などは無いにもかかわらず、話した言葉が不明瞭になったり、日本語に存在しないような音として表出される状態と言えます。
実際の発話を表記してみると
「こんにちは」→発語失行「ど、ん…ひひ、やっ」
単語レベルであればこの程度ですが、文章レベルになると、
「今日もいい天気ですね」→発語失行「ど、んんもっ…いぃ、いぃ。つぇん、くぇで、つっぅ…え」
というような聞き手からすると、非常に分かりにくい発話となってしまいます。
左半球の中心前回下部と言われています。
島前部も責任病巣と言われていますが、現状では中心前回下部が最も有力です。
観念運動失行が口腔顔面領域に起こった場合起こります。
口笛をふく、舌打ちをする、口の動作を真似るといった動作ができなくなります。
責任病巣:左縁上回前下部から左中心後回後下部
一般的には、
・標準失語症検査(SLTA)
・失語症鑑別診断検査
・WAB失語症検査(WAB)
掘り下げ検査として、
・日常コミュニケーション能力検査(CADL)
・失語症語彙検査
・失語症構文検査(STA)
・重度失語症検査
などがありますが、ここでは割愛させて頂きます。
症状が重度であればあるほど、時間がかかり回復が難しくなります。
重度なほど、症状は残存しやすくコミュニケーションが困難なまま生活しなければならない可能性が高まります。
その際に、ブローカー失語と発語失行の方であれば、理解は良好であるため、コミュニケーションノートなどの代替手段を活用すると、円滑に会話ができる可能性があります。
軽症の方であれば、発症以前とほぼ同等の状態まで回復する可能性もあります。
コミュニケーションノートや発語失行の訓練については別のページでお話しさせて頂きたいと思います。
いかがだったでしょうか?
このページでは、発語失行についてお話しさせて頂きました。
発語失行を患った患者さんは理解できている分、発話がスムーズにいかない事に対する心理的なストレスも非常に大きいです。
代替手段のコミュニケーションノートなどを活用して、コミュニケーションの円滑化を図りたいものですね。
この他にも病気予防や症状について書いていますので、お時間がある方は他のページも読んでいただけると嬉しいです。
それではまた。
桃の助でした
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言語聴覚士の桃の助です
言語聴覚士についての説明は、こちらから
このページでは、失語症の一症状の「発語失行(はつごしっこう)」についてお話ししたいと思います。
「失語症についてあまり知らない」という方は、こちらから
「失語症は何となく知っているけど、もっと詳しく知りたい」という方は、こちらから
発語失行は失語症の患者に時々みられる症状の一つなんですが、失語症とは若干違います。
どちらかと言うと名前の通り失行に近い症状なんですが、失語症の患者さんの発話の阻害要因になっている事が多いので、失語症のカテゴリーとしてお話しをさせて頂きます。
発語失行とは
発語失行はブローカ失語や非流暢タイプの失語症に合併します。
麻痺や失調などの構音器官に運動障害が無いにもかかわらず、一貫性のない構音の誤りが生じる状態です。
また、この時に言おうとしている言葉は喚語されています。
音節(一音)ごとに構音するなど遅く、努力性の発話となり、プロソディの障害を呈します。
(プロソディ=リズム・アクセント・抑揚など)
つまり簡単に言うと、
言いたい言葉は言葉として出てきていますが、話す直前になってたどたどしい発話になってしまう状態です。
その際に、麻痺などは無いにもかかわらず、話した言葉が不明瞭になったり、日本語に存在しないような音として表出される状態と言えます。
実際の発話を表記してみると
「こんにちは」→発語失行「ど、ん…ひひ、やっ」
単語レベルであればこの程度ですが、文章レベルになると、
「今日もいい天気ですね」→発語失行「ど、んんもっ…いぃ、いぃ。つぇん、くぇで、つっぅ…え」
というような聞き手からすると、非常に分かりにくい発話となってしまいます。
責任病巣
左半球の中心前回下部と言われています。
島前部も責任病巣と言われていますが、現状では中心前回下部が最も有力です。
合併しやすい症状
口腔顔面失行
観念運動失行が口腔顔面領域に起こった場合起こります。
口笛をふく、舌打ちをする、口の動作を真似るといった動作ができなくなります。
責任病巣:左縁上回前下部から左中心後回後下部
評価
一般的には、
・標準失語症検査(SLTA)
・失語症鑑別診断検査
・WAB失語症検査(WAB)
掘り下げ検査として、
・日常コミュニケーション能力検査(CADL)
・失語症語彙検査
・失語症構文検査(STA)
・重度失語症検査
などがありますが、ここでは割愛させて頂きます。
予後と対応
症状が重度であればあるほど、時間がかかり回復が難しくなります。
重度なほど、症状は残存しやすくコミュニケーションが困難なまま生活しなければならない可能性が高まります。
その際に、ブローカー失語と発語失行の方であれば、理解は良好であるため、コミュニケーションノートなどの代替手段を活用すると、円滑に会話ができる可能性があります。
軽症の方であれば、発症以前とほぼ同等の状態まで回復する可能性もあります。
コミュニケーションノートや発語失行の訓練については別のページでお話しさせて頂きたいと思います。
いかがだったでしょうか?
このページでは、発語失行についてお話しさせて頂きました。
発語失行を患った患者さんは理解できている分、発話がスムーズにいかない事に対する心理的なストレスも非常に大きいです。
代替手段のコミュニケーションノートなどを活用して、コミュニケーションの円滑化を図りたいものですね。
この他にも病気予防や症状について書いていますので、お時間がある方は他のページも読んでいただけると嬉しいです。
それではまた。
桃の助でした
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