2018年07月15日
発語失行の訓練法選択について
皆さんこんにちは。
当サイトを運営している桃の助です
本日は、脳卒中後に起こる言語障害の1つの症状である「発語失行」についてお話ししたいと思います。
発語失行は、重症となることも多く、また残存しやすい症状の1つでもあります。
そのため、退院後も日常生活で会話の不自由さが残りやすいとも言えます。
そんな発語失行に対する訓練法の選択について本日はお話ししていきます。
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発語失行の訓練法の選択に入る前に、まずは発語失行の症状についておさらいしておきたいと思います。
発語失行は、「発声発語器官の麻痺や失調、不随意運動などの運動障害が伴わないにもかかわらず出現する構音の障害」のことを言います。
【責任病巣】
・ブローカ領域の運動回路
・前頭葉病変または後方病変
・左中心後回の顔面領域
・左半球の島
・中心前回下部
など、責任病巣については多数の報告があり、特定されていないのが現状です。
【合併する事の多い症状】
・口腔顔面失行:約68%
・手足の失行:67%
・口腔顔面失行と手足の失行の合併:83%
・失語症:81%
・ディサースリア(構音障害):31%
症状などについてはこちらからどうぞ↓
・発語失行について
では、本題の訓練法の選択についてお話ししたいと思います。
重症であれば、まずは「あ」の発声から始める事になるでしょう。
重症例の場合は、「あ」という簡単な発声すらできない場合もあります。
「あ」の発声ができるようになれば、次は母音の練習に移ります。
「い」「う」が「あ」の次に模倣しやすい音になります。
「い」「う」が言えるようであれば、「え」「お」に進んで練習しましょう。
母音が発声できるようになれば次は子音です。
子音の練習では、STがいかに口形を正しく見せ、分かりやすく指導できるかが重要となります。
ターゲットとなる音は、「ぱ」から始める事をお勧めします。
発語失行の患者では、口腔に過度な緊張が入る事が多いので、破裂音は取り組みやすい音となります。
また、両唇音のため、口形模倣がしやすく、比較的練習しやすい音となります。
子音の発声で難しい点としては、「ぱ」と「ば」の違いを上手く発声出来るように指導する点が挙げられます。
「ぱ」が先に習得されやすく、「ば」が後に習得されやすいです。
そのため、「ば」と発声したいのに、患者は「ぱ」と発声してしまいます。
こういった場合には、口形で示しても患者には同じように見えてしまいます。
この時の解決法としては、「音の高さの違い」を視覚的に呈示します。
例えば、「ぱ」を発声する場合は高音域になりやすいです。
また、「ば」を発声する場合は低音域になりやすいです。
これを利用して、発声とともに手などで音の高さを示してあげる事で、患者も音の調子を合わせやすくなり、発声できる確率が増えてきます。
その他には、挨拶後や慣用句、系列語(1、2、3…)などが有効な場合も多いです。
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・メロディック・イントネーションセラピー(MIT)
・斉唱
・歌
など
・口腔顔面失行が強い場合は、随意的な非構音運動の併用
・発声持続(意図的構音)
・口形強調提示による母音
・ハミングから/ma/など非構音運動の利用で音節、単語(短い)
・MIT
など
・系統的構音訓練(簡単な音から、短い音節から、簡単な調音結合から)
・構音運動の説明や呈示による理解、口形や口形図によるヒント呈示
・触覚ー運動感覚情報の強調
・視覚フィードバックの強調
・聴覚フィードバックの強調
など
・言いにくい調音結合の単語での訓練
・文、文節での訓練
・プロソディの訓練(より自然会話に近づくよう)
・録音による自己評価
・自主学習
・マンガ説明や会話場面での自然会話
など
ここでは、それぞれの訓練法についての説明はあまりにも多くなるので、割愛させて頂きます。
軽症例であれば失語症の訓練に近い訓練法の選択になると思います。
しかし、重症例であれば口形模倣も困難な場合が多いので、口腔顔面失行に対するアプローチも多くの場合では選択肢に入ってきます。
また、初頭音の開始困難から、発声を極度に嫌う患者もいます。
そういった患者に対して心のケアもSTが行えるといいですね。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
この他にも色々な記事を書いているので、読んで頂けると嬉しいです!
それではまた。
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当サイトを運営している桃の助です
本日は、脳卒中後に起こる言語障害の1つの症状である「発語失行」についてお話ししたいと思います。
発語失行は、重症となることも多く、また残存しやすい症状の1つでもあります。
そのため、退院後も日常生活で会話の不自由さが残りやすいとも言えます。
そんな発語失行に対する訓練法の選択について本日はお話ししていきます。
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発語失行とは
発語失行の訓練法の選択に入る前に、まずは発語失行の症状についておさらいしておきたいと思います。
発語失行は、「発声発語器官の麻痺や失調、不随意運動などの運動障害が伴わないにもかかわらず出現する構音の障害」のことを言います。
【責任病巣】
・ブローカ領域の運動回路
・前頭葉病変または後方病変
・左中心後回の顔面領域
・左半球の島
・中心前回下部
など、責任病巣については多数の報告があり、特定されていないのが現状です。
【合併する事の多い症状】
・口腔顔面失行:約68%
・手足の失行:67%
・口腔顔面失行と手足の失行の合併:83%
・失語症:81%
・ディサースリア(構音障害):31%
症状などについてはこちらからどうぞ↓
・発語失行について
訓練法の選択
では、本題の訓練法の選択についてお話ししたいと思います。
発声・母音
重症であれば、まずは「あ」の発声から始める事になるでしょう。
重症例の場合は、「あ」という簡単な発声すらできない場合もあります。
「あ」の発声ができるようになれば、次は母音の練習に移ります。
「い」「う」が「あ」の次に模倣しやすい音になります。
「い」「う」が言えるようであれば、「え」「お」に進んで練習しましょう。
子音発声
母音が発声できるようになれば次は子音です。
子音の練習では、STがいかに口形を正しく見せ、分かりやすく指導できるかが重要となります。
ターゲットとなる音は、「ぱ」から始める事をお勧めします。
発語失行の患者では、口腔に過度な緊張が入る事が多いので、破裂音は取り組みやすい音となります。
また、両唇音のため、口形模倣がしやすく、比較的練習しやすい音となります。
子音の発声で難しい点としては、「ぱ」と「ば」の違いを上手く発声出来るように指導する点が挙げられます。
「ぱ」が先に習得されやすく、「ば」が後に習得されやすいです。
そのため、「ば」と発声したいのに、患者は「ぱ」と発声してしまいます。
こういった場合には、口形で示しても患者には同じように見えてしまいます。
この時の解決法としては、「音の高さの違い」を視覚的に呈示します。
例えば、「ぱ」を発声する場合は高音域になりやすいです。
また、「ば」を発声する場合は低音域になりやすいです。
これを利用して、発声とともに手などで音の高さを示してあげる事で、患者も音の調子を合わせやすくなり、発声できる確率が増えてきます。
その他には、挨拶後や慣用句、系列語(1、2、3…)などが有効な場合も多いです。
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重症度による訓練方法の選択
重度
・メロディック・イントネーションセラピー(MIT)
・斉唱
・歌
など
重中度
・口腔顔面失行が強い場合は、随意的な非構音運動の併用
・発声持続(意図的構音)
・口形強調提示による母音
・ハミングから/ma/など非構音運動の利用で音節、単語(短い)
・MIT
など
中等度
・系統的構音訓練(簡単な音から、短い音節から、簡単な調音結合から)
・構音運動の説明や呈示による理解、口形や口形図によるヒント呈示
・触覚ー運動感覚情報の強調
・視覚フィードバックの強調
・聴覚フィードバックの強調
など
軽度
・言いにくい調音結合の単語での訓練
・文、文節での訓練
・プロソディの訓練(より自然会話に近づくよう)
・録音による自己評価
・自主学習
・マンガ説明や会話場面での自然会話
など
ここでは、それぞれの訓練法についての説明はあまりにも多くなるので、割愛させて頂きます。
おわりに
軽症例であれば失語症の訓練に近い訓練法の選択になると思います。
しかし、重症例であれば口形模倣も困難な場合が多いので、口腔顔面失行に対するアプローチも多くの場合では選択肢に入ってきます。
また、初頭音の開始困難から、発声を極度に嫌う患者もいます。
そういった患者に対して心のケアもSTが行えるといいですね。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
この他にも色々な記事を書いているので、読んで頂けると嬉しいです!
それではまた。
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