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2016年08月12日

【女王の花】マンガ 感想&あらすじ 身分違いの2人の絆と切ない恋を描いた歴史ロマン大作

ベツコミ。2007年11月号から連載中。既刊14巻
著者:和泉かねよし
他作品:メンズ校

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あらすじ・概要

古代の国「亜」の女王が自分の墓に添えられることを願ったと言われる「女王の花」。千年に一度だけ花を咲かせ、どんな願いも叶える力があるとされていた花。女王の願いとは何だったのか。それを知る者は誰もいない・・・。

亜国・黄国・土国・曾国、各国が勢力を争う群雄割拠の時代。亜国で正妃の娘として生まれた亜姫だったが、強い後ろ盾を持つ第二王妃の土姫によって、母・黄姫ともども宮殿の隅に追いやられていた。
ある日、亜姫は金の髪と天の色の眼を持つ胡人・薄星と出会う。亜姫に救われた薄星は「おれの一生はあんたのものだ」と忠誠を誓う。
母のことを想う亜姫はなんとか父の目を引こうと奮闘するが、その行いは逆に不信を買うことになり、さらに支えであった母を土姫によって毒殺され、亜国から黄国へ人質として追い出されることになってしまった。
心が折れかけた亜姫だったが、薄星の励ましを受け、いつか必ず力をつけ亜国へ戻ってくることを誓うのだった。

主要登場人物

・亜姫(あき)
亜の国の姫。正妃である黄姫の娘。聡明で利発、美しい容姿を持つ少女。不器用で若さゆえ思慮に欠ける行動をとることから失敗することもありますが、いくら倒れても起き上がる強い信念を持っています。薄星のことを大切に思っており、彼を守るためにあえて突き放す態度をとるようになります。

・薄星(はくせい)
金髪碧眼の胡人。亜姫に「天の色の眼」と誉められ、命も救われたことから忠誠を誓います。体格に恵まれ、武芸にも優れ、亜姫を支え守る存在。願いが叶う「千年の花」のことを亜姫に教えたのは薄星。

・土妃 (どひ)
亜の国の第二王妃。土の国出身の姫。美しく派手に着飾っており、権勢への欲が非常に強い人物。自分の気に入らないものは容赦なく切り捨てる冷酷非情な女性。黄姫を毒殺し、自身と息子の立場を磐石にしようと画策。

・曾王子(そうおうじ)旦 (たん)
曾の国の第一王子。傲岸不遜な性格ですが、部下からの人望は厚い。策士家であり、背は低いものの武術にも優れてています。亜姫のことを気に入り、幾度となく求婚しては振られています。

感想

姫として生まれながら母と共に冷遇され、国まで追われた姫が、母を殺し他国へ追いやった第二王妃を倒し、亜の国の女王に即位するべく奮闘する姿を描いた物語。
古代の中国を思わせる国を舞台にした歴史ロマン大作。亜姫と薄星の身分違いの愛と絆を描いた物語でもあります。1巻の時点でもう判明してることなので言ってしまいますが、主人公が女王になることは確定してるようです。

1巻冒頭から既に不穏な空気が漂ってましたね。
たとえ わずかなときでもいい 年老い 皺深くなった この手に
もう1度 あの星が 還るなら 何も惜しくはない
もう なにも いらない
これを誰が語っているのか予想はできても定かではありません。1巻だけではなく、毎巻冒頭は何者かの希望の見えない語りで始まり、悲劇的な結末を予感させられます。物語を読み進めていくと亜姫や薄星に愛着が湧いてくるので、この嫌な予感だけは外れて欲しいと切に願ってるんですが、どんどん不穏になっていくので不安は拭えません。私が見たい結末はもしかしたらないのかもしれませんが、結末が非常に気になる作品ですね。もちろん希望は皆無ではないと信じてます。

亜姫と薄星のお互いを想い合う姿は美しくもあり切なくもあります。亜姫の女王になる決意は揺るぎないもので、それゆえ身分が違いすぎる胡人で元奴隷の薄星とは一緒になることは難しい状況。どう考えても2人が手を取り合えるとしたら、全てを捨ててしまう以外なさそうなんですが、亜姫がそれを選ぶとも思えません。
亜姫は戦が始まると薄星の身を案じ、自分から遠ざけようとしますが、気丈に振る舞っていても身を切られるように辛い気持ちは伝わってくるので、とても切ない気分になりますね。薄星も亜姫のためなら自分の命も名誉をも厭わない覚悟ですし、いくら亜姫が戦から遠ざけようとしても離れようとは決してしません。ある人物が薄星を旅に誘ってくれましたが、そこには姫がいないからという理由で断ります。冒頭の件にしろ、この恋愛模様にしろ、明るい未来を見るのは難しそうではありますが、2人には幸せになってほしいと切に願ってます。

亜姫と薄星の恋だけではなく、この作品には悲恋が多く語られているので切なくなりますね。亜姫の母・黄妃(こうひ)と、青徹(せいてつ)という亜姫と薄星の師にあたる人物の恋。詳しくは伏せさせてもらいますが、この2人の関係は亜姫と薄星の関係に近く、主従を超えた深い絆で繋がっています。しかも想い合ってるのに報われないところも似てますね。想う気持ちを言葉にして伝えたいけど伝えられなず、差し伸べられた手が目の前にあるのに相手を想うばかりにそれを握ることはできない。この青徹には黄妃とのエピソードだけでなく、亜姫とのエピソードでも泣かされてしまいました。
他にも曾の国の元第一王子・光(こう)とその護衛をしている翠蝉(すいせん)の話も胸が痛い。翠蝉の光を想う姿は薄星に通じるものがりました。ほんとに誰も彼も素直な想いを口にすることがなかなかできず、もどかしい限りです。

どのエピソードも切なくて悲しい気持ちにさせられるので、読んでて胸が痛くなります。それでも、続きと結末が気になって読み進めてしまう魅力がある作品です。恋愛模様だけでなく、古代中国を思わせる壮大な世界観は素晴らしく、戦記モノとしても楽しめます。相手の策を読み合う交渉や戦はなかなか見応えありました。
ただ、やはり一番きになるのはメイン2人の行く末ですけどね。亜姫と薄星の結末は大方の予想通りに進んでしまうのか、それとも救いがあるのかを見届けずにはいられません。悲しく切ない話が多めですが、大きな感動もあるストーリなのでぜひ読んでみてください。おすすめさせていただきます。
あと、この作者さんはちょっとおふざけなところもあるようで、ある巻の巻末に挿し込まれていた美少女戦士土妃ちゃんには唖然とさせられました。

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ハネ吉
とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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