2017年09月06日
【恋するシロクマ】マンガ 感想&あらすじ 捕食者と被捕食者との異種交流を描いたビーストラブ(BL)コメディ
月刊コミックジーン。2015年7月号から連載中。既刊3巻
作者:ころも
それは、運命の出会い。ひと目見たその瞬間、心を奪われた――。
食物連鎖の上位に君臨するとある1匹のシロクマ(♂)が恋に落ちた。
そのお相手は、大きな瞳、なめらかなボディライン、そして真っ白で美しい体の・・・・アザラシ(♂)。
熱烈アタックで想いを伝え続けるシロクマさん。見渡す限り広がる白銀の世界、その中で2匹の大小異なる彼らのふれあいは微笑ましくもあるけど、本能的な恐怖には逆らえないアザラシ君は震えてばかり。
本来ならば狩る狩られる、捕食者と被捕食者の関係性。
種族も、性別も、立場も乗り越え、果たしてシロクマさんの恋は成就するのだろうか?そして、その想いを一身に受けるアザラシ君の運命や如何に。
ネタバレも含まれているので注意
・シロクマさん
シロクマ(ホッキョクグマ)のオス。アザラシ君に一目惚れをし、種族の壁も性別の壁もお構いなしに熱烈アタックを継続中。心優しい性格をしていますが、非常に鈍感なうえに天然でもあります。
産みの親は双子の兄だけを愛し、ある日シロクマ君を置き去りにしていなくなってしまいます。その後、偶然通りかかった優しいシロクマ親子に家族として迎えられ、その母と兄から思いやりの心や大切な人を愛する心を教わりました。幸せな日々を過ごしていましたが、あるとき大きなオスシロクマの襲撃に合い、母はシロクマ君を守るために命を落とし、兄は助けに入って・・・。
アザラシ君が初恋をしたことにショックを受けながらも、彼の幸せを願って応援していましたが、本意ではありません。失恋した彼に意を決して改めて告白するも、今度ははっきりとフラれてしまい、失恋者同士で大泣きしました。しかし、その後でペンギンのキャシーに背中を押され、再び熱烈アプローチで想いを伝え続けています。
・アザラシ君
タテゴトアザラシのオス。お母さんの言い付けを破ってちょっとだけ探検していたところ、ばったり遭遇したシルクマさんに一目惚れされました。本能的な捕食の恐怖が消えないため常に体は震えています。
かつて出会った人間のカップルが交わしていた“食べてしまいたいくらい好き”という愛情表現を、そのままの意味として受け取り、「大好き=食べる」と解釈していました。
母の「人の嫌がること、悲しむことをしてはだめよ」という言葉を大切にするあまり、恐怖で震えてはいてもなんだかんだでシロクマさんを邪険にはできない優しさを持ちます。
震えにおいて天才的なセンスを持つも、高速の域に達したそれは止まって見えてるため、シロクマさんには恐怖が伝わり辛い。
シロクマとアザラシが親しくなれるわけがないと思いつつも、少しずつ心を開きかけている自分の変化に悩んでいましたが、恋人はともかく友達であることは認めるようになりました。
母親から泳ぎを教わらなかったため、最初にシロクマさんから、次にペンギンのキャシーから、そして現在はシャチのダーリンからレクチャーを受けています。
・クジラのお姉さん
シロナガスクジラのメス。死期を感じて最期にと選んだ場所に訪れた際、家族を失って悲しんいたシロクマさんと出会い、ほんの僅かの間だけ友達になりました。「おばさん」と呼ぶと「お姉さんよ」と訂正してきます。
・お母さん(アザラシ)
アザラシ君のお母さん。一度は本能で息子を連れてシロクマさんのもとから逃げるも、彼に捕食する意思がないことを信じ、別れを告げてアザラシ君を独り立ちさせました。優しいけど抜けてるところがあり、アザラシ君に泳ぎ方を教え忘れたまま去ってしまいます。
・シロクマちゃん
まだ幼い子供のシロクマのメス。り母親とはぐれて途方に暮れていたとき、シロクマさんたちと出会って一緒にお母さん探しをしました。しっぽに結んだリボンが特徴。
おままごとをすることになった際、自分をおかあさん、シロクマさんをおとうさん、そしてアザラシ君に割り当てたのは「ごはん」の役。シロクマさんに恋をしているため、アザラシ君にはちょっと手厳しい。
・キャサリン
失恋中の2人の前に現れたコウテイペンギンの・・・体はオス、心はメス。愛称は「キャシー」。姐さん気質の頼れるペンギン。アザラシ君の2代目となる泳ぎの先生。
恋愛ごとには異常なほど熱くなり、泳ぎのレクチャーと共に恋愛講座的なこともしてくれます。「ダーリン」と呼ぶ恋人がいるのですが、相手はペンギンではなく食物連鎖の頂点に君臨する「シャチ」。
・ダーリン
シャチのオス。キャシーと共に世界中の海を旅しています。本人は恋人でもなければ、キャシーは勝手に付いて来てるだけと言っているものの、それなりに仲良くやってきたようです。
なかなか泳ぎが上達しなかったアザラシ君に、スポーツ科学にのっとったかのような説明で間違いを指摘し、真の先生になってくれました。
どうも人には言えない性癖を持っているらしい。
【eBookJapan】 恋するシロクマ 無料で試し読みできます
漫画というのは元々ありえないことだらけの娯楽物なのですが、その上で思わず「ありえないだろ!」とツッコミを入れたくなる奇抜な設定の作品もよく目にします。
私の場合は溢れる好奇心を抑えることがなかなか難しく、これまで特に興味なかったジャンルでも手に取ってしまいますね。まあ、7、8割方は出オチの息切れが早いわけですけど、まれに当たり作品とも巡り会えるから衝動買いもやめられません。
最近だと『八雲さんは餌づけがしたい。』と『傘寿まり子』は、設定に無理ありますけど非常に良く出来た面白い作品だと思ってます。
さて、今回紹介させていただく漫画は『恋するシロクマ』。
BL作品は全く読まない私ですが、シロクマとアザラシというありえない組み合わせが気になり過ぎて思わず購入。結果的には非常に面白く、BLを受け付けられない人でも全く問題なく読める内容でした。
真っ白いタテゴトアザラシに恋をしてしまったシロクマ(♂)と、その彼から熱烈アピールを受けるアザラシ(♂)、食物連鎖に抗うかのような種族を超えた恋と友情の物語。
動物のオス同士によるBL(ビーストラブ)。帯での謳い文句は「それは、運命の恋」、「この恋は弱肉強食」など。限定版はドラマCD付き。ぷちアニメ化され、全国約50の映画館にて上映。
作者は本人腐ってるらしい漫画家・ころも先生。
弱肉強食の自然界において、本来ならば捕食行為以外のことでは交わることのない、シロクマ(捕食者)とアザラシ(被捕食者)の異種交流を描いた作品。
しかも、シロクマ(♂)がオザラシ(♂)に恋をするという同性での純愛を描いたBL(ビーストラブ)でもあります。
ただ、オスがオスに恋をするというボーイズラブ要素を含んではいますが、一方通行の恋慕で過度な腐向け的表現は無く(そもそも動物だし)、上記に書いた通りその類の作品に強い抵抗ある人でも楽しめる内容。
かくゆう私も腐女子の生態には若干興味あってもボーイズラブはちょっと無理な部類。それでも全く拒否反応出ることなく読めました。
むしろ、シロクマさんがアザラシ君を抱きしめてる光景はとても和まされますね。なにせモフモフがモフモフをモフモフしてるんですから。このモフみ純度の高さはある意味卑怯。
まあ、震えるアザラシ君の心境を考えると、和んでしまってることに申し訳なさを感じますけど・・・それはそれでかわいかったり。
立ち塞がる障害などお構いなしで熱烈アピールを続けるシロクマさんと、それを受けて終始震え続けるアザラシ君。そんなありえないな絵面でのシュールやりとりが織り成されているハートフルコメディ。
現状はシロクマさんの一方的な片想い。どちらかというと仲の良い(?)友達といった感じ。はっきり言ってアザラシ君には微塵も恋に発展する兆しが見えないので、このまま奇妙な友情物語として進むのかもしれません。
そもそも友情が芽生えてるだけでも奇跡、さらなる奇跡は果たして・・・。
この作品の魅力はここにあるでしょうね。
ただただ一途に想うアザラシ君への愛をアピールし続けるシロクマさん。それを受けて胸の高鳴り(恐怖によるドキドキ)とガクブルが治まらないアザラシ君。
種族も違う、立場も違う、だけど性別は同じ、そんな不合理過ぎる関係性がちぐはぐなすれ違いを生み出しています。
アザラシ君の恐怖をなかなか察することのできないシロクマさんは、おめでたい脳内でポジティブ変換して1人ウキウキ気分。
アザラシ君もシロクマさんが「食べない」と言ってはいても、遺伝子レベルで刷り込まれている本能から湧き上がる捕食の恐怖は拭えず、信用させて食べるのではとか、大好きは食べたいの裏返しみたいな形で捉えているため、純粋な想いはなかなか伝わりません。
そんなやりとりがとても可愛くて、ちょっと不憫で、かなり可笑しいことになってます。
当初は恐怖しか無かったアザラシ君も、一緒に過ごすなかでシロクマさんの優しさにふれ、次第に心を開いていきます。恐怖と振るえは消えませんけど。
この作品、基本的にコメディ寄りの内容ではありますが、それだけじゃない見所も多く含まれています。たまに挿し込んでくる思わずウルっときてしまう切ない話、美しい話、考えさせられる話が良いアクセントになっていました。
本来ならは狩る狩られるの関係が正常。強い捕食者であるシロクマにとって、力無き被捕食者であるアザラシは格好のエサでしかありません。それが自然の摂理というもの。
今のありえない関係は笑いを生むこともありますが、作中には涙を誘う美しい絆の話や、厳しい現実とも直面する話も用意されています。
シロクマさんの切ない過去、交わらないはずだった2人の間に絆が芽生える出来事、そして愛する者を守ろうとする姿など、笑いだけではなく、温かい愛情も溢れている作品。
と言っても、悲しいだけ、美しいだけでは終わらせないオチも見事に決めてきます。
と言ったところで、運命の出会いを果たしてしまった捕食者と被捕食者との交流を描いた漫画『恋するシロクマ』の紹介でした。
とにかくカワイイ。カワイイは正義。シロクマさんとアザラシ君はもちろんのこと、他にも登場する様々な動物キャラタクーたちはとても愛らしく、そんなサブキャラたちと出会い別れを繰り返して物語は展開されていきます。
作品の雰囲気はハートフルで心地よく、絵柄も内容にマッチした可愛い系、読後感もほんわかした温かな気持ちになれるので癒されます。
アニマルキャラクターのビジュアルに癒されるのも、可笑しなやりとりを楽しむのも、特殊な同性愛に想像を膨らませるのも、楽しみ方は無数。
男性でも女性でも性別関係なく楽しめる作品ですので、よければ読んでみてください。自信をもっておすすめさせていただきます。
作者:ころも
あらすじ
それは、運命の出会い。ひと目見たその瞬間、心を奪われた――。
食物連鎖の上位に君臨するとある1匹のシロクマ(♂)が恋に落ちた。
そのお相手は、大きな瞳、なめらかなボディライン、そして真っ白で美しい体の・・・・アザラシ(♂)。
熱烈アタックで想いを伝え続けるシロクマさん。見渡す限り広がる白銀の世界、その中で2匹の大小異なる彼らのふれあいは微笑ましくもあるけど、本能的な恐怖には逆らえないアザラシ君は震えてばかり。
本来ならば狩る狩られる、捕食者と被捕食者の関係性。
種族も、性別も、立場も乗り越え、果たしてシロクマさんの恋は成就するのだろうか?そして、その想いを一身に受けるアザラシ君の運命や如何に。
登場キャラクター
ネタバレも含まれているので注意
・シロクマさん
シロクマ(ホッキョクグマ)のオス。アザラシ君に一目惚れをし、種族の壁も性別の壁もお構いなしに熱烈アタックを継続中。心優しい性格をしていますが、非常に鈍感なうえに天然でもあります。
産みの親は双子の兄だけを愛し、ある日シロクマ君を置き去りにしていなくなってしまいます。その後、偶然通りかかった優しいシロクマ親子に家族として迎えられ、その母と兄から思いやりの心や大切な人を愛する心を教わりました。幸せな日々を過ごしていましたが、あるとき大きなオスシロクマの襲撃に合い、母はシロクマ君を守るために命を落とし、兄は助けに入って・・・。
アザラシ君が初恋をしたことにショックを受けながらも、彼の幸せを願って応援していましたが、本意ではありません。失恋した彼に意を決して改めて告白するも、今度ははっきりとフラれてしまい、失恋者同士で大泣きしました。しかし、その後でペンギンのキャシーに背中を押され、再び熱烈アプローチで想いを伝え続けています。
・アザラシ君
タテゴトアザラシのオス。お母さんの言い付けを破ってちょっとだけ探検していたところ、ばったり遭遇したシルクマさんに一目惚れされました。本能的な捕食の恐怖が消えないため常に体は震えています。
かつて出会った人間のカップルが交わしていた“食べてしまいたいくらい好き”という愛情表現を、そのままの意味として受け取り、「大好き=食べる」と解釈していました。
母の「人の嫌がること、悲しむことをしてはだめよ」という言葉を大切にするあまり、恐怖で震えてはいてもなんだかんだでシロクマさんを邪険にはできない優しさを持ちます。
震えにおいて天才的なセンスを持つも、高速の域に達したそれは止まって見えてるため、シロクマさんには恐怖が伝わり辛い。
シロクマとアザラシが親しくなれるわけがないと思いつつも、少しずつ心を開きかけている自分の変化に悩んでいましたが、恋人はともかく友達であることは認めるようになりました。
母親から泳ぎを教わらなかったため、最初にシロクマさんから、次にペンギンのキャシーから、そして現在はシャチのダーリンからレクチャーを受けています。
・クジラのお姉さん
シロナガスクジラのメス。死期を感じて最期にと選んだ場所に訪れた際、家族を失って悲しんいたシロクマさんと出会い、ほんの僅かの間だけ友達になりました。「おばさん」と呼ぶと「お姉さんよ」と訂正してきます。
・お母さん(アザラシ)
アザラシ君のお母さん。一度は本能で息子を連れてシロクマさんのもとから逃げるも、彼に捕食する意思がないことを信じ、別れを告げてアザラシ君を独り立ちさせました。優しいけど抜けてるところがあり、アザラシ君に泳ぎ方を教え忘れたまま去ってしまいます。
・シロクマちゃん
まだ幼い子供のシロクマのメス。り母親とはぐれて途方に暮れていたとき、シロクマさんたちと出会って一緒にお母さん探しをしました。しっぽに結んだリボンが特徴。
おままごとをすることになった際、自分をおかあさん、シロクマさんをおとうさん、そしてアザラシ君に割り当てたのは「ごはん」の役。シロクマさんに恋をしているため、アザラシ君にはちょっと手厳しい。
・キャサリン
失恋中の2人の前に現れたコウテイペンギンの・・・体はオス、心はメス。愛称は「キャシー」。姐さん気質の頼れるペンギン。アザラシ君の2代目となる泳ぎの先生。
恋愛ごとには異常なほど熱くなり、泳ぎのレクチャーと共に恋愛講座的なこともしてくれます。「ダーリン」と呼ぶ恋人がいるのですが、相手はペンギンではなく食物連鎖の頂点に君臨する「シャチ」。
・ダーリン
シャチのオス。キャシーと共に世界中の海を旅しています。本人は恋人でもなければ、キャシーは勝手に付いて来てるだけと言っているものの、それなりに仲良くやってきたようです。
なかなか泳ぎが上達しなかったアザラシ君に、スポーツ科学にのっとったかのような説明で間違いを指摘し、真の先生になってくれました。
どうも人には言えない性癖を持っているらしい。
【eBookJapan】 恋するシロクマ 無料で試し読みできます
感想・見所
漫画というのは元々ありえないことだらけの娯楽物なのですが、その上で思わず「ありえないだろ!」とツッコミを入れたくなる奇抜な設定の作品もよく目にします。
私の場合は溢れる好奇心を抑えることがなかなか難しく、これまで特に興味なかったジャンルでも手に取ってしまいますね。まあ、7、8割方は出オチの息切れが早いわけですけど、まれに当たり作品とも巡り会えるから衝動買いもやめられません。
最近だと『八雲さんは餌づけがしたい。』と『傘寿まり子』は、設定に無理ありますけど非常に良く出来た面白い作品だと思ってます。
さて、今回紹介させていただく漫画は『恋するシロクマ』。
BL作品は全く読まない私ですが、シロクマとアザラシというありえない組み合わせが気になり過ぎて思わず購入。結果的には非常に面白く、BLを受け付けられない人でも全く問題なく読める内容でした。
真っ白いタテゴトアザラシに恋をしてしまったシロクマ(♂)と、その彼から熱烈アピールを受けるアザラシ(♂)、食物連鎖に抗うかのような種族を超えた恋と友情の物語。
動物のオス同士によるBL(ビーストラブ)。帯での謳い文句は「それは、運命の恋」、「この恋は弱肉強食」など。限定版はドラマCD付き。ぷちアニメ化され、全国約50の映画館にて上映。
作者は本人腐ってるらしい漫画家・ころも先生。
捕食者と被捕食者との異種同性恋愛(?)コメディ
弱肉強食の自然界において、本来ならば捕食行為以外のことでは交わることのない、シロクマ(捕食者)とアザラシ(被捕食者)の異種交流を描いた作品。
しかも、シロクマ(♂)がオザラシ(♂)に恋をするという同性での純愛を描いたBL(ビーストラブ)でもあります。
ただ、オスがオスに恋をするというボーイズラブ要素を含んではいますが、一方通行の恋慕で過度な腐向け的表現は無く(そもそも動物だし)、上記に書いた通りその類の作品に強い抵抗ある人でも楽しめる内容。
かくゆう私も腐女子の生態には若干興味あってもボーイズラブはちょっと無理な部類。それでも全く拒否反応出ることなく読めました。
むしろ、シロクマさんがアザラシ君を抱きしめてる光景はとても和まされますね。なにせモフモフがモフモフをモフモフしてるんですから。このモフみ純度の高さはある意味卑怯。
まあ、震えるアザラシ君の心境を考えると、和んでしまってることに申し訳なさを感じますけど・・・それはそれでかわいかったり。
立ち塞がる障害などお構いなしで熱烈アピールを続けるシロクマさんと、それを受けて終始震え続けるアザラシ君。そんなありえないな絵面でのシュールやりとりが織り成されているハートフルコメディ。
現状はシロクマさんの一方的な片想い。どちらかというと仲の良い(?)友達といった感じ。はっきり言ってアザラシ君には微塵も恋に発展する兆しが見えないので、このまま奇妙な友情物語として進むのかもしれません。
そもそも友情が芽生えてるだけでも奇跡、さらなる奇跡は果たして・・・。
一途なシロクマと震えるアザラシのすれ違いが面白い
この作品の魅力はここにあるでしょうね。
ただただ一途に想うアザラシ君への愛をアピールし続けるシロクマさん。それを受けて胸の高鳴り(恐怖によるドキドキ)とガクブルが治まらないアザラシ君。
種族も違う、立場も違う、だけど性別は同じ、そんな不合理過ぎる関係性がちぐはぐなすれ違いを生み出しています。
アザラシ君の恐怖をなかなか察することのできないシロクマさんは、おめでたい脳内でポジティブ変換して1人ウキウキ気分。
アザラシ君もシロクマさんが「食べない」と言ってはいても、遺伝子レベルで刷り込まれている本能から湧き上がる捕食の恐怖は拭えず、信用させて食べるのではとか、大好きは食べたいの裏返しみたいな形で捉えているため、純粋な想いはなかなか伝わりません。
そんなやりとりがとても可愛くて、ちょっと不憫で、かなり可笑しいことになってます。
当初は恐怖しか無かったアザラシ君も、一緒に過ごすなかでシロクマさんの優しさにふれ、次第に心を開いていきます。恐怖と振るえは消えませんけど。
コメディだけじゃない!ウルっとくる切なくも美しい話
この作品、基本的にコメディ寄りの内容ではありますが、それだけじゃない見所も多く含まれています。たまに挿し込んでくる思わずウルっときてしまう切ない話、美しい話、考えさせられる話が良いアクセントになっていました。
本来ならは狩る狩られるの関係が正常。強い捕食者であるシロクマにとって、力無き被捕食者であるアザラシは格好のエサでしかありません。それが自然の摂理というもの。
今のありえない関係は笑いを生むこともありますが、作中には涙を誘う美しい絆の話や、厳しい現実とも直面する話も用意されています。
シロクマさんの切ない過去、交わらないはずだった2人の間に絆が芽生える出来事、そして愛する者を守ろうとする姿など、笑いだけではなく、温かい愛情も溢れている作品。
と言っても、悲しいだけ、美しいだけでは終わらせないオチも見事に決めてきます。
最後に
と言ったところで、運命の出会いを果たしてしまった捕食者と被捕食者との交流を描いた漫画『恋するシロクマ』の紹介でした。
とにかくカワイイ。カワイイは正義。シロクマさんとアザラシ君はもちろんのこと、他にも登場する様々な動物キャラタクーたちはとても愛らしく、そんなサブキャラたちと出会い別れを繰り返して物語は展開されていきます。
作品の雰囲気はハートフルで心地よく、絵柄も内容にマッチした可愛い系、読後感もほんわかした温かな気持ちになれるので癒されます。
アニマルキャラクターのビジュアルに癒されるのも、可笑しなやりとりを楽しむのも、特殊な同性愛に想像を膨らませるのも、楽しみ方は無数。
男性でも女性でも性別関係なく楽しめる作品ですので、よければ読んでみてください。自信をもっておすすめさせていただきます。
恋するシロクマ (1) (MFコミックス ジーンシリーズ) | ||||
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