2017年01月18日
【銀のスプーン】マンガ 感想&あらすじ 誰かと一緒に食卓を囲む楽しさに気づかせてくれる物語
Kiss。 2010年第15号から連載中。既刊15巻
作者:小沢真理
他作品:ほいくの王さま
大学受験を控えた高校3年生の早川律。父は既に他界しており、弟の調、妹の奏、母の恭子と4人で暮らしていた。
ある日、母・恭子が体調を崩したことで検査のため入院することになったのだが、1週間の予定は病が発覚したことにより長引くことになり、治療のあいだ弟妹たちの世話と家の家事は律が担当することに。
今までまともに料理をやったことのなかった律だったが、自分の作った料理を食べた調と奏の「美味しい顔」にはまり、誰かのために食事を作ることが楽しくなっていた。そんな中、京都の大学を目指していた律は、突然受験をやめると言い出す。
さらに、調と奏に秘されていた律の出生が明らかにされ・・・。
以前書いた1巻の感想はこちら
・早川 律
主人公。開始時は華麗台高校に通う高校3年生。後に1度は諦めた大学へ進学し、映研サークルに入会。容姿端麗、成績優秀、性格も優しく紳士的。早川家では「一族の至宝・奇跡」、学校では「プリンス」と呼ばれています。入院した母に代わって食事を作ったことで、料理好き王子になりました。実は早川家の血は継いでおらず、当時なかなか子供ができなかった恭子たちが養子として引き取りました。
・早川 調
律の弟。開始時は中学1年生。ヤンチャなところはありますが、素直で思いやりもある性格をしており、正義感も強い。妹の奏とはささいなことでもよく口論になります。中学ではバスケットボール部に所属しており、背が低いことを少し気にしています。後に高校へ進学。高校ではバンドを組み、髪も金糸猴(ゴールデンモンキー)のように金と青に染めています。食べ物の好き嫌いは多い方。
・早川 奏
律の妹。開始時は小学6年生。律のことが大好きなまだまだ甘えたがりな年頃の女の子。アイドル志望でレッスン教室にも通っており、毎朝鏡の自分に向かって「宇宙一(世界一)カワイイ」と言って出かけるのが日課。後に中学、そして高校へ進学。律や恭子の家事をよく手伝っています。
・早川 恭子
早川家の母。穏やかで優しい性格をしており、強く心の広いお母さん。子供たちを深く愛し、常に温かく見守っています。結婚後、調を妊娠するまでなかなか子供に恵まれず、律を施設から引き取り養子にしました。検査入院で癌が発覚しましたが、治療のかいあって約一月で退院。一時期真也から路加も引き取っています。
・倉科 夕子
律の高校での同級生。高校では漫画研究会に所属。地味で大人しい性格。律が家事を始めたばかりの頃に料理のアドバイスをし、そのことがきっかけとなり親しくなりました。卒業後は漫画家として活動し、子供向けまんが誌でデビューしています。律とは恋人関係になれたものの、漫画で芽が出ないことに焦り、完璧な律に自分はふさわしくないと卑屈になったことで別れを告げて去ってしまいました。
・雨宮 路加
律の実弟。真也と律に似た美少年。真也が路加の父親に去られたことで育児放棄になり、心配した律の提案によって早川家で引き取られることになりました。律にとても懐いており、早川家でも無邪気に明るく過ごしています。育児放棄されていたとはいえ、真也のことを心配する優しい子でもあります。彼女が取り戻しに来たときは、母を1人にはできないと一緒に帰っていきました。
・雨宮 真也
律の生みの親。14歳で律を出産したものの、当然育てられず施設へ預けました。再会した律には冷たい態度で突き放していましたが、本当は深い後悔を抱き続けていたようです。後に律とは和解し、ルカの母としても改心し、早川家にもよく訪れるようになります。恭子の優しさに触れてからは彼女のことを「お母さん」と呼び慕っていますが、親子というより仲の良い姉妹のような関係。
【eBookJapan】 銀のスプーン 無料で試し読みできます
入院した母に代わり家事を任されたことで料理に目覚めた青年と、家族や親しい人たちとの日常、それぞれの成長と変化を描いた物語。
楽しいとき、辛いとき、どんなときも温かな食卓が迎えてくれるハートフルホームドラマ。“家族の食卓”がメインテーマです。2015年には『明日もきっと、おいしいご飯〜銀のスプーン〜』というタイトルにてドラマ化され、「高杉真宙」主演で昼の時間帯に放送されました。
1人暮らしを始めてからは自炊をするように心がけてはいますが、誰かと一緒に食卓を囲むという機会はとんと減少しましたね。帰宅してから1人で作って、1人でテレビを観ながら食べて、そして1人で後片付けする、そんな毎日の繰り返しです。
この作品からは、昔は確かにあったけど当たり前すぎて気づかなかった誰かと食卓を囲む喜び、そして尊さに気づかせてもらえます。また、食事をする楽しさだけでなく作る楽しさも教えてくれますね。親しい人たちと一緒に料理を作ること、誰かを想いながら料理を作ること、その時間も楽しい一時であり、さらにその料理を美味しそうに食べてもらえたときの喜びも格別です。
物語は主役の律にまつわるエピソードを主軸に置き、弟、妹、母、友人それぞれ独自のエピソードも交えながら展開されていきます。
開始早々すでに他界していた父に代わり、一家の柱であった母が体調を崩して一時入院し、弟妹の食事を作るために律が初心者ながらも料理をはじめます。これが料理好きになっていくきっかけです。調と奏が自分の料理を笑顔で美味しそうに食べてくれることに喜びを感じたんですね。
母のレシピを参考にしたり、同級生の倉科夕子さんにアドバイスをもらったりしながら、弟と妹のお腹を満たして笑顔になってもらうことを考え、時には皆で仲良く一緒に料理を作っていきます。
ただ食卓を囲む光景を見るだけの料理マンガというわけではありません。この作品は料理を前面に押し出しているレシピ重視の漫画ではなく、ストーリー重視の構成です。登場人物の恋、進路、家族関係、出生、様々な展開が繰りひろろげられていく中に、その雰囲気を崩さない自然な流れで料理・食事シーンへ移行されていました。
非の打ち所のないイケメン設定を用いるのは少女マンガでは珍しくありませんが、そのどれと比べても完璧すぎる男、それが早川律です。そこいらにいるプリンスが霞んでしまうほど麗しく美しい端正な顔立ちと、スラっとした体系をしており、頭脳明晰で性格も優しく爽やかな紳士、さらに料理を筆頭に家事全般も得意、しかも家族思いで小さい子の世話まで苦もなくこなす完璧ぶり。ここまでくると欠点すら愛嬌になってしまいそうですね。それをひけらかすことは一切なく、嫌味も感じさせないので世の男はもうお手上げです。
しかし、その完璧なところがあだになる事態も起きてしまいます。大切に想っていた恋人・夕子に一緒にいるのが辛い、自分は律にふさわしくないと去られてしまいました。まあ、わからなくもないですね。律には何の非もありませんが、強く想っていても相手との釣り合いを考えてしまうことは少なからずあります。完璧な人の近くにいると自分の凡庸さに気づかされ、分かっていたことでも改めて自覚させられると結構辛いですから。特に自分の力で戦っていく道を選んだ夕子にとってはそれが重く圧し掛かり、状況も災いして自分を卑下してしまったんでしょうね。
律の恋はこの作品の中でも特に気になるところなんですが、別れて以降仏門にでも入ったかのように恋の気配はなく、友人も「草食通りこして仙人の域だ」と言うほど。律に想いを寄せる相手はいても律が振り向く相手は現れず。私としてはまた夕子と寄りを戻してほしんですけどね。漫画家デビューして人としてのレベルも上げ、多少自信も得たであろう彼女と再び手を取り合うことがあるのか、とても気になっています。
他にも奏や調、友人の斎木など、あちらこちらで気になる恋模様が展開中です。楽しいことばかりではないようですが、恋で悩めるだけでも羨ましい限りです。
ストーリー重視の漫画ではあるとはいえ、もちろん料理も見所の1つです。プロが調理するわけではないので基本的には家庭料理。誰しも簡単に作れるものだけでなく、少し手間隙かける料理もありますが、イラスト付きの解り易いレシピも添えられているのでやって出来ないことはないと思います。アレンジレシピもあるのは良かったですね。
多少ドロドロした人間関係はありますが、基本ほのぼのした心地よい気分にさせてくれる漫画。家族の食卓の温かさを伝えてはいても、「どうだ、家族っていいもんだろ!」というような押し付けがましさはなく、ほどよい味付けを加えられた何気ない日常の光景を写しているので、ほっこりしながら「良いな」と思わせてくれます。
やはり、今後の律の動向は1番気になりますね。何かと1人で抱えがちな律、彼に再び春が訪れるのか、いったい誰が仙人のように引き篭もった山から下界へ連れ戻すのか、とても気になります。
家族の関係、それぞれの恋、料理など、見所の多い内容になっていますので、よければ読んでみてください。おすすめさせていただきます。
作者:小沢真理
他作品:ほいくの王さま
あらすじ
大学受験を控えた高校3年生の早川律。父は既に他界しており、弟の調、妹の奏、母の恭子と4人で暮らしていた。
ある日、母・恭子が体調を崩したことで検査のため入院することになったのだが、1週間の予定は病が発覚したことにより長引くことになり、治療のあいだ弟妹たちの世話と家の家事は律が担当することに。
今までまともに料理をやったことのなかった律だったが、自分の作った料理を食べた調と奏の「美味しい顔」にはまり、誰かのために食事を作ることが楽しくなっていた。そんな中、京都の大学を目指していた律は、突然受験をやめると言い出す。
さらに、調と奏に秘されていた律の出生が明らかにされ・・・。
以前書いた1巻の感想はこちら
主要登場人物
・早川 律
主人公。開始時は華麗台高校に通う高校3年生。後に1度は諦めた大学へ進学し、映研サークルに入会。容姿端麗、成績優秀、性格も優しく紳士的。早川家では「一族の至宝・奇跡」、学校では「プリンス」と呼ばれています。入院した母に代わって食事を作ったことで、料理好き王子になりました。実は早川家の血は継いでおらず、当時なかなか子供ができなかった恭子たちが養子として引き取りました。
・早川 調
律の弟。開始時は中学1年生。ヤンチャなところはありますが、素直で思いやりもある性格をしており、正義感も強い。妹の奏とはささいなことでもよく口論になります。中学ではバスケットボール部に所属しており、背が低いことを少し気にしています。後に高校へ進学。高校ではバンドを組み、髪も金糸猴(ゴールデンモンキー)のように金と青に染めています。食べ物の好き嫌いは多い方。
・早川 奏
律の妹。開始時は小学6年生。律のことが大好きなまだまだ甘えたがりな年頃の女の子。アイドル志望でレッスン教室にも通っており、毎朝鏡の自分に向かって「宇宙一(世界一)カワイイ」と言って出かけるのが日課。後に中学、そして高校へ進学。律や恭子の家事をよく手伝っています。
・早川 恭子
早川家の母。穏やかで優しい性格をしており、強く心の広いお母さん。子供たちを深く愛し、常に温かく見守っています。結婚後、調を妊娠するまでなかなか子供に恵まれず、律を施設から引き取り養子にしました。検査入院で癌が発覚しましたが、治療のかいあって約一月で退院。一時期真也から路加も引き取っています。
・倉科 夕子
律の高校での同級生。高校では漫画研究会に所属。地味で大人しい性格。律が家事を始めたばかりの頃に料理のアドバイスをし、そのことがきっかけとなり親しくなりました。卒業後は漫画家として活動し、子供向けまんが誌でデビューしています。律とは恋人関係になれたものの、漫画で芽が出ないことに焦り、完璧な律に自分はふさわしくないと卑屈になったことで別れを告げて去ってしまいました。
・雨宮 路加
律の実弟。真也と律に似た美少年。真也が路加の父親に去られたことで育児放棄になり、心配した律の提案によって早川家で引き取られることになりました。律にとても懐いており、早川家でも無邪気に明るく過ごしています。育児放棄されていたとはいえ、真也のことを心配する優しい子でもあります。彼女が取り戻しに来たときは、母を1人にはできないと一緒に帰っていきました。
・雨宮 真也
律の生みの親。14歳で律を出産したものの、当然育てられず施設へ預けました。再会した律には冷たい態度で突き放していましたが、本当は深い後悔を抱き続けていたようです。後に律とは和解し、ルカの母としても改心し、早川家にもよく訪れるようになります。恭子の優しさに触れてからは彼女のことを「お母さん」と呼び慕っていますが、親子というより仲の良い姉妹のような関係。
【eBookJapan】 銀のスプーン 無料で試し読みできます
感想・見所
入院した母に代わり家事を任されたことで料理に目覚めた青年と、家族や親しい人たちとの日常、それぞれの成長と変化を描いた物語。
楽しいとき、辛いとき、どんなときも温かな食卓が迎えてくれるハートフルホームドラマ。“家族の食卓”がメインテーマです。2015年には『明日もきっと、おいしいご飯〜銀のスプーン〜』というタイトルにてドラマ化され、「高杉真宙」主演で昼の時間帯に放送されました。
1人暮らしを始めてからは自炊をするように心がけてはいますが、誰かと一緒に食卓を囲むという機会はとんと減少しましたね。帰宅してから1人で作って、1人でテレビを観ながら食べて、そして1人で後片付けする、そんな毎日の繰り返しです。
この作品からは、昔は確かにあったけど当たり前すぎて気づかなかった誰かと食卓を囲む喜び、そして尊さに気づかせてもらえます。また、食事をする楽しさだけでなく作る楽しさも教えてくれますね。親しい人たちと一緒に料理を作ること、誰かを想いながら料理を作ること、その時間も楽しい一時であり、さらにその料理を美味しそうに食べてもらえたときの喜びも格別です。
物語は主役の律にまつわるエピソードを主軸に置き、弟、妹、母、友人それぞれ独自のエピソードも交えながら展開されていきます。
開始早々すでに他界していた父に代わり、一家の柱であった母が体調を崩して一時入院し、弟妹の食事を作るために律が初心者ながらも料理をはじめます。これが料理好きになっていくきっかけです。調と奏が自分の料理を笑顔で美味しそうに食べてくれることに喜びを感じたんですね。
母のレシピを参考にしたり、同級生の倉科夕子さんにアドバイスをもらったりしながら、弟と妹のお腹を満たして笑顔になってもらうことを考え、時には皆で仲良く一緒に料理を作っていきます。
ただ食卓を囲む光景を見るだけの料理マンガというわけではありません。この作品は料理を前面に押し出しているレシピ重視の漫画ではなく、ストーリー重視の構成です。登場人物の恋、進路、家族関係、出生、様々な展開が繰りひろろげられていく中に、その雰囲気を崩さない自然な流れで料理・食事シーンへ移行されていました。
非の打ち所のないイケメン設定を用いるのは少女マンガでは珍しくありませんが、そのどれと比べても完璧すぎる男、それが早川律です。そこいらにいるプリンスが霞んでしまうほど麗しく美しい端正な顔立ちと、スラっとした体系をしており、頭脳明晰で性格も優しく爽やかな紳士、さらに料理を筆頭に家事全般も得意、しかも家族思いで小さい子の世話まで苦もなくこなす完璧ぶり。ここまでくると欠点すら愛嬌になってしまいそうですね。それをひけらかすことは一切なく、嫌味も感じさせないので世の男はもうお手上げです。
しかし、その完璧なところがあだになる事態も起きてしまいます。大切に想っていた恋人・夕子に一緒にいるのが辛い、自分は律にふさわしくないと去られてしまいました。まあ、わからなくもないですね。律には何の非もありませんが、強く想っていても相手との釣り合いを考えてしまうことは少なからずあります。完璧な人の近くにいると自分の凡庸さに気づかされ、分かっていたことでも改めて自覚させられると結構辛いですから。特に自分の力で戦っていく道を選んだ夕子にとってはそれが重く圧し掛かり、状況も災いして自分を卑下してしまったんでしょうね。
律の恋はこの作品の中でも特に気になるところなんですが、別れて以降仏門にでも入ったかのように恋の気配はなく、友人も「草食通りこして仙人の域だ」と言うほど。律に想いを寄せる相手はいても律が振り向く相手は現れず。私としてはまた夕子と寄りを戻してほしんですけどね。漫画家デビューして人としてのレベルも上げ、多少自信も得たであろう彼女と再び手を取り合うことがあるのか、とても気になっています。
他にも奏や調、友人の斎木など、あちらこちらで気になる恋模様が展開中です。楽しいことばかりではないようですが、恋で悩めるだけでも羨ましい限りです。
ストーリー重視の漫画ではあるとはいえ、もちろん料理も見所の1つです。プロが調理するわけではないので基本的には家庭料理。誰しも簡単に作れるものだけでなく、少し手間隙かける料理もありますが、イラスト付きの解り易いレシピも添えられているのでやって出来ないことはないと思います。アレンジレシピもあるのは良かったですね。
多少ドロドロした人間関係はありますが、基本ほのぼのした心地よい気分にさせてくれる漫画。家族の食卓の温かさを伝えてはいても、「どうだ、家族っていいもんだろ!」というような押し付けがましさはなく、ほどよい味付けを加えられた何気ない日常の光景を写しているので、ほっこりしながら「良いな」と思わせてくれます。
やはり、今後の律の動向は1番気になりますね。何かと1人で抱えがちな律、彼に再び春が訪れるのか、いったい誰が仙人のように引き篭もった山から下界へ連れ戻すのか、とても気になります。
家族の関係、それぞれの恋、料理など、見所の多い内容になっていますので、よければ読んでみてください。おすすめさせていただきます。
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