2016年12月14日
【信長のシェフ】マンガ 感想&あらすじ 織田信長と彼に料理人として仕える現代の男の生き様を描いた物語
週刊漫画TIMES。2011年3月より連載中。既刊16巻
原案:西村ミツル
作画:梶川卓郎
他作品:グ・ラ・メ! -大宰相の料理人-
永禄11年、京都。数多の武将ひしめく群雄割拠の戦国時代へ、突如現代からタイムスリップしてきた料理人のケン。三好の患者と勘違いされたことで一緒に逃げていた仲間は矢に射られて命を落とすも、川に飛び込んだケンはなんとか難を逃れ、その場に偶然居合わせたナツという女性に助けられる。
自分のことについての記憶を何もかも失っていたケンだったが、料理に関する知識と技術に加え、この戦国時代の史実についてはなぜか覚えていた。
元の時代で培った技術と知識を活かし、調理した料理を人々に振舞っていたことで、ケンの噂は広く知れ渡ることになっていた。
その噂を聞きつけた戦国武将・織田信長は、お供のサルを引き連れてケンの前に現れ、有無を言わせることなく自身の料理人として召し抱えてしまった。
ケンは織田家の料理番を任されたことで、この時代の日ノ本にはまだ存在しない料理を次々と拵え、信長を始め食する人々を驚愕と感動で虜にしていく。
さらに、ケンはその料理の腕をもって様々な政略にも巻き込まれていくことに――。
・ケン
主人公。平成の世から戦国時代にタイムスリップしてきたフレンチの料理人。自身についての記憶を失っているが、それ以外については料理の知識や技術、食材や調味料、日本史など、幅広い知識の持ち主。性格は穏やかで滅多に怒りを表すことはなく、争いを好まない性質。思慮深く、知識も豊富、頭の回転も速いことから、織田信長の無理難題にも的確に応えています。なつのことをとても大切に思っています。
・織田信長
戦国時代を代表する武将、大名。冷徹非常、残酷な人物として描かれていますが、高いカリスマ性を持ち、新しい物や珍しい物を取り入れる革新的な面も強く持っています。噂になっていたケンを料理頭として強制的に取り立てました。ケンをただの料理人としてではなく、他国との外交にも利用し、度々無理難題を申し付けてきます。甘い物が好物。
・なつ
ヒロイン。刀鍛冶師。追われていたケンを保護し、織田に召し抱えられるまで自分の家に一緒に住み面倒を見てくれた女性。鍛冶師としての腕前は高く、包丁などケンの調理器具も製作しています。普段は男口調で話し、格好も男装。明るくて思いやりもあり、朗やかな性格。ケンに好意を寄せています。
・ようこ
ケンと一緒に平成からタイムスリップしてきた女性。パティシエール。ある理由から心に深い傷を負っており、保護してくれた石山本願寺の顕如に依存とも言える姿勢を見せ仕えています。ケンとは深い関係にあったことを匂わせており、楓や顕如は2人のことを夫婦関係にあったのではと推測。
・楓
信長に仕えているくノ一。幼い頃に戦で両親を失い、家を焼かれた折に、通りかかった織田信長に強くなる意思を示したことで召し抱えられた過去を持ち、以降命令には絶対服従の態度を示しています。浅井の小谷城へ潜入する際、監視としてケンに同行。密かにケンへ想いを寄せています。
・本願寺顕如
一向宗の長である石山本願寺の僧。タイムスリップしてきたようこを保護し、彼女の知る歴史の知識と、パティシエールの腕を政略に利用。ケンの料理の才、豊富な知識と機転がきく頭脳を危険視しています。
【eBookJapan】 信長のシェフ 無料で立ち読みできます
現代から戦国時代へタイムスリップした料理人が、現代で培った料理技術と様々な知識を活かし、織田信長の料理人として仕えていくなかで、史実の本にも載る様々な歴史の事件に深く関わっていく物語。
戦国時代+料理+タイムスリップ=戦国グルメ漫画。原作者の西村ミツルさんは元公邸料理人を務めていた経歴を持ち、その経験を本作の料理や政治にも生かされているようです。それから、私は未視聴ですけど実写ドラマ化もされています。
内容はタイトルの通り、信長のシェフとなった男の波乱万丈の日々を描いた作品です。
理由や経緯は不明ですけど主人公のケンをはじめ、彼が勤めていたと思われる料理店の人間複数人がタイムスリップしてしまったようです。
ケンはその時頭に怪我を打ったせいなのか、記憶の一部、よりにもよって自分自身に関する記憶だけ丸々喪失してしまいました。ただ、それ以外の記憶は残っていまして、一番の強みである料理の知識・技術のみならず、食材、調味料、野草、応急手当、農耕、日本史など、幅広く豊富な知識を有しています。
エピソードごとの流れはだいたい同じなので解り易いのも良いですね。一料理人が背負うには重すぎる難題を信長から出題され、ケンが頭をフル回転させて料理を作り、食べた者や見た者がその料理に隠された意味を察して問題解決に導き、信長が「見事じゃ」と一件落着・・・という流れです。
あくまで大まかな紹介ではありますが、複雑な歴史の出来事も理解しやすいと思います。料理を通して史実にも載る有名な歴史の局面を見ることができるというのは面白いですね。
私が感じた魅力の1つはケンという人物。
上記に書いた通り、身に着けている技術と知識の幅は非常に広く、学者のような博識ぶりも見せ、ガッチリした体格をしているので身体能力も高い。
料理一つ取っても専門としている西洋料理のみならず、和食、中華、インドなど世界各国の料理に精通しており、そのレパートリーには底が見えませんね。
豊富にある引き出しの中から最善の一手を導き出す頭の回転の速さ、不足をその場にある者だけで補い実現させる発想力、さらに観察力まで高いときてます。
能力は優秀すぎる人物設定をしていますが、全く嫌味にならないのはなんといってもその懐の大きな人柄にあり、それがケンの最たる魅力にもなっていると思います。相手の体や心が求めているものを料理に込める気遣いは敵味方関係なく感動させ、戦国では命取りにもなりかねない優しさはどんな状況にあっても損なうことはありません。優しさだけではなく、相手が信長であろうと甲斐の信玄であろうと、怯むことなく己の信念を貫き通す心の強さも見て取れました。
そんなケンの作る料理はどれも美味しそうなので、困ったことに見てるとお腹減りますね。歴史漫画としても読める作品とはいえ、やはり料理描写がお粗末な出来になってしまうと魅力半減どころではないでしょうから、読者に美味しそうだと思わせる料理の絵と演出は重要な要素だと思います。
この作品はそのあたりの描写は丁寧に描かれてました。料理の絵だけでも美味しさや温度を感じることができますし、1つ1つの料理や食す人にもドラマがあるため、食べてるときの表情から感動と共に様々な感情を読み取ることができます。
また、なにぶん当時の日本には流通してない食材や調味料、それに調理器具が多いため、ケンの機転で代用品を用いて完成させた料理や調理法は、とても斬新で面白かったですね。
もちろん信長の魅力も他作品同様健在。見た目の恐ろしさは控えめにしていながらも、要所要所で見せる迫力ある表情が怖さを引き立てる演出にもなっていて、さらに残酷なだけではなく、相手の強い覚悟を汲み取る懐の深さも見せていました。珍しい物が好きなところも相変わらずですね。
濃姫曰く信長とケンは似ているとの発言もあることから、ケンと信長はお互いの真意をあまり言葉にしなくても通じ合わせている場面も多くあります。この作品は2人の生き様を描いているように思われますが、ケンを見ていると信長の最後にもお共しそうな気もしてきます。
本作は料理モノとしても歴史モノとしても面白く、その中で繰り広げられる様々な登場人物たちの人間ドラマを見る楽しみもある作品です。
自身を持っておすすめさせていただきます。よければ読んでみてください。
原案:西村ミツル
作画:梶川卓郎
他作品:グ・ラ・メ! -大宰相の料理人-
あらすじ
永禄11年、京都。数多の武将ひしめく群雄割拠の戦国時代へ、突如現代からタイムスリップしてきた料理人のケン。三好の患者と勘違いされたことで一緒に逃げていた仲間は矢に射られて命を落とすも、川に飛び込んだケンはなんとか難を逃れ、その場に偶然居合わせたナツという女性に助けられる。
自分のことについての記憶を何もかも失っていたケンだったが、料理に関する知識と技術に加え、この戦国時代の史実についてはなぜか覚えていた。
元の時代で培った技術と知識を活かし、調理した料理を人々に振舞っていたことで、ケンの噂は広く知れ渡ることになっていた。
その噂を聞きつけた戦国武将・織田信長は、お供のサルを引き連れてケンの前に現れ、有無を言わせることなく自身の料理人として召し抱えてしまった。
ケンは織田家の料理番を任されたことで、この時代の日ノ本にはまだ存在しない料理を次々と拵え、信長を始め食する人々を驚愕と感動で虜にしていく。
さらに、ケンはその料理の腕をもって様々な政略にも巻き込まれていくことに――。
主要登場人物
・ケン
主人公。平成の世から戦国時代にタイムスリップしてきたフレンチの料理人。自身についての記憶を失っているが、それ以外については料理の知識や技術、食材や調味料、日本史など、幅広い知識の持ち主。性格は穏やかで滅多に怒りを表すことはなく、争いを好まない性質。思慮深く、知識も豊富、頭の回転も速いことから、織田信長の無理難題にも的確に応えています。なつのことをとても大切に思っています。
・織田信長
戦国時代を代表する武将、大名。冷徹非常、残酷な人物として描かれていますが、高いカリスマ性を持ち、新しい物や珍しい物を取り入れる革新的な面も強く持っています。噂になっていたケンを料理頭として強制的に取り立てました。ケンをただの料理人としてではなく、他国との外交にも利用し、度々無理難題を申し付けてきます。甘い物が好物。
・なつ
ヒロイン。刀鍛冶師。追われていたケンを保護し、織田に召し抱えられるまで自分の家に一緒に住み面倒を見てくれた女性。鍛冶師としての腕前は高く、包丁などケンの調理器具も製作しています。普段は男口調で話し、格好も男装。明るくて思いやりもあり、朗やかな性格。ケンに好意を寄せています。
・ようこ
ケンと一緒に平成からタイムスリップしてきた女性。パティシエール。ある理由から心に深い傷を負っており、保護してくれた石山本願寺の顕如に依存とも言える姿勢を見せ仕えています。ケンとは深い関係にあったことを匂わせており、楓や顕如は2人のことを夫婦関係にあったのではと推測。
・楓
信長に仕えているくノ一。幼い頃に戦で両親を失い、家を焼かれた折に、通りかかった織田信長に強くなる意思を示したことで召し抱えられた過去を持ち、以降命令には絶対服従の態度を示しています。浅井の小谷城へ潜入する際、監視としてケンに同行。密かにケンへ想いを寄せています。
・本願寺顕如
一向宗の長である石山本願寺の僧。タイムスリップしてきたようこを保護し、彼女の知る歴史の知識と、パティシエールの腕を政略に利用。ケンの料理の才、豊富な知識と機転がきく頭脳を危険視しています。
【eBookJapan】 信長のシェフ 無料で立ち読みできます
感想
現代から戦国時代へタイムスリップした料理人が、現代で培った料理技術と様々な知識を活かし、織田信長の料理人として仕えていくなかで、史実の本にも載る様々な歴史の事件に深く関わっていく物語。
戦国時代+料理+タイムスリップ=戦国グルメ漫画。原作者の西村ミツルさんは元公邸料理人を務めていた経歴を持ち、その経験を本作の料理や政治にも生かされているようです。それから、私は未視聴ですけど実写ドラマ化もされています。
内容はタイトルの通り、信長のシェフとなった男の波乱万丈の日々を描いた作品です。
理由や経緯は不明ですけど主人公のケンをはじめ、彼が勤めていたと思われる料理店の人間複数人がタイムスリップしてしまったようです。
ケンはその時頭に怪我を打ったせいなのか、記憶の一部、よりにもよって自分自身に関する記憶だけ丸々喪失してしまいました。ただ、それ以外の記憶は残っていまして、一番の強みである料理の知識・技術のみならず、食材、調味料、野草、応急手当、農耕、日本史など、幅広く豊富な知識を有しています。
エピソードごとの流れはだいたい同じなので解り易いのも良いですね。一料理人が背負うには重すぎる難題を信長から出題され、ケンが頭をフル回転させて料理を作り、食べた者や見た者がその料理に隠された意味を察して問題解決に導き、信長が「見事じゃ」と一件落着・・・という流れです。
あくまで大まかな紹介ではありますが、複雑な歴史の出来事も理解しやすいと思います。料理を通して史実にも載る有名な歴史の局面を見ることができるというのは面白いですね。
私が感じた魅力の1つはケンという人物。
上記に書いた通り、身に着けている技術と知識の幅は非常に広く、学者のような博識ぶりも見せ、ガッチリした体格をしているので身体能力も高い。
料理一つ取っても専門としている西洋料理のみならず、和食、中華、インドなど世界各国の料理に精通しており、そのレパートリーには底が見えませんね。
豊富にある引き出しの中から最善の一手を導き出す頭の回転の速さ、不足をその場にある者だけで補い実現させる発想力、さらに観察力まで高いときてます。
能力は優秀すぎる人物設定をしていますが、全く嫌味にならないのはなんといってもその懐の大きな人柄にあり、それがケンの最たる魅力にもなっていると思います。相手の体や心が求めているものを料理に込める気遣いは敵味方関係なく感動させ、戦国では命取りにもなりかねない優しさはどんな状況にあっても損なうことはありません。優しさだけではなく、相手が信長であろうと甲斐の信玄であろうと、怯むことなく己の信念を貫き通す心の強さも見て取れました。
そんなケンの作る料理はどれも美味しそうなので、困ったことに見てるとお腹減りますね。歴史漫画としても読める作品とはいえ、やはり料理描写がお粗末な出来になってしまうと魅力半減どころではないでしょうから、読者に美味しそうだと思わせる料理の絵と演出は重要な要素だと思います。
この作品はそのあたりの描写は丁寧に描かれてました。料理の絵だけでも美味しさや温度を感じることができますし、1つ1つの料理や食す人にもドラマがあるため、食べてるときの表情から感動と共に様々な感情を読み取ることができます。
また、なにぶん当時の日本には流通してない食材や調味料、それに調理器具が多いため、ケンの機転で代用品を用いて完成させた料理や調理法は、とても斬新で面白かったですね。
もちろん信長の魅力も他作品同様健在。見た目の恐ろしさは控えめにしていながらも、要所要所で見せる迫力ある表情が怖さを引き立てる演出にもなっていて、さらに残酷なだけではなく、相手の強い覚悟を汲み取る懐の深さも見せていました。珍しい物が好きなところも相変わらずですね。
濃姫曰く信長とケンは似ているとの発言もあることから、ケンと信長はお互いの真意をあまり言葉にしなくても通じ合わせている場面も多くあります。この作品は2人の生き様を描いているように思われますが、ケンを見ていると信長の最後にもお共しそうな気もしてきます。
本作は料理モノとしても歴史モノとしても面白く、その中で繰り広げられる様々な登場人物たちの人間ドラマを見る楽しみもある作品です。
自身を持っておすすめさせていただきます。よければ読んでみてください。
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