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2016年12月15日

漫画『贄姫と獣の王』1巻の感想とあらすじ

『贄姫と獣の王』1巻の感想。


贄姫と獣の王
著者:友藤結
掲載:花とゆめCOMICS
1巻発売日:2016年5月20日

瘴気漂う禁忌の世界。そこには人間を喰らう異形の眷属である魔族たちの国があり、先の大戦の折に人間と和睦を交わしたものの、異を唱える者達によって未だ人間と魔族の間には小競り合いが起こっていた。そして、ここにはそれら異形の存在を恐怖で統べる1人の王がいる。
人間は魔族を恐れ、忌み嫌いながらも、対等ではないことを示すために停戦の条件とされた生贄を差し出していた。そんな供物として捧げられることになった99人目にあたる人間の少女・サリフィ。王を前にしても怯える素振りは一切見せず、淡々とした口調で「私はここであなたに食べられておしまい・・・それでいいの」と告げる。
いよいよ生贄を喰らう供儀が執り行われる天啓の夜が訪れるも、ひょんなことからサリフィは王の秘密を知ったことで・・・。

異形の魔族たちを統べる名も無き王と、生贄として王に捧げられた少女、運命を受け入れていた少女が王の孤独な心に寄り添い絆深める物語。
既に1つのジャンルと言っても差し支えないほど最近増加中の、人外×少女の交流を描いたファンタジー作品。花とゆめに連載されている少女マンガということからお分かりの通り、本作は恋愛ストーリーになってます。

人間と魔族が存在する世界が舞台。魔族はかつて人間を喰らっていたことから恐れられ、近くに接する人間の国とは和睦後も小競り合いが続いているようです。
人間は魔族を忌み嫌い恐れ、魔族は人間のことを下等な者として蔑んで見ています。魔族は人間よりも優れ、人間は魔族よりも劣っている存在だということも示すため、終戦の条件にもされていたことから人間は生贄の少女をこれまで定期的に差し出していました。
そして、99人目として王に捧げられた少女がサリフィは・・・という感じの世界観。

あまり斬新さは無く、この手の作品では王道の内容をしてますけどそこが良いとも言えます。
獅子の顔、大きな角、鋭い牙を持つ異形の者たちを統べる魔王。片や生贄として捧げられた平凡な少女。しかし、その少女は誰もが恐れおののく魔王を前にしても怯えることはなく、かしずく事もせず、興味を持って距離を詰めてくるというお約束とも言える設定と展開。
強さを持って多くの者たちを統べるが故に孤独の中にいた魔王は、その壁をなんなく突き破って寄り添う少女に心を許していきます。

サリフィは大人しい子かと思いきや、意外と天真爛漫でフリーダムな性格をしていました。厳つい魔王の脅しに対しても脅えずに肉球ぷにぷにしたりとあまり物怖じすることもなく、いつわりのない態度と言葉で接する子供らしい無邪気さもある素直な子です。
ただ、親だと思っていた人達はサリフィに愛情は抱いてなく、実の娘が生贄に選ばれることを回避すため、身代わりとしてサリフィを育てていたという辛すぎる経緯があります。それゆえか、明るく笑っていてもどこか自分の運命を諦めてしまっているように見えます。冷たい瞳を向ける人達のいる家に帰されるよりも王の糧になることを望んでいました。

王は威厳に満ちた姿と魔族たちを統べるにふさわしい強さを持ちますが、彼は弱点とも言える秘密を抱えています。詳しくは避けますけどここの設定は賛否分かれそうです。そして、秘密を知ったサリフィの優しさに癒された王は彼女を自分の妃として迎え入れると宣言するんですが・・・反発必至に決まってますね。
それからは、妃として受け入れられたことで生じる面倒事や、瘴気の中にいることによる身体的な問題、人間であることがネックとなり様々な問題に直面していくことになります。
あと、ずっと名前のなかった王はサリフィから「レオンハート」という名前を付けて貰いました。

痛みと孤独を知り、運命を受け入れている2人が寄り添い、互いを癒しながら愛の絆を深めていくというとにかく綺麗な話。斬新さなんてほぼ皆無な展開が続いていくものの、王道ゆえの安定感はあり、なにより2人の作り出す雰囲気には引き込まれる魅力があったと思います。
雷を怖がっているサリフィに、レオがもふもふな尻尾で安心させている光景は微笑ましかったです。本当にこの2人のお互いを必要として寄り添う様子は尊く見え、見守りながらニヤニヤと顔が緩んでしまいましたね。
異種間ファンタジーロマンス、最高に良かったです。



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とにかく漫画が大好きです。愛してるといっても過言ではありません。どんなジャンルにも手を出しますね。正直、文章力にはあまり自信はありませんが、なるべくうまく伝えられるようにがんばります。ちょっとだけでも読んでもらえたらうれしいです。 ちなみに、甘い物とネコも大好きです。
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