2016年12月12日
【狼と香辛料】アニメ 感想&あらすじ 商業とファンタジーを融合させた狼の少女と青年行商人の道中記
狼と香辛料
1期:2008年1月から放送
2期:2009年7月から放送
監督:高橋丈夫
原作:支倉凍砂
脚本:金春智子、成田良美、他
ホロの声:小清水亜美
ロレンスの声:福山潤
あらすじ
商品を積んだ馬車に乗り、商いをしながら各地の町や村を巡る旅の青年行商人、クラフト・ロレンス。収穫祭に沸くパスロエ村を訪れていたロレンスは商取引きを終えて村を発ったその夜、休息をとっていると荷馬車から物音が聞こえ、覗いてみると麦束に紛れ眠っていた1人の少女を見つける。
狼の耳と立派の尻尾を持ち、自身を豊穣を司る神「ヨイツの賢狼ホロ」と名乗る可憐な少女。気が遠くなるほどの長い年月パスロエ村を信仰されながら見守っていたホロだったが、農業技術の発達により既に自分はこの村に必要のない存在と悟り、故郷へ帰りたい想いを募らせていた。
故郷へ連れて行って欲しいと乞われたロレンスはホロを旅の道連れとし、様々なやっかいな儲け話を受けながら北国を目指す。
登場人物
・ホロ
狼の耳と尻尾を持ち、自らを『ヨイツの賢狼」と名乗る可憐な少女。その正体は齢数百年を越え、城壁さえ飛び越えてしまうほどの巨大な狼。パスロエ村では豊穣の神として信仰を受けていました。「わっち」「ありんす」などの廓(くるわ)言葉を使った独特なしゃべり方が特徴。数百年もの長い年月を生きてきたことにより、豊富な知識を蓄え、鋭い洞察力も持ち合わせています。甘いモノと酒が大好き。
・クラフト・ロレンス
ローエン商業組合に籍を置いている行商人の青年。招来はどこかの町で自身の店を構えるという夢を持っています。まだ若いながらも商人としての観察力は高く、それなりの交渉力も持つため、ホロの助言を多少受けながらも数々の大きな取引を成功させていきます。ただ、肝心なところで少し抜けてるところもあります。ホロには商人としても異性としても振り回され気味。
・ノーラ・アレント
リュビンハイゲンの町に暮らしている羊飼いの少女。金の髪を持つ、穏やかで優しい可憐な少女。「エネク」という牧羊犬の相棒と常に行動を共にしています。羊飼いとしての腕は優秀であり、ホロでさえ一目置いている人物。ロレンスからある依頼を受けることになります。
・クロエ
パスロエ村で暮らしている少女。麦の取り引きを担っています。ロレンスから商売についての教えを受けており、師として尊敬する一方で、異性としても好意を寄せています。後にメディオ商会と手を組み、ロレンスとホロの前に現れます。
・フェルミ・アマーティ
クメルスンに住む魚商人。ロレンスと同じローエン商業組合に所属。ホロに一目惚れしてしまい、ロレンスが彼女を借金で縛っていると誤解してしまったことから、自分が全額負担し、自由になった折に「結婚を申し込む」と宣言。
・エーブ
港町レノスの宿屋で出会った女商人。ロレンスに大きな投資話を持ち掛けてきます。エーブはロレンスのように店を構えるという目的あっての金儲けではなく、もはや目的が金儲けになっている人物であり、大きな儲けのためなら自らの命すら惜しみません。
感想
狼の耳と尾を持つ美少女と出会った行商人の青年が、数百年もの間離れていた故郷へ帰りたいという彼女の願いを聞き受け、様々な騒動に巻き込まれながらも北を目指して2人で馬車に乗り旅をする物語。
中世ヨーロッパ風の世界を舞台に、経済学的な要素を織り交ぜたファンタジーアニメ。2008年1月にアニメ1期、2009年7月に2期が放送されています。原作は『マグダラで眠れ』シリーズも手掛けている著者・支倉凍砂による、電撃文庫から出版され400万部以上売り上げている人気ライトノベル作品です。
この『狼と香辛料』のように土台となる世界観がしっかりしてると、話にも入り込みやすくなって助かりますね。
中世ヨーロッパをベースにしていると思われる架空の世界が舞台です。領主制を敷いた国、土俗信仰があった場所に新たな宗教が根付き、権威を強めたことで元々崇められていた神への信仰は薄れていったという時代背景が伺え、さらに農業技術の進歩もあり、望郷の念にかられた想いも重なり、豊穣の神として信仰されていたはずのホロがその地を去る理由付けがしっかりしてますね。
ファンタジー世界といってもお馴染みの魔法やモンスターなどは存在せず、唯一それを感じさせてくれる要素として、ホロのような人の姿になれる知性を持つ長命な動物が存在しています。
とっつきにくい商取引や投資などの『商業』をテーマに扱っていながら、理解しやすくし、ストーリー展開と登場人物の心情描写によって、楽しみながら簡単な経済の仕組みを学べるところも特徴ですね。
頭の悪い私では混乱しそうになる今現代の細分化された複雑な経済の原点を見てるかのような、原始的な経済活動がを目にすることができます。ある場所の特産品を馬車に積み、需要の高い町や村へ赴いて仕入れ値以上の値段で売り、そこで仕入れた荷を積み直し、また新たな町へ赴くという基本的な流れ。そして、そこで取引に使われている通貨経済のしくみも簡単に解りやすく語られています。
情報の重要性を改めて思い知らせてくれた内容でもありました。中世ヨーロッパレベルの文明なため、現代のように情報が簡単にやり取りできる道具もなく、目まぐるしく流動する情勢の中では取引の場についたら状況は一変し、今まで価値のあったモノが無価値に、そして足枷になってしまうなど、知らなかったせいで痛い目を見るという状況をうまく作っていました。情報のやりとりをするだけでも一苦労な世界によって、情報がいかに重要か、そして得た後の迅速で適切な決断と実行の必要性も、上手い描写によって緊迫感を持たせながら描かれていたと思います。
個人的に最大の魅力として感じたポイント、それはもちろんホロの可愛さでしょう。緊迫感ある商人同士のかけ引きもこの作品の大きな見所ではありますが、やはりこの作品で注目すべきはホロだと思ってます。彼女の可愛さだけでも十分観続けられるぐらい好きになりましたね。
狼の耳と尾を持ち、綺麗な毛並みをした可憐な少女の容姿をしていながら、中身は長く生きていることから頭はキレ、豊富な知識と経験を積んでおり、狡猾さを持つ老練な振る舞いをするという見た目と中身のギャップ。そして普段は偉そうな態度をとっているのに、時折見せる弱った姿、これがまた卑怯なほど大きな効果を生んでいますね。
語尾に「〜ありんす」、自身のことを「わっち」、相手のことを「ぬし」と呼ぶなど、昔の花魁が使っていた廓(くるわ)言葉での独特な喋り方がより可愛さを際立たせていると思います。
このホロとロレンスのやりとりも面白い。商人とのかけ引き、儲け話に乗るかかどうかなど、常に頭を悩ませるロレンスに対し、全てを見透かしているかのような小悪魔的なホロの振る舞い。頼っていいものかと悩むロレンスは、ホロにはっぱをかけられたり、からかうような言動と笑みを向けられ逆に奮起したりと、2人のやりとりを見てるとニヤニヤしてしまいますね。
旅の中でお互いの様々な面を目にし、楽しい経験、辛い経験を経て、次第に絆を深め、隣にいることが当たり前になっていく過程を丁寧に描いていました。
商業を大きなテーマとして扱っている珍しいアニメ。
経済の流れや商人同士のかけ引きを謎解きのように楽しむこともできれば、ホロとロレンスの道中記として2人の行く末を見守る楽しみ方、ただ単にホロの可愛さ目的だけで観るという見方も当然ありです。
さらに、作品内容にマッチしたOP、ED共に素晴らしく、牧歌的なBGMもこの世界観を表現してるようで心地良い気分になりますね。
面白かった商業要素も、ロレンスとのやりとりも、全てがホロの可愛さを引き立てる養分になっている気がしてならないです。とりあえず、面白いのでよければ観てみてください。
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