2017年01月30日
【モーレツ宇宙海賊】アニメ 感想&あらすじ 宇宙海賊の船長になった女子高生の成長を描いた痛快スペースオペラ
モーレツ宇宙海賊
2012年1月放送
全26話
監督:佐藤竜雄
原作:笹本祐一
脚本:佐藤竜雄、宮崎真一、伊藤美智子、水野健太郎
赤木駿介の声:伊藤健太郎
加藤 茉莉香の声:小松未可子
チアキ・クリハラの声:花澤香菜
あらすじ
宇宙のどこかにある海明星(うみのあけほし)で暮らす高校1年生の加藤茉莉香。学校では勉学や部活動に励み、友人たちと楽しく過ごし、放課後になれば喫茶店でアルバイトをするどこにでもいるごく普通の女子高生。
ある日のこと、茉莉香は自分の父親が実は弁天丸という海賊船の船長だったことを聞かされる。さらに、父の部下だと名乗る弁天丸のクルーから、海賊活動を続けるにあたって必要な私掠船(しりゃくせん)免状の継承のため、亡くなった父の跡を継いで船長として就任して欲しいと要請を受ける。
かくして、高校生活とかけもちしながら海賊船の船長を務めることになった茉莉香は、弁天丸のクルーたちと共に宇宙へ乗り出す。
「さぁ、海賊の時間だ!」
主要登場人物
・加藤 茉莉香(かとう まりか)
主人公。海明星にある白凰女学院に通う高校1年生の少女。ヨット部所属。学院では学業優秀で素行も良く、周囲からは秀才として高い評価を受けているが、それは彼女のたゆまぬ努力が成した結果です。性格は明朗快活なため友達も多く、危機に陥っても冷静に状況を判断し決断する頼もしさもあることから周囲からの信頼も厚い。その才能と性格は海賊活動でも発揮され、宇宙船の船長として着実に頭角を現しています。
・チアキ・クリハラ
海森星分校から白凰女学院高等部に転校してきた少女。学業の成績は良く、特にコンピューター関連の技能が高い。無愛想でクールに振る舞ってはいるが、実際の性格は面倒見の良い典型的なツンデレ。茉莉香からは「チアキちゃん」と呼ばれています。実は海賊船バルバルーサの船長ケンジョー・クリハラの娘であり、海賊として未熟な茉莉香に呆れながらも度々助言を与えてくれます。
・グリューエル・セレニティ
セレニティ連合王国星王家の第7正統皇女。かなり活発なお姫様。王女として英才教育を受けていることから聡明ではあるが、俗事には疎い。先代「弁天丸」船長・ゴンザエモン加藤芳郎と知り合いであり、その縁から黄金の幽霊船捜索を依頼。解決以降は留学を延長し、妹のヒルデと共にヨット部へ入部して親交を深めていきます。
・加藤梨理香
茉莉香の母。娘からは「梨理香さん」と呼ばれています。夫のゴンザレスと別れてから女手一つで茉莉香を育ててきました。現在こそ新奥浜空港の管制官を務めているが、かつては女海賊・キャプテン・リリカとして活躍した伝説の海賊。海賊業からは退いているが、今だ軍関係者との繋がりはあるようです。
・ミーサ・グランドウッド
海賊船「弁天丸」の船医。アニメ開始時点では保険医として茉莉香が通う白凰女学院高等部に潜入していました。梨理香が海賊として現役だった時から弁天丸で従事していたベテンランであることから、茉莉香にとっては良き相談相手でもあります。茉莉香不在時には船の指揮を執ります。
・遠藤マミ
茉莉香の友人で同級生。手芸部所属。喫茶店でのアルバイト仲間。ヨット部でもなければ海賊ともあまり関わりないが、茉莉香の衣装を手掛けるなど、様々な面で支えてくれる茉莉香にとって一緒に居て心安まる存在。
感想・見所
突然宇宙海賊船の船長を務めることになった女子高生が、身に纏ったミニスカートを翻しながら、仲間たちと共に政府から公認を受けた合法的な海賊行為で大暴れする物語。
SFスペースオペラ大活劇。とにかく愉快!痛快!爽快!な作品です。著者・笹本祐一のSF小説『ミニスカ宇宙海賊』を原作とし、アニメではタイトルを変更して放送されました。略称は『モーパイ』。2014年には『モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE-亜空の深淵-』というタイトルで映画化もされました。
監督は『機動戦艦ナデシコ』や『宇宙のステルヴィア』といった有名なSF作品も手がけている佐藤竜雄さんが務めています。
まず見事なのが緻密に構築されている世界観ですね。本作はスペースオペラと銘打っていることから、宇宙を舞台にしたSF的な世界観を築いています。
主人公たちが暮らすのは、広大な宇宙のどこかにある『海明星(うみのあけほし)』と呼ばれる惑星です。弁天丸やバルバローサなどの海賊宇宙船、ヨット部の練習船として使われている太陽帆船、他にも軍艦など様々な宇宙船が存在し、本作では「超高速ドライブ」と名称されているSFではお馴染みのワープ航法も確立されています。
この作品の世界観を構築するうえで最も面白く特徴的なのが「海賊」という存在。普通「海賊=パイレーツ」と言えば、船舶を脅迫して略奪行為を働く畏れ忌み嫌われる存在。『ヴィンランド・サガ』に出てくる「ヴァイキング」も、あちらは民族の名称ですけど行為自体は同じようなものですね。
本作に出てくる海賊は“政府から「私掠船免状」を発行されている公認を受けた存在”であり、行為自体も合法的。遊園地のアトラクションやイベントの1つみたいなものと考えたらいいと思います。暴力的な行為や無理やり金品を強奪することもなく、むしろ襲われることはお金持ちにとってステータスの1つとなり、自慢話にもなるという実に平和的で可笑しな海賊タイム。モーパイでの海賊行為とは、すなわち「営業」ということですね。
元々はかつて植民星だった海明星などが独立戦争の折、政府が掠船免状を海賊に発行し、敵への対抗手段のために軍に組み込まれていたようです。戦争の最中に圧倒的な武力を引っさげて現れた帝国により両勢力が併合された以降も、制度は廃止されずに残ってるとのこと。
記憶が確かならかつてのイングランドが同じことをやっていたと思います。もちろんショーとかではなく、敵船拿捕のためですけど。それをなぞった設定かと。
現在に至るまでの歴史的背景がしっかり作られているため、本作での平和的な海賊という存在も違和感なく受け入れられると思います。歴史を感じられる話があると作品に深みが増すのでより世界観が魅力的に見えますね。
全体のストーリーはいたってシンプルな少女の成長物語。
主人公の加藤茉莉香は物語冒頭ではいたって普通の女子高生でしたが、海賊行為に必要な私掠船免状が基本的には世襲制のため、亡くなった父の跡を継ぐ形でいきなり船長就任です。
序盤では船長であって見習い海賊でもある茉莉香が、悪戦苦闘しながらも海賊行為を行う姿が描かれています。父と母が海賊だったことも知らなかった茉莉香ですから、当然海賊の知識も必要な技能も持っていないので、クルーから海賊の歴史、電子戦、船の操舵、格闘技などを学びます。元々努力家だった茉莉香は能力自体は非常に高かったため、足りないのは経験ぐらいでしたね。
序盤では持ち前の努力と明るさで切磋琢磨しながらも、優秀なベテランクルーに助けられる場面が多かったと思います。ですが、中盤以降はその頼れる存在たちが長期不在となってしまい、クルーが皆ヨット部の女子高生になるという事態に突入。船長であっても導かれてる存在だった茉莉香が、クルーを牽引する頼れる船長へと成長していきます。
主人公をはじめとしたこの作品を彩る登場人物たちの多くが魅力的でしたね。元々の弁天丸のクルーたちは見た目も性格も個性的で面白く、新米船長の茉莉香をしっかり支えてくれたことからも好感を持てました。
ヨット部の面々も非常に人数は多いんですけど、とにかく皆前向きで明るく、デザインも1人1人描き分けられていてかわいい女の子ばかりでした。女の子キャラが多いわりにお色気シーンは少なく、そういったあまり媚びない作風も良かった点だと思います。
チアキちゃんのツンデレぶりも可愛かったですけど、個人的には梨理香さんがかっこ良く大人の魅力もあって好きでしたね。
ストーリー自体はシンプルであっても他にはない独特な面白さがある作品でした。シリアスとコメディのストーリーバランスは良く、キャラクターも魅力に溢れ、機能性のあるメカデザインも良かったです。
また、主題歌も印象深いですね。ももいろクローバーZが歌った『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』は、ふざけてるようにも真面目なようにも見える本作品の内容を体現しているかのようで面白い歌でした。
あまり視聴者層を選ばないと内容なので、SF好きだけでなく、そうでない人でも楽しめる作品になっていると思います。よければ観てください。
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