アフィリエイト広告を利用しています

2024年09月24日

花村嘉英 研究一覧

【研究発表】 

●ドイツ・チュービンゲン大学新文献学部ドイツ語学科のゼミ(1989年−1990年)で統語論について発表し、オランダ語のゼミ(1989年−1990年)は、演習に参加した。また、言語学科のゼミは、音韻論(1993年)と意味論(1994年)で発表し、博士論文(HPSG für Textanalyse – zur Ironie Thomas Manns)(1995年)を作成した。
●文理シナジー学会で「文学とカリキュレーション」という組み合せで4回研究発表をした。(1998年、2004年、2006年、2007年)私の計算文学の目標は、作家の執筆時の脳の活動(シナジーのメタファー)を分析することにあり、「トーマス・マンとファジィ」、「魯迅とカオス」、「森鴎外と感情」、「ナディン・ゴーディマと意欲」、「川端康成と認知発達」などがその例である。
●武漢科技大学外語外事職業学院で「中国から伝わった日本のことばや文化」及び「日本語会話のトレーニング−場面のイメージ作り(状況意味論)」と題して2回発表をした。(2009年、2010年)
●中国・延辺大学の中日韓朝言語文化比較研究シンポジウムで「中日翻訳の高速化−比較言語学からの考察」及び「20世紀前半に見る東西の危機感」と題して2回研究発表をした。(2011年、2013年)
●日本語教育国際研究大会(名古屋大学)に於いて、「読む・書く」というテーマで教案を脳トレとリンクさせる要約法について研究発表をし、さらに「研究でつながる広場」で「日本語教育におけるシナジー論」と題して意見を交わした。(2012年)
●北京日本学研究センター及び中華日本学会が主催した「日本研究の新展開」国際シンポジウム(北京外国語大学)で「魯迅から鴎外へ-比較文学による考察」と題して研究発表をした。(2012年)
●四川外国語大学の国際シンポジウム−文化の越境と他者の表象で「『狂人日記』から見えてくるカオス効果について−認知言語学からの考察」と題して発表をした。(2013年)
●南京農業大学で開催された中国日語教学研究会江蘇分会で「森鴎外の『山椒大夫』のDB化とその分析」と題して研究発表をした。(2014年)
●上海外国語大学で開催された中日対照言語学研究会で「産業日本語の学習法とその応用例−2段階の処理法について」と題して研究発表をした。(2015年)
●南京林業大学で開催された中国日語教学研究会江蘇分会で「森鴎外の『佐橋甚五郎』のDBとバラツキによる分析」と題して研究発表をし、懇親会でも意見を交わした。(2016年)
●上海の同済大学で開催された中国日語教学研究会上海分会で「シナジーのメタファーの作り方」と題して研究発表をした。(2017年)
●上海の同済大学で開催された中国日語教学研究会上海分会で「川端康成の『雪国』から見えて来るシナジーのメタファーとは」と題して研究発表をした。(2018年)
●杭州師範大学で開催された中国日語教学研究会暨日本学研究国際研討会で「マクロの文学分析のための一考察−作家の条件として危機管理者を想定する」と題して研究発表をした。(2019年)
●中国日語教学研究会上海分会主催の日本語教育と日本学研究国際シンポジウム(ZOOM開催)において「三浦綾子の『道ありき』でうつ病を考える−人文科学から病跡学へ」と題して研究発表をした。(2020年)

【学術関連表彰】
「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」華東理工大学出版社 2015年
●栄誉証書 大連外国語大学(文献学)2017年3月
●栄誉証書 南京農業大学(文献学)2017年3月、2017年5月
●捐赠証書(奨励)北京大学 2017年3月
●捐赠証書(奨励)北京外国語大学 2017年3月

【著作・論文・研修・資格】
【日本語】
◎言語系
●論文題目 日本語の会話や作文からやさしい翻訳へ−中国人に日本語を教授する 武漢科技大学外語外事職業学院 2010年
●論文題目 中国語ネイティブに向けた日本語の作文のトレーニング 日本語教育国際研究大会(名古屋2012)2012年
●論文題目 人文科学のための人材育成ついて 日本語教育のためのプログラムに収録 日本語教育国際研究大会(名古屋2012)
●論文題目 人文科学から始める技術文の翻訳−英日 独日 中日(レポート)上海外国語大学 2015年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」のデータベース化とその分析 中国日語教学研究会江蘇分会論文集 2015年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」のデータベースとバラツキによる分析 中国日語教学研究会江蘇分会論文集 2016年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」のくるバラツキについて 2018年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」の相関関係について 2018年
●著書名 日语教育计划书 面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017年
●論文題目 シナジーのメタファーを外国語教育に応用する ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 ビジネス日本語の攻略法 ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 中国から日本に伝わったことばや文化について−欧州との比較も交えて 武漢科技大学外語外事職業学院 2019年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて森鴎外の「山椒大夫」を考える 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-森鴎外「山椒大夫」2019年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」の交絡について 2021年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」でファイ係数を考える 2021年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について 2018年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて森鴎外の「佐橋甚五郎」を考える 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-森鴎外「佐橋甚五郎」2019年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」の交絡について 2021年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」でファイ係数を考える 2021年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 森鷗外の「渋江抽齋」を感情で読む 2021年
●論文題目 森鷗外の「衛生新篇」で研究ノートを作成する 2021年
●論文題目 森鴎外の病跡学−人間鴎外と作家鴎外 2021年
●論文題目 森鷗外の「舞姫」でテキストマイニングを考える 2022年
●論文題目 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」中国日語教学研究会上海分会論文集 2018年
●論文題目 川端康成の「雪国」のバラツキについて 2018年
●論文題目 川端康成の「雪国」の相関関係について ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて川端康成の「雪国」を考える 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-川端康成「雪国」 ファンブログ 2019年
●論文題目 川端康成の「伊豆の踊子」でテキストマイニングを考える 2022年
●論文題目 井上靖の「わが母の記」で執筆脳を考える−連合野の働き 2021年
●論文題目 井上靖の「わが母の記」のバラツキについて 2019年
●論文題目 井上靖の「わが母の記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 井上靖の「わが母の記」の相関関係について 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて井上靖の「わが母の記」を考える ファンブログ 2019年
●論文題目 井上靖の「我が母の記」と認知症の関係について ファンブログ 2020年
●論文題目 井上靖の「わが母の記」から三角関数の応用例を考える 2021年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害 ファンブログ 2019年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」のバラツキについて 2019年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」の相関関係について 2019年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて小林多喜二の「蟹工船」を考える 2019年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」の交絡について 2021年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」でファイ係数を考える 2021年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」で執筆脳を考える ファンブログ 2019年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」のバラツキについて 2019年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」の相関関係について 2019年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて三浦綾子の「道ありき」を考える 2019年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」の交絡について 2020年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」でファイ係数を考える 2020年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」から三角関数の応用例を考える 2021年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」で寄与危険を考える 2021年
●論文題目 島崎藤村の「千曲川のスケッチ」で執筆脳を考える−自然や文化の観察者の立場から ファンブログ 2020年
●論文題目 島崎藤村の「千曲川のスケッチ」のバラツキについて 2020年
●論文題目 島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の相関関係について 2020年
●論文題目 島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2020年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて島崎藤村の「千曲川のスケッチ」を考える 2020年
◎文学系
●論文題目 中島敦の「山月記」で執筆脳を考える−パーソナリティ障害 ファンブログ 2019年
●論文題目 国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年 ファンブログ 2020年
●論文題目 芥川龍之介の「河童」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 坂口安吾の「肝臓先生」で執筆脳を考える−漠然とした不安 ファンブログ 2020年
●論文題目 志賀直哉の「城の崎にて」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 佐藤愛子の「沢村校長の晩年」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 有島武郎の「小さき者へ」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 横光利一の「蝿」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年 ファンブログ 2020年
●論文題目 横光利一の「蝿」でテキストマイニングを考える 2022年 
●論文題目 幸田文の「父」で執筆脳を考える−臨終 ファンブログ 2020年
●論文題目 泉鏡花の「外科室」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 有吉佐和子の「華岡青洲の妻」で執筆脳を考える−乳がん手術法 ファンブログ 2020年
●論文題目 水上勉の「海の牙」で執筆脳を考える−水俣病 ファンブログ 2020年
●論文題目 遠藤周作の「あの世で」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 谷崎潤一郎の「盲目物語」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 開高健の「裸の王様」で執筆脳を考える−アスペルガー症候群 ファンブログ 2020年
●論文題目 古井由吉の「水」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 五木寛之の「冬のひまわり」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 武者小路実篤の「愛と死」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 永井荷風の「濹東綺譚」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 田山花袋の「蒲団」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 田山花袋の「田舎教師」で執筆脳を考える ファンブログ 2023年
●論文題目 太宰治の「ヴィヨンの妻」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 宮沢賢治の「ひかりの素足」で執筆脳を考える−共生故の幸福 
●論文題目 井伏鱒二の「山椒魚」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年 ファンブログ 2020年
●論文題目 柴田翔の「鳥の影」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 宮本百合子の「播州平野」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 阿部公房の「飢餓同盟」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 三島由紀夫の「潮騒」で執筆脳を考える ファンブログ 2021年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」でうつ病から病跡学を考える 中国日語教学研究会上海分会論文集 2021年
●論文題目 川端康成の病跡学−人間川端と作家川端 2022年
●論文題目 夏目漱石の「坊ちゃん」で執筆脳を考える ファンブログ 2023年
●論文題目 広津和郎の「神経病時代」で執筆脳を考える−反射的な痙攣 ファンブログ 2023年
●論文題目 長塚節の「土」で執筆脳を考える ファンブログ 2023年
●論文題目 堀辰雄の「風立ちぬ」で執筆脳を考える ファンブログ 2023年
●論文題目 江川晴の「看護婦物語」で執筆脳を考える ファンブログ 2023年
●論文題目 上山明博の「関東大震災を予知した二人の男」で執筆脳を考える ファンブログ 2024年
●著書名 小説をシナジーで読む−森鴎外から川端康成へ データベースと病跡学に備えて V2ソリューション 2024年 
●データベース 森鴎外「山椒大夫」「佐橋甚五郎」「安井夫人」「魚玄機」、井上靖「わが母の記」「天平の甍」、川端康成「雪国」「伊豆の踊子」、中島敦「山月記」、小林多喜二「蟹工船」、三浦綾子「道ありき」、島崎藤村「千曲川のスケッチ」、志賀直哉「城の崎にて」、国木田独歩「武蔵野」、芥川龍之介「河童」、坂口安吾「肝臓先生」、有島武郎「小さき者へ」、横光利一「蝿」、泉鏡花「外科室」、幸田文「父」、佐藤愛子「沢村校長の晩年」、有吉佐和子「華岡青洲の妻」、水上勉「海の牙」、遠藤周作「あの世で」、谷崎潤一郎「盲目物語」、太宰治「ヴィヨンの妻」、宮沢賢治「ひかりの素足」、堀辰雄「風立ちぬ」、田山花袋「蒲団」「田舎教師」、永井荷風「濹東綺譚」、堀辰雄「風立ちぬ」、古井由吉「水」、開高健「裸の王様」、幸田露伴「五重塔」、五木寛之「冬のひまわり」、武者小路実篤「愛と死」、井伏鱒二「山椒魚」、広津和郎「神経病時代」、三島由紀夫「潮騒」、阿部公房「飢餓同盟」、柴田翔「鳥の影」、長塚節「土」、夏目漱石「坊ちゃん」、宮本百合子「播州平野」、壷井栄「二十四の瞳」、瀬戸内寂静「紹興」、石坂洋次郎「若い川の流れ」、大江健三郎「アトミックエイジの守護神」、三浦哲郎「忍ぶ川」、上山明博「関東大震災を予知した二人の男」、渡辺淳一「光と影」、新田次郎「神通川」、安保邦彦「明けない夜の四日市」、北條民雄「ライを病む青年」、紀貫之「土佐日記」、竹西寛子「蘭」、曽野綾子「椅子の中」、江川晴「看護婦物語」、樋口一葉「たけくらべ」

【中国語】
◎言語系
●論文題目 中日翻訳の高速化−比較言語学からの考察 延辺大学中日朝韓言語文化比較研究国際シンポジウム 2012年
●論文題目 「狂人日記」から見えてくるカオス効果について−認知言語学からの考察(統合失調症)四川外国語大学国際シンポジウム 2013年 
●著書名 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015年 
●論文題目 サピアの「言語」と魯迅の「阿Q正伝」−魯迅とカオス 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品に収録 2015年
●Babel 中日契約書翻訳講座修了 2017年10月
●論文題目 魯迅の「狂人日記」のバラツキについて ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」の相関関係について ファンブログ 2018年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて魯迅の「狂人日記」を考える 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること−魯迅の「狂人日記」2019年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」から微分法の応用を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」の交絡について 2021年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」でファイ係数を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」のバラツキについて ファンブログ 2018年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」の相関関係について ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて魯迅の「阿Q正伝」を考える 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること−魯迅の「阿Q正伝」2019年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」の交絡について 2021年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」でファイ係数を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 莫言の「蛙」で執筆脳を考える−帝王切開 ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」のバラツキについて ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」の相関関係について ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 ファンブログ 2020年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて莫言の「蛙」を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」の交絡について ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」でファイ係数を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 莫言の「蛙」でカイ二乗検定を考える 2021年
●著書名 小説をシナジーで読む−魯迅から莫言へ シナジーのメタファーのために V2ソリューション 2023年 
◎文学系
●論文題目 魯迅の「祝福」で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 魯迅の「藤野先生」で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 高行健の「朋友」で執筆脳を考える 2021年
●論文題目 高行健の「円恩寺」で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 高行健の「车祸」で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 高行健の「文学の理由」について考える 2022年
●論文題目 谌容の「人到中年」で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 王安憶の「小鮑庄」で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 阿城の「棋王」で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 阿城の「孩子王」で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 陸文夫の「美食家」で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 汪曽祥の「橋辺小説三篇」で執筆脳を考える 2023年
●データベース 魯迅「阿Q正伝」「狂人日記」「祝福」「藤野先生」、莫言「蛙」、高行健「朋友」「円恩寺」「车祸」、谌容「人到中年」、王安憶「小鮑庄」、阿城「棋王」「孩子王」、陸文夫「美食家」、汪曽祥「橋辺小説三篇」

【ドイツ語】
◎言語系
●発表題目 トーマス・マンのイロニーとファジー理論 文理シナジー学会 東海大学 1998年
●発表題目 計算文学のすすめ−Thomas Mannの “Der Zauberberg”(魔の山)を考える(発表)文理シナジー学会 東京文化会館 2005年
●著書名 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎(出版証明書付) 2005年 
●論文題目 論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用 計算文学入門に収録 2005年
●論文題目 やさしい曖昧な数学(ファジィ集合)−「魔の山」をマージする 計算文学入門に収録 2005年 
●発表題目 計算文学の基礎固め:トーマス・マンの “Joseph und seine Brüder”(ヨーゼフとその兄弟)を考える(発表)文理シナジー学会 日本アムウェイ 2006年 
●発表題目 計算文学のすすめ−トーマス・マンと鴎外の比較(発表)文理シナジー学会 日本アムウェイ 2007年 
●論文題目 Thomas Mannの“Der Zauberberg”(魔の山)のデータベース化と推定からの分析 ブログ シナジーのメタファー 2017年
●論文題目 ラフ集合でThomas Mannの「魔の山」を考える−テキストマイニングのトレーニング ブログ シナジーのメタファー 2017年
●論文題目 トーマス・マンの“Der Zauberberg”(魔の山)のバラツキについて ファンブログ 2018年
●論文題目 トーマス・マンの“Der Zauberberg”(魔の山)の相関関係について ファンブログ 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること−トーマス・マンの「魔の山」2019年
●論文題目 トーマス・マンの“Der Zauberberg”(魔の山)の多変量解析−クラスタ分析と主成分 ファンブログ 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの“Der Zauberberg”(魔の山)を考える ファンブログ 2019年
●論文題目 トーマス・マンの“Joseph und seine Brüder”(ヨーゼフとその兄弟)の「ヤコブ物語」に見るファジィ測度について Puboo 2019年
論文題目 ハインリッヒ・ベルの “Wanderer, kommst du nach Spa…”(旅人よ、汝スパ…にいたりなば)で執筆脳を考える ファンブログ 2019年
●論文題目 ハインリッヒ・ベルの “Wanderer, kommst du nach Spa…”のバラツキについて 2019年
●論文題目 ハインリッヒ・ベルの “Wanderer, kommst du nach Spa…”の相関関係について 2019年
●論文題目 ハインリッヒ・ベルの “Wanderer, kommst du nach Spa…”の多変量解析-クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いてハインリッヒ・ベルの“Wanderer, kommst du nach Spa…”を考える 2019年
●論文題目 ペーター・ハントケの“Wunschloses Unglück”(幸せではないが、もういい)で執筆脳を考える−実母のうつ病 ファンブログ 2020年
●論文題目 ペーター・ハントケの“Wunschloses Unglück”のバラツキについて 2020年
●論文題目 ペーター・ハントケの“Wunschloses Unglück”の相関関係について 2020年
●論文題目 ペーター・ハントケの“Wunschloses Unglück”の多変量解析-クラスタ分析と主成分 2020年
●論文題目 心理学統計の検定を用いてペーター・ハントケの“Wunschloses Unglück”を考える 2020年
●論文題目 ハントケの“Wunschloses Unglück”から三角関数の応用を考える 2020年
●論文題目 今後のAIの活用について−自然言語処理技術を文学分析に応用する Gaccoのレポート 2020年
●論文題目 Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察 ブログ シナジーのメタファー 2020年
●論文題目 ドイツ語の話法の助動詞をモンタギュー文法から考える 2022年
●論文題目 モンタギュー文法の意味公準について考える−階層的な様相表現を中心にして 2022年
●論文題目 モンタギュー文法からGPSGへーイディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正 2022年
●論文題目 イディオムーMGからGPSGそしてHPSGへ 2022年
●著書名 計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る V2ソリューション 2022年 
◎文学系
●翻訳書名 Johan Wolfgang von Götheの“Italienische Reise”(イタリア紀行)(共訳、監修)2010年 バベル出版
●論文題目 エリアス・カネッティの “Die Stimmen von Marrakesch”(マラケシュの声)で執筆脳を考える ファンブログ 2019年
●論文題目 フランツ・カフカの“Die Verwandlung”(変身)で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 ヘルマン・ヘッセの”Schön ist die Jugend”(青春は美わし)で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 ハインリッヒ・ マンの”Der Tyrann”(専制君主)で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 ハインリッヒ・ マンの”Die Branzilla”(ブランツィッラ)の執筆脳について ファンブログ 2020年
●論文題目 ゴットフリート・ベンの”Gehirn”(脳)で執筆脳を考える ブログ シナジーのメタファー 2020年
●論文題目 シュテファン・ツヴァイクの”Angst”(不安)で執筆脳を考える−不安障害 2021年
●論文題目 ギュンター・グラスの”Katz und Maus”(猫と鼠)で執筆脳を考える 2021年
●論文題目 ゲアハルト・ハオプトマンの”Der Schuß im Park”(公園での発砲)で執筆脳を考える 2021年
●論文題目 パオル・ハイゼの”Unvergeßbare Worte”(忘られぬ言葉)で執筆脳を考える 2023年
●データベース トーマス・マン “Der Zauberberg”(魔の山)、ハインリッヒ・ベル “Wanderer, kommst du nach Spa…”(旅人よ、汝スパ…にいたりなば)、エリアス・カネッティ “Die Stimmen von Marrakesch”(マラケシュの声)、ペーター・ハントケ “Wunschloses Unglück”(幸せではないが、もういい)、フランツ・カフカ “Die Verwandlung”(変身)、ヘルマン・ヘッセ”Schön ist die Jugend”(青春は美わし)、ハインリッヒ・ マン”Der Tyrann”(専制君主)、”Die Branzilla”(ブランツィッラ)、ゴットフリート・ベン”Gehirn”(脳)、シュテファン・ツヴァイク”Angst”(不安)、ギュンター・グラス”Katz und Maus”(猫と鼠)、ゲアハルト・ハオプトマン”Der Schuß im Park”(公園での発砲)、パオル・ハイゼ”Unvergeßbare Worte”(忘られぬ言葉)

【英語】【フランス語】【スペイン語】
●論文訳 Linguistics of Sapir and the world of “The True Story of Ah Q” – Luxun and chaos, 2015
●論文訳 Chaotic effect expected from “A Madman’s Diary”-Consideration from cognitive linguistics, 2015
●エイブス・メディカル翻訳講座英和上級修了 2016年2月(同講座初級修了 2015年9月、同講座入門修了 2014年5月)
●論文訳 Study to make a database of “Sansho the Bailiff of Ogai Mori”, July 2018
●論文訳 To make a database of Jingoro Sahashi of Ogai Mori and its deviation, July 2018
●論文訳 How to make a synergic metaphor, January ブログ シナジーのメタファー 2018  
●論文題目  “The Late Bourgeois World”(ブルジョワ世界の終わりに)から見たゴーディマの意欲について−脳の前頭葉・前頭前野の活動を中心に 2018年
●論文訳 About motivation of Nadine Gordimer viewed from “The Late Bourgeois World”, ブログ シナジーのメタファー 2018年
●著書名 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲−適応障害 華東理工大学出版社 2018年
●論文題目 ナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World”のバラツキについて ファンブログ 2018年
●論文題目 ナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World”の相関関係について ファンブログ 2018年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World” ファンブログ 2019年
●論文訳 Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata – from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive, ブログ シナジーのメタファー 2019
●論文題目 ナディン・ゴーディマの “The Late Bourgeois World” の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いてナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World”を考える 2019年
●論文題目 ジョン・マックスウェル・クッツェーの “Age of Iron”(鉄の時代)で執筆脳を考える ブログ シナジーのメタファー 2020年
●論文題目 ドリス・レッシングの “Hunger”(飢え)で執筆脳を考える 2021年
●論文題目 アルベール・カミュの “L'Étranger”(異邦人)で執筆脳を考える−不安障害 2021年
●論文題目 パトリック・モディアノの “Fleurs de ruine”(廃墟に咲く花)で執筆脳を考える 2021年
●論文訳 Research on a synergic metaphor of “Frog” by Mo Yan, ブログ シナジーのメタファー 2022
●論文題目 ガルシア・マルケスの “Amargura para tres sonámnulos”(三人の夢遊病者の苦しみ)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 バルガス・リョサの “El abuelo”(祖父)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 パール・バックの “The child who never grew”(母よ嘆くなかれ)で執筆脳を考える−発達障害 2022年
●論文題目 アリス・マンローの “Tell me Yes or No”(はっきりいってよ)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 アーネスト・ヘミングウェイ “The old man and the sea”(老人と海)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 ジャン・ポール・サルトルの “La Nausée”(嘔吐)で執筆脳を考える−吐き気 2022年
●論文題目 ル・クレジオの “Pawana”(パワナ)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 クロード・シモンの “Le tramway”(路面電車)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 アルフォンソ・ドーデの “ La Dernière Classe”(最後の授業)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 アナトール・フランスの “Crainquebille”(クランクビーユ)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 アブドゥルザラク・グルナの“Departure of memory”(出発の記憶)で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 レイナルド・アレナスの“Antes que anochezca”(夜になる前に)で執筆脳を考える−エイズ 2023年
●論文題目 フランソア・モーリャックの“Génitrix”(母:ジェニトリックス)で執筆脳を考える−軽度認知症 2023年
●論文題目 アニー・エルノーの“L'occupacion”(嫉妬)で執筆脳を考える−意識障害 2023年
●論文題目 パトリック・ホワイトの“The Hanging Garden”(空中庭園)で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 アンドレ・ジイドの“La symphonie pastrale”(田園交響曲)で執筆脳を考える 2024年
●論文題目 トニ・モリソンの“The bluest eye”(青い目が欲しい)で執筆脳を考える 2024年
●データベース ナディン・ゴーディマ “The Late Bourgeois World”(ブルジョワ世界の終わりに)、ジョン・マックスウェル・クッツェー“Age of Iron”(鉄の時代)、ドリス・レッシング“Hunger”(飢え)、パール・バック“The child who never grew”(母よ嘆くなかれ)、アリス・マンロー“Tell me Yes or No”(はっきりいてよ)、アーネスト・ヘミングウェイ“The old man and the sea”(老人と海)、アブドゥルザラク・グルナの“ Departure of memory”(出発の記憶)、パトリック・ホワイト“The Hanging Garden”( 空中庭園)、トニ・モリソン“The bluest eye”(青い目が欲しい)、ガルシア・マルケス“Amargura para tres sonámnulos”(三人の夢遊病者の苦しみ)、バルガス・リョサ“El abuelo”(祖父)、レイナルド・アレナス“Antes que anochezca”(夜になる前に)、アルベール・カミュ“L'Étranger”(異邦人)、パトリック・モディアノ“Fleurs de ruine”(廃墟に咲く花)、ジャン・ポール・サルトル“La Nausée”(嘔吐)、ル・クレジオ“Pawana”(パワナ)、クロード・シモン“Le tramway”(路面電車)、アルフォンソ・ドーデ“ La Dernière Classe”(最後の授業)、アナトール・フランス“Crainquebille”(クランクビーユ)、フランソア・モーリャック“Génitrix”(母:ジェニトリックス)、アニー・エルノー“L'occupacion”(嫉妬)、アンドレ・ジイド“La symphonie pastrale”(田園交響曲)

【比較言語・比較文学】
●論文題目 魯迅から鴎外へ−比較文学からの考察(レポート)北京外国語大学「日本研究の新展開」国際シンポジウ 2012年
●論文題目 20世紀前半に見る東西の危機感−魯迅、鴎外、トーマス・マン 延辺大学中日朝韓言語文化比較研究国際シンポジウム 2014年       
●論文題目 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖(病跡学)中国日語教学研究会上海分会論文集 2018年
●論文題目 ことばの呼応とその運用を比較する−英語、ドイツ語、日本語、中国語を中心に ブログ シナジーのメタファー2018年
●論文題目 日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較−言語類型論における普遍性を中心に ファンブログ 2018年
●論文題目 リスク社会学の観点から文学をマクロに考える−危機管理者としての作家について 中国日語教学研究会上海分会論文集 2020年
●論文題目 観察社会学の観点から文学をマクロに考える−自然や文化の観察者としての作家について 2020年
●論文題目 医療社会学の観点から文学をマクロに考える−データ分析者としての作家の役割について 2021年
●論文題目 家族社会学の観点から文学をマクロに考える−小説から社会と家族の関連性を考える 2021年
●論文題目 数理社会学の観点から文学をマクロに考える−不満がもたらす問題をランダムに比較する 2021年
●論文題目 文化社会学の観点から文学をマクロに考える−都市と地域の時空の現象 2021年
●論文題目 環境社会学の観点から文学をマクロに考える−四大公害病を中心に 2021年
●論文題目 福祉社会学の観点から文学をマクロに考える−ケア、看取り、貧窮を中心に 2021年
●論文題目 スポーツ社会学の観点から文学をマクロに考える−陸上を中心に 2022年
●論文題目 時間の比較社会学の観点から文学をマクロに考える−南部アフリカを中心に 2022年
●論文題目 老年社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 子ども社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 教育社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 法社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 農村社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 都市社会学の観点からマクロに文学を考える 2023年
●論文題目 終活の社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 宗教社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 看護社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 災害社会学の観点から文学をマクロに考える 2024年

【社会・システム】
●論文題目 「日本経済入門」の講義とその応用例(レポート) ファンブログ 2018年
●論文題目 リスク社会論からトップダウンで作家の執筆脳を考える−中島敦の「山月記」を交えて 2019年
●埼玉西部消防組合 甲種防火管理新規講習修了 2019年5月
●日本学術振興会 研究倫理 eラーニング 「事例で「学ぶ/考える」研究倫理 誠実な科学者の心得」修了 2019年8月
●ICR臨床研究入門 倫理審査委員会向けの倫理研修 eラーニング修了 2019年8月
●JTEX 知的財産権入門講座修了 2019年12月
●Fisdom修了講座 10進法を2進法に変換、暗号化、パリティチェック、情報リテラシー Office2016、統計学入門、Python入門、学校における無線ネットワークの作り方、安全学入門、インターネットセキュリティ、情報法 2019年12月
●INPIT 工業所有権研修・情報館 eラーニング 20講座受講済 2020年5月
●日本能力開発推進協会 マインドフルネススペシャリスト検定試験合格 2020年10月、上級心理カウンセラー検定試験合格2021年7月、行動心理士検定試験合格 2023年1月
●特許庁 「シナジーのメタファ―」の商標登録許可 2021年3月
●Gacco修了講座 セキュリティ・プライバシ・法令、公衆無線LANセキュリティ対策、SDGs(持続可能な開発目標)入門 、Memento Moriー死を想う、大学生のためのデータサイエンス、社会人のためのデータサイエンス 、多変量データ解析法 、統計学−データ分析の基礎、誰でも使えるオープンデータ、進化発生学入門、心理学スパイラルアップ、推論・知識処理・自然言語処理、クラウド基盤構築演習、アーキテクチャ・品質エンジニアリング、スマートIoTシステム・ビジネス入門、IoTとシステムズアプローチ、クラウドサービス・分散システム、センサ、機械学習、深層学習、社会の中のAI、ビジネスフィールドでのAI・データ活用スキル 2024年9月現在

【バイオ・メディカル】
●日本成人病予防協会(JAPA)健康管理士一般指導員認定 2015年3月、健康管理能力検定1級取得 2015年3月、健康管理士一般指導員ゴールド認定 2017年4月、食育セミナー「身体を強める食動学」参加 2017年10月、ステップアップ講座(横浜)参加 2017年12月、健康管理士上級指導員認定 2020年3月、健康管理士統括指導員認定 2023年10月
●予防医学・代替医療振興協会修了講座  予防医学指導士 2015年12月、代替医療カウンセラー 2016年4月、認知症ケアカウンセラー 2016年12月
●フードデリバリー  熱中症対策アドバイザー認定 2018年7月
●ソラスト修了講座 医師事務作業補助者(ドクターズオフィスワークアシスト)養成講座 2018年10月、医療事務講座クリニックコース(2019年3月)
●技能認定振興協会(JSMA)医師事務作業補助者検定試験合格 2019年4月
●日本癌治療学会 Cancer eラーニング 104講座修了 受講証明書有 2019年8月
●日本人間ドック学会 遺伝学的検査検討委員会 eラーニング修了 2019年8月
●日本医療ガス学会 医療ガス安全管理研修 eラーニング修了 2019年8月
●ICR臨床研究入門修了講座 臨床研究の基礎知識講座、臨床研究のデータベースマネージメント入門、再生医療研究のインフォームド・コンセント、事例から学ぶ研究倫理 2019年8月
●JTEX 製薬・医薬品の基礎講座修了 2019年10月
●東京女子医科大学 教育・学習支援プログラム 100講座修了 2020年2月
●動脈硬化予防啓発セミナー eラーニング 55講座修了 2020年5月
●Gacco修了講座 がんゲノム医療オンライン講座2020(ノート作成済)2021年3月
●日本糖尿病学会 リアルタイムCGM研修 eラーニング修了 2021年4月
●日本臨床腫瘍学会 市民公開講座「正しく知ろう!がん免疫療法とがんゲノム医療」受講済 2021年4月、がんゲノムネット eラーニング 受講済 2021年5月
●厚生労働省 Peace 緩和ケア研修 eラーニング修了、IHEAT 新型コロナウイルス感染症等に対する人材育成eラーニング 受講済 2021年5月
●MPラーニング(薬学) 50講座修了 2022年2月
●医療情報処理学会医療情報技師育成部会 eラーニング 受講講座 医療情報基礎用語集、個人情報の保護法、医療統計セミナーB、 医療情報学研究の最前線と医療現場を繋ぐ 2024年9月現在

【所属研究会】
●日本成人病予防協会 
https://fanblogs.jp/macroresearch/履歴書

【連絡先】
電話 04-2921-1820、メール hanamura36@gmail.com

小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害9

5 まとめ

 労働者たちは、この場面でグループ型で外部から情報を取り込み、旧情報を基に問題未解決から問題解決へ向かっている。そのため「悲惨な労働者の姿と当時の日本の権力」と「行動のトリガーとしての意欲と不安」という組が相互に作用し、「小林多喜二と不安障害」というシナジーのメタファーが成立する。
 この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。 

参考文献

大塚俊男他 こころの病気を知る事典 弘文堂 2007 
小林多喜二 蟹工船 青空文庫
小林多喜二 蟹工船 現代語訳 渡邉文幸 理論社 2014
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員通信講座テキスト ヘルスケア出版 2014
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默−ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019
花村嘉英 小林多喜二「蟹工船」のデータベース 2019

小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害8

情報の認知の流れ

A 情報の認知1はBその他の反応、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、である。
B 情報の認知1はAグループ化、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、である。
C 情報の認知1はAグループ化、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、である。
D 情報の認知1はAグループ化、情報の認知2は@旧情報A新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へ、である。
E 情報の認知1はAグループ化、情報の認知2は@旧情報A新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へ、である。

結果 不安を伴うも、労働者たちは、一応この場面で問題未解決から問題解決へ向かっている。

花村嘉英(2019)「小林多喜二の「蟹工船」の執筆脳について」より

小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害7

表3 感情と行動の認知プロセス

A 然し「今に見ろ」を百遍繰りかえして、それが何になるか。ストライキが惨めに敗れてから、仕事は「畜生、思い知ったか」とばかりに、過酷になった。それは今までの過酷にもう一つ更に加えられた監督の復仇的な過酷さだった。限度というものの一番極端を越えていた。今ではもう仕事は堪え難いところまで行っていた。
情報の認知1 3 情報の認知2 2 情報の認知3 2

B 「間違っていた。ああやって、九人なら九人という人間を、表に出すんでなかった。まるで、俺達の急所はここだ、と知らせてやっているようなものではないか。俺達全部は、全部が一緒になったという風にやらなければならなかったのだ。そしたら監督だって、駆逐艦に無電は打てなかったろう。まさか、俺達全部を引き渡してしまうなんて事、出来ないからな。仕事が、出来なくなるもの」
情報の認知1 2 情報の認知2 1 情報の認知3 2

C 「そうだな」
「そうだよ。今度こそ、このまま仕事していたんじゃ、俺達本当に殺されるよ。犠牲者を出さないように全部で、一緒にサボルことだ。この前と同じ手で。吃りが云ったでないか、何より力を合わせることだって。それに力を合わせたらどんなことが出来たか、ということも分っている筈だ」
情報の認知1 2 情報の認知2 1 情報の認知3 2

D 「それでも若し駆逐艦を呼んだら、皆で―この時こそ力を合わせて、一人も残らず引渡されよう!その方がかえって助かるんだ」
「んかも知らない。然し考えてみれば、そんなことになったら、監督が第一あわてるよ、会社の手前。代りを函館から取り寄せるのには遅すぎるし、出来高だって問題にならない程少ないし。……うまくやったら、これア案外大丈夫だど」
「大丈夫だよ。それに不思議に誰だって、ビクビクしていないしな。皆、畜生!ッて気でいる」
情報の認知1 2 情報の認知2 1 情報の認知3 1
E 「本当のことを云えば、そんな先きの成算なんて、どうでもいいんだ。――死ぬか、生きるか、だからな」 「ん、もう一回だ!」
 そして、彼等は、立ち上った。――もう一度!
情報の認知1 2 情報の認知2 1 情報の認知3 1

花村嘉英(2019)「小林多喜二の「蟹工船」の執筆脳について」より

小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害6

【連想分析2】

情報の認知1(感覚情報)
 感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、Bその他の反応である。

情報の認知2(記憶と学習)
外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報はまたカテゴリー化される。このプロセスは、経験を通した学習になる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。

情報の認知3(計画、問題解決、推論)
受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へ、である。

花村嘉英(2019)「小林多喜二の「蟹工船」の執筆脳について」より

小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害5

分析例

意味1@視覚A聴覚B味覚C嗅覚D触覚、意味2@喜A怒B哀C楽、意味3振舞い@直示A隠喩、意味4階級@労働者A権力者、人工知能1行動のトリガーとしての意欲@ありAなし、人工知能2不安障害@ありAなし
テキスト共生の公式
ステップ1 解析の組は、悲惨な労働者の姿(意味1、2、3)と当時の日本の権力(意味4)とする。
ステップ2 不安障害の特性から「行動のトリガーとしての意欲と不安」という組を作り、解析の組と合わせる。
A 悲惨な労働者の姿(A聴覚+B哀+@直示)と当時の日本の権力(@労働者+A権力者)という組を、行動のトリガー(@あり)と不安(@あり)からなる組と合わせる。
B 悲惨な労働者の姿((@視覚+A聴覚)+B哀+@直示)と当時の日本の権力(@労働者)という組を、行動のトリガー(Aなし)と不安(@あり)からなる組と合わせる。
C 悲惨な労働者の姿(A聴覚+B哀+@直示)と当時の日本の権力(@労働者)という組を、行動のトリガー(@あり)と不安(@あり)からなる組と合わせる。
D 悲惨な労働者の姿(A聴覚+@喜+@直示)と当時の日本の権力(@労働者+A権力)という組を、行動のトリガー(@あり)と不安(Aなし)からなる組と合わせる。
E 悲惨な労働者の姿((@視覚+A聴覚)+@喜+@直示)と当時の日本の権力(@労働者)という組を、行動のトリガー(@あり)と不安(@あり)からなる組と合わせる。

結果
表2については、テキスト共生が適用される。

花村嘉英(2019)「小林多喜二の「蟹工船」の執筆脳について」より

小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害4

A 然し「今に見ろ」を百遍繰りかえして、それが何になるか。ストライキが惨めに敗れてから、仕事は「畜生、思い知ったか」とばかりに、過酷になった。それは今までの過酷にもう一つ更に加えられた監督の復仇的な過酷さだった。限度というものの一番極端を越えていた。今ではもう仕事は堪え難いところまで行っていた。 
意味1 2 意味2 3 意味3 1 意味4 1+2 AI1 1 AI2 1

B 「間違っていた。ああやって、九人なら九人という人間を、表に出すんでなかった。まるで、俺達の急所はここだ、と知らせてやっているようなものではないか。俺達全部は、全部が一緒になったという風にやらなければならなかったのだ。そしたら監督だって、駆逐艦に無電は打てなかったろう。まさか、俺達全部を引き渡してしまうなんて事、出来ないからな。仕事が、出来なくなるもの」
意味1 1+2 意味2 3 意味3 1 意味4 1 AI1 2 AI2 1

C「そうだな」
「そうだよ。今度こそ、このまま仕事していたんじゃ、俺達本当に殺されるよ。犠牲者を出さないように全部で、一緒にサボルことだ。この前と同じ手で。吃りが云ったでないか、何より力を合わせることだって。それに力を合わせたらどんなことが出来たか、ということも分っている筈だ」
意味1 2 意味2 3 意味3 1 意味4 1 AI1 1 AI2 1

D 「それでも若し駆逐艦を呼んだら、皆で―この時こそ力を合わせて、一人も残らず引渡されよう!その方がかえって助かるんだ」
「んかも知らない。然し考えてみれば、そんなことになったら、監督が第一あわてるよ、会社の手前。代りを函館から取り寄せるのには遅すぎるし、出来高だって問題にならない程少ないし。……うまくやったら、これア案外大丈夫だど」
「大丈夫だよ。それに不思議に誰だって、ビクビクしていないしな。皆、畜生!ッて気でいる」
意味1 2 意味2 1 意味3 1 意味4 1+2 AI1 1 AI2 2

E 「本当のことを云えば、そんな先きの成算なんて、どうでもいいんだ。――死ぬか、生きるか、だからな」 「ん、もう一回だ!」
 そして、彼等は、立ち上った。――もう一度!
意味1 1+2 意味2 1 意味3 1 意味4 1 AI1 1 AI2 1

花村嘉英(2019)「小林多喜二の「蟹工船」の執筆脳について」より

小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害3

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、もちろん登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

【データベースの作成】 表1 「蟹工船」のデータベースのカラム
文法1 名詞の格 鴎外の助詞の使い方を考える。
文法2 ヴォイス 能動、受動、使役。
文法3 テンス、アスペクト 現在、過去、未来、進行形、完了形。
文法4 モダリティ 様相の表現。可能、推量、義務、必然。
意味1  五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
意味2 喜怒哀楽 情動との接点。瞬時の思い。
意味3  振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
意味4 行動・意欲 ある、なし
医学情報 病跡学との接点 受容と共生の共有点。構文や意味の解析から得た組「情動と尊敬の念」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
記憶 短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述) 作品から読み取れる記憶を拾う。長期記憶は陳述と非陳述に分類される。
情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報についてはカテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
人工知能 行動のトリガー エキスパートシステム 味や目的を持った行動の動機や行動を制御する意志や欲求からなる積極的な精神作用。
人工知能 不安障害 エキスパートシステム ストレスの強さが問題なのではなく、性格や経験により構築された考え方、物事の捉え方が原因といえる。

花村嘉英(2019)「小林多喜二の「蟹工船」の執筆脳について」より

小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害2

2 小林多喜二(1903−1933)の「蟹工船」のLのストーリー

 「蟹工船」の購読脳を「悲惨な労働者の姿と当時の日本の権力」とし、共生の読みによる五感を交えたメンタルヘルスからの執筆脳を「行動のトリガーとしての意欲と不安」にする。周知のように、プロレタリアと呼ばれる労働者は、劣悪な条件で働き、しかも低賃金を余儀なくされ、過労死や失業転職も日常茶飯事であった。いくら働いても貧困で富を得るのは一部の財閥に決まっており、戦争に行って血を流して死ぬのは労働者であった。帝国主義の戦争は、労働者にとって何の利益ももたらさなかった。
 渡邉(2014)にもあるように、多喜二は、国家権力や財閥に対して次第に怒りと憎悪を覚えるようになる。1928年に行われた普通選挙で労農党の候補を応援した時、共産党への弾圧や国家維持法違反による労農組合員の逮捕を受けて、多喜二は強い憤りを覚えた。
 当然のことながら、心の病との関連を考えることができる。大塚他(2007)によると、心の病気の原因は、一つが生物学的な基盤、即ち、脳や神経伝達物質、ホルモン、遺伝子の異常などに起因する身体的なものであり、また一つが無意識の心理、即ち、生活から生まれる学習理論、個人の認知や思考パターン、人間の価値、罪、決定の自由といった問題を処理する能力、社会や文化の影響などである。前者は身体因による精神の病であり、後者は心因による心の病といえる。
 小林多喜二の場合、心因による心の病が考えられる。何か行動を起こすとき、欲求や衝動が行動の動機づけとなり、意味や目的を持った行動をしようとする意思が働く。行動を制御する意思と欲求を合わせて意欲といい、物事を積極的に行おうとする精神作用のことをいう。出版物も当局の弾圧下にあるため、「蟹工船」の購読脳から執筆脳の信号の流れを刺激に対して過敏に反応する強迫観念による不安障障の併発とする。以下では、「多喜二と積極性故の不安障害」というシナジーのメタファーを考察していく。

(1) 購読と執筆の信号の流れ
購読脳「悲惨な労働者の姿と当時の日本の権力」→ 執筆脳「行動のトリガーとしての意欲と不安」、故に「多喜二と不安障害」

花村嘉英(2019)「小林多喜二の「蟹工船」の執筆脳について」より

小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害1

1 先行研究

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
 執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。
 筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なおLのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
 なお、メゾのデータを束ねて何やら観察で予測が立てば、言語分析や翻訳そして資格に基づくミクロと医学も含めたリスクや観察の社会論からなるマクロとを合わせて、広義の意味でシナジーのメタファーが作られる。

花村嘉英(2019)「小林多喜二の「蟹工船」の執筆脳について」より

中島敦の「山月記」のバラツキについて7

3 まとめ
 
 リレーショナル・データベースの数字及びそこから求めた標準偏差により、「山月記」に関して部分的ではあるが、既存の分析例が説明できている。従って、この小論の分析方法、即ちデータベースを作成する文学研究は、データ間のリンクなど人の目には見えないものを提供してくれるため、これまでよりも客観性を上げることに成功している。

【参考文献】

中島敦 山月記 青空文庫
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 中島敦の「山月記」のデータベース 2019

中島敦の「山月記」のバラツキについて6

2.2 標準偏差による分析

 グループA、グループB、グループC、グループDそれぞれの標準偏差を計算する。その際、場面1、場面2、場面3の特性1と特性2のそれぞれの値は、質量ではなく指標であるため、特性の個数を数えて算術平均を出し、それぞれの値から算術平均を引き、その2乗の和集合の平均を求め、これを平方に開いていく。
 求められた各グループの標準偏差の数字は、何を表しているのだろうか。数字の意味が説明できれば、分析は、一応の成果が得られたことになる。 
◆グループA:五感(1視覚と2その他)
場面1(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
場面2(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0となる。
場面3(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
【数字からわかること】
場面1、場面2、場面3を通して、視覚情報が少ないため、「山月記」は、五感の中で視覚以外の情報が鍵になる作品といえる。
◆グループB:ジェスチャー(1直示と2隠喩)
場面1(特性1、5個と特性2、0個)の標準偏差は、0となる。
場面2(特性1、4個と特性2、1個)の標準偏差は、0.4となる。
場面3(特性1、5個と特性2、0個)の標準偏差は、0となる。
【数字からわかること】
「山月記」は、誰もが思い当たる人生を重ねた作品であるため、各場面を通して隠喩が少ないことがわかる。
◆グループC:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)
場面1(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
場面2(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
場面3(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
【数字からわかること】
場面1、場面2、場面3を通して、新旧の情報が交錯しているため、時間が前後していることがわかる。
◆グループD:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)
場面1(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
場面2(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、0.49となる。
場面3(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、0.49となる。
【数字からわかること】
中島敦は、「山月記」執筆中、場面の最後で問題解決を試みていることから、場面単位で作品の構成を考えている。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」から見えてくるバラツキについて」より

中島敦の「山月記」のバラツキについて5

場面3

言終って、叢中から慟哭の声が聞えた。袁もまた涙を泛べ、欣んで李徴の意に副いたい旨を答えた。李徴の声はしかし忽ち又先刻の自嘲的な調子に戻って、言った。A2B1C2D2
本当は、先まず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己が人間だったなら。飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。
A2B1C1D1
そうして、附加えて言うことに、袁參が嶺南からの帰途には決してこの途を通らないで欲しい、その時には自分が酔っていて故人ともを認めずに襲いかかるかも知れないから。又、今別れてから、前方百歩の所にある、あの丘に上ったら、此方を振りかえって見て貰いたい。A2B1C2D2
自分は今の姿をもう一度お目に掛けよう。勇に誇ろうとしてではない。我が醜悪な姿を示して、以って、再び此処を過ぎて自分に会おうとの気持を君に起させない為であると。A2B1C2D2
袁參は叢に向って、懇ろに別れの言葉を述べ、馬に上った。叢の中からは、又、堪え得ざるが如き悲泣の声が洩もれた。袁參も幾度か叢を振返りながら、涙の中に出発した。A1B1C2D1

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」から見えてくるバラツキについて」より

中島敦の「山月記」のバラツキについて4

場面2

何故こんな運命になったか判らぬと、先刻は言ったが、しかし、考えように依れば、思い当ることが全然ないでもない。人間であった時、己は努めて人との交りを避けた。人々は己を倨傲だ、尊大だといった。実は、それが殆ど羞恥心に近いものであることを、人々は知らなかった。勿論、曾ての郷党の鬼才といわれた自分に、自尊心が無かったとは云いわない。A2B1C1D2
しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかった。A2B1C1D2
共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心とのせいである。己の珠に非ることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。
A2B1C1D2
己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。A2B2C2D1
これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。今思えば、全く己は、己の有っていた僅ばかりの才能を空費して了った訳だ。
A2B1C2D1

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」から見えてくるバラツキについて」より

中島敦の「山月記」のバラツキについて3

2 場面のイメージを分析する

2.1 データの抽出

 作成したデータベースから特性が2つあるカラムを抽出し、標準偏差によるバラツキを調べてみる。例えば、A:五感(1視覚と2それ以外)、B:ジェスチャー(1直示と2隠喩)、C:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)、D:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)というように文系と理系のカラムをそれぞれ2つずつ抽出する。
場面1
一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。或る夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。A2B1C2D2
翌年、監察御史、陳郡の袁參という者、勅命を奉じて嶺南に使いし、途に商於の地に宿った。次の朝未暗い中うちに出発しようとしたところ、駅吏が言うことに、これから先の道に人喰虎が出る故、旅人は白昼でなければ、通れない。今はまだ朝が早いから、今少し待たれたが宜しいでしょうと。A2B1C2D2
袁參は、しかし、供廻りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉を斥けて、出発した。残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛虎が叢の中から躍り出た。虎は、あわや袁參に躍りかかるかと見えたが、忽ち身を飜して、元の叢に隠れた。叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟くのが聞えた。A1B1C2D1
その声に袁參は聞き憶えがあった。驚懼の中にも、彼は咄嗟に思いあたって、叫んだ。「その声は、我が友、李徴子ではないか?」袁參は李徴と同年に進士の第に登り、友人の少なかった李徴にとっては、最も親しい友であった。温和な袁參の性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったためであろう。A2B1C2D1
叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微な声が時々洩るばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。A2B1C1D1

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」から見えてくるバラツキについて」より

中島敦の「山月記」のバラツキについて2

1.2 標準偏差

 標準偏差は、グループの全ての値によってバラツキを決めていく。グループの個々の値から算術平均がどれだけ離れているのかによって、バラツキの大きさが決まる。
グループd(1、1、4、7、7)の算術平均は4である。それぞれの値から算術平均を引くと、1-4=-3、1-4=-3、4-4=0、7-4=3、7-4=3となる。この算術平均から離れている大きさを平均してやると、バラツキの目安が求められる。しかし、-3、-3、0、3、3を全部足すと0になるため、さらに工夫が必要になる。
例えば、絶対値をとる方法とか値を2乗してマイナスの記号を取る方法がある。2乗した場合、9、9、0、9、9となり、平均値を求めると、5で割って7.2となる。但し、元の単位がcmのときに、2乗すればcm2となるため、7.2を開いて元に戻すと、√7.2 cm2≒2.68 cmというバラツキの大きさになる。
 
(1) 標準偏差の公式
σ=√Σ (Xi−X)2/n

次にグループe(1、4、4、4、7)について見てみよう。算術平均は4である。それぞれの値から算術平均を引くと、1-4=-3、4-4=0、4-4=0、4-4=0、7-4=3となる。この算術平均から離れている大きさを平均すると、バラツキの目安が求められる。しかし、-3、0、0、0、3を全部足すと0になるため、それぞれを2乗して、9、0、0、0、9として平均値を求め、5で割って3.6を求める。
但し、元の単位がcmのときに2乗すれば、cm2となるため、3.6を開いて元に戻すと、√3.6 cm2≒1.90 cmというバラツキの大きさになる。従って、グループdの方がグループeよりもバラつきが大きいことになる。
以下では、標準偏差(1)の公式を使用して、作成した中島敦の「山月記」のデータに関するバラツキから見えてくる特徴を考察していく。 
花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」から見えてくるバラツキについて」より

中島敦の「山月記」のバラツキについて1

1 簡単な統計処理

1.1 データのバラツキ

 グループa(5、5、5、5、5)とグループb(3、4、5、6、7)とグループc(1、3、5、7、9)は、算術平均がいずれも5であり、また中央値(メジアン)も同様に5である。算術平均やメジアンを代表値としている限り、この3つのグループは差がないことになる。しかし、バラツキを考えると明らかに違いがある。グループaは、全てが5のため全くバラツキがない。グループbは、5が中心にあり3から7までばらついている。グループcは、1から9までの広範囲に渡ってバラツキが見られる。グループbのバラツキは、グループcのバラツキよりも小さい。  
 次に、グループd(1、1、4、7、7)とグループe(1、4、4、4、7)だと、どちらのバラツキが大きいことになるのだろうか。グループdは、中心の4から3も離れた所に4つの値がある。グループeは、中心に3つの値があって、そこから3離れたところに値が2つある。 
 バラツキの大きさを定義する方法で最も有名なのが、レンジと標準偏差である。レンジはグループの最大値から最小値を引くことにより求めることができる。グループdは、7-1=6で、グループeも7-1=6となる。レンジだけでバラツキを定義すれば、グループdとグループeは同じことになるが、グループ内の最大値と最小値だけを問題にするため、他の値が疎かになっている。そこでもう一つのバラツキに関する定義、標準偏差について見てみよう。
花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」から見えてくるバラツキについて」より

心理学統計の検定を用いて中島敦の「山月記」を考える7

3 まとめ

 中島敦の「山月記」に登場する人物の記憶範囲についてデータベースから心理学統計による評価をしてみると、記憶範囲に関して差があることが分かった。

参考文献

実吉綾子 心理学統計入門 技術評論社 2013
中島敦 山月記 青空文庫
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方-トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018
花村嘉英 中島敦の「山月記」のデータベース 2017

心理学統計の検定を用いて中島敦の「山月記」を考える6

1 最初は記憶範囲に差がないと予測する。両者の平均値を取ると、李徴 1.7、袁參 0.9になる。この差は誤差の可能性がある。
2 具体度の1、2は独立変数であり、それにともなう記憶の度合い強弱は、従属変数になる。
3 独立変数そのものの1、2が要因で、独立変数の実際の値、記憶の度合いが水準になる。
4 ここでは、どちらの水準も同じ標本からデータを集めているため、具体度という要因は、参加者内要因になる。
5 得られた有意確率(p値)を有意水準と比較する。危険率は通常5%未満のため、ここではt検定を採用する。 
6 t検定では、二つの平均の差を表す統計量(t値)、データの規模を表す自由度(df)、p値(p-value)を説明する。
[満足度のt検定]
李徴 1.7、袁參 0.9、よってt値=0.8。
自由度は、独立した標本の個数から1引いたものである。よってdf=8。
p値は、0.02にする。ここでは5%未満のため、対立仮説を採択し、有意な差があるとする。

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて中島敦の『山月記』を考える」より

心理学統計の検定を用いて中島敦の「山月記」を考える5

表2 具体度

何故こんな運命になったか判らぬと、先刻は言ったが、しかし、考えように依れば、思い当ることが全然ないでもない。人間であった時、己は努めて人との交りを避けた。人々は己を倨傲だ、尊大だといった。実は、それが殆ど羞恥心に近いものであることを、人々は知らなかった。勿論、曾ての郷党の鬼才といわれた自分に、自尊心が無かったとは云いわない。李徴2 袁參1

しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかった。李徴2 袁參1

共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心とのせいである。己の珠に非ることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。
李徴2 袁參1

己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。李徴2 袁參0

これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。今思えば、全く己は、己の有っていた僅ばかりの才能を空費して了った訳だ。
李徴2 袁參0

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて中島敦の『山月記』を考える」より

心理学統計の検定を用いて中島敦の「山月記」を考える4

2.3 「山月記」の登場人物に見る記憶範囲の違い

 「山月記」は、己を失くし妻子を苦しめた李徴が後悔しながらも最後は旧友袁參に素直な気持ちを伝えるというストーリーである。ここでは、この小論の研究テーマ、記憶範囲の違いについて、作成したデータベースを基に考察していく。

解答 記憶範囲の違い
表1 具体度

一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。或る夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。李徴1 袁參0

翌年、監察御史、陳郡の袁參という者、勅命を奉じて嶺南に使いし、途に商於の地に宿った。次の朝未暗い中うちに出発しようとしたところ、駅吏が言うことに、これから先の道に人喰虎が出る故、旅人は白昼でなければ、通れない。今はまだ朝が早いから、今少し待たれた方が宜しいでしょうと。李徴0 袁參1

袁參は、しかし、供廻りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉を斥けて、出発した。残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛虎が叢の中から躍り出た。虎は、あわや袁參に躍りかかるかと見えたが、忽ち身を飜して、元の叢に隠れた。叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟くのが聞えた。李徴2 袁參1

その声に袁參は聞き憶えがあった。驚懼の中にも、彼は咄嗟に思いあたって、叫んだ。「その声は、我が友、李徴子ではないか?」袁參は李徴と同年に進士の第に登り、友人の少なかった李徴にとっては、最も親しい友であった。温和な袁參の性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったためであろう。李徴2 袁參2

叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微な声が時々洩るばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。李徴2 袁參2

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて中島敦の『山月記』を考える」より

心理学統計の検定を用いて中島敦の「山月記」を考える3

2.2 実験計画

【研究テーマ】
質問 登場人物の記憶範囲の違い。
帰無仮説 記憶範囲に差がない。
対立仮説 記憶範囲に差がある。
【実験計画】
独立変数 実験や調査をする人が仮説を検証するために使用する変数。原因と結果でいうと原因である。
従属変数 独立変数の操作に応じて変化すると考えられる変数。原因と結果でいうと結果である。
【要因と水準】
要因 実験者が使用する変数。独立変数そのもの。
水準 実験者が使用する種類。独立変数が実際にとる値。
【参加者間要因と参加者内要因】
参加者間要因 水準のデータが異なる標本から集められる場合。
参加者内要因 水準のデータが同じ標本から集められる場合。
【有意確率】
帰無仮説を前提としたときに、誤差から偶然ある程度の差が標本に生じる確率のこと。危険率とかP値という。また、誤差には、本当はないのに誤って誤差があるとする第一種と誤差があるのに誤ってないとする第二種とがある。実吉(2013)では、5%水準を基準にしている。

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて中島敦の『山月記』を考える」より

心理学統計の検定を用いて中島敦の「山月記」を考える2

2 心理学統計

心理学統計では、心の働きを数値化しながら客観性を計り、集計や分析を試みる。心を測定する時は、様々な要因がデータに含まれるため、データには誤差が付き物である。そのため、統計学により誤差を取り除き真の値を求めていく必要がある。そうすると、限られた人数のデータから人間一般に共通する心の働きも推測可能になる。

2.1 有意性検定

 科学では全般的に仮説を立てて検証する方法が使われる。実吉(2013)によると、検定の際に仮説が成り立つかどうかは、作成したデータから決めていく。検定の対象は、そこに有意性の差があるかどうかである。例えば、男女で不安度に差があるのかどうか、または満足度に差があるのかどうか。こうした問題に対してデータを集めながら検定すると、解答が見えてくる。

【検定の流れ】
帰無仮説と対立仮説を立てる → 独立変数と従属変数を具体的に決め、実験計画を立てる → データを取る → 実験計画に応じた統計検定を行う → 得られた有意確率(p値)を有意水準と比較する → 帰無仮説の棄却、採択を決定する

 ここで、帰無仮説とは、比較する数値間に差がないという仮説である。対立仮説は比較する数値間に差があるとする仮説である。検定では、まず帰無仮説が正しいことを前提に検討され、帰無仮説が成り立たなければ、それを棄てて対立仮説に移り、差があるという結論にする。つまり背理法による命題の証明である。

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて中島敦の『山月記』を考える」より

心理学統計の検定を用いて中島敦の「山月記」を考える1

1 先行研究との関係

データベースを作成ながら購読脳と執筆脳を分析するシナジーのメタファーの研究も次第に安定してきている。これまでバランスを意識して二個二個のルールに基づき多くの組み合わせを作ってきた。統計についても、バラツキ、相関関係、多変量分析と進み、今回の心理学統計を含めれば、バラツキと相関、多変量と心理という組み合わせができる。この小論では、実吉(2013)の心理学統計の検定の手法に従い、中島敦の「山月記」を題材にして登場人物の記憶範囲について考えていく。 

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて中島敦の『山月記』を考える」より

中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分10

6 まとめ 

 データベースの数字を用いてクラスタ解析から得られた特徴を場面ごとに平均、標準偏差、中央値、四分位範囲と考察し、それぞれ何が主成分なのか説明できている。そのため、この小論の分析方法は、既存の研究とも照合ができ、統計による文学分析がさらに研究を濃いものにしてくれている。

【参考文献】
片野善夫 ほすぴ162号 知っているようで知らない五感のしくみ−視覚 日本成人病予防協会 2018
加藤剛 多変量解析超入門 技術評論社 2013
中島敦 山月記 青空文庫 
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から 森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日語教学研究会上海分解論文集 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分解論文集 華東理工大学出版社 2019
花村嘉英 「中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より ファンブログ 2019 

中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分9

【カラム】
A平均1.8 標準偏差0.45 中央値2.0 四分位範囲2.0
B平均1.0 標準偏差0 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均1.8 標準偏差0.45 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.6 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.4普通、標準偏差0.22普通、中央値1.5普通、四分位範囲1.5低い
CD 平均1.7高い、標準偏差0.5低い、中央値1.5普通、四分位範囲1.5低い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
Bの標準偏差数字が0のため、両者の振舞いを描こうと思っている。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 7、視覚以外、直示、新情報、未解決 → 李徴の慟哭の声と自嘲的な声。
A 5、視覚、直示、新情報、解決 → 妻子より己を優先させたため、虎になった。 
B 7、視覚、直示、新情報、未解決 → 帰途にこの道を通らないよう願う。
C 7、視覚以外、直示、新情報、未解決 → 芳子が就寝時の祖母の様子を語る。
D 5、視覚、直示、新情報、解決 → 李徴も袁參も涙の中に別れた。
【場面の全体】
 視覚情報が6割ほどしかなく、脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりも低い。従って、ここでは視覚以外の情報が役に立っている。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分8

◆場面3 

言終って、叢中から慟哭の声が聞えた。袁もまた涙を泛べ、欣んで李徴の意に副いたい旨を答えた。李徴の声はしかし忽ち又先刻の自嘲的な調子に戻って、言った。A2B1C2D2
本当は、先まず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己が人間だったなら。飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。A2B1C1D1
そうして、附加えて言うことに、袁參が嶺南からの帰途には決してこの途を通らないで欲しい、その時には自分が酔っていて故人ともを認めずに襲いかかるかも知れないから。又、今別れてから、前方百歩の所にある、あの丘に上ったら、此方を振りかえって見て貰いたい。A2B1C2D2
自分は今の姿をもう一度お目に掛けよう。勇に誇ろうとしてではない。我が醜悪な姿を示して、以って、再び此処を過ぎて自分に会おうとの気持を君に起させない為であると。A2B1C2D2
袁參は叢に向って、懇ろに別れの言葉を述べ、馬に上った。叢の中からは、又、堪え得ざるが如き悲泣の声が洩もれた。袁參も幾度か叢を振返りながら、涙の中に出発した。A1B1C2D1

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分7

【カラム】
A平均2.0 標準偏差0 中央値2.0 四分位範囲2.0
B平均1.2 標準偏差0.45 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
D平均1.6 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.6普通、標準偏差0.22低い、中央値1.5普通、四分位範囲1.5高い
CD 平均1.5普通、標準偏差0.55普通、中央値1.0低い、四分位範囲1.0低い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
壁越しの会話であり、情報は旧から新、問題は未解決から解決へ進んでいく。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 6、視覚、直示、旧情報、未解決 → 李徴は己の自尊心を認める。
A 6、視覚以外、直示、新情報、未解決 → 臆病な自尊心である。
B 6、視覚、直示、旧情報、未解決 → 他方に尊大な自尊心もある。
C 7、視覚以外、直示、旧情報、未解決 →尊大な自尊心は虎であった。
D 6、視覚以外、隠喩、新情報、解決 → 己を損ない知人を傷つけ、外形を内心にふさわしいものにしてしまった。
【場面の全体】
 視覚情報が4割のため、通常の五感の入力信号の割合よりも低いため、視覚以外の情報が問題解決に効いている。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分6

◆場面2

何故こんな運命になったか判らぬと、先刻は言ったが、しかし、考えように依れば、思い当ることが全然ないでもない。人間であった時、己は努めて人との交りを避けた。人々は己を倨傲だ、尊大だといった。実は、それが殆ど羞恥心に近いものであることを、人々は知らなかった。勿論、曾ての郷党の鬼才といわれた自分に、自尊心が無かったとは云いわない。A2B1C1D2
しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかった。A2B1C1D2
共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心とのせいである。己の珠に非ることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。
A2B1C1D2
己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。A2B2C2D1
これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。今思えば、全く己は、己の有っていた僅ばかりの才能を空費して了った訳だ。
A2B1C2D1

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分5

【カラム】
A平均1.8 標準偏差0.45 中央値2.0 四分位範囲2.0
B平均1.0 標準偏差0 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均1.8 標準偏差0.45 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.4普通、標準偏差0.22低い、中央値1.5普通、四分位範囲1.5高い
CD 平均1.6普通、標準偏差0.5低い、中央値1.5普通、四分位範囲1.5高い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
Bのバラツキが小さくて、直示のジェスチャーが多いことから、登場人物はよく動いている。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 7、視覚以外、直示、新情報、未解決 → 李徴が発狂した。
A 7、視覚以外、直示、新情報、未解決 → 旧友の袁參が近くを通る。
B 5、視覚、直示、新情報、解決 → 果たして人喰虎が出没した。
C 6、視覚以外、直示、新情報、解決 → 声に聞き覚えがあり、李徴の声とわかる。
D 5、視覚以外、直示、旧情報、解決 → 李徴も声の主と認める。
【場面の全体】
 全体で視覚情報は2割であり、脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりもかなり低いため、視覚意外の情報が問題解決に効いている。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分4

◆場面1

一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。或る夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。
A2B1C2D2
翌年、監察御史、陳郡の袁參という者、勅命を奉じて嶺南に使いし、途に商於の地に宿った。次の朝未暗い中うちに出発しようとしたところ、駅吏が言うことに、これから先の道に人喰虎が出る故、旅人は白昼でなければ、通れない。今はまだ朝が早いから、今少し待たれた方が宜しいでしょうと。A2B1C2D2
袁參は、しかし、供廻りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉を斥けて、出発した。残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛虎が叢の中から躍り出た。虎は、あわや袁參に躍りかかるかと見えたが、忽ち身を飜して、元の叢に隠れた。叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟くのが聞えた。A1B1C2D1
その声に袁參は聞き憶えがあった。驚懼の中にも、彼は咄嗟に思いあたって、叫んだ。「その声は、我が友、李徴子ではないか?」袁參は李徴と同年に進士の第に登り、友人の少なかった李徴にとっては、最も親しい友であった。温和な袁參の性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったためであろう。A2B1C2D1
叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微な声が時々洩るばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。A2B1C1D1

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分3

3 多変量の分析

 多変量を解析するには、クラスタと主成分が有効な分析になる。これらの分析がデータベースの統計処理に繋がるからである。多変数のデータでも、最初は1変数ごとの観察から始まる。また、クラスタ分析は、多変数のデータを丸ごと扱う最初の作業ともいえる。似た者同士を集めたクラスタを樹形図からイメージする。それぞれのクラスタの特徴を掴み、それを手掛かりに多変量データの全体像を考えていく。樹形図については、単純な二個二個のクラスタリングの方法を想定し、変数の数や組み合わせを考える。
 作成したデータベースから特性が2つあるカラムを抽出し、グループ分けをする。例えば、A五感(1視覚と2それ以外)、Bジェスチャー(1直示と2比喩)、C情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)、D情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)というように文系と理系のカラムをそれぞれ2つずつ抽出する。
 まず、ABCDそれぞれの変数の特徴について考える。次に、似た者同士のデータをひとかたまりにし、ここでは言語の認知ABと情報の認知CDにグループ分けをする。得られた変数の特徴からグループそれぞれの特徴を見つける。最後に、各場面のラインの合計を考える。それぞれの要素からどのようなことがいえるのであろうか。「山月記」のバラツキが縦のカラムの特徴を表しているのに対し、ここでのクラスタは、一場面のカラムとラインの特徴を表している。
 なお、外界情報の獲得に関する五感の割合は、視覚82%、聴覚11%、嗅覚4%、触覚2%、味覚1%とする。(片野2018)

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分2

2 中島敦の「山月記」はパーソナリティ障害

 「山月記」の購読脳を「自尊心と自己愛性パーソナリティ障害」とする。自尊心については、主人公の李徴が認めている。日本成人病予防協会(2014)によると、人から称賛されたいと強く思い、根拠もないのに自分は称賛に値する優れた人間だと信じている。特権意識の強い、己惚れた人間である。自己愛を傷つけられると怒ることもある。この群に属するパーソナリティ障害には、反社会性、境界性、演技性といった基本的な特徴があり、他人を巻き込み派手で劇的な人格が見受けられる。
購読脳の組み合せ、「自尊心と自己愛性パーソナリティ障害」という出力が、共生の読みの入力となって横にスライドし、出力として「人生と思考」という組を考える。よって「中島敦と思考」としてシナジーのメタファーを調節する。
リスク回避と取れる提言が述べられる。己惚れることなく協調性を持って生活することが人生の心得なのである。なお、パーソナリティ障害は、一般的に病気に対する自身の認識が低いため、治療に至らないことが多い。できるだけ周囲の人を通して調節するとよい。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分1

1 先行研究との関係

 これまでに中島敦(1909−1942)の「山月記」執筆時の脳の活動を思考とし、シナジーのメタファーを作成している。(花村2018) この小論では、さらに多変量解析に注目し、クラスタ分析と主成分について考察する。それぞれの場面で中島敦の執筆脳がデータベースから異なる視点で分析できれば、自ずと客観性は上がっていく。ここでシナジーのメタファーといえば「中島敦と思考」を指す。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

中島敦の「山月記」の相関関係について5

4 相関係数を言葉で表す

数字の意味を言葉で確認しておこう。 

-0. 7≦r≦-1.0 強い負の相関がある
-0.4≦r≦-0.7 やや負の相関がある
0≦r≦-0.4 ほとんど負の相関がない
0≦r≦0.2 ほとんど正の相関がない
0.2≦r≦0.4 やや正の相関がある
0.4≦r≦0.7 かなり正の相関がある
0.7≦r≦1 強い正の相関がある

5 まとめ

 中島敦の「山月記」のデータベースのうち、言語の認知のカラム、思考の流れ1ある、2ないと、情報の認知のカラム、人工知能(人格障害)で1反応範囲内2逸脱は、負の強い相関関係になることがわかった。

参考文献

花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 中島敦の「山月記」のデータベース 2019
前野昌弘 回帰分析超入門 技術評論社 2012

中島敦の「山月記」の相関関係について4

A 言語の認知(思考の流れ):1ある、2ない → 2、3
B 人工知能(人格障害):1反応範囲内2逸脱 → 4、1

◆A、Bそれぞれの平均値を出す。
Aの平均:(2 + 3)÷ 2 = 2.5
Bの平均:(4 + 1)÷ 2 = 2.5
◆A、Bそれぞれの偏差を計算する。偏差=各データ−平均値
Aの偏差:(2 – 2.5)、(3 – 2.5)= -0.5、0.5
Bの偏差:(4 – 2.5)、(1 – 2.5)= 1.5、-1.5
◆A、Bの偏差をそれぞれ2乗する。
Aの偏差2乗 = 0.25、0.25
Bの偏差2乗 = 2.25、2.25
◆AとBの偏差同士の積を計算する
(Aの偏差)x(Bの偏差)= -0.75、-0.75
◆AとBを2乗したものを合計する。
Aの偏差を2乗したものの合計 = 0.25 + 0.25 = 0.5
Bの偏差を2乗したものの合計 = 0.25 + 0.25 = 0.5
◆Aの偏差とBの偏差の合計を計算する。-0.75 + -0.75 = -1.5

表2 計算表
A 2 3 合計5
偏差 -0.5 0.5 合計0 
偏差2 0.25 0.25 合計0.5
B 4 1 合計5
偏差  1.5 -1.5 合計0
偏差2 2.25 2.25 合計4.5
AB偏差の積 -0.75 -0.75 -1.5

◆相関係数は、次の公式で求めることができる。
相関係数=[(A-Aの平均値)x(B-Bの平均値)]の和/√(A-Aの平均値)2の和x(B-Bの平均値)2の和
上記計算表を代入すると、相関係数 = -1.5/√0.5 x 4.5 = -1.5/1.5 = -1
従って、負の強い相関があるといえる。

花村嘉英(2019)「中島敦の『山月記』の相関関係について」より

中島敦の「山月記」の相関関係について3

3 小説の場面に適用する

表1 李徴が旧友の袁參に心情を吐露する
A 下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである。しかし、文名は容易に揚らず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に駆られて来た。
意味4 1 情報の認知3 1
B この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀いで、眼光のみ徒らに炯々として、曾て進士に登第した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。意味4 2 情報の認知3 1
C 数年の後、貧窮に堪たえず、妻子の衣食のために遂ついに節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。意味4 1 情報の認知3 1
D 一方、これは己の詩業に半ば絶望したためでもある。曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙しがにもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷つけたかは、想像に難くない。彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。
意味4 2 情報の認知3 1
E 一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。或る夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。意味4 2 情報の認知3 2

花村嘉英(2019)「中島敦の『山月記』の相関関係について」より

中島敦の「山月記」の相関関係について2

2 相関の作り方

 シナジーのメタファーのために作成しているデータベースは、データの種類で見ると、俗に言う測れないカテゴリーデータからなる。数量データといわれる身長、体重、気温、湿度などとは異なり、値が連続ではなく飛び飛びで離散的となる。カテゴリーデータは、対象の性質を表したり、現象や、区別を表したりする。性別、好き、嫌い、うまい、まずい、おもしろいなどあるものの性質や現象が示される。(前野2012)
 相関とは原因から結果が生じ、互いに関係しあっていることをいう。また、相関関係があるとは、ある測定値の変化に対して他の測定値も変化する場合に使われる。相関の強さは、ピアソンの相関係数で表す。合わせて共分散という統計用語が重要となる。

(1) 共分散の公式
共分散=[(xの各データ−xの平均値)x(yの各データ−yの平均値)]の和/データ数
   =[(xの偏差)x(yの偏差)]の和/データ数
   = xとyの偏差積の和/データ数

正の相関があると0より大きく、負の相関があると0より小さくなる。

(2) 相関係数(ピアソン)
相関係数=XYの偏差平方和/√(Xの偏差平方和)x(Yの偏差平方和)

「山月記」の問題解決の場面を使用して、簡単な例を見てみよう。

花村嘉英(2019)「中島敦の『山月記』の相関関係について」より

中島敦の「山月記」の相関関係について1

1 先行研究

 中島敦の「山月記」において、李徴が旧友の袁參に心情を吐露する場面のデータベースから数字を取り既存の研究と照合するとパーソナリティ障害による思考の流れが確認できる。
 この小論では、同じデータベースを使用して、相関関係を考察する。言語の認知のカラムは、思考の流れ、即ち、課題や問題が与えられたとき生じる、一連の精神活動で、周囲の状況に応じた現実的な判断や結論が1ある、2ない、情報の認知のカラムは、人工知能(人格障害)1反応範囲内または2逸脱である。

花村嘉英(2019)「中島敦の『山月記』の相関関係について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害10

4 まとめ

 李徴は、この場面でベースとプロファイル型で外部から情報を取り込み、旧情報を基に問題未解決から問題解決へ向かっている。そのため「自尊心と自己愛性パーソナリティ障害」と「人生と思考」という組が相互に作用し、「中島敦と思考」というシナジーのメタファーが成立する。
 この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。 

【参考文献】

中島敦 山月記 青空文庫 1998 
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員通信講座テキスト ヘルスケア出版 2014
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む  華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默−ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害9

【情報の認知の流れ】
A 情報の認知1は@ベースとプロファイル、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、である。
B 情報の認知1は@ベースとプロファイル、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へ、である。
C 情報の認知1は@ベースとプロファイル、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3は@問題解決から推論へ、である。
D 情報の認知1はAグループ化、情報の認知2は@旧情報A新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へ、である。
E 情報の認知1はAグループ化、情報の認知2は@旧情報A新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へ、である。
【結果】
李徴は、この場面で問題未解決から問題解決へ思考が流れている。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害8

表3 感情と行動の認知プロセス

A しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔よしとしなかった。 情報の認知1 1 情報の認知2 1 情報の認知3 2

B 共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心とのせいである。己おのれの珠に非ることをおそれるが故ゆえに、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。 情報の認知1 1 情報の認知2 1 情報の認知3 2

C 己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己おれの場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。 情報の認知1 1 情報の認知2 1 情報の認知3 1

D これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。今思えば、全く、己は、己の有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。
情報の認知1 2 情報の認知2 1 情報の認知3 1

E 人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧きぐと、刻苦を厭う怠惰とが己のすべてだったのだ。 情報の認知1 2 情報の認知2 1 情報の認知3 1

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害7

【連想分析2】

情報の認知1(感覚情報)
 感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化である。

情報の認知2(記憶と学習)
外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報はまたカテゴリー化される。このプロセスは、経験を通した学習になる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。

情報の認知3(計画、問題解決、推論)
受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へ、である。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害6

【分析例】
意味1@喜A怒B哀C楽、意味2@視覚A聴覚B味覚C嗅覚D触覚、意味3振舞い@直示A隠喩、意味4思考@ありAなし、人工知能1人格障害@反応が範囲内A逸脱、人工知能2人格障害@調整ありAなし
【テキスト共生の公式】
ステップ1 解析の組は、自尊心(意味1、2、3)と自己愛性パーソナリティ障害(意味4)とする。
ステップ2 人格障害の特性から「人生と思考」という組を作り、解析の組と合わせる。
A 自尊心(B哀+A聴覚+@直示)と自己愛性パーソナリティ障害(@思考あり)という組を、人格障害の反応(@範囲内)と調整(@調整あり)からなる組と合わせる。
B 自尊心(B哀+A聴覚+@直示)と自己愛性パーソナリティ障害(@思考あり)という組を、人格障害の反応(@範囲内)と調整(@調整あり)からなる組と合わせる。
C 自尊心(B哀+A聴覚+A隠喩)と自己愛性パーソナリティ障害(@思考あり)という組を、人格障害の反応(@範囲内)と調整(@調整あり)からなる組と合わせる。
D 自尊心(B哀+A聴覚+@直示)と自己愛性パーソナリティ障害(@思考あり)という組を、人格障害の反応(@範囲内)と調整(@調整あり)からなる組と合わせる。
E 自尊心(B哀+A聴覚+A隠喩)と自己愛性パーソナリティ障害(@思考あり)という組を、人格障害の反応(@範囲内)と調整(@調整あり)からなる組と合わせる。
【結果】
表2については、テキスト共生が適用される。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害5

【連想分析1】

表2 受容と共生のイメージ合わせ

A しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔よしとしなかった。 意味1 3 意味2 2 意味3 1 意味4 1 AI1 1 AI2 1

B 共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心とのせいである。己おのれの珠に非ることをおそれるが故ゆえに、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。 意味1 3 意味2 2 意味3 1 意味4 1 AI1 1 AI2 1

C 己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己おれの場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。 意味1 3 意味2 2 意味3 2 意味4 1 AI1 1 AI2 1

D これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。今思えば、全く、己は、己の有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。
意味1 3 意味2 2 意味3 1 意味4 1 AI1 1 AI2 1

E 人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧きぐと、刻苦を厭う怠惰とが己のすべてだったのだ。 意味1 3 意味2 2 意味3 2 意味4 1 AI1 1 AI2 1

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害4

【データベースの作成】

表1 「山月記」のデータベースのカラム
項目名   内容            説明
・文法1  名詞の格      中島敦の助詞の使い方を考える。
・文法2  ヴォイス      能動、受動、使役。
・文法3  テンス、アスペクト 現在、過去、未来、進行形、完了形。
・文法4  モダリティ    様相の表現。可能、推量、義務、必然。
・意味1  喜怒哀楽      情動との接点。瞬時の思い。
・意味2  五感        視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
・意味3  振舞い      ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
・意味4 思考の流れ   課題や問題が与えられたとき生じる、一連の精神活動で、周囲の状況に応じた現実的な判断や結論。ある、なし。
・医学情報  病跡学との接点  受容と共生の共有点。構文や意味の解析から得た組「自尊心と自己愛性パーソナリティ障害」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
・記憶  短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述) 作品から読み取れる記憶を拾う。長期記憶は陳述と非陳述に分類される。
・情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
・情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報については カテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
・情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
・人工知能 人格障害1 エキスパートシステム 極端な性格が周囲の人を困らせたり、本人が苦しんでいる 場合で、性格の特徴を問題視する人格(先天的な気質+後天的な性格)障害。反応が範囲内、逸脱。
・人工知能 人格障害2 エキスパートシステム 治療としては、話し合い、生活環境の調整。ある、なし。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害3

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害2

2 「山月記」の思考によるLのストーリー

中島敦(1909−1942)は、1942年持病の喘息を抱えながら「山月記」を書き、同年この病が悪化しため、12月4日に33歳で死去する。「山月記」を読めば、誰もが人の人生について思わず考えさせられる。内容は、一連の精神活動の中で思考とつながるため、今回は「中島敦と思考」という組み合わせでシナジーのメタファーについて考察する。
 「山月記」の購読脳を「自尊心と自己愛性パーソナリティ障害」とする。自尊心については、主人公の李徴が認めている。日本成人病予防協会(2014)によると、人から称賛されたいと強く思い、根拠もないのに自分は称賛に値する優れた人間だと信じている。特権意識の強い、己惚れた人間である。自己愛を傷つけられると怒ることもある。この群に属するパーソナリティ障害には、反社会性、境界性、演技性といった基本的な特徴があり、他人を巻き込み派手で劇的な人格が見受けられる。
購読脳の組み合せ、「自尊心と自己愛性パーソナリティ障害」という出力が、共生の読みの入力となって横にスライドし、出力として「人生と思考」という組を考える。よって「中島敦と思考」というシナジーのメタファーが成立する。
リスク回避と取れる提言が述べられる。己惚れることなく協調性を持って生活することが人生の心得なのである。なお、パーソナリティ障害は、一般的に病気に対する自身の認識が低いため、治療に至らないことが多い。できるだけ周囲の人を通して調節するとよい。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

中島敦の「山月記」の執筆脳について−パーソナリティ障害1

1 先行研究

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
 執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動は、意欲と組になることを先行研究に入れておく。
 筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なお、Lのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
 メゾのデータを束ねて何やら予測が立てば、言語分析や翻訳そして資格に基づくミクロと医学も含めたリスクや観察の社会論からなるマクロとを合わせて、広義の意味でシナジーのメタファーが作られる。

花村嘉英(2019)「中島敦の「山月記」の購読脳について」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から15

6 まとめ
 
 受容の読みによる「写生と研究」という出力は、すぐに共生の読みの入力となる。続けて、データベースから信州の山に住む人々の人柄を写生した場面を考察すると、「共感と批判」という人間の脳の活動と結びつき、その後、信号のフォーカスは、購読脳の出力のポジションに戻る。この分析を繰り返すことにより、「島崎藤村と観察に基づく思考」というシナジーのメタファーが作られる。
 この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。 

参考文献

大山正・中島義明共編 実験心理学への招待 サイエンス社 2012
島崎藤村 千曲川のスケッチ(解説 平野謙) 新潮文庫 2004
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員受験対策講座3 心の健康管理 ヘルスケア出版 2014
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社2015 
花村嘉英 日语教育计划书(上海分会)−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 東南大学出版社2017
花村嘉英 「シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖」『中国日語教学研究会上海分会論文集』 華東理工大学出版社 2018 
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁/戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学 出版社 2018
花村嘉英 「川端康成の『雪国』に見る執筆脳について−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ」『中国日語教学研究会上海分会論文集』華東理工大学出版社 2019 
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する−危機管理者としての作家について 中国日語教学研究会上海分会論文集 2020
山室静・関良一・剣持武彦 藤村詩集 日本近代文学大系 角川書店 1983

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から14

【連想分析2】

表3 情報の認知

表2 Aと同文: 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 1
表2 Bと同文: 情報の認知1 2、情報の認知2 1、情報の認知3 1
表2 Cと同文: 情報の認知1 2、情報の認知2 1、情報の認知3 1
表2 Dと同文: 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
表2 Eと同文: 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2

A 情報の認知1は2グループ化、情報の認知2は2新情報、情報の認知3は1計画→問題解決である。
B 情報の認知1は2グループ化、情報の認知2は1旧情報、情報の認知3は1計画→問題解決である。
C 情報の認知1は2グループ化、情報の認知2は1旧情報、情報の認知3は1計画→問題解決である。
D 情報の認知1は2グループ化、情報の認知2は2新情報、情報の認知3は2問題未解決→推論である。
E 情報の認知1は2グループ化、情報の認知2は2新情報、情報の認知3は2問題未解決→推論である。

結果
 島崎藤村は、この場面で、山に住む人々から情報を取り込み、長野の土地柄を写生している。様々な人がいる中で理屈っぽいという直感がこの場面の分析を面白くしてくれる。そのため、問題解決と未解決が交錯する場面となっている。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から13

情報の認知1(感覚情報) 

 感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、B条件反射である。
 
情報の認知2(記憶と学習) 
 外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報は、経験を通した学習となり、カテゴリー化される。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。

情報の認知3(計画、問題解決、推論) 
 受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画→問題解決、A問題未解決→推論である。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から12

分析例

1 山に住む人々について記述している場面。
2 この小論では、「千曲川のスケッチ」の執筆脳を「共感と批判」と考えているため、購読脳でも意味3の思考の流れ、研究のありなしに注目する。
3 長野の土地柄が学問好きな人々の集まりとなっている。
3 意味1 1喜2怒3哀4楽、意味2 1視覚2聴覚3味覚4嗅覚5触覚、意味3研究1あり2なし、意味4振舞い 1直示2隠喩
4 人工知脳1 共感1ある2なし、人工知能2 批判1ある2なし

テキスト共生の公式
ステップ1 意味1、2、3、4を合わせて、解析の組「写生と研究」を作る。
ステップ2 学習や観察から「共感と批判」という組を作り、解析の組と合わせる。

A 4楽+2聴覚+1研究あり+1直示という解析の組を、学習や観察からなる共感1あり+批判2なしという組と合わせる。
B  4楽+2聴覚+1研究あり+1直示という解析の組を、学習や観察からなる共感1あり+批判2なしという組と合わせる。
C  4楽+2聴覚+1研究あり+1直示という解析の組を、学習や観察からなる共感1あり+批判2なしという組と合わせる。
D  3哀+2聴覚+1研究あり+2隠喩という解析の組を、学習や観察からなる共感2なし+批判1ありという組と合わせる。
E  4楽+1視覚+1研究あり+2隠喩という解析の組を、学習や観察からなる共感2なし+批判1ありという組と合わせる。

結果 表2については、テキスト共生の公式が適用される。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から11

【連想分析1】

表2 言語の認知(文法と意味)山に住む人々

A 一体にこの山国では学者を尊重する気風がある。小学校の教師でも、他の地方に比べると、比較的好い報酬を受けている。又、社会上の位置から言っても割合に尊敬を払われている。その点は都会の教育家などの比でない。新聞記者までも「先生」として立てられる。
意味1 4、意味2 2、意味3 1、意味4 1、AI共感批判 1+2
B 長野あたりから新聞記者を聘へいして講演を聴くなぞはここらでは珍しくない。何か一芸に長じたものと見れば、そういう人から新智識を吸集しようとする。小諸辺のことで言ってみても、名士先生を歓迎する会は実に多い。あだかも昔の御関所のように、そういう人達の素通りを許さないという形だ。
意味1 4、意味2 2、意味3 1、意味4 1、AI共感批判 1+2
C 御蔭で私もここへ来てから種々いろいろな先生方の話を拝聴することが出来た。故福沢諭吉氏も一度ここを通られて、何か土産話を置いて行かれたとか。その事は私は後で学校の校長から聞いた。朝鮮亡命の客でよく足を留めた人もある。旅の書家なぞが困って来れば、相応に旅費を持たせて立たせるという風だ。概して、軍人も、新聞記者も、教育家も、美術家も、皆な同じように迎えらるる傾きがある。
意味1 4、意味2 2、意味3 1、意味4 1、AI共感批判 1+2
D こうした熱心な何もかも同じように受入れようとする傾きは、一方に於いて一種重苦しい空気を形造っている。強しいて言えば、地方的単調……その為には全く気質を異にする人でも、同じような話しか出来ないようなところがある。
意味1 3、意味2 2、意味3 1、意味4 2、AI共感批判 2+1
E それから佐久あたりには殊に消極的な勇気に富んでいる人を見かける。ここには極くノンキな人もいるが又非常に理窟ッぽい人もいる。
意味1 4、意味2 1、意味3 1、意味4 2、AI共感批判 2+1

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から10

5 データベースの作成・分析

 データベースの作成方法について説明する。エクセルのデータは、列の前半(文法1から意味4)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

【データベースの作成】
表1 「千曲川のスケッチ」のデータベースのカラム
文法1 態: 能動、受動、使役。
文法2 時制、相: 現在、過去、未来、進行形、完了形。
文法3 様相 : 可能、推量、義務、必然。
意味1 喜怒哀楽: 喜怒哀楽、記事なし。
意味2 五感: 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
意味3 思考の流れ: 研究あり、なし。
意味4 振舞い: 身振り。直示と隠喩を考える。
医学情報 病跡学との接点 受容と共生の共有点。構文や意味の解析から得た組「写生と研究」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
情報の
認知1 感覚情報の捉え方: 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
情報の
認知2 記憶と学習: 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。未知の情報は、学習につながるためカテゴリー化する。記憶の型として、短期、作業記憶、長期を考える。
情報の
認知3 計画、問題解決、推論: 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
人工知能 共感・批判 エキスパートシステム: 人の考えや主張を自分も同様に感じたり理解したり、人物、行為、判断、学説、作品などの価値、能力、正当性などを評価検討する。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から9

 批判的思考の適用は、自分の持つ批判的な思考のスキルから最適なものを選択し遂行するというプロセスにより成立する。使用判断は、批判的思考をその状況で行うか否か判断し、表出判断は、行った批判的思考をその場面で表出するか否かを考える。
 一方に熱心な歓迎から同じような受入をする傾向は、ある時、地方的な単調という一種の重苦しさになってしまう。藤村の直観である。気質を異にする人でも同じような話をするし、また、理屈っぽい人もいる。人の心が激しいからであり、青年会の準備をするために激しい議論もあった。
 「山に住む人々」の場面で、(2)のモデルを考える。使用判断を実行し、批判的思考の適用では、都会を経験した藤村が第三者的に信州人の気質を写生し、人物の価値や能力を評価、検討しているため、表出判断では、この場面で表出するとなる。
 信号の流れは、購読と同様に、共生の読みでも何かの分析→直感→専門家である。藤村に関し、五感分析→思弁→エキスパートという流れで「共感と批判」という共生の読みを考える。「千曲川のスケッチ」では自然や文化の認識が重要な情報となるため、シナジーのメタファーは、「島崎藤村と観察に基づく思考」にする。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から8

 大山・中島(2012)によると、日本文化は全般的に人間関係の中での感情的なつながりを重視する。世の中には様々な情報が氾濫しており、目標を定めて情報を取り扱い合理的に判断できれば効果は上がる。こうした判断の土台となる思考が批判的思考である。批判的思考の認知プロセスは、使用判断→批判的思考の適用→表出判断の3項目からなる。

(2)批判的思考の認知プロセス
状況変数(目標、文脈)→1状況解釈→2使用判断(1と2使用判断プロセス)→3批判的思考スキルの探索・選択→4批判的思考スキルと適用(問題の明確化)→5表出判断→6批判的思考行動の構成(5と6表出判断プロセス)→7批判的思考のパフォーマンス(大山・中島2012)

 「千曲川のスケッチ」によると、長野は、学問を尊重する土地柄である。師範学校の応募者数が多く、小学校の教師も報酬が良く、新聞記者による講演会もある。無論、学者も尊重の対象であるため、長野を訪れた名士たちを歓迎する勉強会は多い。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から7

 そして、その事象が自発行動の反応の頻度を高めるときは、強化刺激または強化子となる。例えば、お腹がすけば食事が強化刺激であり、「千曲川のスケッチ」で見ると、旅を重ねる毎に発見があるため、発見が強化子となる。
 実際に自分で行動せずに、外的刺激や他者の行動を追うときは、観察になる。観察の場面で他者が強化される(代理強化)、または、他者の行動のみを観察(モデリング)する場合は、観察者の行動が変化する。広義に捉えた場合、これらは共にモデリングになる。「千曲川のスケッチ」についてまとめると、詩から散文へのコース変更を完成させるための研究が学習と観察に二分され、別れた学習が古典的と条件付きに分かれ、一方、観察が代理強化とモデリングに二分される。

(1)藤村の研究の樹形図
1研究→自発行動による学習と外的刺激や他者の行動を追う観察、
2学習→古典的と条件付き、
3観察→代理強化とモデリング

 学習、観察を経て問題解決に進む場合、思考が考察の対象になる。思考には、共感と批判があり、共感は、難易度を問わず自身の理解に近い場合、一方批判的で効果的な文脈は、専門書を読むような難易度の高いケースである。非効果的な文脈は、その逆で、お決まりの入出力とか嘘など難易度の低いケースである。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から6

4 作者の学習や観察そして思考から考える

 「千曲川のスケッチ」の購読脳を「写生と研究」にする。島崎藤村は、写生という学習により物を観察し記憶することで自然に近づいていった。稽古としての写生は、研究であり、小諸で観察した事柄を素直にスケッチしている。
 小諸に赴任して暫くは、自分が行動し写生した内容をまとめていく。しかし、1911年(M44)に中学世界に連載されるまで、この写生の内容が人の目に触れることはなかった。「千曲川のスケッチ」に描かれているのは、1900年(M33)頃から信州滞在中に見た光景であり、視覚情報もさること、叫びや臭い、味、接触といったその他の感覚情報も考察の対象になっている。こうした感覚情報から藤村の執筆時の脳の活動を探るために、まず学習や観察の様子についてまとめてみよう。ここでは、心理統計を意識して実験心理による分析を試みる。
 人間の行動は、後天的に経験を通して変化し、この変化する過程が学習と呼ばれる。都会から小諸に赴任した藤村には、行動に変化が見られた。大山・中島(2012)によると、古典的な学習は、外的刺激によりトリガーされるのに対し、条件付き学習は、自発行動とそこから生じる関系に依存する。千曲川周辺の自然が外的刺激となり、また、自然に誘われて自発行動による旅をし、発見がある度に行動が濃くなった。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から5

 「千曲川のスケッチ」の原案を作成しながら、文章や散文の中で、例えば、雲について画家の写生と同じようなスタディに取り組んだ。そのため、全体的に当時の現実をリアルに伝える文体になっており、読者に信頼される友人となるような本である。そのため、自然主義のメンバーであり、想像力を重視した国木田独歩の「武蔵野」(1898)に比べて、「千曲川のスケッチ」は、より近代的といわれている。
 「千曲川のスケッチ」の奥書に説明がある言文一致について一言述べる。明治の新しい文学と言文一致の試みは、流れを見ると強いつながりがある。当時の文学関係者の多くがイギリス文学を目指していたころ、森鴎外は、留学先のドイツから19世紀なるものを感じ取り帰国したため、言文一致で見ると、採用するのに躊躇いがあり、歴史小説に見る転換期を待って口語体を採用した。一方、イギリス留学を経験している夏目漱石は、言文一致にあまり抵抗を感じなかった。
 文学の根底に横たわる基礎工事は、島崎藤村に言わせると、徳川時代の徘徊や浄瑠璃の作者が平談俗語を駆使し、言葉の世界に新しい光を放ったこと、国語学者が万葉集や古事記などから古い言葉の世界を今一度明るくしたことが挙げられる。そのため、藤村がスケッチを作る傍ら、口語体による言文一致の研究に向かった理由は、長い年月を経て熟慮した結果といえる。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から4

3 言文一致の研究−文体の確立を目指して

 島崎藤村は、長野県木曽郡山口に生まれ、学問を東京の明治学院で修めた後、詩人、小説家として活躍した自然主義を代表する作家である。小説に先んじて詩集「若菜集」(1897)などを発表し、1899年(M32)4月に赴任した信州・小諸での研究成果として写生文「千曲川のスケッチ」を書いた。因みに藤村は、木曽川の畔で生まれたため、川に寄せる詩も多い。
 平野(2004)によると、「千曲川のスケッチ」は、吉村樹に語りかける形式で書かれ、赴任してからの一年で小諸の自然を季節と共に観察し写生した。その間に詩から散文へ創作の対象を動かして自身の文体を確立する。無論、藤村の文体は、何度も修正を繰り返し整理されたものであり、一枚の絵を説明するように口語文で読者の五感に語りかける。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から3

 例えば、「おくめ」という架空の女が河を泳いで恋人のもとに通う心情を詠い、積極的で能動的に男を愛し、心身ともに恋の炎に焦がされる激しい女の情熱が形象化されている。こうした境遇が藤村の同情をかい、苦渋の時代を経験した作者が他人事ならぬと共感した理由である。男性の立場では雑念が入り混じり解決が難しかった。
 流離漂白は、現実から一歩引いて静かにものを眺めることで八方塞がりの境遇からの救済を目指している。現実を棄てて風雅の道を極めた先駆者らに追従する決意が窺える。芸術家島崎藤村の誕生であり、確立であった。そして苦渋の冬を越え、春の訪れ、生の曙が熱い思いを持って待たれた。
 「若菜集」の後も詩を書き続ける。叙情を好む藤村は、生の戦いや労働の讃歌を詩作する。しかし、厳格な規則がある雅語や単調な韻律で長編を歌うことに無理があるときには、緊張したアイディアの対立を描くのが難しいと感じるようになる。
 しかし、叙情詩では扱いきれない広くて大きな人生のテーマを処理するために、藤村は、写生によるスタディを通して小説を書いていく。1899年(M32)、信州の私塾小諸義塾に教師として赴任する。山室(1983)によれば、生活や思想に行き詰まると旅に出て転機をはかり、都会の煩わしさを避けて生活を新鮮にし、生命を新たにしようと考えた。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から2

2 詩から散文へ

 先行詩集「若菜集」が1887年(M30)8月に出版された。仙台に移った前年9月から半年ほどの間に作られている。「若菜集」を貫く島崎藤村(1874−1943)の思いを、「藤村詩集」の中では、恋愛賛美による生の曙を待つ思いと満たされぬゆえの歎きと流離漂白としている。こうした思いをバランスよく両立させながら、熱い情熱を苦い経験とともに誇りを持って守り続けた。 
 七五の韻律を踏み、流麗典雅な詩にまとめ、女性に身を変えて歌ってもいる。山室(1983)は、その理由を次のように解説している。異性への関心は勿論であり、当時の女性が厳しい家長制度で管理され、自由はなく受身の生涯を送っていたため、心の扉を僅かに開くのは、恋愛の喜びのときとした。藤村文学の重要な主題として、「こひには親も捨てはてて、親にも背く」ことが挙げられる。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から1

1 先行研究 

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
 執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。
 筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なお、Lのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
 メゾのデータを束ねて何やらリスクの予測が立てば、言語分析や翻訳そして検定に基づくミクロと医学も含めたリスクや観察の社会論からなるマクロとを合わせて、広義の意味でシナジーのメタファーが作られる。

花村嘉英(2020)「島崎藤村の『千曲川のスケッチ』の執筆脳について−自然や文化の観察者の立場から」より

心理学統計の検定を用いて三浦綾子の「道ありき」を考える6

3 まとめ

 三浦綾子の「道ありき」に登場する人物の満足度についてデータベースから心理学統計による評価をしてみると、満足度に関して差があることが分かった。

参考文献

大山正・中島義明 実験心理学への招待 サイエンス社 2012
実吉綾子 心理学統計入門 技術評論社 2013
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018 
花村嘉英 三浦綾子の「道ありき」の執筆脳について 2019
三浦綾子 道ありき 新潮文庫 2004

心理学統計の検定を用いて三浦綾子の「道ありき」を考える5

表2 具体度

言ってみれば、この世で望める限りの幸福を一心に集めていたわけだ。しかし彼は老人を見て、人間の衰えゆく姿を思い、葬式を見て、人の命の有限なることも思った。そしてある夜ひそかに、王宮も王子の地位も、美しい妻も子も棄てて、一人山の中に入ってしまった。→小さい満足1、小さい満足1 綾子1、前川1

つまり釈迦は、今まで自分が幸福だと思っていたものに、むなしさだけを感じ取ってしまったのであろう。伝導の書といい、釈迦といい、そのそもそもの初めには虚無があったということに、わたしは宗教というものに共通する一つの姿を見た。→小さい満足1、小さい満足1 綾子1、前川1

わたし自身、敗戦以来すっかり虚無的になっていたから、この発見はわたしに一つの転機をもたらした。→大きい満足2、小さい満足1 綾子2、前川1

虚無は、この世のすべてのものを否定するむなしい考え方であり、ついには自分自身をも否定することになるわけだが、そこまで追いつめられた時に、何かが開けるということを伝導の書にわたしは感じた。→大きい満足2、弱い満足1 綾子2、前川1

この伝導の書の終わりにあった、「何時の若き日に、何時の造り主をおぼえよ」の一言は、それ故にひどくわたしの心を打った。それ以来私たちの求道生活は、次第にまじめになっていった。→大きい満足2、小さい満足1 綾子2、前川1

1 最初は男女の満足度に差がないと予測する。両者の平均値を取ると、綾子 1.5、前川 1.0になる。この差は誤差の可能性がある。
2 具体度の1、2は独立変数であり、それにともなう満足度の大小は、従属変数になる。
3 独立変数そのものの1、2が要因で、独立変数の実際の値、満足度が水準になる。
4 ここでは、どちらの水準も同じ標本からデータを集めているため、具体度という要因は、参加者内要因になる。
5 得られた有意確率(p値)を有意水準と比較する。危険率は通常5%未満のため、ここではt検定を採用する。 
6 t検定では、二つの平均の差を表す統計量(t値)、データの規模を表す自由度(df)、p値(p-value)を説明する。
[満足度のt検定]
綾子 1.5、前川 1.0、よってt値=0.5。
自由度は、独立した標本の個数から1引いたものである。よってdf=8。
p値は、0.2にする。ここでは5%以上のため、帰無仮説を採択し、有意な差がないとする。

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて三浦綾子の『道ありき』を考える」

心理学統計の検定を用いて三浦綾子の「道ありき」を考える4

2.3 「道ありき」の登場人物に見る男女の満足度の違い

 「道ありき」は、作者自身の肺結核による闘病生活を愛や信仰を交えて綴った自叙伝である。ここでは、この小論の研究テーマ、男女の満足度の違いについて、作成したデータベースを基に考察していく。

解答 男女の満足度の違い
表1 具体度
そんな思いがしきりにした。どうもウソッパチな姿に思えてならなかったのである。私が信者になったら、真実な祈りのできる、ほんとうの信者になろう、などとわたしは、傲慢な思いを持っていたのである。そしてその思いをわたしは、前川正にかくさず告げた。→小さい満足1、小さい満足1 綾子1、前川1

彼は、「綾ちゃんは手厳しいな」
そういうだけで、それ以上には何も言わなかった。「クリスチャンってなんとお人好しでしょう。信じていないもの同士が、神はある神はあるといいあって、お互いに安心しているんだもの」→小さい満足1、小さい満足1 綾子1、前川1

ある時はそんなことも言った。前川正は、そんなわたしに聖書を開いて、伝導の書を嫁とすすめた。何の気なしに始めたこの伝導の書に、わたしはすっかり度肝を抜かれた。「伝道者曰く。空の空、空の空なるかな。すべて空なり。非の下に人の弄してなすところの諸々のはたらきは、そのミニなんの益あらん。世は去り世はきたる。地は永久に保つなり」→小さい満足1、小さい満足1 綾子1、前川1

そこまでのわずかな一行半を読んだだけで、わたしの心はこの伝導の書にたちまちひきつけられてしまった。→大きい満足2、小さい満足1 綾子2、前川1

「河はみな海に流れいる。海は満つることなし。目はみるに飽くことなく、耳は聞くに見つることなし・・。先になりしことは、また後に成るべし。非の下には新しきものあらざるなり。見よこれは新しきものと、指して言うべきものなるや。それはわれらの前に在りし世々に、すでに久しくありたるものなり・・前のもののことは、これをおぼゆることなし。後のもののこともまた後に出ずるものこれをおぼゆることあらじ」→大きい満足2、小さい満足1 綾子2、前川1

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて三浦綾子の『道ありき』を考える」

心理学統計の検定を用いて三浦綾子の「道ありき」を考える3

2.2 実験計画

【研究テーマ】
質問 男女で満足度の違い。
帰無仮説 男女で満足度に差がない。
対立仮説 男女で満足度に差がある。
【実験計画】
独立変数 実験や調査をする人が仮説を検証するために使用する変数。原因と結果でいうと原因である。
従属変数 独立変数の操作に応じて変化すると考えられる変数。原因と結果でいうと結果である。
【要因と水準】
要因 実験者が使用する変数。独立変数そのもの。
水準 実験者が使用する種類。独立変数が実際にとる値。
【参加者間要因と参加者内要因】
参加者間要因 水準のデータが異なる標本から集められる場合。
参加者内要因 水準のデータが同じ標本から集められる場合。
【有意確率】
 帰無仮説を前提としたときに、誤差から偶然ある程度の差が標本に生じる確率のこと。危険率とかP値という。また、誤差には、本当はないのに誤って誤差があるとする第一種と誤差があるのに誤ってないとする第二種とがある。実吉(2013)では、5%水準を基準にしている。

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて三浦綾子の『道ありき』を考える」

心理学統計の検定を用いて三浦綾子の「道ありき」を考える2

2 心理学統計

心理学統計では、心の働きを数値化しながら客観性を計り、集計や分析を試みる。心を測定する時は、様々な要因がデータに含まれるため、データには誤差が付き物である。そのため、統計学により誤差を取り除き真の値を求めていく必要がある。そうすると、限られた人数のデータから人間一般に共通する心の働きも推測可能になる。

2.1 有意性検定

 科学では全般的に仮説を立てて検証する方法が使われる。実吉(2013)によると、検定の際に仮説が成り立つかどうかは、作成したデータから決めていく。検定の対象は、そこに有意性の差があるかどうかである。例えば、男女で満足度に差があるのかどうか、または不安度に差があるのかどうか考える。こうした問題に対してデータを集めながら検定すると、解答が見えてくる。

【検定の流れ】
帰無仮説と対立仮説を立てる → 独立変数と従属変数を具体的に決め、実験計画を立てる → データを取る → 実験計画に応じた統計検定を行う → 得られた有意確率(p値)を有意水準と比較する → 帰無仮説の棄却、採択を決定する。

 ここで、帰無仮説とは、比較する数値間に差がないという仮説である。対立仮説は比較する数値間に差があるとする仮説である。検定では、まず帰無仮説が正しいことを前提に検討され、帰無仮説が成り立たなければ、それを棄てて対立仮説に移り、差があるという結論にする。つまり背理法による命題の証明である。

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて三浦綾子の『道ありき』を考える」

心理学統計の検定を用いて三浦綾子の「道ありき」を考える1

1 先行研究との関係

 データベースを作成ながら購読脳と執筆脳を分析するシナジーのメタファーの研究も次第に安定してきている。これまでバランスを意識して二個二個のルールに基づき多くの組み合わせを作ってきた。統計についても、バラツキ、相関関係、多変量分析と進み、今回の心理学統計を含めれば、バラツキと相関、多変量と心理という組み合わせができる。この小論では、実吉(2013)の心理学統計の検定の手法に従い、三浦綾子の「道ありき」を題材にして男女の満足度の違いについて考えていく。 

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて三浦綾子の『道ありき』を考える」

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分10

6 まとめ 

 データベースの数字を用いてクラスタ解析から得られた特徴を場面ごとに平均、標準偏差、中央値、四分位範囲と考察し、それぞれ何が主成分なのか説明できている。そのため、この小論の分析方法は、既存の研究とも照合ができ、統計による文学分析がさらに研究を濃くしてくれている。

【参考文献】

片野善夫 ほすぴ162号 知っているようで知らない五感のしくみ−視覚 ヘルスケア出版 2018
加藤剛 多変量解析超入門 技術評論社 2013
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員受験対策講座 ヘルスケア出版 2014 
三浦綾子の「道ありき」 新潮文庫 2004
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日語教学研究会上海分解論文集 華東理工大学出版社 2018  
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 
華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分解論文集 華東理工大学出版社 2019
花村嘉英 三浦綾子の「道ありき」の購読脳について 2019 

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分9

【カラム】
A平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0
B平均1.0 標準偏差0 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均2.0 標準偏差0 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.3低い、標準偏差0.22低い、中央値1.5普通、四分位範囲1.0低い
CD 平均1.7高い、標準偏差0.22低い、中央値1.5普通、四分位範囲1.5高い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
BとCの標準偏差が0のため、直示と新情報を中心に描こうと思っている。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 6、視覚以外、直示、新情報、解決 → 精密検査の結果を報告する。
A 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 旭川の病院に通院する。 
B 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 正月三浦光世が見舞いに来る。
C 5、視覚、直示、新情報、解決 → 来年の正月の話もする。
D 5、視覚、直示、新情報、解決 → 綾子は嫁に行くことになる。
【場面の全体】
 視覚情報が8割ほどであり、脳に届く通常の五感の入力信号の割合に近い。従って、ここでは視覚の情報量が普通である。

花村嘉英(2019)「三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分8

◆場面3

北大病院を退院して旭川に帰ったわたしは、精密検査の結果を、家人や三浦光世にあらためて報告した。血痰や喀血で、しばしば死の恐怖をわたしに与えた空洞が、いまや完全に治っていること、カリエスも、七年にわたってギプスベッドに忍耐したおかげで、堅実に治っていることをお互いに奇跡と喜び合った。 
A2、B1、C2、D1

ただ、結核性腹膜炎から婦人科の方が少し冒されているため、引き続いて超短波の療法を、旭川の病院で受けることになった。毎日の通院が、わたしの体を次第に鍛えて行った。十貫足らずだった体重が、いつしか十四貫にまでなっていった。 A1、B1、C2、D2

明けて昭和三十四年の正月である。三浦が一番先に年賀に来てくれた。わたしたちは新年初めての礼拝を、二人で待った。聖書を共に読み、賛美歌を歌い、共に祈った。わたしは彼に尋ねた。「来年のお正月も来て下さるでしょうね。」 A1、B1、C2、D2

あべかわ餅を食べていた彼は、箸をとめ黙って首を横にふった。「まあ!来てくださらないの?」わたしは驚いて彼を見た。彼はおだやかに笑って言った。「来年の正月は、二人でこの家に年賀に来ましょう」「え?二人で?」彼の言葉にわたしはハッとした。何とも言えない喜びが胸にこみあげた。 A1、B1、C2、D1

三浦光世が帰った後、わたしは母に彼の言葉を告げた。夕食の時、母が父に言った。「とうさん、今年はタンスを買わなくてはなりませんよ」「タンスを?どうしてだ」「だって、綾ちゃんがと嫁に行くんですって」「綾子がお嫁に?相手は誰だ、人間か」 A1、B1、C2、D1

花村嘉英(2019)「三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分7

【カラム】
A平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
B平均1.2 標準偏差0.45 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0
D平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.3低い、標準偏差0.5普通、中央値1.0低い、四分位範囲1.0低い
CD 平均1.6普通、標準偏差0.55普通、中央値2.0高い、四分位範囲1.0低い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
前川正を哀れに思う夢であるが、情報は旧から新、問題は未解決から解決へ進んでいく。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 7、視覚以外、隠喩、旧情報、未解決 → 自殺をはかったことを愚かと悔やむ。
A 5、視覚、直示、新情報、解決 → 前川正の母が見舞いに来る。
B 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 前川が死んだと告げる。
C 6、視覚以外、直示、旧情報、未解決 → 夢なのに厭な予感がした。
D 5、視覚、直示、新情報、解決 → 前川正は退院することになった。
【場面の全体】
 視覚情報が6割で通常の五感の入力信号の割合よりも低いため、視覚以外の情報が問題解決に効いている。

花村嘉英(2019)「三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分6

◆場面2

わたしは、曾つて自分が、自殺を計ったことを思い出した。一人の人間が健康を取り戻すのに、これほどの苦しみを経なければならない。何とももったいないことを考えたのかと、その頃になってやっと自分の愚かさが悔やまれたりするのだった。 A2、B2、C1、D2

彼の二回目の手術が終わった翌朝だった。うつらうつらしているわたしの病室に、彼の母と、弟さんが入って来た。私の所から借りたゴザを返しに来たという。そのゴザは、彼の母が病室に敷いて使うのに、わたしがお貸ししたのだった。 A1、B1、C2、D1

驚いたわたしが、「どうして、もういらないのですか」と聞くと、「正が先ほど亡くなりましたから、もういらなくなったのです」と、おっしゃって、弟さんと二人で、わたしのベッドにつかまって泣かれるのだった。
A1、B1、C2、D2

「そんなはずがありません」
そう叫ぼうとおもうのだが、なかなか声にならない。やっと声になったかと思った時、わたしは目をさました。いまのが夢だったとは思えないほど、あまりにありありとしていて、わたしは言いようのない不吉な予感がした。いやな夢を見たというより、いやな幻を見せられたという感じだった。 A2、B1、C1、D2

だが、わたしの夢とは反対に、彼は再び日に日に元気になり、やがて三月の末に退院することになった。彼の父が迎えに来られ、わたしを見舞ってくださった時、わたしは目を真っ赤に泣きはらしていた。大きな手術も無事に終って、元気に反っていくのだから、わたしは誰よりも喜んでいいはずだった。それなのに、なぜかわたしは泣けて仕方がなかった。 A1、B1、C2、D1

花村嘉英(2019)「三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分5

A平均1.0 標準偏差0 中央値1.0 四分位範囲1.0
B平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均2.0 標準偏差0 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.0 標準偏差0 中央値1.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.2低い、標準偏差0.22低い、中央値1.0低い、四分位範囲1.0低い
CD 平均1.5普通、標準偏差0低い、中央値]1.5普通、四分位範囲1.5高い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
A、C、Dのバラツキが小さいことから、作者の考察は一定している。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 5、視覚、直示、新情報、解決 → 釈迦が一人で山に入る。
A 5、視覚、直示、新情報、解決 → 宗教に見る共通性。
B 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 発見による転機。
C 6、視覚以外、直示、旧情報、未解決 → 追いつめられると何かが開ける。
D 5、視覚、直示、新情報、解決 → 求道生活を修正。
【場面の全体】
 全体で視覚情報は10割であり、脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりもかなり高いため、視覚の情報が問題解決に効いている。

花村嘉英(2019)「三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分4

◆場面1

言ってみれば、この世で望める限りの幸福を一心に集めていたわけだ。しかし彼は老人を見て、人間の衰えゆく姿を思い、葬式を見て、人の命の有限なることも思った。そしてある夜ひそかに、王宮も王子の地位も、美しい妻も子も棄てて、一人山の中に入ってしまった。 A1、B1、C2、D1

つまり釈迦は、今まで自分が幸福だと思っていたものに、むなしさだけを感じ取ってしまったのであろう。伝導の書といい、釈迦といい、そのそもそもの初めには虚無があったということに、わたしは宗教というものに共通する一つの姿を見た。 A1、B1、C2、D1

わたし自身、敗戦以来すっかり虚無的になっていたから、この発見はわたしに一つの転機をもたらした。
A1、B1、C2、D1

虚無は、この世のすべてのものを否定するむなしい考え方であり、ついには自分自身をも否定することになるわけだが、そこまで追いつめられた時に、何かが開けるということを、伝導の書にわたしは感じた。
A1、B2、C2、D1

この伝導の書の終わりにあった、「何時の若き日に、何時の造り主をおぼえよ」の一言は、それ故にひどくわたしの心を打った。それ以来私たちの求道生活は、次第にまじめになっていった。A1、B2、C2、D1

花村嘉英(2019)「三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分3

3 多変量の分析

 多変量を解析するには、クラスタと主成分が有効な分析になる。これらの分析がデータベースの統計処理に繋がるからである。
 多変数のデータでも、最初は1変数ごとの観察から始まる。また、クラスタ分析は、多変数のデータを丸ごと扱う最初の作業ともいえる。似た者同士を集めたクラスタを樹形図からイメージする。それぞれのクラスタの特徴を掴み、それを手掛かりに多変量データの全体像を考えていく。樹形図については、単純な二個二個のクラスタリングの方法を想定し、変数の数や組み合わせを考える。
 作成したデータベースから特性が2つあるカラムを抽出し、グループ分けをする。例えば、A五感(1視覚と2それ以外)、Bジェスチャー(1直示と2比喩)、C情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)、D情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)というように文系と理系のカラムをそれぞれ2つずつ抽出する。
 まず、ABCDそれぞれの変数の特徴について考える。次に、似た者同士のデータをひとかたまりにし、ここでは言語の認知ABと情報の認知CDにグループ分けをする。得られた変数の特徴からグループそれぞれの特徴を見つける。
 最後に、各場面のラインの合計を考える。それぞれの要素からどのようなことがいえるのであろうか。「道ありき」のバラツキが縦のカラムの特徴を表しているのに対し、ここでのクラスタは、一場面のカラムとラインの特徴を表している。
 なお、外界情報の獲得に関する五感の割合は、視覚82%、聴覚11%、嗅覚4%、触覚2%、味覚1%とする。(片野2018)

花村嘉英(2019)「三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分2

2 三浦綾子の「道ありき」は気分障害

 「道ありき」の購読脳 「虚無と愛情」にする。回想録執筆時の記憶の中では、肺病のため虚しい思いがつきまとっている。気分障害の原因については、身体疾患との関連があるといわれている。日本成人病予防協会(2014)によると、うつの症状としては、心身のエネルギーが低下することによって日常生活に支障をきたした状態のことである。憂鬱感と不安感が混じった抑うつ感、考えがまとまらず決断に時間がかかり、注意散漫になる思考障害、物事に対する関心や興味が低下する意欲障害がうつ病の基本的な症状である。
 購読脳の組み合せ、「虚無と愛情」という出力が、共生の読みの入力となって横にスライドし、出力として「虚無とうつ」という執筆脳の組を考える。シナジーのメタファーは、「三浦綾子と虚無」として調節する。
人生の中では失うものもあれば得るものもある。三浦綾子も20代に入って敗戦の翌年に肺結核の症状が出た。しかし、医師は肺結核とは言わず、問診で肺浸潤とか肋膜と説明した。肺結核と診断すれば、現代でいうがんを宣告するようなものであった。何れにせよ何を目標に生きればよいのかわからず、綾子は、何もかもが虚しく思われる虚無の心境となった。

花村嘉英(2019)「三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分1

1 先行研究との関係

 これまでに三浦綾子(1922−1999)の「道ありき」執筆時の脳の活動を思考とし、シナジーのメタファーを作成している。(花村2019) この小論では、さらに多変量解析に注目し、クラスタ分析と主成分について考察する。それぞれの場面で三浦綾子の執筆脳がデータベースから異なる視点で分析できれば、自ずと客観性は上がっていく。ここでシナジーのメタファーといえば「三浦綾子と虚無」を指す。

花村嘉英(2019)「三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
ファン
検索
<< 2024年09月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
花村嘉英さんの画像
花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
プロフィール