2012年04月29日
グッド・ロッキン・ダディ
英国ピアノ・ロッカーのアルバムをご紹介します。
ただし、新譜ではありません。
私が入手したものは、英盤(アイルランド盤?)のCDで、リリース年のクレジットがありません。
まあ、ミレニアム以降に出されたリイシュー盤だと思います。
オリジナル盤は、楽曲の出版年のデータ等から、おそらく98年ころのリリースではないかと推測します。
1. Coma On And Dance (Gavin Povey)
2. Looks Likes Love (Gavin Povey)
3. Did I Tell You (Gavin Povey, Augie Meyers)
4. That's The Time (Gavin Povey)
5. Who's That Guy (Gavin Povey)
6. Hold Me Back (Gavin Povey)
7. Glory Bound (Gavin Povey)
8. Call Me Soon (Gavin Povey)
9. Hold Me Close (Gavin Povey, Phil Nelson)
10. What It Is (Gavin Povey, Phil Nelson)
Gavin Poveyは、プロフがあまり分からない人です。
英国の鍵盤奏者で、現在は、Albert Leeのバック・バンド、Hogans Heroesの一員としでピアノやオルガンを弾いています。
Albert Leeのライヴ盤を聴いたとき、この人は歌いたい人なんだと感じました。
Leeの公演のセットリストでは、2曲程度、リード・ボーカルをとっています。
Gavin Poveyは、80年代の英国ロカビリー・スター、Shakin' Stevensの全盛期のアルバム数枚で、ピアノを弾いていた人です。
Shakyのファンである私は、Albert Leeのアルバムに彼の名前を発見して、俄然関心がわいてきたのです。
しかも単にバックの人ではなく、自作曲を歌っていることから、ソロ活動はないのかと考えたのです。
そして、少し調べました。
結果、よく分かりません。
ただ、言えることがあります。
本盤は、おそらく本人のリーダー作としては、現在入手可能な唯一のアルバムだろうということです。
本作の収録曲は、全て自作で、楽曲の出版は最も古いもので85年、新しいもので98年とクレジットされています。
これらから、古い曲は、ソングライターとして他人に提供してきたものか、あるいはバンドなど別名義で、本盤以前に録音があるのではないかと考えましたが、調べきれませんでした。
他人の伴奏では、パブ・ロック、ニューウェイブの時代に、いくつかの痕跡があるようです。
79年のInmatesの1st、80年のLew Lewisの1stでピアノを弾いています。
そして、その後まもなく、Shakin' Stevensのバンドに参加します。
また、この間、84年にはBilly Blemnerのソロ作、"Bash"に参加し、やはりピアノを弾いています。
興味深いのは、Augie Meyersとの関係です。
本盤に収録されている曲、"Did I Tell You"は、Augieとの共作で、出版クレジットは85年となっています。
Augieとは、どういう経緯でつながりが出来たのでしょう。
"Did I Tell You"は、Augieも吹き込んでいて、86年の"Augies Back"、同年の"My Main Squeez"と2枚のソロ作で取り上げたほか、Texas Tornadosの91年作、"Zone of Our Own"でも再演しています。
"Augies Back"がロンドン録音で、Gavin Poveyがサポートメンの一人として参加していましたので、そのあたりがゆかりとなったのかも知れません。
ところで、"Did I Tell You"は、二人の共作名義ですが、Augieの作風を強く感じさせるつくりの曲です。
それは、本盤のその他の曲と聴き比べれば明らかです。
仮に、Gavin Poveyの主導で書かれたとすれば、Gavinが完全にAugieをイメージして書いたのでしょう。
Augie Meyersのファンなら、このGavin Poveyのバージョンはぜひ聴いていただきたいです。
ここで、アコーディオンを弾いているのはPoveyです。
(さらに言いますと、"Did I Tell You"は、Flaco Jimenezもアーフリー時代にカバーしていますので、そちらも聴くほかないですね。)
ここで、遅ればせながら、本盤の参加メンバーをご案内します。
以下の通りです。
Gavin Povey : lead vocals, keyboads, accordion, bass
John Dillon : drums on Track1,7
Geoff 'Hound Dog' Haves : guitar & b.vox on track1,7
Jimmy Smith : guitar on track3,6
Fran Byrne : drums on track4,5,8,10
Rod Quinn : drums on track2,9
John McLoughlin : guitar on track2,4,5,8,9,10
John Rafferty : rhythm guitar : on track2
うーん、誰一人知らないなあ…。
私の今までの守備範囲には入ってこなかった人たちなのでしょう。
本盤でのGavin Poveyの大半の演奏は、直球のロックンロール・ピアノで、さらに言えばライト・テイストなブギウギが基本という感じです。
ボーカルには特段のあくがないですが、クールな雰囲気があります。
"That's The Time"のような、ニューオリンズR&Bスタイルの三連曲もやっていて、ボーカルはFatsぽかったりしますが、ピアノのプレイは、Fats DominoでもHuey Smithとかの系統でもなく、歌伴で、ポロンポロンときれいなフレーズをいれるところなどは、フロイド・クレイマー風だったりして不思議です。
早い曲はジャンプ系ですが、かといって、Amos Milburnのような怒涛の打楽器プレイでもないです。
どちらかといえば、ムーン・マリカンやメリル・ムーアらを連想させる、転がるようなヒルビリー・ブギ・ピアノです。
本盤では、あえて黒っぽさを抑え気味にしている気がします。
それでも、にじみでてくるのは、ジャンプやジャイブ、ウエスタン・スイングなどのブギ曲のテイストです。
マンブルぽいボーカルが曲に被さってくると、ピアノ系のロカビリアンという感じにも聴こえます。
全体的には、ざっくりと、おかずの少ない、ライト・テイストのブギウギ・プレイといってしまいましょう。
中には、スラッピングが聴こえる曲がありますが、クレジットが正しければ、本人のプレイということになります。
また、ギター陣が良い感じで、Rockpileを連想させるバッキング・プレイは、やはり麻薬のような魅力があります。
そして、トラック7の"Glory Bound"は、Albert Leeのライヴ盤でやっていた曲です。
歌詞の中に、グローリーとか、ハレルヤとか出てくるのが特徴で、セイクレッド・ソングなんでしょうか。
アルバムの終盤の2曲では、ポップ・カントリー調のミディアム・リズムの曲もやっていて、よい感じです。
とりわけ、ラストの曲は、黒人シンガーがやれば、アーリー・ソウル風に聞こえそうな良曲です。
本盤は、Gavin Poveyが、自身の資質のうち、あえてカントリー、ロカビリー・サイドのそれを前面に打ち出そうとしたアルバムだと感じました。
それでも、ときおり顔をのぞかせ、滲み出てしまう、ほのかなR&Bテイストが、私にはたまりません。
関連記事はこちら
Albert Lee
超絶速弾き男 実はこんな人
Shakin' Stevens
終わりだなんて言わないで
Augie Meyers
オーギーに首ったけ
ただし、新譜ではありません。
私が入手したものは、英盤(アイルランド盤?)のCDで、リリース年のクレジットがありません。
まあ、ミレニアム以降に出されたリイシュー盤だと思います。
オリジナル盤は、楽曲の出版年のデータ等から、おそらく98年ころのリリースではないかと推測します。
Come On And Dance
Gavin Povey
& The Good Rockin' Daddys
Gavin Povey
& The Good Rockin' Daddys
1. Coma On And Dance (Gavin Povey)
2. Looks Likes Love (Gavin Povey)
3. Did I Tell You (Gavin Povey, Augie Meyers)
4. That's The Time (Gavin Povey)
5. Who's That Guy (Gavin Povey)
6. Hold Me Back (Gavin Povey)
7. Glory Bound (Gavin Povey)
8. Call Me Soon (Gavin Povey)
9. Hold Me Close (Gavin Povey, Phil Nelson)
10. What It Is (Gavin Povey, Phil Nelson)
Gavin Poveyは、プロフがあまり分からない人です。
英国の鍵盤奏者で、現在は、Albert Leeのバック・バンド、Hogans Heroesの一員としでピアノやオルガンを弾いています。
Albert Leeのライヴ盤を聴いたとき、この人は歌いたい人なんだと感じました。
Leeの公演のセットリストでは、2曲程度、リード・ボーカルをとっています。
Gavin Poveyは、80年代の英国ロカビリー・スター、Shakin' Stevensの全盛期のアルバム数枚で、ピアノを弾いていた人です。
Shakyのファンである私は、Albert Leeのアルバムに彼の名前を発見して、俄然関心がわいてきたのです。
しかも単にバックの人ではなく、自作曲を歌っていることから、ソロ活動はないのかと考えたのです。
そして、少し調べました。
結果、よく分かりません。
ただ、言えることがあります。
本盤は、おそらく本人のリーダー作としては、現在入手可能な唯一のアルバムだろうということです。
本作の収録曲は、全て自作で、楽曲の出版は最も古いもので85年、新しいもので98年とクレジットされています。
これらから、古い曲は、ソングライターとして他人に提供してきたものか、あるいはバンドなど別名義で、本盤以前に録音があるのではないかと考えましたが、調べきれませんでした。
他人の伴奏では、パブ・ロック、ニューウェイブの時代に、いくつかの痕跡があるようです。
79年のInmatesの1st、80年のLew Lewisの1stでピアノを弾いています。
そして、その後まもなく、Shakin' Stevensのバンドに参加します。
また、この間、84年にはBilly Blemnerのソロ作、"Bash"に参加し、やはりピアノを弾いています。
興味深いのは、Augie Meyersとの関係です。
本盤に収録されている曲、"Did I Tell You"は、Augieとの共作で、出版クレジットは85年となっています。
Augieとは、どういう経緯でつながりが出来たのでしょう。
"Did I Tell You"は、Augieも吹き込んでいて、86年の"Augies Back"、同年の"My Main Squeez"と2枚のソロ作で取り上げたほか、Texas Tornadosの91年作、"Zone of Our Own"でも再演しています。
"Augies Back"がロンドン録音で、Gavin Poveyがサポートメンの一人として参加していましたので、そのあたりがゆかりとなったのかも知れません。
ところで、"Did I Tell You"は、二人の共作名義ですが、Augieの作風を強く感じさせるつくりの曲です。
それは、本盤のその他の曲と聴き比べれば明らかです。
仮に、Gavin Poveyの主導で書かれたとすれば、Gavinが完全にAugieをイメージして書いたのでしょう。
Augie Meyersのファンなら、このGavin Poveyのバージョンはぜひ聴いていただきたいです。
ここで、アコーディオンを弾いているのはPoveyです。
(さらに言いますと、"Did I Tell You"は、Flaco Jimenezもアーフリー時代にカバーしていますので、そちらも聴くほかないですね。)
ここで、遅ればせながら、本盤の参加メンバーをご案内します。
以下の通りです。
Gavin Povey : lead vocals, keyboads, accordion, bass
John Dillon : drums on Track1,7
Geoff 'Hound Dog' Haves : guitar & b.vox on track1,7
Jimmy Smith : guitar on track3,6
Fran Byrne : drums on track4,5,8,10
Rod Quinn : drums on track2,9
John McLoughlin : guitar on track2,4,5,8,9,10
John Rafferty : rhythm guitar : on track2
うーん、誰一人知らないなあ…。
私の今までの守備範囲には入ってこなかった人たちなのでしょう。
本盤でのGavin Poveyの大半の演奏は、直球のロックンロール・ピアノで、さらに言えばライト・テイストなブギウギが基本という感じです。
ボーカルには特段のあくがないですが、クールな雰囲気があります。
"That's The Time"のような、ニューオリンズR&Bスタイルの三連曲もやっていて、ボーカルはFatsぽかったりしますが、ピアノのプレイは、Fats DominoでもHuey Smithとかの系統でもなく、歌伴で、ポロンポロンときれいなフレーズをいれるところなどは、フロイド・クレイマー風だったりして不思議です。
早い曲はジャンプ系ですが、かといって、Amos Milburnのような怒涛の打楽器プレイでもないです。
どちらかといえば、ムーン・マリカンやメリル・ムーアらを連想させる、転がるようなヒルビリー・ブギ・ピアノです。
本盤では、あえて黒っぽさを抑え気味にしている気がします。
それでも、にじみでてくるのは、ジャンプやジャイブ、ウエスタン・スイングなどのブギ曲のテイストです。
マンブルぽいボーカルが曲に被さってくると、ピアノ系のロカビリアンという感じにも聴こえます。
全体的には、ざっくりと、おかずの少ない、ライト・テイストのブギウギ・プレイといってしまいましょう。
中には、スラッピングが聴こえる曲がありますが、クレジットが正しければ、本人のプレイということになります。
また、ギター陣が良い感じで、Rockpileを連想させるバッキング・プレイは、やはり麻薬のような魅力があります。
そして、トラック7の"Glory Bound"は、Albert Leeのライヴ盤でやっていた曲です。
歌詞の中に、グローリーとか、ハレルヤとか出てくるのが特徴で、セイクレッド・ソングなんでしょうか。
アルバムの終盤の2曲では、ポップ・カントリー調のミディアム・リズムの曲もやっていて、よい感じです。
とりわけ、ラストの曲は、黒人シンガーがやれば、アーリー・ソウル風に聞こえそうな良曲です。
本盤は、Gavin Poveyが、自身の資質のうち、あえてカントリー、ロカビリー・サイドのそれを前面に打ち出そうとしたアルバムだと感じました。
それでも、ときおり顔をのぞかせ、滲み出てしまう、ほのかなR&Bテイストが、私にはたまりません。
Looks Like Love by Gavin Povey
これは、ギターがメインの曲ですね
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超絶速弾き男 実はこんな人
Shakin' Stevens
終わりだなんて言わないで
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