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2021年02月03日
第3弾「最終回」
「リハビリテーション」、「言葉」という大きなテーマでお話してきましたが、今回で第3弾、最終回です。
第1弾はリハビリテーションの歴史についてお話しました。古代ローマと、大戦という大きな歴史的な流れの中でリハビリテーションという言葉は生まれ、そして広まりました。ホモ・ハビリスが語源ということには驚きました。
第2弾はリハビリテーションの定義についてお話しました。世界的な定義と日本での定義について述べました。大切なことは、リハビリテーションは4つに分類される、単に機能訓練を指すものではない、社会的統合を目指している、理学・作業療法士など職種の名称は一切出てこない、ということでしたね。
どれも教科書的な内容で、多くの成書やブログなどに書かれている内容と同じです。変わりようのない事実です。
今回、第3弾はまとめとして私の意見を述べたいと思います。結論から言うと、言葉はTPOで使い分けましょうね、ということです。
皆さんは転職したことはありますか?
転職してすぐにはさまざまな所で気を遣いますね。特に言葉の定義の捉え方の違いは思っているより気疲れします。
「この人は、言葉の定義をどのようにとらえてしゃべっているのだろう?」
などと考えながら注意深く聞いていると、なーんだ大して定義なんて気にしてないな!!と思いそういう時は気が抜けます。逆に言葉の定義にすごくこだわりをもってお話される方の前では緊張感があります。
特に「リハビリ」という言葉は人によって捉え方が異なる言葉だと思います。
第2弾でWHOなどが定義した内容と、現在日本で使われているリハビリテーションという言葉にはかなりのギャップがあることをお話しました。現在の日本で使われているリハビリテーションという言葉は、どちらかと言うと機能訓練や体操、単に運動を指すことが多いと思います。中にはリハビリテーション=マッサージと捉えている方々もいらっしゃるようですね。
対して今回のブログのように、変わりようのない歴史的な背景や定義と現代の使われ方について比較し、現在の言葉の使われ方について批判する方々、多いです。
「我々はリハビリテーションを行っているんじゃない!!理学療法を行っているんだ!!」
とか、
「リハビリテーションは手段ではない!!目的だ!!」
など。
私は決して言葉の定義と現在の使われ方についての比較をし、その誤った使い方を指摘したいのではないのです。そして、批判している方々を否定するつもりもありません。そういった活動は必要なことだと思いますし、ある種のアンチテーゼはどの業界にも存在して然るべき、と考えています。
リハビリテーションという言葉の歴史的な背景や定義は変わりようがありません。でも、時代とともに言葉の使われ方は変わるものです。今は平成で、ローマ時代でもないし大きな戦争中でもありません。
平和な日本でリハビリテーションという言葉は、ある種の機能訓練を指す言葉と捉えた方が便利なときが多いと思います。なので、ご利用者や担当患者には機能訓練という意味でリハビリテーションという言葉を使ったほうが良いでしょう。必要ならきちんと語源から歴史的背景、定義を説明すれば良いです。
理学療法士等の資格を持った者同士が、単に機能訓練やマッサージという意味としてリハビリテーションという言葉を使うことは、私は非常にナンセンスだと思います。自分たちで自分たちの価値を落としている、とまで言いませんが、それに近いものがあります。
理学療法士等以外の医療従事者に「リハさん」と呼ばれたときは驚きました。こういうこともきちんと修正しないと理学療法士等の価値を落としかねません。
つまり、私が伝えたいことは、言葉をきちんと使い分けましょうね、ということです。TPOです。
時(time)と場所(place)、そして場合(occasion)や相手を考えて言葉をチョイスしましょう、ということですね。
言葉の定義と使われ方の隔たりは、きっと埋まらないでしょう。なぜなら、言葉の使われ方は日々変化しているし、人間は便利なものを使うからです。
専門的な知識を持っている者は、知識をひけらかすのではなく、相手の状況などを判断し言葉を正しくチョイスすることが大切です。そして、正しい言葉のチョイスを行った上で、言葉の歴史的背景や定義を伝え継ぐことも我々の重要な仕事です。
いかがですか?
正しく言葉をチョイスして使っていますか?
第1弾はリハビリテーションの歴史についてお話しました。古代ローマと、大戦という大きな歴史的な流れの中でリハビリテーションという言葉は生まれ、そして広まりました。ホモ・ハビリスが語源ということには驚きました。
第2弾はリハビリテーションの定義についてお話しました。世界的な定義と日本での定義について述べました。大切なことは、リハビリテーションは4つに分類される、単に機能訓練を指すものではない、社会的統合を目指している、理学・作業療法士など職種の名称は一切出てこない、ということでしたね。
どれも教科書的な内容で、多くの成書やブログなどに書かれている内容と同じです。変わりようのない事実です。
今回、第3弾はまとめとして私の意見を述べたいと思います。結論から言うと、言葉はTPOで使い分けましょうね、ということです。
定義の捉え方の違い
皆さんは転職したことはありますか?
転職してすぐにはさまざまな所で気を遣いますね。特に言葉の定義の捉え方の違いは思っているより気疲れします。
「この人は、言葉の定義をどのようにとらえてしゃべっているのだろう?」
などと考えながら注意深く聞いていると、なーんだ大して定義なんて気にしてないな!!と思いそういう時は気が抜けます。逆に言葉の定義にすごくこだわりをもってお話される方の前では緊張感があります。
特に「リハビリ」という言葉は人によって捉え方が異なる言葉だと思います。
定義とのギャップ
第2弾でWHOなどが定義した内容と、現在日本で使われているリハビリテーションという言葉にはかなりのギャップがあることをお話しました。現在の日本で使われているリハビリテーションという言葉は、どちらかと言うと機能訓練や体操、単に運動を指すことが多いと思います。中にはリハビリテーション=マッサージと捉えている方々もいらっしゃるようですね。
対して今回のブログのように、変わりようのない歴史的な背景や定義と現代の使われ方について比較し、現在の言葉の使われ方について批判する方々、多いです。
「我々はリハビリテーションを行っているんじゃない!!理学療法を行っているんだ!!」
とか、
「リハビリテーションは手段ではない!!目的だ!!」
など。
私は決して言葉の定義と現在の使われ方についての比較をし、その誤った使い方を指摘したいのではないのです。そして、批判している方々を否定するつもりもありません。そういった活動は必要なことだと思いますし、ある種のアンチテーゼはどの業界にも存在して然るべき、と考えています。
言葉とTPO
リハビリテーションという言葉の歴史的な背景や定義は変わりようがありません。でも、時代とともに言葉の使われ方は変わるものです。今は平成で、ローマ時代でもないし大きな戦争中でもありません。
平和な日本でリハビリテーションという言葉は、ある種の機能訓練を指す言葉と捉えた方が便利なときが多いと思います。なので、ご利用者や担当患者には機能訓練という意味でリハビリテーションという言葉を使ったほうが良いでしょう。必要ならきちんと語源から歴史的背景、定義を説明すれば良いです。
理学療法士等の資格を持った者同士が、単に機能訓練やマッサージという意味としてリハビリテーションという言葉を使うことは、私は非常にナンセンスだと思います。自分たちで自分たちの価値を落としている、とまで言いませんが、それに近いものがあります。
理学療法士等以外の医療従事者に「リハさん」と呼ばれたときは驚きました。こういうこともきちんと修正しないと理学療法士等の価値を落としかねません。
つまり、私が伝えたいことは、言葉をきちんと使い分けましょうね、ということです。TPOです。
時(time)と場所(place)、そして場合(occasion)や相手を考えて言葉をチョイスしましょう、ということですね。
言葉の定義と使われ方の隔たりは、きっと埋まらないでしょう。なぜなら、言葉の使われ方は日々変化しているし、人間は便利なものを使うからです。
専門的な知識を持っている者は、知識をひけらかすのではなく、相手の状況などを判断し言葉を正しくチョイスすることが大切です。そして、正しい言葉のチョイスを行った上で、言葉の歴史的背景や定義を伝え継ぐことも我々の重要な仕事です。
いかがですか?
正しく言葉をチョイスして使っていますか?
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2021年02月02日
第2弾「リハビリテーションの定義」
今回も前回からの引き続きで、シリーズ「理学療法士・作業療法士のみなさ〜ん!!正しく言葉使っていますか??」の内容でお話させていただきます。今回は第2弾「リハビリテーションの定義」です。
前回は、リハビリテーションという言葉の語源についてお話しました。リハビリテーションという言葉は大戦から世界的に普及していったんでしたね。
では、今回はその言葉の定義を見てみましょう。
まずは世界における定義をみてみましょう。
「リハビリテーションとは、医学的、社会的、教育的、職業的手段を組み合わせ、かつ相互に調整して、訓練あるいは再訓練することによって、障害者の機能的能力を可能な最高レベルに達せしめること」(1968年)
今から50年ほど前、WHOは以上のように定義しました。
医学的、社会的、教育的、職業的手段の組み合わせ、という部分がポイントです。
「リハビリテーションは、能力低下やその状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる。リハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会的統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。そして、障害者自身・家族・そして彼らの住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関するサービスの計画と実行に関わり合わなければならない」(1981年、国際障害者年)
それから10年ほど経って国際障害者年には上記のように定義されました。より詳しくなりました。目的が明確になりましたね。障害者の社会的統合が目的です。
「リハビリテーションとは、身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ、時間を限定したプロセスである」(1982年、国連総会)
国際障害者年の翌年、国連総会で上記のように述べられました。時間を限定したプロセスである、というところがポイントです。
「リハビリテーションとは、障害を持った個人を援助し、可能な限りその機能を発揮させるように、そして社会の中にインテグレート(適応・統合)させるように、医学的、社会的、教育的、職業的な発展を組み合わせて実行する過程である。」(1980年)
以上が世界におけるリハビリテーションの定義です。小難しい言い回しで理解が困難です。ただ言えることは、リハビリテーションは機能訓練のみを指す言葉ではなく、もっと広い意味があるということですね。
リハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会的統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。
という部分に象徴されます。そして、現代においては理学療法士等がリハビリテーションを担う職業だと思われがちですが、定義においてはそうでもなく、
障害者自身・家族・そして彼らの住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関するサービスの計画と実行に関わり合わなければならない
とあります。
そして、もう一つ注目すべきは、4つの分類。1968年、WHOの定義の中でリハビリテーションは4つに分類されました。医学的、社会的、教育的、職業的、です。
@医学的リハビリテーション
「個人の身体的機能と心理的能力、また必要な場合には補償的な機能を伸ばすことを目的にし、自立を獲得し、積極的な人生を営めるようにする医学的ケアのプロセス」
A職業リハビリテーション
「職業指導、訓練、適職への就職など、障害者がふさわしい雇用を獲得し、または職場に復帰することができるように計画された職業的サービスの提供」
B教育リハビリテーション
「障害のある自動や人の能力を向上させ潜在能力を開発し、自己実現を図れるように支援することを目的として、学齢前教育、学齢期教育、大学・大学院などの高等教育、じゃ怪人を対象とする社会教育や生涯教育なども含む、ライフサイクルを抱合する幅広い教育活動」
C社会リハビリテーション
「社会生活力を高めることを目的としてプロセス。社会生活力とは、様々な社会的な状況のなかで、自分のニーズを満たし、一人ひとりに可能な最も豊かな社会参加を実現する権利を行使する力を意味する」
リハビリテーションを一言で言えば、様々な手段を駆使して社会的統合を実現する、と捉えて頂いて良いと思います。
ここまでは世界におけるリハビリテーションの定義に関してお話しました。
日本ではどうでしょう。
「リハビリテーションとは障害者が一人の人間として、その障害にも関わらず人間らしく生きることが出来るようにするための技術及び社会的、制作的対応の総合体系あり、単に運動障害の機能回復訓練の部分を言うのではない。」(1981年)
さあ!!ここで出てきました、重要な文言。
「単に運動障害の機能回復訓練の部分を言うのではない。」
世界の定義の項でも触れましたが、リハビリテーションは機能訓練を指す言葉ではないと、ここでも出てきました。この文言を掲げて、現在のリハビリテーションという言葉の使われ方を批判する方々多いですね。
ここまで世界と日本における定義を書いてきましたが、私が考える重要なことは3つ。
・リハビリテーションは4つに分類される
・単に機能訓練を指すものではない
・社会的統合を目指している
・理学・作業療法士など職種の名称は一切出てこない
リハビリテーションって、やらなければならないと限定された職種はないんですね。だれがやってもいいんです。逆に言えば、誰でも出来るんです。というか、職種を挙げれば何百にもなります。
日常生活でよく使われる「リハビリ」という言葉、すごく奥が深いということが定義を見ることでわかるかと思います。
ある日、カンファレンスで対象者の申し送りを行う際、担当療法士から「リラクゼーションを中心にリハビリします。」と説明がありました。初めてこの説明を聞いたとき私の頭の中は「???」でした。理解するのにすごく時間がかかりました。このブログの第1弾、第2弾を読んで頂いた方には、このときの私の気持ちをよくわかってくれると思います。
100歩譲って、対象者本人やご家族に対しての説明なら致し方ないでしょう。しかしながら、“リハビリテーション専門職” と呼ばれる職業のスタッフが、“リハビリテーション専門職”の前でこの説明はいただけません。
いかがですか?
正しい言葉の使い方をしていますか?
前回は、リハビリテーションという言葉の語源についてお話しました。リハビリテーションという言葉は大戦から世界的に普及していったんでしたね。
では、今回はその言葉の定義を見てみましょう。
リハビリテーションの定義 世界ver
まずは世界における定義をみてみましょう。
・世界保健機構WHO
「リハビリテーションとは、医学的、社会的、教育的、職業的手段を組み合わせ、かつ相互に調整して、訓練あるいは再訓練することによって、障害者の機能的能力を可能な最高レベルに達せしめること」(1968年)
今から50年ほど前、WHOは以上のように定義しました。
医学的、社会的、教育的、職業的手段の組み合わせ、という部分がポイントです。
「リハビリテーションは、能力低下やその状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる。リハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会的統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。そして、障害者自身・家族・そして彼らの住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関するサービスの計画と実行に関わり合わなければならない」(1981年、国際障害者年)
それから10年ほど経って国際障害者年には上記のように定義されました。より詳しくなりました。目的が明確になりましたね。障害者の社会的統合が目的です。
「リハビリテーションとは、身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ、時間を限定したプロセスである」(1982年、国連総会)
国際障害者年の翌年、国連総会で上記のように述べられました。時間を限定したプロセスである、というところがポイントです。
・第14回世界リハビリテーション会議
「リハビリテーションとは、障害を持った個人を援助し、可能な限りその機能を発揮させるように、そして社会の中にインテグレート(適応・統合)させるように、医学的、社会的、教育的、職業的な発展を組み合わせて実行する過程である。」(1980年)
以上が世界におけるリハビリテーションの定義です。小難しい言い回しで理解が困難です。ただ言えることは、リハビリテーションは機能訓練のみを指す言葉ではなく、もっと広い意味があるということですね。
リハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会的統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。
という部分に象徴されます。そして、現代においては理学療法士等がリハビリテーションを担う職業だと思われがちですが、定義においてはそうでもなく、
障害者自身・家族・そして彼らの住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関するサービスの計画と実行に関わり合わなければならない
とあります。
そして、もう一つ注目すべきは、4つの分類。1968年、WHOの定義の中でリハビリテーションは4つに分類されました。医学的、社会的、教育的、職業的、です。
@医学的リハビリテーション
「個人の身体的機能と心理的能力、また必要な場合には補償的な機能を伸ばすことを目的にし、自立を獲得し、積極的な人生を営めるようにする医学的ケアのプロセス」
A職業リハビリテーション
「職業指導、訓練、適職への就職など、障害者がふさわしい雇用を獲得し、または職場に復帰することができるように計画された職業的サービスの提供」
B教育リハビリテーション
「障害のある自動や人の能力を向上させ潜在能力を開発し、自己実現を図れるように支援することを目的として、学齢前教育、学齢期教育、大学・大学院などの高等教育、じゃ怪人を対象とする社会教育や生涯教育なども含む、ライフサイクルを抱合する幅広い教育活動」
C社会リハビリテーション
「社会生活力を高めることを目的としてプロセス。社会生活力とは、様々な社会的な状況のなかで、自分のニーズを満たし、一人ひとりに可能な最も豊かな社会参加を実現する権利を行使する力を意味する」
リハビリテーションを一言で言えば、様々な手段を駆使して社会的統合を実現する、と捉えて頂いて良いと思います。
ここまでは世界におけるリハビリテーションの定義に関してお話しました。
日本ではどうでしょう。
リハビリテーションの定義 日本ver
・厚生省・厚生白書
「リハビリテーションとは、心身の障害のある者が社会人としての生活ができるようにすることである。実際には、心身に障害のある人が社会復帰―職場への復帰、家庭への復帰、あるいは学校への復帰―を促進することにより、身体的、精神的、社会的、職業的にその能力を最大限に発揮させ、最も充実して生活が出来るようにすることを目的としている。」(1965年)「リハビリテーションとは障害者が一人の人間として、その障害にも関わらず人間らしく生きることが出来るようにするための技術及び社会的、制作的対応の総合体系あり、単に運動障害の機能回復訓練の部分を言うのではない。」(1981年)
さあ!!ここで出てきました、重要な文言。
「単に運動障害の機能回復訓練の部分を言うのではない。」
世界の定義の項でも触れましたが、リハビリテーションは機能訓練を指す言葉ではないと、ここでも出てきました。この文言を掲げて、現在のリハビリテーションという言葉の使われ方を批判する方々多いですね。
定義のなかで大切なことは?
ここまで世界と日本における定義を書いてきましたが、私が考える重要なことは3つ。
・リハビリテーションは4つに分類される
・単に機能訓練を指すものではない
・社会的統合を目指している
・理学・作業療法士など職種の名称は一切出てこない
リハビリテーションって、やらなければならないと限定された職種はないんですね。だれがやってもいいんです。逆に言えば、誰でも出来るんです。というか、職種を挙げれば何百にもなります。
日常生活でよく使われる「リハビリ」という言葉、すごく奥が深いということが定義を見ることでわかるかと思います。
ある日、カンファレンスで対象者の申し送りを行う際、担当療法士から「リラクゼーションを中心にリハビリします。」と説明がありました。初めてこの説明を聞いたとき私の頭の中は「???」でした。理解するのにすごく時間がかかりました。このブログの第1弾、第2弾を読んで頂いた方には、このときの私の気持ちをよくわかってくれると思います。
100歩譲って、対象者本人やご家族に対しての説明なら致し方ないでしょう。しかしながら、“リハビリテーション専門職” と呼ばれる職業のスタッフが、“リハビリテーション専門職”の前でこの説明はいただけません。
いかがですか?
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2021年02月01日
第1弾「リハビリテーションの語源と歴史」
今回は、リハビリテーションという言葉の使われ方についてお話します。「リハビリテーションとは?」「リハビリテーションって一体何だ!?」理学療法士や作業療法士であれば、一度は考えたことがあるのではないでしょうか?この話題で酒を酌み交わす方もいらっしゃるのでは?「お前はリハビリテーションについてなんにもわかっていない!!」なんて上司や先輩に怒られたことがある方もいらっしゃるのでは?
リハビリテーションという大きなテーマで文章を書いてみると、やはりボリューム満点になってしまいました。なので、今回はシリーズとして3回に分けます。
シリーズ「理学療法士・作業療法士のみなさ〜ん!!正しく言葉使っていますか??」
第1弾「リハビリテーションの語源と歴史」です。
「リハビリ」という言葉、よく聞きますね。病院などの医療機関で、介護施設や在宅で、またテレビやラジオなどから。理学療法士や看護師さんが患者さんに「さあ!リハビリの時間ですよ!!」とか、在宅で理学療法士などが「リハビリに参りました、○○です。」など、よく聞きます。先日ニュース番組でニュースキャスターが「社会復帰のためのリハビリがものすごく進化しているんです!!」と言っているのを聞きました。
このように日常で聞かれる「リハビリ」という言葉。本当に正しい使い方なのでしょうか。そして、「リハビリ」という言葉を使う方々は、言葉の持つ意味、歴史的な背景、そして、現代社会における言葉の意味を正しく捉えているのでしょうか。
まずはリハビリテーションという言葉の語源を調べてみましょう。
リハビリテーションはラテン語の「habilis(ハビリス)」という「適した、ふさわしい」という意味の形容詞を語幹とした言葉です。「habilis(ハビリス)」聞いたことがあることもいらっしゃるんじゃないでしょうか?
そうです、ホモ・ハビリスです。ホモ・ハビリスは、240万年前から140万年前まで存在していたヒト属の一種で、猿人と原人の中間的な段階だそうです。ホモ・ハビリスは「器用なヒト」という意味もあるようですね。さらに、人間にふさわしい、という意味でも用いられ、さらに適応や有能、役立つ、生きるなどの意味も含んでいるようです。
「rehabilitation」を分解すると、「re」、「habilis」、「ation」となります。
「re」はメールの返信などで身近だと思います。「再び」と「再度」といった意味ですね。
「ation」は単語の語尾で使われることが多く、「結果」とか「〜の状態にする」といった意味があります。
ということは、「rehabilitation」は「再び適した(ふさわしい)状態にする」と訳せます。
リハビリテーションという言葉から、ホモ・ハビリスをイメージすることはなかなか容易ではありませんね。言葉の奥深さを感じます。初めてリハビリテーションという言葉を用いた人はどんな人なんでしょうか?どんなセンスしているんでしょうね。考えているとなんだかワクワクします。そして、歴史のロマンを感じます。
では次にリハビリテーションの歴史についてお話します。
リハビリテーションという言葉が最初に登場するのは中世ヨーロッパでした。当時は、「身分・地位・資格の回復」「破門の取り消し」などの意味で使われていたようです。中世ヨーロッパの方が、ホモ・ハビリスをイメージして、リハビリテーションという言葉を思いついたのですね。
聖女ジャンヌ・ダルクの「リハビリテーション裁判」が有名ですね。ジャンヌダルクは、1431年イギリス軍の手に落ち、宗教裁判の結果「異端」と宣告を受け破門され火あぶりの刑に処せられました。ところが、それから25年後、フランスの王シャルル7世の勝利とともに、再審が行われました。その裁判で、ジャンヌ・ダルクに対する異端であるという宣告が取り消され、さらに、破門が取り消されました。この再審のことを歴史的に、「リハビリテーション裁判」と呼ばれています。
はるか昔のローマでは、地位や名誉の挽回や復権という意味でリハビリテーションという言葉が使われていたのですね。勉強になります。ボクはミラ・ジョボビッチという女優が映画フィフス・エレメントに出演したときから好きなので、ジャンヌ・ダルクは身近に感じてしまいます。
そして時は経ち、第1次世界大戦。大戦中のアメリカで、リハビリテーションという言葉が医学の世界で初めて用いられました。戦争で負傷した兵士の回復のためにリハビリテーションが行われていたそうです。この当時のリハビリテーションは、一人前の人間として社会に戻ること、主に職業復帰のことを指していたようです。
大戦を中心に考えると、大戦以前は地位や名誉の挽回や復権という意味でリハビリテーションという言葉が使われていました。そして、大戦後は医療的な意味でリハビリテーションという言葉が使われていました。
世界的には大戦を境にその重要性が普及したのです。
こうして歴史的にリハビリテーションを見てみると、「権利・名誉・資格の回復」と言う人間の価値、もしくは尊厳に関わるような重大な意味を持つ言葉であることがわかります。
昔の意味のまま現代でリハビリテーションという言葉を使ったら?
大昔のままの意味で現在もリハビリテーションという言葉が使われていたら大変なことになります。
・理学療法士や看護師さんが患者さんに「さあ!リハビリの時間ですよ!!」
→「さあ!!失われた名誉を回復しにいきましょう!!」
・在宅で理学療法士などが「リハビリに参りました、○○です。」
→「破門の取り消しに来た、○○です。」
対象者は相当怒るでしょうね!!「名誉は失われてないぞ!!」「破門なんてされてない!!」クレームの嵐です。
さて、今回はココまでとさせてください。
長文でしたのに最後まで読んでいただいてありがとうございます。
次回は、
シリーズ「理学療法士・作業療法士のみなさ〜ん!!正しく言葉使っていますか??」
第2弾は、「リハビリテーションの定義」です。
リハビリテーションという大きなテーマで文章を書いてみると、やはりボリューム満点になってしまいました。なので、今回はシリーズとして3回に分けます。
シリーズ「理学療法士・作業療法士のみなさ〜ん!!正しく言葉使っていますか??」
第1弾「リハビリテーションの語源と歴史」です。
最近よく聞く「リハビリ」という言葉
「リハビリ」という言葉、よく聞きますね。病院などの医療機関で、介護施設や在宅で、またテレビやラジオなどから。理学療法士や看護師さんが患者さんに「さあ!リハビリの時間ですよ!!」とか、在宅で理学療法士などが「リハビリに参りました、○○です。」など、よく聞きます。先日ニュース番組でニュースキャスターが「社会復帰のためのリハビリがものすごく進化しているんです!!」と言っているのを聞きました。
このように日常で聞かれる「リハビリ」という言葉。本当に正しい使い方なのでしょうか。そして、「リハビリ」という言葉を使う方々は、言葉の持つ意味、歴史的な背景、そして、現代社会における言葉の意味を正しく捉えているのでしょうか。
まずはリハビリテーションという言葉の語源を調べてみましょう。
リハビリテーションの語源
リハビリテーションはラテン語の「habilis(ハビリス)」という「適した、ふさわしい」という意味の形容詞を語幹とした言葉です。「habilis(ハビリス)」聞いたことがあることもいらっしゃるんじゃないでしょうか?
そうです、ホモ・ハビリスです。ホモ・ハビリスは、240万年前から140万年前まで存在していたヒト属の一種で、猿人と原人の中間的な段階だそうです。ホモ・ハビリスは「器用なヒト」という意味もあるようですね。さらに、人間にふさわしい、という意味でも用いられ、さらに適応や有能、役立つ、生きるなどの意味も含んでいるようです。
「rehabilitation」を分解すると、「re」、「habilis」、「ation」となります。
「re」はメールの返信などで身近だと思います。「再び」と「再度」といった意味ですね。
「ation」は単語の語尾で使われることが多く、「結果」とか「〜の状態にする」といった意味があります。
ということは、「rehabilitation」は「再び適した(ふさわしい)状態にする」と訳せます。
リハビリテーションという言葉から、ホモ・ハビリスをイメージすることはなかなか容易ではありませんね。言葉の奥深さを感じます。初めてリハビリテーションという言葉を用いた人はどんな人なんでしょうか?どんなセンスしているんでしょうね。考えているとなんだかワクワクします。そして、歴史のロマンを感じます。
では次にリハビリテーションの歴史についてお話します。
リハビリテーションの歴史
リハビリテーションという言葉が最初に登場するのは中世ヨーロッパでした。当時は、「身分・地位・資格の回復」「破門の取り消し」などの意味で使われていたようです。中世ヨーロッパの方が、ホモ・ハビリスをイメージして、リハビリテーションという言葉を思いついたのですね。
聖女ジャンヌ・ダルクの「リハビリテーション裁判」が有名ですね。ジャンヌダルクは、1431年イギリス軍の手に落ち、宗教裁判の結果「異端」と宣告を受け破門され火あぶりの刑に処せられました。ところが、それから25年後、フランスの王シャルル7世の勝利とともに、再審が行われました。その裁判で、ジャンヌ・ダルクに対する異端であるという宣告が取り消され、さらに、破門が取り消されました。この再審のことを歴史的に、「リハビリテーション裁判」と呼ばれています。
はるか昔のローマでは、地位や名誉の挽回や復権という意味でリハビリテーションという言葉が使われていたのですね。勉強になります。ボクはミラ・ジョボビッチという女優が映画フィフス・エレメントに出演したときから好きなので、ジャンヌ・ダルクは身近に感じてしまいます。
そして時は経ち、第1次世界大戦。大戦中のアメリカで、リハビリテーションという言葉が医学の世界で初めて用いられました。戦争で負傷した兵士の回復のためにリハビリテーションが行われていたそうです。この当時のリハビリテーションは、一人前の人間として社会に戻ること、主に職業復帰のことを指していたようです。
大戦を中心に考えると、大戦以前は地位や名誉の挽回や復権という意味でリハビリテーションという言葉が使われていました。そして、大戦後は医療的な意味でリハビリテーションという言葉が使われていました。
世界的には大戦を境にその重要性が普及したのです。
こうして歴史的にリハビリテーションを見てみると、「権利・名誉・資格の回復」と言う人間の価値、もしくは尊厳に関わるような重大な意味を持つ言葉であることがわかります。
昔の意味のまま現代でリハビリテーションという言葉を使ったら?
大昔のままの意味で現在もリハビリテーションという言葉が使われていたら大変なことになります。
・理学療法士や看護師さんが患者さんに「さあ!リハビリの時間ですよ!!」
→「さあ!!失われた名誉を回復しにいきましょう!!」
・在宅で理学療法士などが「リハビリに参りました、○○です。」
→「破門の取り消しに来た、○○です。」
対象者は相当怒るでしょうね!!「名誉は失われてないぞ!!」「破門なんてされてない!!」クレームの嵐です。
さて、今回はココまでとさせてください。
長文でしたのに最後まで読んでいただいてありがとうございます。
次回は、
シリーズ「理学療法士・作業療法士のみなさ〜ん!!正しく言葉使っていますか??」
第2弾は、「リハビリテーションの定義」です。
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2021年01月31日
理学療法士と作業療法士の違いって、なに??
質問:「理学療法士と作業療法士って何が違うの?」
理学療法士として働いていると、こういった質問をされることが多いと思います。特に多いのが担当患者さんや担当患者さんのご家族に質問されることです。さらには、自分の両親、家族、友人にされることもあります。さらにさらに、病棟看護師にされることもあるでしょう。私は、医師に質問されたこともあります。
私としてはこういった質問に慣れっこなので淡々と説明します。では、どういった答え方をすれば相手は納得されるのでしょうか?よくある返答で「手→作業療法士、足→理学療法士」と答える方、いらっしゃいます。この返答、大きく間違ってますよ!!とも言えるし、よくよく考えると、あながち間違ってもいないな、と思ったりもします。この返答で質問者が納得されるのであれば良いのかもしれません。ただ、質問者が医療従事者の場合、この返答は「まずい」と私は思います。
それでは、このよくある質問を理学療法士及び作業療法士法を確認し原点に戻って考えてみましょう。
返答1:「理学療法士と作業療法士って全く異なる職業なんですよ。」
私の返答はまず、冒頭でこのように説明します。理学療法士と作業療法士、全く別の仕事です。専門学校や大学等の養成校でのカリキュラムも全く違いますしね。
返答2:「対象者が違うんです。」
次に、このように答えます。理学療法と作業療法の対象者が違うんです。全て共通している訳ではないんです。理学療法士及び作業療法士法によれば、理学療法の対象者は「身体に障害のある者」です。では、作業療法の対象者はというと、「身体又は精神に障害のある者」です。違いますよね?理学療法は「身体」に障害のある者で、作業療法は「身体」または「精神」に障害のある者なんです。「身体に」という部分は共通ですが、理学療法は「精神に障害のある者」を対象としていません。作業療法士の方が対象の幅が広いと言えます。これは理学療法士と作業療法士の成り立ちにおける歴史的な背景をみるとより明確になりますが、それはまた今度、別の機会に詳しく説明したいと思います。
返答3:「目的も違います。」
対象者の説明をしたら次に、目的の違いを説明します。理学療法や作業療法にも目的があるんです。理学療法士及び作業療法士法によれば、理学療法の目的は「対象となる者の基本的動作能力の回復を図る」ことです。では、作業療法の目的は「対象となる者の応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図る」ことです。「基本的動作能力」と「応用的動作能力又は社会的適応能力」全く別ですよね。
ちなみに、おとなり韓国では業務領域の区別がかなりはっきりしているようです。
http://www.japanpt.or.jp/upload/japanpt/obj/files/activity/jpta_news281.pdf
(JPTA NEWS,2013,P10-11参照)
返答4:「手段もまったく違いますよ!!」
最後に、目的を果たすための手段の違いを説明します。コレすごく重要です。理学療法士及び作業療法士法によれば理学療法の手段は「対象となる者に治療体操その他の運動を行わせること、および電気刺激・マッサージ・温熱・その他の物理的手段を加えること」です。では、作業療法の手段は「対象となる者に手芸・工作・その他の作業を行わせること」です。ここで言う「その他の作業」は、作業療法士協会のホームページなどで詳しく説明されているので、そちらをご参照ください。
http://www.jaot.or.jp/ot_job
(作業療法士協会HP参照)
手段に関しても全く違いますね。理学療法は「治療体操、その他の運動、物理的手段」です。作業療法は「手芸・工作・その他の作業」です。
ここまでしっかり説明した上で、「手→作業療法士、足→理学療法士」という返答は、大きくハズレていないと思います。
そして、この理学療法を行うのが理学療法士、作業療法を行うのが作業療法士というわけです。
最後に伝える大切なこと
理学療法士及び作業療法士法を改めて見ると、理学療法・作業療法どちらの手段も「行わせる」なんです。なので、主体性を持って「行う(実践する)」のは「対象者(患者さん)」で、「行わせる」のは「理学療法士・作業療法士」となります。ですから、対象者の方々に様々な内容を行ってもらうために、理学・作業療法士は試行錯誤しなくてはなりません。
療法士に対するよくある質問に対する返答を、理学療法士及び作業療法士法を再確認しながら考えてみました。自らの職業に関連する法律を見ると新たな発見があります。
みなさまも忙しい臨床業務の合間に法律を確認してみてはいかがでしょうか?
理学療法
対象:身体に障害のある者
目的:対象となる者の基本的動作能力の回復を図る
手段:対象となる者に治療体操その他の運動を行わせること。および電気刺激・マッサージ・温熱・その他の物理的手段を加えること
作業療法
対象:身体又は精神に障害のある者
目的:対象となる者の応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図る
手段:対象となる者に手芸・工作・その他の作業を行わせること
(以上参考・引用:理学療法士及び作業療法士法)
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2021年01月30日
「許可」と「認可」、言葉は似ているけれど別物です。
「許可」と「認可」の違いについてお話しようと思います。許可と認可、同じじゃないの!?と思いますが、別物です。
許可
本来の自由を回復させる行為のことを許可と言います。「新たな権利を与える行為」ではないので注意してください。自動車の運転免許などが該当するので、運転免許に絡めて説明します。例えば、自動車の運転を誰でもどんな人でも自由に出来るようになると、どのようになるでしょうか??そうですね、交通事故が多発しますね。非常に危険な状態です。そのような状況になったとしたら、自動車の運転については一律禁止、としましょう。これで安心です。安全な生活に元通りです。
でも、自動車の運転が必要な人もいますね。一律禁止のままでは困る人が多いと思います。では、免許を取得すれば自動車の運転が可能となるようにしましょう。禁止された自動車の運転は、免許を取得した人だけが認められます。
これが許可ということです。
許可は、許可を得ていなければ禁止されている行為ですので、許可を得ていない場合は処罰の対象となります。運転免許が無いのに自動車の運転をしたら、道路交通法違反です。
認可
???
ちょっと難しい説明ですね。この説明ではさっぱり意味がわかりません。
認可は、学校法人や保育園の設立、電気・ガスなどの料金を決定・変更する行為などに該当するので、学校法人設立に絡めて説明します。
例えば、私が学校法人を設立したいと思った場合、たくさんの書類を作り行政官庁にもっていきます。その書類などの準備に不備がなく基準どおりであれば、行政官庁の同意を得て法律上の効力が完成されます。なので、晴れて学校法人を設立することができます。こうやって言葉にすると、簡単に感じますが、実際は違います。不備のない書類作りや施設・人員基準を満たしているかなど、チェックすべき点は多くあります。しかしながら、満たしてさえいれば認可されるというのが、「認可」特徴です。
認可は、禁止されている行為を許すものではありません。なので、原則として処罰の対象とはなりません。しかし、認可を受けずに行われた行為は無効になります。勝手に学校法人を設立することは出来ない、ということです。
ここまで、許可と認可について説明してきました。ではその2つの違いはなんでしょうか?
この2つの大きな違いは、許可は許可されたり不許可されたりしますが、認可は必ず認可されます。少し大雑把な説明だったのでもう少し詳しく説明します。
許可は、申請を受けた行政官庁の判断により「許可」されたり「不許可」だったりします。
認可は、必要な要件(書類など)を満たしてさえいれば必ず認可されます。
自動車の免許は誰でもすぐに取れるわけではないですよね。許可は難しい面があります。
新たに介護保険事業を始める方々は絶対必要な知識です。ココを通らずに新規事業を立ち上げることはできません。また、介護支援専門員の受験勉強をされている方はこの辺をおさえておくとスムーズに勉強が進むと思います。特に介護保険3施設の違いを理解する上で、許可と認可の違いを理解することは重要です。
許可とは?
許可
法令で一般的に禁止されている行為について、特定の場合に限ってその禁止を解除する行政行為をいう。
本来の自由を回復させる行為のことを許可と言います。「新たな権利を与える行為」ではないので注意してください。自動車の運転免許などが該当するので、運転免許に絡めて説明します。例えば、自動車の運転を誰でもどんな人でも自由に出来るようになると、どのようになるでしょうか??そうですね、交通事故が多発しますね。非常に危険な状態です。そのような状況になったとしたら、自動車の運転については一律禁止、としましょう。これで安心です。安全な生活に元通りです。
でも、自動車の運転が必要な人もいますね。一律禁止のままでは困る人が多いと思います。では、免許を取得すれば自動車の運転が可能となるようにしましょう。禁止された自動車の運転は、免許を取得した人だけが認められます。
これが許可ということです。
許可は、許可を得ていなければ禁止されている行為ですので、許可を得ていない場合は処罰の対象となります。運転免許が無いのに自動車の運転をしたら、道路交通法違反です。
認可とは?
認可
第三者による法律行為を補充することにより、その効果を完成させる行政行為をいう。
???
ちょっと難しい説明ですね。この説明ではさっぱり意味がわかりません。
認可は、学校法人や保育園の設立、電気・ガスなどの料金を決定・変更する行為などに該当するので、学校法人設立に絡めて説明します。
例えば、私が学校法人を設立したいと思った場合、たくさんの書類を作り行政官庁にもっていきます。その書類などの準備に不備がなく基準どおりであれば、行政官庁の同意を得て法律上の効力が完成されます。なので、晴れて学校法人を設立することができます。こうやって言葉にすると、簡単に感じますが、実際は違います。不備のない書類作りや施設・人員基準を満たしているかなど、チェックすべき点は多くあります。しかしながら、満たしてさえいれば認可されるというのが、「認可」特徴です。
認可は、禁止されている行為を許すものではありません。なので、原則として処罰の対象とはなりません。しかし、認可を受けずに行われた行為は無効になります。勝手に学校法人を設立することは出来ない、ということです。
認可と許可の違い
ここまで、許可と認可について説明してきました。ではその2つの違いはなんでしょうか?
この2つの大きな違いは、許可は許可されたり不許可されたりしますが、認可は必ず認可されます。少し大雑把な説明だったのでもう少し詳しく説明します。
許可は、申請を受けた行政官庁の判断により「許可」されたり「不許可」だったりします。
認可は、必要な要件(書類など)を満たしてさえいれば必ず認可されます。
自動車の免許は誰でもすぐに取れるわけではないですよね。許可は難しい面があります。
新たに介護保険事業を始める方々は絶対必要な知識です。ココを通らずに新規事業を立ち上げることはできません。また、介護支援専門員の受験勉強をされている方はこの辺をおさえておくとスムーズに勉強が進むと思います。特に介護保険3施設の違いを理解する上で、許可と認可の違いを理解することは重要です。
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2021年01月29日
理学・作業療法士は名称独占?業務独占?どっちなの??
「名称独占」と「業務独占」のについてのお話をします。この名称・業務独占について、理学療法士や作業療法士であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。この話題を肴に酒を酌み交わす方もいらっしゃるのでは?
名称独占や業務独占のお話をする前に、まずは国家資格とはどういったものなのかという説明をします。文部科学省のHPにわかりやすい説明がありました。
【国家資格】
国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。
(引用:文部科学省http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/014/shiryo/07012608/003.htm)
国の法律に基づいた資格であることがわかります。社会からの信頼性が高いとのことです。そして、ここからが今日の本題です。
国家資格はいくつかに分類されます。
a) 業務独占資格
b) 名称独占資格
c) 設置義務資格
d) 技能検定
以上の4つです。
業務独占や名称独占という言葉はよく聞いたことがあると思いますが、国家資格の分類の一つなんですね。正確には業務独占資格・名称独占資格というそうです。
【名称独占資格】
資格がなくてもその業務に従事する事はできるが、資格取得者のみ特定の資格名称(肩書き)を名乗ることができ、資格を所有していない者が法律に定める特定の名称を名乗ることができない資格です。また、名称独占の資格に類似したり、名称独占資格に関連している資格のように紛らわしくした名称を使用することが禁止されています。
(引用:資格の王道http://www.shikakude.com)
ざっくり言うと、資格をとればその資格の名称を名乗ることができますよ、ということです。
こういうことは箇条書きにするとスッキリします。
・資格がなくてもその業務に従事することはできる。
・資格取得者のみ特定の資格名称(肩書き)を名乗ることができる。
・資格を所有していない者が、法律に定める特定の名称を名乗ることはできない。
以上のようになります。
資格がなくてもその業務に従事することができる、というのは驚きですね。独占しているのは名称のみ、ということです。その業務を行うに当たって資格は必要ではない、とも言えます。つまり、その業務を無資格者が行っても法律違反になりません。名称独占資格は特定の資格の名称を名乗ること「だけ」できます。
理学療法士や作業療法士、そして栄養士や保育士などの資格がこれに当たります。
3 この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。
4 この法律で「作業療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。
(理学療法士及び作業療法士法 第一章 総則 第二条)
【業務独占資格】
特定の業務に際して、特定の資格の免許、免状等を有する者だけが業務を行うことができ、資格がなければその業務を行うことが禁止されている資格のこと。
(引用:資格の王道http://www.shikakude.com)
業務独占資格を持っている者でないと、当該業務を行うことが出来ません。医師は医療行為を行いますが、これは医師免許を持っているからですね。医師免許を持っていない者が医療行為を行えば当然罰則があります。
これも箇条書きでスッキリさせてみましょう。
・特定の資格の免許、免状等を有するものだけが業務を行うことができる。
・資格がなければその業務を行うことが禁止されている。
名称独占資格とは全く違います。医師、弁護士や公認会計士がこれに当たります。
第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。
第十八条 医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
(医師法 第四章 業務 第十七条、第十八条)
名称独占資格と業務独占資格の違いについてお話しました。名称のみを独占しているのか、業務を独占しているのか、ということが違います。
ここで一つ疑問があります。なぜ国家資格は名称独占と業務独占などに分類されるのでしょうか。せっかく頑張って勉強して取った資格なのだから、業務を独占したい!!と思うのが自然なのではないでしょうか。名称独占資格のように、名称のみを独占する、資格がなくても業務に従事できる、とかややこしいだけではないですか?
全ての資格が業務独占だときっと社会が混乱してしまうからだと思います。
例えば、調理師免許が業務独占資格だとしたら・・・、家で料理出来なくなってしまいますもんね。でも、ふぐ調理は業務独占資格でないと困ります。みんなふぐ中毒になってしまいます。
例えば、保育士が業務独占資格だとしたら・・・、子育て・保育が出来なくなってしまいますね。
例えば、理学療法士・作業療法士が業務独占資格になると・・・、たくさんの考え方があると思いますが、と前置きしておいて、在宅で対象者のご家族や多職種の方が対象者に理学療法・作業療法を行うことが出来なくなってしまいますね。そうなると、地域包括ケアシステムがうまく稼働するかどうか・・・、んー微妙です。
しかしながら、前述した「資格がなくてもその業務に従事することができる」という点はどうでしょう。我々は日々努力し技術を身につけています。実際には資格を持っていない方が有資格者と同様の技術を対象者に提供することは難しいことだと思いますが、法律的に資格を持っていない方も理学・作業療法を行うことが出来るということは腑に落ちませんね。
業務を独占するのか、名称を独占するのか資格によって分けているということは、我々の生活する社会に非常に重要な影響を及ぼすと考えていいと思います。何を独占するのか明確に分けておかないと、社会にとって不利益になってしまうこともあるのです。
名称独占資格は取得するに値しない資格だ、社会的価値は弱い、と考える人がいるかもしれません。でも、その資格に与えられた意味と社会的な役割は、名称独占資格であるか業務独占資格であるかだけでは決められないことだと私は考えています。社会的に考えれば、名称独占でないとダメな資格もあります。そのほうが社会的に利益につながることもあります。理学・作業療法士は大きな枠組みで考えたときに、名称独占資格として社会に利益を与えているのだと私は考えています。技術職なのだから、とか、特殊な技術を持っているから業務独占資格に!!という考え方も理解が出来る部分もありますが、いささか乱暴な考え方のようにも思います。
大切なことはどのような資格であっても、その資格に与えられた使命を果たすことであり、社会に貢献することだと私は考えます。
国家資格とは?
名称独占や業務独占のお話をする前に、まずは国家資格とはどういったものなのかという説明をします。文部科学省のHPにわかりやすい説明がありました。
【国家資格】
国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。
(引用:文部科学省http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/014/shiryo/07012608/003.htm)
国の法律に基づいた資格であることがわかります。社会からの信頼性が高いとのことです。そして、ここからが今日の本題です。
国家資格はいくつかに分類されます。
a) 業務独占資格
b) 名称独占資格
c) 設置義務資格
d) 技能検定
以上の4つです。
業務独占や名称独占という言葉はよく聞いたことがあると思いますが、国家資格の分類の一つなんですね。正確には業務独占資格・名称独占資格というそうです。
名称独占資格とは?
【名称独占資格】
資格がなくてもその業務に従事する事はできるが、資格取得者のみ特定の資格名称(肩書き)を名乗ることができ、資格を所有していない者が法律に定める特定の名称を名乗ることができない資格です。また、名称独占の資格に類似したり、名称独占資格に関連している資格のように紛らわしくした名称を使用することが禁止されています。
(引用:資格の王道http://www.shikakude.com)
ざっくり言うと、資格をとればその資格の名称を名乗ることができますよ、ということです。
こういうことは箇条書きにするとスッキリします。
・資格がなくてもその業務に従事することはできる。
・資格取得者のみ特定の資格名称(肩書き)を名乗ることができる。
・資格を所有していない者が、法律に定める特定の名称を名乗ることはできない。
以上のようになります。
資格がなくてもその業務に従事することができる、というのは驚きですね。独占しているのは名称のみ、ということです。その業務を行うに当たって資格は必要ではない、とも言えます。つまり、その業務を無資格者が行っても法律違反になりません。名称独占資格は特定の資格の名称を名乗ること「だけ」できます。
理学療法士や作業療法士、そして栄養士や保育士などの資格がこれに当たります。
3 この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。
4 この法律で「作業療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。
(理学療法士及び作業療法士法 第一章 総則 第二条)
業務独占資格とは?
【業務独占資格】
特定の業務に際して、特定の資格の免許、免状等を有する者だけが業務を行うことができ、資格がなければその業務を行うことが禁止されている資格のこと。
(引用:資格の王道http://www.shikakude.com)
業務独占資格を持っている者でないと、当該業務を行うことが出来ません。医師は医療行為を行いますが、これは医師免許を持っているからですね。医師免許を持っていない者が医療行為を行えば当然罰則があります。
これも箇条書きでスッキリさせてみましょう。
・特定の資格の免許、免状等を有するものだけが業務を行うことができる。
・資格がなければその業務を行うことが禁止されている。
名称独占資格とは全く違います。医師、弁護士や公認会計士がこれに当たります。
第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。
第十八条 医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
(医師法 第四章 業務 第十七条、第十八条)
名称独占資格と業務独占資格
名称独占資格と業務独占資格の違いについてお話しました。名称のみを独占しているのか、業務を独占しているのか、ということが違います。
ここで一つ疑問があります。なぜ国家資格は名称独占と業務独占などに分類されるのでしょうか。せっかく頑張って勉強して取った資格なのだから、業務を独占したい!!と思うのが自然なのではないでしょうか。名称独占資格のように、名称のみを独占する、資格がなくても業務に従事できる、とかややこしいだけではないですか?
なぜ2つあるんだろう?考えてみました。
全ての資格が業務独占だときっと社会が混乱してしまうからだと思います。
例えば、調理師免許が業務独占資格だとしたら・・・、家で料理出来なくなってしまいますもんね。でも、ふぐ調理は業務独占資格でないと困ります。みんなふぐ中毒になってしまいます。
例えば、保育士が業務独占資格だとしたら・・・、子育て・保育が出来なくなってしまいますね。
例えば、理学療法士・作業療法士が業務独占資格になると・・・、たくさんの考え方があると思いますが、と前置きしておいて、在宅で対象者のご家族や多職種の方が対象者に理学療法・作業療法を行うことが出来なくなってしまいますね。そうなると、地域包括ケアシステムがうまく稼働するかどうか・・・、んー微妙です。
しかしながら、前述した「資格がなくてもその業務に従事することができる」という点はどうでしょう。我々は日々努力し技術を身につけています。実際には資格を持っていない方が有資格者と同様の技術を対象者に提供することは難しいことだと思いますが、法律的に資格を持っていない方も理学・作業療法を行うことが出来るということは腑に落ちませんね。
業務を独占するのか、名称を独占するのか資格によって分けているということは、我々の生活する社会に非常に重要な影響を及ぼすと考えていいと思います。何を独占するのか明確に分けておかないと、社会にとって不利益になってしまうこともあるのです。
最後に、、、
名称独占資格は取得するに値しない資格だ、社会的価値は弱い、と考える人がいるかもしれません。でも、その資格に与えられた意味と社会的な役割は、名称独占資格であるか業務独占資格であるかだけでは決められないことだと私は考えています。社会的に考えれば、名称独占でないとダメな資格もあります。そのほうが社会的に利益につながることもあります。理学・作業療法士は大きな枠組みで考えたときに、名称独占資格として社会に利益を与えているのだと私は考えています。技術職なのだから、とか、特殊な技術を持っているから業務独占資格に!!という考え方も理解が出来る部分もありますが、いささか乱暴な考え方のようにも思います。
大切なことはどのような資格であっても、その資格に与えられた使命を果たすことであり、社会に貢献することだと私は考えます。
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2021年01月26日
介護保険業界で働くために学んだほうが良い法律や法規のこと
介護支援専門員の試験勉強で最初に困ったこと
私は数年前に介護支援専門員の試験を受けました。試験日のだいたい半年前から勉強を始めました。かなり遅いスタートでしたね。試験勉強を始めて最初に困ったこと。それは、「言葉の意味がまったくわからん!!」でした。初めて参考書を開いたときには、まったく言葉が入って来ず、問題の意味もわからず勉強するのにすごく苦労しました。
法律というものは、聞いたこともないような言葉・単語や、小難しい言い回しがありますよね。普段、マンガばかり読んでいる私は出鼻を挫かれました。
言葉を整理すればすんなり読めた!!
私にとって何が難しかったというと、参考書のほとんどの理解が出来ませんでしたが、特に法律とか政令・省令、規則や条例の違いがわかりませんでした。「介護保険に関するルールってひとつの所から出てるんじゃないの!?」と思い少しパニックになりました。
実際は介護保険に関して法律があり、政令・省令があり規制・条例・告示などがあります。それぞれに役割があり、どれも大切な内容です。
一般的に法の優位性は、
憲法 > 法律 > 政令・省令 > 規制・条例等
となります。憲法が1番上でその次に法律、政令・省令、規制・条例等の順番になります。ざっくり言うと、法律は国会で、政令は内閣で、条例は都道府県市町村で決められた決まりと考えてよいと思います。国会や内閣で決めた決まりごとを都道府県市町村で決められた決まりごとが上回ることは当然ありません。
法律は憲法を元に作られています。憲法とはその国のありかたを書いたものですね。つまり、その国の目指すべき姿がそこに書かれています。なので、法律は憲法に書かれている国のあり方に沿った内容でなければなりません。
法律は言葉・単語の意味が難しいので、ひとつひとつの言葉の意味を整理する必要があると思います。そうすることでスッと読めるようになるはずです。まずは、憲法とはなにか?法律とはなにか?政令・省令とは?それぞれがどのような位置づけで存在しているか、を整理すると読みやすくなります。そして、それぞれを介護保険に関することで説明すると、以下のようになります。
○法律:国会での民主的な手続きを経て制定される。
・介護保険法(平成九年法律第百二十三号)
・介護保険法施行法(平成九年法律第百二十四号)
○政令:憲法および法律の規定を実施するために内閣が制定する命令。
・介護保険法施行令(平成十年政令第四百十二号)
○省令:各省大臣がその行政事務について、法律や政令を施行するため、または法律や政令の委任に基づいて発する命令。
※施行規則と呼ばれることが多い。
・介護保険法施行規則(厚生省令第三十六号)
・指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第三十七号)
・指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(厚生省令第三十八号)
○告示:一定の事柄を周知させるため、公衆が知ることが出来る状態に置くこと。
・指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(厚生省告示第十九号)
○通達:省庁の内部規則、行政機関が法令の解釈について下級機関に通知・指示するもの。
法規性がないため、国民が通達の内容に直接拘束されるものではない。
行政機関はこの通達に沿って行動するので、事実上の影響がある
・指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(老企第二十二号)
いかがでしょうか?少し整理出来たのではないでしょうか。介護保険法施行規則や、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準などは業務を行う上で目にすること多いと思います。これらは、介護保険法や介護保険法施行法を施行するために、法律や政令の委任に基づいて発せられた命令です。「どこが」、「何のために」出したものなのかわかると、参考書なども読みやすくなると思います。
試験勉強でも通常業務でも重要な法規
法規は介護保険専門員の試験勉強の中でかなりのウェイトを占めますし、かなり高いハードルです。全てを覚える訳ではないですが、内容を理解しないと解くことが出来ない問題が多くあります。避けては通れない道と言えますね。そんな試験勉強の効率を上げるために、すぐに参考書を開くのではなく、まずは言葉の整理をしてみてはいかがでしょうか?最初に問題や参考書を見たときの印象はガラッと変わるはずです。
また、介護保険サービス事業所で働いていると部下や後輩から、または会議中に上司からコンプライアンスに関する質問をされたり、意見されたりすることが多くあります。そういった質問や意見に的確に答えるためにも、自分自身が働いている領域での法律は理解しておく必要があるでしょう。
さらに、サービス担当者会議など現場でも自分の持っている法律に関する知識が役立つときが必ずきます。ご利用者さんにも的確なアドバイスが出来るようになると思います。
理解するには高い壁ですが、ひとつひとつ言葉を整理すると、少しずつ紐解かれていくことと思います
2021年01月25日
ターミナルの加算について(介護・医療)
ターミナルケア加算(介護)
・当該者の死亡月に算定
・2000単位が加算
※介護予防訪問看護(利用者が要支援者)の場合は対象外
以下の要件を満たした場合に算定可能。
@ターミナルケアを受ける利用者について24時間連絡が取れる体制を確保しており、かつ、必要に応じて訪問看護を行うことができる体制を整備していること
Aターミナルケア体制を届けていること
B死亡日および死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを実施している(ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅で死亡した場合も含む)
C主治医との連携の下に、訪問看護におけるターミナルケアに係る計画および支援体制について利用者および家族等に対して説明を行い、同意を得てターミナルケアを行っていること
Dターミナルケアの提供について、利用者の身体状況の変化など必要な事項が適切に記録されること
E訪問看護においてターミナルケアを実施中に死亡診断を目的として医療機関へ搬送し24時間以内に死亡が確認される場合
「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、利用者本人及びその家族等と話し合い、利用者本人の意思決定を基本に、他の医療および介護関係者との連携の上、対応すること
訪問看護ターミナル療養費(医療)
・訪問看護基本療養費及び精神科訪問看護基本療養費を算定すべき指定訪問看護を行っている訪問看護ステーションの看護師等
・在宅で死亡した利用者(ターミ ナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した者を含む。)
・特別養護老人ホームその他これに準ずる施設で死亡した利用者(ターミナルケアを行った後、24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した者を含み、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12 年厚生省告示第21号)別表の1に規定する看取り介護加算その他これに相当する加算。
・主治医の指示により、その死亡日及び死亡日前14 日以内に、2回以上指定訪問看護を実施
・訪問看護におけるターミナルケアに係る支援体制について利用者及びその家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合に算定する。
※訪問看護ターミナルケア療養費2では、看取り介護加算(施設側が算定)を算定している利用者に限る。
※他の訪問看護ステー ションにおいて訪問看護ターミナルケア療養費を算定している場合には、算定しない。
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タグ:ターミナル
2020年12月28日
複数名訪問看護加算(医療保険)
複数名訪問看護加算とは?(医療保険)
複数名で訪問看護を行う必要がある利用者に対して、同時に複数の看護師等による訪問看護を行った場合に算定できる加算。
複数名訪問看護加算の対象者
・基準告示第2の1に規定する疾病の利用者
@特掲診療料の施設基準等・別表第7に掲げる疾病等の者
A特掲診療料の施設基準等・別表第8に掲げる者
・特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者
・暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為などが認められる者
・利用者の身体的理由により1人の看護師等による訪問看護が困難と認められる者
・その他利用者の状態から判断して、上記のいずれかに準ずると認められる者
複数名訪問看護加算の設定額
※2 基準告示第2の1に規定する疾病の利用者、特別訪問看護指示書に係る訪問看護を受けている者に限る
看護補助者の資格要件
・看護補助者の資格要件はない。
・介護福祉士や介護職員初任者研修修了者(旧ヘルパー2級)などの資格も不要。
・事務職員でも可能。
※秘密保持や医療安全等の観点から訪問看護ステーションに雇用されている必要がある。
別事業所のヘルパー等との同行訪問は加算対象外。
また、看護職員を看護補助者として複数名訪問看護加算を算定することはできない。
複数名訪問看護加算算定時のポイント
・利用者又はその家族等に説明を行い、同意を得る必要がある
・1人以上は看護職員(保健師、助産師、看護師又は准看護師)である