入っている桃は柔らかくて、品の良い甘さのゼリーである。とても美味しい。桃の名産地である岡山のお菓子らしい。
実は、このデザートは、友人にお線香を送った返礼として頂いたものだ。その友人は、この夏、ご主人を亡くされた。愛するパートナーを失うということは、いったいどれほどの悲しみだろうか。SNSで訃報を知った時には、目を疑った。仲の良いご夫婦で、ご主人と一緒に世界中を旅されたり、いつもアクティブで、人生を謳歌し、60歳手前くらいからは、新たに、音楽や日舞など様々なことにもチャレンジするバイタリティ溢れる元気な女性であった。その彼女が、こんなにも悲しい思いを味わうことになるとは・・。
今年は、別の友人もご主人を亡くされた。そのこともSNSで知った。彼女の悲しみもまたとてもとても深く、SNSでも、「彼のところに早く・・・」というようなことまで書かれていたこともあり、それを読んだ時には、本当に胸が痛み、とても心配していた。
私は、32歳の時に母と死別した。母が亡くなった時に、父が、しばらくの間、抜け殻のような状態になっていたことを今でも覚えている。そして、60代半ばの現在まで、大切な人との悲しい別れを何度も経験した。別れの数だけ、人生の深さを学ぶこともあるとは思うが、やはり別れは悲しい。とりわけ、かけがえのない家族であれば、なおさらだ。
妻や夫という大切なパートナー、「連れあい」という言い方もあるが、まさに人生を共に連れ添っていく相手だから、その人が失われるというのは本当に大きなことだ。できることなら、一緒に年をとり、あまり時差のないような頃合いで、おおむね一緒に神に召される〜そんなふうにできたらと、誰しも願うのではないか。
甘いはずの桃のゼリーを食べ終わったら、なぜか、少しほろ苦い味のようにも感じた。
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