たぶん、ハードボイルド小説の中で登場したジンというお酒に興味を持ったのが大学の頃で、ちょうど折よく(いや折悪しく?)ジンにも詳しくお酒好きなK君と仲良くなって、頻繁に飲みに行くようになったことが大きいのではないかと思う。ここ何年も会ってはいないが、彼とは、今も交流がある。
サラリーマンになって2〜3年目に、K君に連れて行ってもらった赤坂のイングランドパブが、私のジンへの本格的な入口となった。当時そのパブというかバーにいたバーテンダーのSさんが、勉強熱心でお酒やカクテルに詳しく、彼の話を聞きながらカクテルを飲ませてもらうの楽しくてしようがなかった。他の店で飲んだ帰りにその店に寄って、アースクェイクという相当強いと言われたカクテルを、いきがって5杯飲み、カウンターの椅子から崩れ落ちたことも懐かしい思い出だ。
ジンは、そもそもは、オランダで薬になることをめざして生まれた。ジンの風味のもとになっている杜松(ねず)が、利尿・解熱効果があることから、大学の医学部で薬として作られたものだ。しかし、そのさわやかなおいしさは、オランダ国内で飲み物として人気を博した。
一方で、18世紀のイギリスでは、安くてすぐに酔える酒として貧しい労働者たちに人気を呼び、それが大量のアル中を生み出し社会問題にもなった。
ジンの代表的な飲み方といえば、やはりマティニだろうか?これもまたエピソードは数知れぬカクテルである。曰く、チャーチルは、ほとんどジンだけのマティニを、ベルモットの瓶を横目で眺めながら飲んだというし?ジェームズボンドは、「Shaken, not stirred(ステアでなく、シェイクしてくれ)」という有名なセリフで、一世を風靡した。私も、このセリフを実践したくて、バーでそんなふうにオーダーしたことがある。(馬鹿だね) でも、優れたバーテンダーさんが作るマティニは、シェイクでもステアでも美味しい。
そんなことを思い出しながら、ジンの魔力につかまり続けている私は、今宵もバーMINOで、「シェイクでなくステアで」自分でマティニを作って飲んでいる。「ステアは、静かに100回回す」という銀座の著名なバーテンダーさんの話を聞いてから、それを実践しているが、100回静かに素早くステアすると水っぽくならずにおいしいマティニができる。ぜひお試しを。
あ、ステアするには、やはり、ちゃんとしたバースプーンか、マドラーが必要です。
#マティニ
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