約9年間お世話になったベッド。
この半年ほどは、父の床ずれもひどくなったので、それを防止するために、自動的に体を動かしてくれるエアーマットが仕込まれた最新機種になった。ケアマネさんからすすめられて、半信半疑で導入してみたのだが、非常に効果的で、父の床ずれは大幅に改善された。
介護用品の会社に連絡しないといけないなあ、と思っていたら、ケアマネさんから連絡を受けたということで、リース会社から撤収したい旨電話があった。
撤収の連絡を受けたわずか2日後にスタッフがやってきた。その日は雨が降るという予報だったので、ベッドという大きな荷物だから、翌日の方が多少雨がやむという天気予報だったので、日にち変更しなくていいですか?と連絡したら、大丈夫ですとの回答だった。
設置した時のことをもうすっかり忘れていたけれど、全てのパーツが、ベッドサイズの1/3くらいに分解できるので、分解されたパーツは、簡単に運び出せる。
なるほど、これなら、雨でもあまり関係ないかな、と思っているうちに、分解撤収作業はどんどん進んでいく。日本のものづくり技術と作業するスタッフの能力はすごい。
病院などで見たことのある人も多いと思うが、介護ベッドというのは、自分が実際に毎日使ってみると、つくづく良くできている。
父の体をリクライニングして起こしたり、オムツ作業をする時には少し高くなった方が介護する人間が作業しやすいのだが、わずか数十秒で適切な高さにすることもできる。
9年間本当にお世話になったなあ、と思い出しながら眺めているうちに、分解作業は完了した。わずか20分ほどの作業時間であった。
撤収の終わった部屋は、ものすごく広く感じた。"VACANT"という単語を思い出したが、この場合に適切かどうかはわからない。でも、私の心の状態にはあっている言葉のような気がした。
「長い間ありがとうございました」と介護リースの営業担当者が頭を下げた。
いや、こちらこそ、と思った。
「本当にお世話になりました。ありがとうございます」、と挨拶をして玄関の戸を閉めた。
あ、しまった、床ずれ防止エアーマットの寝心地を自分で寝て試してみるのを忘れた・・・・
#介護ベッド
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