スウェーデンとフィンランドの首相が、13日に共同の記者会見を行いNATO 加盟への意向を発表した。
恥ずかしながら、フィンランドが、19世紀には帝政ロシアの領土の一部だったということは、多分世界史で習ったのだろうが、全く記憶になかった。あらためて地図を眺めると、確かにロシアと国境を接している。その国境は1300キロにもなるという。
スウェーデンのアンデション首相(左)とフィンランドのマリン首相(ロイター)
フィンランドは、ロシア革命後に独立し、第二次世界大戦後は、非同盟性政策を貫いてきた。またスウェーデンは、19世紀のナポレオンとの戦い以降、200年あまりも中立国として戦争に関わっていないという。長年にわたって、中立を維持しNATOに対してもロシアに対しても慎重な姿勢をしてきた両国が、ウクライナ侵攻によって、その長い中立の立場に別れを告げ、NATO 加盟を検討している意向を表明したのである。
もはやスターリン以上の専制君主となってしまったプーチンの脅威は、NATOの構造も激変させた。それは言い換えれば、第三次世界大戦も起きかねない事態がさらに進んでいるということかもしれない。
この二国の動きに対し、ロシアはすぐに厳しい反応を示した。NATO の脅威に対抗するためにウクライナを取り込もうとして侵攻したプーチン大統領にとって、この二国の発表は、むしろ裏目に出たことになる。
たまたま偶然であるが、長年の中立を放棄するという大きな決断に傾いた二人の首相は、女性であった。先日の外相会議でもそうだったが、世界中で、大きな仕事のステージで女性のトップが活躍する時代が本当にやってきていることを実感するできごとでもあった。
いずれにせよ、かつての冷戦時代よりもっと、世界中が高いリスクにさらされている事態が続くことになる。恐怖の第二次冷戦である。平和への祈りがどんどん遠くなっていくようにも感じてしまう。
#NATO
【このカテゴリーの最新記事】