設計者は、黒川紀章。彼の代表作のひとつである。
外観は、さいころが集まったような不思議な姿で、実は、マンションの一部屋一部屋が、ユニットになっていて、部屋一つを、個別に丸ごと取り換えできるというところがウリであった。しかし、たぶん、それを実践した部屋はなかったと思う。
(lifehacker)
保存しようという動きもあったようだけれど、結局解体することが決定し、住人も、3月の時点で全員が退去している。
いよいよ12日から解体工事が始まるという新聞記事を目にして、ちょっと胸が痛んだ。
一度部屋を見てみたいと思ったけれど、残念ながら訪れる機会は、ついになかった。
デザイナーなど私と身近な業界の人が数多く入っていたので、調べれば知り合いも見つかったのではないかと思うだけに、重ね重ね残念ではある。
一部屋のユニットを保存する動きはあるようで、数多くのオファーが世界中から来ているようだから、個別の部屋は、世界のどこかでいきつづけるようではあるのが、せめてもの救いである。
建築というのは、当然耐用年数がある。いつかは壊れる。もちろん法隆寺のように木造建築であっても、何百年も残り続けるものもあるけれど、それはかなり例外的だ。
世界に名をとどろかせたユニークな建築は、コロナによるスティホーム型のライフスタイルの中で、あらためて、人間が暮らすコンパクトな住まいのユニットとしての設計思想の優秀さが、注目された。
世界のどこか、できれば日本のどこかで、このユニークな建築物の部屋のユニットだけでも、生きながらえてくれることを心から祈っている。
#中銀マンション
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