この桜は、70年前くらいに、町の実業家であった個人の方が、私財を投じて5千本の桜を植えたことに始まり、その桜のうち、約千本くらいが70年後の今も残っていて人々を楽しませ、町に観光客をを呼び込んでもくれている。すごいことである。
大河ドラマに取り上げられた渋沢栄一翁もそうだが、当時の実業家というか功成り名を遂げた方は、社会のために役に立つことにお金を使った人が多い。わが町に桜を植えてくださったS翁もまた、町の未来を見据え、美しい町になることを願って桜を寄贈されたのだろう。
そういえば、つい先日テレビで見た小港鉄道の駅のひとつで咲き誇る桜も、そこに住む個人の方が、長年にわたって植え続けた桜だという話を知って感動した。
桜という花は、日本人が大好きな花だ。私も昔から桜に思いを寄せることが数多くあった。
「さまざまの こと思い出す 桜かな」これは、有名な芭蕉の句である。
この句は、芭蕉が、句会かなにかで、昔仕えていた上司の家に、二十年ぶりくらいに訪れた時に、以前と同じように桜が咲いていることに心を動かされて詠んだといわれている。
私も、九州に転勤し、離任した時の年賀状に、この芭蕉の句を使ったように思う。
転勤を終え、任地を離れる時に、数年間の短い間ではあったが、その土地での様々なことを思い出して、桜へを見る思いがまた違ったことを思い出した。
ほんの1週間程の間に、咲き始めて散っていく桜。つぼみの時にも、薄赤い色を帯び始めたその表情というか風情が、春の訪れを伝えて心を浮き立たせてくれる。
そして、あっという間に満開になったと思ったら、それからわずか数日で散っていく。
華やかなピークといさぎよい散り際が、日本人の心を動かすのだろうか?
外国の方は、そんな桜を見てどう感じるのだろうか?
そんなことを思いながら、散り始めた桜が川面に花筏となって流れていくのを眺めていた。
#桜 #さまざまのこと思い出す桜かな
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