しかし、音声だけ、というのは、実はメリットも多い。まず、映像というのは、ブラウン管であれ、ディスプレイであれ、携帯であれ、ビジュアル情報を把握するためには、映像を表示する画面を注視する必要がある。ということは、その瞬間に他のことをすることはできない。しかし、ラジオは、音声のみなので、何かの作業をしながらでも、聞いていることができる。携帯のディスプレイを見ながら運転することは、現在では立派な交通違反であるし、そもそも安全運転ではない。しかし、ラジオであれば、運転中でも情報収集が可能だ。
そして、もうひとつは、イマジネーション力を高めたりすることができる。音声情報を聞きながら、そのシーンや映像を、頭の中でイメージすることができる。それによって、脳が活性化して認知症予防にもつながるという学説まで出ているようだ。
(文化放送HP)
最近、毎週聞いている番組がある。日曜の10時〜12時で、東京の文化放送でオンエアされている「日曜のほとり」という番組である。阿川佐和子さんと、ふかわりょうさんが、のんびりゆったりと、日々の生活の中で感じたことをピックアップしながら、お互いに話をする間に、様々な広がりを生み出していく。最近は、大人が聞くに堪えるトーク番組というのは少なくなったけれど、くだらない話ではなく、小野ごとに対するちょっとしたテーマや事象を糸口として、感じたことを話していく。そして、時にはそれが広がって新しい話題に発展したりもする。さらにそのトークの間を、非常に計算された選曲によってえらばれた音楽が、絶妙の間合いで、トークをつないで結い上げていくのである。
そんな番組というのは、あるようで意外に少ない。ゲストのトークに頼ったりもせず、二人が、きっかけとなる話題を軸にしてお互いの感じ方を話しながら、どんどん話が広がっていく。その広げ方や掘り下げ方が面白く、聞いていて飽きることがない。
私は、昔、トークイベントの進行役を何度かしたことがあった。魅力的な方々 あかりであったが、その話題の肝を抽出し、展開し、さらに話し手がそれをうまく発展させてくれるように話を広げていくことは、非常にむずかしいということを痛感した。トークというのは、それくらい難しいものだと思う。
ゲストを呼ぶこともなく、二人の会話と音楽だけで、二時間を持たせるというのは大変な技だと思う。それは、構成作家のようなこともできるふかわさんの能力と、作家であり、インタビューアでもあった阿川さんという絶妙なインテリコンビだからこそできるトークの妙であるように思う。
コロナ禍によって、在宅でラジオを聴く機会が増えてradikoの利用者も増えたという。
ちょっと印刷媒体のような深みを持たせることも可能なラジオの魅力というものを、この二人のトーク番組は、感じさせてくれる。
#日曜のほとり
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