(NHK)
思い起こせば、ソビエト時代の末期、1990年にモスクワに進出したのがマクドナルドである。それは、ゴルバチョフが、ロシアの初代大統領に就任した年であり、冷戦の終結を予感させる年でもあった。マクドナルドのモスクワでの開店は、そうした大きな時代のうねりを象徴するニュースであった。私もそのニュースを目にして、「ああ、世界情勢が大きく動いているなあ、もしかすると平和な時代が来るのかもしれない」と感じた。
ゴルバチョフは、1985年書記長に就任し、その後大統領選挙を実施して初の大統領となった。西側からは、評価する声が多いけれど、ロシア内では、ソ連を崩壊させ、国の威信を低下させたとして批判する声も多く評価が分かれている。
そうした時代の象徴となったマクドナルドだけに、今回の一時閉鎖のニュースは、再び冷戦時代に逆戻りしたことを予感させるような事態として感じてしまうのである。
モスクワに開店したマクドナルドは、当時熱狂的な人気を集め、現在はロシアにおよそ850もの店舗があるという。それは、西側との距離が縮まったことを感じさせる店舗数だったともいえる。
ハンバーガーは、まさにアメリカを代表する食文化であり、それが旧ソ連で食べられるようになったというのは、やはり新たな時代の大きなシンボルだった。
マクドナルドは声明で「ウクライナでの衝突とヨーロッパでの人道的危機は罪のない人々に言い表せない苦しみを引き起こしている。状況をよく見ていき、追加の対策が必要であれば決定していく」としているが、さて、この先、いったいどうなるのだろうか。
もしマクドナルドが、ロシアで復活することがなければ、それは、世界情勢が再び混沌とした時代に向かうということでもあるだろう。
#ロシアのマクドナルド閉鎖
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