よく言われる通り、60歳を超えてから、時間の経つのがとにかく早い。
そんな時間の中で、葉っぱを切られたカブをスーパーで買った。このあたりは田舎だから、カブは、葉っぱまで全部料理に使って食べる主婦が多い。私もそうだ。だからスーパーで売っているカブは、ほとんどが大きな葉っぱを付けたまま並べられている。しかし、その時に買ったカブは、珍しく葉を切り取ってあって、茎の部分を5pほど残して売っていた。
切りそろえられて残っていたカブの葉っぱのついた実のところから切り取って、水を入れたカップに置いておいた。これはたぶん伸びないだろうけど、切りそろえてある葉っぱは、胡麻和えとか味噌汁の具に使えるだろうと思ったからだ。
しかし、2週間近く葉っぱは、元気に緑を保ったばかりか、さらに新しい葉を伸ばし始めた。
カブの葉は、当たりはずれがある。切って水に浸しておいても、すぐに枯れてしまうものと、いつまでも青々とした葉を残し続けるものとがある。その違いが面白いことと、実の部分を使う時と葉っぱと一緒に調理する時があるので、こうして葉の部分だけを切り取って水につけておくようになった。
新しく生えてきた若々しいカブの葉を眺めていたら、TVから、老人になってから画家になったり、美術作品を残したりしている老人のことを特集しているETVの番組紹介が流れていた。私よりはるかに、年上の方々が、今の私の年齢くらいから、新しい挑戦を初めて、大きな華を咲かせたという。
2月=如月、その由来にはいくつかの説があるらしいが、もっとも有力な説は、「衣更着(きさらぎ)」が転じた説だ。衣更着、すなわち、厳しい寒さに備えて、衣をさらに重ね着する季節という意味である。
そして、そのほかには、陽気が更に来る月だから気がさらに来る=「気更来」になったという説と、そして、春に向けて草木が生えはじめるから「生更木(きさらぎ)」になったという説があるという。
切られたカブの葉は、「生更木」のように、さらに新たな命の葉を伸ばしている。
私も、新しい葉を伸ばしたカブのようになりたいと思った。
カブの葉っぱから、頑張ろうというエールをもらった気がした。
#如月
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