日本中の海で、獲れるイワシは、古くから日本人の食生活に深く関わってきた。
毎日の食材として食べるだけでなく、肥料にも使われてきた。日本人の体を作るうえで、タンパク質とカルシウム、そして近年注目され続けているDHAの摂取という点でも、非常に優れた食べ物であった。しかも、新鮮なイワシは、抜群に美味しく、漁法が発達して、大量に獲れるようになってからは、値段も安い大衆魚として親しまれてきた。
富山湾でもたくさんのイワシが水揚げされる。しかも美味しい。
太平洋側の大羽イワシなどに比べて、北陸では、大羽もあがるけれど、やや小ぶりのものを中心に流通しているが、その美味しさには定評があり、例えば、氷見であがるイワシは、「氷見イワシ」として広辞苑にも取り上げられている。
これは、昔からお殿様にも献上されるなどして、その美味しさが日本中に伝わったことの裏付けでもある。特に、軽く干された干物は、抜群の美味しさで、おそらく江戸時代などは、日持ちのする干物が、その美味しさを各地に伝えるのに一役買ったに違いない。
とはいえ、氷見産のイワシの丸干しや一夜干しなどは、5尾や7尾などで売られているのが多くて、いつもはなかなか手を伸ばせない。また、60歳を過ぎてから、血圧が高くなってしまったので、イワシの干物の塩分もやはり気になってしまう。
しかし、昨日は、たまたまスーパーで、珍しく2尾入りのパックを売っていたので、つい買ってしまった。氷見産のものではなく、千葉産の大ぶりのものだったけれど、なかなか美味しそうな顔つきをしていた。実際焼いてみると、とても美味しくて、久しぶりにイワシの干物の味を堪能した。
最近は、サンマもイワシも大衆魚から高級化しているが、やはり日本人に長く愛されてきたことには、ちゃんと理由がある。
米食が減ってくると、ご飯のおかずである干物などもどうしても食卓に上ることが少なくなってしまうけれど、日本の優れた食材の魅力と美味しさを、ぜひ見直してもらいたいものだ。
#干いわし
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