渡辺宏容疑者(66)が、介護していた母が亡くなり、その弔問に訪れた医師の鈴木純一さんら7人に対し、猟銃を発砲し、被弾して心肺停止状態だった鈴木医師が、その後亡くなった。
今日の報道では、死後1日以上が経過した母親の蘇生措置を、鈴木医師に求めていたことが分かったという。それを断った鈴木医師に、渡辺容疑者が散弾銃を取り出して発砲したとみられ、捜査本部は当時の状況を詳しく調べているという。
(ヤフーニュースより)
犯人は、母に対する異常とも思える思いから、既に亡くなった後でありながら心肺蘇生を迫ったのだろうか?しかし、自殺しようと思い、医師など関係者も道連れにしようと思って呼び出したという記述もある。
母への強い愛情の一方で、事件に至るその発想は余りに空しく、悲しく、寂しい。
そして、亡くなられた鈴木医師は、私の想像通り、在宅医療に懸命に取り組み、多くの患者さんたちやご家族から愛され感謝されていた立派なお医者さんであるようだ。
在宅介護をする人間にとって、介護施設の人たちと、かかりつけの医師に恵まれるかどうかは、介護を続けていくうえで、大きな分かれ道となる。特に、親身に相談にのってくれて、何かあればすぐにかけつけてくれ、頼りになる医師の存在は本当に心強く有難い。
犯人のゆがんだ愛情と憎悪によって発射された銃弾は、多くの介護世帯を救い続けてきた若き医師の、誠意と努力と未来と、そしてかけがえのない命を奪い取った。
彼の死によって、介護生活の大きな支えを失った方々が数多くいらっしゃるのではないかと心配している。
ニュースでも、先生にお世話になったといって、現場に花をたむけ、涙を流す方々の様子が報道されていた。
もし、母親と二人で介護生活を送っていたのであれば、容疑者の苦労や心的ストレスが蓄積した状況は、同じような環境にある私にも多少は理解できる。しかし、その気持ちを、ゆがめて、他者への憎悪に転化してはいけない。
それにしても、あまりにも不憫である。ああ、やるせない、やるせない。・・・
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