ビール大手4社の事業説明会が6日に集中して開催された。アサヒビールは「スーパードライ」を発売36年目で初めてとなる全面刷新を打ち出し、サッポロビールも発売45周年を迎えた「黒ラベル」のリニューアルを決めた。
アサヒビールにとって、「スーパードライは、これがなければアサヒビールが存続できなかったほど重要なブランド。嗜好品の味を変えるには勇気がいるしリスクも伴うが、36年目にフルリニューアルを行う」と、アサヒビールの塩沢社長は宣言して、旗艦商品であるスーパードライの味やパッケージを全面刷新し、2月中旬以降の製造分から切り替えることを明らかにした。
とはいえ、「辛口」や「シルバーパッケージ」といった特徴は残しながら、ホップの香りや飲み応えを強めるそうだ。この新スーパードライは、3月から「過去最大規模の広告宣伝投資」で消費者に訴求していく考えだという。
ヒット商品のブランディングを変更するということは、非常に勇気のいることだ。とりわけスーパードライは、ビール市場でキリンなどに大きく水をあけられていたアサヒビールを、トップブランドに引き上げた一大商品である。1987年当時の発表キャンペーンは、大々的なキャンペーンで、CMの出稿量などは膨大なものだった。当時としては画期的なCMからパッケージデザインまでを一巻したコンセプトでまとめ上げて売り出す大規模キャンペーンだった。
私の先輩がかかわっていた仕事であり、業界を震撼させた注目のキャンペーンといえるものだった。
しかし、ブランドのユーザーも世代交代していく。この商品を支えたヘビーユーザーは、私と同世代の人たちが中心だろう。今では60代から70代というところか。
しかし、30代以下の今の若い人たちにとっては、ブランドの考え方などが、少しずれてきているというのが今回のリニューアルの理由だという。
このブランディングを担当して役員にまで登り詰めたクリエイティブディレクターのOさんは、既に鬼籍に入られたが、このニュースを聞いたらなんとおっしゃるだろうか?
パワフルな人だったから、「もう一度担当してリニューアルするぞ!」と仰ったかな?あるいは、「いいんじゃないの?」とちょっとシニカルなコメントかもしれない。
さて、新しく生まれ変わる商品がどんな味で、どんなふうに社会の中で位置づけられていくのか、今後の行方をじっくりと見ていきたいと思う。
#アサヒスーパードライ
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