いきなりこう書くと、「何を偉そうなこと言ってるんだ」「不遜なことをいうな」とお叱りを受けるかもしれない。しかし、良きにつけ悪しきにつけ、広告は、その表現やタレントが世の中で話題になったり、流行語を生んだり、そしてもちろん、商品が売れたりする。
私は、大きなクライアントの担当も多少経験したが、残念ながら、誰もが知っているCMなどは、あまり担当していない。しかし、商品が動いたり、新聞や雑誌でキャンペーンが取り上げられたりということは、多少経験している。業界の玄人の方から、「あ、あれ担当してるんだ」とか言われるキャンペーンもやったことがある。まあ、よく言えば。業界受けするシブい仕事をやった経験が多いとも言えるかな(笑)。
先日、池江さんが登場した広告についてFBに投稿した。この広告の注目度や話題性は、当然なかなかのもので、緊張感の高い仕事だと思う。「あざとい」キャンペーンだ、と自分のFBに書いていた友人もいた。僕も多少、そう感じるが、しかし、注目度といい、社会的影響力といい、これは業界人にとってもなかなか係われないビッグキャンペーンである。担当したのは、もちろんオリンピックに深くかかわり続けている業界第一位の会社である。仕掛けとアイデアには確かにあざといところもあるが、あざとさは、時に人の心をつかむ力にもなる。この会社の「あざとさの力」には現役時代にもずいぶん驚かされることがあった。とはいえ、新聞広告のコピーをじっくり読んでいると、コロナVなどにより色々きびしい意見が出ている状況で、非常にデリケートなメッセージを一生懸命考えて書いたコピーライターと、それを苦心してクライアントとの調整を行い、最終的にアウトプットするジャッジをした営業担当者たちの苦労も推察できる。新聞紙面を眺めながら、元同業者としては、大変な仕事だったろうなあと思ってしまう。
SNSでのこの投稿について、昔の同僚などがいろいろコメントを書いてくれた。古巣の会社にとっては、最大の競合会社のやった仕事や動向については、現役もOBも、やはり何かと気になってしまう。つい一言言いたくなってしまうのも、長年にわたってしのぎを削ってきたライバルに対する習い性かもしれない。それにしても、こうした意見を見ていると、自分も含めて、広告屋というのは、広告が好きで広告を愛している連中が多いなあ、ということをあらためて感じる。だからこそ、みんな広告屋になった。
僕は、古巣の会社が作った広告のいくつかが、好きな広告だったことも、入社した理由のひとつであった。
広告には力がある。それは、広告会社に人を引き寄せ呼び込む力にもなる。
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