<ほしいわし>ではない。<ひいわし>と読む。富山県民にはおなじみの味である。
イワシの丸干しのことだが、特に県西部の人間にとっては、概ね氷見の干いわしを意味する。この干いわしは、広辞苑にも載っているくらい江戸時代から氷見のいわしの代表として広く知られていた。
一昨日スーパーに行った折に、久しぶりに2尾だけをパックした干いわしを見つけた。たいていは、5尾前後のパックばかり売っていて、老人二人暮らしのわが家の場合、今では実質私ひとりしか食べないので、食べたいなあと思いつつも、いつもあきらめていた。2尾のパックは本当に珍しい。丸干しであっても、美味しいのは、買ったその日とせいぜい次の日までである。それを過ぎるとやはり味は落ちてしまう。そして、昔は、一人で2〜3尾を食べていたけれど、血圧が高くなった今は、あまり沢山食べないようにしている。
久しぶりに食べた干いわしは、子どもの頃からなじんでいたあの美味しさであった。日本酒との相性が抜群でで、最近余り飲まなくなった日本酒も、このイワシの前では、やはりご登場頂くことになる。・・・ああ、旨いなあ・・・。大学を卒業して、下宿していた叔母の家を出て一人暮らしを始めた時に、スーパーでイワシの丸干しを買ってきて、その味の違いにショックを受けたことを懐かしく思い出す。
今は、冷蔵技術と物流システムが良くなったので、かなり美味しいものが東京でも手に入るけれど、昔のものは、かなり味が落ちているものが多かった。関東近県では、イワシの丸干しは、千葉や茨城県産などの大きめのイワシが多くて、味もちょっと大味だった。そんなイワシを食べるたびに、ああ、あの氷見の干いわしが食べたいなあ、とよく思ったものだ。
ヤリイカの刺身とイワシの味は、富山のものには勝てない。氷見の干いわしは日本一だと、実は今でも思っている。ああ、酒が旨いなあ。今度は5尾パックを買ってきちゃおうかな。
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