(朝日新聞より)
感染や政治の問題はさておき、参加選手の活躍はやはり素晴らしいドラマの連続で胸を打った。世界トップクラスの選手が競う世界最高峰の競技会なのだから当たり前といえばその通りだ。
日々の努力を積み重ねて、本番の一瞬にかける選手たちの悲喜こもごもの戦いは、本当に感動のドラマの連続であった。選手の皆さんにとっては、オリンピックに向けて積み重ねてきた努力が、オリンピックが開催されたことによって、その力を発揮する場が催されたことは本当に良かったとあらためて感じた。
しかし、日本の政治システムと社会システム、国際的な感染症への対応、そして、IOCのありかたということについては、様々な課題を提示した大会になったといえる。
日本的な「終わりよければすべてよし」では、今回の大会は絶対に済まされるべきではない。どこに問題があり、今後どうするべきだったのか?何よりも政治判断のあり方、やり方という点において、大きな課題を露呈したものであったといえる。
福島原発がそうなりつつあるように、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」、にしてはいけない。いつのまにか、課題の姿をあやふやにしてはいけない。政治家も行政マンも、イベント関係者も、企業も、そして医療関係者も、各々の立場で、冷静な事実認識と整理と課題の抽出、問題解決のための意思決定プロセス作りなどなどありとあらゆる局面でのレビューが大切だ。
このオリンピックでの貴重な経験は、きちんと記録として残され、将来に向けた財産となるようにしていかなければならない。これほど特殊なオリンピックはおそらく今後ないだろうから。それは、関係者全員に課せられた宿題でもある。
東京大会開催都市の代表である小池都知事から、パリ大会の代表であるパリ市のイダルゴ市長にオリンピック旗が手渡された。女性都知事から女性市長へのオリンピック旗のリレーである。これもまた、LGCTQなど性差を超える時代のオリンピックのシンボルということになるかもしれない。
2024年のパリ大会では、パンデミックが収束していることを心から願っている。
#東京オリンピック閉幕
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