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2020年07月25日

しわだらけの新聞

私の父は、新聞の扱いがぞんざいである。それがとても気になる。
要介護老人なので、毎日、ベッドで寝たまま読んでいるからということもあるが、父が読み終わった新聞は、驚くほどくしゃくしゃでしわだらけになっている。読み終わった新聞をベッドの周りに次々と放り投げてしまうのも気になる。しわを伸ばし、新聞を、たたんで片づけている時には、そうしたことが、つい気になってしまう。

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私は広告会社に勤めていたせいか、新聞は、商売道具というような思いがある。入社した頃、新聞や雑誌を乱暴に扱うと先輩に怒られた。曰く「新聞や雑誌は、我々の商売である広告が載っている、いわば商品だ。大切に扱え」と。確かに広告によってお給料を頂き、また、広告が掲載された掲載誌/紙は、成果物・納品物であった。「くしゃくしゃの掲載紙は、お得意先に持っていけないだろ?」とも言われた。
こういうことを言ってくれる先輩に育てられた私は幸せだと思う。

大学時代、雑誌か新聞の編集者になりたいと思っていた時もあったし、広告会社に入ってからも、TVやラジオといった電波媒体よりも、紙媒体のほうが性に合った。実際、広告が好きになったきっかけは、グラフィック広告からであった。TVCMは、インパクトも強いから、ぐいぐい押していくような力がある。グラフィックには、動画も音もない。だからこそ、ビジュアルのデザインアイデアや、コピーの力が光ると思う。

新聞広告や雑誌広告は、なんだか昔のほうが、心に残るものが多かった気もしてしまうのは、私の懐古趣味なのだろうか。広告に元気がなくなったり、品がなくなったと感じてしまうのも年をとったせいかもしれない。

新聞広告を見ていると、一緒に仕事をさせていただいた名人と言われたコピーライターの人たちの顔が浮かんでくる。長髪で骨っぽい仙人のような風貌の頑固なコピーライターのSさんや、「メリノウールを着る運動」で3年間お世話になったMさん、掲載紙を大切に扱え、と教えてくれた営業の先輩など、すでに鬼籍に入られてしまった方も少なくない。

たかが広告、されど広告という言葉がある。
その通り、でも、広告マンにとっては、確かに、「されど広告」なのだ。
みんな広告が大好きで広告を愛しているから。

#広告 #新聞広告








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