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2021年08月03日

行き場なき療養

田村厚労相は、3日の閣議後会見で、新型コロナウイルスの感染拡大地域で入院できるのは重症者や重症化するリスクの高い患者に限定するとの政府方針について、中等症でも「比較的軽い方は在宅療養をお願いしていく」と説明し、「場合によっては在宅で酸素吸入することもありえる」との認識を示した。
210803在宅酸素吸入.jpg
(ヤフーニュースより)

東京では、このところ毎日3千人を超える感染者が出ていて、自宅待機の人が1万人前後もいる状況だという。しかも、保険所は、手が回らず、もはや感染者各々の情報把握が十分に出来ない状況にあるわけで、自宅待機者それぞれのコンディションを把握し、対応を適格にアドバイスすることなど不可能に近い状況にある。

ということは、今コロナと診断されて、軽症だから自宅待機と言われたら、あとは自己判断・自己対応である。肺炎は、一般的な肺炎でも、場合によっては1日〜2日で容体が激変する場合がある。コロナの場合も、微熱程度だったのが、わずかな間に中等症から重症に推移する可能性が十分にある。そんな時に、自宅療養で酸素吸入を手配して対応できるのだろうか?
私は、子供の頃に、母の酸素吸入を自宅で行っているのを見たことがある。大きな酸素ボンベが枕元に置かれ、急に部屋が狭くなったように感じた。大きくて重い酸素ボンベは、おそらく今もそれほど変わらないだろう。そんなものを、たとえばアパートで一人暮らしをしている青年が、部屋で一人でセットできるだろうか?置き場が確保できない場合もあるだろう。自宅待機をしている人がたくさんいて、病院での治療が必要な人も数千人が順番を待っている。看護士が、自宅を訪ねて面倒を見られる状況など到底あり得ない。
もはや、東京に住んでいて、ワクチン接種を受けていない50代以下の人が、仮にコロナ感染を宣告され、自宅待機と指示されたら、それは行き場のない治療を意味することになる。

専門家も、もはや実際には医療崩壊の状況にあるということを、具体的な言葉でコメントすれば、パニックが起きてしまうから、おそらく明言しないのではないかと私は勝手に邪推している。そうした中での厚労省の自宅での酸素吸入発言である。苦肉の策とはこのことだろう。

今や、東京にいる一人暮らしの自宅待機者は、死と隣り合わせのリスクを抱える行き場のない感染者になりつつあるのではないだろうか・・・・・
#自宅で酸素吸入
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