来日したIOCのバッハ会長が、13日、東京五輪・パラリンピック組織委員会を訪問し、橋本聖子会長らと面会した。ドラマはそこで起こった。
冒頭の挨拶で「日本人」と言うべきところを「中国人」と言い間違える失態を演じたというのである。
公開された挨拶で、バッハ会長は「われわれが常日ごろ言っているのは万人にとって安全で安心な大会にすること。万人というのはアスリートであり各国選手団であり、最も大事なのは『中国国民』」と発言したというのだ!
慌てて「日本国民の安全ということ」と言い直したが、開幕直前のIOC会長の公式スピーチとしては、やはり驚くべき失言だろう。こうした発言が、重要な局面でトップから出てしまうというところに、今回の東京オリンピックの持つ運命のようなものが象徴されている気がしてくる、
コロナウィルスという、人類史上はじめて経験した恐るべきパンデミックの時代に、それでもあえて開催されるオリンピック。その開催直前のタイミングで、巨大な利権の責任者であるIOC会長として、「大丈夫です」と言わなければならないスピーチであった。
その場面での失言というのは、歴史に残ってしまうひとことでもある。
と、ここまで書きながら、実は、ひそかに自問していたことがあった。
日本人もまた同じように、アメリカ人でもイギリス人でも、フランス人でも、ドイツ人でも、欧米人は、みんな「ガイジン」で、だれにでも英語で語りかけてしまい、イギリス人に話す時には、イギリス人もアメリカ人も英語をしゃべるからみんな同じだよね、というような感覚はないだろうか?
あなたは、アメリカ人とイギリス人とフランス人とイタリア人の区別がつくだろうか?
同様に、欧米人から見た時に、中国人と韓国人と日本人は、みんな同じ肌の色をしたアジア人なのである。
そしてバッハ会長にとっては、中国もまたオリンピック開催国である。
欧米人としての本質的な人種認識が、ついポロリ、と顔を出してしまった一言なのかもしれない。
しかし、それが、世界中の国々が集まる世紀のスポーツイベントの開催国における最初の表敬スピーチだったところに、うかつで象徴的な問題が見え隠れしてしまった。
この一言は、もしかすると、今後の東京オリンピックの行方を象徴する一言になっていくかもしれない・・・・
#バッハ会長失言
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