富山県は、長年にわたって保守王国と呼ばれ、自民党支持層も多く保守政治を支持する県民と言われてきた。国会議員選挙でも、県知事や市長の選挙でも、保守候補が安定的に勝っていく構図が長年にわたっておおむね続いてきた。
しかし、昨年の県知事選で、5期目を目指した石井知事が、民間出身の新田氏に破れ、新しい県政を期待する風が、新田知事を誕生させた。
そして、今回、市の前教育長で、自民党の推薦を受けた米谷氏に大差をつけて、元自民党市議の角田氏が勝利を得た。高岡出身で、元テレ朝職員の作家でもある出町氏も及ばなかった。
高岡市の財政赤字が明るみに出たのが数年前である。その時以来、市民の中には、高岡市の行政幹部に対する不満・不信感が高まっていたのだと思う。そして、これまでの市政のやり方では駄目なのではないかという漠然とした思いが膨らんでいったのだろう。新田知事の誕生も、保守政治からの変化を感じさせたに違いない。さらに、自民市連の推薦を受ける経緯によって生じた分裂選挙は、保守的なやり方を変えていく必要があるという市民の気持ちを加速させ、今回の選挙への関心を一層高めたのかもしれない。
結果的に、市民は、若い力による変革を選んだ。これまでとは違う新たな風が吹いたのである。
今、北海道知事や、大坂府知事など、旧来の価値にとらわれない若くフレキシビリティのある元気な政治家が登場している。
しかし、変化を望む力は、時に、長い時間をかけて育まれた良き伝統やシステムまでも排斥してしまうことがある。残すべきものを慎重に選び、変えるべきことを変えていく。そんな形での、現実味のあるポジティブな変化が、今後の市政に生まれてくることを、期待したい。
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