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2021年07月06日

驚異と脅威の経営者

米アマゾン・ドット・コムの創業者であるジェフ・ベゾス氏が、5日付で最高経営責任者(CEO)を退任した。
自らを「発明家」と称する天才経営者は、アマゾンを、設立から27年間でIT業界の世界トップ企業に成長させた。その存在が世界に与えたインパクトはとてつもなく大きい。
210706ベゾス氏.jpg
(読売ネットニュースより)

「歴史上のどんな小売業者より多くの商品を提供できる。インターネットのおかげだ」。そう語ったベゾス氏だが、それは、ソフトとハードを総合的にまとめあげた天才的な仕組みを生み出した彼の力であろう。

昔、ある家電メーカーが、「すごいけどカンタン」というキャッチフレーズを使っていたことがあった。AMAZONは、まさに、この言葉のように、簡単にクリックするだけで、翌日には買い物した商品が自宅に届くという仕組みを生み出した。お客のアクションは、ワンクリックでカンタンだが、その裏に隠された、商品を配送まで送り出す仕組みは、コンピューターのソフトウェアから、支払い決済、セキュリティシステム、商品を管理するバーコードなどのシステムと倉庫管理、そして配送の仕組みまでを総合的にスムーズにつなぎあわせた恐るべきもので、すごい技術の組み合わせが背後に隠れている、まさに「すごいけどカンタン」なネットによる買い物方法を生み出したのである。

コロナ禍で経営環境が悪化する企業が続出する中で、リモートワークなどによる在宅時間の増加は、ネットショッピングも加速させた。結果的には、コロナ禍でも業績を伸ばした企業と言う点でもトップクラスになった。
しかし、日経新聞の記事にもあったが、これまでに類を見ないような急成長を示してきた「驚異」の企業だが、その成長に対して、今度は、社会に「脅威」をもたらす存在との見方も広がっていった。

AMAZONの流通の仕組みは、相当に確立されており、かなり完成度の高いものだと思う。しかし、会長として目を光らせはするのだろうけれど、ベゾス氏がCEOを去ったとなれば、やはりどこか不安が残る。強烈な個性の経営者といえば、アップルのスティーブジョブスが思い出されるが、自社製品を持ち常に新しい製品を生み出す必要のあるメーカーとAMAZONとでは、多少異なるかもしれない。しかし、自ら発明家と言ったカリスマ経営者がいなくなれば、やはり革新的なビジネス構造を生み出していく企業エネルギーも低下するのではないかと心配してしまう。

世界最高のお金持ちであるベゾス氏は、次の興味を宇宙に移している。今月中には宇宙へ飛び出すことになる予定だ。
天才経営者は、宇宙から今度はどんな未来を見つめるのだろうか?
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